動画の曙
マスター名:KINUTA
シナリオ形態: ショート
危険
難易度: 普通
参加人数: 5人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2015/02/11 02:01



■オープニング本文

 聖マリアンヌ女学院の女教師オバン先生(独身)といえば、カタケ界で名の知られたBL絵巻作家。
 熱烈なファンを校内外に抱えるその道での有名人。
 得意分野は凌辱とか調教とか、いわゆる鬼畜もの。
 画力の確かさ、ストーリー展開の巧みさ、読むものの腐れ心を熱くせざるを得ない。二次からオリジナルまで手掛ける分野も幅広い。
 しかし才能あふれる人間の常というものか――創作活動が時折脱線するくせがある。



 聖マリアンヌ女学院。『天儀絵巻研究部』の部室。

「オバン先生、原稿はっ? 原稿はどうされたんですかっ? 真っ白ですけど!」

 悲痛な声を背に、オバン先生は一切手をつけていない原稿そっちのけ。ノートをめくって遊んでいる。にやにや笑いながら。

「ふ…ふふ…ふふふふふふふふふ」

 異様な光景に女子部員(女学校だから女子しかいないが)たちは戦慄した。

「まさか先生、また妙な方向にリピドーが向いちゃったとか」

「そ、それって、例の無生物萌え…?」

「きっとそうよ。ノートの端がめくれる姿にパトスを刺激されているんだわ!」

 オバン先生がノート×鉛筆本、机×椅子本、果てはアル=カマル大陸と天儀大陸のドッキング本という狂った果実を次から次へと生み出していた暗黒期のことを思い出した彼女らは、パニックに陥った。

「いやあああ、オバン先生戻ってきて! 美少年描いてください美少年−!」

「それが駄目なら美青年!」

「せめて美中年でもいいからぁ! ケモノでもいいからぁ! 生物に戻ってきてせんせー!」

 オバン先生は手を止めた。

「静かになさいあなたたち! 何事です!」

「だって、オバン先生がまた私たちの知らないところに行ってしまわれて…」

「もう年も年だから今度こそ戻ってこられないかと思って…」

「それがすごく悲しかったんですう。わああ」

「しばくわよあんたたち! 大体私は脱線などしていません! 新しい可能性を追求していただけです!」

 えぐえぐやる部員にオバン先生はノートを見せた。
 ページの隅に美少年が描いてある。
 彼女が親指で押さえながら、端だけを素早くめくると――おお、なんということだろう。少年が服を脱いで行く様がまるで本当に動いているかのように見えるではないか。

「せ、先生、これは…」

「ふふふ。まあいわゆる錯覚という奴ね。あまり早く絵が切り替わるものだから、まるで繋がっているかのように見えてしまうのよ…」

 ノートを閉じたオバン先生は、きらりとその目を光らせた。

「それでね、私考えたの。一編丸々この手法で描いてみたらどうなるだろうって。もちろん漫画形式とは比較にならないほど絵を描かなくちゃいけないから、ほんの短い内容のものしか作れないでしょうけど、でも…試す価値はあると思わない? 想像してご覧なさい、臨場感をもった動きが二次元で見られるのよ…まるで夢のようでしょう! やってみたいと思うでしょう! 最高の思いつきでしょう!」

 女子部員たちは目を見開いた。
 感動の涙が惜しみ無く溢れてくる。

「す、素晴らしい思いつきです先生!」

「やってみたいです私たち!」

「もう一生ついていきます、先生!」

 さあ、話は決まった。後は漫画の題材と作成に要する人員を、どこぞから確保してくるだけだ。





■参加者一覧
羽喰 琥珀(ib3263
12歳・男・志
リィムナ・ピサレット(ib5201
10歳・女・魔
八壁 伏路(ic0499
18歳・男・吟
サライ・バトゥール(ic1447
12歳・男・シ
ノエミ・フィオレラ(ic1463
14歳・女・騎


