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■オープニング本文 ──事件の冒頭 泰国東方の凰凱。 この都市に面している海では、天然牡蠣の漁が盛んに行なわれています。 ここ数月は最盛期ということもあり、大勢の猟師が海に潜り、海底より牡蠣を最終していました。 ですがここ最近。 この漁場周辺に巨大鮫が姿を表わしました。 猟師たちも、この程度は日常茶飯事と、いつものように追い返そうとしていました。 ですが、この日は違ったのです。 追い払おうとした猟師は巨大鮫に襲われ、帰らぬ人となってしまいました。 さらに猟場に仕掛けてあった網を食い破り、牡蠣を取る為の素潜りすら出来なくなってしまったのです。 事態を重く見た漁業関係者たちは、開拓者ギルドにこの巨大鮫の退治を依頼。 ギルドで詳しく調査した結果、この巨大鮫は『あやかし』であることも判明しました。 ですが、この寒い冬で、しかも水中戦まで想定しな待てはならない事態。 事情を察してくれた漁業ギルドでは、巨大鮫を退治するために小型の船と銛(モリ)は貸与してくれるそうです。 みなさんはどうしますか? |
■参加者一覧
朝比奈 空(ia0086)
21歳・女・魔
樹邑 鴻(ia0483)
21歳・男・泰
北条氏祗(ia0573)
27歳・男・志
花脊 義忠(ia0776)
24歳・男・サ
白蛇(ia5337)
12歳・女・シ
早乙女梓馬(ia5627)
21歳・男・弓
ブローディア・F・H(ib0334)
26歳・女・魔
壬護 蒼樹(ib0423)
29歳・男・志 |
■リプレイ本文 ●静かなる海域 ──泰国東方・凰凱 「まあ、ギルドから話は聞いているから。必要になったらいつでもおいで」 と凰凱の港にある港湾事務所で、事務所員が樹邑 鴻(ia0483)に告げている。 「すまない、助かります」 と丁寧に頭を下げる樹邑。 「ああ、三隻だろう?」 「それとできれば、魚や家畜を解体したときに出る血がほしいのですが」 「港に話はいれておいてあげるから。その時にはいつでもおいで」 ということで、移動用の船と餌となる血の確保に成功した樹邑。 ──その頃 「ふう。これで少しは暖が取れる」 とホクホクとした笑顔で告げる壬護 蒼樹(ib0423)と、巨大な桶を手に横を歩いている早乙女梓馬(ia5627)。 「こっちもあとは詰め込むだけですね」 と告げつつ、早乙女も血まみれの桶の周囲を観察していた。 「ん? 何か気になった事でもあるのか?」 そう告げる蒼樹に、早乙女は一言。 「この時期の海はとにかく天候が荒れやすい。寒さをしのぐ為、防寒着を身につける必要もあるが、いざ戦闘になった場合は外さないと」 「ああ、そうだな。気を付けるよ」 と蒼樹が告げると、二人は皆の待つ酒場へと向かっていった。 そして一通りの準備が出来ると、一行はそのまま港にある港湾事務所へと足を踏みいれ、出発の許可を受ける事が出来た。 ●海上にて待つ ──泰国・凰凱・港にて 「無事に出港したのはいいのですけれど」 と凰凱の見なとから海上に出た一行。 白蛇(ia5337)が漁師たちからもらったさかなの肉片や血の詰まった自家製の囮『もふらぬいぐるみ』を海上に放つ。 浮きのおかげでそこまで沈むことはないものの、浮きがプカプカと浮いていて妙に楽しそうである。 その別の船では、北条氏祗(ia0573)がやはりおなじく猟師から戴いてきた魚の血を大量に海に播く。 「これでよし。あとは得物が掛かってくれるのを待つばかりか‥‥」 そう告げる北条に、近くでその様子を見ていた朝比奈 空(ia0086)も静かにうなずく。 「それにしても、この石とっても温かいですね花脊さん」 と空が花脊 義忠(ia0776)に話し掛ける。 ちなみに花脊の寒さ対策というと。 港で火をガンガン燃やしといてもらって、その中に熱が長持ちしそうで適度な大きさの石を放り込んで適度に温めて、布でくるんだモンを全員分用意しとくというものである。 まあ、この寒さ対策のおかげで、皆がそれほど凍り付かないようになっていた。 ──ザザーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ と、突然、海上にいくつものせびれが姿を表わす。 「鮫だ!! 鮫がでたっっっっっ」 と叫びつつ臨戦体勢を取る蒼樹。 「行きます!!」 ──シュシュシユンッ!! 次々と手裏剣を飛ばしていく朝比奈。 その幾つかは突き刺さり、鮫が慌てて潜っていく。 「消えましたわ」 「ああ。が、また上がってくる」 と樹邑が付けだ刹那。 ──ドッゴォォォォォォォォォォォォォォッ と掌から気の塊を射出する樹邑。 「よしっ」 と鮫の移動ルートを計算、そっちの方向へとと移動していく。 ちなみにその方角では、すでに別の船が待機。 「いきますわよ。サンダァァァァァァァァァ」 とブローディア・F・H(ib0334)が印を組み韻を紡ぐと、力一杯叫ぶ。 ──バリバリバリバリッ その雷撃を受けて、鮫がさらに暴れもがく。 「どっせぃっっっっっっっっっっっっ」 巨大銛を構え、それを力一杯鮫の背中に突きたてる蒼樹。 ──グワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ 絶叫を上げてもがく鮫型アヤカシ。 必死に抵抗する姿に、さらに次々と銛が突きたてられていく。 「えいえいえいっ!!」 長い柄の槍で次々と鮫の肉体に攻撃を付けていく事が重要なんだなと頑張る白蛇(ia5337)。 「それにしても、こんなに簡単に倒せる相手なのに、どうして今まで何事も無かったのでしょうう?」 と貴方を捻る朝比奈。 その通り、既に海上のアヤカシは息も絶え絶えの状態。 