【山河】街
マスター名:北野とみ
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 普通
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/02/19 22:50



■オープニング本文

 小さな街だった。
 そこへ担ぎ込まれたのは、細い少女。
 少女は、火事の煙を吸って、体力ががっくりと落ちたようだった。
 アヤカシに追われて、少女だけ残して逃げてしまった村人達が、詫びの代わりにと、街の医者へと少女を連れてきたのだ。たくましい女の背負い籠から下ろされた少女の名は、月妃と言った。今年で十八になるという。長い栗色の髪をひとつに首の後ろで結んだ、飾り気の無い少女だ。
「おや‥‥この足は、何時からだね?」
「ずっと小さな頃です。村に辿り着いた時には、もう動けませんでした」
 アヤカシに追われて、村が崩れるというのはよくある話だ。その村は、そんな人々が寄り集まっているようだ。
 か細い声に頷くと、その医者は首を傾げる。
「足に異常は無い‥‥動けないはずも無いのだが」
「‥‥え?」
 月妃の顔が複雑な表情に変わる。
 どうやっても動かない。動けるのならば、どれ程良いか。それは、同行してきた村の女が首を横に振る。そんなはずはないと。とっさの時にも立ち上がれないはずが無く、月妃がどれだけ気立てが良いかをまくしたてようとするので、医者は苦笑して止める。
「何か別の要因があるのだろうね。でも、忘れないでおいてほしい。きっと立てるようになるからね?」
 さて、見立ててもらった帰り道が、土砂崩れで止まってしまった。
「アヤカシが出たって」
 女が溜息を吐いた。
 アヤカシ退治が、この街から出されたという。
「少しまたないといけないね。なあに、逆に良かったよ。少しこの宿でのんびりしよう?」
 満面の笑顔で、女は弱った月妃の肩を抱いて、励ました。
 その宿屋の前には赤い毛氈が敷かれた長いすがあり、その椅子の横には、先の赤い水仙が、見事に群生して咲いていた。宿屋の女将が丹精し手居るとの事だった。その横には、春の訪れるのを待つ、寒風に揺れる、未だ硬い小さな雪柳の蕾があった。
 月妃と女は、開拓者達からの朗報を待つ為に、他の宿泊客と共に、日の暖かい日中はその場所で、茶を飲むのだった。

 のんびりした街だった。
 とりたてて、何が有名でもない、小さな宿場街である。
 そこの街道が土砂に埋まった。
 その土砂の上に、アヤカシが出たのだという。雑草のようなその姿は、大人の足の膝ほどまでしかない。よく見ると、伸びた草の合間から茎が伸び、茎の上に、けたけたと笑う口だけがあった。その口を閉じ、一旦後ろに引いて、口を突き出すかのように前に伸びると、真空の刃が飛んで、人の足をざっくりと切り裂くのだ。
 そして、点々と人の背ほどもある土砂の上まで生えているそのアヤカシは、下は脛辺り、上は大人の目の辺りまで、真空の刃を飛ばすのだと言う。
 真空の刃が飛んでくる距離は、長い。攻撃を避ける事は出来なさそうだ。
 しかし、その攻撃自体は、さして強力でも無いようである。
「そういうわけでえ。街まで行ってくれる人募集ーっ。通行可能になったら、宿屋まで報告してあげてねーっv」
 小走りで走ってくる開拓者ギルド受付が依頼を説明し始めた。


■参加者一覧
崔(ia0015
24歳・男・泰
当摩 彰人(ia0214
19歳・男・サ
香椎 梓(ia0253
19歳・男・志
鷹来 雪(ia0736
21歳・女・巫
由他郎(ia5334
21歳・男・弓
濃愛(ia8505
24歳・男・シ
煌夜(ia9065
24歳・女・志
エグム・マキナ(ia9693
27歳・男・弓