■リプレイ本文


「へー、こりゃすげーや。よくこんなの思いついたなー」

「オバン先生、これBLに限らず凄い発明だと思うよ!」

 羽喰 琥珀(ib3263)とリィムナ・ピサレット(ib5201)は押し合いへし合いしながら、パラパラ漫画を繰り返し鑑賞していた。
 内容といえば美少年が服を脱いで行くだけという取るに足らないものだが、絵が動いて見えるという現象がすこぶる楽しく興味を引く。
 それが暗示する無限大の可能性について思いを馳せるノエミ・フィオレラ(ic1463)は、感動のあまり涙が止まらなくなった。
 オバン先生の手をひしと両手で握り締める。

「素晴らしい! オバン先生! 私が陛下なら貴女に帝国騎士の称号を与えたいです!」

「ふふふ、ありがとう! 可能なら公費で予算つけてもらいたいくらいね! この方面の開発研究を推し進めるために! 実は校長へ、その件申請しようかと思うのよ!」

 八壁 伏路(ic0499)は夢想する。この動く絵に少年ではなく少女が描かれていればもっと楽しかったろうと。
 さはさりながら彼、特にBLを嫌っているわけではない。なにしろカタケの常習犯。同じ穴の狢として偏見はない。

(教育機関より商業機関に声かけをした方が資金援助してもらえるんじゃなかろうかの。カタケの繁栄を鑑みるに、将来この分野、成長産業とならんでもない気がするが)

 サライ(ic1447)は落ちつかなげに、目だけで部室内部を確認している。
 裸体(♂)の彫像があり衆道絵巻があり天儀に住まう各種族の資料集があり。薄い本が詰まっている棚には、彼の相棒が活躍しているサークル『黒兎の穴』の発行物がてんこもり…。

(凄く悪い予感しかしない)

