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■オープニング本文 ──現在の情況 先月。 件の海底神殿の調査の為にとある孤島へと向かっていったジョーンズ博士と開拓者一行。 その島の中央にある巨大な風穴、そしてそこから降りていった先にあった未知なる空間。 それらの発見を行ったのはよかったものの、それから一向に調査が進んでいない。 というのも、そのあたりの海流は季節によって急激に変化し、先月まではかなり危険な状態にあったらしい。 そのためか、いくら金を積まれても絶対に船は出したくないという船主ばかりだった為、潮流が落ち着くまで調査は中止となっていた。 そして先週。 「ふぉっふぉっふぉっふぉっ」 楽しそうに笑っているのはジョーンズ博士。 「随分と楽しそうだねぇ博士」 「おう。ようやく調査が開始されるのぢゃからのう。マダムの所の船もようやくあの島まで向かってくれることとなったし、めでたしめでたしぢゃよ」 とにこやかに船長のマダム・グレイスにつげるジョーンズ博士。 「まあ、それはおいといてと。前回みたいに近くまでは船を出しますから。そこからは小舟で島まで移ってくださいね。あとはそのまま沖合いで帰港予定日までは待機していますので」 と綿密に打ち合わせを始めるマダムとジョーンズ博士。 「今回の目的は、遺跡全体の調査。日数的にもちょっと無理があるかも知れぬが、それはそれこれはこれ。なんとかなるじゃろうて」 と笑いながらつげるジョーンズ博士。 果たしてどんな結末が待っているのでしょう‥‥。 |
■参加者一覧
焔 龍牙(ia0904)
25歳・男・サ
村雨 紫狼(ia9073)
27歳・男・サ
ラシュディア(ib0112)
23歳・男・騎
壬護 蒼樹(ib0423)
29歳・男・志
牧羊犬(ib3162)
21歳・女・シ
ジレディア(ib3828)
15歳・女・魔
ヴァルム・ゼルツァード(ib5431)
25歳・男・砲 |
■リプレイ本文 ●遥かなる悠久 ──ジルベリアとある地区・ジョーンズ研究所 ♪〜 赤い巨神を知っている? 海の向こうに小さな島。 霧に隠れた小さな島の、雲の下の小さな島。 王様と王妃様を護っている、忠実な赤い巨神。 蒼い巨神を知っている? 山の向こうの小さな島。 雲の上の小さな島の、雲の下の小さな城。 破壊と再生の門を潜って、蒼い巨神を探しにいこう。 ♪〜 そう歌を唄っているのはジョーンズ博士の助手であるキルミー女史。 「‥‥今回の調査は地下空洞と言ってましたから、それほど危険ではないでしょうけれど‥‥大丈夫でしょうか‥‥」 そう窓の外を眺めるキルミー女史。 その頃、ジョーンズ博士達はとんでもないことになっているようです。 ●またしてもとんでもないこと ──とある海域、とある商船の船倉 「ふぉっふぉっふぉっ。まさかこんなことになろうとはのう‥‥」 と呟きつつ、必死にバケツで水をかき出しているジョーンズ博士。 「いや、そんなに笑っている場合じゃないでしょー。兎に角船が沈まないように急がないと」 と焔 龍牙(ia0904)が叫ぶ。 ちなみになにがあったか説明しよう。 前回の二の鉄を踏まないように万全を持しての出港。 そして海賊共に狙われつつも目的の海域に突入した瞬間。 突然海中から巨大な触手がいくつも伸びてくると、船に絡み付いてしまったのである。 ここ最近になってこの海域に出没している『大型のアヤカシ』らしいと船長は告げるが、兎に角このままでは船が沈んでしまう。 それを打破するために乗っていた開拓者達は手に手に武器を持ち、必死にアヤカシの触手に向かって攻撃を開始。 そしてどうにか触手は叩き斬り、アヤカシはどこかに逃亡してしまった。 だが、触手の攻撃は凄まじかったらしく、船底などの幾つかの部分を破壊、怒涛の如く海水が内部に侵食しはじめていたのである。 「うわわわわ。そんな事いってないでとっととなんとかしてくれーー。俺はこんな所でジジーと心中する気はねえんだー」 と絶叫を上げつつ必死に浸水ヶ所の修復を行なっているのは村雨 紫狼(ia9073)。 今回の依頼を受けて、依頼人が糞爺という事を知り呆然としていた。 「とほほ。チェンジだチェンジ。巨乳で眼鏡の似合う知的美人考古学者にしてくれー」 と絶叫していたのはつい昨日の事であった。 「あーはいはい。