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■オープニング本文 ──事件の冒頭 「‥‥遺跡探索用人足兼護衛の方ですかぁ」 開拓者ギルドカウンターでは、一人のギルド員が依頼主に向かってそう呟いていた。 依頼人はジルベリア考古学者のウェンリー・Y・ジョーンズの助手であるキルミーと言う女性。 そこそこに美女の考古学者助手で、最近になって古い遺跡を発見したジョーンズ博士がまたしても暴走したので、その救助をして欲しいらしい。 実際、このキルミー女史も教授と共に遺跡に入ったらしい。 先日開拓者によって作られた地図を便りに、さらに地下階層へと向かっていった一行。 そして第二階層へとたどりついたとき、ジョーンズ博士の姿が壁の向うへと消えていったらしい。 そのまま救出の為の調査を続けていたのだが、どうにもこうにも作業は難航。 様々なトラップや見た事もないアヤカシ、はては盗掘師の集団の出現。 そしてまたしても遺跡の守護者らしきアヤカシが徘徊していたりと、兎に角、危険な情況であったらしい。 「ということです。なんとか教授を探し出し、無事に救出していただきたいのです‥‥」 そう女史が告げつつ依頼書を提出する。 「ええっと‥‥その遺跡って、先日のやつですよね?」 その言葉にドキッとしながらも、女史はできるだけ表情を変えないように務めていた。 「はい。ご想像の通り、遥か古の超古代文明の手掛りを探しに向かっています‥‥」 そう告げると、キルミー女史は依頼金の詰まった袋をカウンターに預けていった。 「遺跡調査ねぇ‥‥まあまた集まるとは思うけれどねぇ‥‥」 ギルド員はそう呟きながら、掲示板に依頼書を張付けた。 |
■参加者一覧
鶴嘴・毬(ia0680)
24歳・女・泰
ルオウ(ia2445)
14歳・男・サ
バロン(ia6062)
45歳・男・弓
劫光(ia9510)
22歳・男・陰
壬護 蒼樹(ib0423)
29歳・男・志
ルーディ・ガーランド(ib0966)
20歳・男・魔
羊飼い(ib1762)
13歳・女・陰
将門(ib1770)
25歳・男・サ |
■リプレイ本文 ●帰ってきたくそじじい ──とある遺跡・第二階層 先日訪れたこの遺跡。 現在、ジョーンズ博士が行方不明になってから数日が経過している。 助手であるキルミー女史と一行は、ジョーンズ博士の残した書物を手に、ここの階層まではなんとかたどりついたようだが。 「ふふーーーん。ここから先はどうしますか?」 と告げるのは鶴嘴・毬(ia0680)。 泰拳士として護衛に付いている彼女だが、現在眼の前に広がっている光景にはそう呟かざるを得なかった。 第一階層から階段をおりてやってきた第二階層。 そこは真っ暗な空間が広がっていた。 松明の明かりでは全くといってよいほど明るくならず、松明の周囲をボウッと光の球が輝いているというかんじになっていた。 「ふむ。これも魔法の力ということか‥‥実に興味深いぜ」 と周囲を見渡しつつ告げているのは劫光(ia9510)。 陰陽師である彼にとっても、この空間の不可思議さは解析不能であろう。 「これは参ったぜ‥‥」 とルオウ(ia2445)が告げつつ、松明で周囲を見渡す。 だが、全く先が見えない。 「こうなると‥‥これしかないか?」 ──ゴツゴツ と手にした物見槍で床を軽く叩くルオウ。 「かなり硬い石か‥‥動きそうにはない。そして音もあんまり響かないとなると、これは完全に感覚系トラップって奴だよな?」 と周囲に確認を取るルオウ。 「そのようじゃな‥‥どれ、アヤカシの存在はと‥‥」 と告げつつ手にした弓で『鏡弦』を発動するバロン(ia6062) ──ビィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン と小気味よい音が周囲に響く。 「ふむ。この周辺にはアヤカシの存在はないと‥‥」 と一行に告げる。 「で、ここから先の道はどうなっているんだ?」 とルーディ・ガーランド(ib0966)がキルミー女史に問い掛ける。 「地図が全くないので、どういけばよいのか見当も付きません‥‥」 と告げつつ、パラパラとジョーンズ博士の残した書物を確認する。 「‥‥」 「第二階層のこの様子だと、ここはトラップなどによって侵入者を防ぐ仕掛けになっているようだな」 「この暗黒空間がその一つ目だろうということか?」 劫光とルーディがそう告げる。 「‥‥この下から音がするが‥‥」 と周囲を警戒していた壬護 蒼樹(ib0423)がそう呟く。 「そのようだが‥‥かなり遠いな」 と将門(ib1770)も相槌を打つ。 「いずれにしても、先に進まないとダメですよね?」 と告げる羊飼い(ib1762)の提案で、とりあえず階段から出た方角に向かって真っ直ぐに進むことにした。 