続々最速への道
マスター名:如月 春
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 難しい
参加人数: 6人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/09/08 07:54



■オープニング本文

●とある平原にて
 一人の男が平原を走っている。
 隣に走っていた人を抜き、馬を抜き、龍を抜き、グライダーを抜き、人間の領域すら抜けようとしてる男が。
 我々はこの速度に命を掛ける男を知っている。

 彼の名はハイ・スピード(本名トム)

 野を超え山を越え、いつか天儀最速の名を求めるが為に走っている男。
 そんな彼がもう一度開拓者ギルドへ、都へと視線を向ける。
 初の敗北から数ヶ月色々と自分を鍛えに鍛えぬいた。
 だとしたらやるべきことは唯一つ。
 もう一度開拓者と戦い、フル・スピードの名前をその手に収め直す事。

「天儀よ、私は帰ってきたぁぁぁぁぁ!」

 都を見下ろせる小高い山の頂上でそう叫ぶと跳躍。そして、山の麓で着地。
 開拓者ギルドに向けて爆走し始める。

●開拓者ギルドにて
 いつもの様に気だるそうに、夢が煙管を吹かし、机に足を乗せてのんびりと夏をお見舞いされている。
 ぼんやりと団扇で扇いだりしながら涼んでいると外から「ドドド」と言うなんとも爆音が響いてくる。
 そしてその音が此方にどんどんと近づき、その頂点になると‥‥。

「ごめん、くだ、さーい!!」

 扉が垂直に立ったまま夢の方へとスライドしていく。
 ガンッ!と机にぶつかり、ぱたんと倒れるといつものハイ・スピードがその場に仁王立ち。
 やれやれ、といいながら煙管を一旦置いて用件を聞きながら扉を直す。ちなみに四枚目。

「で、ご用件はなんですかっと」

 がたがた扉を直そうとするが元に戻らず、がたがたといいっぱなし。

「うむ、開拓者と再戦を申し込みにやってきた」

 ばっと懐から一枚の「果たし状」と言うのを取り出して机にそっと置く。
 扉をゴミ捨て場に放り投げて、その果たし状を開いて内容を読み始める夢。

「ふむ‥‥まぁ、この間の再戦って事でいいんだな?」

「そう、私がフル・スピードに返り咲くために!」

 ちなみに手紙は数メートルにも及ぶほどに分厚い。
 面倒なのでざっくり読み上げただけだ。

「じゃあ、この間のような試合でいいんだな?」

「いや、真剣勝負で。やはり戦う事に意義があると私は思うのだよ、なぜならそれは‥‥」

 トリップし始めたのでかるーく聞き流しながら依頼書を作成していく夢。
 「速度に自信のある開拓者募集」と、ぴっちり角を合わせて張り出すのであった。
 


■参加者一覧
王禄丸(ia1236
34歳・男・シ
アルティア・L・ナイン(ia1273
28歳・男・ジ
時任 一真(ia1316
41歳・男・サ
水津(ia2177
17歳・女・ジ
赤マント(ia3521
14歳・女・泰
雲母(ia6295
20歳・女・陰


■リプレイ本文

●いつもの開拓者ギルドにて
 一人の男と六人の開拓者がじっと見つめあう。ある意味で天儀最速の面々が此処に集っているわけである。
「ふふふ、まっていたぞ、開拓者・・・・この私の本気を遂に見せるときが来たわけだ!」
 ふんっ!といいながらポージングをするハイ・スピード(トム)。このくそ暑いときにむさ苦しいのが帰ってきたもんだと、夢が呟く。
「じゃ、郊外で思う存分やりあってもらうかね」
 いざ決戦の場所へ。

