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■オープニング本文 ※このシナリオはエイプリルフール・シナリオです。オープニングは架空のものであり、ゲームの世界観に一切影響を与えません。 ●ギルドにて 天儀暦20XX年。世界は魔王の手に落ちました。 それもすごいあっさり、音で表すとぐちゃーっと片手でりんごを潰す感じに。 そんなわけで普通の人間は肩身を狭く、開拓者は一般人を守るために日々奮闘しています。 「仕事ばっかでやーねぇー」 あそこが襲撃されただの、あっちが襲撃されただのギルドにはその報告ばかり。 そしていつもどおりにそれを開拓者に斡旋して、仕事をこなさせる。 ‥‥征服された割には何も変わってない、寧ろ忙しくなっていらいらするくらいだ。 「遺跡とかー、洞窟とかー、色々私はいきたいわけなのよー」 手ごろな近くにいるもふらを捕まえてぐにぐにもふもふ。 夢的にはぶっちゃけ世界がどうなろうが自分の趣味が邪魔されなければ問題ない。 寧ろ暇がなくなったせいで魔王が嫌いです。 「何か考えてきたらイライラしてきたわねぇー‥‥あ、そーだ」 依頼書を書きながら、次の依頼の相談が聞こえてくる。 掲示板には腐るほど依頼が張ってあるのに一行に減らないのがイライラの原因だが、それ以前に直接倒しに行くのがいない。 ちなみに魔王の城があるのは天儀から大体歩いて10分くらい。 これ見よがしにでかでかとこれでもかと言うくらいに見せ付けるようにそそり立ってる。 (正確には断崖絶壁があるが) で、まぁ、ギルドの目の前、特に夢の机の前から入り口にかけそして全貌がわかるくらいに見えている。 どうにもにやにやと此方を見ている感じがイライラを積もりに積もらせ 「ったく、腑抜けばっかよね、ほら、さっさと倒しにいけよ!」 そこらへんの開拓者を蹴りつつ募集をかける。 その紙には‥‥。 『さっさと魔王倒してこい』 と、すばらしくざっくりとした説明書きだった。 |
■参加者一覧
水鏡 絵梨乃(ia0191)
20歳・女・泰
月酌 幻鬼(ia4931)
30歳・男・サ
雲母(ia6295)
20歳・女・陰
杉野 九寿重(ib3226)
16歳・女・志
蒼井 御子(ib4444)
11歳・女・吟
ローゼリア(ib5674)
15歳・女・砲
鏡珠 鈴芭(ib8135)
12歳・女・シ
草薙 宗司(ib9303)
17歳・男・志 |
■リプレイ本文 ●天儀暦20XX年 天儀は魔王に征服されています。とはいえそんなに危機感はないです。 魔王が怠慢なのかそれとも単純に面倒なのかはわからないが夢のストレスが溜まっているというのが一番この世界(主にギルド的なところで)にとっては危険なのかもしれない。日に日に貧乏ゆすりと煙管の噴かす量、鼻息が荒くなっているのだから。そしてそんな夢が集めた開拓者7人。あるものは夢の口車に乗せられて、またあるものは気に入らないといって‥‥。 「最近、お酒の量と煙管の量が増えてきてさぁ‥‥財布的にも厳しいし、見た目的にも気に入らないしさぁ‥‥」 「うわ、すっごい投げやり‥‥そりゃ遺跡とかいきたいケド」 煙管の煙をかけられながら蒼井 御子(ib4444)がげほげほ咳き込みなら夢に文句を言っている、そりゃ出発前の夢からひしひしと伝わる嫌味。っていうか露骨な嫌味。とりあえず言える事は開拓者は魔王がどれほど強いかとか、どれだけの数がいるのかなんてものは二の次であり、しくじったりした後にまたくどくどと嫌味を言われるであろう夢が一番厄介だったりする。 「確かに依頼、ざっくり過ぎませんの?」 