【朋友】ちょっと遊びに
マスター名:久条巧
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 不明
参加人数: 6人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/11/02 23:28



■オープニング本文

──これまでのあらすじ
 それはとあるジルベリア辺境。
 とある開拓者ギルドの近所での出来事。
 いつものように依頼を終えた開拓者たちは酒場でゆっくりとした時間を過ごしている。
 その同時刻、彼等の『朋友』達は、裏の馬小屋でゆったりとした時間を過ごしていました。
「‥‥いつまでも、こんなことをしていてはだめでもふ!!」
 と、とある開拓者のもふらが呟いた。
 その表情はまさに真剣そのもの、どうみてもそうでないのだがとりあえずはそう告げておこう。
「‥‥また何かおもいついたでもふか?」
「そのとおりでもふ。ぼくたちはいつまでも開拓者さんについていてはいけないのでもふ」
「‥‥どういうことでもふか?」
「えーーーーっと。志士は幼い我が子をガケから突き落とすときいたでもふ」
「そ、それは恐いでもふ。で、それと僕達がどういうことでもふか?」
「つまり、志士は自分の子供をきたえるタメには、心を鬼にして付き合う事もあるということでもふ」
「で、それがどういうことでもふか?」
──バン
 と両手を叩くもふら。
「わかったでもふ!! ぼくたちもガケからおとされるまえになんとかするでもふか?」
「ちがうでもふ。僕達が彼等から離れる事で、彼等を窮地に陥れるでもふ。僕達は、こころを鬼にしなくてはいけないでもふ」
 と告げると、もふらは入り口から外を見た。
 そこには、とっても美味しそうな匂いのする御店や大勢の人で賑わっていた。
──ゴクッ‥‥
 そんな誘惑にも負けず、もふらは飛び出した。
「革命でもふ!! 僕達の戦いは今、はじまったばかりでもふ!!」
 どこの最終回フラグだよ‥‥。
 という突っ込みはおいといて、もふらたちは自分探しの旅に出ましたとさ。


■参加者一覧
梢・飛鈴(ia0034
21歳・女・泰
羅喉丸(ia0347
22歳・男・泰
葛切 カズラ(ia0725
26歳・女・陰
八十神 蔵人(ia1422
24歳・男・サ
御陰 桜(ib0271
19歳・女・シ
針野(ib3728
21歳・女・弓


■リプレイ本文

●明日に向かって
──ジルベリアのとある街
「‥‥一体ミンナでナニしているアルか?」
「さあ‥‥でも、楽しそうですが」
 酒場の入り口からそっと外を覗いている梢・飛鈴(ia0034)と葛切 カズラ(ia0725)の二人。
 その視線の先には、彼女達の朋友が楽しそうに歩いている。
「子供じゃあるまいし、はぐれて迷子になるということはないから、大丈夫じゃな。これはわらわの方で有効活用しておいてやろう」
 とにこやかに呟いているのは羅喉丸(ia0347)の人妖である蓮華。
 その近くを一緒に歩いているのは飛鈴とカズラの二人の人妖達。
「で、どこにいくの? 鮨たべにいくの?」
 と呟いているのは飛鈴の人妖である狐鈴。
「ちっちっちっ。それも愉しいけれど、もっと良い所があるかもしれないよっ!!」
 と右手人差し指を振りつつつぶやくのはカズラの人妖の初雪。
「まあそれも大切ですが。みなさんどうですか? ここは1度、我々の存在意義、どれだけ私達があの人たちにとって重要な位置にいるのかを、教えるべきであると思います!!」
 と告げるのは、八十神 蔵人(ia1422)の人妖である雪華。
 ちなみに雪華、ここに至るまで部屋の掃除やらなんやらかんやら色々とやっていたらしい。
 で、それに耐えきれずに飛び出してきたらしいがそれについては内緒ということで。
(なんか色々と大変そうだな‥‥)
 と心配そうに一行を見つめているのは、御陰 桜(ib0271)の忍犬、桃。
 つい皆と一緒に飛び出してきたものの、何をしていいのか判らず、とりあえず皆についてまわることにしたらしい。
「で、一体どうするんだい?」
 と針野(ib3728)の人妖である矢薙丸が一行に問い掛ける。
「さて、どうしようかのう‥‥と?」
 ふと一行がきがつくと、一緒に飛び出していた筈のもふらの姿が見えなくなっていた。
「‥‥いませんね。どこにいったかわからないね」
 と初雪が周囲を見渡しつつ呟く。
「それよりも皆で鮨くいにいこうぜ!! 金ならある!! パーッといこうぜ!!」
 と叫ぶ狐鈴。
(え。あの、こっちからもふらたちの匂いしますけれど‥‥)
 と桃が一行の方を見る。
「クーンクーン」
「あ、どうやら桃もお腹が減っているんだね? 大丈夫。わらわたちに任せておけ」
 と蓮華が告げつつ桃の背中をなでる。
(そうじゃないよー。もふらたちはこっちにいったんだよー)
 と呟くと、そのままもふらたちの匂いのする方角に走り出す!!
「ま、まってくれ桃、勝手に走り出したら駄目だよっ!!」
 と矢薙丸も走り出す。
 その後ろを一行はあわてて追いかけていった。


