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■オープニング本文 秋を代表する味覚の1つ、秋刀魚。天儀や泰国では様々な調理法があり、身近な魚の代表格と言っても過言ではない。例年、夏の終わりから秋にかけて漁が行われているが、今年は少々事情が変わっていた。 最初に異常に気付いたのは、泰国の漁師。北西部の海域で漁をしていたら、網に秋刀魚が掛かったのだ。しかも、大量に。予想外の大漁に、漁師達は大喜びである。 だが…同時に大きな問題も起きていた。 記録的な豊漁は嬉しいが、今年の夏は例年以上に暑い。炎天下の中、船の上で延々と作業をしていたら、どうなるか…答えは、火を見るよりも明らかだろう。 「そんなワケで、今は深刻な人手不足なんだよ。悪いが、開拓者の皆さんに協力して貰えねぇか?」 屈強そうな男性が、苦笑いを浮かべながら手を合わせる。大漁による重労働に、連日の酷暑…頑張り過ぎて、漁師達は次々にダウン。数人が残っているが、圧倒的に人手が足りない。 「協力するのは良いですが…開拓者は漁に関して素人ですよ? お役に立てるか分かりませんが」 「大丈夫大丈夫! 開拓者サンってのは、力持ちで俺達より体力があるだろ? それだけでも充分に助かる!」 依頼書作成中の克騎に、喰い気味で言葉を返す。依頼人の男性は、泰国の漁業長。そんな人物が直接来たという事は、相当ピンチなのだろう。 「難しい事は言わねぇ。とにかく、秋刀魚を獲ってくれれば良い! こっちは、猫の手も借りたい状況なんだよ…頼むっ!」 そう言って、漁業長は深々と頭を下げた。 「分かりました。当方でも、可能な限り協力します。御希望の人数を確保出来ないかもしれませんが…それでも構いませんか?」 「あぁ、1人でも協力して貰えるなら助かる!」 顔を上げ、人懐こい笑みを浮かべる漁業長。釣られるように、克騎も軽く笑みを浮かべた。 「そういや…アンタ、操舵できるらしいな? 開拓者サンの船は任せたぜ!」 「………え?」 克騎の返答を待たず、ギルドから出て行く漁業長。確かに海上船の操舵は出来るが、克騎は船酔いが激しい。だが、『可能な限り協力する』と言った以上、断る事は出来ない。苦笑いを浮かべながらも、克騎は依頼書を貼り出した。 |
■参加者一覧
フレス(ib6696)
11歳・女・ジ
獅子ヶ谷 仁(ib9818)
20歳・男・武
帚木 黒初(ic0064)
21歳・男・志
遊空 エミナ(ic0610)
12歳・女・シ
紫上 真琴(ic0628)
16歳・女・シ
綺月 緋影(ic1073)
23歳・男・シ |
■リプレイ本文 ● 夜明け前の薄暗くて静かな海。周囲の静寂を打ち破るように、一隻の中型漁船が走る。早朝の涼しい時間から準備を始めるのは、漁の鉄則だろう。 「何だ、この秋刀魚の量は。こんだけ多けりゃ、漁師も身体壊すわな……」 周囲を見渡しながら、苦笑いを零す綺月 緋影(ic1073)。薄暗い中でも分かる程、圧倒的な量の魚群。いくら漁の最盛期だとしても、この数は異常である。 「やれやれ…船も海も賑やかですね。のんびりする暇も無さそうです」 溜息混じりに、帚木 黒初(ic0064)は後頭部を軽く掻く。魚釣りと聞くと、のんびりした印象を受けるが…状況的に、今回は大忙しになりそうだ。 船首が秋刀魚を掻き分ける中、漁業長が碇を投げ落とす。