【四月】退魔戦記2
マスター名:久条巧
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 不明
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/04/17 22:12



■オープニング本文

──事件の冒頭
 この世界を作りし神々。
 様々な国で信仰されている神々の存在。
 だが、それらは全て、3つの神の眷族に過ぎないということを知って居るものは、ごく僅か。
 
 阿修羅(あしゅら)
 迦無羅(かむら)
 斗摩邪(とまや)
 
 これら『創造』『破壊』『混沌』の名を冠する三柱の神々の存在と、それらに連なる従属神たち。
 。
 そして、彼等と敵対し戦いつづけている存在『妖魔』。
 そのはて無き戦いは時間を越え、空間を越え、そして今の時代に受け継がれていた。

 時は現代。
 古の存在である『妖魔』が『妖魔界』より人間世界に侵攻を開始。
 それに伴い、彼等『妖魔』と戦う力を持つものが、少しずつ目覚めはじめていた。
 日本国政府直轄の『対妖魔組織』の長としてひそかに活動を続けていた『勇希サエラ』という女性の提唱により、日本各地に『対妖魔迎撃組織』を配備。
 但し、その存在は一般の人々に知られる事のないよう、一般企業や個人経営店としてカモフラージュし、一般の人々に妖魔の魔の手が伸びる事のないよう、影で戦い続けていた。


●時は2010年
 北海道、とある地区に新設の高校が作られていた。
 その建築現場にて、地下より古い遺跡が発掘された。
 北海道大学考古学部教授・加藤典善(かとう・てんぜん)は、この遺跡の調査を依頼され、その内部に潜入。
 内部は古い石造りの回廊と、その奥に在る玄室からなっている。
「ほほう。この石室には古い棺があるのう」
「あ、あの‥‥教授、これはなんでしょうか?」
 助手の鈴木次郎が懐中電灯で石棺を照らす。
 そこには朱で記された大量の文字と、無数に張付けられた『護符』があった。
「さて、とりあえず調査をして見ない事には始まるまい‥‥」
 ということで、石棺を外に運びだし、護符を丁寧に剥がすと、いよいよ石棺の蓋が解放された。
──ゴトッ‥‥ゴゴゴゴゴゴゴゴッ
 重々しい音が響き渡り、棺の蓋がはずされた。
 その中には、一体のミイラが静かに横たわっている。
「ふぅん。副葬品は『剣』と『鏡』と『珠』か。三種の神器を摸しているが、時代としては江戸時代中期頃の想定ぢゃな。科学分析をしてみたいところぢゃが、それは明日にしよう」
 と言うことで、その日の調査は終ったのだが。
 
 その翌日、棺の中のミイラの姿が消滅していた。
 そして時同じくして、札幌のススキノで、女性の変死体が発見された。
 ナイフのようなもので心臓をえぐり取られ、カラだぢゅうから血液が全て奪われているのである。
 その日を境に、毎夜、ススキノでは女性の変死体が発見されている。
 それも、身体の一部分が奪い取られているた形で‥‥。

──北海道・札幌・宇童探偵事務所
「で、本部長、警察の仕事をこういう所にモと困れると問題がありますが?」
 宇童探偵事務所の所長である『宇童悠』が、依頼人の北海道警察本部長にそう問い掛けている。
「まあそういう事をいうな、犯人は妖魔というのは判って居る。そいつが出るとなると、ここの仕事じゃないのか?」
「はいはい。では、変死体についての調査報告をと‥‥奪われたパーツを繋ぐと、内臓は全て揃っていますね。次に狙われるのは、どこのパーツでしょうか?」
「さあな。それを調べるのがお前たちの仕事だろう?」
「はいはいと。ミイラのデータはと‥‥ほう。ミイラの中はがらんどうだったのですか、で、X線の写真では、内臓部分は空っぽで、両目もなしと。次は目玉ですか?」
「知るか。まあ、ススキノエリアは警察でしっかりと巡回しているか、あまり怪しい動きはするなよ?」
 と告げると、本部長はその場を後にした。
「さて、美和君、メンバーに招集連絡を。事件内容は『再生しようとしている『伝承級妖魔』の再生阻止及び駆逐封印ということで‥‥」
 そう告げられて、美和とよばれた助手が登録メンバーに連絡を開始した。



