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■オープニング本文 「うーん‥‥ やっぱり見た目かしら?」 後は勘ねと答えた西渦(iz0072)は、口にした内容に反して表情も口調も固かった。受付を挟んで立つ実祝(iz0120)はと言えば、頬を掻きつつ苦笑い。 「そうだよね。そうそう美味しい話、ある訳無いもんね」 お騒がせしました、とそのまま開拓者ギルドを出て行こうとするが、後ろから半纏の首根っこの辺りを掴まれて息を詰まらせる。 「って、話は最後まで聞く! 物事慌てたって、良いこと一つも無いのよ?」 非難の口火を切ろうとする実祝の鼻先を指で突いて黙らせると。西渦は早速貰った土産を気前良く同僚に配り、結夏さん来たら声掛けてくれるかなと伝言まで頼み。目を白黒させたままの実祝を相談席の一角に連れ込むのだった。 土産の柚子練りをお茶請けに、再開した話題は「アヤカシの見分け方」についてだった。巫女の修行中である実祝は『瘴索結界』を覚えたものの、それを上手く使いこなせないのだという。勿論覚え立てということもあるに違いないが、瘴気なら何にでも反応するというのが『怖い』とも零す。 「だって、神社仏閣でもない限り『瘴気が全く無い』場所なんて稀でしょ? それなのにただの瘴気かアヤカシかが区別できないなんて、心臓に悪いよ」 最近の依頼で何かしら思うところがあったらしいが、開拓者の『符』にすら反応するのはどうかと思うと実祝は憤慨している。それが不安の裏返しと見当を付けつつも口には出さず、西渦は別の事を考えていた。 (「アヤカシと人の関係は結局『食うか食われる』か、なのよね。例え追い払っても、それは別の何処かで他の獲物を狙い続けるだけの事」) 相対すれば、どちらかが生き残るための戦いになることは間違いない。そこで先手を取れるかどうかが重要だということは、これまで関わって来た依頼から明らかだった。 そしてそれは、アヤカシ側でも同じに違いない。最近では石像どころか地面といった自然物にまで擬態するアヤカシが確認されているし、石化した開拓者が絡んでややこしい事態になった依頼もあった。実祝の心配は杞憂に過ぎないとしても、事態を放置するのは危険な気がする。 「知識と経験が必要なのは前提だと思うわ。だから一般人でもギルド職員になれる訳だし、相談役や依頼調役がいるのも同じ」 だからあなたはあなたで経験を積む必要はあるのと、実祝の目を覗き込むように続ける。 「けれど、他に手があるなら、出来るだけ早く、それも多く打つべきだわ」 真剣な表情から一転、にやりと笑みを浮かべる西渦に、戸惑う様子で実祝は返す。 「実戦を経験しなさいってこと? それとも‥‥ うーん、術の改良って言っても氏族とか修練場につても無いし‥‥」 「聞いた話を代え難い経験にする事は出来るし、そういう話を出来る人ならたくさんいるじゃない!」 呆気に取られる実祝を前に、西渦はただしと条件を追加する。 「必要経費は計上するけど、きちんとした成果を出すことね。机上の空論は許可しないので、その心算で。まずは‥‥『瘴索結界』と『心眼』辺りを手始めにしましょうか。それから、場所は‥‥ この季節、氷屋さんて忙しい?」 ううん、多分大丈夫、と今一つ話の流れに着いて行けなかった実祝がもごもご小さい声で答えると。丁度結夏(iz0039)が顔を出し、そのまま依頼について詳細を詰めることになったのだった。 |
■参加者一覧
朝比奈 空(ia0086)
21歳・女・魔
恵皇(ia0150)
25歳・男・泰
犬神・彼方(ia0218)
