見果てぬ夢を
マスター名:KINUTA
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 易しい
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2015/01/27 02:38



■オープニング本文

 ここのとこ巷間で持て囃される話題といえば、天儀の武帝により開かれし天儀一武道会である。
 各儀から貴賎問わず参加者が集まり、それをはるかに上回る観客が集まり、大盛況だそうだ。
 開拓者ギルドもこの大規模イベントについて、大々的に参加者を募集中。
 こんな御時世にあっては、アヤカシの存在感も薄れてくる。
 確かに危険は危険だが、それはあくまでも個々の問題。世界の命運にかかわるものではない。
 大アヤカシは軒並み去り、護大すらも事実上消滅。さらば瘴気と黄金の日々。栄光は二度と戻らぬ。

 …のだが、その新たな境遇に適応出来ないアヤカシも、いないわけではなかったりする。




「諸君、この世界を魔の森となしアヤカシの天下とする日は近い! 我らは一致団結してアヤカシ共栄圏をなし古代人どもを操りこの忌ま忌ましい天儀を地の底へ叩き落とし、阿鼻叫喚の地獄絵図を哄笑とともに見下ろすのだ! 何も案ずることはない! 我らの後ろには生成姫が、そして護大が控えて…」

 砂漠のど真ん中で時代錯誤な演説をしているのはアヤカシである。
 外見はいかめしい天儀風の鎧。顔部分には真っ暗な闇が広がり、目玉のごとき赤い光がともっている――便宜的にアヤカシ侍とでも呼ぼう。
 彼の前にいるのは4匹のワームだ。目も耳も鼻もないのっぺらぼうの大ミミズだが、一応話は聞けているらしい。うんうん頷く動作をしている。なんとなく頭が悪そうな感じのする動きである。

「そうか、私の話を分かってくれたか。安心したぞ。キミたちのような若アヤカシがいればアヤカシの未来は明るい! うっかり魔法使いに封印され200年…やっと復活してみれば世は軽佻浮薄、アヤカシの義務がなんたるかを説き聞かせても無反応な輩ばかり…これがいわゆるしらけ世代か!」

 アヤカシ侍、世界の情勢をまるで分かってない。
 200年も封印されていたなら当然といえるかもしれないが…復活のタイミングが悪すぎる。これが半年ほど前なら、華々しく大合戦に参加し、彼の語る存在意義をまっとう出来たかも知れないのに。

「我が隊は私を含め5人しかいないが、何も恐れることはない! さあ、共にのうのうと安逸をむさぼっている人間どもを恐怖のずんどこに陥れるのだ! 復活の祝いとしてあの城を血祭りに上げてくれようぞ! ふははははははは!」

 アヤカシ侍が刀で指し示しているのは、砂漠の向こうに見えるきらびやかな明かり。
 そこには城砦都市がある。
 大守の名はナビー・ハール。BL狂いの末娘ステラ・ハールに甘いという欠点を除けばそこそこ有能な大守である。
 なので、砂漠の向こうで騒いでいるアヤカシらの動きはすでに察知ずみ、開拓者も前以て呼んでいる。

「行くぞ、我に続けー!」

 こうして待ち受ける罠に、アヤカシ侍とワームたちは自ら飛び込んで行くのである。
 合掌。




■参加者一覧
羅喉丸(ia0347
22歳・男・泰
无(ib1198
18歳・男・陰
マルカ・アルフォレスタ(ib4596
15歳・女・騎
リンスガルト・ギーベリ(ib5184
10歳・女・泰
リィムナ・ピサレット(ib5201
10歳・女・魔
ユウキ=アルセイフ(ib6332
18歳・男・魔
アルバルク(ib6635
38歳・男・砂
ケイウス=アルカーム(ib7387
23歳・男・吟


