海を荒らす者
マスター名:香月丈流
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: やや難
参加人数: 10人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2013/02/09 23:47



■オープニング本文

 他国との貿易が始まって以来、天儀中で異邦人を見掛ける事が多くなった。アル=カマルや陽州との交流が深まってからは、人種が更に豊かになっている。
 それに比例し、ギルドを訪れる人数も増えているが。特に、貿易都市として有名な奏生では、その傾向が強い。
「ワタシ、聞いてないアルよ! 何アルか、あの物騒な集団は!」
 どこかの訛りなのかは分からないが、猛烈なイキオイで苦情を口にする泰国人。突然の事に状況を理解出来ず、奏生のギルド職員は全力で疑問の表情を浮べた。
「海賊の事ネ! ワタシ達の積荷、全て盗まれたアルよ! 商売、あがったりアル!」
 海賊。最近、泰国近海に出没している、という噂は聞いた事があるが…どうやら、彼はその被害者らしい。旅泰として天儀への航海中、海賊と遭遇。全力で逃げたのだが、結局は追い付かれて荷物を奪われたそうだ。その怒りが治まらず、ギルドに訪れたのだろう。
 だが、1つ疑問がある。何故、彼はギルドに来たのか…だ。荷物を取り戻すにしても、海賊を退治するにしても、同心や奉行所に相談するのが普通だろう。
「同心や奉行所じゃ話にならないアル! どうせ『我々の管轄外だ』とか言って、何もしないに決まってるアルヨ!」
 こちらの心を読んだかのような、鋭いツッコミ。確かに、彼の言うような同心も、少なからず居るだろう。
「開拓者に頼んだ方が、早くて確実ネ。あの海賊達をブッ潰して、安全に商売が出来るようにして欲しいアル。報酬なら…」
 そう言って、自身の懐を漁る。数秒後、皮袋を取り出して卓の上に置いた。中身は…通常報酬よりも多めの現金。どうやら、大金を払ってでも海賊を退治したいらしい。


■参加者一覧
雲母(ia6295
20歳・女・陰
リィムナ・ピサレット(ib5201
10歳・女・魔
椿鬼 蜜鈴(ib6311
21歳・女・魔
中書令(ib9408
20歳・男・吟
鴉乃宮 千理(ib9782
21歳・女・武
緋乃宮 白月(ib9855
15歳・男・泰
呉若君(ib9911
25歳・男・砲
藍 芙蝶(ib9912
25歳・女・泰
多由羅(ic0271
20歳・女・サ
硝(ic0305
14歳・女・サ


■リプレイ本文


 太陽が天高く昇り、陽光が降り注ぐ。若干の冷気を含んだ風が吹き抜け、逆にそれが心地良い。
 海を行く船から見えるのは、抜けるような青空に、どこまでも伸びる水平線。
 それから…。
「お前等! ここを通りたきゃ、荷物は全部置いて行け! 命が惜しかったらな!」
 理不尽な要求を叫ぶ、海賊船が3隻。こちらの船を3方向から取り囲み、完全に逃げ道を塞いでいる。一般人なら、絶体絶命の状況だろう。
 だが、この船に乗っているのは開拓者。海賊を退治するために集まった者達である。すぐにでも行動を開始したいが、相手に気付かれて逃げられては意味が無い。海賊達を誘き寄せるため、甲板の開拓者5人は無抵抗を装って両手を上げた。
 その様子を見て、3隻が距離を詰める。充分に距離が縮まった所で、船の間に平な板が数か所に掛けられた。その上を通り、十数人の海賊達が乗り込んで来る。
