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■オープニング本文 ●牧場にて 拝啓、母上さま。 現在自分は都から少し離れたところにある朋友の牧場で働いています。 ここではもふらがころがったり、龍が大きく空を駆けていたり、退屈しない環境です。 いろんなものに触れ合えるのはとてもよく、そのうちここに招待しようと思っています。 たまには親子水入らずで‥‥。 ぱちゃ。 「あー!もぉー!水遊びは向こうでやれっていってるじゃないかぁ!」 若い牧場の飼育員がミヅチを抱えて川に戻しに行く。 抱えられているのはしたり顔で「ぷあー」と鳴いている。 「こいつら人の気持ちをわかるんじゃないのかよぉ!」 だんだんと机を叩きながら濡れまくった手紙を捨てて、もうあきらめる。 「ははは、うちのミヅチは悪戯が好きだからなー」 つるんと丸くなった頭が夏の日差しを照り返す。 相変わらず筋骨隆々で白い歯が光っている飼育員。 その頭にぴゅっぴゅと水鉄砲をかけられるが、特に気にしていない。 「な?これも一つの愛情表現なんだよ」 ぴゅ、ぴゅ、びしっ、びしっ。 どうみても水圧が違う。なんていうか痛いっていうのがひしひし伝わる感じの音。 だって目の前で当たってる坊主頭が当たるたびにぶれてるんだもん。 「こらぁ!人に当てちゃだめっていっただろぉ!」 あ、怒った‥‥ミヅチを捕まえて尻たたいてる。 ぴーぴー鳴いてるミヅチを抱えたままむすっとしながら。 「ほら、ちょうどいいから夢の姉さんのとこにそのチラシもってけ」 これですか?と言いながらそれを見せるとぴゅっと水鉄砲。 びしょぬれになったチラシを目の前に尻たたきが再開され。 ついでに後で夢にも怒られた。 |
■参加者一覧
風雅 哲心(ia0135)
22歳・男・魔
紗耶香・ソーヴィニオン(ia0454)
18歳・女・泰
からす(ia6525)
13歳・女・弓
レヴェリー・ルナクロス(ia9985)
20歳・女・騎
フェンリエッタ(ib0018)
18歳・女・シ
猫宮・千佳(ib0045)
15歳・女・魔
緋那岐(ib5664)
17歳・男・陰
キルクル ジンジャー(ib9044)
10歳・男・騎 |
■リプレイ本文 ●牧場のいつもの受付 のんびりと夢が煙管を吹かしつつ、いつものようにけだるくしている。 もちろん暑さもあるせいで完全にぐったりしている。 「相変わらずぐったりしているな」 風雅 哲心(ia0135)がこつこつと机をたたきながら来たことを知らせる。 「にゅ、夢おねーさんも久しぶりなのです」 一緒になってくてーんと机にのっかる美水姫、暑苦しい顔をすると同時にでこぴんが飛んでくる。 「いたいですー‥‥!」 ぎゅっと風雅の足元に抱き着いて避難、そのままぐったりした状態で差し出される受付表にいつも通り名前をかきつつでこぴんされたところをさすってやる。 「あんまし苛めるなよ?」 「だって、あついんだもん‥‥」 ぺちぺち足元で美水姫が復讐を果たしてから牧場に進んでいく。 そんな感じに暑さに完全にやられているところにもっふもっふと我が物顔でのしのしとやってくる。 「それ、恥ずかしいからやめてよ‥‥もう‥‥」 紗耶香・ソーヴィニオン(ia0454)が呆れ顔半分困り顔半分でもふ龍を抑えている。 目の前にいる夢ですらあーんと口をあけて、飯をくれの状態。 「後で作りますから、まってて‥‥」 「はーやーくー‥‥もふ龍の毛、むしるぞー」 もふっと鳴くとぺしぺし夢を叩き始める。そんなもふ龍を手厚い歓迎(足でいじくるだけだが) 「仲がいいのか、悪いのか‥‥」 いつも通りに受付に名前を書いて、さっくり中に入っていく。当分もふ龍はてしてししているらしい。 もふ龍と散々てしりあいをしたあとにからす(ia6525)が兎羽梟とやってくる。 兎っぽい感じの走龍を見つめながらぼうっとして。 「手羽先、あぁ、兎の肉も最近食べてないわね‥‥後で調理してやろうかなぁ」 「‥‥冗談に聞こえないな」 ちょっと危ない雰囲気を感じたのかすぐさま後ろに隠れる。 