それに合わせて、操舵していた克騎が船の動力を停止させた。 「待たせたな。ここが今日の漁場だ、ガンガン獲ってくれ! 俺も少しは手伝うけどな」 漁業長の言葉に、開拓者達が周囲に視線を向ける。明け始めた太陽の光を浴び、キラキラと輝く秋刀魚達。活きも量も、申し分ない。 「タダで秋刀魚食べ放題…これを逃す手はないよね♪ さあて、どんどん獲るわよーっ!」 微妙に勘違いしつつも、気合を入れる紫上 真琴(ic0628)。ヤル気は充分らしく、赤い瞳がキラキラと輝いている。 「まずは釣り竿で釣ってみようかな。あ、折角だから釣った数で勝負してみる?」 竿に手を伸ばしながらも、遊空 エミナ(ic0610)は不敵な笑みを浮かべた。口の端から唾液が垂れそうになっているが…見なかった事にしよう。 「悪い、俺はパス。こんだけ凄いんじゃ、釣竿じゃ間に合わないだろうし」 獅子ヶ谷 仁(ib9818)は軽く苦笑いを浮かべながら、投網を手にした。慣れた手付きで網を扱い、投げる準備を進めていく。 「私も、投網に挑戦してみようかな。仁兄さま、扱い方を教えて欲しいんだよ」 網を握りながら、上目遣いで頼み込むフレス(ib6696)。子犬のような瞳で見詰められたら、断れる者は居ないだろう。 仁は自身の網を一旦置き、フレスに投げ方や魚の外し方を教えていく。開拓者になる前は漁師だったため、漁具の説明は丁寧かつ詳しい。 「私は、釣りに賛成ですけどね。紫上さんと綺月さんは、どうします?」 投網の準備を進める2人を尻目に、釣り針に餌を仕掛ける黒初。彼の言葉に、真琴と緋影は笑みを返して竿を握った。 釣りの準備を整え、エミナ、黒初、真琴、緋影の4人は釣り針を海に投げ入れる。直後、釣り糸が引っ張られ、竿がしなった。驚きながらも、誰もが急いで釣り竿を引き上げる。そこには、既に秋刀魚が喰い付いていた。 予想を上回る入れ食い状態を目の当たりにしたら、笑うしかない。4人は秋刀魚を外して『いけす』に放り込むと、餌を付けて再び釣り糸を垂らした。 入れ食いを繰り返す4人の隣で、仁とフレスが網を投げ入れる。今回使ったのは、円錐状の投網。網の底面に付けた沈子の重みで、ドンドン沈んでいく。海底に到達して落下が止まった瞬間、2人は一気に網を引いた。 秋刀魚の群れを掻き分けながら、投網が急浮上。激しい水飛沫が舞い散る中、獲物が満杯に入った網が海中から姿を現した。予想以上の量に、全員から感嘆の声が上がる。 「わわわ、ビックリするくらい大漁なんだよ! 鮮度が落ちる前に、いけすに入れなきゃ…!」 慌てた様子で、いけすに歩み寄るフレス。引き上げた網が重いのか、足元が若干フラフラしている。 「フレスさん、足元に気を付けてね? いけすに落ちたら大変」 エミナが注意を促した瞬間、いけすから水没音と共に水柱が上がった。次いで、ズブ濡れのフレスがいけすから姿を現す。どうやら、秋刀魚を放そうとして網と一緒に落下したようだ。 恥ずかしそうに苦笑いしながら、後頭部を掻くフレス。そんな彼女を見ながら、開拓者達は笑い声を零した。 ハプニングに見舞われながらも、漁はまだまだ終わらない。朝日が周囲を照らす中、開拓者達は投網と釣りを再開した。 仁は引き上げた獲物をいけすに放し、網に絡まった秋刀魚も器用に外していく。 「あれ? そこのお兄さん、漁に慣れてるよね。何か美味しい秋刀魚料理、ないかな?」 その手際を目撃した真琴が、仁に声を掛ける。時間的に、一般家庭では朝食の頃合い。