或る日、森の中…
マスター名:香月丈流
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 易しい
参加人数: 10人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2013/03/09 23:55



■オープニング本文

「薪集めなんて、面倒だよな〜」
「お兄ちゃん! サボッてないで、手伝ってよ!」
 木のウロに入って休憩している少年に、妹らしき少女がプリプリ怒りながら叫ぶ。少年は軽く舌打ちすると、ブツブツ言いながらも焚き木を拾い始めた。
 恐らく、家の手伝いで薪集めに来た兄妹なのだろう。歳は10代前半くらい。薪を拾い、手慣れた様子で背負った籠に入れていく。
「ねぇねぇ…今日って、森が静か過ぎない? 何か出そうで、怖いな…」
 少女の言うように、周囲は異様な程に静まり返っている。いくら冬だとしても、風の吹く音や水の流れる音、動物の足音がしないのは、静か過ぎるかもしれない。
「バ〜カ。何が出るんだよ。熊か? 今ごろ、他の動物と一緒に夢ん中だぜ」
 軽く笑みを浮かべながら、少年は小枝を振り回した。この季節、動物の大半は冬眠している。起きているのは、害の少ない物ばかりだろう。
 手が滑ったのか、少年の手から小枝が離れて飛んでいく。少年は再び舌打ちしながら、それを追って走り出した。
 次の瞬間。2人の周囲をドス黒い霧が渦巻く。小さな兄妹は気付いていないが…これは瘴気。つまりは、アヤカシの元。
 驚愕する2人の前で瘴気が一か所に集まり、形を成していく。2足歩行の、巨大な熊。だが、爪の長さが1m程度あり、瞳は黒紫色をしている。
 こんな生物は、自然界に存在しない。万物の理を無視し、森羅万象の『外』に在る者……アヤカシ。
「きゃぁぁぁぁぁぁ!」
「逃げるぞ! 走れ!!」
 悲鳴を上げる妹の手を引き、アヤカシに背を向けて駆け出す。兄妹を追う事無く、アヤカシは雄叫びを上げながら爪を振り回した。太い樹木が豆腐のように斬り倒され、地響きを起こす。恐怖を煽っているのか、小さな獲物には興味が無いのかは分からない。
 1つだけ分かっているのは…『森にアヤカシが出た』という事実だけである。


■参加者一覧
アン・ヌール(ib6883
10歳・女・ジ
闇野 ハヤテ(ib6970
20歳・男・砲
マルセール(ib9563
17歳・女・志
ジェラルド・李(ic0119
20歳・男・サ
呂 倭文(ic0228
20歳・男・泰
多由羅(ic0271
20歳・女・サ
ビシュタ・ベリー(ic0289
19歳・女・ジ
ガラード ソーズマン(ic0347
20歳・男・騎
アルフィリウム(ic0400
15歳・女・吟
国無(ic0472
35歳・男・砲


