【四月】アフロいきます
マスター名:陸海 空
シナリオ形態: ショート
危険
難易度: 普通
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/04/21 01:12



■オープニング本文

 近年まれに見る大悪党が、神楽の都を騒がせ恐怖に陥れている。
 そいつに出会ったものは全て、恐怖に泣き叫び絶望に倒れ付すしかないという。

「きゃああああああ!!」

 そして、また今日も哀れな犠牲者が一人‥‥。


 人々に恐怖と絶望を突きつける大悪党は、ひとよんで『辻アフラー』!
 通りすがりの人間を手当たり次第にアフロヘアーにしていく、恐ろしい悪党である。
 老若男女、ふさふさつるつる問わず全ての人間を須らくアフロにしてしまうのだ!

「わああ! やられた!」
「こっちもだ! 嫁入り前の大事な娘を!」
「わああぁん、もうお嫁にいけないいぃぃ」

 辻アフラーが通った後は、ぺんぺん草も生えない有様である。
 数日後に祝言を控えた娘さんなどは、めでたいといって紅白の縞々アフロに水引まで施されたとか。
 アフラーの手によるアフロは、それぞれバリエーションに富んでおり自分がどんなアフロにされるか、皆戦々恐々としているという。

「もう! やつをどうにかして!」

 そんな叫びが神楽の都にこだまする。
 さあ、開拓者達よ!
 今こそ神楽の都の平和を守るため立ち上がれ!
 バリカンとはさみを持って、辻アフラーを倒すんだ!
 アフロにされることを恐れるな!
 もふらさまも、見ようによってはアフロっぽいぞ!
 討伐目標は、辻アフラー!
 多分アヤカシ!‥‥たぶん。
 今日も辻アフラーの雄叫びがこだまする!

「アフロ、いっきまあああああす!」


※このシナリオはエイプリルフールシナリオです。実際のWTRPGの世界観に一切関係はありません。


■参加者一覧
大蔵南洋(ia1246
25歳・男・サ
時任 一真(ia1316
41歳・男・サ
喪越(ia1670
33歳・男・陰
そよぎ(ia9210
15歳・女・吟
ゼタル・マグスレード(ia9253
26歳・男・陰
向井・奏(ia9817
18歳・女・シ
此花 咲(ia9853
16歳・女・志
日和(ib0532
23歳・女・シ


■リプレイ本文

●振り向けばアフロ
 神楽を騒がす辻アフラーを退治することを請け負った開拓者たちは、道端で顔を突き合わせていた。
「とりあえずよろしくでゴザル」
 連携を取るために挨拶は大事だと思っている向井・奏(ia9817)は、揃ったメンツを見ながら会釈をする。
 それぞれ思い思いの挨拶を交わして、辻アフラーをおびき出すためにはどうするか話し合う。
「やっぱりアフロを貶すとかだろ」
 オーソドックスだが、ああいう手合いは必ず釣られると時任 一真(ia1316)は強く吹きぬける風になぜか頭を押さえながら呟いた


「アフラー、アフラーね‥‥。シノ‥げふごふがふ、アム‥へぇぇっくしょい‥‥風邪かな。ともかく、そういう手合いかな――なに

もかも、皆懐かしい」
 謎の言語を口走りながら、喪越(ia1670)はいつも通りの正統派陰陽師の装いで周囲を見回した。
 今日も神楽の都は賑やかである。
 少々騒がしいとは思うが、人の営みが活発な場所は得てしてそういうものである。
 此花 咲(ia9853)は己の魂の食物であるおむすびをムシャムシャ食べながら英気を養っている。
「人様の大事な髪を、勝手にちりちりもじゃもじゃにするだなんて‥‥許せないのです」
 咲にかかればアフロもちりちりもじゃもじゃという表現になるらしい‥‥言いえて妙だ。
「しかし、アフロ被害にあった人がかなりいますね‥‥恐るべき早業。アヤカシなら実に興味深い相手だ」
 道行く人々のおよそ6割が既にアフロと言う現実に、若干驚きながらゼタル・マグスレード(ia9253)はこれから戦うべき相手を思