■リプレイ本文


 街道を塞がれては、行き来が止まる。
 そんな場所は多いのだろう。アヤカシが何時出てくるかわからないご時勢だ。人々は、出来る限り、安全な街道を行きたいだろう。
「そのアヤカシ達殲滅しなけりゃ、行き来も自由に出来ないってか‥‥死活問題だよなぁ」
 鮮やかな緑の瞳がくゆる。淡い茶の髪を掻くと崔(ia0015)は、どれ。とばかりに、近辺で聞き込みをしながらやってきていた。良く依頼書を読めば、草アヤカシが沸いた土砂は、山の上のほうから落ちてきている。
「その土砂の上に沸いただけ、とか、沸いたせいで土砂が落ちてきたってんなら、そう問題もねえが‥‥元々群生してたら面倒だ」
 山は、下のほうは固い岩盤で覆われており、上のほうに柔らかな地層が積み重なって出来ているタイプの山であるようで、岩肌の合間、清流の合間に珍しい花などが咲くのだという。そして、やわらかな土の山の方では、山菜が良く取れるとか。じき、春がくれば、山に分け入る人もいるのだろうが、今はまだ、雪こそ積もってはいないが、酷く冷える。以前から特に何も無い場所で怪我をしたとか、街道を占拠している草アヤカシの攻撃に似た、ちょっとした出来事は無いかと聞けば、冬の初めまでは、何も無かったが、今は猟師ぐらいしか山には入らないので判らないとの事だった。
「‥‥心配無い‥‥とはいえないか?」

 切り立った崖の上から、土砂と共に落ちてきた草アヤカシ。
 開拓者達は、問題の土砂の前まで辿り着いていた。
「素朴な街に現れた雑草のアヤカシですか。雑草もアヤカシも、共に望まれない存在‥‥サクッと駆除してしまいましょう」
 高く括った長い髪が揺れた。香椎 梓(ia0253)は笑みを浮かべる。意識を集中させ、アヤカシの数を割り出そうとするが、どうも遠い。もっと近くに寄らなければならないとなると、ひょっとすると攻撃範囲に入ってしまうかもしれない。
「そんなに強くは無さそうだけど、群生してるから流石に厄介そう。けどまぁ、だからこその開拓者の出番、よね」
 風に揺れている、そのアヤカシを見て煌夜(ia9065)は、うん。とひとつ頷く。ゆるく三つ編みにした光沢のある銀の髪が、きらきらと陽光を反射する。そんな煌夜の近くで、遠くの山を透かし見るのは白野威 雪(ia0736)。
(「先日の依頼で行った村と、近いところでしょうか‥‥あの村の方々は、ご無事でいらっしゃるでしょうか‥‥?」)
 つい先ごろ、この地域で鬼のアヤカシが出た。炎でかなりの家が焼けてしまった村だった。街近くでも、こんなに寒い。山中の人々を気遣い、雪は小首を傾げた。絹糸の束のような白銀の髪がさらりと零れる。
「とりあえず、俺が盾になってあげよっかね」
 にっこりと、人好きのする笑顔で当摩 彰人(ia0214)が、尻尾を振った犬のような懐こい雰囲気満載で言う。僅かに雪が煌夜の後ろに隠れるのを見て、軽く肩を竦めるが、それ以上寄る事はしない。普段のままに笑みを浮かべ、くるりと背を向けた。
「ぁ‥‥」
 雪は小さく声を呑む。様々な思いが押し寄せるが、その背に声をかけることはしない。けれども。
(「無茶をなさらないか‥‥気になります」)
 心配する事は無いと、安心させるかのように、煌夜がそんな雪の肩を、軽く叩く。
「まずは、攻撃が届く範囲を見極める所から‥‥か」
 崔が眼鏡の位置を、くっとなおす。
「王道こそ最善手‥‥安全策は特になし‥‥面倒ですね」
 まあ、しかし、確実ではありましょうかと、エグム・マキナ(ia9693)は理論めいた物言いをすると、彰人が頷く。
「カエトラ構えて前進してくから、皆、後ろからついてきてくれるって感じでいいかな?」
「そうなりますね。その前に、射掛けてみましょう」
「森に巣食うアヤカシ‥‥か」
 理穴弓を手に、落ち着いた青い眼差しをアヤカシに向けつつ、エグムが街道の中央に立てば、共に並ぶのは由他郎(ia5334)。手にはやはり、射程の長い黒漆の弓を持つ。理穴出身の由他郎。山深い中に居たかもしれない、土砂の上に群生するアヤカシに、軽く眉を顰め。