ちっと軽く舌打ちしながら腹減ったなーと言いながら受付表を差し出す。 さらさらとそれを描いて、逃げるように牧場の中に。 空腹は恐ろしい。 引き続き暑さと空腹でやられているところにレヴェリー・ルナクロス(ia9985)と猫宮・千佳(ib0045)が揃ってやってくる。クレアと、名もない猫。のはずだったが。 「名前は百乃にゃ」 にゃにぃー!?と下で百乃が驚いている、先ほど名前はまだないとか言っていたくせにものの数秒で衝撃的な出来事が起きている。 「あんたら元気ねぇ‥‥あ、さっきのやつより手羽先おいしそうね」 また嫌な予感がよぎったので手早く受付表に名前を書いていく。夢だと冗談じゃなくて本気で鷲獅鳥を仕留めて手羽先にしそうなので焦る。 「なんで、なんで名前をつけたのにゃぁ!」 がりがりと猫宮の足をひっかきながら抗議しまくっている、残念ながらほとんど無意味なのだが。 「さっき決めたからにゃ、これからは百乃にゃ」 ぎゃーぎゃーと言いながら奥にそろって進んでいく。 かたや手羽先候補、かたや主人が横暴。なんとも心の休まる場所がない。 こちらも新しい手羽先‥‥じゃなくて走龍のジゼルとフェンリエッタ(ib0018)がひょこひょことやってくる。そんな二人を見つめながら。 「ねえ、手羽先、すき‥‥?」 「え、あ、どうでしょう‥‥」 「でも走龍のは筋張ってそうでまずそうよねぇ‥‥」 びくっと震えてジゼルを隠す。まぁ、普通の反応だがフェンリエッタ的には夢が言うと冗談に聞こえないうえに、目の前で林檎をまるごと奪われそうになったりとか、そんなこともあったので必死にかばっている。 「龍かぁ‥‥おいしいのかしらねぇ‥‥」 ぐったりしたまま受付表に名前を書きなさいと言わんばかりに指さしして、そこに名前を恐る恐る書いていく。そして名前を書いた後に夢を見つめると完全にぐったりとしてよだれを垂らしてお腹を鳴らしている。すぐさまその場を離れたのは言うまでもない。 そして何をびびっているのか緋那岐(ib5664)が恐る恐る牧場の中をちらちらとみている。もふらを超警戒しながらじっくりと様子をうかがう。心的外傷もちなのでもどうしても慣れないものだ。 「もふらか‥‥もふら‥‥」 「‥‥入るの?入らないの?」 とりあえずトラウマがよみがえっているらしいので、からくりの菊浬に名前を書かせておく。 「‥‥足元にもふら」 と、冗談見たくいうと飛び上がって回避している。それをみてげらげら笑っている夢を軽く怒りながらもふらを警戒しながら進んでいく。 ぼうっと夢が空を見上げて、そろそろお昼時ねぇ、とかそんなことを言っているとキルクル ジンジャー(ib9044)が文字通り頭を咥えられてぶらんぶらんとされながらやってくる。とりあえずここまでやってくる間に歯形が付くくらいにはかじられているらしい。 「‥‥治療費、でないわよ?」 「あー、痛いのですー、お財布的にも痛いのですー!」 そんな光景を眺めつつ受付の台帳を差し出してとんとんと指でたたいてやる。が、筆が走るっていうか頭に歯が食い込んで血痕が飛び散っている。 「あー‥‥んー‥‥ま、いっか‥‥」 そのままどうぞと言わんばかりに牧場のほうに手を招くと走り去っていく。 そして全員見送った後にゆっくりと受付に座ると、大きく腹の虫が響いたとか。 ●牧場の中 おでこをさすりながら風雅の頭の上に乗りながらまったりしている美水姫。なかなか重いのか結構頭が垂れている。とは言え基本的にはふよふよしているだけなのでものっそい重い訳ではないのだが気分的なもの。 そんなわけでのんびりと散歩しながら適当な場所までやってくると風雅のおでこをぺしぺしとたたいて。 「うんどー、するのですよー」 ひょいっと降りるとえっちらおっちら、運動‥‥と、言えるのかよくわからないが運動しはじめている。走ったり、転がったり、ごろごろしたり。その様子を木陰の下でそれをもってきた水を飲みつつまったり見つめる。 