五月のもふら
マスター名:如月 春
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 易しい
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2011/06/01 15:55



■オープニング本文

●いつもの牧場

「なんとも、季節に順応なもふらだよねぇ」

 ぐでぇーんとやる気が一段となくなっているもふらがごろごろと辺りに転がっている。
 ‥‥どうやら五月病のようだ。

「先月は桜色になって、今月は五月病かい‥‥六月は梅雨時期だからカエルっぽくなるんかね」

 押しても引いてもごろごろと転がっていくもふらを眺めながらそんな事を。
 色々季節物になるのはいいが、こういうのは帰ってメンドクサイ。

「まぁ、こういうのもいいんじゃないかなぁ、依頼とかで龍とか結構出て行くこと多いし」

「空での戦闘があるんだっけ?見せ場だしねぇ」

 今日も向こうで開拓者と共に一匹の龍が飛び立っていく。
 そんなのを眺めてほっと一息。

「なかなか平和にならないから、ここだけでも平和なのはいいんじゃないかねぇ」

 合戦やらアヤカシやら何ともそんなことは関係ない。
 ただただもふらがごろごろしているだけ、そんな時もいいじゃないのかな、と言い。

●ギルドにて
「あぁ、いつもの定期的な牧場のチラシね」

 何時もの様に牧場開放のチラシ。
 もふらはぐったりとしていると、書かれていて朋友に影響があるかもしれません。
 そんな風に注意書きが書かれている。

「んなことないって」

 くすりと笑ってからそのチラシをぺたりと貼り付けておく。


■参加者一覧
水鏡 絵梨乃(ia0191
20歳・女・泰
紗耶香・ソーヴィニオン(ia0454
18歳・女・泰
玲璃(ia1114
17歳・男・吟
不破 颯(ib0495
25歳・男・弓
朱鳳院 龍影(ib3148
25歳・女・弓
リィムナ・ピサレット(ib5201
10歳・女・魔
光河 神之介(ib5549
17歳・男・サ
ヘルゥ・アル=マリキ(ib6684
13歳・女・砂


■リプレイ本文

●けだるい牧場
 開拓者八人とその朋友が何ともけだるーい感じになっている牧場へとやってくる。明らかに原因はもふら、しかも五月病状態の負な感じがむわっと伝わってくる。心なしかいつもの牧場のマッチョマンも元気がなさげである。それはさておき、いつものように気だるい感じの夢が受付に「ぐでぇん」と言った感じで横たわっている。
「‥‥あぁ‥‥ここに名前と、朋友の名前をかいて頂戴‥‥」
 唇を動かして器用に煙管の先端でこつこつと指し示す。見ているこちらもやるきがうすれていくような、そんな牧場。被害は疫病のように進行していく‥‥か、どうかはわからない。
 何はともあれ、いつものように牧場は人もいるので影響があるのは関係者だけのような気もする。そんなこんなでこれまたいつものように自分の朋友を連れて遊びにいっていく。

●気だるさ満点の牧場
 まずは一人目、のんびりと迅鷹の花月を肩に乗せながら水鏡 絵梨乃(ia0191)がやってくる。
「本当に五月病のもふらがいるなぁ」
 少し苦笑いを浮かべながらごろごろ辺りに転がっているもふらを眺めて、そういう。確かにごろんごろんと転がっているのを見ているだけでやる気がどんどんと消えていく。
「んぅー‥‥まぁ、一日くらいはそういう日があってもいいか」
 うんうん、と自分に言い聞かせながら花月と一緒に牧場の奥へとはいっていく。