「怖いよう…お姉ちゃあん…」
 相手を油断させるため、怯える子供の『フリ』をするリィムナ・ピサレット(ib5201)。不安そうな表情を浮べながら、椿鬼 蜜鈴(ib6311)に寄り添う。
 蜜鈴は笑いを堪えながら、姉を装ってリィムナの頭を撫でた。
「『りぃむな』も怯えておる、お辞めになられや。わらわ達を拐うとも、何も良き事はあるまいて」
 強がるような口調で声を掛ける。蜜鈴の言葉に、海賊達は視線を彼女達に向けた。
「こりゃぁ、上玉が居たモンだな。へっ…綺麗な女には、使い道があるんだよ。『色々』と、な」
 値踏みするような、絡み付くような下品な視線。海賊達が何を考えているのか、言わなくても伝わってくるようだ。
 現在甲板に居る開拓者は、リィムナと蜜鈴。鴉乃宮 千理(ib9782)、藍 芙蝶(ib9912)、多由羅(ic0271)の5人。海賊の視線は、蜜鈴、芙蝶、多由羅に集中している。
 リィムナはまだ幼いため、対象外なのだろう。千理は深編笠を被っているため、顔が見えなかったのが幸いしたようだ。
「この女達も頂きだな。お前等、荷物を全部運び出せ!」
 不快な笑みを浮かべながら、海賊の1人が指示を飛ばす。その指示に従い、船室の入り口に手下達が殺到した。
「海賊、ねぇ…ま、このご時世やりたい気持ちはわからんでもないが。証拠を残すってのは三流だな、まったく…」
 ほぼ同時に、北側の海賊船が大きく揺れる。衝撃が船体を駆け抜け、甲板上の海賊達はバランスを崩して転倒。混乱の渦中に、雲母(ia6295)が舞い降りた。
 彼女はスキルを発動させて水面を歩き、海賊船の死角から接近。跳躍して矢を放ち、先手を討ったのだ。無様に転がる海賊達を眺めながら、雲母は退屈そうに煙管をフカす。
 開拓者達の船でも、同様の事が起きていた。
 船室に踏み込んだ手下達が、弾かれるように吹っ飛ぶ。そのまま甲板を転がり、気を失って大人しくなった。
 次いで、小柄な人影が船室から姿を現す。緋乃宮 白月(ib9855)と、硝(ic0305)だ。予想外な程に若い2人の登場に、周囲から驚愕と混乱の声が上がる。
「旅泰の皆さんが安全に航海出来るように、ここで退治します! 覚悟は良いですか?」
「私のような小娘が怖いんですか? 怖くないなら…力尽くでどうぞ」
 挑発的な言葉に、海賊達の表情が一変。癪に障ったのか、敵意を剥き出しにし始めた。
 が、それも束の間。船室から出てきた中書令(ib9408)が琵琶を鳴らすと、ゆったりとした曲が周囲の海賊達を眠りの底に落としていった。
「な…何だお前等! 一体、何者だ!?」
 次々に倒れていく仲間を目の当りにし、海賊が吼えるように問い掛ける。その言葉を待っていたのか、千理は深編笠を投げ放って不敵な笑みを浮かべた。
「何だ誰だと聞かれたら、答えてあげるが世の情け。なぁに、通りすがりの開拓者じゃよ!」
 そう言って、空に向けて短銃を撃ち放つ。乾いた銃声が合図になったかの如く、開拓者達は兵装に手を伸ばした。既に、雲母は大暴れ中だが。
「では、灸を据えるとしようかの。ああ、殺生はいかんぞ皆」
「承知しております、鴉乃宮様。それと、皆様手加減はお忘れなく」
 千理と多由羅言葉に、開拓者達が静かに頷く。海賊達の隙を突くように、一斉に駆け出した。
「他の班へ伝えたい事があれば、その場で叫んで下さい。私が伝達しますので」