ローゼリア(ib5674)も夢に軽く食って掛かる。が、もはやラスボス状態の夢ににらまれ耳を弄られにゃーにゃーと喚きながらされるがまま。とにもかくにもこのままじゃらちが明かないので逃げるように魔王の所までいく事になる。 ●魔王城 そんなわけで歩いて10分、目の前にそそり立つ魔王城を手前に雑魚アヤカシがわらわらと溢れかえっている。 「‥‥やはり威圧的なのは変わりないですね」 杉野 九寿重(ib3226)が目の前の魔王城を見上げながらぽつりと呟く。世の中を真っ直ぐ正すために私の力が必要といわれましたし、ここはなんとしても‥‥!とかいっているが実際のところは夢の口車に乗せられ、煽られ、ここにいる。他の開拓者的にはご愁傷様とひっそりといわれていたとかどうとか。 とにかく各々、口車に乗せられたものも出発しているがその前にここに辿りついて勝手に暴れているのが数人。 正面突破で雑魚を現在進行形で蹴散らしながら水鏡 絵梨乃(ia0191)が芋羊羹と古酒を片手にほろ酔い気分で進行中、いつものように蹴り業を使いながら 酔っ払っていんだか、ちゃんと動いているんだかわからない動きでアヤカシを文字通り蹴散らしている。 で、足を振るたびにちらりちらりと見える下着を見つめて煙管を吸っているのが雲母(ia6295)、こちらも魔王のところに行くために雑魚を蹴散らしつつ、下着を見つつ、雑魚を見つつ、下着をみつつ、下着をみつつ。 「なぁ、雲母?ちょっとは雑魚を倒してほしいんだけど」 「なぁに、気にするな、私は満足している」 煙管の煙をすぱーっと吐きながら尻を見つつ、飛んでくる水鏡の蹴りを避けながら満足げにしている。ちょっとだけ水鏡の頬が赤いのは気のせいだろう。とにかく雑魚を二人で消し飛ばしていると雲母がぴくんと少し離れた所に目線を向ける。 「と、私に来客のようだな」 「ふふ、どうやら僕も相手が見つかったよ」 瘴気を風圧で飛ばした奥に金棒を持った鬼に六本腕の鬼、ついで雲母よりも小さい鬼がその場にいる。 「後半分くらいの雑魚は他の連中に任せて私達は楽しもうじゃないか」 「そういいながらお尻撫でるのやめてくれないかな」 苦笑いを浮かべながら 二人そろって鬼のほうへと向かっていく。 その向こう側では蒼井が堅琴を鳴らしながらローゼリアや杉野の援護をしたりとばたばたと走り回っている。 「ボクにできる事を今やらないと‥‥!」 魔王よりも夢に怒られそうだし、とか言いながら走り回っている。何だかんだで一番怖いのはやっぱり夢だったりする。とにかく援護をしつつ前線を押し上げていく援護を中心に。 またもう少し離れた所では夫婦で魔王城のところまで進撃している鏡珠 鈴芭(ib8135)と草薙 宗司(ib9303)がやっぱり雑魚を蹴散らしながら進んでいる。 「さて、今日は覇王様の部下じゃなくて夫として頑張らないと」 「宗ちゃんに害なすなんて、万死に値するっ!」 と、言いながらあちらこちらで焙烙玉でぼんぼんと爆破するわ、火遁で火あぶりにしていくわで派手に戦闘を続けていく。 「雑魚はすっこんでいろ!」 その爆炎を切り裂きながら雑魚を蹴散らす草薙、その姿に惚れ惚れしながら鏡珠も一緒になって草薙の援護をしつつ焼き払いつつ、瘴気と炎を当たりに散らしまわっていく。 苦無を投げて草薙の援護をしつつどんどんと魔王城に進んでいく。 此方の方はローゼリアが杉野の援護をしながら進行している。魔弾から銃弾がうねりを上げながら雑魚に直撃、そして炸裂していく。後方は都側なので前にしか敵がいないのが何よりもこの援護をしやすくしている要因でもある。背中を完全に任せて攻撃に集中できるのはかなり戦闘がしやすい。 