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■開拓者活動絵巻 |
■オープニング本文 ※このシナリオは初夢シナリオです。オープニングは架空のものであり、ゲームの世界観に一切影響を与えません。 ※このシナリオは、シナリオリクエストにより承っております。 注意※(このシナリオは、夢です) 冬は太りがちな季節である。 寒さゆえ外に出たくなくなる。家の中でもコタツに入り浸り、移動がおっくうになる。 立つのはトイレに行くときだけ。手の届く範囲にみかんや漫画や菓子など配置し、一日中ごろごろ。たまにうたた寝。 その繰り返しでふと気づくと、なんとなーく顎の線がたるみ、腹の肉が増し、体重計に乗ってみれば案の定。 いやでも私デブじゃないしちょいぽちゃだしと、動揺をひた隠し己を誤魔化す。 そんな女性が世に多ければこそ、このようなアヤカシが生まれるのである。 オ〜セ〜チ〜 オ〜モ〜チ〜 おせちの重箱に手足が生えたもの、及び餅に手足が生えたもの。 双方大きさは原寸大。弱そうだし実際弱い。 しかし彼らには何よりも恐るべき力があった。 それは――魅了。 ● 「うおおおおお、どういうことだこりゃあ!」 開拓者たちは我が目を疑った。町中の人々が誰も彼もブタのように太り、ブタのように食っている。おせちを。 一体何が起きたのか。 情報を得ようとギルド支店に駆け込んで受付に尋ねようとしたが、普段はスマートな娘さんであるその人は、今大関脇。 コタツに入り寝転がって下らぬバラエティ番組を眺め、餅を食い続けている。 お腹を締め付けないゴムのたるんだジャージ姿。脇腹をぼりぼり。 どこから見ても怠惰なデブ。 「こ、これは…ん?」 よく見たら食われている餅に手足が生えている。 「…あれ?」 もう一度町に出て周囲を確かめれば、おせちにも手足。 これはもしかしなくてもアヤカシ。 開拓者たちは悟った。こいつらを退治しさえすれば、この人類デブ化現象が収まるのだと。 いざいかん世界の危機を救うために。 次々武器を手に取り挑もうとした所に、突然大きな障害が立ちはだかった。 それは…おせちアヤカシと餅アヤカシによる魅了攻撃。 「…なんかうまそうだな、あいつら」 あいつらを食えば必ずデブになる。 デブになるが食いたい。 ちょっとだけなら食べても大丈夫なんじゃないか? だってほら、俺たち開拓者だし新陳代謝活発だし。 |
■参加者一覧 / 无(ib1198) / リィムナ・ピサレット(ib5201) / エクレール・カーリム(ib9362) / 雁久良 霧依(ib9706) / サンシィヴル(ic1230) / 西壁 翡翠(ic1609) |
■リプレイ本文 正視出来ない惨状も、視点を変えればまるで違って見えるもの。 少なくともぽっちゃり系女子大好きなエクレール・カーリム(ib9362)にとって、肥満体が巷にあふれるこの状況は、歓迎すべきものである。 「町中がお肉な娘だらけ…天国かしら?」 同行者である西壁 翡翠(ic1609)はエクレールの相棒甲龍、雪祭り磁気三郎に横目を向ける。 グオッフウ… げっぷしている巨大な羽二重餅。どんなに羽ばたいても飛べそうにない。もっとも飛ぶ気自体、さらさらなさそうだ。地面に寝そべりおせちを重箱ごとむっちゃらむっちゃらやっている。 己の相棒駿龍も、それと寸分変わらぬ有り様。 飛べない龍はただのワニ――そんな警句が脳裏に閃いて消える。 「…………。ん…女の子の敵ってやつかな? エクレールさん、どうしよう」 「そうね…投網をつかって一気にかき集めて…一網打尽よ! 