【朋友】戦国もふら
マスター名:久条巧
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: やや易
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/12/03 22:35



■オープニング本文

──これまでのあらすじ
 それはとあるジルベリア辺境。
 とある村にある『タケダもふら牧場』での出来事。
 いつものように仕事を終えた牧場主の元に、1頭のもふらがやってきました。
「‥‥おやかたさま、たいへんでもふ!!」
 と、もふらが呟いた。
 その表情はまさに真剣そのもの、どうみてもそうでないのだがとりあえずはそう告げておこう。
「‥‥また何かあったのか‥‥それとおやかたさまはよせユキムー」
 ユキムーと呼ばれたもふらはそれでも頭を左右に振りつつ、話を始めていた。
「た、大変でもふよおやかたさま。この先の森に在る果実の樹が狙われているでもふ」
 ちなみにその果実の樹、牧場主にとってはどうでもいい代物。
 ただこの界隈のもふらたちにとっては、その果実はそれはそれは大層な代物らしいのです。
「で、誰に狙われているていうんだ?}
「あっちの『ウエスギもふら牧場』のもふらたちでもふ。あそこのもふらがうろうろしていたでもふ」
「あーそう。それはよかったなぁ‥‥」
「そ、それだけではないでもふ。さらに近所の『ダテもふら牧場』の独眼竜もふらもそれを狙って徘徊していた出もふよ‥‥」
 あ、独眼竜っていうのはトレードマークにアイパッチをしている変なもふらの事ね。
「ふぅん‥‥でどうするんだ?」
「戦争でもふ。あの果実の樹は僕達タケダもふら牧場のものでもふ。戦って勝ち取るでもふよ」
「あー、好きにしろすきに‥‥」
 ということで、3つの牧場のもふら達による、『果実の樹争奪戦』が始まるのであった‥‥。


■参加者一覧
紗耶香・ソーヴィニオン(ia0454
18歳・女・泰
酒々井 統真(ia0893
19歳・男・泰
巴 渓(ia1334
25歳・女・泰
アルネイス(ia6104
15歳・女・陰
からす(ia6525
13歳・女・弓
エルディン・バウアー(ib0066
28歳・男・魔
百々架(ib2570
17歳・女・志
長谷部 円秀 (ib4529
24歳・男・泰


■リプレイ本文

●戦やろうゼ☆
──ジルベリア辺境のどっかの森の近くの農場
「親方さまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 そう叫びながら農場事務所に飛込んできたのは、ここ『タケダもふら牧場』のもふらである『ユキムー』。
 そのうしろには、今回ユキムーに頼まれて助力しにやってきた紗耶香・ソーヴィニオン(ia0454)のもふらである『もふ龍』がついていた。
「親方さまーもふ」
「ん? 貴公は?」
 そう『もふ龍』に問い掛ける親方様‥‥もとい牧場主のタケダ。
「『もふ龍』でもふよ。果実の樹を護りにやってきたでもふよ」
 とにこやかに告げる。
「そうか。で、貴殿は何をしているのだ?」
 と側で旗に何かを描いている人妖に向かって問い掛けるタケダ。
 そこには、酒々井 統真(ia0893)の人妖である『雪白』が座っていた。
 からだあちこち墨まみれになりつつも、巨大な天儀風の旗に、これまた天儀の文字で『もふう林火山』と書込んでいた。
「‥‥で、意味は?」
「ええーっと、速きこともふらの如く、静かなる事林さんの如く。侵略すること火の如く、そして動けないこと山の如しですよー」
 にこやかに告げる『雪白』。
「そ、そうか‥‥」