目の前にウマそうな秋刀魚が大量にあるのだから、小腹が空くのも当然だろう。 「そうだなぁ…新鮮な秋刀魚なら、刺身だな。ちょっと待っててくれ」 言葉を返し、仁は秋刀魚を3匹掴んで駆け出した。向かった先は、船内の調理場。包丁を握り、慣れた手付きで秋刀魚を捌いていく。数分もしないうちに、皿の上に新鮮な刺身が並んだ。それを持って、足早に甲板に戻る。 「一丁あがりだぜ! 緋影さんは猫族だし、魚大好きそうだよな。一口どうだ?」 皿を真琴に差し出しながらも、緋影に刺身を勧める仁。真琴は箸を受け取り、一足先に秋刀魚を味わっている。 「ん、気遣いは嬉しいけどよ…俺は豹で、猫じゃねえからな?」 『猫族』は泰国に住む獣人の総称だが、緋影の外見的に、猫と勘違いされている可能性が高い。念のために釘を刺し、緋影は刺身に手を伸ばした。 仁は他の仲間にも声を掛け、梅干し入りのオニギリと飲み物も勧める。簡単ながら栄養補給と休息を終わらせると、6人は気合を入れ直した。 ● 夏の日差しの中、漁を続ける事、数時間。自分達のペースで作業を進めていたが、疲労と退屈が顔を覗かせ始めていた。 「流石に…チマチマ釣るのは飽きてくるわね。投網で一気にババーンと捕獲しようかな?」 「同感です。投網やタモ網を借りてきましょうかねぇ…」 過酷な労働に、同じ事の繰り返し……真琴と黒初が愚痴を漏らすのも、仕方ない事だろう。2人は顔を見合わせると、予備の漁具を取りに倉庫へ向かった。 ほぼ同時刻。フレスは投網を竿に持ち替え、倉庫から甲板に戻ろうとしていた。小走りに通路を進んでいたが、操舵室でうずくまっている克騎を発見して緊急停止。ゆっくりと、彼に歩み寄った。 「克騎兄さま、大丈夫? お水、飲む?」 問い掛けるフレスの言葉に、克騎は弱々しい笑みを返す。真っ青な顔色に、大量の脂汗…どうやら、操舵担当なのに船酔いしているようだ。 フレスは心配そうな表情で克騎の背を撫でる。克騎が小声で声を掛けると、彼女は静かに頷いて船室から駆け出した。恐らく、『依頼を優先してくれ』とでも言われたのだろう。 彼女が甲板に戻った時、エミナは漁業長に話し掛けていた。 「水柱を出現させるスキルがあるんだけど…これで漁が出来るか、試してみてもいい?」 「お、そういうの開拓者サンっぽいな。挑戦的姿勢は大切だと思うぜ!」 満面の笑みを浮かべ、親指を立てながらの即答。どうやら、漁業長はノリノリのようだ。 許可を貰ったエミナは、竿を置いて海面に視線を向けた。秋刀魚の多そうな位置に狙いを付け、軽く指を鳴らす。直後、船の数メートル先で水柱が高々と上がった。水飛沫と共に大量の秋刀魚が舞い上がり、甲板に転がっていく。 画期的な漁に、周囲から拍手が湧き起こった。エミナは照れたように微笑むと、再び指を鳴らす。船の両側で、さっきよりも高い水柱が上がった。 巻き込まれた秋刀魚の量は増えたが、舞い上がった海水も増加している。2つの水柱が空中で衝突して融合し、水の塊となって落下してきた。予想外の事態に、甲板に居た全員が落下地点から離れていく。 が…タイミングが良いのか悪いのか、倉庫に行った黒初が船内から帰還。周囲のメンバーが声を掛ける余裕も無く、大量の海水が一気に降り注いだ。 「あ…ご、ごめんなさい! 大丈夫……かな?」 恐る恐る、黒初に声を掛けるエミナ。全身ズブ濡れになった黒初は、前髪を掻き上げながら首を振り、笑顔を返した。 