う。
 その隣で大蔵南洋(ia1246)は、本日の武器であるバリカンを大事に握り締めて油断無く周囲を見回す。
「どちらにせよ、世間を騒がす悪党は必ず成敗してくれる」
 必ず殺すとかいて必殺と読む。とかナレーションが流れそうなくらい南洋は真剣である‥‥獲物がバリカンであろうとも。
「アフロって、なんかもふら様に似てるよな。‥‥もふら様、なんであんなに高いんだろう」
 朋友としてもふら様を迎えたいと思っている日和(ib0532)は、もこもこのアフロをみてどうしてももふら様を連想してしまうらし

かった。
 そして、事前に水引アフロなどにされてしまった嫁入り前の娘さんと会ってきたらしいそよぎ(ia9210)は、娘さんの嘆きように心

を打たれてアフラーを倒す気満々であった。
「正義の味方としては、通り魔をのさばらせておくわけにはいかないわ。前髪だけ残して丸刈り、みたいな恥ずかしい髪型にしてやる

のよ」
 女の敵は許さないと息巻くそよぎに「え、それは困る」という返事が帰ってきたのはその時だった。
「‥‥ん?」
 居合わせたメンツが顔を見合わせ、今の発言者が誰かと問うが当然そんな発言をするものは仲間内には居ない。
「ボクは‥‥、ボクはアフロがだいすきだあああああ!!」
 そよぎの真後ろ、至近距離からの叫びに全員がバッと振り返る。
 そこには、先ほどまで居なかったはずの赤緑黄の三色でカラーリングされたマーベラスなアフロ姿の男が立っていた。
「なっ、何奴!」
 開拓者達に気配を感じさせず至近距離まで近づくなんて、只者ではない。
 警戒もあらわに、開拓者達はザザっと距離を開け誰何した。
「ボクが誰かだって? そんなのたいした問題じゃないよ。世界はこんなに美しいのに!」
 誰がどう見てもオーバーリアクションと表現するだろう身振りつきで、自己陶酔の海に浸る不審人物。
「うわ、痛い奴」
 一真が思わず呟く程度には、存在が痛々しい。
 しかし、不審人物はそんなことおかまないなしで滔々と語る。
「世界は美しい、そして完璧だ! でも、一つだけ足りないものがある‥‥それはアフロだ!」

 しばらく気付かない振りしていたかったし、正直関わりたくないと思っていたのだが悲しいことにそれは避けられないらしかった。
「あー、コイツか。凄くいやだけど」
 ゼタルの言葉は居合わせた全員の心情だった。
「ふむ、おびき寄せるとか誘い出す必要がなかったでゴザルな」
 楽だから良いけど、都合が良すぎて微妙な気分になるのは何故だろう。
 戦う前から少々疲労を感じながら、それでもクネクネ気持ち悪く動く不審アフロに武器――バリカンやハサミを向けた。

●気付けばアフロ
「貴様が、世間を騒がす悪党辻アフラーか」
 バリカンを刀のように両手で持ち下段の構えで辻アフラーと対峙する南洋の言葉に、辻アフラーは心外だとばかりに目を見開く。
「悪党だなんて酷い! アフロでグローバルでビューティフルな世界を作りたいだけだよ!」
 そう言って辻アフラーはそういえば、と首を傾げる。
「君達は美しくないね。やっぱりアフロじゃないから」
 アフロは関係ないだろう、と言う誰かのツッコミは綺麗にアフラーに無視される。
「アフロなんて、ただの3Lサイズな毬藻なのですよ。湖でぷかぷかしていればいいのです」
 おむすびを食べ終わったのか、わざと挑発するような言葉尻に同じく奏が便乗する。
「アフロなんてただの毛玉でゴザルよ。えらい人にはそれが解らんのでゴザル」
 どこかで聞いた言葉なのは気にしない!
 その言葉はてきめんに辻アフラーの胸に刺さる。
「酷い罵りだ! 親父にだってアフロを罵られたことないのに!」
 許せない! と辻アフラーがとうとう本気になる。
「皆、アフロになっちゃえばいいんだああああ!!」
 わきっと辻アフラーの手が動き、虹色に光り輝く。
 どうやらそれに触られるとアフロになってしまうらしい‥‥。
 奏は己に向かって来る辻アフラーに、近場に立っている咲を盾にした。
「喰らうでゴザル!咲殿シィイイイルドッ!え?2人纏めては予想がアッー!?」
「ちょ、奏さん!?予想はしていましたけど本当にやるとhアッー!?」
「れえええっつ、あっふろーーーー!!」
 ぴっかー、と閃光が走って真っ白な三角の海苔と思われる部分は黒いアフロになった咲と、ポニーテールの形はそのままでふわふわ