「ローゼ!」 「わかってる!」 銃撃で弱った相手を縦に、横に、斬りつけながら確実に前に進んでいく。とはいえ、ローゼリアも後方で援護をし続けるのは厳しい。長銃から片手持ちの短銃に切り替えて杉野の背中を守るようにして接近してきた相手を早撃ちを使って攻撃を繰り出す。素早く腰から抜いて迎撃を繰り返していく。 ●魔王 水鏡の前にいる金棒を持った鬼、平たく言えば魔王の分身のようなものだ。そこらへんの雑魚とは違い、力任せに飛んでくる金棒をすれすれで避けつつ、上中下と蹴りを放ちバランスを崩していく。 「魔王とも戦いたいけど、通してくれそうにもないな」 二度三度蹴りを浴びせつつ金棒を脚で受けてから其のままの勢いで回し蹴り。延髄にもろに大きな音を立てながらみしっと軋む音をがあたりに響く。 「僕としては抱きしめたりした方が好みなんだけどな!」 そのまま脚を振り切って着地をした瞬間、ぶんっと振られてきた金棒を流すようにして受ける。ごりごりと骨を軋ませつつ。奥歯をかみ締めながら受け流し、すぐさま顎下から蹴り上げるようにして叩きつけ。 「と、やっぱり他の雑魚とは違うか」 そのまま脚を振り切り、地面に叩きつけてから相手が倒れたのを追い討ちするように真下への絶破昇竜脚。雷鳴が落ちるように真下へと相手の頭を狙って地面を陥没させるほどの一撃を振り下ろして一息。金棒がごろんと落ち、ゆっくりと瘴気になっていく。そしてそのままぺたんと尻餅をついて。 「ふぅ‥‥やっぱりきついなぁ」 一撃が当たればこっちの頭が吹っ飛ぶとおもうとかなりぞっとする。 「久しいのう、雲母。ちと遊んでくれぬかの?」 「‥‥貴様のような奴、どこでみたかな」 煙管を吹かしながら思案する。だったらこれで思い出させてやる!といわんばかりの速度で雲母に殴りかかりに。その攻撃を真正面から受け止めてぎりぎりと握り締める。 「んー、そうだなぁ、どこであったかもう少しで思い出させそうだが‥‥」 人を小ばかにしおって!と言いながら捻るように拳を引いて、そこから蹴りを繰り出す。煙管をぴんと口から跳ね上げて、さらにそこから・・・・と、言った所で雲母が声を上げる。 「何してんだ、ちんちくりん?」 めきめきと握った拳を締め上げながら膝の上にうつぶせにする。ばたばたと脚と手をばたつかせているところに思い切りお尻にビンタが繰り出される。 「まったく、人の大事な物を足蹴にするとはいい度胸だな」 くるくると落ちてきた煙管を拾って火をつけなおしつつ。ばしばしと尻を叩き続ける。服の上からといっても流石に音が鳴り響くくらいなので真っ赤になっているだろうが、お構いなし。しまいにゃ泣き出す。 「うー‥‥いいつけてやるのじゃー!」 そんな事を言いながら魔王城に帰っていく。 「強敵だな」 「そうね」 目の前にいる六本腕の鬼相手に善戦している。細い鉄線を振り回されて細かい傷を付けながらも相手の隙を見つめ、視線や足捌きで攻撃先を見切ってから、虚心で気の流れを察知しつつ、一撃一撃確実に攻撃を当てていくが・‥‥さすがにあっさりやられるような相手ではない、簡単に言えば魔王の力の一つみたいなものだ。 「こっちも見なさい!」 杉野の後ろから短銃を横に振るようにして射撃。弾丸がくくっと曲がりながら六本腕の一本に直撃、緩んだ鉄線の隙を見つけてすぐさま刀を振るってまた一本腕を飛ばす。鬼はというと二本も腕を飛ばされて、苦痛に歪む顔をしながらも楽しそうに鉄線を振り続ける。 「なんて奴‥‥!」 「一気にですの!」 銃撃の援護を切らさないように単動作での装填、すばやく練力を注ぎ込み宝珠を活性化、、次弾である鉛玉をすぐさま銃身にいれ、構え、引き金を絞る。