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■オープニング本文 ──事件の冒頭 泰国東方の凰凱。 この都市に面している海では、天然牡蠣の漁が盛んに行なわれています。 ここ数月は最盛期ということもあり、大勢の猟師が海に潜り、海底より牡蠣を最終していました。 まあそんなことはさておき。 この凰凱の近くには豊富な地下資源を有する山脈があります。 その一角では、現在古い遺跡から『宝珠』を発掘する作業がおこなわれているのですが、ここ最近になって、この遺跡に『あやかし』が住み着いてしまったらしいのです。 坑道で作業して附いる人たちが次々とそのあやかしに襲われ、命を落としたものすら出ています。 このままでは発掘作業が遅々として進まないので、何とかして欲しいという依頼が開拓者ギルドに届けられました。 ということで頑張ってください。 ●遺跡発掘現場について 中央にある本棟(作業員の棲み家)と、その近くにある岩肌にあいた洞穴から構成されています。 内部は深く入り組んでおり、トロッコによる移動が行なわれています。 坑道の彼方此方には光を発する宝珠が配置されており、これによって内部は明るく照らされています。 最深部まで降りていったトロッコは、地下より『牽引もふら様』に引かれて昇ってきます。 地下最深部には、石造りの古い街並みが広がっているらしいですが、まだそのほとんどは埋まっています。 |
■参加者一覧
ヘラルディア(ia0397)
18歳・女・巫
暁 露蝶(ia1020)
15歳・女・泰
氷(ia1083)
29歳・男・陰
朱麓(ia8390)
23歳・女・泰
エメラルド・シルフィユ(ia8476)
21歳・女・志
雪切・透夜(ib0135)
16歳・男・騎
ライオーネ・ハイアット(ib0245)
21歳・女・魔
ハッド(ib0295)
17歳・男・騎 |
■リプレイ本文 ●ということで ──凰凱・漁業ギルド 「ああ、あの鉱山かぃ。あそこは昔からあるらしくてねぇ‥‥」 と話を始めたのは、漁業ギルドの顔役の人。 その手前の椅子には、聞き込みにやってきた暁 露蝶(ia1020)が座っている。 「というと、今回鉱山に出没しているようなあやかしが、昔からその辺りにはいたと言うことですか?」 と身を乗り出して問い掛ける暁。 「そうさなぁ。言伝えでは、その遺跡の近くには古い御社があってねぇ。そこに封じられていたアヤカシが、封印から解放されてその辺りを徘徊しているっていうのがあったねぇ」 「そ、そのアヤカシというのは?」 「ああ、人型のあやかしで、手には様々な武器を持っていたって言う話だよ。確か、元々は人間だったのだけれど、『闇霧の武具』を手にした途端にアヤカシに変化してしまったらしい。それで今でも、その武具を身から外すことはないということらしい」 「では、その封じられている御社に何か重要な手掛りがあるのかもしれないのですね?」 と問い掛ける暁に、顔役は静かに肯くだけであった。 ──凰凱近郊の山脈・遺跡発掘現場にて 「ええっと、この地図のあたりで見掛けましたね」 「俺はこのあたりだったな。二人で仕事をしている時に突然フラッと姿を表わして、そのままフラフラとうろついていたが」 「そうだそうだ。何かを必死に探しているみたいだったぞ?」 「いや、俺はこの辺りで追いかけられて蹴られたが」 「僕も、僕もこのあたりですね。物陰に引きずり込まれそうになって、それはもう‥‥」 「俺、ここで突然切りかかられてきたが。あ、俺の持っていたナイフを奪われて、それでね‥‥」 ということで、現場の作業員太刀から聞き込みを行なっていた氷(ia1083)が、作業員たちの話を聞きつつ地図に印を付けていく。 「ふぅん‥‥出没地点が思ったよりも簡単に絞れたが‥‥どうするんだ?」 と地図を眺めつつ呟く氷。 「おおよその襲撃ポイントがここか‥‥どうすればいいんだ?」 と、目の前の地図を眺めつつ呟く。 地図に出た地点は全部で12ヶ所、そのどれもが作業用トロッコの合流地点ばかり。 つまり、合流地点に張り付いていれば、おのずと敵が姿を表わすということに。 「まあ、誰かが張り付けばいいか‥‥」 と呟いて、氷は情報と地図を仲間の元へと届けに向かう。 ──さらにギルドでは 「朱墨入りの壷ね。まあ何に使うかは知らないけれど、大切にね」 と告げられて、朱麓(ia8390)はギルドの受け付けから朱墨の入った壷を4つ受け取る。 「すいません。たいせつにお借りします」 ということで、朱麓はそれを手に出発準備を行うと、そのまま現地へと向かい、情報収集を開始する。 ちょうど現地では氷が作業をしていたので、それに同行する形で聞き込みを開始していた。 だが、氷のいうように軽く緩やかな坂道では有益情報を引出すことを待っているのも危険すぎる。 とりあえず二人は、そのまま他の仲間たちの合流を待つ事にした。 ●突撃、闇の回廊へ ──凰凱近郊・遺跡の管理小屋 すでに看破伝いはここに集まっていた。 各々が地図をうけとると、 さっそく行動を始した。 ──最下層分岐所 ライオーネ・ハイアット(ib0245)は静かに目前のアヤカシに向かって身構える。 