■リプレイ本文


 スタンバイしている開拓者たちのもとに、砂を蹴立て突進してくる時代錯誤の一団。
 アヤカシ侍は侍なので、戦いを始めるに当たって名乗りを挙げる。

「我こそはアヤカシ侍! 貴様らを今から恐怖のずんどこに陥れてくれようぞ! 慌てふためき泣き叫ぶがいい! 生成姫もお喜びとなろう! 護大復活の日は近い!」

 城塞都市の門前で待機していた開拓者たちは変な顔をした。
 恐怖のずんどこ云々はアヤカシなら普通の発想だが、その後に続く下りが変。
 羅喉丸(ia0347)はとある疑いを抱く。

(こいつは…もしかして)

 城壁の上、大守の警護をあい勤めているマルカ・アルフォレスタ(ib4596)も、彼と全く同じ疑いを抱いた。

「もし。お尋ねしたいのですが、生成姫とは一体…」

「ふふん、知らぬのか。生成姫とはここよりはるか離れた五行の地におわす神と崇められし高貴なる大アヤカシ!」

「いえ、それは分かっておりますが問題はそこでは…」

「兎にも角にも砂の底に200年封じられて来たりしこの恨み、存分晴らしてくれようぞ!」

 无(ib1198)は相棒と視線を交わす。

「…なるほど、ちょっとした時間旅行ですね」

 ケイウス=アルカーム(ib7387)がアルバルク(ib6635)に小声で尋ねる。

「隊長、どうしようあれ…」

「世の中においてかれたヤツってなあ……世知辛い現実とうまくやってかなきゃならねえのさ…」

 ユウキ=アルセイフ(ib6332)とリンスガルト・ギーベリ(ib5184)、羅喉丸は、かわいそうな人を見る目でアヤカシ侍を眺めた。

「時代の流れは早いからね……。僕も付いて行けてないところがあるから……」

「妙なのが出てきおったのぅ…ともあれ、もう少し早く起きるべきじゃったな」

「何も知らず、封印の中で朽ち果てるのとどちらが幸か」

 リィムナ・ピサレット(ib5201)が盛大に噴き出す。

「古っ♪ 今更生成姫って♪ 大アヤカシなら、あたし達がほとんど倒しちゃったよ♪」

 アヤカシ侍はからから笑った。

「ふふん、負け惜しみなら好きなだけほざけほざけ。うはははは」

 どうも本気にしてないらしい。
 それがリィムナにとっては、また笑いの種。

「あんた達の存在意義ってもう無いね♪ ていうか存在自体終了してる? あははは♪ せめて全力で迎え撃ってあげないとね♪」

 純粋なだけに残酷。それが子供。だからあえて咎める気はない羅喉丸だが、彼女が次に言おうとした台詞は口を塞ぎ止めた。

「ちなみに山喰に止め刺したのはあたし♪ 今生きてるのって天むぐう」

 仮にも部下を率い人語を解する。
 生成姫の配下らしいが本拠地でなくこのアル=カマルに派遣されている。
 封じられていたということは、その当座倒すことが出来なかったということ。
 以上総合して考えるに、上級アヤカシという可能性大。あんなでも。

「天荒黒蝕の存在を教えないほうがいい。軍門に降られでもしたら厄介だ」

 そう説き聞かせる彼に対し、リンスガルトが異を唱える。

「教えたところでたいしたことないと思うがの、妾は。あのアナクロ侍、リィムナの話を信じて無さそうじゃし」

 彼女が言う通り、侍はまだ高笑いしていた。
 見かねたケイウスとユウキが脇から口を出す。

「盛り上がってる所悪いけど、もう生成姫はいないよ? 他の大アヤカシもほとんど倒された。護大も消滅…したのかな、たぶん…とにかく、君の期待するような護大は居ない」

「それだけは確かだから、僕からも言っておくよ。生成姫や大半の大アヤカシ達はもう居なくなってしまって、護大も消滅したよ。生き残ったアヤカシ達も居たんだけど、何処かへ行ってしまったね……」

