【魔法】伝説の最終回
マスター名:KINUTA
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 易しい
参加人数: 9人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2013/10/13 00:36



■オープニング本文

※このシナリオはIF世界を舞台としたマジカルハロウィンナイトシナリオです。
 WTRPGの世界観には一切関係ありませんのでご注意ください。






 ぶちもふらのスーちゃんがいきなり言ってきた。

「次回でこの連載漫画『舵天☆SHOW』打ち切りでち」

 彼の主人である女騎士エリカは一瞬あっけにとられ、あわてて聞き返す。

「‥‥は? え、本当に!? どこ情報なのそれは!」

「本当なのでち。情報源は提供者保護のため、天の声(仮)とでも言っておくでち」

 スーちゃんは寂しげに微笑み、続ける。

「思えばそんな兆候は前々からあったでちよ…ここのとこ誌面の順位が後方をさ迷っていましたち…大体何をしたいのか迷走しっぱなしでちからなあ…バトルものなのか恋愛ものなのか推理ものなのか…絵柄もコロコロ変わって安定しませんでちたし…」

「ちょっと、マイナス要素ばかり並べ立てるの止めなさいよ。それでも一応ファンはついてたんでしょう?」

「そうでちな、全国一万人くらいは読者がいたはずでち」

「…それって多いの、少ないの?」

「さてどうでちょう。とにかく次回でスーちゃんたち話をまとめなくてはならなくなったでちよ。どうちたもんでちょう」

 頭をひねるスーちゃんに、エリカは少し考え、言った。

「…そりゃ『俺たちの戦いはこれからだ』式エンドしかないんじゃないの? 後一回ってことなら、伏線回収とか不可能でしょう?」

 そこに彼女の知り合いである女学者、ファティマが顔を出してくる。

「いや、あたしは仮想世界オチがええ。ここは実は近未来のバーチャル世界やった、てな。ほしたら伏線全部消化出来るやん」

「それ消化っていうか強制終了でしょー」

「でちな。夢オチと実際変わりないでち。まあやりようによっては後後までカルト的伝説になるかもしれまちぇんな。主人公を囲んで皆で『おめでとう、おめでとう』と拍手するとか、好きな子に『気持ち悪い』と言われるとかいう具合の超展開があってもいいかもでち」

「なんでそんな意味不明なことしなくちゃなんないのよ…いやよ私は」

 おーい、と呼びかける声がした。振り向けばぐうたら貴族のロータスだ。

「とりあえず最終回なら結婚しときましょエリカさん。いいでしょ、もう後ないんだから」

「えー…」

「そんな嫌そうな顔しないでくださいよ。さあさ、行きましょ。最後くらい僕の言うこと聞いてくださいね」

 エリカはロータスに連れられ、場から退場して行く。
 今度は女学生2人、アリスとアガサがやってきた。

「普通に大団円でええと、うちは思うで。『皆幸せに暮らしました』っていうやつ。変なひねり入れるよりそっちのほうが、好感持てるわ」

「かーっ、アリスの言うことはいっつもつまんないっすねー。ここは昇進があるかと思いきやまさかの降格出向エンドで締めるべきっすよ! 倍返しの戦いはまだ終わらない的に!」

「あんた一体どこの何をパクっとんねん!」

 とりあえず次回、泣いても笑っても最終回である。打ち切りである。





■参加者一覧
水鏡 絵梨乃(ia0191
20歳・女・泰
ルンルン・パムポップン(ib0234
17歳・女・シ
マルカ・アルフォレスタ(ib4596
15歳・女・騎
霧雁(ib6739
30歳・男・シ
レト(ib6904
15歳・女・ジ
フタバ(ib9419
15歳・女・巫
黒曜 焔(ib9754
30歳・男・武
戸隠 菫(ib9794
19歳・女・武
草薙 早矢(ic0072
21歳・女・弓