●初戦・・・・最凶の親子
 わっしわっしと屈伸をしてるハイ・スピードとまず戦うのは最凶の親子。
 一人目は身長2m弱の大柄なシノビ。
 二人目は眼鏡の似合う焔の巫女
 三人目は覇王の弓術師
 どうやってみても親子の様には見えないのだが・・・・それはいいとして。雲母(ia6295)は水津(ia2177)の頭に胸を乗せていじめていたり、まったりそれを眺めて止める気配の無い父親の王禄丸(ia1236)と完全に親子にも見えはしないが、シノビ、巫女、弓術師として屈指の実力派である。
「ま、本命は後ろに控えているし。かるーくやろうか」
 王禄丸がぱんぱんと手を叩いて娘二人にやる気を促す。
「私の矢と貴様の速度、どっちが速いかなぁ・・・・」
 弓を構えて紅い瞳でハイ・スピードを見つめる雲母。
「どんなに速い相手でも、家族の絆の前には止まっているのと同じ事です・・・・」
 水津も清杖「白兎」を構えて舞の準備を始める。
「試してみれば分かる事!どんな相手にも容赦はしない!それが今回の私の本気だ!」
 クラウチングスタートのポーズをとり制止。
「・・・・じゃ、初め」
 夢が腕を振り下ろすと同時に動き始める。
 素早く雲母が弓を構えて、撹乱するように弓を連続で発射。その後ろで水津が神楽舞「進」を使い、王禄丸と雲母の手数を増やす。王禄丸は目算で距離を測りながら印を結ぶ
「チッ、狙わないと当たらんか」
 狙っていないとは言え、その矢の速度は並みの弓術師を越える。一撃当たれば瞬く間にハリネズミの様になってしまう。だが、ハイ・スピードは其れを避けていく。速度を維持したまま柔軟な軌道を描きながら避け続けていく。
「言ったはずだ、私は本気で戦うと!」
 全身に気を纏わせながら、じりじりと接近。じっとりと汗をかきながらも雲母はにやりと笑い、射法を切り替える。確実に相手を止める一撃を放つ為、瞬き一つの間に精神集中、補足、偏差距離、風速、風力、重力による落下、自身の矢の速度を計算。確実ともいえる本気の一撃。雲母の瞬速の矢、一瞬ではあるが天儀最速最強の矢が放たれる。
「くぅ、これは!?」
 無理やり体勢を捻り上げ、自身と同じもしくは其れ以上の速度の矢を受け大きく後退。そしてすぐさま二射目を警戒し、距離を取る。
「流石です、お姉様・・・・」
 しかし同時に水津もじっとりと汗をかいていた。・・・・確かにお姉様の矢は速いし、一撃も重い、だが通常の攻撃では直撃はしない、本気で狙ってあれということを再認識。 ぎゅっと杖を握り締めるところに王禄丸がぽんと手を置く。
「後ろは任せたぞ?」
 雲母の後ろ、水津の前に立ち、ゆっくりとハイ・スピードを目視。此方の番だ、と言わんばかりにハイ・スピードを適当に追いかけ始める。普通の人間であれば愚策であるが、王禄丸の場合はそれが逆に好手。不用意に飛び込めば・・・・。
「俺を止めてみろ!」
 距離目算、100m、90m、80m、70m、60m・・・・。
 全力疾走で此方に向かって来るのはよほど速度に自信が見て取れる。
 40、39、8,7,6、5、4、3、2、1・・・・。
「悪いが、私には速度と言うのは通用しないので、な」
 素早く印を結び夜を発動、時を止める。
 3.2秒間の完全なる静止した空間、素早く早駆を使い、接近をするが。
 ハイ・スピードの本気が見て取れる。瞬脚での縮地移動。一瞬にしてもう10mの距離をつめてきていた、が・・・・今は王禄丸の世界。残りの行動力で影を発動。素早く相手の急所に向けて弐連撃。そして・・・・。
「時は動きだす」
 バシュっとハイ・スピードが鮮血に染まる。しかし。
「ぐぅ!まだだ、まだ終わっていない!」
 影の衝撃で軽く後ろへ吹き飛ばされたが、着地と同時に接近、百虎箭疾歩が王禄丸の腹部へと吸い込まれるように放たれ、突き上げられる。
「なん、だと」
 ゆっくりと落下しながらハイ・スピードの向かう先、娘の方向を見やる。何か叫んでいるようだが、よく聞こえない。
「使いたくもいいたくもなかったが・・・・パパ、頑張って!」
 いつもの高圧的な声ではなく、歳相応の子供のような声で王禄丸に叫ぶ。
 勿論回りの雲母を知っている(と言うか全員)がその場で凍りつく。
 妹の水津ですら「お・・・・ねえ・・・・さま・・・・?」とあんぐりと口をあけている中、王禄丸がぽつりと。
「嬉しいのは、間違いないんだが・・・なぁ」
 残りの練力を練り上げ、落下しながら印を組みなおし、再度時を止める。
 そしてハイ・スピードの背後から早駆で接近し、一撃。それと同時に時が進み、大きくハイ・スピードが転がり倒れる。
「ん、そこまで」
 夢が間に入り声を上げる。流石に三人相手、しかも時止めるわ、必中するわだと流石のハイ・スピードも難しいようだ。水津がとてとてと近づいて王禄丸の手当てをする。
「大丈夫・・・・ですか・・・・」
「んー、大丈夫だ、娘よ」
 わしわしと撫でながら手当てを受ける王禄丸。家族とはいいものです。
 その後ろで雲母が倒れたハイ・スピードに水をぶっ掛けて荒々しくたたき起こしている。
「死んでないな?」
「むぅ、まだ足りんかったかな?」
 薬草をぼりぼりと食い、塗りつけながら立ち上がる。回復速度も化け物らしい。
「勝者、開拓者」
 煙管を器用に動かしてそう告げられる。

