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■オープニング本文 アヤカシが出現して以来、その被害は加速度的に広がっている。どれだけの人や村が犠牲になったか…筆舌にし難いだろう。一夜にして村が消える、といった事件も、少なくはない。 肌寒い風が、朱藩の荒野を吹き抜ける。土埃が舞う中、何も無い場所に佇む黒衣の青年が1人。 「……帰ってきたぜ、エイリア」 呟くように言葉を漏らす。傷だらけの顔が、何かを懐かしむように軽く緩んだ。 数年前、この場所には村があった。20人弱の小さな集落だったが、そこには家庭があり、笑顔があり、幸せに暮らしていた。 だが……ささやかな営みは、理不尽に終わりを告げる。アヤカシという、圧倒的な暴力。人も、家畜も、家屋も、全てが壊され、周囲は一晩で更地と化した。 そんな地獄絵図の中、一人生き残った青年。全てを失った場所で決意を新たにし、彼はフードを目深に被って踵を返した。 「力を貸してくれ…頼む」 数時間後、青年の姿はギルドにあった。職員に向かって、深々と頭を下げる。彼がこの場所を訪れた理由は、依頼の申請。 内容は…自身の村と、婚約者を奪ったアヤカシに対する復讐。 「あいつは…あのアヤカシだけは、俺の手で倒す。そのために、俺は手に入れたんだ…志体の力を!」 大抵は先天的に持っているが、後天的に獲得する事も不可能ではない。文字通り『命懸けの修業』を数年間積み重ねた末、志体に目覚める事もある。無論、必ず覚醒するワケではない。 運良く覚醒したとしても、その先に待っているのは、心身を襲う激痛と高熱。それが、三ヶ月から半年前後続くのだ。彼が志体の力を得たのは、奇跡に等しいと言えるだろう。 とは言え…実力で言えば、先天的志体を持つ開拓者には一歩及ばない。肉体を酷使し過ぎた結果、寿命が縮んだり、身体能力が劣っている事も多い。 全てを理解した上で、彼は志体の力を求めた。全ては、アヤカシに復讐するために。そこまでの覚悟をした者に、ギルド職員が口出し出来るワケが無い。静かに頷き、依頼書の作成に取り掛かった。 1つだけ、職員が男性に尋ねる。 「名前? 俺は…あの日に全てを失った。家族も、村も、婚約者も、なにもかも。名が必要なら……ミェスーテとでも呼んでくれ」 ミェスーテ。 それは、ジルベリアの一地方言語で『復讐』を意味する。これは偶然の一致なのか、それとも…? |
■参加者一覧
九竜・鋼介(ia2192)
25歳・男・サ
村雨 紫狼(ia9073)
27歳・男・サ
ジェーン・ドゥ(ib7955)
25歳・女・砂
一之瀬 戦(ib8291)
27歳・男・サ
ゼス=R=御凪(ib8732)
23歳・女・砲
一之瀬 白露丸(ib9477)
22歳・女・弓
フルール・S・フィーユ(ib9586)
25歳・女・吟
エリアス・スヴァルド(ib9891)
48歳・男・騎
王 梨李(ib9904)
13歳・女・陰
ルイ (ic0081)
23歳・男・志 |