●トラブルチェイサー
──ジルベリアのとあるまちとあるばしょ
 桃は走った。
 なんとなく゜いやな予感がする。
 その思いだけで、ただひたすらにもふらたちの匂いを追いかけていった。
 その後ろを雪華達一行は追いかけていく。
 自分達の主人の滞在している宿からかなり離れているようにも感じる。
 そして周囲の風景が突然ガラッと変化した。
 それまでは殺風景な下町だった道が、突然オレンジ色の装飾品のかざられた空間になっていた。
 通りには数多くの露店が並んでいる。
 道のあちこちでは大道芸人が楽しそうに催し物をしていた。
「さあ、それではみんなでご一緒に!! らんらんフベシッ!!」
 と、激しい突っ込みを受ている導化師の姿もあった。
「さてと、腹が減ってはいくさはできぬと。まずは腹ごしらえだぞ!!」
 ということで、一行は露店の一角にある『天儀名物立食い寿司・まっは軒』という店に到着。
「寿司だー。御寿司だおっすしっだおすしだぁぁぁ」
 と瞳孔全開で叫ぶ狐鈴。
「まあ、たまにはいいであろう。と、主人、すまぬがこれを2人前、折り詰めにしていただけぬか? 主人の酒の肴にちょうどいいとおもってのう」
 と告げる蓮華。
「へいまいど。折り詰め2人前はいりやしたあ。あと欲しいものはいくらでもいってくださいなっ!!」
 威勢のいい板前さんに乗せられて、一行は次々と注文を開始する。
 その側では‥‥。
(おさかな美味しい‥‥はぐはぐ)
 とテーブルの下で食事をしている桃のすがたもあった。
「おっちゃん、ジルベリア名物『雪崩巻き』二つちょーだい!!」
 と初雪が叫ぶと、対抗するかのように雪華も呟く。
「主人、この街の名物巻きはなんですか?」
「まあご覧の通り、今、この街は収穫祭ですからねぇ。名物『かぼちゃの甘煮巻き』なんていかがですか?」
「ではそれを一つお願いします」
「そんなあまあまなものはオイラにはにあわーぜ。おっちゃん、天儀最強の『なみだ巻き』一つ頼む!!」
「へいおまち」
 と次々と出てくる大量の寿司。
 それらを楽しそうに食べつつ、世間話を始める一行。
「で、その、矢薙丸さん、なみだ巻きって一体なんですか?」
 と雪華が問い掛ける。
「まあ一つ食べれば判るよー。でも、雪華じゃお子様だから無理かもねー」
「そ、そんなことありません!!」
──パクッ
 となみだ巻きを一貫口の中に放り込む。
 そして。
‥‥・・・・・・・・
‥‥‥‥‥
‥‥‥‥
‥‥‥
‥‥