 とりあえず中に入ってから一息ついて、肩に乗せた花月を飛び上がらせるように肩を上げる。久々に自由に飛べるのはいろいろと気持ちがいいだろう、と思ってだ。
「いつもボクがだらけているからなぁ、たまには自由にしてやらないと」
 そんな事を呟きながらゆっくりと上空を飛び回る花月を見やる。翼を広げて大きく旋回しながら自分の頭上を飛んでいる。その様子をころんと仰向けに倒れて眺める。桜も散ってしまい葉桜になり、だんだんと温かくなってきている日差しにうとうと、と。しばらくしてからおでこの辺りをつつかれて花月に起こされ、起き上がる。
「んっ‥‥寝てしまったようだな」
 起こして自分を見ている花月にやさしく微笑みながらゆっくり立ち上がって伸びをして一息。
「さてと、折角だし同化ってのもやってみるか?」
 そういうと花月が煌めいた光になり、水鏡の背中へと宿り、しばし‥‥ふんわりと花月と同じような四枚羽が背中から生えるように出て何度か羽ばたくと、少しずつ飛び上がり始める。
「お、なかなか、難しい、かな」
 飛び上がりながらうまく均等を保ちながらある程度の高度まで上がると先ほど花月が飛んでいたようにぐるぐると旋回してみる。速度はそれなりに、あとは慣れれば、といった感じだがやはり地面に足がついてないせいか安定はしていない。
「結構、飛べないものだな」
 高度を下げて速度を落とすとかなり安定はする。飛ぶのはなかなか難しいようだ。と、そこに五月病のもふらを発見したのでいたずらをしてみる。とりあえず持ち上げて飛んでみるのだが‥‥流石五月病「もーふー」と気だるい鳴き声を発しながら特に反応がない。とはいえ、しっかりと飛行できているのでなかなかに安定はするようだ。
 一通り飛んだあとは花月と芋羊羹とお弁当を食べながらごろごろとし始める。五月病がうつったのかどうかはわからないが。


 こちらではもふらのもふ龍を連れて紗耶香・ソーヴィニオン(ia0454)がやってくる。確かに様子がおかしいのを見て、かくりと首をかしげる。
「んー‥‥お料理でも作って食べさせてみましょうかね〜」
 その足元でもふ龍が食べさせるもふ、満腹にさせるもふ、と息巻いて賛同しているのでさっそく調理器具をもふ龍に乗せて運んでいく。もふ龍頑張ってます。
「今回も点心物がいいでしょうかねぇ‥‥蒸すものなら中身が違うだけでもだいぶ変わりますし」
 と、言ったところで辺りを探していい食材‥‥なんてあるわけもなく。ほとんど朋友用の餌が中心(飼葉やらを基本)なのである程度持参してきた食材を使って料理を始める。
「もふ龍ちゃんは向こうで他のもふらさんと遊んできていいですよー?」
 しゃがみこんでなでなで、嬉しそうに「もふ」っと言ってからとてとて向こうの方へと走っていく。
「じゃあ、さっくり作っちゃいましょう」
 手入れの良くされた泰包丁と泰鍋を取り出してから食材を調理し始める。下手な刀以上に切れるその包丁に見ていたものが驚いたとかどうとか。
 ともかく少しの間仕込みやら器具の準備をしていると向こうの方からごろごろともふ龍が。しかしそのごろごろしているのはいつも見かけるとはいえ、いつも以上にやる気はない。ごぉろぉん‥‥ごぉろぉん‥‥といった感じに。どうやら五月病が感染したようだ・。
「あら‥‥大丈夫ですかー?」
 近づいてきたもふ龍をなでなで、元気が出たのかはわからないがぱたぱた嬉しそうだ。
「そろそろ料理もできますからお酒と一緒に食べますよ?」
 出来立ての饅頭をちょびっとちぎって口の中へと。それにつられてついてくる。もちろん他のもふらもごろごろと接近してきている。どうやら前回の事を覚えていたらしいのか饅頭に群がってきている。
「んー‥‥またですかねー」
 もふらに流されていく。饅頭とお酒と一緒に。