 言葉を告げ、中書令は蜜鈴、白月と共に南西の海賊船に乗り込む。リィムナ、多由羅、硝は自分達の船の護衛に回った。
「骨の1本も折っていけないのは、少々面倒ですね。まぁ、良い修業にはなりそうですが」
 愚痴を零しながらも、多由羅は刀の峰で敵を打つ。彼女の剣術は型にとらわれず、自由にして自在。敵を圧倒し、戦意を削いでいく。
 そんな中、1人の男が船室から姿を現した。10人目の開拓者、呉若君(ib9911)である。仲間達と足並みを揃えるため、攻勢に出る機を見ていたのだろう。全体を見渡す視野と、状況把握能力が高いようだ。
「そろそろ良かろう。蝶、目の前の敵を落として参れ…行け。千理、汝にも期待しておるぞ?」
 従者である芙蝶に命を下し、南東の海賊船に歩み寄る若君。
 芙蝶は少しだけ笑みを浮かべ、船の間に渡された板を駆け抜けて南東の海賊船に乗り込む。襲い掛かって来る海賊達を牽制するように、鋭い回転蹴りを放った。
「抵抗すれば、叩き潰す。大人しくしていれば、手は出さない」
 蹴撃の風圧が、海賊達を撃つ。肉体にダメージは無いが、彼女の言葉が脅しでは無い事を十分に物語っていた。
 芙蝶の威圧感に、海賊達が若干怯む。その隙に、千理は素早く船に乗り込んで錫杖をブン回した。足元や鳩尾を狙い、意識を刈り取っていく。
 が、海賊達も無抵抗なワケでは無い。カットラスを抜き、彼女達に降り下ろした。
 迫り来る切先を、芙蝶は上段の後ろ廻し蹴りで叩き落とす。蹴り足が甲板に付くと軸足を入れ替え、相手に足刀蹴りを叩き込んだ。
「さて、ようも斯様に釣れたものよな…わらわは賑々しいのは好きじゃが、姦しいのは好かぬ。ちと黙りおれ」
 煙管を咥えなかが、クスクスと嗤う蜜鈴。余裕を見せる彼女に、海賊達が一気に押し寄せた。迎え撃つように、蜜鈴は扇を閉じて敵の横っ面を引っ叩く。逆の手で煙管を軽く回し、追撃して張り倒した。
 中書令は甲板上を動き回り、まどろみを誘う曲で海賊達を眠らせていく。彼や蜜鈴が無効化した敵は、白月が荒縄で捕縛して船室に放り込んだ。
 倒れていく仲間達を目の当りにし、下っ端の数人が船のヘリに向かって逃げて行く。恐らく、海に飛び込んで泳いで逃げるつもりなのだろう。
 次の瞬間、彼等の進路に白月が姿を現した。気の流れを操作し、驚異的な加速で移動したのだ。下っ端達が驚愕の表情を浮べた直後、白月の拳撃が意識を飛ばした。
 北側の海賊船では、気絶した海賊が山を成していた。
「腕の二、三本で解決するんだ。死刑よかマシだろう?」
 退屈そうに言いながら、無骨な弓で殴打する雲母。言葉とは裏腹に、手加減を忘れていないため、骨折等の事態は起きていない。もし、彼女が仲間と行動していたら『人に腕は三本無い』とツッコまれていただろう。
 状況は、どの船でも開拓者達が有利に進んでいる。そんな状況をひっくり返すため、海賊の数人が開拓者の船の船室に飛び込んだ。室内には、操舵手や船を動かすのに必要な人材が乗っている。彼等を人質に取り、降伏を要求するつもりなのだろう。
 船員の悲鳴が上がるのと同時に、多由羅が窓を割って室内に飛び込んだ。驚く暇を与えず、侵入した海賊達を叩き伏せて素早く縛り上げる。彼女がいち早く異常に気付いたお陰で、船員達は傷の1つも負っていない。
「大丈夫。この船は中型ですが、大船に乗ったつもりで任せて下さい」
 言葉と共に、柔らかい笑みを向ける多由羅。笑いのセンスに自信は無いが、船員達をリラックスさせるためにワザと軽口をたたいたのだろう。狙い通り、彼等の表情が和らいでいく。
