【Y日誌】ドリフターズ
マスター名:久条巧
シナリオ形態: ショート
危険 :相棒
難易度: やや難
参加人数: 6人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2011/02/05 04:39



■オープニング本文

──現在の情況
 先月。
 件の海底神殿の調査の為にとある孤島へと向かっていったジョーンズ博士と開拓者一行。
 その島の中央にある巨大な風穴、そしてそこから降りていった先にあった未知なる空間。
 その地下空洞にて、ジョーンズ博士一行は様々なアイテムを回収していた。


・一振りの古い剣(柄の部分に宝珠あり)
・一本のナイフ(腐蝕したあとなし、新品の模様)
・大量の石碑と羊皮紙

 これらのもののうち、古い剣と一本のナイフはどうやら件の『巨大アーマー』の起動キーらしいという推測が出来た。
 そして残った石碑と羊皮紙の中から,さらに地下空洞、そして海底神殿へと続く回廊の地図が発見されて、
いよいよ神殿へと向かう本格的調査が開始されると思ったのだが・・・・。

 
──とある無人島?
♪〜
 赤い巨神を知っている?
 海の向こうに小さな島。
 霧に隠れた小さな島の、雲の真下の小さな島。
 王様と王妃様を護っている、忠実な赤い巨神。

 蒼い巨神を知っている?
 山の向こうの小さな島。
 雲の上の小さな島の、雲の下の小さな城。
 破壊と再生の門を潜って、蒼い巨神を探しにいこう。
♪〜

 そう歌を唄っているのはジョーンズ博士。
「博士、随分とご機嫌ですねぇ」
 と水兵の一人が呟く。
「いやいや。ちっとも。それよりも、船の修復は如何なものですか?」
 と水兵に問い掛けるジョーンズ博士。
 では、何が起こったのか説明しよう。
 先月、件の島に向かう途中で遭遇した『海底から出てきたイカ型巨大アヤカシ』。
 その復讐にあい、船体の破損及びマスト破壊という痛手を負ってしまった。
 さらに潮流に流されてしまい、制御できないまま数日間船は海の上をただよっていた。
 そして先日。
 ようやく小島の近くまで流されてきた船は、どうにか錨を降ろして船を固定、船体の修復に必要な材料を求めて島に上陸したのである。
 だが、人の住んでいる様子はまったくなく、さらに島の彼方此方に古い遺跡が発見されてしまった為,船体の修復は水兵たちに任せ、ジョーンズ博士は島の調査を行なおうとしていたらしい・・・・。
 
 さて、一体何が開拓者達を待ち受けているのでしょうか・・・・。


■参加者一覧
九法 慧介(ia2194
20歳・男・シ
雲母(ia6295
20歳・女・陰
ラシュディア(ib0112
23歳・男・騎
春陽(ib4353
24歳・男・巫
袁 艶翠(ib5646
20歳・女・砲
セシリア=L=モルゲン(ib5665
24歳・女・ジ


■リプレイ本文

●絶海の孤島
──場所不明・とある島
 ざざーーーーーーーーーーーーーん
 ざざーーーーーーーーーーーーーん

 激しく打ちあがる波飛沫。
 その側では、急遽難破した船の修復作業が急ピッチで行なわれていた。
「ふう‥‥マストの修復はだいたい終りですけれど。船体のほうはどうですか?」
 と、甲板上で叫んでいるのは袁 艶翠(ib5646)。
 他の仲間たちはジョーンズ博士とともに島の中に在る遺跡の調査に向かっている。
 ならば、自分は皆が戻ってくるまでに船をどうにか修復しよう。
 という事で、彼女は船員達と一緒に船体の修復作業を行なっていた。
「左舷の修復が間に合っていない。防水がまだなのと、完全に空いている穴の修復がまだだ。材料になる木材が足りないから、ちょっと何人かと一緒に切り出してきて欲しい」
 と、副船長が袁に向かって告げる。
「了解。それじゃあいってきますね‥‥あと何か必要なものはないですか?」
「そうだなぁ‥‥船に積んであった食糧はおおかた大丈夫だったけれど、水と果物が足りない。それがあるかも調べてきて欲しい」
「はいはい。それじゃあいってきますね‥‥」
 と告げて、袁は4名の船員達と一緒に森のほうへと向かっていった。


●ウェンリー・ジョーンズ博士と魔宮の伝説
──島の遺跡
「ふむ。これはなかなか‥‥」
 そこは地下遺跡。
 船の修復が終わるまでの時間、残った一行はジョーンズ博士とともに遺跡の調査を行なっていた。
 まずは地表に剥き出しになっている場所の調査。
 そしてしばらくの間、紆余曲折しながらも何故か作動したトラップの為、一行の活動は急遽地下遺跡の調査に切り替わってしまっていたらしい。
「さて‥‥ここから別のマップが必要になるのですか‥‥」
 と溜め息を付きながら、春陽(ib4353)が新しい羊皮紙を取り出して準備をしている。
 ちなみに、ここまでに彼のかきあげた地図は全部で10枚。
 地表の4枚と地下遺跡の6階層分である。
 そこから落とし穴によって落下した先の地図は、まだこれからという所である。

──ビィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン

 高らかに弓を引き鳴らしているのは雲母(ia6295)。
 鏡弦により、この周囲にアヤカシが存在していないか調査していたのである。
「‥‥これは参ったわね。四方八方、どこにでもアヤカシの気配が存在しているわ‥‥」
「俺の心眼でも同じ結論だな。まあ、アヤカシかどうかまでは俺には判らないけれど、それらしいものの方角とかは雲母と一緒だな」
 と九法 慧介(ia2194)が呟いている。
「だそうですよ‥‥どうしますか?」
 と壁際で必死に古代文字を眺めているジョーンズ博士の肩を叩きつつ、ラシュディア(ib0112)がそう問い掛けている。
「そうじゃなあ。この遺跡事態にワシはすごく関心がある。というのも、こに記されている文字配列が、この前迄調べていた地下遺跡の文字配列と近しい。つまりどういうことかというとだな‥‥」
 とたんたんと説明を開始するジョーンズ博士。

──ビシィッ

 と、その後方で激しい打撃音が響いた。
「んふふ‥‥いい感じねぇ‥‥」
 と楽しそうに呟いているのは、セシリア=L=モルゲン(ib5665)。
 その前方では、蜘蛛型のアヤカシが10数体、彼女達のいる方角に向かってザワザワと近寄っていた。
「ちっ‥‥気付かれたか」
 とラシュディアが呟きつつジョーンズ博士のガードにつく。
 それと同時に、雲母と九法が抜刀して蜘蛛に向かって走り出した。
 春陽はそのまま蜘蛛のきた方角とは反対側に対しての牽制、突然の襲撃に対応する形を取った。
「‥‥博士、時間稼ぎはどのくらい必要かしら?」
「いや、もう写しおわったからいつでも」
 と雲母にむかって呟くジョーンズ博士。
「なら殲滅あるのみか‥‥」
 と呟くと同時に、九法は紅椿を発動、そのまま蜘蛛の集団の中に飛び込んでいった。
「‥‥まあ大丈夫ね。九法、避けなさいよ!!」
 と叫ぶと同時に、雲母はキリキリキリッと弦を力一杯引く。

──ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン

 そこから放たれた矢が衝撃波を発しつつ、蜘蛛の一団に向かって飛んでいった。
 そして。

──ドゴォォォォォォォォォォォォッ

 その矢から放たれたバーストアローの衝撃波で、蜘蛛が彼方此方に吹き飛ばされた。

「‥‥ん、ナイスアシスト‥‥」
 と呟きつつ、散り散りになった蜘蛛に向かって次々と攻撃を仕掛ける九法。
「ふぅん‥‥なかなかやるじゃない?」
 と告げながら、セシリアもまた手にした鞭を振りかざしつつ、的確に蜘蛛に対してダメージを叩き込んでいく。
 近寄ってくる敵に対して的確に鞭を叩き込み、そのまま後方へと吹っ飛ばす。
 一定以上には、蜘蛛を近寄らせないでいた。
 そのさなかにも、九法と雲母が次々と蜘蛛を撃破、10分後にはアヤカシは一掃されてしまった‥‥。

「つ、つよ‥‥」
 と、ジョーンズ博士のガードにまわっていたラシュディアが呟く。
「それよりも急いでここを離れたほうがいい。ここの喧騒に気付いてこっちに向かってくる奴がいる」
 と九法が告げた為、一行は急いでその場を離れることにした。


●この木の実なんの木の実気になる木の実
──島の森のどっか
「気になりますねー」
 船の補強材を集めていた袁。
 そのまま大体の材料‥‥以前にここに流されてきたのであろう大量の廃材‥‥を回収し、それらを船員達に運ばせていた。
 その後、食糧確保で周囲を歩いていた彼女が偶然目にした、摩訶不思議な植物。
 それは高さ約3mほどの木、そこから湾曲した緑色の果実がいくつも集まり房を作っている。
 たわわになっていたそれを見ながら、袁はそれが食べられるものか考えていた。
「見た事のない木の実ですから‥‥見た事のない味なんでしょうねー」
 と呟きつつ、注意してそれに手を伸ばす。

──ブチッ

 それを一本もぎ取ると、そのまま匂いをかいでみる。
「青臭い‥‥でも甘い匂いがする‥‥ワナ?」
 と注意しつつ皮を剥ぎ取る。
 中からはやや青みがかった白い実が現われた。
「繊維質‥‥ではないですね。どれ‥‥」
 おそるおそるナイフで切り出し、それを指で触って感触を確かめる。
「ふぅん。まあ大丈夫だね」
 と呟いて、それを口の中に放り込む。
 歯ごたえが少しあったものの、それは甘い。
「‥‥まあ、これでいいかな?」
 と自分自身になにも問題が無かった為、それを持てるだけ回収して袁は船へと戻っていく事となった。