※このシナリオはエイプリルフールシナリオです。実際のWTRPGの世界観に一切関係はありません。


■参加者一覧
神流・梨乃亜(ia0127
15歳・女・巫
水鏡 絵梨乃(ia0191
20歳・女・泰
ルオウ(ia2445
14歳・男・サ
荒屋敷(ia3801
17歳・男・サ
深凪 悠里(ia5376
19歳・男・シ
鈴木 透子(ia5664
13歳・女・陰
ブローディア・F・H(ib0334
26歳・女・魔
今川誠親(ib1091
23歳・男・弓


■リプレイ本文

●月夜に輝く瞳の奥には
──ススキノ周辺
「‥‥あまりそれらしい場所はないですねぇ‥‥」
 神流・梨乃亜(ia0127)は中島公園の番地に座り、静かにそう呟いている。
 ススキノの周辺で、教会や墓地等のミイラの出そうな場所について色々と調べてみたのだが。 御寺は彼方此方に点在、だが墓地はどこにも見当たらず。
 あと大きい場所といえば中島公園ぐらいでしかない。
「そのようだな。じゃあこのあたりはこれぐらいにして、そろそろ繁華街の方にもどらないか? 綺麗なお姉ちゃん達の出勤時間なんだよ‥‥」
 と呟いているのは荒屋敷(ia3801)。
「そうですね。では繁華街の方も調査して見ましょう」
 と梨乃亜が呟いたとき、荒屋敷の横に座っていた『猫又の博嗣』がピクッと耳を動かす。
(繁華街‥‥十字交差点あたりに二つの弱い妖気、その近くに大きな妖気が一つ。ほう、これはまた愉しい)
 と遠くを眺めるように呟く『猫又の博嗣』。
「急いで向かわないと」
 と慌ててたちあがる荒屋敷と、同じく『猫又の博嗣』に煽られるように走り出した梨乃亜の二人。
 だが、現場近くまでたどり着いた時には、すでに妖気は消え去っていた。
「‥‥おや? 二人と一匹でどうしました?」
 と十字交差点で荒屋敷たちを見掛けた水鏡 絵梨乃(ia0191)とルオウ(ia2445)の二人。
「そんなに息を切らせて、一体なにがあったっていうんだ?」
 とルオウが呟くと、梨乃亜が情況を説明した。
「かくかくしかじか‥‥ということなのです」
 なんて便利な日本の言葉。
 まあそんなことはおいといて。
「絵梨乃さんたちは何か掴めましたか?」
 と梨乃亜が問い掛けると、困った顔で静かに呟く絵梨乃。
「君ならナンバー1になれるって‥‥いかがわしい御店のスカウトさんが」
「あと、ナンパも3件あったなぁ。おねーさん何処行くの? 一緒に飲みに行かないって」
 と冷やかすように呟くルオウ。
「もう‥‥勘弁してください」
「はははっはっは。まあそれは置いといて。被害者の女性についての共通していることを調べていたのだが」
 と突然ルオウが真顔で呟く。
「とくに共通していることはないのですが」
 と告げる絵梨乃。
「ですが、明らかに絵梨乃さんを見ていたような妖気は幾つか確認できましたわ」
 と告げるのは、絵梨乃を影からガードしていたブローディア・F・H(ib0334)。
「で、そいつらは?」
「瞬時に消えてしまって、確認が出来ないのです。転移の炎で封じようとしたのですが、対象が目視できなければ、転移の炎は使えないもので‥‥」
 と告げるブローディア。
「数は?」
「3つ。どれも同じ強さですね」
 とルオウに告げるブローディア。
「あとは‥‥」
 と荒屋敷が粒やキ、すぐ近くにいた『街角の占師』の元に向かう。
 そしてその前の椅子にドカッと座ると、ゆっくりと話を始めた。
「‥‥今川、何か見えなかったか?」
 そう問い掛けられて、今川誠親(ib1091)は静かに頭を縦に振る。
「ここで街を見ていて、判った事が幾つかあります」
 と告げると、術師にしか目視できない人魂が集まり、それらが一斉に呪符となって今川の手の中に集まる。
 それを広げて、記されている文字を眺めると、今川はゆっくりと話を始めた。
「上級妖魔の妖気は3つ、中級が1、下級が大量というところですね。上級は人の姿に変化している他、外見では判別不能。妖気感知を駆使して調べてみるしかありません‥‥。今現在の場所については不明ですが、今一度探して見る異にしましょう。みなさんは1度、どこかの喫茶店にでも入っていてください」
 と告げると、今川は再び呪符を空にばらまく。
 それは人魂に姿を変化させると、蜘蛛の子を散らすように四方八方に飛んでいった。
「そう言われると仕方ないか‥‥じゃあ行くか?」
 と言うことで、一行は近くにあった喫茶店へと移動した。


