【四月】大型飛空船
マスター名:如月 春
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 普通
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2011/04/16 00:06



■オープニング本文

●都にて
 少しいつもと違う天儀の都。
 それでも相変わらずギルドには仕事が入り、開拓者が依頼をこなすのが日常だ。
 色々と技術も進み、グライダーは前に比べて単独飛行がしやくすくなったり、飛空船もかなり見かけるようになった。勿論其れを含めた事件やら犯罪が増えるのもまたしかり。
 今日もどこぞの空賊が近隣の村々を強襲しているので討伐してほしいとの依頼が入ってくる。
 確かにこれも今までどおりといえば今までどおりの事なのだが‥‥。

「大型だぁ‥‥?いつもの馬鹿な空賊でしょ、適当に開拓者集めて撃墜して頂戴」

 ナイフで爪を研ぎながら満足気にしているのだが、今回は何時もと違う。

「何‥‥?爆撃してるって?対空砲でもかましてやればいいだろう」

 ふっと息をかけて次は鑢をかけ始める。そんな事をしながら聞き流しているのはやはり空に上がる技術が上がった為だろうか。今では各大陸への移動等もかなり頻繁に行われてもいる。

「とにかくもうちょっと深刻な事態じゃないと楽し‥‥と、出すにも出せないだろう?」

 軽く本音が出たのは気にせずに。
 とにかくそういう事を言い、数日して――


「あぁ、ありゃでかいな」

 単眼鏡で遠くの飛空船を眺めてぽつりと目算で村の一つや二つあっさりと入るくらいにでかいのが目の前をゆったりと飛んでいる。
 とは言え、ゆったりではあるがでかい為に下手なグライダー程度じゃ追いつけない速度ではある。

「ふむ、おぉ、すごいねぇ‥‥対空銃座に精霊砲に小型艇の発進台、ついでに艦内に十機は乗せてるかねぇ」

 頭に草を被り、じっくりと観察して楽しそうにする。

「両翼にでかいのが積んであるわね‥‥あれ落とされるとまずいかも」

 ふんふん鼻歌を奏でながら能力を確認し。
 かしゃんと音を立てて単眼鏡をしまうと楽しそうに地図を出して進行方向を計算。
 そして導き出されたのが。

「都への爆撃」

 とんとんと都の位置を指で叩き。

「流石に空賊にしちゃやることでかいわねぇ‥‥まぁ、今結構蓄えてるようだし爆撃するぞーって脅したら名前も金も手に入るってことかしら」

 もう一度単眼鏡で飛空船を眺めていると、どこか別の空賊がやってくる。
 縄張り争いとかこういう小競り合いも最近増えててめんどうだ。
 とにかくどうなっているのかじっくりと見ていると。
 あっさりと蚊取り線香をモロにくらった蚊のごとくあっさりと対空抱と精霊砲で叩き落される。

「的がでかいのよ、的が‥‥最近の空賊は頭がつかえなくて困るわねぇ‥‥」

 手帳に一通りの事を書き終わると其れを仕舞ってギルドへと戻る。
 勿論やることはアレを撃墜するための開拓者を集める為に。


※このシナリオはエイプリルフールシナリオです。実際のWTRPGの世界観に一切関係はありません


■参加者一覧
皇 りょう(ia1673
24歳・女・志
剣桜花(ia1851
18歳・女・泰
海月弥生(ia5351
27歳・女・弓
雲母(ia6295
20歳・女・陰
琥龍 蒼羅(ib0214
18歳・男・シ
志宝(ib1898
12歳・男・志
朱鳳院 龍影(ib3148
25歳・女・弓
イクス・マギワークス(ib3887
17歳・女・魔


