【泰国】定例擂台賽・壱
マスター名:久条巧
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 難しい
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2009/12/17 17:28



■オープニング本文

──事件の冒頭
 ザワザワザワザワ
 大勢の人々で賑わう街。
 ここ泰国中央にある『昇竜(しょうりゅう)』では、最近になって大勢の人々が出入りするようになっていた。
 というのも、先月行なわれた定例対抗戦。
 それが予想外に盛り上がってしまったのである。
 そして今月もまた、定例の対抗戦が間もなく開催される‥‥。


●さて、ここでこの街についてのおさらいをしよう
 ここ昇竜は、『風龍八十八聖』の一聖である『臥天人・碓一(がてんじん・たいいつ)』とその一派によって襲われたことがあった。
 現在、その首謀者である『臥天人・碓一』は別の街の制圧で遠征しているため、現在、この街は彼等の手下によって監視されていた。
 監視されているため、昔どの自由はない。が、そこそこに街は復興し、監視下であるにも関らず人々の表情はどことなく明るい。
 というのも、『臥天人・碓一』という男、武術を愛し、武術の強いものを高い地位に召し抱えるというお御触書を出していた。
 その為、この街では定期的に道場の対抗戦が行なわれ、どの道場が一番強いかというのを争っていた。
 

●そして本題
──紅道場
「間もなく‥‥今年最後の対抗戦ぢゃのう‥‥」
 窓のそとをぼんやりと眺めつつ、一人の老師が静かにそう呟く。
「ええ。紅老師。対抗戦ですねぇ‥‥」
 紅飛鴻(ふぉんふぇいうぉん)と呼ばれた老師と、その横で静かに外の松を眺めている一番弟子の白蘭那。
 この紅道場は現在、先月の大会での好成績によって門下生が一気に増えていた。
 だが、それらの中から大会に参加し、好成績をはじき出すほどの実力がある弟子が海豚といえば、皆無である。

 道場の方針である『無益なる戦いの禁止』は今だ健在。
 戦わないで済むのであれば、戦わないほうがいいとい教えは弟子全てに伝播している。
「では紅老師。次の対抗戦は我が道場は欠席ということでよろしいのですか? 全ての道場は参加するべしと御触書が‥‥」
「ふむふむ。で、参加しなかった場合はどうなるのぢゃ?」
「相変わらず、道場の取り壊しと立ち退き、ついでに私達はこの街から追放となりますが‥‥」
「ふぉっふぉっふぉっ。その程度なら問題はあるまいて‥‥」
「いえいえ。我が道場に住み込みで来ている門下生達が路頭に迷ってしまいます」
 白がそう告げると、紅老師は静かに肯く。
「しかしのう。参加できるのは弟子と門下生のみ。しかし、我が門下生はまだ基礎の段階。基礎もまだまだな門下生など、危険過ぎて出す事は許さぬ」
「でしたらもう一度、開拓者のみなさんに門下生になっていただきましょう。対抗戦に参加して、体面だけでも保たなくては‥‥」

 ということで、紅道場でも門下生を募り、対抗戦に参加することとなったのだが。
 はたしてどうなることやら


●依頼内容
 
 。
 
──補則
初期場所:泰国中央・桃華
仮想敵 :町の中の、他の泰国拳士さんたち
施設等 :紅道場、昇竜飯店(昇竜最大の酒場兼宿)、各種道場(大体20前後)、旅泰街(商人街)等
注意事項:白紙はマスタリング対象外




■参加者一覧
恵皇(ia0150
25歳・男・泰
水鏡 絵梨乃(ia0191
20歳・女・泰
小伝良 虎太郎(ia0375
18歳・男・泰
酒々井 統真(ia0893
19歳・男・泰
秋霜夜(ia0979
14歳・女・泰
静雪・奏(ia1042
20歳・男・泰
赤マント(ia3521
14歳・女・泰
佐竹 利実(ia4177
23歳・男・志