一体ずつ潰して行くのも時間がかかりそうだから!」 抜群にいい腰のキレで網を投げ、広げるエクレール。 餅アヤカシもおせちアヤカシも、あっさり捕獲された――彼らにはそもそも逃げる必要などない。捕まってからが本領発揮なのだ。 (えーと、これをぷちぷちすればいいのかな?) 翡翠は試しにきなこのついた餅アヤカシをつついてみた。 途端に弾けて消える。 激弱だ。この分なら、時間はかかるかもしれないが退治は難しくないだろう。 翡翠がそう見込んだ矢先、エクレールが歓喜に満ちた叫びを上げた。 「なにこれすっごく美味しいわ! もっともっと食べさせて!」 彼女は口の回りにいっぱいあんこをつけ、餅アヤカシを食っている。 チャイナ服がぱつぱつになりかけているのは絶対気のせいではない。 「ほら翡翠も食べてみて?」 「え、食べてみろって?」 翡翠は少々ボーっとした子なので、素早く仕掛けられた口移し攻撃を避けるに至らなかった。 砂糖醤油の甘辛さが舌に乗せられた途端、やすやす魅了にかけられてしまう。 「じゃあ一口だけなら……おいしい。あ、服がキツく…でももう一口だけ…」 食べるごとに飢餓感は募っていく。 服の縫い目が引きつれ始めた。ボタンが弾けファスナーが壊れ、布が裂ける。 縦横無尽にはみ出すぷよぷよの肉、肉、更に肉。 体ばかりでなく顔も肥大化し、まるでパンケーキのよう。 无(ib1198)は彼女らの変貌ぶりに戦慄を覚え、冷や汗を拭う。 (…お、恐ろしい…アヤカシ化といっても過言ではない変わりようだ…私はああいうふうにはならない、ならないぞ! デブ化だけは断固拒否する!) 十六夜状態で強く決意を固めたところで、相棒玉狐天のナイが自分から離れ、アヤカシに近寄って行っているのを発見する。 「待つんだナイ! よし落ち着け…落ち着け!」 首根っこを押さえられたナイは、滅多にないことだが喋った。 『ココノトコロ、マイニチマイニチカ口リ一メイ卜…モウイヤダ。オイシイモノタベタイ、タベタイ!』 「くっ…その気持ちはよく分かる。確かにここのところ私たちは、年末の書類仕事で碌なものを食べてない…だが、アレは駄目だ! アレを食ったら諸々を失うことになるんだぞ! この仕事が終わったらまともなおせちにありつけるようにするから!」 『モウガマンデキ…』 「待て、待てー!」 よだれが止まらぬままテケテケ短い足で駆けて行くナイ。追う无。 混迷の度を深めつつある現場に相棒滑空艇カリグラマシーンを駆り、黒ビキニにマント姿の雁久良 霧依(ib9706)が、馳せ参じる。 「アヤカシが出たと聞いてきたのだけれど…」 言葉を切った彼女は改めて周囲を見回し、その場に座り込む。 「おいしそうね♪ 少しなら平気よね♪」 理性が誘惑に負けるのが、あまりにも早過ぎた。 たださえ紐のようなビキニが周囲の面積の拡大に従い、ますます紐になっていく。しまいに伸び切ったゴムとして切れる。 サンシィヴル(ic1230)は目も当てられない光景について、淡々と感想を述べた。 「怠けたりとか、太ったり…なんていうのはとても人間的ね」 からくりである彼女には、休息も食事もさして必要ない。従ってこの手の攻撃には耐性がある。なので脇道にそれる事なく、クロスボウで狙い撃ちを続けられる。 だが相棒猫又のミネットは別。食欲に負け餅をむさぼった揚げ句、体はまるで土管のよう。 「ミネット、あなたも働いてください」 返事として尻尾で地面を叩くことすらしない。背中を向け転がっているだけ。 