【泰国】9月定例擂台賽
マスター名:久条巧
シナリオ形態: ショート
危険
難易度: 不明
参加人数: 12人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/10/09 17:15



■オープニング本文

──事件の冒頭
 さて。
 暗殺未遂事件の起こった凰凱擂台賽。
 その失点を補う為に、警備情況や要人警護などの打ち合わせが念入りに行なわれていた。
 特に、関係者との打ち合わせの中で、『らいたいさいで賭けをやってみたい』というものがあったらしい。
 胴元や掛け金の分配など、細かな取り決めはこれから行なわれるらしいが、まずはその下準備として、常に大会に参加できる上位16道場の選別を行なわなければならなくなっていた。
 そして今回の大会で、上位16道場にはその権利もあたえられるとううこともあり、今回の大会はにわかに活気付いていた。

──その頃
 いつもの紅道場。
 紅老師の前には、どこからきたのか判らないが、4匹のもふらが座っていた。
「‥‥僕達も、擂台賽に参加したいでもふ」
「きっと泰国最強のもふらになってみせるでもふ」
「だから、酔拳をおしえてホシイでもふよ?」
 そう告げると、もふらたちはジーッと紅老師の顔を見ていた。
「ふむ。まあそれは構わないのぢゃが‥‥お主達の参加できる枠はないぞ?」
「そ、そこをなんとかしてほしいもふ!!」
 哀しそうにそう告げるもふら。
「うーーーーむ。運営委員会に進言はできるが‥‥。あまり期待しないでまっておれ‥‥」
 ということで、異種格闘技? の話を詰めはじめた紅老師と運営委員会。
 その結果、近日中に『第一回朋友擂台賽』が開始されるとかされないとか‥‥。




■参加者一覧
雪ノ下・悪食丸(ia0074
16歳・男・サ
恵皇(ia0150
25歳・男・泰
三笠 三四郎(ia0163
20歳・男・サ
朧楼月 天忌(ia0291
23歳・男・サ
アルカ・セイル(ia0903
18歳・女・サ
秋霜夜(ia0979
14歳・女・泰
斉藤晃(ia3071
40歳・男・サ
赤マント(ia3521
14歳・女・泰
真珠朗(ia3553
27歳・男・泰
劫光(ia9510
22歳・男・陰
日御碕・神楽(ia9518
21歳・女・泰
朱鳳院 龍影(ib3148
25歳・女・弓


■リプレイ本文

●それぞれの日常
──紅道場にて
 道場の庭に作られた壁。
 そこに向かって必死にデコピンをしているのは秋霜夜(ia0979)。
「まだまだだわん‥‥」
 という言葉が霜夜の脳裏をかけぬける。
「ぐしっ‥‥まだまだなのは判って居るです‥‥タイミングです。あたる寸前の気の爆発です‥‥」
 そう呟いて意識を指先に集中すると、さらにうちこみをつづける。
「お?」
 と、少しだけ感じた手応え。
「そうだ‥‥その調子だわん」
 というわんドシ君の言葉が脳裏に浮ぶ。
「こ、このちょうしで‥‥」
 と再び特訓を続ける霜夜。
 はたして大会までに奥義を修得することができるのであろうか‥‥。

──さらに
「では、風龍八十八聖は今だ健在、先日の暗殺舞台はすべて自害したということか?」
 と問い掛けているのは斉藤晃(ia3071)。
 紅老師に先日のことの事の顛末から風龍八十八聖のそれから動きなどがどうかを尋ねていたところであった。
「うむ。尻尾きりという奴ぢゃな‥‥で、本題ぢゃが、奴等はどうも、最近は『遺跡の調査』を行なっているらしいのぢゃ‥‥」
「ふむ成る程。一体何を探しているというんだ?
「それは判らぬが‥‥予測できるものは幾つかある。しかし、随分と熱心に話をきくのぢやな」
「まあ今後も関わる可能性高いからね。前戦の情報収集をしておくに濾したことはないやろうと思ってな」
 と告げると、斉藤と紅老師は焼き栗ほ口の中に放り込み一息。
「で、その予測できるものとは?」
「まあ、具体的にはどうともいえぬ。が、簡単に言うと『とある奥義の秘伝目録』というところぢゃな」
「はぁ‥‥随分とまた具体的な」
「この泰国を護る四方の守護坤、それらに関係するものではないかとワシは読んでおる」
 とかなんとか。