 危険を察知した黒兎は、わずかでも事態を改善しようと、オバン先生に話しかけた。

「素晴らしい発明だと思います! でも、ここは一般の方々にも鑑賞できる様、BLから離れてみてはいかがでしょう…」

 オバン先生は怪訝な目でサライを見た。困ったように微笑んだ。

「えーと、ごめん、言ってる意味が分からないんだけど」

「…デスヨネー」

 暗い表情のサライをよそに、きゃっきゃと騒がしく部員たちが入ってくる。
 作業に必要なインクだの紙だの絵の具だの、買い込みに行っていたのが、今戻ってきたのである。

「先生お待たせー!」

「わ、もうバイトさん来てるー」

 伏路は彼女らの姦しさを好ましく思い、挨拶する。

「久しいのうジェレゾの女学生ども。今日はよろしゅうの」

「あれ、黒歴史のおっさんも来てたんだ」

「おっさん言うなわしはまだ若い! ピチピチの十代じゃ!」

「妹さんはお元気です?」

 NGワードを耳にした伏路の目に、天井に張り付く妹の姿が映る――もちろん恐怖のあまりの幻覚だ。

「…あれは忘れろ…! わしは新天地に引っ越したのだ、さすがにあやつといえどジルベリアまで追ってはこままままま」

 琥珀はリィムナに尋ねる。

「なあ、伏路どうしたんだ。獅子舞みたいに歯ガチガチやってるぞ」

「フラッシュバックだよ多分。そんなことよりお仕事お仕事。天儀の歴史に名前が残るかも♪ 頑張らなきゃね!」



 製作に取り組む前に決めなければならないのは、何を描くか。
 真っ先に手を挙げ意見を述べたのは、熱意に溢れるノエミとリィムナであった。

「題材は勿論男性開拓者の鬼畜調教物です! 幸いここにも何人かいらっしゃいますので皆さんでお願いしましょう!」

「はいはーい、あたしも同感でえす! 折角素敵な男性開拓者の皆さんがいるので、モデルになってもらうのがいいと思いまーす♪ ね、サライ君♪」

 流そうと思い反応しないでいるサライ。だがリィムナがそれを許してくれるはずもなかった。
 至近距離まで来て床に寝転がり、うつむいている彼の目の前に顔を持ってくる。

「サライ君、覚悟決めようね♪ モデルしてモデル♪」

「いえ遠慮します…」

「…嫌?」

「まあどちらかというと…」

 話し声に聞き耳を立てているオバン先生、ノエミ、そして腐部員たちの視線がとても怖かったが、サライは何とか我を通す。
 リィムナの眉が下がった。

「そっか〜嫌なのか〜」

 床から起き上がった彼女は、がらりと部室の窓を開けた。
 続けて外へ向け、醜聞をばらまき始める。

「皆さーん! サライ君は可愛い顔して年下の女の子がアレコレされまくるカタケ絵巻を沢山部屋に隠し持ってまーす! こないだは−! サライ×リィムナの山芋責め本を食い入る様にー!」

 リィムナの口を塞いだサライは、彼女をそのまま隅っこに連れて行く。髪を激しく乱しながら。

「…分かりました、やればいいんでしょう…」

「…分かってくれた? でもサライ君その年でロリコンてどうかと思うよ?」

「僕はロリコンじゃないです! 年上の女性も大好きですから!」

「えっ、もしかして誰か気になる人、いるの?」

「…いえそういう事じゃなくてっ」

 何事かもめているが、己には関係のない話なので、構わないでおく琥珀。

「なあ、題材は女学院の反対、男子校を舞台にしたらどうだ? 自分たちの学生生活と似た場所が舞台なら、色々と想像膨らませられるんじゃねえの?」

「あ、それいい!」

「やっぱり学園ものは鉄板よね! やりましょうオバン先生!」

「ふふ…題材にとって不足なしね! いいわ、やりましょう――開拓者男子校鬼畜調教ものを!」

 盛り上がる場の背後では、リィムナがサライにじりじり迫っている。

「脱ごうか♪」

「ちょっと待ってくださいその荒縄は何ですか?」

「え? もち緊縛用」

「脱ぐのは嫌ですっ!」

「ねえサライ君、この前は打鞠拳でよくも恥ずかし固めしてくれたよね? あの場にいた人全員にオムツ姿と全裸大開脚姿見られたんだからねっ」

「それはリィムナさんが反則したからでしょう!」

「問答無用逃がさないよっ」

「嫌ーっ!」

 リィムナからひん剥かれるサライを、横目でガン見するノエミ。

「サライ君はOKしてくれたみたいですから、サライ受でいきましょう! いいですか男性陣の方々カップリングしちゃっても!」

 ここで拒否の声が出れば、まだサライも助かる望みがあった。
 だが残る男性陣2人は、カタケの暗黒面に理解があり過ぎた。

「…わしドノーマルなんだが…まあ、絵のモデルが必要とあらばやってもいい。上までなら脱いでもいいで」

「俺も別にいーぜ。どうせ実際にやるわけじゃねえし」

 寛大な言葉にノエミは狂喜した。

「じゃあ、じゃあついでにオランド・ヘンリー氏も! 何やら懇意の仲の様ですし…ああ! うふふっ…ショタぁ…」

 いかがわしい妄想にきゅんきゅんし、よだれを押さえるのに必死だ。

「ではオバン先生、登場人物の設定画を描き起こしてくださいませ。色や形の指定を最初にきっちり決めておけば、誰が描いてもキャラを似せられます。途中で何度も試しに動かしてみましょう。リテイクする事でクオリティを向上させましょう!」

「了解! これはきっと――歴史的大作になるっ!」

(熱い…熱いのぅ)

 伏路は腐女魂の熱気に押されつつ、一抹の懸念を抱く。
 品質を追求しだすときりがなくなる。エンドレスタワーを登るのは勘弁だ。

「あー、待て待て。まずは工程表から作ろうではないか。えーと、コンテというのかの。完成から逆算してページ数を割り出せば、何をどれだけ描いたらいいかがはっきりして、無駄な労力を省けると思うのだ」