「……」 再度エクレールたちの方に目を向ければ、エクレールのむっちり豊満ボディは、豊満という段階をぶっちぎりで通り越し過重過剰過積載。豚さえも恐れをなしひれ伏すだろう身動き不可な超肥満肉塊状態に陥っていた。 何という広い背中。そして何という二の腕、脇腹。お尻。 チャイナ服は襤褸雑巾化し体を覆う役割を果たしていないが、脂肪がその代わりをあい務めてくれている。 突き出した顎肉の下にある爆乳は肥大化しすぎて丸々とした腹肉に覆いかぶさり、その腹肉は腿を覆い――怒涛の視覚三段攻撃。 首? とうの昔に消滅している。 「うぷぅ…はぁ…はぁ…私の体…こんなに太っちゃったのにもっと食べたいの…翡翠と一緒にもっともっともっと…!」 彼女の腹肉に埋まり一体化しそうになっているのが、貧乳細見少女だった翡翠。 こちらも脂肪を無理やり限界以上に詰め込まれ、服はパッツンパッツンぎっちぎちビリビリのボロボロ。巨大風船の様に超々肥満化。 知り合いが見ても、多分彼女と分からないであろう。 「…く、苦しい…けど食べるのやめられないね。もうずっとこのままでいいや…」 (…太ると人間は声が野太くなるのですね) 新たな知識を得たサンシィヴルは、なにやらアヤカシに興味がわいてきた。 「そんなに美味しいのかしら…」 近づいてきたピザ餅を一口。 続いてあん、醤油、きなこ、海苔。 「うーん、何故だか体がアヤカシを食べる事を求めてる! これが美味しいって感情なのかしらね」 腹が地面に擦れ動けなくなった(または動きたくなくなった)ナイをどうにか回収した无は、息を飲む。 「ばっ、馬鹿な…サンシィヴルさんはカラクリなのに太るなんてそんな、有り得ない…」 有り得ないといっても実際問題サンシィヴルの体は膨らんでいっている。 お尻をつけぺたんと座り込み、際限なくもぐもぐ。 「贅肉がどんどん付いてるけど、どうだっていいのよ」 更にむしゃむしゃ。 「早くおかわりを寄越して頂戴!」 続けてがつがつ。 もう誰も彼女を止められない。 みし…みし…。 不吉なきしみ音がしてきた。 无は怖々そちらを向いてみる。 エクレールと翡翠の体重に負け地面が陥没していく所だった。それにより周辺の建物までも傾き、耐え切れなくなったものから倒壊していく。 まさに生ける兵器。彼女らの体は完全に球だ。人間がここまで太ることが可能だとは護大様でもご存じあるまい。 「あ〜息をするのも面倒くさいわ〜」 怠惰な台詞を吐いている霧依もこれまた球体。かき餅を手にテレビを見ている。 ここでようやく空からリィムナ・ピサレット(ib5201)が、相棒滑空艇・改弐式のマッキSIに乗り駆けつけてきた。口の周囲に大量の食べかすをつけて。 「みんなごめーん! ちょっとおせちつまみ食いしててー」 黒タンクトップの下から白いおぱんつをちらつかせつつ、現場に乗り込んだリィムナは、目を丸くする。 「こ、これは…! 町がひでぶうさんで一杯だー!」 現在空腹状態にない彼女には、アヤカシ自慢の魅了もかかりにくい。おまけに戒心発も発動したものだから、ますます抵抗力が強くなる。 「ふふん。あたしに魅了は効かないよ♪」 と豪語し、『外道祈祷書』の角でアヤカシたちをパンパン叩き潰していく。 ついでに周囲へ呼びかける。 「みんなしっかり! 正気に戻って! このままじゃ人二本足の豚として一生を送ることになるんだよ!」 既に取り返しがつかないことになっている人々には忠告も馬耳東風。相変わらず食っちゃ寝している。 正直後ろ姿ではもう誰が誰だか見分けがつかない。男女の区別すらあやしくなってくる。どいつもこいつも肉団子――人類はデブ化すると皆兄弟になるのだ。 