先頭に立つのはルオウ。 そのまま物見槍で足もとを突きつつ確認すると、そのまま一定の距離を進む。 そののち、後で待機していた劫光と蒼樹、ルーディの3名がマップを作成。 そしてそれらを照らし合わせつつ先に進むという行為を繰り返していた。 ──そして2時間 一行はただひたすらに真っ直ぐ進んでいた。 依然として闇は広がっている。 「ふぅ、一体どれだけすすんだらいいんだろうねぇ」 と物見槍で床を突きつつ告げるルオウ。 ──カチッ と、ルオウの手に何か感触がある。 それはまさしくトラップかギミックのスイッチ。 床の石材の一部がさがったのである。 「‥‥全員で周囲を見渡して‥‥」 と毬が叫ぶ。 と、一行は周囲を見渡したものの、依然として漆黒の闇が広がっているだけである。 「何も起こらないが‥‥」 と安堵の言葉を告げる将門。 「そのようだな‥‥取り越し苦労だったか」 とバロンも手にした弓を鳴らしつつ告げる。 依然としてアヤカシの反応はない。 「それじゃあ進もうか‥‥」 とルオウが告げて一歩すすんだ時。 ──ヒュヒュヒュンッ と四方八方から弩が飛来してくる。 「固まっていたら危険だ!! 散開しろっ!!」 と劫光が叫ぶ。 その刹那、一斉に四方へと飛んでいく一行。 次々と飛んでくる弓矢を躱わしつつ、周囲を確認している一行だが。 ──カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチッ!! 次々とトラップが作動していく!! 「ちょ!! ちょっとっ待ってっ!! それ無しということでぇぇぇぇぇぇぇぇ」 と絶叫する羊飼い。 その声はどんどんと真下へと消えていった。 「ちょ!! こっちも巻き添えかよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」 「そんなのありかよっ!!」 とルーディ、将門の二人も一緒にダストシュートで下の階層へとダイビング!! ──その頃 「ふう。どうやら弩は止まったようだが‥‥ここは何処だ?」 と告げるのは劫光。 「完全に皆と逸れてしまってしまいましたねぇ‥‥」 そう告げつつ周囲を確認しているのは毬。 「仕掛けは止まったようだが‥‥さて、ここに居るのはわしと劫光、毬、あとは?」 とバロンが点呼を取る。 「僕もいますね」 と蒼樹が告げる。 「ふむ。4名か‥‥キルミー女史も見当たらないとなると、ここから先はどうすればいいか‥‥」 「まず逸れた仲間を探すのが懸命でしょう?」 と毬が告げる。 「キルミー女史の持っていた本があれば。何かヒントになると思ったんだが‥‥」 とゆっくりと近づいてくるルオウが告げる。 「その本どころか、キルミー女史がいない。まあ、先に進むしかないようだが‥‥」 と劫光が告げると、一行は肯く。 「とりあえずさっきの場所まで戻るか。幸い、誰か彼かが床に印をつけていたから、それを探して皆が逸れた場所へ戻ってみるとしよう」 ということで、一行はそのポイントへと戻っていくことにした。 ●ここまでダイビング さて。 一体どれぐらいの高さを落ちてきたのだろう。 下には地底湖が広がっていたらしく、ルーディと将門、羊飼いの3名は鮮やかなダイビングでなんとかその場を斬りぬけると、浅瀬まで移動していった。 そこはかなり広い空洞らしい。 湖畔には小屋のようなものがあちこちに立っており、人の気配もする。 光は全くないものの、小屋の近くの彼方此方には明かり取りのためらしい松明が燃えている。 「人の気配ですよね?」 と羊飼いが問い掛ける。 「ああ。だが、あまりよい人たちではないようだが‥‥」 とルーディが告げる。 「羊飼いは後ろに下がって、ここからは俺達の仕事だ」 と将門が舞うに一歩出て武器を構える。 と、松明の方からも大勢の人々が姿を現わした。 「来客とは珍しいなぁ。お前達ナニモノダぁ?」 「お前たちとは失礼ですね。私達にもちょんと羊飼いという名前があります!!」 と力説する羊飼い。 「ああ、済まなかったな‥‥。俺達はこの遺跡で盗掘を営んでいるものだが‥‥」 ととんでもない事をバクロする男。 「盗掘師ですか‥‥ならこちらとしても都合がいいですわ」 ニィッと笑いつつ呟く羊飼い。 「実は、私達、ジョーンズ博士がこの迷宮で迷っていると聞いて救出にやってきました。誰か博士を見掛けませんでしたか?」 と問い掛ける羊飼い。 「いや、見掛けていないが‥‥いや_ あの墳墓の所にいたのが博士か‥‥」 「見掛けたのですか? 博士は今何処に?」 と問い掛けるルーディー。 「ここからもう一つ下の階層だが。そこの横にある縦穴から出入りできるが‥‥行くのか?」 と問い掛ける男。 「‥‥一つ聞いていいか? お前たち盗掘師だろ? 俺達を見てなにも考えないのか?」 と問い掛ける将門。 