■リプレイ本文

●寸劇
──昇竜・紅道場
 静かな風がたなびく。
 いつもの紅道場、道場主である紅老師の頼みを聞いて、今月も大勢の開拓者達が集まってきました。
 現在道場の武舞台では、恵皇(ia0150)と紅老師が静かに手合わせを行なっている。
「本当に良いのですね?」
「構わぬ。若い者や開拓者の皆が頑張っているのに、道場主たるワシが動かずしてどうする?」
 と、激しく酔っている紅老師がそう呟く。
 足元は千鳥足になっているが、その動きを見て水鏡 絵梨乃(ia0191)は顔面蒼白になっていた。
(ここまで完璧な猿歩法は初めて‥‥この師父、只の人じゃない‥‥)
 絵梨乃は酔拳を納めている。
 まだ未熟なれど、そこそこにいい素質を持っているらしい。
 その彼女が、紅師父の動きを見て絶句しているのである。
「ひっく‥‥うぃー」
 そのままフラフラと恵皇に近付く紅師父。
──ヒュヒュヒュンッ!!
 その動きを見て恵皇も次々と連撃を仕掛けていく。
 だが、それらはことごとく躱わされ、すぐ近くの間合にまで紅師父を許してしまった。
「ほれっ!!」
──ドッゴォォォッ
 紅師父の左右の正拳が恵皇に叩き込まれる。
 鉤拳という、指を鍵爪のように固定した独特の打拳である。
「ぐふっ‥‥い、一撃が重過ぎるってば‥‥」
 そのまま後ろにフラフラと下がりつつも、呼吸を整える恵皇。
 だが、そこから恵皇も反撃を開始。
 気功破を撃ちつつ間合を詰めると、そのままタックルで紅師父の動きを止める。
──ガシッ!!
 そこから一気に紅師父を持ち上げて床に叩きつけ‥‥れないっ!!
「痛っ‥‥」
 恵皇の両腕の内側に鉤拳を叩き込むと、そのままつまんで引っ張っている。
──ギュゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ
 その痛みに絶句し、腕を放してしまう恵皇。
「そ、そんな技ありですかっ!!」
 そう叫ぶ恵皇に、紅師父は一言。
「では、これではどうじや?」
 と告げた刹那。
──ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴココゴッ
 恵皇の背後に紅師父の姿が移動していた。
 そして恵皇は、全身に無数の蹴りを受けて失神している。
「む!! 無影脚っ!! 酔拳の奥義の一つと伝えられている‥‥どうして師父が!!」
 そう絵梨乃が叫ぶ。
「ふぉっふぉっ。お嬢さんも酔拳を納めているのかな?」
 そう師父が戻ってきて告げると、絵梨乃が静かに肯く。
「憶えておきなさい。泰拳と呼ばれる武術が、実際はこの泰国に無数にある流派の総称の一つであるように、酔拳もまたいくつかの酔拳の流派を纏めた総称であることをのう」
「といいますと?」
「元々酔拳というのは、泰国に古くから伝えられている8人の仙人によって作られた酔八仙拳が最源流技。そこから幾つかの流派が生まれ、一般的にそれらをまとめて酔拳と呼ぶようになったのちゃよ‥‥分類的には地功拳(ちこうけん)と呼ばれているものぢゃが‥‥それを語るにはまだ速かろうて」
 と告げると、静かに茶を呑みはじめる。
 一般的には、酔拳と呼ばれているものは『西海酔拳』や『酔酒魯智深力拳』『八酔羅漢拳』といった各方面に根付いているものが多く、それらの源流と呼ばれている『酔八仙拳』に至っては、今は伝えているものが殆ど存在していないというのが一般的にな通説となっている。
 その為、生きている伝承者など絵梨乃にとっては信じられない存在でしかない。
 道場では門下生達が、さらなる修行を始めた。
 恵皇と老師の手合わせが、見ていた者たちのやる気に火を付けたのであろう。
「私も一手お願いします!!」
 そう抱拳礼で告げるのは静雪・奏(ia1042)。
 ここの門をくぐってから、静雪はずっと紅道場の基礎訓練を行なっていた。
 そしてある程度の型を納めると、そのまま師範代に告げている。
「では、簡単な手合わせからいきましょうか‥‥」
 と告げられて、静雪はそのまま特訓モードに突入のようで。