 しかしアヤカシ侍、まだ信じる様子がない。

「負け惜しみもここまで来ると哀れだな、ふはははは」

 无は筆記用具を使ってゴソゴソし始めた。どんなおばかさんでも分かる紙芝居を作ってやろうと。
 アルバルクはというと、アヤカシ侍から視線をそらしている。

「オウケイケーイ……。おっさんはワームの警戒しとこうかね」

 マルカは大守と何事か話し合い、一旦引っ込み、ステラ姫を連れ戻ってきた。
 そして、アヤカシ侍を指さす。

「ステラ様、抜き打ちテストですわ。あそこにいる侍に現在の世界情勢を説明して差し上げてください」

「な、なんじゃいきなり。わらわは勉強で忙しいのじゃ!」

「…本当にちゃんとお勉強されていますかしら? わたくしがお部屋に入ったとき、机の下に薄い本を突っ込んでおられましたわよね? 万が一にも趣味にかまけて勉学をおろそかになされてはいないでしょうけれど、出来なければ後でお尻百叩きですわね」

「なっ、なんじゃとお、一体そちに何の権限があって…」

 続けようとしたが相手の目だけが笑ってないことに気づき、止めるステラ姫。
 リィムナは彼女に手を振る。

「ステラちゃんやっほ〜♪」

 荷物入れから取りいだしたるは薄い本。

「説明が上手く出来たらこの前カタケで入手した新刊あげる♪ メヒ・ジェフゥティ×ジャウアド・ハッジのハード調教もので、全編筋肉と髭まみれ。毛穴から獣じみた雄の――」

 リンスガルトはリィムナの手から、それを取り上げる。

「また汝はそんな本を仕事場に持ってきおったのか……後で仕置きが必要じゃな」

「ちょっとリンスちゃん! 返してよー!」

「まあ待て待て。うーん、けしからん。実にけしからん。メヒをこうも鬼畜キャラにしおって全くけしからん」

 読み耽り始めるリンスガルトの独り言に、触発されたわけでもあるまいが、ステラ姫は歴史の説明をし始めた。

「聞くがよいアヤカシ! 生成姫は確かに死んだぞえ! 今を去る事2年前、奴は全天儀より自分好みのロリショタを集めハーレムを作りお母様プレイに浸りウハウハしておった! そこに一計を案じた開拓者の美少年部隊が潜入し数々の華麗な絵巻を繰り広げっ」

 横にいたマルカがステラ姫の後頭部をはたいた。
 アルバルクが髭だらけの頬を掻く。

「姫さん、間違った知識を間違った書物で覚えちまったようだな」

「そお? 前半大体合ってない?」

 リィムナの言はさておき、こりゃ駄目だと見たのだろう、マルカが続けて説明する。

「失礼。わたくしから言い直しますわ。1013年の4月、五行連合軍、及び開拓者ギルドによって倒されし生成姫は護大に吸収合併され消滅。その護大は翌1014年の11月に消失いたしました――そして今は、1015年の1月でございます」

 无は彼女の話に合わせ、即興で作った自作紙芝居をめくっている。

「ちなみに地上世界とも交流が始まりつつありますわね。嵐の壁も一角が破れ、今ではお互い自由に行き来出来るようになっておりますので」

 そこへもって更に、リィムナが付け加える。

「ていうかさ、何かそれらしい話仲間から聞かなかった? 起きた後で」

 アヤカシ侍はしばし無言でいた。多分今聞いた話と、目が覚めてからのことを考え併せているのだろう。
 がくっとその膝が折れる。

「う、ウソぉお…」

 残酷な現実が強い衝撃を与えたようだ。微妙にアヤカシ侍の体が透けて来た。
 …このままほっといたら、勝手に消滅するのでなかろうか。
 ケイウスは彼に発破をかける。同情はするが慰めはしない。そんなことは、この相手も望んでいないはずだと思って。