25歳・女・陰
斑鳩(ia1002)
19歳・女・巫
ルオウ(ia2445)
14歳・男・サ
水月(ia2566)
10歳・女・吟
宿奈 芳純(ia9695)
25歳・男・陰
八十島・千景(ib5000)
14歳・女・サ |
■リプレイ本文 ●組分け 一応道すがら、二手に分かれて試してみるくらいの話はして来たらしい。 「『心眼』組は二人だけぇか? なぁら、最初はこっちの手伝いかぁね」 ルオウ(ia2445)と八十島・千景(ib5000)は犬神・彼方(ia0218)を歓迎しつつも、後二人助っ人がいると応えた。 「昨日ギルドを当たってさ、『心眼』使える人は探しておいたんだ。えっと‥‥」 「コクリさんという志士の方です。今日は結夏さんと一緒に来られると聞いています」 誰も直接の面識が無いとの話だったが、千景はそれらしい方はいないようですねと呟いた。 「何でも試運転も兼ねて、直接ここに来ると言われていましたが‥‥」 疑問符を浮かべた彼方に対して、私も良く分かりませんと千景も同じ様に頷いている。 「恵皇にも聞きたい事があるんだよね。‥‥何か上の空で、今日は落ち着かない様子なんだけど」 首を傾げるルオウに、対して千景はそっと口元を押さえている。それだけで何となくだが、彼方も事情を察する。 「向こぅは向こぅで、的が必要だぁしなぁ。ま、折を見ぃて入れ替わってやるかぁねぇ?」 ぷかりと煙管をふかしつつ、不思議そうなルオウの頭をかき回す彼方だったが。とりあえず三人で、確認する項目を洗い出し始めた。 「‥‥冷静になろうぜ、な?」 しゃがみ込んで目線を合わせた恵皇(ia0150)が、荒げ掛けた声を抑えて、改めて問う。首を傾げる水月(ia2566)に対して、更に低い位置から心底不思議そうな声で問い返された。 「どうして? 『白狐』を受ける機会なんて、そうそう無いと思うよ? アヤカシがいる訳じゃないし、不意を打たれるわけじゃないし、巫女さんだってたくさん居るんだし‥‥」 指を折って数え上げるのは、水月の朋友、人妖のコトハ。麗人の相に無邪気な仕草は可愛らしいが、その天真爛漫さが怖い。 「あ、『治癒符』の方が良いのか。って、今日は別の術を用意してくるって言ってたっけ?」 水月はきょとんと見返すが、直ぐにふるふると首を振る。そこまでしてから何かに不意に気付いたように、慌ててコトハの口を押さえてから、恵皇の顔を覗き込む。‥‥覗き込まれた方はといえば、苦笑しながら頬を掻くしかない。 「きょ、今日は、よろしくお願いします」 精一杯緊張して挨拶する実祝(iz0120)に、そんなに固くならないならない、と斑鳩(ia1002)はにっこり応えた。朝比奈 空(ia0086)と宿奈 芳純(ia9695)も、その初々しい様子に穏やかに微笑む。 「それで、その‥‥ 行き成りですけど。見えすぎて怖いって思った事、皆さんはありませんか?」 唐突な問いではあったが、そういえばそんな理由だったかとそれぞれ依頼内容を聞いた時を思い出す。 「余り考えた事は無いですね。‥‥瘴気は存在して当たり前のもの。術に反応しなくても、大抵何処にでも『ある』ものですよ」 芳純が応えると、何から聞けばよいのか、どう言葉で問えば良いのか。途中で実祝が固まってしまう。 「見えないより、そして何も出来ないより。‥‥私は、余程良い事ではないかと思います」 空は物静かではあるが、きっぱりと言い切ってみせる。斑鳩もそうそうと、頷きながら返した。 「それを知ってから逃げない事、立ち向かう事の方が重要なんじゃないでしょうか?」 三人の答えは確かに正論ではあったが。