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■オープニング本文 ──事件の冒頭 とある日のとある屋敷。 泰国・城塞都市凰凱にある、とある貴族達の愉しいパーティー会場。 「ほほう、これはいい剣ですなぁ‥‥」 参加している貴族の帯剣を見て、そう呟いているのはジルベリアより引越してきたアドミラル家の当主『シャア・アドミラル』。 「ええ。特注品でして‥‥おや、アドミラル殿のその帯剣は‥‥」 と、やはりジルベリアからやってきた美術商人のマクベス卿に告げられて、アドミラルはきっぱりと言い切った!! 「メイドメイン・量産品です‥‥」 ──ドワッ!! その瞬間、会場が爆笑の渦に包まれる。 「失礼ながらアドミラル卿。あなたも貴族の一人、せめてお抱え鍛冶師ぐらいは‥‥」 「なんでしたら、私の所の鍛冶屋を紹介しましょうか?」 とまあ、終始笑われつづけたアドミラル卿。 そして立腹しつつも、自分の屋敷に戻ると、執事に金貨の入った袋を手渡して一言。 「これで、凰凱近郊に私専用工房を作ってきなさい。必要な鍛冶師は‥‥私が手配する‥‥」 ということで、急遽作られたアドミラル家専用工房『ズィオニック鍛冶工房』。 そしてアドミラル卿は一路、凰凱の開拓者ギルドへと向かっていったのだが‥‥。 |
■参加者一覧
天津疾也(ia0019)
20歳・男・志
桐(ia1102)
14歳・男・巫
ルオウ(ia2445)
14歳・男・サ
瀧鷲 漸(ia8176)
25歳・女・サ
ブローディア・F・H(ib0334)
26歳・女・魔
壬護 蒼樹(ib0423)
29歳・男・志
不破 颯(ib0495)
25歳・男・弓
今川誠親(ib1091)
23歳・男・弓 |
■リプレイ本文 ●貴族って奴は ──泰国東方・凰凱近郊・ズィオニック鍛冶工房 「さて、それじゃあ始めようか」 と威勢良く叫んでいたのは天津疾也(ia0019)。 「まずは原案を皆で出し合い、その中から依頼人の御やめに掛かったものを作成という方向で問題はないよな?」 と告げる天津に一同は同意。 「やっぱ作るのは刀と兜だろ!あとなんか篭手」 と告げているのはルオウ(ia2445)。 ここでの話し合いの前に、アドミラル卿にあって直接話をしてきたらしい。 その話の中で、ルオウはアドミラル卿の中に眠る何かを察知した。 実力としてもかなりのものを持っていると確信したらしい。 「で?」 「色彩は全部赤で統一。兜は角あるのがいいよな!その方がカッコいいし」 ●ここまでのデザイン 全体的に赤で統一 籠手(仕込み爪搭載) 刀 「まあ、ルオウの意見は判った。俺としては、やはり貴族ということで、見た目を重視した方が良いと思う」 その天津の意見には反対はなし。 「ルオウも話をしていたが、鎧なども全身鎧ではなく小手や具足、胸当てなど体の一部を護るものぐらいの少なさで。肩などには羽飾りをつけておく。そして細かいところには金箔などをつけてより目立つようにする」 次々と飛び出す意見。 「まあ、胸当てのところにはわかる形でアドミラル家の紋章などを焼きいれるのもいいだろうし。サーコートや鎧の下の服などは赤色で問統一する形で行きたいと思う」 ●ここまでのデザイン ・全体的に赤で統一 ・羽根飾りは忘れず、全体的に装飾を施して ・サーコート必須(当然赤) ・籠手(仕込み爪搭載) ・胸あては肩当てなどのパーツアーマーを組み込んで ・刀(細身の剣) 「ふむふむ‥‥ということは材料はこの程度で、強度計算は‥‥」 と意見が飛び交う中で、次々と材料の発注書などを作成しているのは桐(ia1102)。 「武器の柄ですけれど、鹿の角を用いてみてはいかがでしょうか? それと宝珠を用いて抵抗力を強化するというのもありでは?」 と言う桐の意見も尊重される。 ●ここまでのデザイン ・全体的に赤で統一 ・羽根飾りは忘れず、全体的に装飾を施して ・サーコート必須(当然赤) ・全体的に宝珠を組み込んで能力強化を ・籠手(仕込み爪搭載) ・胸あては肩当てなどのパーツアーマーを組み込んで ・刀(細身の剣、柄は鹿の角) 「桐、今の所どんなかんじ?」 と横に座っていた桐に問い掛けるのは瀧鷲 漸(ia8176)。 鍛冶師である漸は、意見だしよりも実働班。 そのため、同じ実働班である桐との連携を取っていた模様。 「大体‥‥こんな感じで」 と仕様書を見せる桐。 「武器をフランベルジュにしても問題はないし‥‥うーん」 と呟く斬。 「私はデザイン関係と火力で協力させて頂きますので‥‥、 とブローディア・F・H(ib0334)が呟く。 そのまま様々な意見が飛び交いつつも、なんとか形が出来たため、アドミラル卿に承諾してもらいに向かう一行。 そのまま無事に承諾書も発行され、いよいよ鍛冶開始となった。 ●でっきるっかなでっきるっかな 「炎の精霊よ、その力を一つ所に止めたまえ‥‥」 ブローディアが炉に向かって魔法の炎を発する。 それによって材料が溶けはじめ、そしていよいよ製作開始となる。 「それじゃあいくぞ!!」 