「み、お水をください!!」
 と口を押さえて叫ぶ雪華。
「きゃはははは。だからいったろう?」
 と楽しそうに叫ぶ矢薙丸。
「そんなことしゃダメですヨー。みんなで楽しく食べようよ」
 と初雪が矢薙丸に説教モード。
「そうだよ。おすしは楽しくたべないといけませんわ。狐鈴さんをごらんなさい」
 と蓮華が一行に呟く。
 その狐鈴はというと、静かに、そして一つ一つの寿司を口に放り込んでは、無常の喜びに酔いしれていた。
「一つ口に放り込むと。まず最初に豊潤な海苔の香りが口の中に広がります。そしてサクッと噛み締めたときのシャリのほどよい弾力。そしてその隙間から溢れるこれまた豊潤な山葵の香り。シャリの酢とあまさのほどよいハーモニーが、醤油という布団によって優しく包まれていくさまは、まさに天儀の寿司といってもよいほどです。さらにこの上にのっているネタがさらに舌の上でこの上もなくとけていって‥‥とっても美味しいです!!」
 でたな狐鈴の怪しい解説。


●さらに祭りは続く
──収穫祭会場にて
 一通りの食事を終えて満足した一行。
 そして桃はようやく行方不明のもふら達のことを思い出し、皆に向かって叫ぶ。
(もふらたちをさがさないと)
 と人吠えしてから再び走り出す桃。
「あっ、桃、一体どこに行くんだよっ!!」
 と桃の後ろを慌てて追いかける一行。
 そして走る桃を追いかけつつも、一行は途中の露店で色々なものを買い食いしていた。
 焼き栗、飴細工、蒸し芋、チョコレート菓子、御土産用のめずらしい地酒などなど。
 それらを大量に袋に詰めこみ、そして桃のあとを追いかける。
 そして町外れに来たとき、桃の脚がふと止まった。
──ウズウズウズウズ
 広い空き地。
 その風景を見て、ふと桃は走り出した。
(た、たのしい‥‥とっても愉しい‥‥)
  ただひたすら走りまわる桃。
 その姿を見つつ、一行は買って来た御菓子を広げてプチパーティーに突入。
「桃が楽しそうだし、しばらくここで休みましょう」
 と雪華が告げた後、一行はここで疲れを癒す事になった。

──そして
 疲れた桃。
 そのまま一行の元に向かうと、桃もまた御菓子を食べはじめた。
(疲れた身体には、あまいものがいいってご主人が教えてくれたよなぁ‥‥)
──ハグハグハグハグ
 と食べはじめる桃。
「あ、そういえば、あのもふら達は一体どこに向かったんだ?」
 と矢薙丸がふと思い出したかのように告げる。
──ガーーーーーーーーーーーーーン
 その一言を聞いて、桃は口に咥えていた栗をポロッと落とす。
(そ、そうだ‥‥わたしはもふら達を探していたんだ‥‥)
 とようやく自分の任務? を思い出した桃。
「桃、もふら達を探せますか?」
 と蓮華が問い掛ける。
(だから、さっきからずっともふらさん達を追いかけていたんですってば!!)
──ワン
 と叫ぶ桃。
「では、もふらさん達をさがしに出発しましょう!!」
 という狐鈴の言葉に、一同は移動を開始した。



●そして‥‥
──実は、色々と走りまわっていますがまだ酒場の近所です
 もふらを探して東方西走、あちこちの人に聞き込みを開始し、様々な情報を集めていた一行。
 そして一旦情報交換を行う為に、一同は酒場へと集まってきた。
──バサッ
 一枚の地図を広げる蓮華。
 それはこの近くの近所の地図。
 そこに一つ一つ印を付けていく一行。
「酒屋さんに来たけど、何も買っていかなかったそうです」
 雪華がそう告げつつ、自分の聞き込みしたルートをチェックする。
「おすし屋さんの近くにはいたみたいだね。あとで主人がお金持ってくるっていって、押し寿司を食べていったらしいよ」
 とその店で買って来た押し寿司を食べつつチェックする狐鈴。
「ボクの聞いてきた限りでは、街道に向かって歩いていくもふら達を見たって言うひとがいたけど」
 初雪も細かい所にチェックを入れる。
「おいらの聞いた情報では、『独立するにはまず開拓者ギルドに登録するでもふよ』とかいって、ギルドの方に向かっていったらしいけど」
 と矢薙丸もチェックを入れる。
「すまぬ。妾のほうは情報が無いのじゃ。つまりこの界隈ではもふらは見掛けられておらぬ」
 とさらに細かいチェックを入れる蓮華。