●その頃の‥‥
──ウエスギ牧場陣営
 いや、陣営というほどではないのだが。
「進言します‥‥タケダ軍が開拓者の朋友を味方につけて、件の果樹の支配権を狙っています」
 牧場主であるウエスギの元でそう告げているのは、巴 渓(ia1334)の猫叉である『トリガー』。
「‥‥そうですか。で、貴方は何がしたいのですか?」
 と牧場主に告げられると、『トリガー』は少し頭を捻った。
「相手は開拓者の朋友、実戦で鍛えられた強力な助っ人らしいです。今のウエスギの勢力では、件の果実の樹を奪うことは不可能と判断すれば、ここはひとつダテ軍との共闘を提案します」
 ニィッと笑いつつそう告げると、『トリガー』はそのままウエスギの言葉をじっとまった。
「‥‥申し訳ないですが、今回の一件は私達もふらや人妖の戦い、一般の人間であるウエスギ様は関与していません」
 と告げたのは、ウエスギの懐刀‥‥ではなく、ウエスギ勢のネコマタである『春日』。
「ふぅん。まあいいけれど‥‥急がないとすべて手後れになりますか」
 と告げると、『トリガー』はスッと姿を消した。
「ウエスギ様‥‥こっちは何か策を考えているのでもふ?」
 と話し掛けているのは、つい先日、ウエスギに与した百々架(ib2570)の『もふ姫』。
「ええ、今回の一件、すべて春日に御任せします‥‥(だからわたしのことはそっとしておいてください)」
 と告げつつ、軽く頭を撫でられる『もふ姫』。
「私は争いは好ましいとは思っていませんから‥‥」
 と、その光景を影で見ていた『トリガー』は、一路反対の森にあるダテ牧場へと向かっていった。


●さらにそのころ
──果実の樹のあたり
「勝利は我が手にあり!! 敵の作戦はすべて筒抜け、いざ、我等が悲願。お館さまあああッ!! 果たして見せますぞおおおおッ!! ぉぉぉぉぉお館さまああッ!!! お や か た さ むぅああああああああああああッ!!!!!!」
 スーパーハイテンションに突入したユキムーがそう叫ぶ。
 その叫びと同時に、タケダ軍は一斉に前進を開始した!!
「この樹の実は他の牧場のもふらには一つもあげないでもふーーー」
──でーん
 そう叫びつつ、他の牧場のもふらに体当たりする『もふ龍』。
「その通りです。右翼ががら空きです!! もっと巧く展開してください」
 と『もふ林火山』の旗を背負った『雪白』が叫ぶ。
 情況はきわめてタケダ優勢。
 さらに援軍が姿を現わした!!
「ふふふ、牧場のもふら達。この戦にムロンが力を貸してやるのだ〜!」
 アルネイス(ia6104)のジライヤである『ムロン』が突如参戦、そのままウエスギ軍のもふらたちを一蹴する。
「こ、これは大変でもふ」
「怯むな、とつげきでもふーーーーーー」
 と威勢はいいものの、その戦力の圧倒さに徐々に逃げ腰になっていくウエスギ軍。
「ムロンは、誇り高きヤママエアオガエル一族のジライヤなのだ〜! この選ばれし白き肌と赤き瞳にかけて果実の樹には指一本触れさせないのだ!」
 蝦蟇見栄を発動させて威嚇を始める『ムロン』。
 その姿に、少しずつ戦線が後退を始めたウエスギであった。

──その近くの木の上
「ふぅーん。なんか愉しいねー」
 と楽しそうに戦場をスケッチしているのは報道朋友‥‥ちゃう、からす(ia6525)の人妖である『琴音』。
 遥か高みから戦場を眺めているので、何処が手薄か、隠れつつ進んでいるもふらの位置、はてははるか彼方から土煙を上げて突撃してくる新たなる一団など、大地に足を降ろしていては見えないものを通していた。