「今日は暑いですから、丁度良いですよ。『水も滴る何とやら』という言葉もありますし」 飄々とした態度は、いつも通り。言葉だけでなく、黒初は本当に怒っていないようだ。 エミナは胸を撫で下ろしながらも、複雑そうな表情を浮べている。今まで以上に周囲に注意しながら、水柱漁を再開した。他のメンバーも、投網や釣り糸を放り投げていく。 甲板に戻って来た真琴も、見様見真似で網を投げた。タイミングを見計らい、一気に引き上げて秋刀魚を捕獲していく。そこまでは順調だったが…魚が入り過ぎたのか、かなり重そうに引っ張っている。 「おーもーいー…ねー、そこのにゃんこさん。ちょっと手伝って?」 「だ〜か〜ら〜! 俺はニャンコじゃねぇっての! 桃色頭の嬢ちゃんよぉ、忘れねぇように掌にメモしとけ!」 真琴の言葉に、怒りの表情を浮べる姫翠。猫と勘違いされ、相当ご立腹なのだろう。それでも網の引き揚げを手伝っているあたり、流石はフェミニストである。 その隣では、フレスが一本釣りに挑戦していた。釣れる速度は、相変わらずの入れ食い状態。忙しそうに作業を続けていたが、重い手応えに動きが止まった。 「あれ? この秋刀魚、凄く…重いんだよ。釣り上げられるかなぁ…せ〜のっ!」 不安の言葉を漏らしながらも、深呼吸して全力で竿を引っ張る。力強く引き寄せられ、喰い付いた獲物が海面に姿を現した。 それは……黒光りする巨大なマグロ。釣り針を外すために、激しく暴れ回っている。こんな大物、熟練の釣り師でも喰い付く事は無い。どうやら、フレスは幸運の女神に愛されているようだ。 暴走するマグロと飛び散る水飛沫に、全員の視線が集まる。 「アヌビスの嬢ちゃんよぉ…流石に『コレ』は大漁過ぎだろ…」 驚いているのか呆れているのか、微妙な表情の緋影。こんな状況を見せられたら、誰だって同じように困惑するだろう。 「流石に、引き上げるのは無理だな。フレスさん、残念だけど…逃がした方がいい」 元漁師の仁だからこそ、マグロを釣る大変さは良く分かっている。彼の判断に従い、フレスは軽く頷いて釣り糸を切断。自由になったマグロは、そのまま海中に潜っていった。 「お〜い、そろそろ終わりにしようか! 生け簀が溢れそうになってるしよ!」 漁業長の呼び掛けに、開拓者達はいけすを覗き込む。中身は、ほぼ満杯状態。これ以上、秋刀魚を入れるのは無理だろう。 開拓者達は漁具を回収し、倉庫に返していく。緋影と黒初が碇を引き上げる中、仁は操舵室に駆け込んだ。 「帰りの操船は、俺が代わるよ。克騎さんは揺れの少ない場所で休んでな。あ、頭は冷やしとけよ?」 そう言って、濡れたタオルを投げ渡す。克騎はそれを受け取り、室内の隅で横になった。 ● 太陽が真南に昇る頃、開拓者達は漁から戻って来た。港に船を停め、特注の巨大な水槽に秋刀魚を移していく。 「克騎さん、まだ辛いの? 酔った時に効くツボ知ってるから、押そうか?」 作業をしつつも、半死半生状態の克騎が気になるのか、エミナが声を掛ける。彼が弱々しく頷くと、エミナはツボ押しを施した。激しく船酔いした克騎に、効果があるか不明だが。 「皆さん、お疲れ様でした。それにしても……凄い量ですね」 労いの言葉を掛けながらも、苦笑いを浮かべる黒初。漁船のいけすよりも大きい水槽なのだが、その中は秋刀魚で大渋滞。1匹ずつ数えるのが馬鹿らしくなるような、大豊漁である。 「今日は一日、助かったぜ。