【泰国】6月定例擂台賽
マスター名:久条巧
シナリオ形態: ショート
危険
難易度: 難しい
参加人数: 12人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/07/07 17:22



■オープニング本文

──事件の冒頭
 さて。
 今年の凰凱擂台賽は荒れ模様の状態です。
 1月の擂台賽での紅道場の活躍により、凰凱の青少年たちの一部が、紅道場へと足を運ぶようになりました‥‥。
 2月の擂台賽では、始めて異国のチームが参戦、かなり上位に食い込むという事態が発生しています。
 凰凱の武術連盟では、異国のものに『龍王』の称号を渡して鳴るものかと、さらなる訓練にはげむ道場が多数でているようですが‥‥。
 そしてついに4月、5月と連続でのシード枠。
いよいよ紅道場も凰凱では実力のある道場と噂されはじめているようですが。


「‥‥ふむ。では、うちから門下生を貸して欲しいということですかのう?」
 白髭を撫でつつ、紅老師がそう告げる。
 老師の前には、泰国新蔭流道場の師範代・柳生弥生(やぎゅう・やよい)が座っていた。
「はい。ぶしつけなお願いなのは百も承知です。今回の擂台賽で上位に食い込まなければ、わたしの道場は立ち退きを命じられているのです‥‥」
 そう告げると、柳生は肩を落としてじっと下をうつむいてしまった。

「ふむ。それはあまりにも。では酔いでしょう。うちの門下生に今回に限り、『泰国新蔭流』の門下生として登録してもらうように頼みましょう」
「本当ですか!!」
 嬉しそうにそう告げる柳生。
「いやいや、こまったときはお互い様ぢゃよ。ではワシの方から話は通しておきますでのう‥‥」
 ということで、急遽『泰国新蔭流』の門下生を派遣する事になったそうな。
 で、紅道場の参加は今回どうするの?




■参加者一覧
梢・飛鈴(ia0034
21歳・女・泰
水鏡 絵梨乃(ia0191
20歳・女・泰
秋霜夜(ia0979
14歳・女・泰
斉藤晃(ia3071
40歳・男・サ
赤マント(ia3521
14歳・女・泰
佐竹 利実(ia4177
23歳・男・志
贋龍(ia9407
18歳・男・志
夏 麗華(ia9430
27歳・女・泰
劫光(ia9510
22歳・男・陰
日御碕・神楽(ia9518
21歳・女・泰
トカキ=ウィンメルト(ib0323
20歳・男・シ
ボーゲン=トライファス(ib2939
24歳・男・騎


■リプレイ本文

●がんばれば‥‥こんどは伝説
──6月定例擂台賽
「それではっ。定例大会を開始するんだワンッ!!」
 武道大会会場で、司会進行でもある昨年度『大覇王』のわんドシ君が大声で叫ぶ。
 その言葉に会場に集まった観客が盛り上がる、まさに会場は興奮の坩堝となってしまった。
 やがて個人戦と団体戦それぞれの対戦表が張り出されると、いよいよ試合が開始された。
 前回の成績により、今回もシード枠からのスタート。
 これまたかなりいいところまでがんばった紅道場はなんと準決勝で『泰国新陰流道場』と戦うことに!!
 しかもその『新蔭流道場』、参加メンバーは元々紅道場に出入りしていた仲間たち!!

【団体戦(新蔭流道場枠)】
先鋒:贋龍
次峰:佐竹
副将:劫光
大将:梢


【団体戦(紅道場枠)】
先鋒:夏 麗華
次鋒:ボーゲン=トライファス
副将:トカキ=ウィンメルト
大将:水鏡 絵梨乃

──先鋒:◎贋龍vs夏 麗華
 奇しくも同門対決? となった団体戦。
 先鋒は贋龍(ia9407)と夏 麗華(ia9430
の戦いとなった。
「良い試合が出来ると良いですね‥‥では行きます!!」
「こちらこそお手合わせお願いします!!」
 丁寧に挨拶を交わすと同時に、両者共に間合を詰めていく。
 両手に霊拳『月吼』填めている麗華はそのまま炎魂縛武を発動、そのまま贋龍の庫激を躱わしつつカウンターを叩き込む戦術であったが、その全てをことごとく躱わしていく贋龍。
「鋭い攻撃ですが、まだまだ隙が多すぎますね‥‥
 と麗華の弱点を見ぬきつつ、すぐさま反撃に転じる贋龍。
 そのまま麗華の隙を付きつつ、止めには炎魂縛武を発動して麗華を叩きのめした贋龍であった。
「‥‥まだ‥‥まだまだですわね‥‥」
 と告げつつゆっくりと立上がる麗華。
「私の拳士としての復帰戦‥‥土が付いてしまいましたけれど、次に戦うときは負けませんわ」
 と宣戦布告を行なって、麗華は擂台からゆっくりと降りていった。