●ということで始まりますよっ!!
──泰国・凰凱9月定例擂台賽
「それではっ。定例大会を開始するんだワンッ!!」
 武道大会会場で、司会進行でもある昨年度『大覇王』のわんドシ君が大声で叫ぶ。
 その言葉に会場に集まった観客が盛り上がる、まさに会場は興奮の坩堝となってしまった。
 やがて個人戦と団体戦それぞれの対戦表が張り出されると、いよいよ試合が開始された。
 天覧試合での優勝が功を成したのか、今月の紅道場はシード枠からのスタートとなった。
 そして対戦相手は『東方幻想師団』と呼ばれる傭兵集団。
 今回初参加のチームである。
 その正体を始め、全てが謎に包まれている。

──先鋒 ○アルカ vsティルノ
「それでは先鋒の方から擂台(対戦舞台)の上へどうぞ!!」
 そう告げられて、まずはアルカ・セイル(ia0903)が擂台の上に。
 目の前に立っているのは、東方幻想師団の一番手であるティルノという名の少女。。
「それでは始めっ!!」
 審判の合図で同時に構えを取る二人。
「さて、おぢさんの相手は誰かな?」
 と呟くアルカ。
 その正面では、木製の棍を構えるティルノが立っている。
「よろしくお願いします」
 そう告げると同時に、素早く間合を詰めていくティルノ。
 そして円を描くような激しい連撃を次々と繰り出していくものの、その全てがアルカによって止められてしまう。
「いい動きだな。けど‥‥あたしには届かない」
 と表情を変えずに告げると、ティルノの一瞬の隙を付いて反撃を開始。
「あたしの流派『無知負武道』は無敵なり‥‥」
 そう事故暗示を掛けると同時ニ、ティルノに矢継ぎ早に連撃を叩き込む。
 それを必死に受ているティルノだが、そのガードの上からも次々と打撃を叩き込んでいく。
 そしてしまいにはカードを破壊し、そのまま全身に次々と連打を叩き込んでいった。
 その素早いこうげきに、ティルノはついにギブアップ宣言‥‥。
「ちっ‥‥もっと強くなってから掛かってきな」
 そう告げつつも、ダウンしているティルノに手を差し出すところはいい武術家であろう。

──次峰 ×龍影 vsアリサ
「それでは次峰戦‥‥始めっ!!」
──ドォォォォォォォォォォォォォン
 景気良く銅鑼が鳴る。 飛龍昇 
 と、飛龍昇を静かに構えた朱鳳院 龍影(ib3148)がゆっくりと相手を見下ろす。
 その正面では、龍影とし対象的なほど『哀しい胸』をしているアリサが立っていた。
「さあ、いつてもかかってくるのじゃ」
 と告げる龍影に対して、アリサは間合を取る。
 そして素早く印を組み韻を紡ぐと。次々と魔法弾を飛ばしていく。
「ち、ちょっとっまった!! 魔導師とは聞いていないぞ」
「そうですかぁ? その程度のこと気にしないでください!!」
 と告げて、アリサは再び魔法の連射を開始。
 その継ぎ目の時に間合を詰めてアリサを攻撃する龍影だが、どうにもこうにも相手が悪すぎる。
(ずいぶんの機動力のある魔導師じゃな‥‥)
 と考えたすえ、いつまでたってもらちがあかなくなりついに龍影はラストスパート開始。
 そのタイミングで、アリサも大型の魔法を発動。
「これでおしまいじゃ!!」
「それはこっちの台詞ですっ!!」
──ドッゴォォォォォォォォォォォォォォッ
 と擂台の上で大爆発が起こると、黙々と黒煙が広がっていく。
 やがてそれがはれたとき、その場に立っていたのはアリサであった‥‥。

──副将△朧楼月vsレミリア
 続いて副将は朧楼月 天忌(ia0291
「さて、ここまでの戦いはすべて見切らせてもらった‥‥悪いがぶっ潰す」
 そう告げると、朧楼月は目の前に立っているレミリアと呼ばれている女性の前で構えを取る。
「‥‥下らない‥‥こんな戦いで」
 と朧楼月を見下すレミリア。
──ジャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン
 と銅鑼が鳴り響いたと同時に、二人は一斉に乱打戦を開始した。
──トドドドドドドドドドドトドッ
 素早く連撃を叩き込む朧楼月と、それに会わせて鉄扇で受け流しはじめるレミリア。
「ちっ‥‥爺のおかげでその動きは見えているものの、隙がまったくない‥‥」
「ふん。そんな付け焼き刃の戦いで、この擂台に出ること事態が間違っているわ」
──ドッゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォン
 とレミリアの激しく思い一撃が朧楼月の鳩尾に叩き込まれる。
「これでおしまい‥‥ってそんな!!」
 本来ならば擂台の上に沈んでいる筈の朧楼月。
 だが、その一撃に耐えぬいた朧楼月がオーバーアクションで拳を構えていた。
「悪いな。骨を断たせて心臓を止めさせてもらう!」
 そう告げると、レミリアの胸部に向かって力一杯拳を叩き込む。
──ゴキゴキッ!!
 それは確実にレミリアの心臓に向かって叩き込まれた。
 肋骨の砕ける音と同時に、レミリアは後方に吹き飛ぶ。
 そして朧楼月もまた、口から血を吐き出しつつその場に崩れ落ちていった‥‥。