「宜しくお願いします」 相槌を持つ壬護 蒼樹(ib0423)と斬によって、刀剣の製作が開始される。 ──ガキィィィィィンガキィィィィィン 真っ赤に燃えた真鉄が徐々に細身の剣の形を成してくる。 「‥‥久しぶりね。この感覚‥‥」 昔を思い出すかの用にそう呟く漸。 「そうなのですか?」 と相槌を打ちつつ呟く蒼樹。 「ええ‥‥といっても、わたしが出来たのは修繕程度でここまで本格的なものでもなかったわ。それに、ここの工房の技術は私もしらないものばかり‥‥改めて、勉強しないといけなかったわ‥‥」 と告げる漸。 そうしているうちに、やがてお互いに言葉を発しなくなってくる。 仕上げの段階まであと少しなのだろう。 その隣の炉では、桐とルオウが担当。 ここに来る前に街の鍛冶師の所で一通りの勉強をしてきたルオウだけに、まあそこそこには出来る模様。 「‥‥私はあまり得意ではないのですが‥‥」 と告げる桐のサポートに、工房の鍛冶師がサポートにつく。 「簡単な所は見ていてやるからやってみるといい。難しい場所についてはこっちで仕上げるからナ。開拓者として、色々と学んで置く事も大切だぞ」 と告げる鍛冶師。 「そうなのですか!! ではがんばります」 とにこやかに告げる桐。 「あら、こっちの炉も火力が下がってますわ。では‥‥」 と定期的に炉の内部に魔法の火を投下するブローディア。 その火力によって、炉の内部の金属が溶け合い、不思議な色を形成している。 「なあ鍛冶師のおっさん、この炉の中で溶けている材料、一体なんだ? 俺達の知らないものまで解けていね──か?」 とルオウが問い掛ける。 「いや、この地域で採掘される鉄鉱石とか、普通のものだが?」 「木炭とか、生の木の葉とか、あと見た事ない白い粉とか、いろいろあったよな? あれはなんだ?」 そう問い掛けるルオウに対して、鍛冶師は笑いつつ呟く。 「ああ、秘密だ。あれはこの地方独特の材料出な、なあに心配するな、外法ではないから安心しろ」 と告げた。 「そうか。なら安心だ‥‥」 と告げつつ仕上げに入る一行。 そして数日後、一行が見た事もない武具が完成した。 武具の表面の色合いは赤銀色に輝き、全体的に木目状の模様を持っている。 硬度はかなり硬く、そのへんに転がっていた鉄心が神のように切り落とされた。 「さて、ここからが本番ですか」 ということで、ここから仕上げの行程に入る一行。 ──そして 幾つかの武具が仕上がりはじめると、今度は不破 颯(ib0495)と今川誠親(ib1091)の出番である。 「それじゃあ始めますか‥‥」 「ああ。そうだな」 と不破と今川の二人は彫金細工を開始。 細かな紋章などは不破が、そして金細工は今川も手伝っていく。 さらに手の開いた壬護と桐が剣帯とマントを、斬は宝珠の組み込みを専門職にアドバイスを受けつつ行なっていく。 そんなこんなで、依頼期限ギリギリまで作業を続けていた一行。 ようやく仕上がったのが以下のような逸品であった。 ●アドミラル卿専用武具『レッド・コメット』 ・基本色彩:赤を基調とした ・兜(赤銀使用) 金装飾と怪鳥の羽を装飾として両耳に添付。 ・鎧(赤銀使用) 金装飾と十字架、胸部にはアドミラル卿の円プレム入り 金、マゼンタ、深紅の3色を用いた装飾を使用、金細工モールも忘れずに ・籠手(赤銀使用) 銀を基調とし、縁が金。甲の部分にアドミラル家の家紋を隠した美しい隠し絵を彫金。 宝珠により、4本の隠し爪が稼動 ・レギンス(足、赤銀使用) 金装飾と彫刻のされたレギンス。 ・剣 両刃、刃渡り90cm。 真ん中の方に金で細かな月桂樹の彫り物。 鹿の角こしらえの柄の先に、宝珠を龍が咥えた装飾。 中央にアドミラル家の家紋と獅子の装飾。 ・鞘 黒檀の黒漆で金や貝を使って装飾。 鳥の目のひとつに、持ち主の防御力が上がる宝珠を使用。 ●そして後日談 「‥‥これは‥‥派手ですねぇ‥‥」 と呟く天津。 完成したものは全部で3組、予備と試作、そして完成版の3つである。 その武具一式を装備しているアドミラル卿はご満悦の模様。 「これはいい。わたしにちょうどいい仕上がりになっている‥‥礼をいうぞ」 とご満悦の模様。 「別のデザインや新しい武具の注文などがありましたら、またいつでも御声を掛けてください」 と丁寧に挨拶する桐。 「もし宜しければ、他の貴族の方々にも宣伝して頂けたら‥‥」 と天津も告げる。 「判った。ならば、貴兄たちに、特別に『ズィオニック鍛冶工房の出入許可』を申請しておく。いつでもやってきて、存分に新たなる武具の開発や研究に取り組むが良い。今回の報酬は後で渡そう‥‥」 と告げると、そのまま踵を返してその場から立ちさって行った。 「ふう。始めてだけれどいい出来でよかったぁね」 とブローディアが告げる。 「うむ。我ながら改心の出来、実によかった」 と不破も満足。 「まあ、この程度で満足する事なく、さらなる精進を続けよというふうにも取れたが」 と市川が告げると、みなはただひたすらに苦笑していた。 なにはともあれ、開拓者達の作った特製武具、この数日後からあちこちでその評判が増えつつあったのはいうまでもない。 ──Fin |