実祝はまだ、曖昧な笑顔を返す事しか出来なかった。 ●試行錯誤 広場で最初に行われたのは、正確な距離を測る事だった。用意しておいた荒縄の両端に木の棒を結びつけ、一人が中心で踏ん張り、もう一人が縄を弛ませない様に走って、地に円を描く。水月とコトハが一つ描き終える頃には結夏(iz0039)とコクリ・コクル(iz0150)も合流し、『心眼』組でも同じ様な準備を済ませる。 「しかぁしなぁ。こうも反応無いとぉは‥‥ アヤカシ退治の依頼とぉか、探しといた方が良かったかぁねぇ」 『心眼』には、陰陽術の一切が反応を示さなかった。『斬撃符』が生み出す鎌鼬は一瞬。それでタイミングが合わなかったのだろうと色々試したものの。彼方が用意した『呪縛符』に『大龍符』、結夏が用意した『地縛霊』にすら、全く反応を見せなかった。間に『瘴気回収』を挟んだり、水月や芳純に頼んだ『人魂』も同じ事。人妖のコトハの事は感じ取れたものの、もうこの時点でコクリは集中のし過ぎで足元をふらつかせていた。 「なるほど。擬態したアヤカシを区別する事の難しさが、少し分かった気がします‥‥」 アヤカシを生物といって良いか量りかねるが、気配を発するものかそうでないか。そこが問題なのだろうと、千景は難しい顔をして考え込む。 「じゃあさ、その気配って何なんだろうな? 目で見ないと分からないって訳じゃねえよな、壁の向こうの相手だって分かるんだし」 『暗影符』で視界を塞がれたコクリも、その先に人の気配を察する事は出来ると太鼓判を押すが、何がどう違うのかと問われると、言葉に詰まってしまう。 「その辺りを、少し詰めてみましょうか。コクリさんには休憩が必要でしょうし、実祝さんが用意してくださった甘酒も残っているはずです」 何時の間にか空は陰り始めていたが、もう一組はまだ盛んに実験を繰り返しているのを認めると。屋台で見つけた七輪で暖を取りつつ、切り餅をぷっくりと焼き上げながら。一行は火を囲んで談義を続けるのだった。 「うーん、やっぱり質の区別は出来ませんか。まあ、元が全部同じ瘴気なのは確かな訳ですが」 水月の『呪縛符』は猫となって恵皇に絡まり、次いで放たれた『白狐』が恵皇の持つ的を爪の一薙ぎで蹴散らす。その様を見ながら、斑鳩は事も無げに呟いていた。静かに瞑目していた空も、纏っていた精霊を解きながら目を開く。 「‥‥量なら何とか、区別できるでしょうか。術が放たれる間際に、徐々に式を感知出来るようになるのは確かです」 他の術も一通り試してもらったが、特に反応に違いは無い。『瘴気の霧』を通せば知覚を阻害するモノは感じるものの、それは想定する範囲内。‥‥尤も未熟な実祝は、煙に巻かれたかのように『人魂』を見失ったりしていた様ではある。 「もう少し、その辺りを試してみましょうか。といっても、後は気合いとか根性とか‥‥ いえいえ、何かまだ試せる手があるはずです」 軽く頭を振ってから続けた斑鳩の目の前を何かが過ぎり、そしてコトハと水月から驚きの声が上がった。 「どうする、まだ続けるか? 切りは良い所だと思うんだが‥‥」 仰いだ空からは、次々と雪が落ちてくる所だった。もう少し、と口に仕掛けた斑鳩と空だったが、恵皇が指し示す実祝が既にへばり掛けているのを見て取ると、視線を交わして苦笑する。 「でも、結果はまとめないといけませんよね。それだけの資料は集まりましたが、あちらの方々の意見も聞きたい所です」 空が思案を始めれば、芳純も頷いて同意を示す。斑鳩が視線を巡らせば、恵皇と水月の視線が実祝に向く所だった。 「そういう事なら、うちの座敷を使ってよ。