 そのまま二人とも動かなくなり、結果はドロー。
 勝負の行方は大将戦へと持ち越されていった‥‥。


──大将×恵皇vsレイム
「それでは決勝を開始する!!」
 審判がそう告げると、恵皇(ia0150)とレイムと呼ばれた巫女姿の女性が擂台の上に立つ。
 そして静かに抱拳礼を行うと、ゆっくりと構えを取った。
「それでは始めッ!!」


 その掛け声と同時に、恵皇はまず先制で殴りかかる。
──スッ
 だが、その一撃をギリギリの所で交わすと、レイムもまた恵皇に向かって殴りかかっていった。
「甘いっ!!」
 そう告げつつ、そのレイムのこうげきにカウンターを仕掛ける恵皇。
 その一撃がクリーンヒットしたとき、素早く恵皇はレイムを床に叩きつけると、馬乗りの状態になる。
 そこから次々と乱打を仕掛けていくものの、系もにはダメージが一つも入っていない‥‥。


 会場はザワザワとし始めていた。
 開始の掛け声と同時に、恵皇がピクリとも動かなくなっていたのである。
「ち、ちっょとっまた、あれって‥‥」
 その戦いを観戦していた斉藤が叫ぶ。
「判りますかぁ? 彼は私の術に落ちています。今頃彼は、自分の生み出した幻想の中で必死にわたしと戦っています‥‥まあそのうち疲れはててしまいますけれどね‥‥」
 そうレイムが告げてしばらくして、恵皇が擂台に崩れ落ちる。
「‥‥い、一体どうなっているんだ‥‥」
 ようやく正気を取り戻した恵皇。
「もう動けなさそうですね。貴方は私の術に落ちていたのですよ。架空のわたしとの戦い、ご苦労様でした‥‥」
「そ、そんなバカナ‥‥」
 と告げて、恵皇もまた意識を失っていった。
 そして紅道場の団体戦は幕を閉じてしまった‥‥。


●個人戦の光と影
 一方、もう一つの舞台では個人戦が始まっていた。
 参加者が増えつつある凰凱擂台賽、個人戦で優勝する為には、最低でも9回戦勝ち抜けなくてはならない。
 紅道場の登録選手は三笠 三四郎(ia0163)と赤マント(ia3521)、そして真珠朗(ia3553)の3名。
 真蔭流の登録選手は雪ノ下・悪食丸(ia0074)と劫光(ia9510)の2名ずエントリー。
 それぞれが様々な組に分かれ、対戦表に名を連ねていくのであったが。
 ここではやはり大番狂わせが発生していた。
 それではその大番狂わせをダイジェストでお伝えしましょう。

――準々決勝・わんドシ君vs真珠朗
 ここまで快進撃を続けてきた真珠朗。
 本来ならば団体戦に登録しようとしていた真珠朗だが、なにかの手違いで個人戦になってしまった模様。
「‥‥わんドシ君、御手柔らかに」
「判ったワン」
 と挨拶をする二人。
 そしてそのまま試合は開始される。
 序盤、真珠朗は下手に動かず様子を見ていた。
 それに対してわんドシ君は激しい乱打を繰り広げていく。
「‥‥タイミングがつかめないですねぇ‥‥」
 と呟くと、わんドシ君の一瞬の隙をついて近接距離まで踏込んだ真珠朗。
 だが。
──ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ
 その隙がフェイント。
 わんドシ君の利き腕にたいして膝に上から被せるように蹴りを叩きこもうとしたのだが、その動きをカウンターするわんドシ君。
「酔拳はもともとフェイントの塊だワン」
 と告げると同時に、真珠朗の足を素早く払う。
──ドゴッ
 一瞬だけ大地に崩れた真珠朗だが、そこから体勢を整える。
 が、すでに刻遅し。
 真珠朗が体勢をととのえる前に、わんドシ君の乱舞が炸裂して試合は終了した。