「何か手伝えそうな事とかないか?」 「ないのですー、一人で、大丈夫なのですー」 ちょっと強がってみる。実際はころころしているだけなので特にこれといった運動じゃないのは目に見えてわかる。そんなこんなで数十分後。 「主様―、おみず、くださいー」 ふよふよふよ‥‥ぽてん‥‥膝の上でごろごろしながらお水くれーっと。甘えんぼ状態。そんなわけでお水を渡して一息。キャンディボックスから飴玉一つくわえてころころしながらまったり。しばらく木陰でのんびりしてからまたぱたぱたと歩き出して技能の磨きを始めていく。 今日のお品書き。夏野菜のかりー。 がちゃがちゃ道具を置きつつ、簡易的なテントを張って拠点を作り始める。 このあたりも何度もやってきているあたり、 「とりあえず、夢さんにお弁当を運んで行ってね?」 わかったもふーっと頭の上にお弁当を載せてふらふらえっちらえっちら。 「あ、ついでにお魚もお願いね?」 ちっちゃい手でぴしっと分かったもふっという合図を送りながらお弁当とお魚を捕りに行く。ついでに後ろには牧場のもふらが兵隊のように付いていく。 そんなわけで魚を取っている間。さっそく調理を始めていく。 まずは持ってきた夏野菜を輪切りやら乱切り、斜め切りにと食べやすい大きさに。 次に鳥のもも肉を一口大に切った後に塩胡椒 鼻歌を奏でながら泰鍋を温めて、油を引いたのちに鳥もも肉を入れて両面を焼いていく。 そしてお酒を入れ、強火で煮詰めていく。 十分に煮詰めた後には水を入れて沸騰。 火を止めてから各種スパイス、調味料を入れて再度加熱したのにのちに混ぜてから火を止める。 次に野菜を油を引いたのちに炒めていき、先ほど作ったかりーの中に入れて和えてから火を入れて混ぜ合わせ。 炊いて置いたご飯の上にとろっと乗せると完成。 香ばしいにおいがあたりに立ち込める。 そうしているとえっちらおっちらもふ龍達が帰ってくる、一匹だけミズチを担いでいるのは気のせいだろう。ぷあーと鳴いているが。 とりあえず自分の分を食べつつ、もふ龍達を眺め。 「後でおすそ分けしにいきませんとねぇ?」 近寄ってきたもふらを撫でつつ。 兎羽梟に乗りながら牧場を走っていく。 とりあえず入口から突き刺さる視線から逃げるようにてってこと走り続ける。 背中を撫でつつ、決めたコースを軽く走っていく。 そして十分な距離を走った後に、背中を叩いて加速の合図。 速度を上げながら事前に決めたコースを走りながら時間を測定。懐中時計を取り出してちくたくちくたくと針を見つめながら、うんうんといいながら仕上がりを見つめていく。 ついでに障害物のありそうな場所を進んでいき、森の中をうねるように進み。 「‥‥と、もふらだ」 目の前でごろごろと我が物顔で転がっているもふらを飛越、さらに走りぬいていく。 心地よい風と共に草原を走りながら、どういう動きをつかんでいく。 ある程度走り、気分も高ぶっているとところで攻撃の動作も確認。 体をひねり、尻尾での素振り。片足を前に突き出して半身を捻りながら攻撃を加える動きだが、正直なところ振りの速さと上体の移動を考えると隙だらけになる上にからすの反転速度が圧倒的に足りない。騎乗している限り下半身は確実に固定する、そこから腰を回して射撃体勢を維持するとなるとかなり体に負担がかかる。 「捻った後の挙動が不安定」 動けることは動けるがそこからとなると狙い撃ちにされるだろう。 ある程度動き回ってからは木陰に座り、のんびりと休憩しながら読書を始める。 兎羽梟は大福と水をはもはもと食べながらあたりを走っている。 そんな中、ミズチが一匹、「ぷあー」と言いながら近づいてきて。 「ん?どうしたのかな?」 ぱしゃっと顔に水がかかる。口から水でっぼうを発射したらしい。 それをぬぐいつつ、かまってほしいのかな?と言いながら本を閉じてミズチを撫でる。 撫でられつつぱしゃ、ぱしゃっ、びしっ、びしっ。 「あれ、いいの‥‥?」 「本人が怒らなかったら、いいんじゃないかな‥‥あ、怒った」 顔を水まみれにしながらお仕置きしていたり。 