■リプレイ本文

●花も咲かない森の道
 冬にしては温かい、麗かな昼下がり。談笑しながら、森を奥に進む者達が居た。楽しそうな雰囲気とは裏腹に、全員が『物騒な得物』を手にしているが。
「熊狩りをしたり、不用意に森に来る馬鹿は居なかったようだな……」
 周囲を見渡しながら、独り呟くジェラルド・李(ic0119)。彼が村人達に『森に近付くな』と念押ししたのが効いているのか、人の気配は全く無い。
「惜しいわ、春はもうすぐそこなのに。春の山菜は、炊き込みご飯にして頂くと絶品なのよ?」
 差している番傘を軽く回しながら、国無(ic0472)が柔らかい笑みを浮かべる。諸国を歩き回った経験からか、食べ物に対する造詣が深いようだ。
「山菜…! 炊き込みご飯…!」
 国無の言葉に反応し、顔を輝かせるアルフィリウム(ic0400)。薄いヴェールで口元以外は隠れているが、興味津々な表情がハッキリと分かる。
「春だと色々な食いモンがあるんだな。春にまた来たいのだっ! でも……俺様、クマはちょっと怖いぞっ」
 アン・ヌール(ib6883)は小振りな胸を反らせながら、強気な態度で弱音を吐く。ここまで堂々としていると不快感は全く無く、逆に可愛らしく見える。
「熊と言えば、死んだ振りをするとやり過ごせるという伝承がありますが…実は、誤りなのです!」
 『くわっ』と目を見開きながら、全員に注意を促す多由羅(ic0271)。衝撃の事実に、開拓者達の間に動揺が走った。
「死んだふりは『抵抗しません』と表現したのが功を奏しただけで、死体だと思われたら食われるからな」
 補足するように、ビシュタ・ベリー(ic0289)が言葉を付け加える。生態に関する知識も豊富で、『熊のプロフェッショナル』を自負している事は伊達ではないようだ。
「ワッハッハ! ならば、敵を油断させて不意討ちするのも一興! アヤカシの攻撃だろうと、全て防いで見せましょう!」
 ガラード ソーズマン(ic0347)の豪快な笑い声が、頭部全体を覆った鉄兜の奥から響く。重装備の彼なら、本当に全ての攻撃を防ぎそうである。
 会話しながら歩いていた開拓者達だったが、急に視界が開けた。森の中の、小さな広場。一か所に固まって落ちている薪は、例の兄妹が逃げる時に置いていった物だろう。
「どうやら、この辺りが現場のようだな。以降は作戦通り、3班に別れて行動になるが…準備は良いだろうか?」
 仲間達を見渡しながら、確認するように声を掛けるマルセール(ib9563)。全員で固まって森を捜索するのは、あまりにも効率が悪い。ここで3方向に別れ、捜索を分担する作戦なのだ。
「要らん世話かもしれないけど…みんな、怪我は出来るだけしないようにね?」
 仲間達を心配するように、闇野 ハヤテ(ib6970)が口を開く。苦笑いにも似た表情を浮べているが…その裏には『何か』を隠しているようにも見える。
 開拓者達は各々携行品や装備を確認し、準備を進めていく。それが完了すると、10人は3つの班に別れた。
「んじゃ、アヤカシ熊狩りダナ。皆、また後デ会おうゼ!」
 白 倭文(ic0228)の言葉に、全員が静かに頷く。それぞれ、北、西、東に向かって歩き始めた。