「…ねぇ、落ち込んでる場合じゃないんじゃない? 目の前に人がいるならやる事はひとつ、だよね」

 リンスガルトもそれに協力する腹積もりで、こそっとアヤカシ侍に耳打ちする。
 されば相手は、急に生気を取り戻した。

「なら…まだ再起の余地はある!」

 羅喉丸は慌ててリンスガルトの袖を引っ張り、問いただす。

「おい、今何を言ったんだ」

「いや、首尾よく我等を倒せれば、生き残りの大アヤカシのところに行けるかもしれぬぞー?等呟いてみただけでの」

「天荒黒蝕のことを教えたのか!?」

 絶句する羅喉丸の肩を、アルバルクが叩く。

「ま、いいじゃねえか。いずれ分かっちまうことだからよ」

 リィムナもその意見には賛成。

「そうだよ。どうせやっつけるんだから一緒一緒。戦ってみればあたし達が数々の大アヤカシを葬るだけの力があるって分かるでしょ、向こうにも」

 无がエペタムと小狐丸を抜く。アヤカシ侍の殺気が膨れ上がってくるのを感じて。

「見たところきみは、二刀流を操る様子。稽古をつけて貰えますか?」

「よかろう。首が肩から落ちるまでの間ならな」

「…200年前というのは、どんな時代でしたか?」

「…説明するまでもなかろう。これから天儀は再びその時に戻るのだからな!」

 火花が上がった。喉笛すれすれで、対になった刃が対になった刃と噛み合う。
 ほんの一秒反応が遅れていたら首が転がり落ちていたはずだ。
 无は内心舌を巻く。

(速っ…)

 力押しでいったん離れる。手の甲に一撃を食らいつつも。
 その様を目の当たりにした羅喉丸は両眼を細める。本気の顔だ。

「せめて最高の技で応えよう」

 後方から肉薄し、レーヴァテインで斬りかかる。
 肉厚の刃を薄刃が受け止め、弾く。そのまま動きを止めず流れるように弧を描く。
 剃刀のごとき風圧が羅喉丸の体を切り裂き血を噴き出させた。
 だが彼は顔色ひとつ変えず、打ち合う。
 ユウキが助太刀に入った。

「あなたは200年間封印されていたアヤカシなんだって? 僕は仲間の中で最弱の部類に入るけど……。全力で相手にしてあげるよ……!」

 砂の中から無数の蔓が飛び出し、アヤカシ侍目がけて襲いかかる。
 二刀流が唸った。

「笑止!」

 一瞬で蔓がバラバラになる。
 ユウキは砂地に飛び込み転がる。
 彼がいた場所を通り過ぎた刃の軌跡は質量を持ったまま伸びていき、城壁の壁をうがつ。
 避けたつもりが避け切れていなかったのだろう、ユウキの肩口が裂け赤く滲む。

「ぐっ…」

 彼はさらに後退し、サイレントワスプの引き金を引く。
 撃った弾は空中で切り裂かれ四散する。
 羅喉丸の読みどおり、アヤカシ侍は確かに強い。
 即席部下であるワームたちは、目覚ましい大将の働きに勇気づけられ、動き始めた。頭から砂に潜り、行方をくらます。
 ケイウスは詩聖の竪琴をかき鳴らしつつ、耳を済ませる。
 地の下を進む音がはっきり聞こえてきた。

「来るよ、右左に分かれて同時に! あとの2匹真下から!」

「アイサー!」

 リィムナは予測地点で待ち受け、飛び出してきたところ一気に叩く。

「ヒュウウッシャオッ!」

 ちびっこ巫女の手刀で金太郎飴にされるワーム。

「ただでかいだけのミミズなど、妾の相手ではないわっ!」

 リンスガルトの秋水清光で斜め切りされるワーム。

「そこをおどきなさい!」

 マルカのグラーシーザで塩にされるワーム。

「でけえってなあ始末に終えねえが、狙いやすくもあるな」

 アルバルクから宝珠銃『軍人』の的にされるワーム。
 魂よ原初に還れを伴奏に、4匹が4匹ともあっと言う間に塵となる。
 城壁の上の大守は、ほっと胸をなでおろした。ぶつかってこられて壁が崩れでもしたらと、ひやひや通しだったのだ。
 一騎当千の武者振りを見せつけていたアヤカシ侍は嘆く。