全員動かずどいてくれないので、リィムナは彼らを踏み付け飛び越え移動する。 そして、横に広がった背に海苔のように張り付いているマントを見つける。 「ん? あれは…」 念のため接近し前に回ってみて、驚愕する。 もりもり盛られた肉で大分分かりづらくなっているが、これは…紛れも無く霧依。 「…霧依さんが真ん丸になってる! あはは、すごーい!」 負の劇的変化を嘆くより面白がるリィムナ。むっちむちなお肉に引かれ、体中もみもみし始める。 「うわー、ぷよぷよして気持ちいい♪ 体中おっぱいになったみたい♪ やわらかーい♪」 文字通りの肉布団を堪能するリィムナを、霧依はほとんど認識していなかった。何か目の前をうろちょろしているものがいるなー、という程度の反応しかしない。 頭の働きがそれほど不活発になっているのだ。 「あははー、弾む弾むー♪」 だが食欲だけは健在。 (あら…美味しそうなお餅ね♪) お腹をトランポリンにし遊んでいるリィムナのパンツを下ろし、足にしがみ付いて引き倒し。 「うわぁ! 霧依さんなにす」 「ん〜♪」 捕食。 「って…あぎゃあああ!」 お尻に思い切り噛みつかれたリィムナは大暴れした。甘噛みとかいう生易しいものではない。本気で肉を取りに来ている噛み方だ。 「痛い痛い! 霧依さん正気に戻ってぇ!」 人が人でいられなくなる有り様を目にした无は、なお危機感を募らせた。 近寄ってくるあんころ餅、ずんだ餅、よもぎ餅を魔刀エペタムで切り伏せ、たたき伏せ、潰していく。 「誘惑がきつい…だがデブ化は嫌だ…デブ化だけはーっ! 食うなナイ、食うんじゃないっ!」 これ以上相棒が丸まるのを防ぐため、狐獣人変化を試みる。 が、ナイはすでに骨の髄まで食欲の権化と成り果てていた。変わらずおせちをかきこみ始める。 「こら止めろ! ナイっ! ナイーっ!」 万策尽きた无の頭に、逆転の発想が浮かんだのはそのときだ。 (はっ…待てよ。逆に考えるんだ。十六夜の非物理攻撃作用を咀嚼と出来るなら…捕食イコール攻撃に変換出来なくもないんじゃないのか!) 半分やけくそに近い理論だが、外に適当な方法も無さそう。 「…いいだろう。さあ、かかってくるがいいアヤカシども! 1匹残らず消滅させてやろうじゃないか!」 かくして无は覚悟を決め、自体を犠牲にアヤカシ殲滅へと乗り出した。 はた目にはどか食いを始めただけに見える。アヤカシによるデブ化と十六夜による瘴気の消滅と、一進一退。肉が付いたりまた減ったり忙しい。 ところでリィムナは放置されたままである。このままだと本気で尻が食われるかもしれない。 切羽詰まった彼女は最終手段に出た。 「こうなったら…!」 逃げるのではなくむしろ後退し、尻を相手の鼻に押し付け、そのまま盛大に一発。 ブウオッホ! 「…!?」 直に食らった霧依は、腐った韮と硫黄と豚小屋臭のブレンドの様な激臭により覚醒した。 「これは…リィムナちゃんのおならね♪」 「よかった霧依さん、正気に戻ったんだね!」 「ええ。どうやらそのようね…あら、リィムナちゃんおもらししちゃったの?」 「うん、霧依さんの攻撃が痛くてちびっちゃった…で、でも、おむつの替え持ってきてるから問題なしだよ! 一気にやっつけるよ!」 「…そうね、やっつけちゃいましょ♪」 霧依は起き上がり、デリタ・バウ=ラングル。リィムナは魂よ原初に帰れ。 雷を背景に、少女と鏡餅女のシルエットが浮かぶ。 人を惑わすおせちとおもちが次々に弾けていく。 ところでリィムナのおならは風に乗り拡散していた。 耐性のない一般人がその猛烈な芳香により、多数気絶していた。 