■リプレイ本文 ●黒衣の舞う街 太陽は今日も天高く昇り、大地を照らす。街を行き交う人々は活気に溢れ、いつもと変わらない平和な日常があった。 そんな光景とは不釣合いな男が一人。全てを奪われ、黒衣を纏い、復讐の名を冠する者。そして……今回の依頼人でもある。 「身を削り、命を削り…それでも求めたもの、か」 街の奥から近付いて来る男性を見詰めながら、独り呟くルイ(ic0081)。その表情は、悲しみや同情に染まっていない。むしろ、羨望に似ている。 ギルドの前で合流した、10人の開拓者とミェスーテ。簡単な自己紹介と、挨拶を交わす。 「出発前に、確認したい事があります。貴方の『復讐』に、どこまで助力して良いのでしょう?」 ジェーン・ドゥ(ib7955)の静かな瞳がミェスーテを射抜く。闇夜のような黒い瞳に見詰められながらも、彼は若干疑問の表情を浮かべた。 「『自身1人で大鬼と戦いたい』のか、『止めを刺せれば良い』のか、どちら? 私は復讐劇を歌うのみだけれど、他の人には違うでしょうから」 補足するように、フルール・S・フィーユ(ib9586)が言葉を付け加える。彼女達の疑問は、開拓者達全員が聞きたいと思っていた事でもあった。 「そういう意味か…正直、俺は差し違えてでもヤツを倒したいと思っている」 質問の意図を理解したのか、ミェスーテが静かに口を開く。直後、一之瀬 戦(ib8291)が彼の胸倉を掴んだ。 「俺は……何があってもお前ぇを生かす。いざとなりゃ、お前ぇの復讐よりも、お前ぇの命を優先する…其の理由、分かるよな?」 穏やかだが、力強い言葉。もしかしたら、ミェスーテの状況と自身の過去を重ねているのかもしれない。 「意志の固さは認めるが、危なくなったら大鬼は倒させて貰う。流石に、死なれては困るからな」 最悪の事態を想定し、ゼス=M=ヘロージオ(ib8732)は自身の考えを伝える。ミェスーテを認めているからこそ、死なせたくないのだ。 「あんたが復讐の為にしてきた努力は否定しない。だが……死んだらそれまでだ。ここで無駄死にすれば、全て無駄になるぞ?」 依頼人の目的達成と、依頼人の命、どちらを優先するのが正しいかは分からない。だが、九竜・鋼介(ia2192)は後者を選んだ。そこに、迷いは微塵も無い。 「それに、大鬼を逃しちまったら、悲劇と『復讐者』が延々と量産されちまう。だから……アンタも万が一の時は譲歩してくれ、頼む!」 村雨 紫狼(ia9073)の言動に、その場の全員が驚愕の表情を浮かべた。彼は、言葉と共に土下座をしたのだ。ミェスーテの覚悟に対する、敬意の表れなのだろう。 全員の視線が集まる中、ミェスーテは苦笑いを浮かべた。 「誤解させて、すまない。今のは、俺の覚悟を言っただけだ」 言いながら、戦の腕を軽く叩く。戦が手を離すと、ミェスーテは膝を付いて紫狼の腕を取り、そっと立ち上がらせた。 「自分の力量は弁えている。だからこそ…アンタ達の力を借りたい。大鬼と戦って、止めを刺せれば構わない。俺が足手纏いなら、アンタ達の指示に従う」 迷いの無い瞳と言葉。復讐に燃えながらも、自身の能力は理解しているようだ。そのまま開拓者達を見渡し、ゆっくりと頭を下げる。 「了解した。なら、露払いとサポートは任せてくれ。復讐の行く末、見届けさせて貰うぜ?」 そんなミェスーテの肩を力強く叩き、エリアス・スヴァルド(ib9891)は不敵な笑みを浮かべた。復讐について敢えて口にしないのは、今回は傍観すると決めたからだろう。 「きみの覚悟は認める。だからこそ…殴る手が、勿体なくはないのか? 復讐対象の鬼は、自ら手を下すほど価値のある者?」 王 梨李(ib9904)の問いに、ミェスーテは言葉に詰まった。復讐の事だけを考えていた彼にとっては、予想外過ぎる質問だったかもしれない。答える代わりに、ミェスーテは彼女の頭を優しく撫でた。 事前確認を終え、11人が歩き出す。ミェスーテの背中を眺めながら、天野 白露丸(ib9477)は弓を強く握りしめた。 