■リプレイ本文

●大型飛空船
 夢の操舵する少し小さめの飛空船でゆっくりと接近していく。
 まぁ、近づいて接近すりゃ相手もこっちを視認するわけで、向こうもバタバタと用意をしている。
「んー、空はいいねぇ‥‥あぁ、骨は拾わないわよぉ」
 煙管を吹かしながら後部に積まれている飛空船の発進台を開ける。ちなみに小型の飛空船の割には勝手に夢が弄繰り回しているのでやたらと危険だの触るなだの普通に歩くのですら恐ろしい程になっている。
「いいわねぇ?ちゃんと落としてくるのよぉ?」
 そう、聞こえるように言うと各々出撃していく。
「私はもうちょっと堪能してから出撃するとしようかね」
 余裕たっぷりに煙管を吸いながら朱鳳院 龍影(ib3148)の胸をこねくり回す雲母(ia6295)。目的が撃墜数を稼ぐ事もあってか先に弱らせて来いといわんばかりだ。
「ふぁっ、馬鹿みたいに、でかい船じゃな、んぅ‥‥でかけりゃいいてものじゃないがな」
 そのはちきれんばかりの胸を持っていて其れを言うか、と夢が微妙に呟きながらももまれ続ける。
「んー、やはり感度とか揉み応えも大切だからなぁ」
「そ、そういうことじゃぁ‥‥」
 とても満足そうに胸を揉む雲母。別の方向で気合が入っているともいえる。
 ちなみにもう一人の妻、剣桜花(ia1851)はそれをぢーっと見つめている、本人曰く。
「おーかは心が広いのです、旦那が他人の乳を揉もうと気にしないのです」
 と、言いながら手をボキボキと鳴らして準備運動をしている。どこぞの特攻機と同じ名前のせいか妙に気合が入っている、結構危ない、と言うか本気で危険な気もする。
『一式陸上攻撃機に桜花を乗せるってのも大分卑怯ですかねー?でも旧式機の意地を見せるぞー!私の方がおねーさんなのだー!』
 桜花を乗せてベティがそんな風に叫びを上げて戦意を上げる。ちなみに一式陸上攻撃機は彼女の朋友ベティのコードネームだ。個人的には二二型を推したい。
 とにかく覇王に龍王にG信者の最強夫婦は他の連中が出撃するまで‥‥と言うか、雲母が満足するまで出撃を遅らせる。

 それはともかくゆったりと銃座だの精霊砲だのでガチガチに固められた飛龍が此方に飛んでくる。まぁ、とにかくそこ等の野党とか言うレベルじゃなくて戦争でもやるんじゃないかって言うぐらいの重圧感がひしひしと伝わってくる。開拓者が距離百程までやってくると完全に此方を捉えて銃座から対空砲火が始まる。雨あられのように弾丸が飛び交う中をどうにか飛ぶ事になる。
「どれだけ技術が進歩しようと、人の心が変わらぬ限り争いは耐えぬのやもしれぬな!」
 蒼月に乗り皇 りょう(ia1673)が対空砲火の攻撃を避けながら張り付く為に飛び交うのだが、そんなにすぐ抜けられる程甘くはないのが現実。一定間隔の連射と銃座の数から側面回りは死にに行くようなものと同じ。直撃はしないものの皇と蒼月には確実に弾丸が掠り始めている。
「ちぃ、偏差射撃に弾幕‥‥並みの相手ではないな」
 射線を外し、速度と動きを変則的にはしているが中々近づけない。
「機を見計らってから懐に潜り中に入るぞ、いいな?」
 蒼月に二度三度合図を送った後に行動を開始する。

 船底側には琥龍 蒼羅(ib0214)、イクス・マギワークス(ib3887)の二人が武器を構えて様子を見ている。確かに船底にまでは銃座もなく安全と言えば安全だ。が、勿論の事地上から撃たれるのも想定してあるので木板一枚で出来ているわけでもなく。
「さて、行くぞ陽淵」
 紅蓮紅葉を使い天墜を構えて高速飛行で加速しすれ違うように一気に船首から船尾に向かって剣を振りながら一閃、金属と木板をバリバリと破壊していくが、それだけだ。確かに傷は付いているが致命的とはどうも言えない。それ以前に大きさが桁違いなので擦った程度の一閃ではどうにもダメージが入っているかと言われたら疑問だ。
 して、此方イクスは船底側から対空銃座のついている側面に回りこみサンダーを打ち込もうとするが先ほどの通り、並みの銃座数ではない。サンダーの射程内に入ればたちまち蜂の巣にされるのは目に見える程だ。そもそも対空銃座は懐に入られにくくし、迎撃する為の物、少し技術が上がり、空が中心になればそれようの銃座が開発されたりするのもまたしかり。
「荷物なんて殆ど積んでないのですかね」
 流石に自動小銃とは行かないが手回しのガトリング砲ぐらいは付いている。今時砲台なんて前にくっついてりゃどうにもでなる。戦いは数であって、対空迎撃は弾幕、対艦攻撃には砲台、何一つ不思議の無い完成された飛空船、それが飛龍。とりあえず動きを変えつつ銃座に向かい、一発目のサンダー。銃座の一つに当り伝導、そして爆発。黒色火薬の静電気に弱い弱点を付いているとはいえ、たかが一つ。一向に弾幕は弱まる気配はまだない。