●ミイラの行方
──ススキノ・十字街付近の喫茶店
「今回発見されたミイラですが、性別は女性であることは確認できました。副葬品などの調査の結果、江戸時代末期ごろの貴族の血筋、その家の娘ということまでは判りましたが、詳細までは‥‥」
 と報告書を呼んでいるのは鈴木 透子(ia5664)。
「そこまで判ったのですか。凄いですね」
 と梨乃亜が告げると、透子は照れ臭そうな表情を見せる。
「で、私の方ですけれど、まずはこれを見て頂けますか?」
 と深凪 悠里(ia5376)が一枚の地図を開く。
 そこにはススキノを中心と下巨大な魔法陣が描かれている。
「ほう。再生の魔法陣ですか。随分と古風なものですね」
 と皆の元に合流した今川が呟く。
「わ、判るのですか?」
 と絵梨乃が驚くが、今川は冷静に肯く。
「かなり古い陰陽の術印ですね。ですが禁呪であり、それを使えるものは殆ど存在しえませんが」
「ちょっとそれについての説明を希望するが」
 とルオウが告げると、今川が静かに話を始めた。
「簡単に説明しますと、この魔法陣の中央に、甦生したい人の肉体を安置します。次に六芒星の頂点にて、生贄を捧げますね。そうずればあら不思議、死体は甦生するという‥‥で、もしその死体が損傷していた場合、頂点にて必要な生贄は魂と欠損部分。損傷していなければ、魂のみです。波時間帯は深夜、丑三つ時がもっとも効率良いかと‥‥」
 その言葉に、悠里が時計を見る。
「今が午後4時‥‥誰そ彼時(たそがれどき)ですね?」
 その言葉に肯く一行。
「透子さんの報告により、のこされた欠損部分は右目のみ。同じく悠里さんの地図から、儀式を行う場所が『中島公園入り口奥』ということも判りました。作戦としては、その時間帯に囮を配備、襲いかかってきた所を一気に仕留めるという事で?」
 その今川の言葉に肯く一行。
 かくして作戦は開始された。


●妖怪、殺ろうぜ
──ススキノ付近・中島公園入り口奥の芝生
 静かな深夜。
 その側で、囮役の絵梨乃が静かに歩いている。──ヒタヒタヒタヒタ
 その背後から、奇妙な足音が響くと、絵梨乃の歩く速度が速くなる。
──スタスタスタタタスタスタスタタタ
 その速度に合わせて、一つ、また一つと足音が増える。
 全部で3つの足音に、絵梨乃はついに走り出した
──ドドドドドドドドドッ
 そのまま近くの茂みまで駆けこむと、絵梨乃は周囲を見渡す。
 その視界には、鎧を着た武者が3人、あきらかに絵梨乃を探しているそぶりであった。
「‥‥さて、アンタ達は一体誰を探しているんだい?」
 と、路上に姿を表わすルオウ。
 そのままゴキゴキッと拳を鳴らすと、ゆっくりと身構える。
「贄を何処にかくした?」
 そう告げる鎧武者。
「さあねぇ。知りたかったら、俺を倒す事だなっ!!」
 と叫ぶや否や、高速妄想を開始するルオウ。
「想着っ!!」
 そう叫ぶや否や、ルオウの全身が輝く、真紅の赤い皇室なスーツが身を包む。
 そのまま一体の鎧武者に向かって殴りかかると、勢いよくその胴部に向かって連撃を叩き込む!!
──ドゴドゴドゴドゴドゴッ
 その攻撃を受て、数歩後方に下がる鎧武者。
「覇っ!!」
 一気に全身を駆け抜ける気を練り上げると、それを踵に集結する絵梨乃。
 そのまま勢いよく茂みから飛び出すと、一気に身体を丸めて前転宙返り。
 そして踵をルオウの前にいた鎧武者に向かって叩き落とす!!
──ドゴォッ
 その直撃を受けて、フラフラと下がる良い武者であった。