「復讐…か…」 思わず零れた言葉。無意識のうちに呟いたのか、ミェスーテに同情しているのかは分からない。ほんの少しだけ顔を歪めたのを、戦は見逃さなかった。 ●復讐鬼の帰還 街を出てから、歩く事約2時間。11人の眼前には、荒野が延々と広がってた。この場所が村だった頃の跡は、何1つ残っていない。 寂しい風が周囲を吹き抜ける中、鋼介は竹の皮の包みを開け、中の握り飯を頬張った。 「…鬼と戦うからねぇ…鬼斬り(オニギリ)を…なんてな」 「ゲン担ぎか? 悪く無いな…余っていたら、俺にも1つくれ」 実際はゲン担ぎではなくダジャレなのだが、鋼介は包みごと握り飯を差し出す。エリアスは軽く礼を言いながらそれを摘み、カブり付いた。 2人を眺めながら、ゼスはほんの少しだけ溜息を吐く。 「栄養補給は構わないが、警戒は怠るなよ? 敵はどこに居るか分からないからな」 「不意討ちの心配なら無用ですよ、ゼス。対象なら、発見しましたから」 望遠鏡で周囲を眺めていたジェーン。その言葉に、全員が驚愕の表情を浮かべながら、彼女と同じ方向に視線を送った。 荒野に蠢く、6つの影と巨大な影。距離は、だいたい100m程度。念のために視線を巡らせたが、他の場所には居ないようだ。 こちらの存在に気付いたのか、大鬼を残して鬼達が駆け寄って来る。鋼介、紫狼、ジェーン、エリアスの4人は、兵装に手を伸ばしながら数歩前に出た。 「露払いは俺達に任せとけ…大鬼の方は頼んだぞ」 鋼介の言葉に、残った7人が静かに頷く。前に出た4人は軽く視線を合わせると、呼吸を合わせて同時に駆け出した。 ジェーンは大量のオーラを全身に巡らせ、自身の戦闘能力を高めながら斬り掛かる。敵の注意が彼女に向いた隙を狙い、鋼介と紫狼は連携しながら斬撃を叩き込んだ。互いの死角をカバーしながら、4人は連携して動いていく。 張り詰めた空気の中、フルールは4人との距離を詰めて大きく息を吸った。 「望む命は、切っ先の僅か向こう…一歩踏み出せば届くのかしら」 『殺意を凌ぎ合い、凌駕せよ』と想いを込め、楽曲を謳い上げる。その歌声が精霊に干渉し、全員の攻撃力を上昇させた。 鬼は拳を強く握り、エリアスを狙って全力で突き出す。素早い拳撃に対し、彼は両手剣を滑らせて力の方向を変え、受け流した。 「ミェスーテの邪魔をさせるわけにはいかんのでな。雑魚鬼は大人しくしていろ…!」 手首を返しながら大きく踏み込み、至近距離から刃を奔らせる。流れるような斬撃が鬼の胴を両断し、全身を瘴気に還した。 仲間を倒され、鬼達に動揺が伝播していく。 「ミェスーテ殿、準備は良いか? 突撃するなら、今が好機だ」 敵の異常に気付いた白露丸が、ミェスーテに問い掛ける。緊張の面持ちで頷きながら、ミェスーテは黒衣の下の刀に手を伸ばした。 戦、ゼス、白露丸、梨李は、彼を四方から守るように移動する。 「一応、忠告しとくが…『刺し違えてでも復讐を遂げる』なんて考えんじゃねぇぞ」 釘を刺すような戦の言葉に、ミェスーテは思わず苦笑いを浮かべた。そんな彼の肩を、ルイがそっと叩く。 「おまえの歩く道は、俺達で空ける。復讐の先に何があるのか…見せてくれ」 そう言って、ルイは敵の集団に向かって駆け出した。槍のリーチを活かし、振り廻して周囲の鬼を退かせる。 大鬼までの道は拓けた。ミェスーテ達は地面を蹴り、一斉に駆け出した。露払いをしている仲間の隣を抜け、鬼達を無視し、一気に距離を詰める。 『目視…固定。古の呼号…聞け!』 脚を止めて狙いを定め、術を発動させる梨李。