●二戦目・・・・ライバル
 回復済みのハイ・スピードが屈伸をしながらゆっくりと準備運動をしている。
「じゃ、次は僕だね」
 アルティア・L・ナイン(ia1273)がぼきぼきと骨を鳴らしながら近づいてくる。
 何だかんだと言って此処まで付き合ってきた仲でもある。
 言葉も交わさずに、にぃっと頬を吊り上げて笑うハイ・スピードと目をあわせる。
 いいようの無い高揚感がふつふつと湧き上がる。
「今度こそ・・・・勝つ」
 カッツバルゲルを抜き放ち、正眼に構えて一直線にハイ・スピードを見つめる。
「・・・・では、初め」
 夢が手を振り下ろすと同時に走り出す二人。常人では何が起こったか見えない程だろう。
 スキルは使わず、まずは地力での勝負。
 アルティアが体勢を低くし、死角に回り込むように円軌道を描きながら攻撃をし始める。
 右手からの切り上げ、左手に切り替え突き上げ、剣を支点にしての蹴り。
 流れるように繰り出すが、ハイ・スピードもそれに応えるように受け、避け続ける。
「ははは!またできるようになったなぁ、ライカウィンド!」
 そう叫びながら極限までに素早く、確実に当てる蹴りが飛んでくる。
 咄嗟に鞘で其れを受けると、吹き飛ばされつつも動くのをやめない。
 ――止まればやられる。
「くっ、さっきの試合も見ていたけど、何故今まで本気じゃなかったんだい?」
 余裕の口調に見えるが焦りつつ、期待しつつ走り向かう。剣先を地面につけ、真っ直ぐに線を描きながら。
「簡単だ!スキルを使って自身を強化するのは容易い!」
 下段からの切り上げを右脚で受け地面に縛り付けるように抑える、動きの止まったアルティアに顔を近づける。
「自身の力のみで最速!己の肉体だけでの最速!それが俺の最速だ!」
 抑えるのをやめ、左脚で剣をはじき一回転。右踵がアルティアのわき腹を的確に捉え星を軋ませながら大きく吹き飛ばされる。
「そして、俺がスキルを使う事は相手に対する最大限の礼儀、という事だぁ!」
 吹き飛ばされているアルティアを追撃、瞬脚を使い接近。
「くっ・・・・!」
 防御を固めて攻撃に備えるアルティア、次の瞬間に脳を揺らす程の蹴りがたたきおろされ、意識が一瞬飛ぶ。軽く地面に陥没しながらも意識をはっきりさせながらゆっくり立ち上がり。
「じゃあ、それに応えないと僕も悪いね」
 上着と鞘を脱ぎ捨て、一呼吸。ふぅ、と一息かけて気を練り始める。
 体を紅く染め上げながら重々しくも柔軟な動きを見せながら接近。
「ならば!」
 どんと大きく踏み込むと瞬脚を使い一気に最高速に、真正面からの一撃。
 死角に回り込むのをやめ、あくまで真正面から。
 カッツバルゲルを構え、突きを放つ。空気の壁をぶち破り、土煙を吹き払う速度で相手の鎧に剣先が当たると同時に拳を握り
 ――我流絶招─―
「──風爆ぜ!」
 気力を消費し自身の命中をさらに捻り上げながら最速であろう一撃を見舞う。
「俺が最速だ!」
 拳を確認してからの絶破昇竜脚。
 拳と脚が一つも引かずにぶつかり合うと同時にあたりの土煙が吹き飛ばされる。
 そして開けた視界の中で拳を振りぬいたアルティアと蹴りを振りぬいたハイ・スピード。
「‥‥相打ちだな、引き分け」
「たちながら‥‥気絶してる‥‥」
 水津がお茶を淹れながらぼんやりと眺める。人間じゃないとか思いながら。
「やれやれ‥‥」
 二杯目の水を持ってきた雲母が二人にぶっ掛け荒々しく起こす。
 気力も空になりぼんやりとなったアルティアが尋ねる。
「どっちが、勝った?」
「引き分けだと」
 其れを聞き、力が抜けたのか、ぱたりともう一度気絶するのだった。

