【泰国】ふらり冒険に?
マスター名:久条巧
シナリオ形態: ショート
危険
難易度: やや難
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/07/11 02:56



■オープニング本文

●事件の冒頭
 静かな朝。
 酒場では大勢の冒険者達が酔いつぶれ、豪快にいびきをたてて眠っている。
 泰国凰凱の酒場『仮面の王子様亭』には、連日ベテラン開拓者を自称する『おっさんたち』がやってきて、豪快に酒を飲んでいた。
 知らずにここを訪れた若い開拓者達は、このおじさんたちに捕まり、『昔の英雄譚』を淡々と語りつづける。
 そして若い開拓者達に、自分達の経験をもとにしたアドバイスを色々と教えるのであるが、それがまた片寄った知識ばかり。

・魔の森の奥には、古き遺跡が存在している。
・古のあやかし『蚩龍』の弱点は首の根元にある逆鱗、そこ以外はダメージを受けない
・長く生きて来たもふらの中には、人間に化けて悪さを働くものも存在する
・自分と同じ姿の人間を見たら3日後に死ぬ
・宝珠から削り出された武具が、凰凱沖の小島の遺跡に封じられている

 などなど、現在現役の開拓者が聞いたら腰を抜かしそうなデマばかり。
 けれど、昔は一部でそう信じられていた為、回りの開拓者達もそれなりに『新人達に』フォローを入れていたのである。
 だが、とうとう事件が起こった。
 おじさんたちの知恵を信じた若手開拓者達が、無謀にも魔の森の発生する森林地帯に討伐依頼として向かい、逆に何者かに捕まってしまったらしい。
 この事態を聞いたのは渦中のおぢさんたち。
 だが、運が悪いことに、其の日、酒場には開拓者の姿はない。
 こまり果てたおぢさんたちは、ついに昔の装備を引きずり出し、若手開拓者達の救出に向かう事をきめたらしい‥‥。

 さて、その事態を目の当たりにした一同は、どうしますか?


■参加者一覧
柊沢 霞澄(ia0067
17歳・女・巫
朱麓(ia8390
23歳・女・泰
ロック・J・グリフィス(ib0293
25歳・男・騎
ブローディア・F・H(ib0334
26歳・女・魔
花三札・猪乃介(ib2291
15歳・男・騎
百々架(ib2570
17歳・女・志
天笠 涼裡(ib3033
18歳・女・シ
鹿角 結(ib3119
24歳・女・弓


■リプレイ本文

●ちょい悪老人の黄昏
──凰凱・とある飯店
 元ベテラン開拓者達(通称・おぢさん達)は、今こそ魔の森にて行方不明となってしまった若手開拓者達を助けるべく、算段を練っている最中であった。
「よし、それでは向かうとしよう」
 って、もう話し合いは終っているのかよっ!!
──ヒュルルルルルル‥‥スカーーーン
 と突然、一輪の薔薇がおぢさん達の行く手に突き刺さる。
──カツカツカツカツ
 と、それを無視して歩いていこうとするおぢさん達。
「ちょ!! 話しは聞かせて貰った‥‥その救出、ぜひ俺も同行させて貰えないかな? 何、俺も貴方方のその心意気にうたれただけだ」
 とロック・J・グリフィス(ib0293)が物陰から姿を現わした。
「ふむふむ。それぢゃあ一緒に救出に向かうとしようかのう」
 と魔導師のおぢさんがにこやかに告げる。
「では、早速向かうとしよう!!」
 と騎士のおぢさんが叫ぶと、一行はまず街の外へと向かっていく。
「ちょっとまったぁぁぁぁ!! おぢさん達の勇気、しかと見届けた!!」
 と花三札・猪乃介(ib2291)が現われる。
「ほう、これはまた生きの良い開拓者ちゃのう」
 と泰拳士おぢさんが眼光鋭く告げる。
「で、一緒に向かうというのかのう?」
「ああ、よろしく頼むぜ」
「では、私もご同行させて頂いてよろしいでしょうか?」
 とつ告げるのは柊沢 霞澄(ia0067)。
 他の仲間たちと同じく、おぢさん達だけでは危険と判断してのことであろう。
「ふむ。一人でも多い方が戦力としても申し分ないのう‥‥ではよろしく頼み増すぞ」
 と魔導師おぢさんがにこにこと告げる。
「話は聞かせて貰った‥‥開拓者捜索の仲間に入れてほしい」
「まだまだ若輩ですけれど、よろしくお願いします」
 と街の入り口で待っていた朱麓(ia8390)と百々架(ib2570)が一行に向かって告げる。
「ほうほう、腕の立ちそうな御仁たちぢゃな。全得手は任せてもよいか?」
 と騎士おぢさんが問い掛けると、朱麓はニィッと笑いつつ。
「任せておけ」
 と告げる朱麓。
「ふむふむこれは一安心。では頼みますぞ」
 ということで開拓者5名が仲間として同行することになった。
 そして一行は、若手開拓者の行方不明となった魔の森へと向かっていくのであった。