「あーゆーれでぃーがいずでふ!!」
「いぇあーーーーだふ」
「ぷっとやーがんずおんでふ!!」
「いえあーーーーーーーーだふ」
「げっといっとー 果実の樹来いただいちまおうかーーーーーでふ」
 そう叫びつつ姿を表わしたのは、ついに満を持しての登場である『ダテもふら牧場』の独眼竜もふら。
「新手のもふらでふ!! 騎馬隊は準備でもふ!!」
 と叫び声を上げているのは、タケダ牧場に付いたエルディン・バウアー(ib0066)のもふら『パウロ』。
 まずは一気に戦場を駆け抜けると、前方からやってくる独眼竜モフラにむかって叫ぶ。
「やーやー、僕こそは天儀神教会のもふらのパウロなり〜〜〜でふ。一緒に遊びたいでふ」
 その叫びに呼応するかのように、独眼竜もふらもまた叫び声を上げる。
「ダテもふら牧場筆頭独眼竜もふら、推して参るでもふ!」
「ならば‥‥騎馬隊用意っ!!」
 そのパウロの叫びと同時に、タケダ軍のモフラ達が次々と横一列にならぶ。
 その上に、ピョンッと別のもふらが馬乗りになると、そのまま独眼竜もふらに向かって走り出した!!
──ドドドドドドド‥‥コロン‥‥コロコロコロンッ
 やがてバランスを失ったもふら達がコロコロと騎馬の上から転がり落ちる。
「まだまだでふ。隊列もどせー。一気に片をつけるでもふー。イジワルしたら神様が許さないって神父さんも言ってたでふ〜」
 再び隊列を組むと、独眼竜もふらと一騎打ちの構えを取るパウロ。
「神様とは‥‥そんなものを信じているとは片腹痛いでもふ!!」
 ニィッと笑いつつそう叫ぶ独眼竜もふら。
「僕達は神様の一種であって、だから僕が許さないのであって‥‥。もふ〜、僕も君達も神様でふ?」
──どっかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん
 そのパウロの叫びの直後、独眼竜もふらが突進してパウロを騎馬ごとひっくり返した。
「神様じゃないでもふ。精霊でもふよ? あーゆーれでぃでふ?」
──ぴくぴく
 半ば意識を失いつつあるパウロ。
「ぱうろどの──。仇はとるでもふー」
 そう叫びつつ、独眼竜もふらに向かうのは長谷部 円秀 (ib4529)の『もっふる』。
 パウロと共にタケダ騎馬軍を築き上げた二大もふらの一体である。
「タケダもふら牧場一の武将、もっふるもふ〜」
「いえあーー。ダテ牧場筆頭、独眼竜もふら押して参るでふ!!」
──ドッコォォォォォォォォォォォォォォォォッ
 二体のもふらが正面から突撃。
 そのまま両者たがいに後方へと吹き飛んでいった!!
「やるでもふ。タケダ牧場一の武将だけのことはあるでもふ」
「独眼竜の噂は耳にしていたでもふ。けれど、これまででもふ!!」
 そう叫ぶ『もっふる』。
 と、ダテ牧場のモフラ達が全て、ウエスギのもふらに包囲されていた。
「こっ、これはどういうことでもふ!!」
「間計でふ。タケダのスパイを放っておいたでもふ。ダテと上杉が手を組むように画策させて、そこの美味しいところをタケダが貰うでもふ」
 と高らかに笑うユッキー。
「こうなったら‥‥せめて果実だけでもとるでもふ!!」
 そう叫ぶと、全てのもふらたちが一斉に果実の樹に向かって走り出した。
 もうどこの牧場かなんて一切関係無い。
 ただ自分だけでもおいしい果実を、牧場主さまにおいしい果実を届けたいという願いで全てのもふら達が走りはじめた。

──シャクシャク‥‥
 その果実の樹の上で、それらの行動をすべてスケッチしていた『琴音』。
 からす特製の御茶を飲みつつ、美味しく熟している果実を齧っていた。
──ビクッ!!
 と、突然『琴音』が樹から飛び降りた!!
「みんな離れて!! 悪意の塊がこっちに来るわ!!」
 そう叫ぶと同時に、巨大なアーマーが果実の樹に向かって突撃してきた!!
「あれは‥‥トクガワ牧場のタダカツアーマー。どうしてトクガワが!!」
 そう叫ぶユッキー。
 そして一同は見た。
 森の入り口に大挙してやってきたもふらの軍勢を。
「あの旗印は‥‥オダ牧場の旗印とトクガワ牧場の旗印‥‥こんな所までオダとトクガワが進軍してきたなんて‥‥」
 ガクガクと震える『雪白』。
「そんなのきにしないでもふ!!」
 『もふ龍』が果敢にもタダカツアーマーに向かって体当たりを敢行!!
──ぽよーーーーーーーん
 と、全身がもふもふしているもふらゆえ、ダメージはなくただ弾き飛ばされてしまっていた。
「みんなで団結するのでもふ、敵はトクガワ牧場とオダ牧場でもふよ!!」
 『もふ姫』もそう叫ぶ。
 その声に触発されて、次々ともふらたちが陣形を組みはじめた。
「うむ。ここは一時休戦として、力を会わせて敵を一掃しなくてはならないでもふ!! それが親方さまの悲願でもあるでもふっ!」
 ユッキーもそう告げると、やれやれという表情で独眼竜もふらも身構えた。
「‥‥どう見ても多勢に無勢。かてる見込みはまったくないけれど‥‥どう思います?」
 そう横に立つ『ムロン』に問い掛ける『雪白』。
「あの巨大なのはムロンに任せるのだ!! みんなは雑魚もふらを頼むのだ!!」
 ズシィィィィィィィィィンと四股を踏んで、ムロンが一直線にタダカツアーマーに走り寄る。

──ガシツ!!