●予想外は突然に
 探索を始めてから十数分。未だに、熊を発見出来ずにいた。マルセールは目を閉じ、意識を広げるように集中する。研ぎ澄まされた感覚が、周囲の気配を探っていく。
「ハヤテ殿…この奥に、瘴気の気配を感じる」
 マルセールが指差したのは、約20m先にある木の密集地帯。3人が兵装に手を伸ばすと、タイミングを見計らったように奥から巨大な熊が姿を現した。
「じゃぁ、始めようか。2人共、ちょっと目を閉じて貰えるかな?」
 ハヤテはアンとマルセールに声を掛けながら、走り寄って来るアヤカシに向かって銃を放つ。練力の籠った銃弾が敵の鼻先で炸裂し、閃光と化した。熊が怯んだ隙に、ハヤテは銃に手をかざして一瞬で弾丸を装填。追撃が熊の腕を貫通し、瘴気が漏れ出す。
 ほぼ同時に、アンとマルセールは目を開けて地面を蹴った。一気に距離を詰めると、マルセールは敵の懐に潜り込んで素早く薙刀を薙ぐ。切先が熊の胴を深々と斬り裂いた。
「えいっ、足元がお留守なのだっ!」
 元気良く叫びながら、鞭を振るうアン。鞭撃が敵の両脚を打ち、瘴気を舞い散らせた。
 目潰しと打撃の痛みで我を失ったのか、熊は両腕を無茶苦茶に振り回す。マルセールとアンは後方に跳び退き、距離を空けた。
 直後。予想外の方向から、アンに向かって爪が迫る。2体目のアヤカシが出現し、彼女に襲い掛かったのだ。
 咄嗟に、アンは短剣を構えて防御を固める。直感で『俺様なら、きっと止めれるっ!』と思ったのかもしれない。
 だが……現実は厳しかった。爪撃は受け止めたものの、アンの体は衝撃で派手に吹き飛ぶ。地面を転がりながらも、彼女は素早く体勢を整えた。
「アン殿! 大丈夫か!?」
「大丈夫だけど、大丈夫じゃないっ! 痛いなんてもんじゃねーぞ…俺様、泣くっ!」
 マルセールの声に応えるように、アンが元気良く叫ぶ。既に涙目になっているが、目立った外傷は無い。
 軽く笑みを浮かべ、マルセールは視線を熊に戻した。体勢を低くして手負いの敵に突撃し、荒々しい一撃を放つ。アンが狙われた事で、少々頭にきているようだ。切先が熊の首を斬り飛ばし、全身が瘴気と化して弾け飛ぶ。
 もう1体の敵は、ハヤテに向かって突撃した。マルセールよりも、華奢な彼の方が狙い易かったのだろう。腕に力を込め、爪を全力で振り下ろした。
 迫り来る爪を、ハヤテは最小限の動きで避ける。頭髪が数本が切られて宙に舞ったが、更に接近して熊の胴体に銃口を突き付けた。
「調子に乗んなよ、ウザいアヤカシが。生憎だけど…お前に倒される程、俺は弱くねぇんだよ」
 圧倒的な殺意を込め、連続で引き金を引く。銃弾が貫通し、敵の体に穴を穿った。
 よろめく熊に向かって、アンが距離を詰める。軽やかな動きから短刀を振り、全力で斬り付けた。銀色の剣閃が止めとなり、アヤカシが崩れ落ちる。その体が瘴気と化して消え去るまで、そう長い時間は必要無かった。

●静寂の森
 談笑を交えながら、捜索を進める国無達。その脚が、突然止まった。
「くに様…? どうしたのですか?」
「シッ、…あの妹さんの情報通りね。静か過ぎるって、こういう事ね」
 アルフィリウムの問い掛けに、国無は人差し指を口に当てる。森の広さに比べて、妙に騒々しく聞こえる自分の声。それは、森が『何か』に怯えているようにも感じられる。
「みなさん、避けて!」
 耳が痛くなるような静寂は、唐突に破られた。多由羅の声に反応し、全員が左右に跳ぶ。
 直後、鋭い爪が地面に突き刺さった。言うまでも無く、アヤカシ熊の爪である。
「…不意討ち、か。下衆の考えそうな事だな…多由羅、国無、アルフィリウム、さっさと倒すぞ…」
 ジェラルドの言葉に無言で頷き、素早く体勢を直して兵装を構える開拓者達。アルフィリウムはリュートを鳴らし、勇ましい曲を奏でた。静かな森に音楽が鳴り響き、仲間達の心を奮い立たせる。
「アタシにとっては、周囲の木でも薙ぎ倒してくれた方が便利だわ」
 言いながら距離を置き、身の丈程もある銃を構える国無。狙いを定め、引金を引いた。放たれた弾丸が、敵の眼球に突き刺さる。
 熊が苦悶の悲鳴を上げるのと同時に、多由羅とジェラルドは駆け出した。
 多由羅は敵の右側から接近し、刀を握り直す。そのまま兵装を水平に薙ぎ、熊の胸を斬り裂いた。
 左側から接近するジェラルドは、長巻を上段に構えながら気を収束させる。大きく踏み込みながら全力で振り下ろし、敵の体を肩口から斜めに斬断。斬り落とされた骸が瘴気と化し、空気に溶けるように消えていった。
 仲間を倒され、アヤカシが天を仰いで怒りの声を上げる。
「噛みつきが来るかもしれません、気を付けて下さい」
 再び演奏を始めたアルフィリウムが、全員に注意を促す。彼女の予想通り、熊は牙を剥いて襲い掛かってきた。狙いは、多由羅。
 咄嗟に、彼女は身を低くして地面を転がった。目標を失い、牙が空を切る。敵の勢いは止まらず、そのまま頭から木に激突した。
「最強を目指す私に、その程度の攻撃が効くとでも? 甘いですよ!」
 叫びながら、多由羅は地面に向かって刀を振り下ろす。衝撃の波が地面をめくり上げ、アヤカシを天高く弾き飛ばした。
 落下点に先回りし、ジェラルドは切先を空に向ける。数秒後、熊の体が刀身に吸い込まれるように、勢い良く突き刺さった。
 間髪入れず、国無の銃撃が敵の頭を射抜く。銃身に手をかざし、弾丸を装填して更にもう1発。追撃の銃弾が届くより早く、熊の全身が瘴気と化していく。2射目は黒い霧を吹き飛ばし、木の幹に突き刺さった。
 敵を倒し、一息吐く4人。その視界に、黒い影が映った。どうやら、3体目の熊が居るようだ。が、戦う気が無いのか、こちらに背を向けて駆けていく。
「……逃がさんぞ、アヤカシ」
 静かに言い放ち、ジェラルドは一気に加速。敵の背に斬り掛かった。