 とにかく先行した開拓者に迎撃で煩くなっている所へ、飛龍の上部から迎撃機が発進するのを確認し、伝達管を通して聞くと最強夫婦と海月弥生(ia5351)が出撃し始める。
「空は悪党達にあるものじゃないからね、広く雄大であるべきよね」
 そう、海月が言いながら発進、相手の小型艇を狙って弓を構えて飛んでいく。
「さぁて、沢山落せるといいなぁ」
「そうじゃのう」
「がんばるのですよー♪」
 相変わらずマイペースと言うか我が道を行くというか、とにかく迎撃を始める。
 相手、小型艇が十機、さらにそこからグライダーが十数機。本気で戦争するんじゃないかと言うくらいの集団である事は間違いない。
「ありゃ、完全に反則級ねぇ」
 楽しそうに加速している飛空船を操舵している夢が言う。
ともかく小型艇だ。まずは海月騎射を使い、一機目の小型艇に接近していく。操舵席目掛けて狙撃と会を重ねて一発。強風と高速移動の中、吸い込まれていくように一発目が直撃、操舵席全部の透明板にヒビが入る。もう一発目と言う所に護衛機でもある、グライダーが接近してくるので、回避運動を取りながら大きく距離と速度を保ちながら小型艇を狙って旋回し始めて相手を見ながら二射目の機会を伺いつつ後続機をチラリと見る。小型艇から発進された小型のグライダーが張り付いて銃を構えている。
「やっかいね」
 空戦で挟撃は射線の関係で殆ど無いのだが、後ろに張り付いているのを剥がせないのはかなり辛い、攻撃手に回れずに、防戦一方なのはかなりのアドバンテージを取られているからだ。
「撃墜、貰ったぁ!」
 その隣で透明板にひびの入った小型艇にバーストアローを打ち込み撃墜しているのは雲母。かなり楽しそうにしている。そして海月の後ろを取っているグライダーの尻に食いつくと腰に構えていたマスケット「シルバーバレット」に切り替えて一発。エンジン部分を貫いて機動力を大幅に削る。そこへ反転機動した海月が止めを刺しに行く。その間にも隣では声を上げながら艦橋に向かって最強夫婦が飛んでいく。夫婦の戦法は一撃桜花がベティから飛び、小型艇へと絶破昇竜脚で重い一撃を叩き込んでから雲母が操縦席に向けてバーストアローを打ち込んでいくと言う凶悪なコンボ。
「敵だと恐ろしい‥‥」
 そんな事を言いながらコツを掴んだのか次の小型艇を狙い空を駆けていく。見たのを真似するように一度エンジン部分を貫き、機動力の落ちたところへと追撃、グライダーを発進させる前に小型艇を叩き落す。
 そして此方のほうではイクスがアムルリープを使いながら小型艇を落そうとしているが、そうそう上手くいかず、苦戦している。小型艇とは言え、数人乗っているせいもあって一人二人眠らせた所であまり効果がない。また、護衛機が早々と本艦から離れるわけもなく、あくまで銃座の射程範囲内での行動をするためにやりにくい。さっさとサンダーぶち込んだほうがまだ早いのに気が付くのはもう少し撃たれてからだ。