●後ろからこっそりチーム
 さて。
 おぢさんと開拓者チームが魔の森へと向かっている最中、その後方ではおぢさんたちに気付かれないようにこっそりと突いていく人影があった。
「‥‥大丈夫でしょうか?」 
 とおぢさんたちの遥か後方をついていっているブローディア・F・H(ib0334)が仲間たちに問いかける。
「さあな。まあ私達の出来る事は影からの護衛。
万が一の事態が起こっても、藍面が何とかしてくれるだろう差
 と天笠 涼裡(ib3033)が先発隊を指差しつつ告げた。
「ひとつ気になった事があるのですが」
 と鹿角 結(ib3119)が告げる。
「何が?」
「若手開拓者達は、『魔の森が発生する森林地帯』に向かったのに、『何者かに捕らえられた』のですよね? アヤカシならば、そんなことをせずに相手を食べるような気がするんですよね‥‥僕の思い込みかもしれませんが」
 と呟く鹿角。
「確かに。可能性としては殆どない確率だ。ということは、遺跡とやらで何者かに捕まった可能性があるということか?」
 と天笠が告げる。
「可能性としては、そちらのほうが。実は話の通じる相手で、『遺跡』の話に勇み足を踏んだ若手開拓者達が相手を怒らせてしまったのかも?
という可能性もあります。まあ、ちょっと調べてみたわうがいいですね‥‥」
 と告げて、鹿角は横道から魔の森へと向かっていくことにした。
 かくして一行は、そのまま二つの班になって目的地へと向かっていったてのであった。


●そして魔の森では
──凰凱郊外・魔の森付近
 っていうか魔の森。
 先発隊‥‥っていうか、おぢさんチームは魔の森に踏込んだ瞬間に、アヤカシの掌撃を次々と受けてしまった。
 案の定、おぢさんたちは『魔導師』以外はそこそこに戦えてはいるものの、『魔導師』はまったくといって良いほど役に立っていない。
 それでも、後続部隊が魔法による援護を行なっていた為、魔導師のおぢさなも戦えているように錯覚している。
「‥‥ちょっと予想外だな。おぢさん達も普通に戦えるぢゃないか?」
 と呟くのは朱麓。
「う、うむ。この防具と武器のおかげぢゃな」
「ワシはこの手甲の力ぢゃよ‥‥ふぉふぉ」
 と笑いつつ呟くおぢさん。
 ふと見ると、おぢさんたちの防具は軽くてそこそこの質のもの。
 加えて宝珠があちこちにちりばめられている。
 つまり、宝珠の加護によって、普通に戦えているようであると‥‥。
「‥‥それにしても、彼等は何者に掴まったのだろうな。アヤカシならばその場で襲い殺している気もするのだが‥‥さて」
 とロックが告げると、一行は頭を捻る。
 そしてしばらくの間、霧の深いこの森を調査する事になってしまった。