●戦う者、護る者
「この爪跡…クマっぽいけど、私は動物かケモノの熊しか分からないしな。アヤカシとなると、根本的に違う可能性が…」
 樹の幹に付いた爪跡を調べながら、小首を傾げるビシュタ。この痕跡が動物なのかアヤカシなのか、判断出来ずに立ち止まっていた。
「アヤカシ熊なぁ…叉焼包のニオイには釣らレルのかネ? 我なら嬉しイから顔出すケド」
 木に背を預けて腕を組みながら、倭文が口を開く。冗談に聞こえるが、大真面目に誘き出しを考えていたりする。
 そんな彼の肩を、ガラードの大きな手が叩く。同時に、ビシュタは視線を森の奥に向けた。
「白殿。どうやら、誘き出す必要は無さそうですぞ? そうであろう、ビシュタ殿?」
 ガラードの言葉に、ビシュタは静かに頷く。彼女に釣られるように、倭文は同じ方向に目を向けた。
 遥か前方で蠢く、2つの影。3mを超す巨躯と異常に発達した筋肉は、アヤカシに間違い無いだろう。しかも、まだこちらの存在に気付いていない。
「お、大発見ダナ。こっちに気付ク前ニ、一気に仕留めヨウぜ」
 小声で提案する倭文に、2人は静かに頷く。兵装を構えると、3人は行動を起こした。
 ビシュタは猫のように足音と気配を消し去り、熊の死角から一気に接近。鞭を巧みに操り、素早く鋭い一撃を叩き込んだ。
 突然の強襲で熊達が浮足立っている隙に、倭文は驚異的な加速力で敵の背後に回り込む。体幹を狙って拳撃を叩き込むと、手負いの熊は大きくバランスを崩した。
 倒れそうになっている敵に向かって、ガラードが流れるような動きで斬撃を放つ。刀身が敵を斬り裂き、傷口から瘴気を撒き散らしながら転倒した。
 ようやく状況を理解したのか、無傷の熊が低い唸り声を上げる。血走った瞳で3人を見渡し、獲物を物色しているようだ。
 その視線から逃れるように、ビシュタはガラードの背に身を隠す。
「ガラードさん。背中、借りるわね?」
「ワッハッハ! このガラードにお任せあれ! さぁ、来い!」
 頼られた事が嬉しいのか、自身の胸を叩いて熊と対峙するガラード。その行動で、敵の意識は完全に彼に向いた。熊は地面を蹴って飛び掛かり、鋭い爪を振り下ろす。
 それに臆する事無く、ガラードは剣を盾代わりに構えて爪撃を受け止めた。衝撃が全身を駆け巡るのを、両脚を踏ん張って耐える。
 転倒していた熊は体勢を立て直すと、身動きとれないガラードに向かって突撃。口を大きく開け、牙を剥いた。
 ほぼ同時に、ビシュタの鞭が乱れ舞う。蛇のような鞭撃が熊の体を打ち崩し、瘴気に還して消滅させた。
 仲間を倒され、残った敵に動揺が走る。ガラードは爪を弾き飛ばし、兵装を握り直して上段から振り下ろした。刀身が熊の体を、縦に深々と斬り裂く。
 追撃するように、倭文は狼の如き早さで拳撃を放った。深紅の光が連続で敵の体に打ち込まれ、傷口から瘴気が噴き出す。熊が崩れ落ちると、地面に付くより早く瘴気と化して空気に溶けていった。