■リプレイ本文

 縁側。
 霧雁(ib6739)はジグゾーパズル的なものをしながら、しみじみと茶をすする。

「今頃結婚式の最中で御座ろうなぁ…」

「おい雁の字よ、なんで俺たちゃ出席しねえんだ?」

「御祝儀を出す余裕がないからでござる…しかしこのペースだとまだまだこの護大パズル、埋まらないでござるな」

 そう独りごちたとき、異変が起きた。
 パズルのピースが膨張し、隙間が埋まったかと思いきや、人の姿になったのだ。

「な、なんでござる…!」

 驚き湯飲みを取り落とす霧雁。
 ジミーがすっくと立ち上がる。

「実は俺、護大パズルの最後のピースなんだ。あばよ、今まで楽しかったぜ…」

 微笑んでさよならをした猫又は、発光する人型に飲まれてしまう。

「ジ、ジミー!」

 最後の欠片が揃った護大パズルはさらに膨張。最終的にスーパーロボへと姿を変える。

「これは一体…はっ!」

 晴天は一点にわかにかき曇り不吉な雷鳴が轟き海は逆巻く。
 時空の裂け目より姿を現したは赤い月――侵略者達の本星。
 奴等の機動兵器が群れを成し、今、地球に迫る!

「な、なんと…そんな大変なことが…どうしたらいいでござるかー!」

 動揺する霧雁の背後から、突如人影が姿を現した。

「「「我等、運命に導かれし者!」」」

 15センチ大ロボット。

「ガー介殿!」

 ミイラ状態でふがふがしている役者。

「ジョニー殿!」

 胸の大きな女ガンマン。

「カラミティ・ジェーン殿!」

 はふはふ舌を出している犬人間。

「…レオポール殿?」

「おお。分かってくれたか。うれしいなあ」

 重々しい天の声が響いてくる。

『ゴダイオンの魂…ジミーに選ばれし者よ。共にゴダイオンで侵略者共を倒すのだ!』

「(…ゲストキャラ総登場の流れで御座ろうか…)よく分からぬが分かったでござる!」



 相棒駿龍サイフィスの背で、レト(ib6904)は、道中拾って同乗させているルンルン・パムポップン(ib0234)相手に、愚痴りまくっていた。

「これからようやくあたしの出番! ってところの筈だったのに打ちきりぃーーー? 冗談じゃないよー!」

「お気持ちよく分かるのです。私も、『アヤカシ皇帝に滅ぼされそうになっている花の魔法王国の王女として故郷の国を救う為、お供の羽妖精ヤッサンと伝説に語り継がれる本物のニンジャ探索の旅に出た』ってエピソードが始まったばかりで‥‥なのにニンジャの二の字もでないうちに最終回なんて、ぷんぷんなのです…しかも邪悪な皇帝、いつの間にか攻撃に巻き込まれて死んでるし…さっき前回の粗筋で突然そうなってたのです…」

「そんなの全然マシな方だよ…あたしなんか初登場が最終回だよ…主人公の生き別れの妹でライバルっていう設定あるのにさー…」



「そういうベタなことばかりしていたから打ち切りになるんでちょうな」

「スーちゃん、誰と話しているの?」

 森の小さな教会の控室。花嫁衣装のエリカからブーケでぽんと叩かれたスーちゃんは、すまして答えた。

「隣のコマへの突っ込みでち」

「やめなさいよメタ発言は。この漫画、そんなカラーの作品じゃなかったはずでしょ…」



 ルンルンの相棒羽妖精、ヤッサン・M・ナカムラは、ふと空を見る。

『ルンルンの嬢ちゃん、なにやら昼のはずなのに、赤い月が出てますぜ?』

「え。あ、ほんと。作画ミス?」

 疑っているところ、ぱからっ、ぱからっと軽快な蹄の音が聞こえてきた。
 見下ろしてみれば、相棒戦馬夜空に跨がった篠崎早矢(ic0072)の姿が。

「毎度おなじみの! 今日も馬の素敵な秘密10000の、ナンバー528を…」

 レトは、相手がどうも気づいてないと見て教えてやる。

「おーいそこの人、今日で最終回だよ!」

「ええっ、もう最終回なの!? それでこんなにコマが小さいのか…」



「そんなコーナー毎回悠長にやってるから、打ち切りになったんじゃないですかね。それはそれとしてドレスがよくお似合いですよエリカさん。馬子にも衣装って感じで」

「素直に褒められないわけロータス」

 祝い事には大勢の人間が駆けつけてくる。相棒もふらのゆきを連れた、フタバ(ib9419)もその一人。
 持参した花束をエリカに渡し、ゆきと一緒にぺこりと頭を下げる。