 並び立った、二人の射手が、共にきりきりと弓を引き絞った。軽い緊張が走る。
 空を裂いて飛ぶ矢は、ざくざくと、草アヤカシに突き刺さると、甲高い嫌な声を上げて、草アヤカシは還って行く。
 刺さった矢へと、近場のアヤカシが一斉に攻撃を仕掛けた。どうやら、真空の刃のようだ。
 矢を射掛けると同時に、走り込んだのは崔。
半ばほどまで進むと、ぐっと後ろに引いた口のある首が伸びて、崔を襲う。
「おおっと」
 打ち込まれた見えない刃が、ざくざくと崔の足元を襲う。土砂は膝上ぐらいまでの高さがあり、その高い所のアヤカシの攻撃は届かなかったが、もし届いていれば、腹。小柄な者なら顔へと細かい裂傷を受けるだろう。
 傷は浅い。かみそりで切ったかのように旗袍が切り刻まれ、足元の足袋を引裂き、かすかに届いている。
「弓の射程の半分って所か?」
 射程を確認した崔は、攻撃が一度止んだ所で、取って返す。
「真空の刃を飛ばす際の兆しは見えましたね‥‥。これだけの数がいては、回避は難しいのでしょうが‥‥」
 応援の舞いをどちらにしようか考えていた雪は、飛び交う刃の手数の多さに驚きの色が混じる。やれやれと、煌夜は首に手を当てて笑う。思った通り、アヤカシの攻撃は、弓の射程よりはかなり短そうだ。だが、接近して戦う者にしてみれば、かなり長い。
「んー。でも、退治するには難しく無さそう? 届かない相手には反応しないみたいね。ホント、反射的というか」
「地道に行くなら、弓でかなりの数が減らせるようだが、土砂の裏側が見えない」
 土砂は軽い傾斜を描いている。山や丘にはなってはいないが、それなりの盛り土である。由他郎は、全部を掃討するなら、土砂に踏み込まなくてはならないだろうと思う。
「そうですね。時間もかかり過ぎるでしょう」
 エグムが肯定の頷きを返す。
「じゃあ、行っとく? 何時でもいいぜ?」
 彰人が、ぶんぶんと丸い盾カエトラを振り回す。今にも走り出しそうな軽快な動きだ。
「移動はしないようですから、向こう側のアヤカシを退治するには、接近するしかなさそうですね」
 万が一動いたらと考えていたエグムが頷く。
「あ、良い。大丈夫だ」
「でも‥‥」
「自力回復出来るしな、白野威は別の、万が一にとっといてくれ。その方がありがたい」
「わかりました。皆さんお気をつけて」
 怪我をしたのではと、一度戻って来た崔へ向かい、回復をと思った雪へと、崔が笑う。
「では、次の攻撃で距離を詰めましょう。雑草は攻撃時、一旦後ろに引いたりするようです。その頭の動きに注意すれば、ある程度は避けられそうでもありますね」
 梓は、崔が距離を確かめに進んだ時に動いたアヤカシの行動を見ていた。それはどうやら習い性になっているようで、どのアヤカシも同じような動きを見せていた。では行きましょうかと、散歩にでも行くかのように、仲間達に声をかけた。