●三戦目・・・・男の子
 一時間ほど水津の持ってきたお茶とお弁当を広げながらハイ・スピードの回復とアルティアが起きるまでまってからの三戦目。やはり化け物のようでしばし深く眠るとある程度まで回復するハイ・スピード。回復速度も最速らしい。
「ハイ・スピード君とはこれで三度めかな?」
 ほんわかとした空気を出しながら時任 一真(ia1316)がハイ・スピードと対峙。
 自分が泰拳士であるアルティアやハイ・スピードに勝てない事は重々承知ではあるが、どうしても引き下がれないものがある。幾つ歳をとっても男の子だからだろう
「では、初め」
 気だるい夢の声と同時に隼襲での加速、初手を完全に時任が制し、一気に「嵐」「泉水」での弐連撃、十字にきりつけるが、軽い後退をしたハイ・スピードの鼻っ面に横に赤い線を作るが、致命傷には至らない。当たり前か、と内心思いながらも、続けて攻撃を続けるが、やはり避けられる。
「キレが鈍いな・・・・何があったかは俺には分からん、俺に何かを言う権利も無い」
 そうぽつぽつと呟きながら一度距離を取るハイ・スピード。
「此処に着てからお前と知り合い、拳も交えたからあえて言わせてもらおう、いつまで腑抜けているつもりだ」
 ギロリと目を向けて睨む。
「何時までも過去に縛られるぐらいなら、自分と同じ者を作らないようにするぐらいの心持を見せてみろぉ!」
 瞬脚からの絶破昇竜脚。ほぼ無動作からの一撃。其れを受け流すように刀で抑えるが、衝撃までは受け流せなく、びりびりと手が痺れる。
「若いものに言われるとは・・・・俺も歳かなぁ」
「だったら本気を見せてもらいたいな、カズマ!」
 ニィと口端を上げ、もう一度隼襲を発動し、刀を構えて弐連撃の体勢で走り始める。
 自分がこういう人間ではない事ぐらい分かっているが、あぁまで言われて何もしない男ではない。意地があるんだよ。そう心の中で呟きながら、目をぎらつけさせてハイ・スピードの懐に入る。内から外への弐連撃、それを避けられたのを確認し、刀を手放し、さらにもう一度踏み込む。両手首を合わせ捻るように拳をうちつけ、打ち抜ける。
「ぐぅ!やればできるじゃないか‥‥だったら、それに応えるのが礼儀!」
 素早く体勢を持ち直し、大きく踏み込み蹴り上げる。的確に顎を捉え、大きく後ろに回転するが、引き下がらない。ゆったりと立ち上がると普通に殴る。それに応えるようにハイ・スピードも普通に殴る。スキルも何もなく、ただひたすらに楽しそうに殴り合い、度付き合い‥‥。
「はぁ‥‥はぁ‥‥いい加減に」
「いつつ‥‥いい加減に」
 ギロっと二人が同時に睨み。
『倒れろつってんだろ!』
 綺麗なクロスカウンターを相手の頬面に当てると同時に二人とも倒れる。
「‥‥引き分け」
 手を交差させ、終了。そして水津が手当ての為の救急箱を出している間に雲母が水をぶっ掛けて荒々しく起こす。