丁度、眼の前に立つ全裸のアヤカシが、得物の捕食を終えて立上がった所である。 「おやおや、アヤカシには羞恥心っつー物が無いのかい?‥‥この破廉恥女が」 と朱麓が声を張り上げて挑発する。 が、そう叫びつつも顔中真っ赤に染め上げている。 「オ‥‥ンナ‥‥タベタイ‥‥」 そう呟きつつ、全裸のアヤカシはゆっくりと二人に近づいていく。 ──ズルッ‥‥ドロッ‥‥ 身体から青臭い異臭を放ちつつ、その事前らのアヤカシが近づいてくる。 「ち、近寄らないでください」 ヘラルディア(ia0397)がそう叫ぶと同時に、『力の歪み』を発動。 ヘラルディアに振れようとしたアヤカシが、歪んだ空間に手を振れてしまいスルッと倒れる。 ──ドサッ 「ま、まあ‥‥これで最後にならないようにしないと‥‥」 と告げつつも、エメラルド・シルフィユ(ia8476)と朱麓の二人も一気に間合を詰めていき集中連打を叩き込む。 「「あはははははははっ!ほら、もっと啼きな‥‥良い声でさぁっ!」 「‥‥‥‥」 ハイテンションの朱麓と、それと対照的 沈黙を保ちつつ斬りつけていくエメラルド。 必死に抵抗の姿勢を見せつつも、どうやら『戦闘型ではない』あやかしなのであろう全裸の女性は、そのままその場で蒸散し消滅した‥‥。 ──第二分配地点・男性型 ドッゴォォォォォォォォォォォォォォォォォッ 激しい一撃で思いっきり後方へと吹き飛ばされていくのは暁である。 この第二分配地点で、暁とハッド(ib0295)、そして氷の3名は男性型アヤカシと遭遇。 そのまま戦闘に突入していた。 「まったく‥‥発掘の邪魔をするなんて、なんか思い入れでもあるのかね」 とボヤきつつ、氷は『魂喰』を発動。 そのまま巨大な顎型の式鬼を召喚し、男性型アヤカシに向かってけしかける。 ──ガギカギガキガギッ その顎に食らわれつつも、男性型は必死に攻撃の手を休めることはない。 「まったく。我が輩に余計な仕事をさせるでない」 と叫びつつ、ハッドもまたシザーフィンで次々と切りかかる。 そしてハッドに気を取られている一瞬のうちに、暁が男性型の胸部に深々と拳を叩き込んでいく。 「こんな所じゃなく、擂台の上で生身の身体のあなたと戦いたかったわよ‥‥」 ──ドゴドゴドゴドゴドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ 激しい6連撃。 これには流石のアヤカシも後方へと一旦下がる。 ──ガギカギガキカギガキカギガキガキガギカギカギッ そこに間髪入れずに氷の『魂喰』が遅い掛かり、敵の右腕を肩口からかみ砕き、ひきちぎった。 「おうおう、その調子じゃ、皆頑張って功労を上げるがよい!!」 と笑いつつ武器を片手にじっと身構えるハッド。 「ちょっと、少しは手伝ってくれてもいいじゃないの」 そう叫ぶ暁。 「心配無用。ではそろそろ参る!!」 と叫んですかさず間合を詰めると、次々と連撃を叩き込んでいくハック。 その男性型あやかしを挟む形で、暁もまた集中連撃を叩き込んでいった。 必死に抵抗姿を見せる男性型であったが、ついに力を失い、戦い ながら蒸散していいった‥‥。 ──第五分配地点・女性型 ズザザザザァァァァァァッ 激しく後方に吹き飛ばされるのは雪切・透夜(ib0135)。 この地点で敵の奇襲にあい、二人が他のメンバーと分断されてしまう形となってしまった。 ──ヒュルルルッ‥‥バリバリバリレバリッ 次々と繰り出される剣戟と魔術。 その類希なるチームプレイに、女性型アヤカシもかなり押し切られそうになっている。 そしてついに『二人の攻撃が直撃し、じょじせょに蒸散していく。 それでもなお、女性型アヤカシは手にした拐の連撃を止める事は無い。 ──ドゴゴゴゴゴゴゴゴコゴッ 激しい迄の連撃。右手の拐は正面の雪切に、そして後ろのまもりには左手の拐による『絶対防御』が起動している。 「こ、こりままじゃ埒が空きませんわ) そう必死に抵抗を続ける二人であったが。 「助太刀にっ!!」 突然騒動を終えて駆けつけたエメラルドが勢いよく抜刀して最悪の事態に終止符を打つ。 「それぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ」 その一撃で女性型アヤカシは蒸散した。 ●後日談 坑道に無出没していた3体のあやかしは全て蒸散した。 その後、万が一を考えて暁が回収してきた『封じの壷』を地下坑道で開き、そこに『何か』が集まったのを確認すると、再度壷の二を封印した。 遺跡内部では再び発掘作業が再開され、また幾つかの稀少な『宝珠』は凰凱へと運びこまれるのであろう。 「‥‥一つもダメですか?」 そう恐る恐る問い掛けるのは雪切。 初屈されている宝珠を一つ欲しいと頼み込んだのであるが、ここで発掘される宝珠は全て凰凱の研究し節へと届けられ、そして後日使えるものに加工されたのち王都へと送られているのである。 そのしくみを理解した一行はその後しばらくの間、宝珠発靴を手伝い、4つの宝珠の発靴に成功。 いつかそれらは、形を代えて再び開拓者の手に戻ってくるのかもしれない‥‥。 ──Fin |