●最下層の末路
──地下遺跡最下層
 そこは今までの空間とは違った場所。
 巨大な空洞の壁全てが水晶によって作られているドーム状の空間。
 その中央には台座があり、そこに一振りの剣が突き刺さっていた。
「‥‥ほう」
 と何か思い出したかのように呟くジョーンズ博士。
「‥‥何か判ったのか?」
 とラシュディアがジョーンズ博士に問い掛ける。
「うむ。ここの遺跡の文字、そして例の島の中で発見した書物などから照らし合わせると、この剣は『宝剣ブルーウォーター』であろう」
「宝剣?」
「それっていったいなんだい?」
 九法とセシリアが問い掛ける。
「書物によると、件の地下海底神殿へと続く回廊の鍵とも、巨大アーマーの命令杖とも伝えられているものじゃ」
「‥‥ふふっ。いいわね」
 と笑みを浮かべる雲母。
「それじゃあ回収していきましょう」
 と告げるが、その動きをジョーンズ博士が制した。
「それには幾つかの仕掛けを解除しなくてはのう‥‥」
 と告げて、ジョーンズ博士は荷物から一冊の本を取り出して、ラシュディアに渡す。
「はいはい。そういうことね‥‥」
 と告げつつ、ラシュディアは渡された書物をパラパラとめくる。
 そして台座の手前にある水晶のテーブルの前に立つと。ゆっくりと両手をかざした。
「あれは何をしているんだい?」
 と問い掛けるセシリアに向かって、横で見ていた春陽が一言。
「台座に納められている剣の解除ですね。あの水晶のテーブルの前でギミックを操作し、正しい解除を行なっているようです」
 と告げる。

──カシャッカシャッカシャッ‥‥

 と、時折テーブル自体がいくつもの色に発光したら、奇妙な音が聞こえてくる。
「‥‥ふう。第6まで解除と‥‥すまんがちょっと変わってくれ」
 ということで、今度は春陽が替わりにテーブルの前に立つ。
「‥‥これをどうすれば?」
「その本にナンバーが振ってあるだろう? その通りに順番にテーブルの上のキーを押していってくれ‥‥」
 と告げて、ラシュディアは台座の前に立つ。
「‥‥で、博士、これ引っこ抜いていいのか?」
「うむ」
 と肯くジョーンズ博士。
「それじゃあ、ちょっと手を貸してくれ」
 ということで、九法、雲母、セシリアの2名も台座の前に立つ。
「どうすればいいんだ?」
「春陽が最後の入力をする。それが終わったら台座自身が点滅を開始するから、光が消えている瞬間に一気に引っこ抜く‥‥」
「もし光っているときに引っこ抜いたら?」
 と雲母が問い掛ける。
「遺跡が崩れていく」

──ゴクッ

 その言葉と同時に、一気に緊張感が高まる。
「それじゃあ、最後の入力いきます」
 と春陽が告げる。
 それと同時に、テーブルが激しく点滅を開始し、そしてすぐさま台座が光り輝いた。
 そして激しく点滅を開始する。
「‥‥‥‥よし!!」
 と九法が合図を送ると同時に、3人で一斉に剣を引き抜いた。

・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・

「‥‥よしよし。それでおしまいじゃな」 
 と告げつつ剣を受け取るジョーンズ博士。

──ビシッ・・・・
 
 と突然壁に亀裂が走り、あちこちから海水が流れ出してくる。
「‥‥す、すまん‥‥‥‥一ヶ所まちがえた?」
 と冷静に告げる春陽。

──ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォッ

 と壁が崩壊し、大量の海水が流れ込んできた‥‥。
「いそいで逃げろォォォォォォォォォォォォォ」
 と絶叫しつつ、今来た回廊を駆け昇っていく一行。
 そしてどうにか遺跡から脱出すると、すぐさま船に向かって戻っていった。


●そして
 修復の終った船はゆっくりとジルベリアへと戻っていく。
 島の調査を終え、件の島へと向かう事は断念しての帰国である。
 だが、それなりに収穫はあった。
 あとはこれらを解析して、件の島へと向かうだけである。

「‥‥なあラシュディアさん、あの入力ですが‥‥」
 と告げる春陽。
「ああ、なにかあったのか?」
「ええ‥‥実は‥‥」
 と春陽は自分が入力した配列を告げる。
「‥‥間違っていないなぁ‥‥俺のも間違っていなかった‥‥とすると?」
 ジョーンズ博士の解析ミス。
 ということは敢えて今は心の中に仕舞い込み、一行はジルベリアの大地を踏みしめた。

──Fin