そんなことはどうでもいいから、とっとと修繕しちまおうぜ‥‥」 と頭をポリポリと掻き書きつつ、ラシュディア(ib0112)が板切れを割れた傷の部分に打込んでいた。 「‥‥よし、こっちの修復は完了しました。あとは何処を直せば良いですか?」 と壬護 蒼樹(ib0423)が一同に問い掛ける。 「なら、蒼樹は船尾の方まわってくれ。舵輪を繋いでいるシャフトがどうもしっくり来ない」 「了解。なら、ここを誰か代わって」 と牧羊犬(ib3162)が告げ、村雨と蒼樹が急いで船尾の方へと向かっていった。 ──その頃の甲板 「あと少しで島だっていうのに‥‥」 水兵が口惜しそうにそう呟く。 目的の島まではあと数日程度。 なのにも関らず、こんな場所で立ち往生していた。 マストが破壊されてしまった為、急遽オールを準備。 ガレー船のようにオールで漕がなくてはならなくなっていた。 一旦何処かで停泊して船を修復しなくてはならないのだが、このあたりで船を収納できる場所は限られている。 件の島の北側の入江がそれにいいということで、応急処置が終り次第人力で漕いでいくこととなった。 「まさかこのわたしまで力仕事をすることになるとは‥‥」 と呟きつつもオールの準備をするジレディア(ib3828)。 「まあ仕方あるまい‥‥我も汝と同じ意見だが、力ある者ゆえ、仕方あるまい」 と告げるのはヴァルム・ゼルツァード(ib5431)。 「よーしっ。船底の修復は完了。あとは船を出すだけだな」 とラシュディアが戻りつつ呟く。 そして全員が甲板に移動すると、いよいよオールで船を移動させることとなった。 ●アヤカシの這いずる候 ──ジルベリア近海・とある海域の小さな島 どうにか無事に入江までたどりついた一行。 そのまま船は船員達に任せ。開拓者とジョーンズ博士は調査の為に件の縦穴へと向かっていった。 前回調査を終えた縦穴。 そこをゆっくりと降りていくと、いよいよ今回の目的地である。 「どこから調査を行うかのう」 と地図を広げるジョーンズ博士。 「俺はこっちの回廊を調べたい。丁度人が通れるぐらいの扉もあるしな」 と龍牙が告げる。 「ああ、それじゅあ俺も。松明は一杯持ってきている、だから光源については任せておけ」 と告げる村雨。 だが。 「‥‥こっちからくる‥‥」 と蒼樹が下り回廊の先を指差す。 そこの向うから、ズルッ‥‥ズルッ‥‥と何かが這いあがってくる気配を感じる。 数は10。 あきらかにアヤカシであろう。 「まずはコイツらを片付けないと‥‥」 と告げる蒼樹が走り出す。 その後ろにラシュディアも付いていくと、まずは先制攻撃を叩き込む。 「ジレティアと博士は後ろに!!」 と叫びつつ、ヴァルムは両手に構えた短銃を撃った!! ──バンバンッ すぐさま次の弾を込めはじめるヴァルム。 その間に龍牙と村雨が抜刀してアヤカシに向かって襲いかかった!! 前衛と後衛の巧みなチームワーク。 それにより地下から這いあがってきたアヤカシはほぼ殲滅する事ができた。 「ふぅ‥‥まだ下から出てくるのかよ?」 と呟くヴァルムだが、ラシュディアは頭を左右に振った。 「いや、下からはもう気配を感じない。が、また何時出てくるか判らない。とっとと調査を開始しよう」 と告げる。 その言葉に賛同し、まずは仮称第一回廊からの調査を開始した。 ●古き遺跡 ──第一回廊内部 そこには人が通れるサイズの扉があった。 それらを一つ一つ調べていくと、幾つか開きそうな扉をラシュディアが発見。 扉にはトラップなどの仕掛けもないらしく、全員でまずはそこから調査を開始しようということになった。 ──ギィィィィィィィィィィィィィィツ 錆付いた蝶番が鈍く甲高い音を出す。 内部はかなり放置してあったらしく、大量の埃が積もっていた。 「‥‥これはひどいですね‥‥」 と告げつつ、ランタン片手に室内を見渡すジレティア。 「さて、それじゃあ作業を開始するか‥‥皆に注意事項ぢゃ‥‥」 とジョーンズ博士が調査についての説明を行う。 それらを聞き取ると、いよいよ全員で調査開始となった。 まずは龍牙と蒼樹が交互に心眼を使用し、内部が安全かどうかを確認。 そして安全を確認できたら二人一組で内部に入っていく。 それを一つ一つ繰り返しつつ、可能な限りの調査を始めた。 「‥‥これといって真新しいものはないなぁ‥‥」 と呟きつつ、机の上の埃などを払う村雨。 「もっとちゃんと調べろ。仕事だろう」 と龍牙に突っ込まれる村雨だが。 