こちらでは猫宮と一緒にレヴェリーが川辺にやってきて着替えている。 先ほど名前を付けられたせいでむくれている百乃は水の近くにやってきてはいやいやしている。 そんなのを横目に川に足を入れる。ひんやりと冷たい感覚がぞくぞくと背筋を上がっていき、ぶるっと身震い。心地よい日差しといい感じの冷たい感覚にほふっと息を吐き出す。 「まだ、ちょっと冷たいわね」 そんなふうに川の水を確認していると頭にごりごりと嘴を擦り付けられる。どうやら早くかまってほしいという合図なのだろう。小さく唸ってもいる。 「わかったから、そう慌てないの」 そういうと一緒に川の中央まで入ってから水浴びを始める。ぱしゃぱしゃと水をかけて全体的に濡らしてから櫛を使って羽を洗いつつ、整えていく。 それに満足してるのか目を細めてぐるぐると唸りつつももっとやれと言わんばかりにすりついてくる。 「ほら、次は翼のほうよ」 とんとん、と体を叩いてやるとそれに呼応して一鳴き、翼を広げてまんべんなく洗ってくれといわんばかりに無防備に広げて水洗いされる。 その反対側では猫宮と百乃が走っている。 どうやら水に浸かって体を洗われるのが嫌なようだ。それもそうだろう、猫又とは言え、猫である。ふーっ!と威嚇しながら川辺をぱたぱたと走っていく。 「こら、待つのにゃー!ちゃんと水場できれいにあらうのにゃー!」 待てと言われて素直に待つ奴はバカなのにゃー!とかどうとか。 「たまの休み位、妾は日向でまったりしたいのにゃー!」 川の縁に一旦着地してから足に力を溜めてから跳躍。 しかし目の前にはレヴェリーがいるわけで。さらにその後ろからも猫宮が飛び出して一緒になって突っ込んでいく。 案の定ぎにゃー!と悲痛な叫び声が上がりながら二人揃って川の中でぷかぷかと。そんな中、もう一つぷかぷか浮かんで流れていく水着が一枚。 「いたた‥‥こら、百乃、ちゃんと言うこと聞きなさいっ!」 水辺から上がって首根っこを捕まえながらお説教をしているのだが。 「うにゃー‥‥」 猫宮とはいうと頭に星を回しながらふらふらしている。 「千佳も、前を見て走り‥‥って、あら?」 目の前で流れていく水着が一枚、ゆっくり下を眺めると、思いっきり脱げている。 慌てて百乃を離してしゃがみこんでからその水着を回収。 するところにミズチが一匹。ぷあーと言いながら頭に水着を付けたままその場からえらい勢いで消えていく。力ない声と恥ずかしさでその場から動けずにその光景を眺めていく。 そして二度も水場に落とされた百乃はというと目を覚ました猫宮にわっしゃわっしゃとあらわれている。 「観念して綺麗になるのにゃ」 諦め半分、脱力半分といったところで素直にわしゃわしゃとあらわれる。厄日ってこういう日のことを言うんです。 そんなわけで洗うものも洗い。日も高くなり。乾燥ついでに日向ぼっこをしながら過ごす二人と二匹。ちなみに水着装備のミズチは後でお仕置きされたようだ。 こちらではフェンリエッタが夢の魔の手を逃れて牧場内を軽く走っている。 来るたび来るたびに夢に弄られているのは気のせいだろう。 「ん、お天気もいいし思い切り走っていいわよ」 背中の上でゆっくりとジゼルの肌を撫でていく、それを感じてなのか喉を鳴らすと徐々に速度が上がっていく。飛ばないにせよかなりの速度が次第に出始めると。 「あ、危ないから、そんなに速度、出しちゃ、だ‥‥うわっ」 速度が上がってから飛び上がるように跳躍、ぱたぱたと小さな翼を羽ばたかせながら着地。本当は空を飛びたいの?と、小さくつぶやきながら頭を撫でてやる。 そんなわけで軽くはしりまわってから少し開けた場所にやってくる。途中でからすと一緒にかけっこしたりとムキになったりもした。 「ん、走るのもいいけど、これ、好きでしょ?」 球「友だち」を抱えてかるーく放り投げる。それを眼で追ってから翼でぽこんと打ち返し、フェンリエッタのほうへ、飛んできたボールをまたぽこんと打ち返し、ジゼルの方へ。そんなふうにぽこぽこと打ち返しながら、こちらも速度を上げていき。 