「この度はおめでとうございます、結婚やそうで」

「ああ、ありがと。なんかバタバタだけどね」

「どんな駄作でもそんなもんや。最終回が笑顔で終われるんやったら、それでええ」

「いや、駄作とかキャラが言ったらまずいでしょ」

 エリカの言葉をよそに笑顔のままのフタバは、スーちゃんに顔を向ける。

「でもスーちゃんはこのままでええの…? あんたには役目があるはずや…そう、すべての世界を救うアイドルとしての! スーちゃんはもふらオブもふら、尊い存在や…ここでくすぶっとったら何も始まらんで…?」

「ハッ。そうでちた、スーちゃんには偉大な隠された使命があったのでち。今突然思い出したでち」

「何の話なの、あんたたち」

 エリカの台詞を遮るようにバアンと扉が開かれ、黒曜 焔(ib9754)が入ってくる。彼はエリカのところに歩み寄って来るや否や、片膝をつき差し出す――紫と黄色の食用菊てんこもりの、残念すぎる花束を。

「一目見たその時から運命を感じていました。私の愛を受け止めていただけますか」

「えっ。ちょっ、ちょい待って。これまで全然接点なかったのに今そういうことされても」

 焦るエリカ。ロータスがずいと進み出る。

「止めたがいいですよ。エリカさん駄目男にしか反応しないんです。あなた比較的まともそうだから、無理無理」

「妙なイメージを他人に吹き込むな!」

「えー、だいたいあってるでしょう?」

 ロータスとエリカの掛け合いを前に、焔が手を挙げる。

「あ、違います。この花はスーちゃんへのものなんです。ご安心を」

「だったら最初からそう言いなさいよ、紛らわしいわね!」

 鐘が鳴り始めた。式が始まったのだ。エリカとロータスはそちらへ移動して行く。
 焔は改めてスーちゃんを口説いた。

「スーちゃんの愛らしさはもふらの中でも郡を抜いていると思うのだよ。その愛らしさを是非! 世界に!」

 それまで黙っていた相棒もふらおまんじゅうが、抗議の声を上げる。

『ちょっと待ったー、もふ! もふらの中で一番可愛いのはもふもふ! 相棒のうわきものー、もふ!』

 焼き餅を妬いて悶えても、もふらはやはりもふら。もふもふしている。

(ぐっ…かわいい…)

 焔は鼻血が出た。
 フタバはカメラ目線で持論を続ける。

「そう、うちは迎えに来たんや。世界の危機を救えるのはもふらさましかおらんのや」

 見計らったかのごとく開いたままの扉から、45匹のもふらが入ってきた。もふら〜や、もふら〜♪ と歌いながら。
 かくしておまんじゅうの、ゆきの、スーちゃんの、その他大勢のもふらの、MHR(もふら)48センター争いが勃発した。