2枚の符を交差させるように投げ放つと、1枚はカマイタチのような式と化して大鬼を斬り裂いた。もう1枚は肉体をすり抜け、内部からダメージを与える。 梨李の攻撃で怯んだ隙に、ミェスーテと戦が懐に飛び込んだ。刀身と矛先が左右から大鬼を深々と斬り裂き、傷口から瘴気が溢れ出す。 反撃するように大鬼が腕を振り上げると、ゼスの銃弾と白露丸の弓撃が殺到して無数の穴を穿った。 大鬼が手傷を負っている事に気付いた鬼達は、露払い担当の4人を無視して駆け出した。 「ここは通行禁止だぜ? 『双焔斬』で朽ち果てやがれっ!」 「村雨様の仰る通り、ここは通しません。私の力は、ミェスーテ様に付随中ですので」 その進路に、紫狼とジェーンが立ち塞がる。紫狼は両手の刀に炎を纏わせ、練力を集中させた。それを交差させるように振り抜くと、斬撃と焔が鬼の体を分断して瘴気と化していく。 漂う瘴気を振り払うように、もう1体の鬼が鋭い拳撃を放った。ジェーンは自身の急所を庇いつつ、肉厚の刀身で受け止める。そのまま拳を弾き、大きく踏み込んで刀を斬り上げた。数秒後、敵の全身が瘴気と化して弾け飛ぶ。 鬼達を撃破した露払い役の4人は、大鬼撃破の援護をするために駆け出した。 戦況は、開拓者達が有利に進んでいる。ヤケクソ気味に、大鬼は炎の球を吐き出した。全員が咄嗟に跳び退いて直撃は避けたが、ミェスーテは着地と同時に膝を付く。恐らく、開拓者達の動きに付いていくため、相当な体力と集中力を消耗したのだろう。 ミェスーテを守るために、開拓者達が大鬼に攻撃を仕掛けて注意を逸らす。そんな中、フルールはミェスーテに歩み寄った。 「貴方の願いは何処? 怨嗟に呑まれ”散るが夢”なら、その足をどうぞ前へ」 静かな歌声が、彼の心を落ち着かせる。歌詞には『止めを刺せる時を待て』という想いが込められているのだろう。 開拓者9人を同時に相手していた大鬼だったが、後方に大きく跳び退き腕を振った。直後、瘴気が鬼の形を成し、具現化していく。 「増援…いや、分身体を生み出したのか? 分かり易い足止めだな」 鋭い指摘をしながらも、ゼスは攻撃の手を緩めない。彼女の推測通り、大鬼は分身体で足止めしつつ、逃げ道を探しているように見える。 「逃亡などさせるか! ここで全てに決着をつけて貰う…!」 叫びながら、弓を撃ち放つ白露丸。ここで逃げられては、今までの苦労が水の泡になってしまう。絶対に、逃がすワケにはいかない。 「同感だ。ミェスーテの歩みを邪魔するなら、容赦はしない」 彼女に同意しながら、ルイは槍を突き出す。穂先が分身体を貫くと、一瞬で瘴気と化して飛び散った。彼に続くように、鋼介とエリアスが兵装を振るう。 「突っ切るしかねえッ! 真の『覚悟』はここからだッ! 『復讐者』、てめーも腹をくくれッ! 」 仲間達が分身体を消す中、紫狼はミェスーテに向かって叫んだ。ほぼ同時に、分身体の最後の1体が瘴気と化す。 残るは、逃げている大鬼のみ。その脚を止めるために、ゼスと白露丸は脚部を狙って攻撃を放った。 『かの者捕えよ、縛』 更に、梨李が小さな式を召喚して大鬼を束縛。その動きを、完全に封じ込めた。 ミェスーテは奥歯を噛み締め、立ち上がって駆け出す。彼に合わせ、戦と紫狼は地面を蹴った。距離を詰めて大鬼の懐に飛び込み、3人は兵装を突き出す。それが胴を貫き、敵の体が揺らいで膝から崩れ落ちた。 「お膳立ては終わったぜ? 後は……自分でケリを付けな」 兵装を引き抜き、戦は大鬼から離れる。