 南東の海賊船では、芙蝶が船の操舵手と船員を捕縛。甲板まで連れ出し、海賊と一緒に転がした。
 それを見た若君は、不敵な笑みを浮かべながら短銃を天に向ける。発砲音が周囲に響き、視線が一気に集まった。
「我が名は呉若君。此の名に覚えの無き者は、今此処で其の身に刻み込んでやろうぞ…!」
 若君の殺気が急激に膨らむ。幼少の頃から泰国の裏社会で育ったため、彼の名は特別な意味を持っているのだろう。『若君』と聞いて、海賊達は驚愕しながら戦意を失っていく。
 ハズだった。
「う〜・るおじゅん…お前、聞いた事あるか?」
「いや、全然。お前は?」
 仲間の問い掛けに、首を横に振る海賊達。どうやら、ここに居る全員が若君の名前を知らないようだ。もしかしたら、彼の思っている『裏社会の人間』ではないのかもしれない。
 海賊達の態度に、静かに怒りを燃やす若君。両手の短銃を素早く構え、海賊達に向かって撃ち放った。白い羽と黒い羽の幻影が舞う中、銃撃が脚を撃ち抜いて赤い飛沫が飛び散る。
 激痛に顔を歪めながらも、海賊数人が甲板を蹴って突撃。若君に向かって殴り掛かる。
 その拳撃が届くより早く、白い風が吹き抜けた。
「若には指一本触れさせんさ。これでも、我が主だ」
 目にも止まらぬ速度で、海賊を蹴り飛ばす芙蝶。従者として、主が傷付く処は見たくなかったのだろう。
 南東の船上で捕縛されていない海賊は、約5人。彼等は芙蝶と若君に背を向けると、逃げるように走り出した。
 しかし、進路上には千理が居る。彼女が『喝』の叫び声と共に錫杖を大きく薙ぐと、海賊達は脚を払われて空に舞った。3人は甲板に落ちて気を失ったが、2人は船を飛び越して水柱が上がる。
「ちと、やり過ぎてしまったかのぅ…雲母! 落ちた者の回収を任せても良いか!?」
 苦笑いを浮かべながら、千理が叫ぶ。彼女の声を聞き取った中書令は、スキルを使って雲母に伝達。数秒後、雲母は面倒そうに海賊を拾い上げた。
 南西の海賊船は、他の船とは違う状況になっていた。甲板上に広がる、大量の水。蜜鈴は逃げるフリをしながら、水樽を壊して水を撒いたのだ。海賊を引き寄せながら、逃げ場の無い船首に向かって行く。
「中書令、白月、足元には注意するんじゃぞ?」
 仲間達に注意を促し、蜜鈴は短刀を甲板に突き刺した。そこから激しい吹雪が生まれ、甲板上の水を凍結させて氷が広がっていく。ある者は脚ごと凍り付き、ある者は氷で脚を取られて転倒した。
「了解で、うわぁ!」
 返事しようとした白月だったが、凍結速度が速過ぎたせいか脚を取られてバランスを崩す。それでも体勢を崩さないように踏ん張ると、氷の上を滑り始めた。運が良いのか悪いのか、そのまま体当たりで海賊達を薙ぎ倒していく。こういう状況を『怪我の功名』と言うのだろう。
 自分で止まれない、という致命的な問題はあるが。滑り続ける彼を助けるように、白く細い腕が伸びる。
「大丈夫ですか? 緋乃宮さんまで滑るとは…相当注意が必要ですね」
 白月を抱き上げ、氷の無い甲板に下ろす中書令。2人は顔を見合わせて軽く笑みを浮かべると、蜜鈴と共に海賊の捕縛を始めた。
 次々に制圧されていく海賊船。そうなると、逃げ場を求めて開拓者達の船に乗り込む者も少なくない。もっとも、そこに『逃げ場』など無いのだが。
「多由羅さん、硝さん! 寝た奴の緊縛お願い! あたしも後で手伝うからさ♪」