「ああ、別に俺達の邪魔をするわけじゃないんだろう? そうだったらここで殺しておくが、それ所じゃないみたいだしなぁ」 「い、意外と話が判るようで‥‥」 と動揺する羊飼い。 「よく勘違いされているが、盗掘師は人殺し集団じゃないぜ‥‥まだみない宝を探し出し、発掘するという浪漫を追い求めているんだ!!」 としたり顔で告げるリーダー格の男。 「あー、はいはい。で、ものは相談なんですけれど、もしよかったら私達に雇われてみませんか?」 と話を持ち出す羊飼い。 「はぁ?」 「はぁぁ?」 「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?」 以上、リーダーとその仲間たちとルーディ&将門でした。 「盗掘師ということは、入り口からここまでルルートマップ及びある程度の探索は調査が終っているんじゃないかしら? どう? 報酬ははずみますよ? うちの博士太っ腹ですから」 と告げる羊飼い。 「まあいいだろう。で、その話は乗る。探さないとならない博士というのは一体どういう奴なんだ?」 と言うことで、話し合いは無事に終了。 ──一方、もう一つのルートでは 「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」 そこは細い回廊。暗闇のルートを真っ直ぐ進んでいたルオウ達は、ついに壁まで到達した。 そしてそこにある石の扉を開いて内部に入った。 そこはしばらくの間、直線の回廊であった。 そしてその先には、石造りの下り螺旋階段があった。 そこから下の回廊へと迎えると信じていた一行は、そのまま螺旋階段をゆっくりと降りていった。 ──カチッ と、今度は劫光が何かを踏んだ。 「お、おいおい‥‥冗談は止めてくれよ‥‥」 と告げるルオウ。 「今のは一体なんのスイッチですか?」 と毬も周囲を警戒する。 ──ゴゴゴゴゴッ‥‥ゴゴゴッ‥‥ゴゴゴゴゴッ‥‥ 階段の上から何かが転がってくる音が聞こえてきた。 そしてそれは一行に向かって襲いかかってきた。 巨大な鉄球が螺旋階段を弾みつつ転がってきたのである。 その直径は回廊の幅よりも少し狭い程度、どう見ても逃げ道はなし‥‥。 「全員走れぇぇぇぇぇぇぇぇ」 とパロンが叫ぶと、一行は一斉に走り出した。 今は鉄球に追い付かれないように必死に。 「と、止められるか‥‥」 と蒼樹が呟く。 「駄目だっ、万が一止められなかったら、蒼樹が確実に死ぬ‥‥。今は下まで走りぬける事だけを考えた方がいい‥‥」 と告げる毬。 そんなこんなで、ここの回廊チームはただひたすらに全力疾走であった。 ──カチカチカチカチカチカチカチカチッ そして次々とトラップが起動していく。 途中の壁からは槍が飛び出し、さらに鉄球の上からは水が流れてくる音まで聞こえてくる。 「ちょっとまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。みんなトラップ起動しすぎ!!」 「そんな事を言っても、逃げるのが精一杯で止められる筈がなかろう!!」 とバロンが叫ぶ。 そして一行は、ただひたすらゴールの見えない全力疾走を続けていった。 ──そして 1時間後。 一行は螺旋階段最下層へとたどりつく。 そこにはまだ見知らぬ、見た事のない光景が広がっている。 地下に存在した墳墓。 そこの手前で何やらベースキャンプを建てているジョーンズ博士。 その向こうでは、すでに先回りして博士を見つけたのであろう羊飼い達が待機していた。 「ふう‥‥こ、これでなんとか博士を回収か‥‥」 と告げるルオウ。 「ほほう。話は聞かせて貰ったぞ。今回は皆に迷惑を掛けてしまって申し訳ないのう‥‥」 と頭を下げるジョーンズ博士。 「まあ、いいってことよ。 無事だったのが何よりだ」 と告げる将門。 「で、あとは地上へと戻るだけだが。博士、その道は判るか?」 「いやいや、道案内はこの盗掘師が案内してくれるそうぢゃ‥‥」 「なら、もう少し色々と調べて行きますか‥‥」 と告げるルーディーであった。 ●後日談 無事に地下墳墓までの調査終えた一行‥‥もとい、博士の回収を終えた一行。 そのまま酒場で一休みしていると、ふと何処からともなく子供達の遊び唄が聞こえてきた。 ♪〜 赤い巨神を知って居る? 海の向こうに小さな島。 霧に隠れた小さな島の、雲の真下の小さな島。 王様と王妃様を護っている、忠実な赤い巨神。 蒼い巨神を知って居る? 山の向こうの小さな島。 雲の上の小さな島の、雲の真下の小さな城。 破壊と再生の門を潜って、蒼い巨神を探しにいこう。 ♪〜 この辺りでは普通に唄われているらしい唄。 だが、その唄を聞いていた博士は子供達の元へと歩み寄っていった‥‥。 「おいおい。次は海の向こうか? 山の向こうか?」 と告げる劫光。 そして一行はその話で持ち切りになっていた。 貴方なら、海と山、どちらを選びますか? ──Fin |