●最終戦・・・・フル・スピード
「おかえり!ハイ・スピード!」
 赤マント(ia3521)がそういいながらハイ・スピードの前に立ちにこりと笑う。今までの戦闘で速度やスキル、癖は大体掴んだので全力で行動するべく呼吸を整える。
 勿論其れに応えるようにぱんぱんと埃を払ってから気を練り始めるハイ・スピード。
「さて‥‥はじめ」
 ぶぅんと大きく気だるそうに手を振り下ろし、始まると思ったが両者動かずにじっと見つめたまま。じっくりと相手の動きを読みあい。確実に勝利する事のみを考える。
 じゃりっとしっかりと地面を踏みしめ、一気に加速し、打ち合いを始める。初手から泰練気法壱を発動し、全身を紅く染め上げながら速度を上げる赤マント。泰拳士でも屈指の速度の拳の連打。それを掠めながらも避け続けるハイ・スピードも中々のものだ。
 その攻撃の中でも何度も反撃を重ね、赤マントをひやひやとさせる。相手の視線を使って防御をしてみるも、相手の速度が早く軽い余所見と同じ事、ほぼ不可避な場所から蹴りが飛び交うか、それを迎撃し続ける。
「でも、これなら!」
 泰練気法弐へ続き連続手刀を放ちその場に貼り付けるような連打を浴びせる。だが、相手の動作一つずつ確認をし、すぐにでも飛びのける準備を怠らない。
 避けるのを止め、防御と受けをしているハイ・スピードも隙をうかがって赤マントを睨みつける。両者確実に相手を倒す事を考え、その次の瞬間
『絶破昇竜脚!』
 ほぼ同時に発動し、蹴り足同士が重なり止まる。みしみしと骨を軋ませながらもお互いに笑いながら、もう一度距離を取る。
「相変わらず速いなぁ・・・」
「だろう?私の本気だ」
 お互いに笑い、また同じように連打の応酬を始める。右手、左手、右足、左足、自分の出せる技と場所を使って打ち合う。
「これで、終わりだぁ!」
 気力を練り上げ脚に、そこから不意打ち気味に赤マントの蹴りがハイ・スピードにたたきつけられ、仰向けに倒れる。
「さて、勝者、赤マント」
 ぐったりと膝を突いて拳を上げる赤マント。今まであったどんな敵よりも強く速い敵だったと思い。

●全て終わり
「やはり、天儀は速いのがおおいなぁ」
 包帯巻きにされたハイ・スピードがふぅ、と一息。
「だが、これで終わったわけではないぞ、また」
 と、同時に走り始め。
「何処かで会おうではないか!」
 ははは!といいながら夕日に消えるハイ・スピード。

 開拓者達は、呆れながらも見送るのだった。