 次に中に入ってくるのは玲璃 (ia1114)、姉代わりの蘭と一緒に牧場へとやってくる。ひとまず牧場主、というか関係者に一緒に挨拶を済ませてから。
「こういう穏やかなな¥ところで過ごすのもいいですね」
「流石にこんなところではヘマやドジも心配なさそうだから、それについては同意しておく」
 腕を組み、うんうんと言いながら同意している。なんとも言えない関係だ。ともかく奥へとのんびり歩いていく。途中で蘭が「飛ぶのが疲れたから肩に乗る」と言ってのんびりとし始める。どっちが子供なのかはよくわからない構図になっているが。辺りを歩き回り、遠足のような感じでまったりと。そうしていると五月病まっただなかのもふらを発見し、近くにいた関係者に話しかける。
「あの、もふらさまって普段からごろごろしていると思うのですが、このやる気のないぐでーんとした状況は私たちに世話をしろと‥‥?」
『いや、それはないから』
 関係者と蘭が同時にないないと手を振る。それを聞いてぽやーっと。蘭が微妙に「やっぱ天然だわ」とつぶやいたとかどうとか。そんなことを言われているとこう、もふらの世話をしてみたいと言ってみる。特に世話らしい世話もしてないので手入れ用の道具を渡されて放置された。
「今のこいつら、特に何も反応しないしなぁ」
 足で転がしてみるとそのままごろごろと転がっていくもふら。ここまで来ると感動すら覚える。
 そんなわけで手探り状態だが、もふらを世話してみる。とりあえず櫛を取り出して毛を整えていく。ふわふわの綿あめ状態なのが魅力だが、五月病のもふらは毛にすらやる気がないのかふにゃんと。
「(もふもふ加減がないですね‥‥)」
 そんなことを言いながら櫛をかけ続けていると。
「‥‥本当はもふらをもふもふしたいだけなんじゃないのか?」
 ドキッとして「ソンナコトナイデスヨ」と言って世話を続ける。姉には勝てないようだ。


 こちらは不破 颯 (ib0495)と玻璃。のんびりだらだらとしながらやってきてすでに気だるい感じ。
「さて、着いたぞ玻璃、今日はのんびり過ごしなよぉ?」
 目に見えてあんたがだらけたいだけだろうと、一鳴き。図星なのか軽く目線を逸らして先に進んでいく。
 ある程度開けた場所にやってきてから玻璃に好きにしておいで、と一言。それを了承したのか飛び上がって辺りを回り始める。その間に自分はもふらと昼寝。ごろごろ転がっているもふらによっかかり一息。何やら負の感情が流れ込んでくる気がする。一応精霊力の塊だからそういうものが流れる‥‥かどうかはわからないが、とにかく気だるくなってくる。
「あぁー‥‥だりぃ‥‥」
 ぐでぇんともふらに影響されているところ、上空から風斬波が颯へと直撃、あやうく負の感情いっぱいになるところを阻止される。で、そこからさらに吹っ飛ばしながら追撃、何かが斬れる斬撃音が響きながらどんどんと転がって、ぼろぼろになっていくところで降参といって一息。
「いてて‥‥危うく意識が負でいっぱいになるところだった‥‥」
 もふらを見つめて一息。あれは危険だと再認識。まぁ、やる気がなくなるだけってものだが。
 ともかく退屈になったのを確認し、同化してみるかと一言。自身の弓を構えて煌めきの刃。光球が弓に宿り、ほんわかと光っているのを上空に向けて。
「ビューテ‥‥」
 と、言ったところで夢に口と弓を抑えられて睨まれる。
「いい?そういうのはひっそりと、誰もいないところでやるのよ?わかったわね?」
 あまりの剣幕に首を縦に振ると解放されて、その場から去っていく。世の中危ないことばかりです。
 そういうわけで適当に遊び、そのあとはお弁当を広げて昼食。おにぎりと木の実の簡易的なものをぱくつきながらもふらを眺める。もふらは食べ物につられて接近したが奪う気力もないようだ。
「ここまで来ると感動するねぇ‥‥」
 近くにころんと転がってごろごろ‥‥やっぱり感染していました。