──次鋒 ◎佐竹vsボーゲン
 続く次峰は佐竹とボーゲン=トライファス(ib2939)の二人。
「異国の傭兵‥‥どんな戦術でくることやら‥‥」
 ニィッと笑いつつ挨拶を交わす佐竹 利実(ia4177)。
「悪いな。俺は傭兵でね。流派? そんなもんはねぇよ‥‥」
 と告げつつ、薙刀を構えるボーゲン。
「それでは始めッ!!」
 と審判が号令を行うと同時に、ボーゲンは全力で薙刀を振るう。
──ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥェン
 その風を切り裂く音に、佐竹は一瞬だけ戸惑いを見せたものの、すぐさま体勢を整える。
「ちぃっ。柳生と思ったら我流かよっ!!」
「それのどこが悪い!!」
 といぜんとして優勢にたっているボーゲン。
 薙刀の持つ長いリーチを生かしつつ、佐竹を間合に入らせないその攻撃パターン、まさに傭兵ならではの戦いであった。
 だが、佐竹もそこで引き下がるような拳士? ではなかった。
「‥‥そろそろ逝くか」
 と呟くと、それまでの動きから摺り足を重視した体裁きに変更。
 そのまま素早く間合を掴むと、薙刀の射程よりも内側に潜り込み、そして下段からの攻撃を繋いでいった。
 この攻撃パターンには流石のボーゲンも反応仕切れず、ついには致命傷を叩き込まれての試合終了となったのである。
「柳生っていうのはな‥‥今使った俺の動き全てが柳生なんだがなぁ‥‥」
 と告げつつ、そのまま擂台を後にする佐竹。
「負けちまったか‥‥まぁ楽しかったぜ」
 そう佐竹の背中に向かって告げるボーゲンの言葉に、軽く手を振って反応する佐竹。
「さて、次はその自慢の柳生っていう奴を破ってみせますかねぇ‥‥」
 と次の戦いに向けての意欲を見せるボーゲンであったとさ。


──副将 劫光vsトカキ◎
「相手が陰陽師とはねぇ‥‥」
 と開始線で呟くトカキ=ウィンメルト(ib0323)に対して、劫光(ia9510
もまた静かに呟く。
「ジルベリアの魔導師か‥‥」
 ということで、奇しくも術師同士の対戦となったこのシあいですが‥‥。
「それでは始めッ!!」
 と審判の声が響くと同時に、二人同時に印を組み韻を紡ぐ。
「サンダァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ」
 まず先手を取ったのはトカキのサンダー。
 その直撃を受けて、劫光はやや足元がおぼついていない。
「くっ‥‥こんな程度の術で引き下がる訳にはいかないよっ!!」
 と劫光も反撃を開始。
 電撃には雷撃とばかりに、劫光も雷閃を発動。雷撃が形となり、人に向かって襲いかかっていった。
「ちっ‥‥たいしたものだ」
 雷撃の直撃を受けたトカキも必死にレジスト。
 どうにか致命傷は避けたものの、かなり厳しい状態である。
 だが、そのまま劫光に向かってサンダーを連発し、形勢は一気にトカキに傾く。
 そして止めは足元に符ロースを叩き込まれて身動きの取れない劫光に向かって、トカキがサンダーとファイアーボールを魔術連弾して勝利を納めたのであった。