ぴぃんと鉄線が弾かれた音を放ちながらまた一本の腕を使えなくしながら杉野の方に誘導させ。 「九寿重!今ですの!」 「分かった!」 飛んでくる鉄線に体中に紅い線を作られながらも防盾術で致命傷をぎりぎりで躱し続け、自分の間合いまで踏み込んでから一気に刀を振り切る。振るった後の刀に残光が紅葉のような葉を散らしながら止めが決まる。それを確認し。 「は、ふぅ、ふぅ‥‥!」 「ほふぅ‥‥」 ぺたんと二人でもたれるように座り込む。鉄線にも着られなかった緊張の糸が今切れたようだ。 そして魔王城にやってきた蒼井、鏡珠、草薙、目の前の玉座に座っている月酌 幻鬼(ia4931)と対峙する。ちなみにその横には先ほど尻を散々引っ叩かれたちっこい鬼が一人。 「んー、やっぱ魔王ってかっこいいね」 そんな事をいいながら剣の舞を奏で始める。激しい音により精霊が騒ぎ、開拓者の力を溢れさせていく。 「さってと‥‥」 と言いながら指を鳴らすと後方で爆発が起きる。焙烙玉を使っての爆破だ。とりあえず連鎖的に爆発が起き、辺りが燃え広がり始める。 「ちょっとやりすぎかな」 そんな事を言いながら剣と盾を構えて二人の前に陣取る草薙。そして鏡珠もそれに合わせて後ろに寄り添うように。何かはぶかれている蒼井はちょっとさみしそうだったりとか。 「んじゃ、覚悟してよね?」 早駆で一気に駆け始める、と同時に足元が陥没する。それほど強く踏み抜いて加速している証拠でもある。 目の前に飛び込んできた鏡珠を蠅を払うように片手で弾き飛ばす。と同時に正眼にナイトソードを構えた草薙が飛び込み、一閃。空ぶって地面に切っ先が振れると同時に後ろにある玉座の一部がぱっくりと割れる。それを横目に見つつ剣を素手で受け、持ち上げる。 「おっ、おぉ?」 持ち上げられた草薙を援護するように飛ばされていた鏡珠が三角跳で壁から復帰してくると飛び込みながら苦無を投げつける。飛んできた苦無を腕で受けつつ、草薙ごと放り込み、ぶつける。そのまま壁にまで叩きつけられる。 「ボクが、やる!」 前に出ると同時に誓句の謡を奏で、自身を奮い立たせたうえですぐさま精霊の協奏曲を奏で始める。大気が震え、精霊がざわめきながら魔王を囲むように襲い掛かる。ぎゃりぎゃりと騒音に近い激しい音をかき鳴らすたびに苦痛にゆがんだ顔が浮かぶ。とはいえ、流石に魔王、そんなこんなでやられなく。その辺の石を拾って投げつけたり、壁をぶち抜いて投げてきたりと暴れに暴れているのに駆け付けた雲母と水鏡がやってきて。 「楽しそうじゃないか、なぁ?」 「そうだな、面白い事をしている」 そうして合流した後、数十分に及ぶ戦闘をし、一息ついたところでそれなりに損傷を受けた月酌がぽつりと。 「帰る」 と、言いながらちっこい鬼と先ほど倒したはずの鬼を引き連れてのしのしとその場から消えていく。何のためにこの世に来たのかはわからないが、とにかく倒したのには変わりない。 「これぞ愛の力だね!」 「うんうん、ほめてほめてー♪」 なでなで‥‥にこっと微笑む。 「何だろう、見ててどす黒い思いがあふれるよ」 ちょっと不愉快な感じの蒼井だったとか。 ●燃え尽き 静かにゆっくりと燃え尽きていく魔王城を眺めながら開拓者達がほっと安堵の息を漏らす。まぁ、世界的に脅威だったのかと言われれば案外そうでもなかったりするのだが。何はともあれ開拓者が真の魔王(夢)に脅かされる日々もなくなり、少しは天儀も静かになるであろうとおもわれる。報告しに行く開拓者達。 そして戻ってきた開拓者に送られた夢の一言は「ごめん、寝てた」との一言だったとか。 |