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■オープニング本文 ──事件の冒頭 さて。 今年ものこるはあと2回。 10月と11月の2回の擂台賽を終えれば、いよいよ年末の決勝擂台賽が始まります。 そして舞人施行令の年末個人戦『大バトルロイヤル』も今月から開始。 いよいよもりあがってきた凰凱擂台賽。 一体どんなことがおこるのでしょうか‥‥。 ──その頃 いつもの紅道場。 紅老師の前には、先月から住み込んでいる4匹のもふらが座っていた。 「‥‥僕達の出番は‥‥擂台賽はまだでもふか?」 「きっと凰凱国最強のもふらになってみせるでもふ」 「だから、もっと酔拳をおしえてホシイでもふよ?」 そう告げると、もふらたちはジーッと紅老師の顔を見ていた。 「ふむ。まあ今の所、来月か今月末には大会が開かれる。それまでもっと腕をあげることぢゃな‥‥」 ということで、異種格闘技? の話を詰めはじめた紅老師と運営委員会。 その結果、今月か来月には『第一回朋友擂台賽』が開始されるとかされないとか‥‥。 はてさて。 |
■参加者一覧
秋霜夜(ia0979)
14歳・女・泰
ルオウ(ia2445)
14歳・男・サ
斉藤晃(ia3071)
40歳・男・サ
赤マント(ia3521)
14歳・女・泰
劫光(ia9510)
22歳・男・陰
日御碕・神楽(ia9518)
21歳・女・泰
蓮 神音(ib2662)
14歳・女・泰
朱鳳院 龍影(ib3148)
25歳・女・弓 |
■リプレイ本文 ●それぞれの日常 ──紅道場にて 道場の庭に作られた壁。 そこに向かって必死にデコピンをしているのは秋霜夜(ia0979)。 「まだまだだわん‥‥」 という言葉が霜夜の脳裏をかけぬける。 「ぐしっ‥‥まだまだなのは判って居るです‥‥タイミングです。あたる寸前の気の爆発です‥‥」 そう呟いて意識を指先に集中すると、さらにうちこみをつづける。 「お?」 と、少しだけ感じた手応え。 「そうだ‥‥その調子だわん」 というわんドシ君の言葉が脳裏に浮ぶ。 「こ、このちょうしで‥‥」 と再び特訓を続ける霜夜。 はたして大会までに奥義を修得することができるのであろうか‥‥。 ──さらに 「では、風龍八十八聖は今だ健在、先日の暗殺舞台はすべて自害したということか?」 と問い掛けているのは斉藤晃(ia3071)。 紅老師に先日のことの事の顛末から風龍八十八聖のそれから動きなどがどうかを尋ねていたところであった。 「うむ。尻尾きりという奴ぢゃな‥‥で、本題ぢゃが、奴等はどうも、最近は『遺跡の調査』を行なっているらしいのぢゃ‥‥」 「ふむ成る程。一体何を探しているというんだ? 「それは判らぬが‥‥予測できるものは幾つかある。しかし、随分と熱心に話をきくのぢやな」 「まあ今後も関わる可能性高いからね。前戦の情報収集をしておくに濾したことはないやろうと思ってな」 と告げると、斉藤と紅老師は焼き栗ほ口の中に放り込み一息。 「で、その予測できるものとは?」 「まあ、具体的にはどうともいえぬ。が、簡単に言うと『とある奥義の秘伝目録』というところぢゃな」 「はぁ‥‥随分とまた具体的な」 「この泰国を護る四方の守護坤、それらに関係するものではないかとワシは読んでおる」 とかなんとか。 ●ということで始まりますよっ!! ──泰国・凰凱10月定例擂台賽 「それではっ。定例大会を開始するんだワンッ!!」 武道大会会場で、司会進行でもある昨年度『大覇王』のわんドシ君が大声で叫ぶ。 その言葉に会場に集まった観客が盛り上がる、まさに会場は興奮の坩堝となってしまった。 やがて個人戦と団体戦それぞれの対戦表が張り出されると、いよいよ試合が開始された。 そして対戦相手は今回初参戦の『月影道場』。 桃華では弱小道場と呼ばれていたほど小さい道場、今回は遠征による参戦だそうだ。 一体どんな戦いになることやら‥‥ ──先鋒 ×石動 神音 vs 鈴村式鬼 静かに擂台にあがる二人。 