 大体意見が出尽くしたところで、リィムナが声高らかに宣言した。

「さ、皆さんたっぷり参考にしてあげて下さい♪」

 やりきった感を滲ませ額の汗を拭う彼女の傍らには、全裸緊縛姿のサライ。もちろん採用しているのは亀甲縛り。
 オバン先生は叫んだ。

「グレート!」

 ノエミは鼻血を吹きそうになった。

「おぷうう!」

 サライは頬を染め上目使いの涙目。口で何と言おうと誘っているとしか見えない。

「うううっ…見ないでくださぁい…」

 そんなものを腐女子がほうっておけるはずがあろうか。

「来なさい私の生徒達よ! フォローミー!」

「皆さんこの機を逃してはいけません! じっくりたっぷり観察しましょう!」

「きゃーっ! 生少年よ生少年!」

「お触り有りよねもちろん!」

 殺到する彼女らによってサライの姿はたちまち見えなくなった。
 とはいえ何をされているのかは、台詞から大体想像出来る。

「ええと…サイズを変えるには…」

「やぁっ、つつかないでぇ! ひっぱちゃらめぇ!」

「こっちはどうなっているのでしょう?」

「そこはっ…!」

「あ、都合よくこんなところにキュウリが転がって…」

「ひぎぃいいいいい!」

 伏路はリィムナに耳打ちする。

「のう、これいいのか?」

「いいんじゃない? 多少羽目外しても高貴な方々のお戯れって事でお咎めなしになるんじゃないかな♪ なんたってこれは純粋なアート活動なんだからね♪」

 そう言って彼女もまた、輪の中に入って行った。

「リィムナさんつつかないで、つつかないでくださいいいい」

「わー、いい反応…ねえノエミ、どうせならもっと色々なアングルから見えるように吊るしてみない?」

「最高に素晴らしいアイデアですねリィムナ様」

「いやああああ」

 黒兎は不憫である。

(すげえなアートって。なんでもありなんだなー)

 間違った観念を得た琥珀は台所へ行く。
 彼は今回、お茶くみや菓子の提供、完成原稿の整理といった雑用をメインにするつもりなのだ。絵はさほど得意な方でないと自覚しているので。