「もふらのなかでいちばんにんきなもふらはもふもふー」

「いや、もふもふー」

「ちがうもふ。もふにきまってるもふ」

「もふがいちばんもふもふもふー」

「きりがないでちなー。あ、そうでち。ここはオリジナルにあやかって、じゃんけんでセンターを決めるのでち!」



「今の今まで、ずーっと仲間として同行したり、のんびり一緒にお茶会したりしていたけれど、ずっと宿敵だった悪の組織の首領、それがあたしの正体だったんだ…」

 式場にていきなり行われる戸隠 菫(ib9794)のカミングアウト。
 一斉になだれ込んでくるギャング風の人々。

「われこそは紅龍、この結婚式場は、あたし達が占領したわ!」

 高らかな名乗りを聞いたエリカは、帽子も目深にこそこそしている2人、アガサとアリスへ目を向ける。

「なにやってんのあんたたち!」

「ふふん、気づくのが遅かったっすね…実はあたしらも幹部だったんす!」

「せや! もう野獣番長やからて、でかい面はさせへんで!」

 相手がそう言った途端エリカは、右の拳を左の手のひらに打ち付けた。

「…アガサ、アリス…こっちに来なさい」

 名指しされた両者は一瞬で汗だくになり、菫に泣きつく。

「あかん…これぜってーあかんやつっす」

「うち怖い、もういやや〜」

「やらないうちから諦めてどうする!」

 頼りにならない部下を励ます菫の肩を、相棒からくりの穂高 桐が叩く。

「何か来ましたよ菫…もとい、ここでは紅龍」

 直後、窓のステンドグラスが突き破られた。
 悪の軍団のセクシー女幹部、水鏡 絵梨乃(ia0191)が強硬突入してきたのだ。背の翼を羽ばたかせながら。

「やあ、お祝いにこさせてもらったよ!…おや、早矢さんはまだ来てないのか」

「どうしたの。つい一話前まで敵だったのに」

「いや、軍団長が急に団を解散したいとか言い出してな。なんでも、お前が来るまで何話もゴツい椅子に座ったまま『ふっふっふ……』って如何にも最後のボスですみたいな笑みを浮かべながら待ち続けてる自分に嫌気がさしたそうで」

 実は子供の頃からパティシエになりたかったのだと叫び、「いつやるの? 今でしょ!」とアジトを飛び出していってしまう軍団長の姿が、回想シーンとして披露された。

「ちなみにこのウェディングケーキも軍団長作だ」

「えっ、そうなの。知らなかった…」

 絵梨乃の頭に乗る相棒迅鷹花月は、翼をすくめる。

『団長がいないんじゃどうしようもないからな、結果解散ってわけだ。世界一冷徹な男とか呼ばれてた幹部が、解散が決まったと聞き号泣してやがったなあ。ていうかな、俺だけ退職金が冷凍ネズミ半年分とかいうのが納得いかねえ。どうせなら生のがよかった』

「仕方ないさ花月、ナマ物は傷むし増えるから…まあ、というわけで、改めて結婚おめでとう」

 拍手を受けエリカが照れ笑いを浮かべた途端、ボゴンと壁がぶち抜ける。
 相棒アーマー黒姫に乗ったマルカ・アルフォレスタ(ib4596)の乱入だ。
 静まり返る場に、凛とした声が響き渡る。