 リィムナは指を鳴らしながら、呪文を唱える。それが海賊を眠らせ、夢の世界へと送り出した。彼女は既に、何人もの海賊を無力化している。
 多由羅と硝は荒縄を取り出し、倒れた海賊を捕縛していく。粗方縛り上げた頃、物陰から1人の海賊が飛び出した。仲間達を見捨て、このまま逃げるつもりなのだろう。
 直後、巨大な槍が海賊の足元に突き刺さる。
「そろそろ手加減するのに飽きましたし……全力で行きますよ?」
 ゆっくりと歩み寄りながら、槍に手を伸ばす硝。彼女が投げた槍は海賊に当たらなかったが、力量の差は充分に伝わったようだ。膝から崩れ落ち、戦意を失う海賊。彼女の槍は、肉体ではなく精神を貫いた。


 海上を進む、4隻の船。海賊達を捕縛し、港に戻る途中の開拓者達である。船は全て、ギルドから同行した船員が操縦している。
「海賊退治か…書物の中の、冒険の様じゃったのぅ。まぁ、悪事を働けば裁かれるものじゃて」
 扇で自身に風を送りながら、クスクスと笑う蜜鈴。彼女達が居れば、どんな悪人でも退治してくれそうな気がする。
「そうですね。死傷者や逃亡者も居ないようですし」
 柔らかく微笑みながら、中書令は琵琶を奏でている。捕縛した海賊達が暴れないよう、定期的に眠りの曲を演奏しているのだ。
 他の船でも、開拓者が見張り中である。
「やれやれ…貴様達のような三流相手に、私が時間を割いてやったんだ。それだけでも有難いと思え」
 雲母は煙管を吹かしながら、海賊達を見下ろす。ザコの相手をしたせいか、少々ご機嫌斜めなようだ。
 南東の船では、芙蝶が海賊達に語り掛けていた。
「何が変わるという事ではない。が…賊に落ちるに至った理由を聞いてみたい」
 彼等に同情しているワケでは無いが、世話焼きな彼女としては見捨てておけないのだろう。海賊達が口を開くより早く、若君は芙蝶の肩を掴んで下がらせた。
「海賊とは実に浅ましき存在よの。取引もせず力で押し切り盗みを繰り返すだけの輩なんぞ、黒幇の同胞とも呼べぬわ…!」
 吐き捨てるような一言。もし依頼で無ければ『黒幇の面汚しだ』と言って闇に葬っていたかもしれない。
「『不偸盗戒』じゃ。技は盗んでも物を盗むのはいかんの」
 その横では、千理が説法を行っていた。ガミガミとは言わない、諭すような口調だが…長過ぎて寝ている者が多い。
「海も山も、賊は絶えないものですね…」
 過去を懐かしむような、穏やかな視線を向ける硝。過去に賊の一員だったのか、賊と関わった事があるのか、真相は定かでは無いが。
 頬を撫でる海風の、方向と強さが変わり始める。多由羅は甲板から、進行方向の先に視線を送った。水平線の奥に、陸地と建造物が姿を現す。
「ようやく、港が見えてきましたね。海賊も退治出来ましたし、一件落着です」
 微笑みながら、多由羅は胸を撫で下ろした。あとは、海賊達を引き渡せば依頼は終了である。
 港が近い事に気付いたリィムナは、満面の笑みを浮かべながら船首に移動した。そのまま腕を組み、若干低い声で叫ぶ。
「野郎共、酒と女が手ぐすね引いて待ってるぞ! ヨーソロー! なんちゃって♪」
「もしかして、海賊船長の真似ですか? 落ちないように、気を付けて下さいね」
 隣の船から白月が声を掛けた直後、大きな波で船体が揺れる。バランスを崩したリィムナは、そのまま海へ落花して行った。数人の開拓者が、心配そうに海を覗き込む。数秒後、リィムナが笑いながら浮上すると、他の者も釣られて笑みを浮かべた。