「それじゃあ、これで最後だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」 「食らえっ!!」 と豪快に銛を頭に突き刺す花脊と樹邑の二人。 ──バシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ と銛は寸分たがわず鮫の頭部と心臓の位置を貫く。 やがて実体化できなくなり霧散化していくアヤカシ。 「‥‥これでおしまいなのか?」 と北条も呟くが、どうやらこれで終ったようなので一行は1度港へと戻っていった。 そして報告を行うと、其の日は一旦宿へと戻っていったらしいが‥‥。 ●リベンジ ──凰凱 そして翌日。 一行は依頼成功報告書の件で開拓者ギルドへと足を向けた。 そこで、今だ鮫型アヤカシが生存しているという情報を聞きつけ、それらを全て退治すべく今一度船を借りて沖合へと向かっていったのですが。 そこで一行は、沖を回遊する巨大アヤカシの群れを確認しました。 「ち、ちょっと、こんなの聞いていないよっ」 「数が多すぎます。これがもしあやかしというのでしたら、一体どうやって退治していったらいいのですか!!」 そう叫ぶ白蛇。 「まあ、一つ一つしらみつぶしに粒死していった方がいいということですね 「あーあ。」 と朝比奈が告げると、そのまま一行は再び巨大鮫を退治し始めた‥‥。 やがて、いままでにみたことのない大きさの鮫型アヤカシが姿を現わした。 「これが、苛の中に出てきていたものですね」 と朝比奈が呟くと、素早く印を組み韻を紡ぐ。 「精霊よ。彼のものの身を焼きつくしたまえ‥‥清浄っ」 ──ゴゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ と、朝比奈の上演が発動。 その清らかなる炎で身を焦がされていく鮫型アヤカシ。 「フゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウ」 ゆっくりと呼吸を整え、そのまま手にした朱槍を構える樹邑。 ──ザッバァァァァァァァァァァァァァァァァッ と突然鮫が跳躍し、樹邑の乗っている船に向かって体当たりを仕掛ける。 ──ドシュュュュュュュュュュュュュュッ それにカウンターを叩き込むタイミングで、樹邑の朱槍が鮫型アヤカシの皮膚を貫く。 ──ドッカァァァァァァァァァァッ だが、鮫の体当たりで船体は木っ端微塵となり、あわてて近くの船へと避難する樹邑。 「まだまだっ!!」 そのまま鮫の体当たりに合わせて北条もまた鮫に向かって一撃を叩き込んだ。 しかも『乞食清光』を鮫の肉体に突き刺し、そのままもう一本の『乞食清光』も突き刺した。 その激痛に必死に身もだえする鮫と、そこから放されないように必死に耐える北条。 そのまま鮫は1度深い海の底まで潜っていくが、すぐにまた海面近くへと戻っていった。 「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁ」 と突然花脊が手にしたローブを引く。 ──ドシィィィィィィィィィィィィィッ と、それは海中に仕掛けてあった網に繋がっており、ちょうどその網に鮫が引っ掛かる形になっていた。 「いくぞぉっ。ファイトォォォォォォォォォォォォォォォォォオオ」 と花脊が絶叫する。 「いっぱぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」 と花脊に答えるように蒼樹が反対側で同じ様にロープを引く。 そのまま網に囚われた鮫と、巧くタイミングを合わせてそこから離れる北条。 ──ドスッ 長柄槍で次々と連撃を仕掛けていく白蛇と、おなじく弓を構えて矢屋を叩き込む早乙女。 巧くコンビネーションが決まりつつある中ブローディアのサンダーがとどめを差した。 「まあ、この程度でしたらこれで十分ですわね」 と満足そうに告げるブローディア。 ●だが ──凰凱 依頼を終えた開拓者一行は。 そのまま酒場でゆっくりとした時間を過ごしている。 今回の依頼でボス級の大型鮫は対峙したものの、また小型の鮫型アヤカシとの戦闘が発性。 その現象が起きる海上エリアを調査した結果、その位置の水深20Mほどのところで、巨大な牡蠣が横たわっているのを確認でた。 そして鮫型アヤカシが退治されると、その牡蠣の周囲でまた鮫型アヤカシが発生しているという現象が確認できた。 「あれは‥‥食べられないか‥‥」 「全くだ。こんな屈辱は始めてだ」 と呟く花脊と蒼樹。 そのまま花脊と北条の二人がロープを縛った銛を次々と牡蠣に向かって放つ。 だが、水中の敵で、しかも飛び道具という最悪の条件下である。 ターゲットには銛は届かず、そのまま何事も無かったかの用に巨大牡蠣は再び広された鮫型アヤカシの再生を開始。 「‥‥このままじゃあ堂々巡りですわ」 ブローディアが力の続く限りその牡蠣に向かってサンダーを叩き込む。 それが禍したのか、牡蠣の周辺での鮫型アヤカシの再生は行なわれなくなった。 ここまでくるとあと一息。 残った鮫型アヤカシを次々と退治してミッションコンプリート!! ●後日談 鮫が全くでなくなってしまった海。 夏には大勢の観光客でこの都市は活性化する。 今の時期は、そのための力を蓄える時期。 鮫型アヤカシで破壊を逃れたものは時折姿を見せるものの、現時点では何か悪質なコトが出来るのでは無い為、被害が全くでていない。 そして破壊した筈の牡蠣型巨大あやかしも再生したらしく、従来のような巨大なものではなくなったものの、再び小さい牡蠣として存在している。 またなにかあったとき、再び開拓者達によって解決するのであろう。 それまではしばしのオワカレということで‥‥ ──Fin |