【四月】退魔戦記3
マスター名:久条巧
シナリオ形態: ショート
EX
難易度: 不明
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/04/26 04:12



■オープニング本文

──事件の冒頭
 この世界を作りし神々。
 様々な国で信仰されている神々の存在。
 だが、それらは全て、3つの神の眷族に過ぎないということを知って居るものは、ごく僅か。
 
 阿修羅(あしゅら)
 迦無羅(かむら)
 斗摩邪(とまや)
 
 これら『創造』『破壊』『混沌』の名を冠する三柱の神々の存在と、それらに連なる従属神たち。
 。
 そして、彼等と敵対し戦いつづけている存在『妖魔』。
 そのはて無き戦いは時間を越え、空間を越え、そして今の時代に受け継がれていた。

 時は現代。
 古の存在である『妖魔』が『妖魔界』より人間世界に侵攻を開始。
 それに伴い、彼等『妖魔』と戦う力を持つものが、少しずつ目覚めはじめていた。
 日本国政府直轄の『対妖魔組織』の長としてひそかに活動を続けていた『勇希サエラ』という女性の提唱により、日本各地に『対妖魔迎撃組織』を配備。
 但し、その存在は一般の人々に知られる事のないよう、一般企業や個人経営店としてカモフラージュし、一般の人々に妖魔の魔の手が伸びる事のないよう、影で戦い続けていた。


●時は2010年
 タッタッタッタッタッタッタッタッ
 雨の中、一人の女性が走りぬける。
 白衣に身を包み、素足で傘もささず。
 なにかに脅えるように一心不乱に、走っていた。
 其の手には、血に染まった1本のナイフが握られていた。

──北海道・札幌・宇童探偵事務所
「で、今回の仕事は獣人界で犯罪を犯したその女性の身柄を拘束するようにということかよ‥‥まったくめんどうくさい」
 頭をボリボリとかきむしりつつ、所長である宇童がそう依頼人に告げる。
 彼の目の前には、スーツに身を包んだ二人の男性がいる。
 共に、この地球とはことなる次元『獣人界』という世界からやってきた特使である。
 古くは人間と共に妖魔と戦っていた獣人たち。
 そこからやってきた特使の任務は、主に『人間界に極秘裏に無許可でやってきた獣人たちの保護』である。
 元来獣人は人間とはまったく異なった種である為、人間と共に生活を営むのは非常に困難である。
 特に『肉食獣の獣人』は、その捕食行為を制限されるのを嫌い、無差別に殺戮を繰り返したというケースがある。
 それゆえ、無許可の獣人というのは非常に始末が悪いのである。
「まあそう言わないでください。今回この人間界に逃亡したのは2名、1人は獣人界で犯罪〜殺人〜を犯し逃亡した『灰色熊種』の獣人、名前はグレイといいます。そしてもう一人は、そのグレイに殺された恋人の仇を打つ為にやってきた『白豹種』の女性、名前はエリナといいます‥‥」
 なんだかめんどうくさいことになったと思う宇童。
「で、その、この世界で奴等の逃げ込みそうな場所はあるのかよ?」
「動物園に逃げ込んでいる可能性がありますね。あそこなら自分たちの匂いを護魔化せるでしょう。そこでほとぼりが冷めるまで隠れている可能性がありますから‥‥」
「ということは円山動物園か旭山動物園かよ‥‥」
「ええ。広さから考えて、旭山動物園でしょう。で、獣人の存在事態を知られると危険ですので、極秘裏に侵入して素早く保護してください‥‥私達も協力しますので」
 やれやれと思いつつも、宇童は仕事を引き受けることにした。
「さて、美和君、メンバーに招集連絡を。事件内容は『重犯罪人である獣人の逮捕と、仇をウトウトしている獣人の保護ということで‥‥」
 そう告げられて、美和とよばれた助手が登録メンバーに連絡を開始した。

※このシナリオはエイプリルフールシナリオです。実際のWTRPGの世界観に一切関係はありません。


■参加者一覧
ルオウ(ia2445
14歳・男・サ
倉城 紬(ia5229
20歳・女・巫
リューリャ・ドラッケン(ia8037
22歳・男・騎
リエット・ネーヴ(ia8814
14歳・女・シ
ジークリンデ(ib0258
20歳・女・魔
ニクス・ソル(ib0444
21歳・男・騎
今川誠親(ib1091
23歳・男・弓
尾花 朔(ib1268
19歳・男・陰