──大将 梢 vs 水鏡◎
 ここまでの戦いから、もう後には引けない紅道場チーム。
 それにたいして、あと一勝でさらなる上を目指せる新蔭流道場。
 この大将戦で雌雄が決する。
 その緊張からか、梢・飛鈴(ia0034)はやや呼吸があらい。
(相手は酔拳使い‥‥しかも紅老師の愛弟子‥‥厄介なことアルね)
 スーーーッ大きく深呼吸をして、どうにか落ち着きを取り戻す梢。
 その正面では、水鏡 絵梨乃(ia0191)が静かに瓢箪のなかに入っている酒をガブガブと飲んでいる。
「ヒック‥‥いい感じれすねー」
 既に酩酊状態の絵梨乃。
 そして二人とも開始線に立つと、ゆっくりと抱拳礼を行ないすばやく構える‥‥梢だけ。
 絵梨乃はその場で瓢箪を手に取ると、審判に一言。
「ヒック‥‥ひょーたんは打撃武器としてもってていい? らめ?」
「ああ、構いませんよ‥‥それでははじめっ!!」
 素早く試合が始まる。
 いきなり奇襲を仕掛けたのはまずは梢。
 相手が酔拳使いならば、まずその歩法を止める。
 そのまま正攻法で絵梨乃の足を攻撃していくが、その全てが躱わされてしまっている。
「なんですって‥‥尋常じゃない速さアルね」
 いや、それほど早くはない。
 だだ、酔っている絵梨乃が梢の攻撃を寸分なく躱わしている為、そのような錯覚が起こっているのであろう。
 そのままフラフラと梢の背後にまわりこむと、そのまま梢の背中にもたれかかり、瓢箪の酒を呑む。
「ングングングング‥‥ぷはーーーーーーーーーー」
 すでに良い感じに出来上がっている絵梨乃。
 それとは対象的に、足技と手数、そして隙あらばの暗勁掌を繰り出すものの、どれも擦るのが限界。
──ドゴォッ
 その拍子に、肘撃が梢の腹部に叩き込まれる。
「グフッ‥‥今のは効いたアルヨ。だけど」
 そのまま絵梨乃の腕を取り、短い間合で暗勁掌を叩き込む。
 今度は絵梨乃にも直撃し、絵梨乃は後方にフラフラと下がっていく。
「いい攻撃ですね‥‥けれど、まだまだですよ」
 と瞬時に足場癩で梢をダウンさせると、そこから大地に向かって次々と拳を叩き込む絵梨乃。
 そのラッシュには対処しきれず、ついに梢もダウン。

 紅道場はここで敗退が決まってしまった‥‥。



●個人戦の光と影
 一方、もう一つの舞台では個人戦が始まっていた。
 参加者が増えつつある凰凱擂台賽、個人戦で優勝する為には、最低でも9回戦勝ち抜けなくてはならない。
 紅道場の登録選手は2名、それぞれが様々な組に分かれ、対戦表に名を連ねていくのであったが。
 ここではやはり大番狂わせが発生していた。
 それではその大番狂わせをダイジェストでお伝えしましょう。

──準々決勝・斉藤晃vs宮本天斗
 いつものように快進撃を続けてきた斉藤晃(ia3071)。
 ここまでは殆どストレート勝ち、しかもリックアウトといういつもよりも凶悪な試合運びである。
 その槍術はかなりの腕前で、今回の大会で斉藤の槍術を見きれたものは殆どいない。
 それほどまでに今月の戦い、斉藤はのりまくっていた。
 一方の対戦相手の宮本天斗もまた、今回のダークホースと呼ばれている。
 ここまで殆ど打撃を受けておらず、且、対戦相手は確実にノックアウトしている。
 木刀の一撃に全てを傾けてきた戦い方である。
「それでは抱拳礼‥‥始めッ!!」
 それはまるで決勝のような戦い。
 お互いが全身全霊を賭け、己の持つ極限までを出しきった戦い。
 一瞬の隙が勝敗を決するというこの戦いを制したのは、ほんの僅差で斉藤晃が勝ち取った。
 だが、斉藤もまた、この戦いで全てを出しきった為、この次の戦いは棄権せざるを得なくなっていた。
 最後の瞬間、二人はお互いの急所を直撃していた。
 わずかに撃たれ強かった斉藤が立ち止まっていた為の勝利だが、その直後に意識を失ってしまう二人。
 そしてきがつくと、全ての大会が終っていた。
「‥‥良い戦いか‥‥結果を伴わない戦いに、何の意味がある‥‥まだまだ‥‥足りない‥‥」
 医務室のベットの上で、斉藤がそう呟いていた‥‥。


──準決勝・赤マントvs『赤彗星の斜亜』
 こちらはうってかわって激しい戦い。
 なんと何処からともなく参加していた風龍八十八聖の斜亜が、正正堂堂とした戦いでここまでたどりついていた。
「さて、それでは見せて貰おうか‥‥」
「ふん。人殺しに見せる技なんてないわよっ」
 といやみったらしく告げる赤マント(ia3521)。