 少し離れたところでは朱鳳院 龍影 (ib3148)がグライダー、ブレイズヴァーミリオンを飛ばしながらのんびりと風を感じている。
「偶にはこうやってゆっくりするのもいいもんじゃの」
 そのうえで旦那もいれば最高なのにのう、とつぶやく。相変わらずの王様夫婦。グライダーの翼に旦那とお揃いの印まで書いているほどに愛し合っている。
「娘と嫁が増えるのはちとたまに傷じゃが」
 それも旦那の魅力とかいいながらグライダーを対空させてごろりと横になる。残念ながらうつぶせになると苦しいので仰向け‥‥もやはり苦しいので横向きに。大きいことはいいこともわるいこともあるものです。
 敷地内を風の赴くまま、のんびりと見下ろす。なかなかこういう機会はないので見てみると。
「もふらまみれじゃのう‥‥」
 ごろごろ転がりまくるせいで辺りがもふらだらけ。たまにもふらに轢かれている人もいる。やっぱり空は安全でいいものだということだろうか。しばし眺めてから何を思ったのか降りてもふらの一匹に近づいて。
「うりゃ!」
 正面から抱きしめてみる。最初、やる気もなくじっとしていたもふらだが、次第にばたばた暴れて、もう少しそのままにするとぐったりする。どうやら胸がでかすぎたせいで窒息したようだ。目を回したもふらをとりあえずおいて。隣にいるもふらを抱きしめようとすると、あっという間にごろごろ向こう側へと。どうやら胸が怖くなったらしい。


 またこちら側ではリィムナ・ピサレット(ib5201)とサジタリオが一緒になって遊んでいる。とにかくゆっくりしに来た分にはかなりいい。
「やる気がないって聞いたけど、本当にもふら様、動かないね‥‥?」
 棒を拾ってつんつんしてみると「も゛‥‥も゛‥‥」とかわいくない声を発しながらいやいやしている。だが逃げはしない。面倒くさいから、相手がどこかへ行くのをじっと待つ。それが現状のもふら思考。
「まぁ、先にお弁当食べようか!」
 ぽいっと棒を捨てて少し離れてからサジタリオと一緒に食べ始める。今回のお弁当の中身はローストビーフサンド、サジタリオのほうはサンドじゃないローストビーフ。昼間っから重いお弁当だが気にしない。流石に啄ばみはいけないので手渡しで食べさせてあげる。
「はふ、ごちそーさま」
 もきゅもきゅとあっという間に平らげてころんと寝転がりけぷっと一息。お腹をさすりながらゆっくりと日向ぼっこを始める。最近はサジタリオと一緒に依頼を立て続けにこなしてきたせいか疲れがここにきて出てきたとったところだろうか。
「ちょっとまっててね、サジ太」
 よいしょ、と言ってドラコアーテムを地面に突き刺して定位置を作ってやる。高い上に高性能な杖だと本当に思う。そんなわけで一人と一匹他多数(もふら)がすやすやとお昼寝にはいる。

 ‥‥夢の中、暗い洞窟の中を一人と一匹がてくてくと歩いていく。鳥目のせいかしっかりとつかまってついていく。しばらく歩いていき、はふっと一息ついて落ち着くとぴちょんと、頭に水滴が。やけにぬるい感じの湿った水滴だ。何かと思い顔をあげて見上げると、巨大なもふらがだらーんと涎を垂らしている。びくっと震えて驚くと同時にだらだらと流れ続ける涎、どんどんあふれて言って、激流のように流されていく。

 と、言ったところで飛び起きて
「うわぁあ!」
 条件反射的に自分のパンツを確認、どうやら漏らしてはいないようだ。水関係?の夢のときはなおさら危険だ。冷や汗をぬぐってから、大きく伸びてもう一息。一緒に寝ていたサジタリオも起きて伸びあがる。
「ん、折角来たんだしちょっと駆け回って遊んでみよっか」
 そういうと元気よく走り始める。それに続いてサジタリオも飛びながらついてくる。もふらを飛び越え、柵を飛び越え、サジタリオと一体になり、さらに加速して風のように走り抜ける。