「あっ、ごめーんみんな」 途中でそれに気づいたリィムナは、アヤカシを倒しついで、安らぎの子守歌で治癒していく。 それはそれとして瘴気級のガス攻撃は、ちょうど風下にいたエクレール、翡翠も直撃してした。 「うぐふっ!?」 「くっ、くっさ…」 息を詰まらせ咳き込むことで、彼女らもようやく我に返る。 そして地面をめり込ませている我と我が身の状態を自覚する。 「な、何これぇ!」 「た、立てないぃ!」 延々太り続けたせいで、手足が地面に届かない。落ちているニードルウィップも見習いの杖も拾えない。 エクレールは愕然とし、絶叫する。 「嫌ぁああああ!」 ● 「はっ!?」 ガバと起きたエクレールは、外が既に明るくなっているのを知った。 壁のカレンダーは…1月1日。 恐る恐る自分の体を見下ろせばいつも通り。 「なんだ、夢か…そりゃそうよね。私があれだけデブるとか、天地神明に誓ってあり得ないわ」 あははと軽く笑ってすませたところで、玄関チャイムが鳴った。 出てみれば年始挨拶に来た翡翠。 「明けましておめでとうございますー」 「あ、おめでとうー。今年もよろしく。上がって上がって。いやー、年の瀬になんだか変な夢見ちゃって」 「そうなんですかー。奇遇です、実はボクも…」 しばらく話し込んだ後2人は、冗談で体重を量ってみ、僅かながら増加していた事を知るのである。 サンシィヴルは顔を上げた。 外は晴である。朝である。1月1日の。 「…今のは夢?………奇妙な夢だった気がするわ」 独り言を呟き、猫ハウスで丸まっている相棒に話しかける。 「ねえミネット、美味しい物って体が膨れ上がってまで食べたいものなの?」 ミネットは片目を開け言った。 『初朝ごはんなんだから、豪華にして。マグロチョーダイ』 サンシィヴルは静かに猫缶を差し出す。 不服そうな顔をする相棒へ、忠告。 「食べ過ぎは肥満の元、肥満は万病の元ですよ」 「滅せよ、ひでぶうアヤカシ!……………はっ!」 起きたリィムナが真っ先に目にしたのは、隣に寝ている霧依。 手を広げたり握ったりした後、頭をかきながら起き上がる。 「夢か…うう、お尻めちゃ痛かった…」 と言ったところ、ひんやりした感触がお尻に。 「!?」 慌てて上布団をめくってみれば、見事な天儀地図。 「ま、まずい…あっそうだ、近所の犬連れてきてベッドに入れてこれのせいだと言えばいいんじゃないかな?」 姑息な隠蔽工作が実現化することはなかった。 ベッドから逃げようとする足を、霧依の手が掴んできたのである。 「ひっ! あ、あはは、起きてたんだ霧依さん。あけましておめでとう♪」 微笑みでごまかそうとするリィムナに霧依も微笑んだ。 「…お尻痛かったの、正夢ね♪」 「え…」 新年早々、恒例のお尻叩きが始まる。 「さあ、初叩きだからたっぷりと♪」 「ひきゃああああああ!!」 「あれね、煩悩の数だけはきっちり叩かないと♪」 「うわああん! ごめんなさーい!」 「仕上げに、行く年を偲んで三角木馬責めしてあげるわね♪ ああん最高♪」 「そんなー! うえええん!」 「いただきます」 无は重箱を前に手を合わせる。 その隣でナイも、短い前足を合わせる仕草をする。 蓋を開けてみれば伊勢エビ、黒豆、卵焼き、くりきんとん、昆布巻き、かまぼこ、牛肉のゴボウ巻き、ローストビーフ等々が姿を現した。 主人相棒とも感激した表情で顔を見合わせ、頷きあう。 「じゃあ食べるか。いやあ、正月っていいもんだな」 確かにそうだ。 「いやああああ、木馬はいやああああああ」 どこか遠くから泣き声が聞こえてくるが、正月とはまことにいいものだ。 |