■リプレイ本文

●調査から
──北海道・旭山動物園
「はあ‥‥探偵さんですか‥‥」
 疲れたような表情で、飼育員は静かにそう返事を返している。
「ええ。ちょっとここの動物園について色々と調べて欲しいという依頼がありまして‥‥ええ、事件ではなく、ちょっとね‥‥そこらへんは極秘なので‥‥」
 と笑いつつ告げているのはニクス(ib0444)。
「そうですねぇ‥‥」
 としばし考えたのち、飼育員が静かに話を始める。
「食糧庫に保管してあった食羊肉の消費量がちょっと合わない事が‥‥」
「ほう。それはまたどういうことで?」
「毎日朝と夕方、倉庫から動物達の餌を作る為に肉や魚を出すのです。で、その時の肉の量が保存してあった量よりもすくなくなっているのですよ‥‥まあ、誰かが飼料の量を間違えた過剰消費ということで処理しましたけれど‥‥」
 と告げると、そのまま作業に戻る飼育員。
「‥‥なるほどねぇ‥‥ここの何処かに隠れていることは間違いないと‥‥」
 と告げると、ニクスはそのまま別の場所へほと聞き込みに向かった。

──その頃
「‥‥おかしいねぇ‥‥」
 笑いつつそう呟くのはリエット・ネーヴ(ia8814)。
 精霊体ではなく、人間の姿に転身して尾花朔(ib1268)と共に調査にやってきていた。
「何がおかしいのですか?」
 と朔が問い掛けると、リエットはあちこちを指差しつつ告げる。
「どの動物も、ストレスを感じているのが判るのよ。特に草食系がねぇ」
「ストレスですか?」
「うん。ストレス」
「そこの所、ちょっと詳しく調べられますか?」
「いいよ。契約してくれるなら」
 と無邪気につげるリエット。
 今だ契約を行なっていないリエットにとっては、これはまたとない機会であろう。
「‥‥まあ、考えておきます」
「‥‥なら。こっちの方角から異様な気配がねぇ‥‥」
 とつげつつ、指差した建物は飼育員達の使う建物である。
 深夜にも作業が及ぶ為、飼育員達が後退で寝泊まりしている建物を、リエットは指差していた。
「ほう。なるほど。それはちょっと調べてみる必要がありますか‥‥」
 とつげると、そのまま周囲の調査を引き続き行うことにした。

──さらに
「‥‥ああーーーっ。おちつかねえ」
 と叫びつつ、周囲を見渡しているのはルオウ(ia2445)。
「まあ、そんなに騒がないでください。私達の目的は、深夜ここに忍び込む為のルートの確認ですよ?」 
 とルオウを窘める倉城 紬(ia5229)。
「判って居るってば‥‥監視カメラの位置、その動く速度、その流れ、一通りチェックしている。だろう?」
 と、横を歩いている竜哉(ia8037)につげる。
「ええ。ここ数日の飼育員達の移動ルート、監視カメラの動きと角度、全て計算は完了しています。細かい部分は全てジークリンデさんに渡して有りますので、あとは深夜を待つだけです」
 と静かにつげる竜哉。
「そうですか。では‥‥それまで時間を潰すことにしましょう」
 とつげると、紬は二人を連れて動物園内を散策。
 その最中に、別のメンバーとも合流し、一通りの情報を交換すると、それぞれバラバラに動物園を後にした。



●潜入
──深夜の旭山動物園
 静かな深夜。
 満月を雲が覆い、やや薄暗い園内。
 昼間あらかじめ確認した侵入経路から園内に侵入すると、まずはジークリンデ(ib0258)が静かに印を組み韻を紡ぐ。
「眠りの王よ、かれらに睡魔を差し向けてください‥‥かりそめの時間を彼等に与えてください‥‥」
 そうつげたとき、この旭山動物園の全てがジークリンデのテリトリーとなった。
 園内の全ての人間は睡魔に囚われ、夢の中でいつものように業務を行なっているであろう。
「あいかわらず見事だな‥‥っていうか、夢想師って、すごいな」
 とルオウがつげる。
「いえ。これはこれで、かなり大変なのですよ。大きい妄想は、それゆえに制約と誓約がありますから」
 と笑う。
 簡単かつ単純な妄想には制約はない。
 だが、大規模なものになると、その効果に制約が課せられ、それを越える為には自らの誓約が必要となる。
「で、今回の誓約は?」
「これほど大きな場所全てです。私はこの術印を終えるまで、この場から一歩も動く事は出来ません。ただじっと、ここで妄想を続けなくてはならないのです‥‥ですので、出来るだけ早めにお願いします」
 とつげられて、一行は急ぎ作業を開始した。
「‥‥とりあえず、どこに向かうかだが‥‥」
 と今川誠親(ib1091)がつげる。
「ちょっとまって下さい‥‥」
 と竜哉がつげると、意識を足元に集中する。
「ジークリンデさんの術式の中で動く存在‥‥ここから西の方角ですね。そちらに異質なものが一つあります」
 気功師の術式の一つである『気功探査』である。
 己の気を蜘蛛の巣のように広げ、そこに触れた存在を感知するというものである。
「よっしゃああああああああああ」
 と叫びつつ、その方角に走り出すルオウと、その後ろを掛けていく紬。
「ちょっとちょっとーーーー」
 とさらにリエットと、その後でリエットに手を引かれていく朔の姿もあった。
「‥‥と、こうなると、私達はこちらからですね?」
 と今川が残ったメンバーにつげると、そのまま別ルートでターゲットの方角へと進んでいった。