石動 神音(ib2662)にとっては、これが擂台賽初参戦。 「よろしくお願いします」 はきはきと元気よく挨拶をする神音に対して、丁寧に抱拳礼を取る式鬼。 「こちらこそよろしくおねがいします」 そう挨拶を終えると、いよいよ二人は開始線の前迄移動。 「それでは始めッ!!」 そう叫ぶ審判の声と同時に、神音は一瞬意識を失いそうになっていた。 式鬼が一瞬で間合をつめ、神音に向かって素早く連撃を叩き込んだのである。 全くりの無防備状態でそれらを受けた神音は、ほんの一瞬だけ意識を失っていた。 が、直に回復すると、素早く護りの構えをとった。 「は、早いです‥‥」 「まだまだ。この程度ではやいなんていっちゃあ、この先の試合じゃすぐに負けてしまうよ?」 ニィッと笑いつつそう告げる式鬼。 「‥‥そうですね」 と告げると、今度は神音がじっと相手の出方を伺った。 相手の動線を見切り、動きの起点を観察する。 それに半拍送らせる形でのカウンターを仕掛けようと動く神音。 「来る!!」 ──バシバジバジバジバジバジバジッ 次々と刃かけられてくる蹴りや拳戟にたいして、神音はそれら全てを迎撃する。 殴ってくる腕には拳を、蹴り脚には蹴りを叩き込んでいく神音。 と、その動きから逃れる為に、一瞬だけ式鬼が後ろに下がる。 (今です!!) と素早く旋風脚で間合をつめにいく神音だが。 ──ドゴッ その瞬間に全身に激痛が走る。 一体なにが起こったカ、神音にも気付かなかったのであろう。 完全なるカウンターを仕掛けていた神音だったが、見えない攻撃をうけてはどうすることもできない。 「い‥‥今のは一体‥‥」 「無影脚。酔拳を習っているものなら耳にしたことはあるはずだ‥‥酔八仙拳の奥義の一つでもある‥‥」 その言葉のなかで、神音は意識を失いはじめた。 ──ガシッ と、そのまま倒れそうな神音を抱き上げる式鬼。 (え? うそ? 一体どうなっているの?) と動揺する神音。 「審判、この子はもう戦闘不能だ。判定を」 その言葉に審判は肯くと、静かに式鬼の勝利を宣言した。 「君はまだまた強くなれるだから、また此処で会える火を楽しみにしているよ」 と告げると、神音を霜夜に預けて立ちさって行った。 「うわーーーー。かっこいーーー」 と告げる霜夜の言葉は、はたして神音の耳に届いているのであろうか。 ──次峰 △ 秋霜夜 vs 仁美・ブリュンスタッド 神音を医務班に預けた秋霜夜(ia0979)が。ゆっくりと擂台の上に登る。 「神音ちゃん、仇はうつからね」 と呟くと、霜夜は静かに対戦相手をじっと見る。 そこには金髪長髪の女性が静かに立っている。 「ハジメマシテ。ヨロシクオネガイシマス」 とジルベリア訛りのある声で挨拶するブリュンスタッド。 「こちらこそよろしくお願いします」 と告げると、二人同時に構えを見せる。 「それでは始めッ!!」 審判の掛け声と同時に、まずは霜夜がしかける。 「それっ!!」 気功掌で次々と連撃を叩き込んでいく霜夜に対して、その下腕部を受け流す形を取るブリュンスタッド。 「‥‥いい動きですね。では‥‥」 と告げると、ブリュンスタッドの一撃が霜夜の胸部に叩き込まれた。 ──ゴツッ!! だが、その一撃は弾かれた。 「か、硬い‥‥まさか」 「そう。これがわんドシ師匠直伝の剛体法だワン!!」 と叫ぶ霜夜。 おお、ついに修得したのか!! 「そんなもの!!」 素早く連撃を霜夜に向かって叩き込むブリュンスタッド。 ──ドゴゴゴゴゴゴゴコゴッ 全弾命中。で、しこも全弾身体にめり込んだ!! 「ぐはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ。痛いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ」 あ、今度は失敗なのね。 「し、師匠、連続発動は学んでいませんよっ!!」 と叫びつつ立上がる霜夜。 「そんな。私の連撃を受てまだ平気だなんて」 「ううう‥‥痛いけど。