 びょう。
 弓矢が独特の音を響かせ、アヤカシへと向かう。
「背に当たってしまいますね」
「一矢のみとなるか」
 手数を増やすには、先に進んだ仲間達へと当たる。エグムと由他郎は、顔を見合わせると、油断無く弓を構えたまま、一矢を放った後、一旦その攻撃を停止する。
 矢が刺さったその場所に、アヤカシの攻撃が集中する。その合間に、前衛の者達が走り込む。
「よーっし。身体張っちゃうぞーっ。身を呈してでも雪と煌夜ちゃんは守ってあげるからねっ!」
「はいはーい。聞いとくわー」
 満面の笑顔の彰人へと、多少冷めた返事で煌夜は軽くいなし、でもしっかりと彰人の後ろからアヤカシへと近付く。
「おや、私は守っては下さらないと?」
「雪と煌夜ちゃん限定っ」
「それは残念」
「怪我上等だろ」
 くすりと笑い、梓は軽快な足裁きで進むが、何分にも道幅が狭い。細かい裂傷は仕方の無い事かと思う。にやりと笑った崔と、三人が盾となるべく前を走る。
 接近に気がついたアヤカシが、その顔──赤い唇をくるりと開拓者達に向けた。くっと後ろに引いた後、前に突き出るように唇を突き出すと、そこで一瞬空気が揺らいだ。見えない刃が刀となったかのように、飛んでくるのだ。一体の刃は些細なものだが、それが固まったとなると、防ぐ事は困難。軽い音が響いて、彰人の盾に無数の傷がつく。盾だけでは防ぎきれない。袖に、裾にと細かく裂かれ。
(「雪には‥‥何かの罪滅ぼしになれば良いんだけどね‥‥」)
 彰人はにこやかで人懐こい笑顔を引き締めながら、心中で思う事があった。普段よりもテンションが高かったのは、この心模様を隠したかったからかもしれない。
「よっ‥‥と!」
 目の前に怪しい唇が迫って見えれば、彰人は盾を背に担ぎ、無骨に反り返る太刀を手にする。梓は、宝珠が埋め込まれた、細い刀身へと炎を纏わせ、横薙ぎにする。
「手早く刈り取りましょう」
「同感だ」
 無造作に踏み込み、勢いをつけた七節棍を振り下ろす。土塊が舞い上がり、アヤカシが悲鳴を上げる。
「刈り取りっていうより、耕すって感じか」
「所詮植物っ!」
 踊り込んだ彰人が軽々と重い太刀を振り抜いて走り。
「いくわよ」
 その背後から、切り残されたアヤカシを、煌夜がさくさくと片付ける。アヤカシは次々に還って行き、踏み込んだ開拓者達には、細かな裂傷が散々ついて。
「お疲れ様です」
 雪の手から、順に癒しの爽やかな風が梓と彰人へと届き、終了を確かめた崔はきっちりと自力で回復をかけて。


「‥‥届かないか」
「自然に崩れたものか、人為的なものなのか、気になりますけど、ここからでは無理そうですね」
「しょうがないな。大回りすると、一日がかりの距離になるようだからな。また落ちるかもしれない、柵かなにかつけれるようなら、その必要も報告しておくか」
 事前に調べていた崔は、山に入る道から、この崖の上まで辿り着く時間を考えて、溜息を吐く。梓は首を横に振る。探査するが、どうやら届かないようだ。土砂の片付けをしようかと思っていたが、大量の土砂だ。急ぎの人は上を通って行くだろう。簡単に散らかったものを固めておくだけにする。
「山中には、あのアヤカシが多く居るかもしれないとすると‥‥いやはや。やはり直接目にしなければ分からないことも多いものですね」
 山を振り仰ぎ、エグムは軽く首を横に振る。書物には沢山の事柄が書かれている。けれども、ひとつの現実から学ぶ事が、どれほど多い事かと思うのだった。