礼ってワケじゃないが、遠慮なく秋刀魚を喰ってくれ!」 「言われなくても、遠慮なんてしないけどね♪ どうやって頂こうかしら…」 『待ってました』と言わんばかりに、真琴は漁業長に不敵な笑みを返した。漁業長は開拓者達を港の調理室に案内し、招き入れる。調理器具や食材の場所を簡単に説明すると、残務処理のため船に戻って行った。 「さてと…俺はテキトウに色々作らせて貰うさ。一応、嗜む程度になら出来るからな」 そう言って、緋影は秋刀魚をまな板に乗せて包丁を入れる。彼の手際は見事で、あっという間に3枚におろした。 「私は、丸焼きにしたいな。醤油でもポン酢でも合うし、一杯焼いて食べちゃおうか」 軽く微笑みながら、エミナは魚に串を刺す。それを皿に並べ、少量の塩を振り掛けた。 「なら、丸焼きはエミナさんに任せて良いか? 俺は刺身と、炊き込みご飯を作るぜ。あと、なめろうは絶対外せないな!」 若干熱く語りながら、魚の血抜きを施す仁。その間に調味料や食材の準備を進め、秋刀魚を一気に捌き始めた。 「お料理、楽しみだけど…自分でも作りたいのだよ。邪魔になるかもしれないけど、誰かお料理教えて下さい!」 料理特訓中のフレスは、仲間達に向かって深々と頭を下げる。偶然にも料理上手が揃っているため、先生役に困る事は無い。ちなみに、黒初は食卓の準備を担当しているため、調理をしていないが。 「勉強熱心なお嬢さんね。つみれ汁で良ければ、私と一緒に作ってみる?」 彼女の熱意が通じたのか、真琴が誘いの言葉を掛ける。つみれ汁なら刺身よりも作り易く、なめろうのように味付けが難しいワケでもない。料理初心者でも、充分に作れるだろう。 「ありがとうだよ、真琴姉さま! 私、いっぱい頑張るのだよ!」 尻尾をパタパタさせながら真琴に抱き付き、全身で喜びを表現するフレス。2人は顔を見合わせて微笑むと、調理を開始した。 空腹を加速させるような匂いが、徐々に広がっていく。既に50匹近い秋刀魚が調理室に運ばれたが、水槽の中はまだまだ渋滞状態である。 秋刀魚の数を気にする事なく、調理を進める開拓者達。完成した料理は黒初が運び、食卓に次々と並んだ。 塩焼きに、刺身。なめろう、炊き込みご飯に、つみれ汁。更に、緋影の作った蒲焼きと南蛮漬け。昼食にしては贅沢な秋刀魚尽くしだが、彼等はそれに見合う成果を残している。全ての料理が完成すると、開拓者達は食卓に着いた。 「海の恵みに感謝して…いただきます!」 仁の音頭に合わせ、6人は合掌して食前の挨拶を交わす。次の瞬間、食卓の上を箸が乱れ舞った。舌鼓を打ちつつも、皿がドンドン空になっていく。 「ん〜…魚のワタって、ちょっと苦手…そのうち食べられるようになるかな?」 ポン酢で塩焼きを食べながらも、若干顔を歪めるエミナ。内臓の苦みが苦手なのか、ウサ耳が元気無く垂れ下がっている。 「まだまだお子様だな、ウサ耳の嬢ちゃん。さて…仁、黒初、一杯付き合わねぇか?」 からかうような言葉を口にし、緋影は男性陣に盃を差し出した。2人がそれを受け取ると、酒を並々と注ぐ。エミナの視線を受けながら、緋影は杯の酒を飲み干した。 料理が美味いと、米や酒もすすむ。重労働の後なら、食事は一層美味く感じる。1時間もしないうちに、食卓の料理は全て開拓者達の胃に収まった。 「あ〜、おいしかった。けど…当分、秋刀魚は見たくないかも」 満足そうに腹部を撫でながらも、独り呟く真琴。彼女の言葉に、仲間達から笑い声が零れた。 |