――準々決勝・三笠 三四郎vs赤マント
 こちらはうってかわって激しい戦い。
 同門対決となったこの試合、一体どうなるか見当も付かない。
「くっ‥‥見えない‥‥」
 いつも通りに木刀のグレートソードを構える三笠。
 だが、赤マントの動きに翻弄され、間合とタイミングがまったく掴めていない。
「ふぅ‥‥まさか『漆龍』まで遣わされるとはねぇ‥‥」
 と告げつつ、フェイントと神速の帯さばきで三笠の攻撃をことごとく躱わしていく赤マント。
 だが、そんな動きに終止符を打つべく、三笠が『天地陰陽戦陣・序』を駆使。
「赤マントさん、残念ですか、貴方の動きは‥‥って?」
 相手の動きを見きる技。天地陰陽戦陣を発動しているにもかかわらず、赤マントの動きが見えない。
 いや、正確には戦陣の反応よりも赤マントが素早く反応しているだけ。
「‥‥もうこれ以上はもたないね‥‥」
 と呟くと、赤マントは素早く渾身の一撃を売ってでる。
 それにたいして三笠もまた、もてる力の全てをぶつけていった。
──ドッゴォォォッ
 達人同士の死合い。
 そこに生在るものはただ一人‥‥。
 だが、この戦いに置いては二人ともその場に立っている。
 お互いの一撃を受けつつ、カウンターで致命傷を叩き込む二人。
 結果、両者ダウン、勝者なしという形で幕を閉じた。
 大会運営委員会が、二人の命の危険を察知しての対処であろう‥‥。
 それほどまでに、ふたりの力は均衡しはじめていた。

――準々決勝・劫光vs雪ノ下
 こちらも運命の同門対決。
 それほどまでに真蔭流と紅道場の実力が上がってきているのであろう。
 もっとも、ここに至るまでに二人の身体はもうボロボロ、疲労と怪我で立っていられるのがやっとであろう。
 それでもひとたび擂台に足を踏込むと、二人はすぐさま戦闘モードに切り替わっていた。
「‥‥くっ‥‥」
 戦いはかなり激しいものであった。
 至近距離に飛込んでくる雪ノ下に対して、劫光は『斬撃符』と『呪縛符』を発動、その日攻撃をどうにか躱わしていった。
 そしてカウンターで劫光が殴りかかるも、それを雪ノ下は難無く交わす。
「‥‥陰陽師が近接ですか‥‥」
 そう告げつつもどうにか劫光に一撃を叩き込む雪ノ下。
 その攻撃を受けつつも、劫光みまた一旦間合を離し、構え直す。
「ちっ‥‥仕方ねぇ‥‥ここまでうまく発動しなかったが、ぶっつけ本番だ‥‥」
 と告げると、斬撃符を籠手に張付ける。
 そして意識を集中すると、静かに印を組み韻を紡ぐ。
「これが俺の!『北斗星君・天津甕星』!っ」
 己の腕に張付けた斬撃符。
 それを媒体として呪符を発動、そこから意識と根性のみでコントロールを開始。
 腕の周囲にまとわりついていたカマイタチが輝き、やがて右腕を覆う手甲の形になった。
 それで素早く殴りに入るが、そこにカウンターで一撃を入れてくる雪ノ下。
──ドッゴォォォツ
 相打ち。
 致命傷を受けたのは劫光だが、雪ノ下もまた全身を切り刻まれて大量出血。
 今大会二つめの両者ノックアウトで幕を閉じた。


●ペア枠
 そしていよいよフィナーレ。
 擂台でもっとも華やかな大会、ペア戦。
 ここまで順当に勝ち残ってきたチーム紅道場が準決勝まで進出。

――神楽&霜夜戦
 日御碕・神楽(ia9518)と霜夜の試合は準決勝。
 そしてまたしても対戦相手は双子の少女拳士『鈴々』と『蘭々』。
 ペア枠を勝ちぬいてきた場合、かならず達はばかる双子拳士である。
 そしていよいよ試合開始。
「破ッ!!」
 震脚から生み出す剛体法。
 わんドシ君との特訓のせいかが見えはじめている神楽と、やはり同じく剛体法で攻撃に転じる霜夜。
 双子の攻撃は神楽が剛体法で受止め、そこにできる隙に霜夜が一撃を叩き込むという戦術‥‥であった。
「だ、ダメです!! 巧く発動しません!!」
 だが、神楽の剛体法は少しのタイミングではつどうしたりしなかったり。
 そして霜夜の技に至っては、発動したのはたった2回、それも不意打ちにはならなかったため躱わされてしまった。
 そして双子はまずオフェンスである霜夜に集中攻撃をかましてノックアウト、そして止めに神楽を潰し、鈴々&蘭々の勝利となってしまった。

●そして
 全てが終った。
 団体戦では今回は惨敗、そして個人戦ではそれぞれが上位まで食い込んだものの残念ながら優勝は逃してしまった。
 パーティー戦もそれは同じで、目の前の壁をどうにか越えない事には勝利の美酒は味わえない‥‥。
 次回の団体戦ではシード権も使用しつしてしまい一回戦からの戦いとなる。
 ちなみに今回優勝した道場は『冲林寺道場』のV2。
 そして個人戦優勝は『美鈴』と名乗るアルアル女性拳士であった。

――Fin