なアフロになった奏が呆然と佇む。
「エクセレント! さ、他の人たちも綺麗になってキラキラしようね!」
「ふざけるなあああ!」
 流石に日和が突っ込みを入れて猛然とアフロにハサミとなぜか荒縄を手に突っ込んでいく。
 どこかその表情は嬉しそうである。
「私のアフロはせかいいいちいいいいい!!」
 ボフン、と今度は煙が日和の頭を包みもふらさまのようなふかふかフワフワなアフロにされてしまう。
「モフロ‥‥いやいや、アフロにされたああ!」
 どこか嬉しそうなのは、もふらヘアーになれたからだろうか。
 もう既に三人もアフロの餌食になっている。
「おのれ辻アフラー! 正義の鉄槌を落としてくれようぞ!!」
 喪越が符をハサミに替え、一真がバリカンとハサミを二刀流で持つ。
「私のような不器用者には、これしか出来ぬのだ‥‥」
 南洋もそれにあわせてバリカン下段で突撃する。
「喰らえ!」
 三人の裂帛の気合は、辻アフラーの頭に炸裂し見事な逆モヒカンに刈られる。
「ボクのアフロがあああ!」
 嘆く辻アフラーも曲者で、攻撃を受けたときに一真、南洋、喪越の三人もアフロにしてしまった。
「わあ、阿鼻叫喚」
 そよぎが、アフロにされた仲間の姿を見て、必死で笑いを堪える。
 行儀が悪くてまだやってないが、特に南洋のアフロは少し指差して笑いたい気分になる。
 頭頂部分と左右のサイドにもこもこっと小型アフロ‥‥。マジマジと見るそよぎは結局堪えきれない。
「おっ、おさかなくわえたもふら様を、裸足で追いかけそう〜〜!!」
 喪越のアフロは、なぜか風も無いのにもっこもっこもっこもっこと動いている。
「何だ、このふざけた髪型は! しかしこれだけならば、羞恥に耐えさえすれば――!? ‥‥どうしたというのだ。胸の奥底――否

、魂そのものから湧き上がってくるような、この感情は一体? 身体が勝手に拍子を刻み始めておる。さ、逆らえん! フーーーーー

! レディース、エーンド、ジェントルメン! アミーゴの諸君、御機嫌いっかがー?」
 あ、壊れた。
「アフロによって隠された真の姿が出てきたのか‥‥?」
 ゼタルが突然豹変した喪越を興味深げに眺める。
 ん? ちょっとまて。
 そよぎとゼタルはさっきまで普通の髪型だったよな?
 いつの間にか既にアフロ化しているのは、何故だ? 恐るべし、辻アフラー!
「何と言うことでしょう‥‥! 辻アフラーの手にかかれば全体的に豪華にボリュームが増し、長いもみあげアフロがまるで可愛いプ

ードルのようです‥‥‥‥何じゃぁ こりゃァァ!!」
「巨大な桃色ラメ入りアフロか‥‥顔色良く見えるしまさかの小顔効果まで‥‥意外にこの髪型も似合うわ。むしろ似合っちゃう自分

が怖いかも」
 君たち、なんか楽しそうだね‥‥。
 辻アフラーもなんか、それ見て「たのしいうれしい! アフロだいすき!」とか言ってるし。
 もう、どこからツッコムべきなんだろう? と周囲の通行人の皆さんが固唾を呑んで見守る。
 忘れているかもしれないが、ここは神楽の往来ど真ん中だった。
 その時、もみあげ付きなボリュームアフロにされてしまった一真がおもむろに歩み出る。
「俺だってただやられる為に、ここまできていないさ‥‥これが、おまえを倒す為の、俺の覚悟だぁぁぁぁ!」
 この日の為に、全てをかけていた一真はアフロ化した髪‥‥いや、正確にはアフロにされたヅラを脱ぎ捨てて思い切り床に叩きつけ