わんドシ師匠の拳の方がもっと痛いよっ!!」 と叫ぶ霜夜。 「それならっ!!」 と両者激しいラッシュの応酬。 そのままお互いに改心の一撃を叩き込む機会がないままに、両者ノックダウンというかたちとなった。 ──副将 ○日御碕・神楽 vs 遠野静 一敗一分とあとがない状態の紅道場。 ここで副将、日御碕・神楽(ia9518)の登場である。 「よろしくお願いします」 「こちらこそ‥‥」 そう挨拶を行うと、そのまま間合を離して構える遠野。 「それでは始めッ!!」 の掛け声と同時に、遠野の両手から突き゜次と炎が吹出す!! 「術師なのっ!」 と素早く躱わそうとするが、魔術の炎は躱わす事はできない。 術師の意識と精神力により、かならず命中する。 「熱いっ!!」 「そりゃあそうでしょう‥‥炎ですから」 と告げつつも、魔術の発動を続ける遠野。 その一瞬の隙をついて間合をつめていくと、今度は神楽の反撃が始まった。 ──ダン!! 激しく震脚を床に叩き込む。 その一撃で床の石畳に亀裂がはしり砕ける。 そしてそのまま剛体法で硬化した右正拳突きを叩き込む!! ──ドッゴォォォォォォォォォォォォォォォォォッ その一撃を受けた遠野の身体が、拳を中心に回転し後方に吹き飛んだ。 「え? え? ナニこの力‥‥」 自分の打ちこんだ一撃の威力が、予想外に高かった。 それがどうしてか全く判らないままに、神楽は勝ち名乗りを上げていた‥‥。 ──大将 × ルオウ vs シエル いよいよ決勝。ルオウ(ia2445)の対戦相手はシエルという女性剣士。 両手に3本ずつバヨネットを構えているその女性は、ルオウを見るとフッと笑った。 「な、なんだこのやろう!! 鼻で笑いやがったな!!」 と叫ぶルオウに対して、シエルは一言。 「だって‥‥貴方弱いから‥‥」 ──プッツーーーーーーーーーーーーーン その一言でルオウのやる気ゲージがマックス状態に。 「それでは始めっ!!」 と審判が合図を行うと、ルオウは速攻で仕掛けていった。 ──シュシュシュシュシュンッ 得意の三段突きを繰り出しつつ、、必殺の『タイ捨剣』を仕掛けていくルオウ。 だが、それらの全てを躱わしていくと、シエルは右手に構えたバヨネットをルオウに向かって投げ付けた!! ──シュシュッ それらをギリギリで躱わしていくルオウ。と、そのまま一気にルオウの間合を飛込んでいくと、シエルが左手のバヨネットで殴りかかっていく!! ──ドゴゴゴゴゴコッ それらの全てを受けてもなお、ルオウの仁美から闘志は消えない。 「随分と撃たれ強いのですね」 「まあな。こちとらただの撃たれ強さじゃねーんだ。わんドシにーちゃんの『剛体法』って奴を学んでいるからなっ!!」 とすかさずカウンターで仕掛けていくルオウ。 ──ザシュッ!! その一撃を見切るシエルだが、衣服の胸許が切り裂かれてしまった。 「なっ‥‥」 「ほらほら、止まっているとやばいぜ」 とシエルの周囲を動き回り翻弄するルオウ。 そのまま胸許の破れた布ををなんとか結び直すと、シエルは顔を真っ赤にしてルオウに襲いかかっていく。 「貴様だけは許さない!!」 そのまま予備のバヨネットを取出して右手に握ると、ルオウに対して仕掛けていく。 その攻撃をルオウは次々と躱わし、剛体法で受止めるがそれにも限度があった。 慣れない状態での剛体法の連発。 これには練力がいくつあっても足りない。 やがてルオウの動きが弱まってきた所にシエルが止めの一撃を叩き込んで勝負は決した。 「‥‥それにしても‥‥いい戦いだったぜ‥‥」 そう告げるルオウに対して、シエルは一言。 「公衆の面前であのような狼藉‥‥せ、責任はとって貰うからなっ!!」 と顔中を真っ赤にして立ちさって行った。 この団体戦、結果としては一勝二敗一分という形で幕を閉じた。 ●そしてバトルロワイヤル いつもの個人戦ではなく、もう一つの会場に集められた一行。 ここではバトルロイヤルがまもなく始まる。 ルールはいたって簡単、最後までこの擂台に立っていればOK。 