──その頃の潜入部隊‥‥っていうか一人
 そこは魔の森の奥の遺跡の、そのまた奥のとあるベースキャンプ。
「‥‥若手が捕まっていますねぇ‥‥」
 と物陰から周囲を伺っているのは鹿角。
 すでに後方にはおぢさんチームが迫っている。
 あらかじめ先行で調査し、余計なものは極力排除しようということであろう。
「‥‥どうする? もう直おぢさん達もこの遺跡にたどりつくが」
 と天笠が鹿角に促す。
「で、あの若手達を捉えている人々は‥‥最近噂の『風龍八十八聖』っていう奴等か?」
 良く見ると、それっぽい統率の取れた武術家集団のようにも見える。
「となりますと、ちょっと厄介ですねぇ‥‥私達だけでは彼等を救出することは出来かねます」
 とブローディアも告げる。
「まあ、おぢさん達に巧く立ち回って貰うしかあるまい‥‥と、ははーん。この遺跡、宝珠が発掘できるのですね?」
 と鹿角が発掘物を指差して告げる。
 そこには、幾つかの宝珠が安置されている。
 中には宝珠のはめ込まれている剣など、どう見ても宝の山が転がっていた。
「‥‥これで確定。風龍八十八聖は悪です!!」
 とブローディアが言い切ったとき、後方からおぢさん達の声が聞こえてきた。
「ここぢゃ、この先に違いない。おーーーーーい若手諸君。ワシらが助けに来たから泥舟に乗った積りで安心していたまえ!!」
 と騎士のおぢさんが叫ぶ。
 その越えに反応して、こっそりと風龍八十八聖の武道家達が隠密行動を開始。
 それをトレースするように鹿角と天笠、ブローディアもおん見つ行動を開始、襲撃体勢に入った風龍八十八聖の武道家達を次々と不意打ちで倒していく。
「ほほう。こんな所まで随分と気合の入った老人だな」
 といかにもそれっぽい大男がおぢさん達の前に立ち止まる。
「若手たちを解放して頂く!!」
「速やかに帰せばよし‥‥でなければ、このワシの魔法で‥‥」
 と魔導師のおぢさんが術印を起動。
 空中と大地に幾重もの魔法陣が展開していく。
(ブッ!! 禁呪クラスの魔術ぢゃないですか!!)
 とその術印を見て驚愕するブローディア。
「身体の彼方此方に装備されているブースタータリスマンで魔力を増大、記憶のあちこちにある術印を一斉起動ですか‥‥」
 と冷静に分析する柊沢。
「と言うことだ。このぢいさんの魔術が発動したら、貴様達など塵芥に等しい。速やかに降参し判てたちを解放すればよし、さもなけれ‥‥ば‥‥ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 と朱麓が呟いて魔導師の老人を見た。
 と、その頭上には光り輝く巨大な雷が広がっている。
 それも、おぢさんでは制御しきれず、すでに暴走を開始しているかのような‥‥。
「て、てめえラ逃げろっ!! あんな伝説級の魔導師相手に勝てる筈がないっ!!」
 と慌てて風龍八十八聖はてんでばらばらに、ついでにどさくさに曲がれて宝珠を回収して逃げていった。
「‥‥あ、あの‥‥おぢいさん、もう大丈夫ですからその‥‥雷をどうらかしていただけるとですね‥‥」
 必死に宥めようとしている柊沢。
 と、その彼女を優しく見つめる魔導師のおぢさん。
「御免のう‥‥無理ぢったぁ」

──チュドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン

 と、魔力が大爆発。
 大量の煙と閃光と爆発音が周囲に響く。
 が、ダメージは全くない。
 どうやらあちこちの印が間違っていた為、殺傷能力が0になっていたのであろう。
 まあ、そんなこんなで無事に判てたちを回収し、一行は無事に凰凱へと帰還していったのでありましたとさ。

 なお、余談ではありますが、酒場に戻ってからおぢさん達は朱麓を始めとした一行から力一杯の説教を受けていたそうです。
 多少は反省したらしく、若手開拓者やそのた今回の事件に巻き込んでしまった人たちに社さ制し、今後はつつましく生きていこうと心に誓ったそうで。

──Fin