──その頃の昇竜飯店
 ガツガツガツガツガツガツガツ
 次々とお櫃の中の飯を平らげているのは小伝良 虎太郎(ia0375)と許康の二人。
「おかわり」
「こっちもだっ!!」
 とまあ、一体何があったかというと。
「実は‥‥」
 秋霜夜(ia0979)が言うことには。
「情報収集と腹ごしらえを兼ねて、虎太郎さんと二人でここにやってきたのです。虎太郎さんはそのついでに『黒龍泰拳道場』についての情報や噂話を聞いていたのです。そこで、黒龍道場がかなり強引に門下生や師範代を引き抜いたり、一般的な擂台賽では他の道場の有力拳士に対して闇討ちをしたりしていたらしいのです」
 そう告げると、霜夜は机からお茶を取ると、それを一口呑む。
「ふぅ。いいお茶ですね。で、話は戻りますが、そんな虎太郎さんがここに偶然来ていた黒龍道場の許康に目を付けられ、因縁を吹っ掛けられたのです。そして勝負だということになって‥‥どっちが大量の飯を食べれるかと‥‥」
 まあ、拳では不味いという事もあり(この店では店内での暴力行為は御法度)、ならば‥‥ということらしい。
「つまり、どっちも阿呆ということでいいのですね?」
 佐竹 利実(ia4177)がそう霜夜に問い掛けると、霜夜はにこやかに笑いつつ肯く。
「おっちゃん、もう一つだ!!」
「ほほう、ならばワシももうひとつ!!」
 既に二人でお櫃8つはたいらげている。
 まあ、そんな二人は放っておいてと。
「ええ、そんな感じでお願いします。さて、私達はそろそろ戻って訓練を始めましょうか?」
 そう告げる霜夜に、佐竹が静かに肯くと、そのまま飯店を後にする二人であった。
「どうしたちっちゃいの。もうそろそろ限界か?」
「うっさい。そっちこそデカい図体はみかけ倒しかよっ!!」
 ああ、もう好き勝手にやって頂戴。

──その頃
「風の道場か‥‥」
 静かに茶をすすりつつ、紅老師がそう呟く。
「ええ。前回優勝した道場です。そこでは力以外にどんなものを教えているのですか?」
「さてのう。文武共に教え、攻守ともによく磨かれたいい流派ぢゃよ。まあ、パッとしないので門下生が少ないらしいが」
 赤マント(ia3521)の言葉にそう告げると、再び茶をすする紅師父。
「焼栗くうか?」
 と、焼き栗の入った皿を差し出す紅老師。
「あ、いただきます。で、その風の道場なのですが、流派は?」
「四獣泰拳ぢゃよ。泰国の4方を守護する四獣の型を組み込んでいるという話じゃよ」
 ちなみに解説するならば、泰国を守護する四獣とは『東の青竜(せいりゅう)』『南の朱雀(すざく)』『西の白虎(びゃっこ)』『北の玄武(げんぶ)』と呼ばれている。
 これに中央守護の『黄竜(おうりゅう)』が加わることで、この泰国は安定している‥‥という通説らしい。
「‥‥それは厄介ですね師父。それこそ、師父の酔八仙拳でなくては互角に戦えないのでは?」
「いやいや、それを使えるものかおらん事にはのう」
 寂しそうに告げる紅師父。
「ここの道場では、師父の技を受け継いでいるものは?」
「天賦の才なくてはならぬ‥‥ゆえに弟子はおらぬのぢゃ」
 ここでいう師父の天賦とは、才能だけではなく『運否(運気)』も含んでいるらしい。
「それは寂しいことですね‥‥では」
 と告げて、赤マントはゆっくりと立上がると、そのまま道場の外へと出ていった。