●討伐の後に
 探索を始めてから数時間後。開拓者達10人は、例の広場に集まっていた。互いの状況を報告し合い、情報を纏めていく。
「皆様、お疲れ様でしたな! 状況的にアヤカシは討ち取れたようですし、私達の勝利ですぞ! ワッハッハッハッハー!」
 これだけ捜索したのだから、アヤカシが隠れている可能性は極めて低い。ガラードの言う通り、彼等が勝利したと考えて問題無いだろう。
「うむ、何とか片付いたのだ。さて…俺様、兄妹に薪を拾って帰ってやりたいな」
 アンの言う兄妹とは、被害に遭った2人の事だろう。彼等のために何かをしたい。そんな想いが、アンの中で大きくなっていた。
「薪拾いをしたいのですか? 仕方ないですね、麻袋で良ければお貸ししますよ」
 彼女の想いを理解していた多由羅は、懐から大きな麻袋を取り出す。これは、出発前に村から借りてきた物である。
「多由羅さん、随分と準備が良いのね。まぁ…もし敵が出たら、シバき倒せば問題無いけど」
 表情を変えず、サラッと過激な発言をするビシュタ。このまま平和に薪拾いが終わるのを、心の底から願いたい。
「我モ手伝うぞ。ただ、疲れてるダロウし無理はすんなヨ? 我もしないしナ」
 元気良く手を上げ、手伝いを申し出る倭文。明るく微笑みながらも、仲間達への気遣いを忘れない。
 薪拾いの事で盛り上がる者達を余所に、ジェラルドは大きな溜息を吐いた。
「ふん。どいつもこいつも、お人好しばかりだ……勝手にしろ。護衛くらいなら、俺がしてやる」
「あら、冷たいわね。同じ道行きじゃない? 仲良くしましょうよ♪」
 国無は若干斜に構えているジェラルドの首に手を回し、微笑みながら彼の頬を突く。国無には微塵の悪気も無いが、ジェラルドは猛烈に不満そうである。
 数分後。開拓者達は、薪拾いのために森の中を散策していた。マルセール、ジェラルド、ガラードの3人は、仲間達の護衛担当である。
「…この程度のアヤカシが相手なら、さほど疼かなくなったか…」
 マルセールは独り呟き、右首の痣を指先でなぞった。ふぅ、と溜息を漏らし、コートを着込み直して周囲を警戒する。
「まっしろ…ですね。あ、薪を拾わないと。木、木…」
 雪が珍しいのか、アルフィリウムは木の枝でゆっくりと叩いた。粉雪が舞う中、薪拾いを思い出して樹木を見上げる。どうやら…『生えている木を切って持ち帰る』と勘違いしているようだ。
(兄妹、か…あの子達は俺にそぐわない。いや、逆かもな。未だ俺の歪んだ心は…似た者を受け付けないんだ)
 ハヤテは薪を拾いながら、思案を巡らせる。過去の自分と、例の兄妹を重ねているのかもしれない。少しずつだが、自分の中に『新たな風』が吹いている事に気付かずに。