お姉ちゃんにも言ってあるし、何だったら泊まっていってくれても構わないし」 なら決まりだな、と両膝に手を突いていた実祝の背を恵皇が鳴らすと、少し離れた屋台にも声を掛けるのだった。 ●討論開始 氷屋の奥座敷には掘り炬燵が用意されていた。一旦うがい手洗いに裏手の井戸まで追い出された一行だったが、直ぐに炬燵に潜り込んで温かさを堪能し、椀に盛られて出て来た善哉に舌鼓を打った。途中で別れた結夏とコクリの分も平らげられる頃には、他の者は熱いお茶も飲み終わり、何とか人心地が付いた所だった。 「まぁずは、状況確認かぁらかねぇ?」 切り出した彼方の問いに、居住まいを正したのは斑鳩だった。空と水月に合図を送ってから話し始める。 「『瘴索結界』ですが、瘴気を探る術としては非常に完成度の高い術だと再認識しました。射程こそ短いですが、術者の力量に拠る所も大きいので、改良の余地は十分にあると思います」 後を引き継いだ空が、行った実験の条件と結果を挙げ始める。水月も慌てて自分の帳面を取り出し、それを追う。 「以上より、瘴気の質を測る事は出来ませんが、精度に関しては術者に依存します。ある程度の力量を備えた開拓者であれば、現状の精度を保ったまま索敵範囲を伸ばす余地はある、という結論に達しました」 覗きこんだコトハの口を拭ってやりながら頷いていた水月だが、そのコトハにせっつかれて、おずおずと口を開く。 「えっと、距離は伸ばせると思うの。でもその分、視える事も多くなるから‥‥ その、同じように視えても、見落としちゃう事も増えるんじゃないかなって‥‥」 その小さな呟きに、なるほど、と頷いて見せたのは芳純だった。 「面積は半径の二乗に比例しますからね。瘴索結界の射程を十メートル伸ばすだけで‥‥ 範囲は倍以上になる訳ですね?」 ボクが気付いたんだよ、とコトハが得意げに胸を反らせば、ではご褒美ですと芳純は盆から蜜柑を一つ取って手渡している。 「そういや、人妖は『心眼』にも『瘴索結界』にも反応したんだってな。何かその辺、気付いた事は無かったのか」 ふと顎に手を当てながら恵皇が問うが、はっきりした答えは返ってこなかった。 「やはり個体かどうか、が関わってくるのだと思います。芳純さんや水月さんの『人魂』も、『心眼』には反応無かったと聞いていますし」 「私も気にはなっていましたが、アヤカシと人妖の違う所といいましても」 斑鳩と空にじっと見つめられたコトハは、少し考える風に、だがあっけらかんと応える。 「ボク? ‥‥えっと、『神風恩寵』使えるよ、とか?」 「アヤカシと精霊力の関係ですか‥‥ いえ、回復という手段なら『瘴欠片』のような術もありますが」 芳純の戸惑いに、ちゃんと人にも効果あるよ、と無邪気に返すコトハだったが。 「‥‥怪我人はいないからな。今は必要ないぜ?」 恵皇がやんわり諭してみせると。水月もこくこく頷きながら、立ち上がったコトハを大人しく自分の隣に座らせた。 「あのさ。サムライの俺から言ったら、『心眼』も『瘴索結界』もこう‥‥ 結局気配みたいなのを感じ取る訳だろ? だから予め結界みたいなものを張っておいてさ。それに相手が反応するかどうかを探る‥‥ とか、出来ねえかな?」 ずっと考え込んでいたルオウが、試すように漠然とした方向に話を振った。 「それは‥‥ 『心眼』では効果時間の問題で難しそうですし、『瘴索結界』もその場から動けなくなりそうです」 少し考えた千景が応えるが、彼方はそれを聞いて腕を組み直す。 「『心眼』にぃも『瘴索結界』にぃも、同じ問題をぶつけぇてみる、かぁ。‥‥逆に、他ぁの術に同じ問題をぶつけて見るってぇのも、ありかぁもしれねぇな」 「あ、それそれ。