「ちょ、ちょっとまち、なさいっ」 楽しくなると止まらないのはジゼルも一緒で、本気でボールを打ち返すとフェンリエッタ顔面に直撃。蹲ってしばし震えたのちに睨み付け―― 「こらぁー!」 びくんと声に驚いて逃げていくジゼルを「友だち」を投げつけて追いかけます。 ぎゃーぎゃーと叫びながら追いかけまわし、追いかけまわしているところにフェンリエッタが投げた「友だち」が夢に直撃。もちろん蹲って震えたのちに。 「ごらぁ!」 びくんと震えあがるフェンリエッタとジゼル。追いかける側が追いかけられる側になってたり。 そしてこちらではのんびり過ごそうと思っていた矢先にもふらの大群に遭遇してがちがちと歯を鳴らしているもふら恐怖症。 「大丈夫ですか?」 つんつんと菊浬が緋那岐の足をつつきながら反応を見ている。 まったり過ごしてだらだらと一日を過ごせるといつから思っていた?と言わんばかりのもふらがそこらじゅうで闊歩している。ちなみにその先頭には金色のもふらとやけにいい匂いのする何かがある。 「もふらもふらもふら‥‥」 ぶるぶる震えて現実から目をそらしながらゆっくりもふらに気が付かれないように菊浬を連れて(連れられて)少し離れた木陰にまで退避していく。 とりあえずもふらに警戒しつつ、特に危険もないので牧場から出ない事、遠くへ行かない事、と言いつけてから自由にさせる。ついでにお弁当を持たせてちょっとした体験学習的なことに。 そんなわけで一人見知らぬ世界にやってきた菊浬、今日はもふらに興味津々のようです。 手ごろなもふらに近づいてしゃがんでじーっと見つめ。 「こんにち‥‥は」 そういうと、もふっと一鳴きしてじーっと見つめ合う。しばらくじーっと見つめ合うと手を一つたたいてお弁当を開けておかずを一つ差し出す。もちろんぱくっとそれを食べると満足げな顔をするもふら。そんなわけで餌付けに成功するともふらがたくさん寄ってくる。みだりに餌を与えてはいけません。 勿論緋那岐が昼寝から起きた時にはもふらに囲まれていたとかどうとか。 走龍との交流。 その一。餌付けをしてみます。 「ワッフルですよー、おいしいのですよー」 トマホークの目の前でおいしそうな匂いを発している、おいしそうなのでがぶっと手ごと。 「いだー!」 その二。撫でてみる 「よしよしですー?」 恐る恐るトマホークの肌に触れてなでなで‥‥ガン無視されます。でも嫌がってはいないようです。 「‥‥成功?」 その三。とりあえず触ってみます ぺたぺたぺたぺたぺた。 ‥‥げしげしげしげし。 「痛い、痛いですー!」 その四。目線を合わせてみる。 じぃー‥‥じろじろじぃー‥‥。 顔を近づけ、鼻面が顔面にがしがしとぶつかります。本人はいたそうですがいやそうではありません。 「あだ、んがっ、いだっ」 その五。とりあえず乗ってみる。 「おとなしくしててくださいです」 んしょ、んしょと、言いながら無事に騎乗。しばらくしてから素直におります。 首根っこを咥えられてぶんぶん。 「振り下ろされた方がましですー!」 走龍は気性が荒い生物です。 ゆっくりと時間をかけて交流していきましょう ●あっという間な夕方 何だかんだでお弁当を食べられたとか忘れたとか、そんなことがあったので晩御飯の夏野菜かりーと焼き魚を全員がごちそうになってから帰っていく。 「もうちょっとほしいわねぇ‥‥手羽先に綿あめに焼き鳥ってところかしら‥‥」 ちらりと開拓者の方を見つめる。 勿論その品名にびくっと震えた開拓者と朋友、ついでに本気で食べかねない雰囲気を醸し出している夢を見つめてちょっと引いている開拓者。 「さきっぽ、先っぽでいいから!」 などと意味不明な供述をしており‥‥危険を察知したのか開拓者は蜘蛛の子を散らすようにさっさと帰っていく。そんな後姿を見つめながら。 「姉さん、ほんとに腹減っているんすか?」 「やーね、冗談よ冗談‥‥ほんとにやるならもう焼いているわ」 そんなことを言われて反応に困りつつ、今日も一日頑張ったわーと、言いながら夢も帰っていくのだった。 |