●がんばれば‥‥やっぱり夢
──12月対抗戦
「それではっ。定例大会を開始しますッ!!」
 武道大会会場で、司会進行の女性が大声で叫ぶ。
 その言葉に会場に集まった観客が盛り上がる、まさに会場は興奮の坩堝となってしまった。
 やがて個人戦と団体戦それぞれの対戦表が張り出されると、いよいよ一回戦が開始された。
 そして紅道場は無事に一回戦は勝ち抜けたものの、二回戦が前回の優勝道場である『風の道場』とぶつかってしまっていた。
 さて、二回戦の結果を簡単に説明すると、二勝二敗の同点、代表戦にもちこんだものの、戦えるのが絵梨乃ただ一人という情況であった為最終的に判定負けという苦い経験をしてしまった。

先鋒:勝者 恵皇
 対戦相手は『六聖蟷螂拳』という形意拳を使う女性拳士『紅蘭』。
 前半でかなり押しまくっていた恵皇が相手を倒し、そのまま上体に跨がって拳の乱撃を叩き込み、相手を失神させた。
 だが、その戦いで恵皇も右脇腹を負傷してしまった。

次峰:勝者 霜夜
 対戦相手は『剛体術と点穴』を使う男性拳士の元放。
 旋風脚で次々と技を乱舞していた霜夜だったが、点穴を受けてそのまま意識が朦朧とする。
 そこに油断した元放が油断してしゃがみこんだ刹那、偶然霜夜が放った気功掌が元放の股間を直撃、そのまま意識不明となった元放が敗北。

副将:敗北 統真
 対戦相手は『八極門使い』の劉封。
 全く同じスタイルでの戦いとなった酒々井 統真(ia0893
 先手を放つ劉封を掴むものの、同じく捕まれてしまいお互いに身動きので着ない上体から乱打戦が展開。
 最終的に殴り負けてしまった統真の敗北となってしまう。

大将:敗北 絵梨乃
 対戦相手は『正統派泰拳』使いの岩竜。
 酔拳と手刀を用いた戦いで挑んだ絵梨乃であったが、数多くの実践を熟してきた岩竜の敵では無かった。
 それでもどうにか食い下がっていたが、最終的には場数が足りない絵梨乃の経験不足負けとなってしまった。

代表戦 敗北 絵梨乃
 負傷による恵皇、点穴による疲労の霜夜、殴りつづけて顔がはれてしまい、目が開かない統真と、代表が絵梨乃しかいない情況。
 そんな中、戦術を変えてどうにか食い下がっていこうとした絵梨乃であったが、やはり岩竜には勝つことが出来ず敗北。


●個人戦の光と影
 一方、もう一つの舞台では個人戦が始まっていた。
 今月も優勝する為には、最低でも7回戦勝ち抜けなくてはならない。
 紅道場の登録選手は4名。
 それぞれが様々な組に分かれ、対戦表に名を連ねていくのであったが。
 ここでも大番狂わせが発生していた。
 それではその大番狂わせをダイジェストでお伝えしましょう。

──第3回戦・赤マント
 対戦相手は前回優勝の海妙炎。
「風の噂に聞いた‥‥盗賊家業など止めて、真っ当な拳士になって下さい‥‥」
 そう開始直前に海妙炎につげられた赤マント。
「一体なんの話だよ!! ボクが盗賊だって?」
「ここ最近、『怪盗赤マント』と名乗る盗賊が出没しているという噂を聞いています。かなりの実力を持つ泰拳士ということもね‥‥」
 そんな会話から始まったこの戦い。
 前回の決勝戦がこんな所でという事で、会場もかなり盛り上がってまいりました。
 神速を戦いとする赤マントの戦術が見事に決まり、赤マントはギリギリで勝利を掴み、第4回戦へと駒を進める事になった。
「それにしてもボクと同じ名前の怪盗‥‥興味があるなぁ‥‥」
 ですよねー。