──zzzzzzzzz

 テーブルの下で眠っている桃。
「では、もふら追撃作戦を続行する。桃、いくぞよ」
 と蓮華が桃を起こす。
(えええ? またどっかにいくの? しかたないですね)
 とスッと立上がってヒョコヒョコ皆についていく桃。
 そして、なぜか最終目的地である、伝説の傭兵とその配下達の潜む謎の廃墟へと向かうのであった‥‥。


●廃墟での事件
──同じ街の一角、ならずものというかそんなかんじの人たちのすまうおうち‥‥に見えるらしい屋敷
──パーーーーーーーーーン
 と激しく扉を蹴り開ける矢薙丸。
 その後ろからは雪華や蓮華、初雪、狐鈴、そして桃が付いてきている。
「この屋敷にもふらたちが攫われたってきいた!! おとなしく返してくれればオイラ達はなにもしないけど。もし帰さないというのであれば、実力で取り返す!!」
 と威勢よく啖呵を斬る矢薙丸。
──シーーーーン
 と、ふと見ると、この廃墟自体、もう数年以上も放置され、人気がまったくない状態になっていた‥‥そう見えたらしい。
「ふむ。どうやら誰もいないようじゃな。どうする? 内部調査でも行うか?」
 と蓮華が告げると、雪華はスッと前に出た。
「さて、そんな悠長な事をいっている場合ではないですね。お客様ですよわ」
 と『ロックブレイク』を抜刀する雪華。
「ほんとうだ。どうします?」
 と告げつつも、初雪もまた獣爪『氷裂』を装備する。
──カツーンカツーンカツーンカツーン
 と奥の方から足音が響いてくる。
 そして廊下の向うの扉に手をかけると、何者かがギィィィィッと扉を開いた。
「散開っ!!」
 矢薙丸がそう叫ぶと同時に、全員が戦闘態勢に入る。
 そして扉から出てきた人物に向かって叫ぶ狐鈴。
「貴様は一体なにものだ?」
「‥‥というか、お前たちこそ、人の資料庫で何をしているのじゃ? ここはわしウェンリー・Y・ジョーンズの研究資料庫で、次の冒険に必要な文献を探していたのじゃが?」
「そんな言葉には騙されません!! もふらたちを返してください」
 と蓮華が叫ぶ。
「もふら‥‥おお、あのもふらたちが、あいつらなら、儂の研究室で御茶を飲んでいるが。よかったらおまえたちも飲んでいくか?」
「え? いいの?」
 とあっさり御茶で懐柔される初雪。
「おお、皆も来なさい。冒険ごっこも構わないが、たまにはゆっくりとのう‥‥」
 と言うことで、一行は冒険ごっこから解放されて、愉しいティーパーティーに突入した。
 研究室では、一行と一緒に旅立ったはずのもふらたちがたむろしている。
 各々御茶を飲んだり、助手であるキルミー女史の作ったお菓子を食べたりしている。
 そこで一行は、ジョーンズ博士から色々な冒険譚を聞かされた。
 巨大なアヤカシとの戦い、海の向こうに沈む財宝をつんだ沈没船、はるか彼方の神殿に眠る伝説の聖剣など。
 いつまでも瞳を輝かせつつ耳を傾けていた。


●そしてどうなったの?
──酒場
 昼間フルパワーで遊んでいた人妖たち。
 夜になってからは直に眠りに付いてしまっている。
 一体どんな遊びをしていたのだろうと、主人達は笑いつつそんな話で盛り上がっている。
 最初に飛び出したもふらたちもまた、自分達の主の元でもふもふとしている。
 愉しい休暇はもうすぐおしまい。
 また、冒険の旅が始まる。
 それまでのあいだ、もう少しだけ。

 おやすみなさい。