「さーてっと、手が汚れないもんがいいよな。よし、チョコわらび餅作るか」

「なんならわしも手伝おか。コンテに取り掛かるまでまだ時間かかりそうだからの」

「おー、そんなら伏路、わらび粉溶いてくれるか。俺チョコレートの湯煎するから」

 彼らが菓子作りをしている間中、サライの声は聞こえ続けていた。

「もう、好きに題材にしていいですよ…だから解いてください!」

「いけませんわサライ様、我が儘を申されては」

「そうだよノエミの言う通りだよサライ君」

「だって、あの…トイレ…」

「トイレ? ならこれにどうぞ♪」

「わあ、シビンだなんて準備がいいねノエミ♪」

「鬼! あくまー!」



 コリコリかぶらペンを走らせる伏路は不服そうだ。

「…初っ端から出てくるキャラが全員全裸なのだが? しかも背景がほぼシーツの海…」

 隣の席のリィムナは、消しくずを机の下に飛ばす。

「だってそのパートがメインじゃない」

「それはそうなんだがの。だがしかしわしは脱がすまでの過程も重要だと思います!」

 離れた席にいるノエミが、背を伸ばす。

「では、私の担当パートと交替していただけませんか? こちらは背景も小物もちゃんと揃ってますから」

「さよか。じゃあ気分転換にそうしてみようかの」

 軽い気持ちで席変えした伏路は、ノエミの担当原画を確認し大後悔した。

「ぐおおお…SM部屋とは…これ、学園ものじゃないんかい…この三角木馬めっちゃ描きにくそう…」

 だけどやるしかないので、下書きの線をなぞっていく。
 絵巻以上に単純作業の繰り返し。描く。ひたすら描く。疲労とともに能率が落ちてくるのは、これ自然の理。

「あー、目が痛い」

「肩ガチガチ…」

 なんて声が方々から聞こえてきた。
 そこへすかさず琥珀が、茶とお菓子を持って参上。

「皆、一休みしよーぜ。根詰めるばっかりでも手が動かなくなるからよ」

 体力だけでなくやる気も回復させようと、女性陣へのサービスも。
 すっかり燃え尽きたまま、まだ吊られているサライに近づき、親密っぽく耳をがぶり。

「あいったあああ! 何すんですかちょっとお!」

「なんだよ、こういうのが好きなんじゃないのか? さっきまでけっこう楽しそうだったじゃん」

「そっ…あいたたたたたた! 耳に穴が空く−!」

 少年たちが戯れる姿は多感な乙女たち(年齢は関係ない)のモチベーションを急上昇させた。
 彼女たちの手は当社比2・5倍のスピードで動いた。
 しかし伏路の手の動きは変わらなかった。
 BLに偏見はないにしても、嗜好はあくまでノーマルなので。

「うおお…拘束具使い過ぎだ…こんなにいらんだろ…」



 数々の苦難を乗り越え、パラパラ漫画は完成した。



「おお動いておる。感慨深いのう。わしがしたところ口パクだらけだけど」

 真っ赤に血走った目を、しみじみ擦る伏路。
 ここまで来るのは大変だった。なにしろ一枚一枚、同じ背景を描かなければならなかったので。全く途中で何度叫びたい発作に駆られたことか。

(あれなんとかならんかの。一部だけ差し替えてればいいのだが…ん、待てよ。アイズを使えばあるいは…)

 何事か閃いた彼をよそに、琥珀は感想と改善案を述べる。

「出来たものだけでも面白いけど、音も合わさったらもっと面白くなると思うんだー。なんなら俺、横笛で効果音つけてもいいぞ」

 リィムナはそれに大賛成。

「いいね! ね、試しにパラパラに台詞つけてみないサライ君?」

 モデルとして最大級の貢献をし、絞りカスのようになっているサライは、へっと錆びた笑いを浮かべた。

「分かりました、もう何だってやりますよ!」

「そうこなくっちゃ。はい台本♪」

「いつこんなの作ったんですか…まあ、脚本通りに台詞言えばいいんでしょうって殆ど悲鳴と喘ぎじゃないですかああ!」

 画像に声と音がつく…心躍らせるノエミの瞳はキラキラ輝いている。

「あ、私他に居なければ是非是非攻めの声を担当したいですっ!」

 その後サライにとって壮絶な数時間が続いた。
 終わった頃にはモミガラ状態である。

「…これで満足ですか? 僕もう帰りま…」

「モデルはまだ終わりませんよね皆さん♪ それー!」

「いやああ!」

 ノエミと女生徒達に攫われどこか遠くに連れて行かれた彼がその後どうなったかは、想像に任せる。
 作品の完成を見たオバン先生は意気揚々、校長を部室に連れてきた。

「見てください。生徒たちの努力の結晶です! 予算特別枠で増やしてください!」

 試写にはリィムナが協力した。時の蜃気楼を使って。
 ついでなので伏路と琥珀も付き合う。ポップコーン片手に。



『言う事を聞けば許してもらえるんですね? はい…僕、貴方みたいな人、好きですから…』

『それならこの鞭打ちも好きなんだな! この変態小僧め! 教室でおもらしするとは何事だ情けない!』

 バシッビシッ

『あおおおっー! 痛い! ごめんなさい! 痛い! ごめんなさいもう許して下さいぃ!』

『やめてだと、この嘘つきめ! もっとしてほしいんだろう! いやらしい声を出しおって!』

 バシッビシッ

『ふあああっ! 先生っ、僕もうっ…!』




 以上の映像を死んだ目で眺める校長。
 琥珀は言う。

「もっと時間と人増やして沢山絵が描けるよーになれば、もっと面白いもんが見れるよーになるかも。そーなったら楽しいだろーなー。だからさ、資金援助って言うの、聞いてやってくれねえか?」

 対する校長の答えは「有害図書に金など出せるか」であった。


 そらそうだなと伏路は、納得した次第である。