「あーはいはい。俺としてはムチムチのおねーちゃんと一緒に調査したかったのですがねぇー」 「俺と一緒が不満なのか?」 「ムチムチじゃなくガチムチだろ!!」 とまあそんな会話をしつつも調査を続ける二人。 と、室内の奥で村雨が古びた剣を発見。 「‥‥研究室らしいところに一振りの剣。これって何かの鍵か?」 と龍牙に告げる。 「‥‥生命反応はないな‥‥」 心眼を使って確認した龍牙。 「そりゃそうだろうさ。この剣が生きている色っぽいおねーちゃんに変わるっていうのなら、俺は喜んでこの剣を貰っていくが」 「いや、柄に宝珠が填められているだろう。何かの鍵という所だな。とりあえず回収していくか‥‥」 ということで、この部屋では剣が回収されたもよう。 ──その頃・別の部屋 「‥‥生命反応はありませんね‥‥」 と後ろで待機している牧羊犬につげる蒼樹。 「そうか、では調査を開始しよう」 と告げると、ツカツカと室内に入っていく牧羊犬。 そのあられもない姿に蒼樹はドギマギしつつも、どうにか室内の調査を開始。 「‥‥白骨死体か3つ。一つは人間・男、一つは人間・女性‥‥もう一つが不明‥‥」 と牧羊犬が呟く。 「どこですか‥‥とっ、うわぁ‥‥」 白骨死体は床に倒れていた。 その胸のあたりにサビたナイフが転がっている所を見ると、どうやら刺し殺されたのだろうという感じがする。 「‥‥どうして?」 と牧羊犬が呟く。 「何がですか?」 と蒼樹が問い掛けると、牧羊犬は死体を指差した。 「どの死体も胸の辺りにナイフが転がっている。けれど、こっちの男女の死体のものは柄もどす黒く、刃の部分はかなり腐蝕している。けれど、こっちの不明の死体のとこに転がっているナイフはサビている様子がない‥‥」 と告げて、牧羊犬はナイフを手に取る。 そのまま埃を払うと、新品同様のナイフが姿を現わした。 「‥‥な?」 「つまり、そのナイフだけ誰かがここにきて落としていったって言うことでしょうか?」 「判らない。足跡らしいものはない。この死体と同年代に転がっていたというのなら合点はいくが‥‥」 とつげると、取り合えずナイフだけは回収していった。 ──さらに別の部屋 「‥‥」 室内は沈黙していた。 ラシュディアが内部の様子を確認した後、ジレティアがツカツカと室内にはいっていった。 その中で、古い羊皮紙や大量の石版などを確認すると、ジレティアは早速それらの解読を始めていた。 「ふぁぁぁぁぁぁ‥‥この部屋にはどうやらその石版と羊皮紙しかないようだけれど‥‥どうする?」 「‥‥つまり、ここのアーマーは古い遺跡群の一つであり、‥‥ここの近くの眠っている何かを護る為にここで作られていたということか? 駄目だ‥‥文字が古すぎてわからない‥‥別の文献は‥‥」 と次々と石碑をあさっているジレティアであった。 ──そして 「ふぉっふぉっふぉっ」 「‥‥で、一体ここはなんなんだ?」 必死に石版と羊皮紙を眺めるジョーンズ博士。 その近くでは、埃の中から巨大なチェストを発見したヴァルムが、鍵の解除を行なおうと調べていた。 「ここは資料庫ぢゃな。整然とされている棚、それらに納められているチェスト、すべてがここの『研究所』で行なわれていた何かであろう」 とつげる。 ──ザワッ 「研究所? ということは、ここであの巨大な何かも作っていたって言うことなのか?」 「可能性はある。がまだ証拠はない‥‥とりあえずここまでの調査を終えておけば、次の調査はかなり楽になろう‥‥さ、急いで石碑と羊皮紙をその空いている箱に詰めてくれ‥‥」 ということで、ヴァルムは次々と資料を箱に詰めると、それをもって外へと出ていった。 ●そして 船の修復も一応終え、一行は一旦本国へと戻ることにした。 持ち帰った資料はこれから博士が解読を行うらしい。 まだ判っていない部分がかなりあるものの、判ってきたことは幾つかある。 この遺跡が『さらに地下に在るなにか』を護る為に存在しているということ。 そしてそれらを護る為に、あの巨大なアーマーが在るということ。 ただ、それを誰が動かしているのか、それが全くの謎であった。 アーマーを操れる人間がいた形跡は、この遺跡にはまったくといっていいほどなかったのである‥‥。 ・今回、遺跡から回収したもの 一振りの古い剣(柄の部分に宝珠あり) 一本のナイフ(腐蝕したあとなし、新品の模様) 大量の石碑と羊皮紙 ──Fin |