 結果を報告に行くと、こじんまりした宿の入り口の前には、緋毛氈が敷かれた長いすがあり、その横に紅を点したかのような、口元の、小さな水仙が、見事に群生していた。アヤカシとは段違いの涼やかさだ。
 梓は、その配置の妙に、目を細めて笑みを浮かべる。
「品良く手入れしてありますね」
 報告を受けた女将は、どうぞ一服して行って下さいと、空いた場所へと、開拓者達を招く。
「報酬もらってるわけだから、あまりゆっくりさせてもらうのも悪い気が‥‥」
 小春日和である。ぽかぽかと暖かい場所で供される豆大福と、鮮やかな緑のお茶を手にして、煌夜は困惑する。嬉しいのだけれど、仕事という文字が頭から離れない。
「よし」
「どうされました?」
「女将さん、忙しそうだったでしょ? お客さんの気晴らしに付き合おうかなって」
「それは良いかもしれませんね。ですが、次々に出立されていらっしゃいます‥‥まあ月妃様‥‥!」
「あ‥‥先日は、ありがとうございました。お世話になりました」
 待ち続けた旅人は、一服済ますと、開拓者へと口々に謝意を告げ、すぐに街道へと旅立って行く。一服する旅人達の中に、雪は少女の姿を見つけて、目を見張る。
「知り合い?」
「はい。先の依頼で、お助けしました」
「雪〜☆ 何、知り合いなの〜っ?」
 満面の笑顔で雪の近くに寄ってきた彰人を見ると、煌夜はさりげなく雪と彰人の間に入る。
「助けた女の子なんですって」
「そっか〜。やぁやぁ、侍の彰人お兄さんですよ〜、なんちって。あぁ、良かったら、これあげる〜、もふらのぬいぐるみ。俺が持ってても使用がないしね? 俺の代わりに可愛がってあげてちょうだいな☆ ちなみに俺を可愛がってくれても良いよ?」
 きょとんとしている月妃へと、彰人は持っていたもふらのぬいぐるみを手渡して、ついでに、月妃の頭を撫ぜる。
「あ、豆大福落ちますよ。座らないと、他の人が通れないみたいですし」
 困惑している雪の表情を見てとった煌夜は、はいはいと、彰人を引きずり、少し離れた場所へと落ち着かせる。えー。とか言っている彰人だったが、煌夜が隣に座った事で、大人しく豆大福を食べ始める。煌夜は雪に大丈夫だからと言う目線を送ると、お茶を飲んで、深いため息を吐いた。
 煌夜に感謝のお辞儀を送ると、雪は月妃の隣に座る。咲き誇った水仙の香りがふうわりと漂う。
「あの時は、大変な思いをなされましたね‥‥お身体の具合は、いかがでしょうか‥‥?」
「きちんとお礼が言えなくてすみませんでした。ようやく元通りになりました」
「おや、お知り合いですか? 私、エグム・マキナという者で、昔教師をしていた開拓者です」
 雪が話していると、エグムが顔を出す。そして、教師時代の話を始めると、これが中々止まらない。連れの女が、溜息を吐いて、そろそろ行かないと日が落ちると、声をかける。
「‥‥と、失礼。話を始めると止まらないもので」
「いえ。外の方の話は面白いです。ありがとうございます」
 背負い籠に背負われるのを見て、梓はおやと思い、硬い蕾の雪柳の小さな枝に目をやれば、女将から声がかかる。どれくらい欲しいかと。一枝と言えば、枝振りの良いものを切ってくれた。
「どうぞ‥‥」
「ありがとうございます。‥‥弟も、良く野山の花を摘んできてくれるんです」
「そうですか、お姉さん思いの弟さんですね。道中、お気をつけて」
 月妃達の出立が最後の客のようだった。
 宿の女将さんは、大勢の客を見送る事が出来て、良かったと、開拓者達に改めて礼を言い。
 山の土砂崩れの柵を作るという話が、街のまとめ役のところへと持ち込まれる事になるのだった。