泰拳士の『背拳』だってさ、多分仕組みは似たようなもんだろ?」 嬉しそうに応えるルオウと違って、恵皇は首を傾げてみせるが。 「そういえば点穴だって、普通の岩には効かないしな。他にも使えそうな術が無いかって見方はありかもしれない」 手に持った湯呑みに点穴を見つけられなかった恵皇は肩を竦めるが、その顔は楽しげに見える。 「そういう事なら‥‥ 瘴気の流れを読む事に特化して体捌きを向上させる、というのは‥‥」 空が手の平を鳴らして言葉にするが、そのまま口篭りつつ眉を顰めてしまう。 「いえ、陰陽術にも『巴』という術がありますし、面白い観点だとは思いますよ?」 「うーん、それでも巫女には『月歩』もありますし、やはり‥‥」 それらを実際に試す事までは出来なかったが、出て来た案も加えつつ、帳面に意見がどんどん書き出されてゆく。多少脇に逸れながらも、話は盛り上がっていくのだった。 ●開発申請 結夏とコクリがやってくる頃には意見も一通り出尽くし、丁度案を絞り込もうという所だった。 「遅くなってすみません。その、今回依頼をする氏族の方とお会いしたのですが、先方が凄く乗り気でして‥‥」 早速話の輪に入った結夏は、討論の結果を聞いて、直ぐに幾つか質問を返す。 「興味深い話もありますが、まずは本題からですね。射程を伸ばす方向性は妥当だと思います。ですが、今回は十二分に集中出来る状況での結果。これを何時でも使える術式にとなると、取っ掛かりが弱いといいますか‥‥ それなりの負荷になるのではないかと」 「それは練力効率や行動制限に関わる問題、でしょうか?」 ある程度燃費が悪くなる事を想定しての斑鳩の慎重な問いは、更に固い調子で結夏は首を振る。 「一般の人が使えない術式になるかもしれない、という事です。‥‥尤も『瘴索結界』自体、中々に使う事は難しい術ですから、その辺りは気にしなくても問題ないかも知れませんね」 申請自体はしましょうと結夏が請け負えば、一旦高まった緊張も解れて肩の力が抜ける。だから次の一言は、ちょっとした爆弾並みの一撃となった。 「それでその、報酬の件なのですが‥‥ いえ、私が動かせる経費もありますが、直ぐに出せるかどうかが、ですね」 心苦しそうに告げる結夏に、思わず顔を見合わせてしまう一行。その中で一人、実祝だけはすっきりした様子で席を立つと、戻って来るなり手に持った箱を炬燵の上に置いて、それを開いてみせた。 「これ、報酬の代わりにならないかな? えっと、一応人数分は用意できるよ」 それは何かを掴む爪と削る刃が付いた、武骨ながら小さな仕掛け。取っ手をからから回したコトハが振り返ると、水月の嬉しそうな笑顔を見て二度驚く。 「実祝さん、これは大事な支店用の道具なのでは?」 「ボクは色々教えて貰ったし目標も増えたし、それにまだ時期じゃないから大丈夫!」 結夏はその好意をありがたく受け取ると、そういう訳です、と一行に向き直って報酬受領の署名を求める。 「あ、でも報酬出るのなら、少し回してくれると助かるかも‥‥」 少し小さな声で付け足した実祝の要望に勿論ですと応えると、本題以外の話を促すのだった。 「ねえねえ、何がそんなに気になるの?」 その視線を辿ったコクリが、少し意地悪そうに言葉を続けた。 「術開発の担当者は若い女の人だったし、耳飾りはさっき着けたみたいだよ? 『落として無くしそうだから、外で着けるのは今日が始めて』だって」 そこで自分が複雑な顔をしていたらしい事に気付くと、コクリの頭をぐしゃりとかき混ぜつつ咳払いをする。‥‥そしてその上で、やはりどう声を掛けるべきか悩み始めたようだった。 |