た。
「おかあさーん、あの人、頭つるつるー」
「しっ! 見るんじゃありません!」
 子供の無邪気な言葉と、いさめる母の言葉や視線が痛い‥‥が一真にとって正義の前では屁でもない! たぶん。
「髪が無ければアフれない! この不毛な戦いを、終らせる!」
 確かに毛が無いね‥‥とツッコミがどこからか入るが、一真はいたって真剣である。
 それはもう、太陽光線に頭皮がきらりと反射するくらいに。
「髪? そんなもの、ボクのアフロの前には無力だ! 毛根薄いよなにやってんの!?」
 辻アフラーはつるつる丸坊主な一真に躊躇することなく肉薄する。
 ぼっふん。
「な、なんだってええええええ!?」
「ワハハハハ、死して屍使用後の箸イィーーーーー!!!」
 つるつるの不毛地帯が、辻アフラーの手によってふさふさ3倍アフロサイズに豹変したのをみて、思わず喪越が感動の声を上げる。
「辻アフラー、恐ろしい子‥‥!」
 それぞれ己のアフロを鏡で見て悦に入っていた開拓者たちは、肩を震わせて恐ろしげに呟いた。
 うん、決して笑いを堪えてたわけじゃないと思うヨ!
 恐ろしいことに、辻アフラーとの戦いはまだ終らないのであった。

●フォーエバー・アフロ
「で、なぜこんな有様に?」
 ゼタルが日和に向って呟いたのは、致し方ない。
 ウキウキと、嬉しそうに日和が丁度所持していた荒縄で辻アフラーを縛り上げたのだから。
「モフロ‥‥いや、もふらアフロをもう少し堪能したい、とか思ってないぞ!!」
 思ってるんだね、だから辻アフラーを縛ったんだね。
「堪能する間、悪党を逃がさない心遣いを褒めるべきか‥‥」
 南洋も突っ込みどころに少々困っているらしい。
 買い物時に財布を忘れてしまいそうなアフロで、真剣に呟かれてもいまいちシリアスさに欠ける。
「アフロコンテストとかしたいねー! 誰が一番笑えるか‥‥じゃない、クールなアフロか!」
 一真の3倍アフロをみて存分に笑ったそよぎが、個人的に気に入ってる桃色アフロをもっふもっふと触りながら笑う。
「とりあえず、辻アフラーの髪を刈れば戻る‥‥んだよな。皆で囲んでマイムマイムしながら、なんて考えてないぞ。うん」
 ゼタルは、もっとソウルフルアフロになりたかったのに、キュートなプードルアフロにされて少々不本意らしかった。
「見えるのです。見えるのですよ‥‥! これがおむすびアフロの真の力!!」
 おむすびがぱかっと割れるイメージが脳裏に浮かんで覚醒したような気分になっている咲は、目の色が変わっている‥‥ような気が

する。
 所謂「おむすび割れ」という覚醒現象にちかいかもしれない。
「なんだかんだいって、皆たのしそうでゴザルな」
 ふりふりっとアフロポニテを左右に揺らしながら奏がゴゴゴと燃えている咲をあっさりスルーしている。
 これぞ混沌まさにカオス。
「フゥハハハーー! 本当に神楽の都は地獄だぜえええ。いっちょラブでピースでファンキーなグルーブをお見舞いすっかぁ?」
 その混沌に身を任せている喪越は、まさに本領発揮と言うところだろう。
「まあ、なんだ。とりあえず、そろそろ退治しないといかんだろう」
 通行人が遠巻きに眺めているのを気にして、南洋が提案するとそろそろ堪能し尽くしたメンバーも同意する。
「仕方がない‥‥、いつかホンモノのもふら様を手に入れよう」
 つくづく日和は名残惜しそうだが、とりあえず全員でバリカンとハサミを持って逆アフロから虎刈り、最後につるっつるという感じで遊び心満載のアフラー退治を遂行したのだった。

「うぉぉぉぉぉん! ボクの自慢のアフロがああああ! おっ、おぼえてろよ! アフロビーバーック!」
 つるっつるに刈られた辻アフラーは滂沱の涙を流しながら、捨て台詞を吐いて走って逃げていく。
「‥‥なあ、あいつアヤカシじゃなかったのか?」
「ボワンと煙にならなかったじゃねえYO」
「走って逃げていったな、物凄い勢いで」
「土煙もうもうでゴザルよ」
「というか、この髪型は戻らぬのか?」
「‥‥さあ? しばらくこのままなのかしら」
「モフロ‥‥」
「アフロビーバックって‥‥戻ってくる気ですかね」
 アフラーが消えていった方向を眺めながら、立派なアフロ戦士として戦った一行はかすかに残ったいやな予感を必死に否定するのであった。