 またこちらでは微妙に首をかしげた光河 神之介(ib5549)ともふ助。どうやら最近アヤカシ退治の依頼に入ってないのを思い出したようだ。合戦以外の事もしたいとは思うのだが、とりあえず訓練をしてからのんびりする予定だ。
「さて、もふ助、訓練するぞ!」
 まぁ、余裕で五月病が感染しているのでぐったりとごろごろと、ずうっと首を振りながらいやいやと言い続けている。しょうがないと言いながら少し睨んで。
「あっちの牧場ではやる気出してたじゃねぇか‥‥!今頃5月病にかかってんじゃねぇぞ‥‥!」
 そんな風に説得してみるも、あれはあれ、これはこれ、関係ないだろといった感じに顔を逸らしてごろごろと向こう側へと言っていく。いやもふ、逃げるにかぎるもふと言いながらごろごろごろ‥‥。
「くそ、逃がすか!意地でも訓練させてやるぞ!」
 ごろごろと転がり、他のもふらにぶつかると転がる方向を変えてどんどんと加速。途中、夢にぶつかりそうになったが一睨みされてか、急に方向を変えたりとなかなか機動性にあふれている。生き物は楽な方に楽な方に力を込めるもので、一向に止まらない。
 
 しばらく追いかけっこが続いて、もふらの間に挟まったもふ助をなんとか捕まえる。
「ぜぃ‥‥ぜぃ‥‥なにか、言うことは‥‥あるか?」
 新しい必殺技の訓練だと、軽くいう。どうやっても腑に落ちないがまぁ、良しとするか、とつぶやき溜息ひとつ。後々港から請求書が届いたとかどうとか。
 そんなこんなで疲れたのでばふっと毛に包まれて休憩がてらの昼寝。
「何か忘れているような‥‥まぁ、いい」


 最後にヘルゥ・アル=マリキ(ib6684)がラエドと一緒に歩いてくる。
「戦いに行く前に一度天儀の地を走ってみぬか?こちらにきてから一度も走ってはいないだろうしなぁ」
 そういって颯爽とまたがり、大きく嘶く。そうして素早く手綱を操り一走り。砂漠と平原は勝手が違うのか少し最初は戸惑っていたがすぐに慣れて速度が出始める。
「ふむ、砂漠の熱い風もいいが、こちらの心地よい風も良いな、のう、ラエド?」
 一鳴きして、それにこたえる。どちらがいいのかと聞かれれば少し迷って、一緒に感じる風が一番じゃな、と自己完結。しばらくはそれなりの速度で走っていたが、ある程度のところでぐんっと急に加速する。
「うむ、いいこじゃのう」
 鬣に顔を埋めて全速力を始める。一陣の風のように軽やかにかつ素早く牧場の中を駆け巡る。途中誰かの霊騎がいたが、流石に相手をするのには分が悪いというか本能的に危ないと感じたのでよける。黒毛のやけにでかい馬じゃったのう?と首をかしげつつそれを見送る。

 しばらく走っているともふら地帯に突入する。それを眺めて急停止。ひらりと舞い降りてもふらに近づいてじろじろ眺め始める。
「おぉ?こちらのもふらはまるまるもふもふじゃの‥‥目つきは、ふやけとるのう?」
 つんつこほっぺたの部分をつついてみる。これまた「もっ、もっ」とうなっている。とはいえだらけているもふらはなかなかにかわいい。くりんくりんの毛をいじりながらうずうずし始める。ラエドのほうはのんびり牧草やら食べて優雅にしている。
「うむむ、もう我慢できないのじゃ!」
 ばふっと飛び込んですりすりふわふわ。だらけている状態とはいえ、もふもふな状態には変わりない。たっぷりとふかふかなのを堪能すると同時にけだるくなっていく。
「ほふう‥‥これは、なかなかの‥‥」
 そんなことを言っているうちにすやすやと寝てしまう。ある意味で兵器な五月病もふら。可愛さとふかふか加減で世界を牛耳ります。


●夕暮れ
 開拓者達がもふらからべりべり剥がされて朋友と一緒に帰っていく。
 何匹かお持ち帰りにされそうだったのでそれはなんとか阻止した。
「しかし、厄介だねぇ、五月病‥‥どうにかならないのかい」
「もう六月だし、また変わると思うけど」
 そんなことあるか、と笑っている後ろでもふらが合唱をし始めているのにはまったくもって気が付かなかったとかどうとか。