 お互いに手をつかみ合い、力比べを始めるタダカツアーマーとムロン。
 お互いに一歩も動かず、ただひたすらに相手を倒そうと力をこめる。
 だが、それでも二人ともまったく微動だにしない。
「いまです。タダカツアーマーをむろんさんが押さえているうちに、敵をけちらすのです」
 木の上からそう鈴音が叫ぶ。
 その声に導かれて、もふら達は一斉に突進を開始。
 それにあわせてトクガワ・オダ連合軍もまた突進を開始。

──ポヨーーーンポヨーーーーン

 あちこちで一騎打ちが始まり、そして両者ともにポヨーンと吹っ飛んでいく。

●その頃の戦場
──ガシィッッッッッ
 タダカツアーマーとムロンの戦いのさ中、果実の樹の近くでは突然姿を現わした(空から振ってきた)オダ牧場のミッチーと『もっふる』の一騎打ちがはじまった。
「ここから先は一歩もゆずらないでもふ」
「ほっほっほっほっ。ここは譲っていただかないとこまりますでふ‥‥」
──ポヨーンポヨーン
 と両者一歩も譲らない激しい体当たり。
 ぽよーんと飛ばされては、再び大地を踏みしめてまた突進。
 そしてまたポヨーンと飛ばされては、またまた大地を踏みしめて再度突進‥‥。
 さらにまたまたポヨーンと飛ばされては‥‥。
 という事で、両者疲労困憊するまで激しい体当たりを繰り返していた。

──その頃
「‥‥この第三の陣営の出現は計算違いね‥‥」
 ともふらたちの戦いを遠くから眺めていた『トリガー』が呟く。
「ああ、いんじゃね? もふらタチの戦いなんて、俺には全く関係ないしね‥‥とっととずらかったほうがとばっちりをうけないですむわ」
 と巴 渓も横で呟くと、そのままその場を後にした。

──ブウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン

 と突然、ほら貝の音色が森林地帯に響き渡った。
「これは親方様の合図‥‥全員撤退だぁぁぁぁぁぁぁでふ」
 とユッキーが叫ぶと、タケダとウエスギのもふら達は森から離れていく。
 その光景を見て、ここは引き際とダテ牧場の独眼竜もふらもまた撤収。
 そして開拓者達の朋友たちも、一旦その場をあとにすることとなった。
「‥‥この戦いは引分けだ‥‥またいつか手合わせを‥‥」
 とタダカツアーマー(の中の人)が呟くと、ムロンはニィッと微笑って返事を返す。

 そして撤退するもふら達は、自分達の取り合っていた果実の樹がオダ・トクガワ軍に占拠されるのを悔しそうに見つめていた‥‥。


●そして後日談
 もふら達の主も無事に休暇を終えた。
 その間に起こったもふら達の戦国騒動など、彼等はまったく知るよしもない(フリをしていた)。
「さて、それじゃあ街に帰るとしましょう‥‥」
 紗耶香がにこやかに呟いて牧場を後にする。 と、一緒に休暇を取っていた仲間たちもその言葉に賛同し、牧場をあとにしはじめた。
「‥‥で、オマエは何を食べているんだ?」
 と酒々井が横を歩いている『雪白』に問い掛ける。
 良く見ると、『雪白』は件の『果実の樹の実』を美味しそうにほおばっていた。
「はぐはぐ‥‥えへへ‥‥」
 その横では、『もふ姫』や『もっふる』、『もふ龍』も楽しそうに果実の実を食べていた。
「タダカツアーマーさんがくれたのだ。あの戦いで頑張ったから敢闘賞だそうだ!!」
 とムロンが胸を張って呟く。
「で、『琴音』も貰ったの?」
「私は親方様から。レポートのお礼だそうです」
 とにっこり。
 木の上で見た一大絵巻きを、報告書代わりにタケダ牧場のお舘様に提出したそうだ。
 そしてそのお礼として倉庫に置いてあった木ノ実を貰ったらしい。
「だめでもふ。3つぐらいじ゜ゃたりないでもふよー」
 と『パウロ』が真っ先に食べおえて呟く。
「一人三つって決まっているでしょう。我慢しなさい」
 とエルディンに諭されてしょんぼりとしている『パウロ』。
「結果としては、みんな仲直りしたので良しという事でもふ」
 とにっこりと笑う『もふ姫』。
 はたしてそうなのかは判らないが、もふら達にとってはこれもただの遊びなのかも知れない‥‥。

──Fin