──第3回戦・虎太郎
 対戦相手は『王員(おういん)』という棒術使い。
「そいつに糧たら、次は俺とだ。楽しみに待っているぜ」
 飯店で大食い勝負をした許康が、擂台の下でゲフフフフと下卑た笑いでそう呟く。
「上等。俺はこいつを倒してアンタと戦うさ!! 飯店での決着はここで付ける!!」
 そう威勢よく告げると、虎太郎は戦闘を開始。
 相手の動きを見きりつつ、タイミングを掴み、空気撃と牙狼拳をうまく組み込んだ技を繋げていく。
 が、棒術の間合に中々馴染まない上に、相手の棒が三つに分かれ、三節棍へと変化した。
「い、いや、それって」
「棍ですが何か?」
 と笑いつつ変幻自在の攻撃に転じてくる王員。
 より体勢を低く取り、狼と同化した戦いに転じた虎太郎であったが、やはりその動きを見きることは出来ずここで敗北。
 苦い敗北が続いてしまっていた。

──第5回戦・佐竹
 対戦相手は『紅道場』の赤マント‥‥。
 ってまたか。
「ふぅ。ここからは性根を入れて戦わないとな」
 佐竹はここまでほぼ完全勝利であった。
 対戦相手に恵まれていたわけではなく、ここまで実力で敵を排してきた。
「同じく。手加減はまったくしないから覚悟してね」
 とにこやかに告げる赤マント。
 フェイントを主体とする佐竹のこうげきに最初は動揺していたものの、持ち前の速度で佐竹を翻弄。
 だが、その佐竹も切り札として用意してあった『海妙才』との戦いに使う予定であった技を披露した。
「弧刀影裡流の流れを組む逆抜き、俺の最速剣技‥‥」
──ドッゴォォォォツ
 その動きに反応仕切れず、赤マント奇しくもここで敗北。
 佐竹は準決勝へと駒を薦めた。

──準決勝・静雪
 ということで、対戦相手は先程赤マントを破った佐竹である。
「まだ未熟なボクがどこまで通じるのか‥‥試してみたい。これぞ拳士の醍醐味!!」
 と、礼節を欠かす事なくここまで勝ち残ってきた静雪。
 失礼ではあるが、決して強いわけではない。
 対戦相手に恵まれた訳でもない。
 事実、ここに来る前の第5回戦では、今回の優勝候補であったらしい『李晃耶(り・こうや)』という『風の道場』の切り札をどうにか倒している。 
 その勝ちかたも実にオーソドックス、相手の動きを見ても隙を見ての一撃。
 実に基本に忠実な戦いであった。
「よろしくお願いします」
「応!!」
 という事で同門対決となったこの試合。
 佐竹の戦術に填められた静雪が残念な事に気絶、戦闘不能という形で幕を閉じてしまった。

──決勝・佐竹vs王海封(おう・かいふう)
 対戦相手はこの街ではまだ新しい道場である『欧竜道場』の拳士。
 どれほどの実力者であったカ、ここまでの戦いを見ても毒に変わった戦いをする相手ではない。
 むしろ、全ての泰拳に言える『基礎』を忠実に熟しつつ、各流派の奥義を組み込んでくるという、実にいやらしい流派にも感じられる。
 彼が繰り出してくる数々の奥義は、近くの街である『桃華』の道場の奥義にもよく似ており、それ故に対処方法を知らないこの街の道場では歯が立たなかったというのが正しい見方であろう。
 事実、佐竹もかなり苦しめられていた。
 ここまでに佐竹が繰り出した技は殆ど見ぬかれ躱わされてしまう。
 それに対して交差方法でせめてるような事はなく、だたひたすらに正面から戦いを挑んできたのである。
 結果、佐竹が敗北を認め、この長い戦いに決着が付いた。


●そして
 全てが終った。
 団体戦ではそ屈辱の2回戦敗北。
 そして個人戦では数々の選手が上位まで食い込んだ。
 そして佐竹が準優勝という快挙を成し遂げた。
 ちなみに今回優勝した道場はまたしても『風の道場』という小さい道場。
 そして個人戦優勝は『欧竜道場』の王海封という武道家であった。
 そして、翌年の新春に行なわれる『定例擂台賽』についての話し合いの席で、紅道場はさらに佳境へと追込まれる事になってしまった。
 が、それはまだ先の話。
 
 毎月開催される定例大会、新春早々に行なわれる大擂台では、はたして何が起こるのであろうか。

──Fin