●逃亡者の末路
──飼育倉庫
 そこは巨大倉庫。
 予備の食糧などが保存されている倉庫で、その扉が開かれている。
「‥‥ここかっ」
 そう叫んで倉庫の内部に突入する一行。
 と、そこは広い空間であった。
 大量の牧草が安置されていて、その手前にある巨大冷凍庫の扉が開かれていた。
 その外では、巨大な熊が1頭、真剣に冷凍肉を貪り食べていた。
「ウオッ!! どうしてこんな時間に人が!!」
 と慌てて叫ぶ巨大熊。
「逃亡犯グレイ、素直に投降すればよし、さもなくは実力で」
──ブゥゥゥゥン
 そうルオウが叫ぶと同時に、グレイが手にしていた巨大肉をルオウに投げ飛ばす。
「冗談じゃない。こんなところで捕まってたまるかよっ!!」
 と叫びつつ、外に向かう扉へと走り出すグレイ。
「オン!!」
 すかさず印を組み韻を紡ぐニクス。
 その刹那、扉の手前に『不動明王』の霊体が姿を表わし、手にした『索』で扉を固定した。
「不動明王縛かよ!!」
 慌てて止まると、今度は扉ではなく窓へと走り出すグレイ。
「甘いよーーーっ」
 と、精霊体へと戻ったリエットと、朔が召喚した『炎虎』が窓の手前でがっちりとガード。
「ということです。あきらめて御縄に付いてください」
 とつげる朔。
「こ、このやろう!!」
 と叫んで、そのまま朔へと走り出すグレイだが。
──ヒュゥンッ!!
 その進路に竜哉が飛びこんでくると、手にした真剣を静かに振るう。
「気の通った『霊剣』です。獣人である貴方には、大打撃でしょう‥‥」
 と竜哉もつげる。
「ということですから、おとなしく捕まってください」
 と紬もつげるが、それでもグレイは捕まらないようにと別の方角へと走り出す。
「ほう。そっちは行き止まりだが‥‥」
 とルオウがつげた刹那。その行き止まりの方角から一人の女性が飛び出してきた。
 その手には、ナイフか゛しっかりと握られている。
「グレイ‥‥覚悟!!」
 そう叫んでグレイに向かっていく女性。
「それはいけない!!」
 そう叫ぶと同時に、今川が妄想からアーバレストを作り出すと、それをグレイに向かって射出する。
──ヒュンッ!!
 それはグレイの手前で炸裂すると、鋼糸によって作られた細かい網に変化する。
 そしてグレイはその網に巻つけられる。
「くつ、こ、こんなもので‥‥」
 と必死にもがくグレイ。
「残念ですが、その網は特注品です。この世界で最も硬いと言われている金属『オリハルコン』によって作られていますから‥‥」
 はい、これ全て今川の妄想。
 でも、それを具現化できる今川も凄い。
「止めないで下さい!!」
 と叫ぶ女性『エリナ』の前にルオウが歩み寄ると、何かをつげようとして‥‥。
「復讐なんて止めてください」
 とルオウの前に紬が叫ぶ。
──パクパクパクパク
 言葉を先に取られ、口だけをパクパクするルオウ。
「おれ、今回見せ場なし?」
 と言葉に出すが、それもまた誰かの言葉に遮られてしまう。
「さて、それじゃあ捕獲に入りますねー」
 とつげると、紬が静かに印を組み韻を紡ぐ。
「大地の精霊よ、彼のものを水晶に棺に閉ざしたまえ‥‥」
 パーーーンと柏手を打った瞬間、グレイが水晶の塊に閉じ込められた。
「それじゃあこれで任務終了ですねー」
 とリエットがつげると、さらに素異臭に向かってリエットが術をかけた。
「浮き賜え、水晶よ浮き賜えーーー」
──フワッ
 と水晶に翼が生まれると、そのままゆっくりと浮遊する。
 そして一行はそのまま外で術印を護っていたジークリンデと合流すると、そのまま動物園を後にした。


●そして後日談
 無事に獣人界のエージェントにグレイを匹わたし、エリナの保護を頼んだ一行。
 それを承諾し、エリの逃亡については罪の軽減が約束される。
 そして事件はなにも無かったこととなり、またいつもの日常が訪れる。
「で、俺って、今回ほとんど出番無し?」
 と探偵所長につげるルオウ。
「ん? まあ、いいんじゃない? お前、何もかもぶっ壊す専門だろう?」
「いや、そうだけれど‥‥あーーーーーーーーーーーーーーーっ、何か納得いかない‥‥」
 と叫ぶルオウ。
「なら、思う存分に‥‥」
 とジークリンデが印を組み韻を紡ぐ。 
 その刹那、ルオウは激しい戦いの中に飛込んでいた‥‥という妄想に陥れられた。
「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、妖魔共掛かってきやがれーーって、ジークリンデ、とっとと術式を解きやがれぇぇぇぇぇぇ」
 同じ夢想師のルオウには、術であることがばれているようで‥‥。

──Fin