「エリカ様をロータス様に渡しはしません。お兄様の妻になっていただきますわ!」

「…は?」

 怪訝そうなエリカの胴を黒姫の腕がむんずと掴んだ。

「エリカ様は頂いていきますわ! お〜ほっほっほ!」

 黒姫はきびすを返し、どすどす走って逃走して行く。もちろんエリカを連れたまま。女性搭乗機体という点を意識してか、ちょっと内股走りで。



 金切り声を上げる敵機が、次々ゴダイオンに襲いかかる。

「アンケイトオオ」

「ジュンイイイイ」

「ウリアゲェェェ」

 数え切れないほどの数だが、メインパイロット霧雁は恐れない。ゴダイオンのマキシンコウ機関には限界というものがない。練力は無限大なのだ。

「そうやって読者迎合にばかり走るから、似たり寄ったりの無難作しか生まれないのでござるよ!」

 近づいてくるのはひときわ大きな敵機の機影。乗っているのは地球と人類と良識の敵、ユダ・ジルドレだ。

『ふははは。商業など下らぬ…漫画は非商業に限るよ…非実在未成年者をいたぶるに当たって一切の制約がないのだからな!』

 畜生の発言に、ゴダイオンの右手が燃えたぎる。

「…子供をいたぶる様な極悪人は念入りに倒すでござる! 無様に地獄に落ちるでござるよ!」



「ちょっと待ちなさいよマルカ! 私の意志はどうなんのよ!」

「この際エリカ様の意思は関係ございません。何せ最終回ですから奪った物勝ち。取り返される心配もございませんし♪」

「あんたそんなキャラじゃなかったはずでしょお!?」

 このまま彼女の勝ち逃げで終わるのかと思われたところに、バイクに乗った紅龍団が追いついてきた。
 特攻服を着たアリスが黒姫の前に滑り込む。

「待ちい! ここは通さへんで!」

「あらアリス様、邪魔するのでしたらもう宿題を見せてあげませんわよ」

「あ、ごめん。好きなだけ通ったって?」

 脅しにたやすく屈する部下を菫がハリセンでどつく。

「そんなもの埋め合わせてあげるから、やっておしまい!」

 それに待ったをかけたのが、木々の間を縫い、飛び降りてきたレトだ。

「ちょっと待ったーーっ! その式、あたしとの決着がついてからにしてもらおうか!」

 当然ながら初対面なので、エリカにもさっぱり覚えがない。

「…えーと、ごめん、あんたは誰なの?」

「レトだよ、レト! 生き別れの妹でライバルの!」

「…いたっけ? そんな子」

 真顔の問いにレトは地団駄を踏む。涙目で。

「いたの! いたんだったらいたの! 作者の頭の中にはいたの!」

 いきなり空襲警報が鳴り始めた。
 一同顔を上げれば、いつのまにか空が機動兵器の群れで真っ黒になっていた。

「え、いいんすかこれ。世界観大崩壊しすぎっすよ?」

 アガサが真面目に汗をかく。マルカはくっと口元を曲げる。

「…なるほど、そういうことですか…黒姫、フライトパック使用。KーMAX発動ですわ!」

 黒姫はエリカを離しポーズを決める。するとどうだろう、背中からにゅっと鋼の翼が生えた。
 噴射口から青い炎を放ち、黒姫が宙を舞う。放たれるミサイルにより、次々敵機が撃墜されていく。

「落ちなさい、蚊トンボっ!」



 レトがいきなり飛び降りてしまったので、サイフィスの上にはルンルンだけ。

「こ、これ、どうしたらいいんですーっ」

 敵の一騎が近づいてきた。
 ヤッサンはニヒルに笑い、主人の前に進み出る。

『あのような輩、ハッチョウボリーの旦那といわれたわしの力でちょいともんで』

 それが聞こえただろうか、相手は逆噴射を浴びせてきた。
 暴風にもまれて飛ぶヤッサンと、その懐に入っていた紙幣。

『…って、おお、わしのへそくりが、へそくりがぁ〜…』

「ヤッ、ヤッサーン!」

 ルンルンが手を伸ばすも遅かった。ヤッサンは彼方まで吹き散らされ星になった。

「…よくもヤッサンを、許さないんだから! ルンルン忍法でお仕置きです!」

 魔法の杖『カドゥケス』から花吹雪が生まれた。
 今度は敵機が吹き飛ばされ星になった。

「…えっ、そんな。私が本物のニンジャ?☆」

 そこにヤッサンが戻ってきた。飛んで行ったへそくりを回収して。

『おお…まさかルンルンの嬢ちゃんがニンジャだったとは…ヤっさん一生の不覚だ』



 地上へ続々一つ目の人型決戦兵器が降下してくる。

「邪魔すんじゃないよ!」

 出番を消されてなるものかといきりたつレトは、エリカに共闘を申し出た。

「ちっ、あんたとの決着は後だ。ひとまず協力してあげるよ」

 決着の内容は定かでないが、エリカも深く考えるたちではない。勢いで動く。

「そう、なら頼むわよ!」

 動きにくいドレスの裾を引き裂き、剣を取る。両者背中合わせで切りまくり、突きまくり。鋼の機体がしなる鞭に打たれてよろめき、ぶった切られ火花を上げ爆発する。
 遅れてきたロータスは傍観の一手だ。

「血の気が多いですねー。にわか設定だけの姉妹でも、さすがよく似てますよ」

 ドリフト走行で夜風が飛び込んできたのはそのときだ。
 しこたま上がった砂煙に咳き込む面々の前で、早矢が歯を光らせる。

「待たせましたね! 私が来たからにはもう安心です! くらえ、100発ガトリングボウ!」

 箙に入っているより明らかに多い矢が一時に放たれるという派手な描写が行われたが、コマが小さいのであまりよく見えなかった。

「何故! ここは見開きにすべきでしょう!」

 悔しがる早矢。
 慌てた様子で絵梨乃が飛んできた。

「大変だよ、もふらが、もふらたちが…あれ、早矢さんここにいたんだ」

 皆は聞く。金色の野に青き衣の者が降り立ってきそうな合唱を。

 …もふ もふもももふもふもふ もふ もふももも…

 もふらたちは一匹ずつ光となって、天に昇って行く。

「こっ、これは一体…」

 呟くレトに、気づけば場にいた焔が答えた。ハンカチをぐしょぐしょに濡らしながら。

「選ばれし48匹のもふらの祈りが魔の森を浄化するということがわかったのだ…天儀にしか発生しない精霊であるもふらさまには何か秘密があるのではと…長年研究してきた結果なのだ」