参加者もおのおの得物を手に、またあるものは大量の符を構えているもの、すでに詠唱の準備に入ったものなど、いつでも戦う気満々であった。 「それでは擂台賽大バトルロイヤル、始めぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ」 ──グワァァァァァァァァァァァァァァァン 盛大に銅鑼が鳴り響くと同時に、一斉に戦いが始まった。 「ハァァァッ!!」 素早く隼襲を叩き込み相手を叩き伏せているのは朱鳳院 龍影(ib3148)。 常に一対一の戦いを仕掛けるように間合をとっている。 「全く‥‥どうして男達は私の胸を狙ってくるのじゃ?」 と呟く龍影。 「男だからねぇ‥‥」 とその言葉に相槌を打ちつつ、目の前の敵達に向かって『伍龍』を叩き込む赤マント(ia3521)。 ここまでの乱戦において、彼女の機動力は充分といってよいほど活用されている。 わずかの隙をすり抜け、相手の虚を突く一撃を放つ。 それでも数が減ってくると、残っている相手はそこそこに手練れ。 肆龍では対応仕切れなくなってくる。 「ハアハアハアハア‥‥まだ半分ぐらいは残っているねぇ」 「その通りだワン」 と赤マントの後で構えているわんドシ君。 ちなみにこの二人と龍影の3名で同盟を君で戦っている。 お互いに‥‥弱点を補いつつ敵の数を減らしていこうという作戦らしい。 その近くでは、ゴキゴキと肩を鳴らしつつ赤マント達に近づいてくる斉藤晃(ia3071)の姿もあった。 「むう。どうも数が多すぎて適わぬ」 と槍を片手に近づいていく斉藤。 すでに30は一人で倒している。流石は傭兵という所である。 「まあ、少し身体を休めた方がいい。あっちのほうが激戦区だから、少し数が減ってから仕掛けた方がいいな‥‥」 と赤マントが告げている先では、劫光(ia9510)が必死に戦っていた‥‥。 「はあはあはあはあ‥‥こ、この技は対人戦でも多数には使えないか‥‥」 と斬撃符を仕舞い込み、雷閃の準備に切替える。 「本番で使えるかどうかわかんねえけど‥‥」 と告げると、素早く印を組み韻を紡ぐ。 小さな雷獣の式を生み出すと、それを右腕に纏わせる。 ──シュンッ!! やがてそれは斬撃符の時と同様に籠手に変化する。 ──バリバリバリバリッ と籠手が帯電を始めると、劫光はそのまま拳を大地に叩き込んだ!! ──バリィィィィィィィィィィィィィィィィィッ とその拳を中心に大放電を起こす『雷撃の籠手』。 当然ながら劫光もその雷撃に巻き込まれた!! 「こ、これは‥‥使えるが改良が必要だ‥‥な」 ──バタッ 劫光はここでリタイア。 ただし、かなりの数の敵を道連れにした。 そしてその光景を見ていた赤マントたちも再び戦いを開始。 残っている猛者達に向かって一斉に襲いかかっていった。 ──そして 全ての戦いは終った。 最後まで立っていたのは二人。 一人は斉藤晃、そしてもう一人は6月大会個人戦優勝の『小龍王・白影』。 そのまま激しく戦いつづけていた二人であったが、先に力尽きていったのは斉藤であった。 ダーンと擂台に大の字で倒れると、斉藤は豪快に笑った。 「ここまでか‥‥愉しい戦いであったわ」 「ええ。愉しい戦いでしたわ。最後まで多々かつて暮れた事に感謝しますわ」 と斉藤に向かって抱拳礼を取る白影。 「ウム。実に楽しかった。また死合うことがあったらその時こそ」 「ええ。それでは‥‥」 と動けない斉藤に頭を下げると、白影が勝ち名乗りを上げていった。 ●全てが終った。 団体戦では今回はそこそこまでは戦っていった。それでも他の道場もまた地力を漬けはじめているだけに、油断はできないという所であろう。 そして個人戦のバトルロイヤル。 赤マントや龍影、劫光はかなり後半まで残っていたものの、スタミナ切れや練力切れなどで苦汁を呑む形となった。 斉藤は決勝までは残っていたがおなじく肉体の限界。 ちなみに今回優勝した道場は『月影道場』であった。 そして個人戦優勝は『小龍王・白影』のV2で幕を閉じた。 |