紫狼や、他の開拓者達も同じである。10人が見守る中、ミェスーテは刀を振り上げた。 数秒間、静かな空気が流れる。その間に、彼が何を考えていたかは分からない。永遠とも思える静寂の後……ミェスーテは、刀を振り下ろした。直後、大鬼の体が瘴気となって空気に溶けていく。 『礎は契約。敢行は我が名を以て。我が名は桃華の言霊師、梨李…術式完了』 全てを見届け、梨李は術式の終了を告げた。 ●未来への希望 「終わった、か。案外、あっけない幕切れだったな」 傍観していたエリアスが、1人呟く。大抵の事件は、静かでアッサリ終わる場合が多いのかもしれない。 「ま、因果応報ってやつだな…」 鋼介の言う通り、大鬼がしてきた事を考えれば、必滅は当然とも言える。それが人智を超えた存在であっても、例外ではない。 それよりも気になるのは、ミェスーテの方だ。復讐を遂げた彼は、力無く刀を握ったまま放心している。 「アンタの復讐は終わったけどよ……これで『納得』出来たか?」 紫狼が声を掛けたが、返事は無い。無視しているワケでは無いが、目標を達成した事で頭が真っ白になっているのだろう。 「今は足を止めるのも良いでしょう。その力をどのように使うかは、貴方次第なのですから」 声が届いているかは分からない。それでも、ジェーンは言葉を伝えずにいられなかった。それだけの価値を、彼に見出したのだから。 何の反応も示さないミェスーテの袖を、梨李が軽く引っ張る。油の切れた歯車のように、彼はゆっくりと首を回して視線を向けた。 「復讐のその後…どうなるか知ってる…? 貴方は…愛した人の分まで生きなきゃ…駄目だよ…」 彼女は、ミェスーテが生きる事を放棄するのを恐れているのだろう。相変わらず返事は無いが、想いは伝わっていると信じたい。 「詩人は復讐の先を求めるの。白紙の人生に、貴方は何を描こうと思うのかしら? まぁ、新しい名前が見つかりましたら…幸いね 」 歌詞の一部のような言葉だが、そこには『復讐は過去を消すのみで、得る物はない』という皮肉が込められている。何とも、フルールらしい言い方ではあるが。 放心状態のミェスーテを眺めながら、ゼスは拳を強く握る。その表情は、悲しみに彩られていた。 「復讐は終われば、そこには何も残らない。これからのあいつに幸あれと…ただ願う事しか、俺には出来ない 」 「願うだけでも良いんじゃないか? 行く末を決めるのは、依頼人自身だからな」 自分を無力だと責める彼女に、ルイがそっと声を掛ける。生きている限り、人の歩みは終わらない。全てを失ったなら、またやり直せば良い。ミェスーテなら、きっと新たな目標を見付けられるだろう。 「…戦殿…あれを…哀れだと、思うか…?」 ミェスーテ達から距離を空け、状況を静かに見詰める白露丸。復讐に身を焦がしていた姿は自分を見ているようで、複雑な心境なのだろう。そして、全てが終わった姿に虚しさを感じているようだ。 「…別に、哀れなんて思わねぇよ。唯…復讐を終えた今、此れからアイツが如何するかってだけだ。生きる事を止めるなら、哀れを通り越して滑稽だと思うがね」 戦の言葉は、まるで自分に言い聞かせているかのようにも聞こえる。彼が決めた道は『過去を抱いて尚生きる事』。もしかしたら…その隣を白露丸が共に歩いているかもしれない。 全てを失った男の復讐劇は、ここで幕を下ろした。これから先、ミェスーテがどんな道を選ぶかは誰にも分からない。 だが……いつの日か、どこかの街で、黒衣を脱いだ彼に会えるかもしれない。今は、そう願いたい。 |