 フタバがその隣でむせんでいる。

「そう…MHR48に与えられた真の使命…それは、もふら様の聖なる力でこの舵天☆SHOW世界を救うことやってんや…そう、もふらさまなら…みんなのために消えていくのも…定めなんや」

「なんでこのシーンが私の時より大ゴマなんです!?」

 という早矢の抗議は聞かないことにして。



 ユダ・ジルドレはマルカと霧雁の連携攻撃によって爆発、四散。
 そのままの勢いで彼らは、悪の拠点、万愚悪星に到達する。
 しかし黒姫には稼働限界が訪れようとしていた。

(くっ…仕方ありません…こうなれば戻ることは諦めなければ…)

 覚悟を決めるマルカは、いきなり強制射出される。

「えっ!?」

 宙に投げ出された彼女の目には、一瞬黒姫が笑ったように見えた。
 命なきはずのアーマーが霧雁と並び特攻していく。「くたばれブリキ野郎!」と叫びながら。
 ゴダイオンのパイロットたちも叫ぶ。すごそうな技名を。

「「最!終!剣! 超天戒・打斬眩煌落とし!(ちょうてんかい・うちきりげんこうおとし)」」

 次のページは眩しいほどに真っ白。
 本当に落ちてしまったんだろうかと霧雁は思った。薄れ行く意識の中で。

「光が広がっていくでござる…」

 まだ宙を漂っているマルカは、眉根を寄せる。

(ここは誰かが君はどこに落ちたい? と尋ねる流れでは?)

 一方そのとき地上では。

「やばいっすよ! マルカが落ちてくるっす!」

「何っ! よし、ここは私の夜空の俊足で…!」

「いや、それには及ばないでしょ」

 言うなりロータスが右手を噛んだ。
 一瞬の閃光と共に巨人化し、難無くマルカを受け止める。手のひらで。
 エリカは空いた口が塞がらない。

「ええええ!? 何、何が起きたわけあんたに!?」

「いえ、突然力に目覚めてしまったようで」

 マルカはあるがままに受け止める。

「結婚式を邪魔しようとしたわたくしを救ってくださるとは。負けましたわ。もう結婚式のお邪魔はいたしません。心より祝福させていただきますわ」

「おや、それはどうも」

「待ってマルカ。私考え直したくなってきたんだけど。ニートだけならまだしも、こうなると人外でしょこいつ…」

「大丈夫エリカ様ならやっていけます。そもそもこれはエリカ様の意志の問題ではなく周囲の意志の問題ですから」

「…」

 悪の星とその軍勢が消滅したことにより、暗雲は晴れ虹がかかった。
 絵梨乃が棒読みで言う。

「オオ。地球ハ救ワレタ」

 焔は滝のような涙を流している。空一杯に広がるもふらの微笑みを見て。

「おまんじゅうちゃーん!!」



 きっと余裕がなくなったのだろう。以下のイベントはすべてスナップ写真風の止め絵だった。


*エリカから投げられたブーケをキャッチし、旅立つルンルンとヤッサン。

「よしヤッサン、今度は有り難い運命の王子様を探しに、西へ」

『おう、当たり前だのクラッシャー』


*披露宴の司会をしているフタバの背後に現れる、ゆきちゃん。それを抱きしめるフタバ。

「おかえりなさい」


*相棒を失った悲しみに塞ぎつつ花鍋をつつく焔の前に旅行鞄を持って現れる、小柄の真っ白なもふら。

『ただいまもふ』


*「エリカ自警団」の看板を掲げた事務所を開設する、菫と桐とその手下たち。その隣でパーラーをやり始める絵梨乃と花月とその手下たち。


*草原にいる夜空と早矢。背景の空を飛んでいる黒姫。雲に浮かび上がっている霧雁とジミーと残り4人のパイロットたちの顔。


*ロータスとエリカとその赤ん坊とマルカとアガサ&アリスコンビがいるところに戻ってくる、著しく太ったスーちゃん。

「命の洗濯をしてきたのでち」


*最後はどこだか知れない常夏の海を背景に、ウインクしているレト。


「あたしたちの戦いはこれからさ!!」

 レトのバストショットに大きくかかる文字。

『長い間ご愛読ありがとうございました。次週から新連載、魔法のNINJAルンルンの大冒険、が始まっちゃいます! 情報は次のページに☆』