 この凰凱の擂台賽は凰凱にある実行委員会によって運営されている。
 この城壁に護られ都市には、外部からの襲撃をことごとく迎撃できるほどの設備もある。
 そのためか、風龍八十八聖もこの都市には手をだしあぐねているらしい。
「‥‥風の噂で、ジルベリアの武術かの中に風龍八十八聖のものがいると聞いていたが‥‥まさか幹部が自ら正体を明かして参加しているとはねぇ」
 と告げる赤マント。
「まあ、私は純粋に武術を楽しみたくてやって来ている訳で‥‥まあいいだろう、言葉で説明するよりも拳を交えた方がいいだろう」
 と告げると、斜亜が丁寧な抱拳礼を見せる。
 さすがに武術家として、抱拳礼を示された以上は礼をツ期さなくてはならない。
「では、ここでは正正堂堂と‥‥」
 と告げて、赤マントも抱拳礼を見せる。
 激しい戦い。
 速度と速度、お互いに一歩も引かないいい戦い。
 赤マントは己の切り札である九龍門を発動。
 一つ一つの門を開放しつつ、己の限界を高めていく。
(この戦いの前に‥‥諸葛先生に教わった体内の龍の制御‥‥それが無かったら、破滅していたわね‥‥)
 そう心の中で呟きつつも、赤マントは斜亜を押しはじめた。
「‥‥いい感じだ。が、その程度ではまだ、真の覚醒とはいえない。体内の龍脈を制御する技は、貴殿の技だけにあらず」
 そう呟くと、斜亜もまた覚醒を開始。
 速度では赤マントには劣るものの、それを補う手技とパワーで赤マントを圧倒。
 そして後半、疲労により龍門の制御が不安定になった赤マントの自爆により、斜亜がかろうじて勝利を納めた。
「はあはあはあはあ‥‥まだだ‥‥まだ戦える‥‥」
 擂台の上に大の字になって倒れ、身体中の汗腺や瞳、四肢の皮膚から大量の出血をしている赤マント。
 彼女の持つ龍門制御時間は全てを開放した場合およそ3分。
 壱龍から肆龍までの制御はそれほど複雑ではない。が、伍龍より上になると制御時間が大幅に減少。
 捌龍に至っては1分、玖龍は発動するかどうかの賭けでもある。
「まだだ。もう少し強くなってからだな‥‥」
 とつげると、 斜亜は擂台を後にした。


●ペア枠
 そしていよいよフィナーレ。
 前回より始まった二人一組のチーム戦。
 擂台の上にチームが二人ともノリ、同時に戦うというチーム・バトルロイヤル。
 最後まで立っていたもののチームが勝者ということから、戦い方には色々なパターンが考えられていた。

──秋霜夜&日御崎戦
 秋霜夜(ia0979) と日御碕・神楽(ia9518) の試合は第3試合。
 対戦相手は『グレートもふらマスク』と『クィーンモフラマスク』。
「息を合わせていけば勝てます。白龍さんがそうおっしゃっていました」
「ええ。お互いを信じて戦う。一人が負けたときは、そのチームが負けるとき‥‥そうですよね?」
 とお互いを鼓舞しつつ開始線へとむかっていく二人。
 そしていよいよ試合開始。
 常にパートナーを意識しつつ、連撃を叩き込んでいく霜夜と、同じく敵の攻撃が一人に集中しないように牽制し攻撃を誘導する神楽。
 その生きの在ったコンビネーションに、『モフラマスク達』は翻弄されまくっている。
 ここに来るまでのモフラマスク達の戦い方は熟知している二人にとって、モフラマスク達は敵ではなかった‥‥。
 まずはクィーンモフラが倒され、そして残ったグレートモフラマスクにも乱撃を叩き込む二人。
 そのまま一気に押し通し、初勝利をもぎとった二人であった。
 なお、その次の試合では二人の息よりもさらに相手の息が高かった為、秒殺で敗北してしまったのはいうまでもない。



●そして
 全てが終った。
 団体戦ではなんと新蔭流道場が3位に入賞、個人戦では斉藤と佐赤マントが位入賞、パーティ戦では二回戦で進出するもそこで敗退。
 依然よりも確実に腕が上がっている一同であった。
 次回の団体戦でもシード権を取ることも出来、結果としては上々の模様。
 ちなみに今回優勝した道場はまたしても『冲林寺道場』。これで2月連続の優勝である。
 そして個人戦優勝はなんと『風龍八十八聖の斜亜』が優勝を果たしてしまっていたのである。
 そして全ての試合が終ってから、数日後。
 凰凱の市街地で人が殺された。
 ジルベリアからやってきた貴族とその使用人達が何者かに襲われ、殺されてしまっていた。
 そして貴族の荷物が漁られていたので、何か悪質な強盗だろうと処理されてしまったらしい‥‥。
 まだ、何かが起こっている。

──Fin