 混戦のさなか、ドサクサにまぎれて志宝(ib1898)が飛龍へと何とか潜入している。懐には時限式の焙烙玉が一つ、大体五分ほどで爆発するようにしてあるが‥‥。
「内部潜入完了、今から爆破任務を開始する」
 そういうと一人でこそこそと心眼を使いながら物陰に隠れながら進んでいく。中はある程度の居住空間と迎撃用の銃座など、村ごと一つ入るんじゃないかと言う程に大きい。まぁ、都を爆撃するって言う程だから並みの相手ではないのは当たり前なのだが。
「でかけりゃいいてもんじゃないですよ、ほんと」
 ため息を付きながら弾薬庫を探してうろうろと、ひっそりと迎撃用の対空銃座を撃っているところを覗くとかなりの人数でけが人の搬送や銃身の交換、弾薬の装填がほぼ規律的に行われている。
「おい、そこの!」
 後ろから声を掛けられてびくっと大きく震えて刀に手を当てて振り向き様に攻撃しようかと考えている所。
「そんなところでぼさっと立ってるじゃねぇよ!とっとと手伝え!」
 げしっと尻を蹴られて銃座の一つに押し込められる。どうやら先ほど被弾したのか窓が丸焦げになっている。そして銃身を取り替えられ、弾薬も装填されたものの目の前で。
「えっと‥‥なんですか、これ」
「見て分かるだろ、銃だよ、銃。そこのハンドル回して開拓者どもを撃てって言っているんだよ!」
 窓から覗けば死角に入りきれずに右往左往している琥龍とサンダーで狙いをつけているイクスが見える。
「(‥‥ごめんなさい)」
 射線は外してバリバリと撃ち始める。開拓者と言っても何人も相手にするのは無理だ。撃たなければ撃たないで不安がられる、世の中そんなに甘くないです。

 此方は皇、蒼月から飛び降りて船体上部の発進口から侵入して内部を制圧し始める。目指すは銃座の方だがとりあえず前に進む。勿論整備士とかが居るわけで全く人が居ないところはあまり無い。銃座の人間に見られていた皇は侵入者扱いされるのはしごく当然だ。船内に警報がなり響くと同時に警報を鳴らしていた一人を一撃。
「ふむ、これでは‥‥いや、好都合だろうか?」
 目の前の通路から数発の弾丸が飛んでくるのを叩き落して物陰に隠れる。結構な数の弾丸を今日は貰ってしまったなぁ、と言いながら相手の発射感覚の隙を付きながら前へ前へと進んでいく。流石猪武者、愚突だがとてもいい作戦でもある。装填時、あるいは銃そのものを交換するのにはやはり時間が掛かる。その間に近づき一閃。
「当ると痛いのだろうなぁ」
 そう言いながらさらに銃座のほうへと向けて真っ直ぐ進んでいく。勿論その進行方向上に敵はいるわけでばたばたと斬りふせながら進んでいく。ちなみに道順は分かってない。

「灯台下暗しとやら、じゃのう」
 皇が内部突入して少したった後、朱鳳院が後部から紅い目を光らせながら自身の色と同じ朱槍を構えて突っ込むように内部へと。そして皇が先に倒していた相手を眺めて一息。
「つまらんのう‥‥ま、これからじゃな」
 操舵席に向けて歩みを進めていく。流石に雲母に揉みまくられたとは言えちゃんと布胸当ても変えてぴっちりと空賊衣装に着替えている。そんな龍王様、戦闘になれば鬼の様に強いわけで、歯向かってくる敵を朱槍でバサバサと切り伏せながら前進、たまに自慢の胸を逆手にとって来る敵を逆に叩き伏せつつ進む。
「旦那専用でなぁ、悪いのう」
 そう言いながら朱槍を振り回しながら操舵席へと向かっていく。