──その頃、別の鎧武者はというと
「ねこさんねこさん、猫パーーーンチ」
──ドゴォッ
 夢想師である梨乃亜が生み出した巨大な猫。
 その猫パンチを受けて悶絶する鎧武者。
「浄化の炎よっ!!」
 悠里がその手の中に、一つの炎を生み出す。
 そしてそれを鎧に向かって投げると同時に、素早く印を組み韻を紡ぐ。
「炎、舞・・・・炎よ、我が声が聞こえるならば、意志を示せ‥‥浄化の炎よ、龍となりて彼の敵を打ち砕かん!!」
 すかさず送り火を操りリュゥを生み出すと、その巨大な顎によって呑み込まれる鎧武者。
 その一撃で、鎧のあちこちがくだけ散り、中から白骨化した死体が姿を表わす。
「‥‥姫様と共に殉死した家来ですか‥‥」
 と告げると、カバンから大量の呪符を取出す透子。
「呪‥‥符撃之理、我悪敵之滅亡望‥‥」
 すかさず呪符を投げると同時に、『呪符操術』を発動する。
 その刹那、大量の呪符が竜巻となり、死体の見えている鎧に向かって襲いかかる。
 次々と呪符が張り付き、そして鎧武者の全身を被いつくした。
「‥‥爆っ!!」
 そう叫ぶと同時に、全ての呪符が爆発し、鎧武者が木っ端微塵となった‥‥。

──さらに別の鎧武者
「炎、弩・・・・炎よ、その姿を灼熱の矢と化し、全てを貫けっ!!」
 その手の中に生み出した炎を弓矢に変化させると、ブローディアはそれを鎧武者に打ち込む。
──ドスッ!!
 それは胴部に深々と突き刺さると、莫大な炎を生み出した。
「次弾装填っ!! 炎よ、我が手に来たれ!!」
 その言葉と同時に手をまわす。
 と、そこに新しい炎の矢が生み出されていた。
「さて、そろそろ結界でも仕掛けますか!!」
 パァンと柏手を打つ荒屋敷。
 それと同時に、『猫又の博嗣』が時空結界を発動、このエリアを多次元空間に封じ込めた。
「では頼みます!!」
 と叫ぶと、己の体内の妖力を『猫又の博嗣』に注ぎこむ。
「白虎転生‥‥来れり、『荒神白虎』っ」
 そのキーワードと同時に、『猫又の博嗣』が巨大化し、白虎に変化する。
──ガルルルルルルルルルルルルルルルルルッ
 低く叫ぶ白虎。
 そしてすかさず間合を詰めると同時に、一撃で鎧武者の頭部を粉砕した。
「‥‥さて、ではおわりにしますか‥‥」
 そう告げると、今川が静かに印を組み韻を紡ぐ。
「輪廻転生‥‥その理に従いて、かの妖魔達を楽土へと誘いたまえ‥‥いでよ、不動明王っ!!」
 その刹那、足元に巨大な曼荼羅が展開し、そこから不動明王の八大童子が姿を表わす。
 そして3体の鎧武者を捉えると、そのまま大地の奥底に封じ込めた‥‥。
「ふぅぅぅぅ。今回も無事に制御できました‥‥」
 と安堵する今川。
「で、あとは魔法陣の中心からミイラを回収するだけか‥‥」
 とルオウが告げると、一行はそのまま魔法陣の中心へと向かっていった。


●後日談
──宇童探偵事務所
 ミイラの回収も無事に終え、大学の研究部では解析作業が始まった。
 大地の奥に封じられた従者達についてはもうこの世界に姿を表わす事はない。
 が、本体であるミイラから大量の妖気が検知された為、研究は調子となり、封印処理が行なわれた。

 ふるき時代の姫。
 その肉体は再び艶を取り戻すことなく、永遠の時間に封じられていった‥‥。
 またいつか、その封印が解除される時まで。


──Fin