「なにをしとるかお前たち、誰が勝手に瘴気に返っていいと言った! 弱すぎだろう!」

「それは違うな」

 羅喉丸はレーヴァテインを投げ捨てた。拳を胸の前にし、構えた。
 衝撃波が砂を巻き上げ周囲にあるもの全てにぶち当たる。

「彼らが弱過ぎるのではなく、俺たちが強すぎるんだ!」

 アヤカシ侍の腹に当たった拳は、突き上げによって更にめり込む。
 鎧が内側から砕けた。
 そこにあるのは闇ばかり。実体あるものは何も無い。

「ぐおっ…き、貴様…」

 羅喉丸は立っていられなくなり、膝から崩れ落ちる。
 アヤカシ侍は踏みとどまった。砕かれた箇所から瘴気が漏れ出すのもかまわず、続いて突っ込んできたリンスガルトの秋水清光を受け止める。

「インd…いや泰の山奥で修業した成果を見せてやるぞよ!」

 ぶつかり合い弾きあう刃と刃。
 そこにリィムナの蹴りと突きが加わる。

「義により助太刀ぃ!」

「猪口才な!」

 振り下ろされた白刃を白刃取り。渾身の力で倒して行くリィムナ。

「ぬぎぎぎぎぎぎぎ喝!」

 刀の先が曲がると同時に離脱し、体勢を立て直す。
 黒光りする鎧の背に、マルカのグラーシーザが襲いかかった。

「せめて全力でお相手いたしますわ!」

 アヤカシ侍は振り向き逆手で槍の切っ先を防ごうとしたが、曲がったそれは思った通りの効果を発揮しなかった。軌道が逸れはしたものの、やはり当たる。
 无が機を逃さず切り込んだ。

「隙あり!」

 刀と共に片腕が飛んだ。
 ユウキがアイシスケイラルを撃ち込む。
 経過を眺めていたアルバルクは、肩をそびやかした。

「しっかし、今更合戦てのも流行らねえぜ…ま、年寄りってのは頭固いからね――え?」

 おっさんは口をつぐんだ。
 リィムナとリンスガルトがいきなり尻をからげ、蜜蜂ぱんつをあらわにしたので。

「行くよリンスちゃん!」

「おお! 食らえ妾たちの必殺技!」

「「ダブルお尻アターック!」」

 それは、名前通りの技だった。
 少女たちのぱんつについた針から、膨大な練力が放出される。

「ぐっ、ぐおおっ、あ、あと1年早ければっ…」

 悔しげな言葉を残し、アヤカシ侍もまたワームたちの後を追った。

「安らかに眠るがよい…」

「あんたも強かったよ♪ バイバイ」

 ユウキは薄れて行く瘴気に手を合わせる。

(もう少しましな消え方をしたかっただろうに…)

 マルカは哀しげにかぶりを振った。

「これが兵どもが夢の跡というものでしょうか…」

 城壁に目を向ければ、ケイウスの声かけにふんぞりかえるステラ姫の姿。

「おーいお姫様、大丈夫?」

「うんむ、なんのことはなかったぞよ。そなたらの働きほめて遣わすのじゃ」

 マルカ、思わずにっこり。

「約束を履行しないといけませんわね」

 そこに无も参加した。

「臨時ですが、指南役になりましょう。姫様には歴史と常識。ついでに人文と数学と理科の知識が入り用なようですし」

 会話にアルバルクが横入りしてくる。

「最近の事は俺もよくわかってねえからな、ついでにレクチャーしてくれ」

 して、リィムナが反応。

「いいよ♪ カタケで最近沸騰してるジャンルとCP教えてあげる♪ 今ね、ガチムチがすごく熱いんだ!」

「あ、いや。んな男の世界情報はいらねえ…」

 リンスガルトはまだまだ喋る気満々なリィムナを、ひょいと持ち上げる。

「リィムナよ、あのような本を買うと言う事はそういう願望があるのであろう…お仕置きじゃ」

 熱っぽい囁きは、リィムナの頬に火をともした。

「リンスちゃんてば…。うん…好きにして」

「ふははは!しばらく会っておらぬから辛抱たまらぬのじゃー!」

 世界は恋する2人のために。
 リィムナを確保したリンスガルトは一目散、町の中へ駆けて行く。
 そこから先は彼女たちだけのお話。
 とりあえずケイウスとユウキは、精根尽きている羅喉丸に肩を貸すのに、忙しいのであった。