 そんなわけで艦橋に、朱鳳院、そしてその外から破軍を使って極限まで攻撃力を高めた桜花が絶破昇竜脚で特攻してくる。バリーン!と豪快に透明板を突き破って手前に居た一人がきりもみ回転しながら吹っ飛んでいく。
「な、なんだおまえらは、ぶべらぁ!」
 鳩尾の辺りに思い切り朱槍を叩きつけられてこれまた吹っ飛んでいく。
ついでに横の壁がぶち抜かれて
「銃座はどこだ!?」
 本当に真っ直ぐここまでやってきたのか通路の壁をぶち抜きながら皇も環境へとたどり着く。とっても猪。
「おっと、出るなら早く出ろよ、まとめて吹っ飛ばしてやるからなぁ」
 ぶち破った窓の外に雲母がレンチボーンを構えて煙管を吹かしながら狙いをつけている。
「と、流石に心中はしたくないな」
 ぴぃと口笛を吹いて皇が蒼月を呼び寄せる。外で戦っていたのだろうか所々ぼろぼろになりながら主人を迎えに来る。それを一度嬉しそうに見つめてから飛び乗る。
「とと、旦那、待ってくださいよーっと」
 桜花も飛び出してベティに乗り、その場を離れる。
「私も、まだまだ甘えたりないのでな!」
 朱鳳院が近くにいたのを殴り飛ばしてきた道を引き返していく。さっさと脱出する為にだ。そして全員が脱出した瞬間に雲母が放ったバーストアローが艦橋へと直撃、直後にボンと膨れて破裂するような音と黒煙が立ち上がる。
「と‥‥まずいですかね」
 侵入者騒ぎと艦橋の大破の最中に志宝が火薬庫へと焙烙玉をセットして火をつける。しかしまだ気が付いていない、この混乱の中で5分以内に脱出し、尚且つ距離を取ることを。とにかく火は付けた、後はただひたすら脱出するのみ。この混乱の中だと肩やらぶつかったり脱出口への道が崩れていたりと中々に逃げにくい、何とか乗り込んだ所へと戻って自分の龍を呼び寄せるが、反応は無い。
「まずい、まずいまずい‥‥!」
 そろそろ時間だ。
「このまま何一つ出来ないわけにはいかない」
 琥龍が弾幕が薄れたのを見計らって主翼のほうへと一閃。前進用のプロペラと根元から折れるように主翼がずれ始める。それを見てから離脱し始める。
「と、私も混ぜてほしいなぁ!」
 夢が飛空船を真正面につけて舵を固定させておく。そしてそのまま直進、完全に特攻させる気である。
「と、脱出」
 そのまま夢は離脱、ぐしゃっと艦橋同士がぶつかりあって飛龍の慣性を完全に抑え、雲海へと落ちていく。その光景を開拓者が眺めてほっと一息つく。

●撃墜
「無茶しやがって」
 夢が煙管を吹かしながら落ちていく飛龍に向かってそういう。まぁ、当たり前だろといわんばかりの光景ではあるが。火薬庫から爆発、そのまま誘爆しどでかい花火が上がっている。
「いえーい、最強夫婦〜♪」
 剣がそう言いながら雲母へとガッツポーズ、其れを見てサムズアップを返す。
「まったく死ぬかと思った」
 所々焦げている朱鳳院もそのまま雲母のほうへと。
「これで都も無事だな」
 皇も蒼月を撫でつつ満足気に息を吐いてから港へと戻っていく。
「もっと精進しないとだめかなぁ」
 海月もあれから撃墜数を増やしながら小型艇を落とし続けた。
 所々に傷があるのはその証拠だ。
「流石に骨が折れる相手だったな」
 琥龍も何とか無事に帰還し始める。
「誰か忘れているような気もしますが」
 イクスがそう言いながら「んー」と顎に手を当てて考える。
「死ぬかと思った‥‥」
 へろへろと龍と一緒に陸に倒れこむと一息、ぎりぎり脱出と爆発に逃れてこうして生きていたのはある意味奇跡のような気もする。今後はもっと時限を長くしようとそう心に誓ったとかどうとか。


 ‥‥なんて涎をたらしていた夢が起き上がって目を擦る。
「んー‥‥夢だけに夢を見ていたってわけねぇ‥‥」
 煙管を吹いて椅子にもたれかかり。
「ほんと、あれぐらい楽しそうな事でも起きないかなぁ」
 春の日差しを受けながらぼんやりと過ごす。