【迎春】空高く留まって
マスター名:機月
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: やや難
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/02/02 18:56



■オープニング本文

 武天は安神、街外れの飛行船場。
 いつもであれば大小取り混ぜた飛行船がひしめき合い、場所を巡って怒号が飛び交うところであるのだが。今日に限って飛行船は端に追いやられ、代わりに溢れる人々は何やら地面に広げられた色も形もとりどりの何かに群がっている。和紙と竹を組み合わせて作られた凧、それも団体で揚げる大物もちらほら見える。
「おー、やってるみたいじゃない。うんうん」
 龍から飛び降りゴーグルを外しながら、西渦(さいか)はうれしそうに呟く。彼女が防寒に着込んだコートからは、開拓者ギルド職員を示す法被が覗いている。
「姉さん、仕事が先です。ほら、準備にはまだ時間掛かるみたいですから」
 そのままとりあえず屋台群に飛び出そうとする西渦を、その後ろから引き止め諭す東湖(とーこ)。
「‥‥うう。しょうがない、ちゃっちゃと終わらせるわよ。首を洗って待ってなさい!」
 少々悔しそうに空に向って指を突きつける姉の子供っぽさに嘆息する東湖であったが。荷物から書類を取り出しそれを抱えると、早速駆け出そうとする姉に続くのだった。

 書類の読み合わせと引継ぎに小一時間、まずまず予定通りに仕事を終えて会場に向う道すがら。姉妹は大凧が悠々と空を舞う中、縦横無尽に飛び回る小振りの凧に首を傾げていた。
「あら、大凧がまだ揚がっているのに‥‥」
 元々この辺りで行われていた凧揚げは、豊作祈願として決められた数の大凧を飛ばす神事であったらしい。最初は神事に参加するという形で加わっていた飛行船乗り達だが、凧揚げ自体にも関わることで凧は安定し、祭り自体も賑やかになった。しかし飛ぶ腕っ節自慢には少々物足りなくなってきたようで、ここ数年、小さな凧同士で相手の糸を切りあう喧嘩凧が流行りだしたようだ。それでも主たる神事である大凧揚げを蔑ろにすることはなく、それが終わった後に行われる余興とされていた筈である。
「全く、悪ふざけにも程が‥‥ 何々、どういうこと?!」
 最初は一対一、しかも広場の端の方で行われていた喧嘩凧だが、急に揚がる凧が増えた。そのどれもが見事な炎鬼が描かれた角凧に群がるが、それらを簡単にあしらって飛び回る。周りが躍起になればなるほどその動きは際立ち、離れた位置にいる何も知らない見物客は、不謹慎と思いながらも囃し立て、その見事な動きに歓声を上げる者もいるのだが。
「姉さん。あの凧の絵、気のせいで無ければ動いてみるように見えるのですが」
「他の凧で必死に逃がさないようにしているみたいね。あれ、アヤカシだわ」
 思わず西渦の顔を凝視する東湖だったが、その表情は真剣そのもの。
「‥‥まずは元締めに話を通して依頼の体裁を整えて。開拓者を集めるのは骨だけど、一般の人が騒ぎ出さないようにと。気付いて集まってくれるのが一番良いのだけど」
 流石にそれは虫が良すぎるかな、と軽口を叩いて見せるが策を立て始める西渦。その様子に思わず目を見張る東湖であったが。
「私の前で御祭りを台無しにしようとは良い度胸ね。絶対阻止してみせるわ」
 まあ神事に水を差す訳にも行かないし、とそれを止める必要性を感じないことにした東湖は、その向きと加減だけは間違えないように祈るのみであった。


■参加者一覧
雪ノ下・悪食丸(ia0074
16歳・男・サ
焔 龍牙(ia0904
25歳・男・サ
滝月 玲(ia1409
19歳・男・シ
 鈴 (ia2835
13歳・男・志
雲母(ia6295
20歳・女・陰
綾羽(ia6653
24歳・女・巫
濃愛(ia8505
24歳・男・シ
イワン・リトヴァク(ia9514
28歳・男・志


■リプレイ本文


●龍舞
 相変わらずだらりと肩にぶら下がっていた猫が、ぴくりと耳を動かしてから空を見上げた。それを目にした通行人は微笑ましさに思わず口を綻ばせていたが、のんびりした人語がその猫の口から飛び出すと吃驚してまじまじと見つめていたりする。
「ご主人。なんか、急いだほうが良さそうだよ」
「え? もう始まってしまっているかしら?」
 街の通りから見上げた先に、揚がっている大凧がいくつも見える。既に賑やかそうな雰囲気に表情を緩めかけた綾羽(ia6653)は、遥か手前の街中を静かに舞う龍に気付いていぶかしむ。祭りの余興かとも思ったが、わざわざ街の上空まで来る必要はないし。と、そこで龍を操る人影の服装に気付いて、綾羽は思わず声を上げてしまう。
「あの法被‥‥ ギルドの職員さん?」

「あれ、西渦さんだ」
 以前依頼受けた女性が龍に乗っているのを見て、雪ノ下・悪食丸(ia0074)は素直に驚いた。開拓者ギルドの法被姿は先入観からか違和感があったが、気付いた街の人たちに気安く手を振って返す様子には状況は違えど覚えがあった。
(「また楽しそうなことを‥‥ やってる訳では無いみたいだ」)
 もう一体の龍の乗り手と合図を交わすと、一旦脇に逸れて高空に上がってから、街外れに向って矢のように飛び出す駿龍。急いだ方が良さそうだと、悪食丸はついさっき龍を預けて出てきた厩舎に駆け戻る。

「ぁ、その。‥‥お手伝いできること、ありますか!」
 神事を行っている広場。人出もまばらな風下方向へ、さらに回り込んで下りてきた西渦に駆け寄る人影が二つ。
「あれ、アヤカシですよ、ね‥‥?」
 辺りと空を見比べながら、心配そうに問うのは 鈴 (ia2835)と名乗った少年。対して状況を分析しながら冷静に尋ねるイワン・リトヴァク(ia9514)は、少々難しそうな顔をしている。
「避難が第一では無いのですね? 確かにこの人数、恐慌が起きればそれも危ないのは分かりますが‥‥」
 その判断に満足しながら、そこで不敵に笑って返すのが西渦の性分。
「それこそ、開拓者の腕の見せ所じゃない。大丈夫、報酬はきっちり用意しているから」
 自分の仕事に抜かりは無いわと豪語する西渦は、それでも思案する風のイワンに懐から出した算盤を弾いてちらりと見せる。
「ま、契約書は後付けになっちゃうけど、そこはギルドを信用してもらうってことで」
 通常より多めの数字に、内心は兎も角、表情を引き締めて頷くイワンだった。

「あー、やっぱりアヤカシか。って、それでも祭りは続行させるつもりかね」
 上空の凧と、近づく広場の一角でこちらに合図する一団の動きを見て、滝月 玲(ia1409)は共に龍を駆る者達に声を掛ける。そういう人です、と苦笑して返す悪食丸に、中々話が分かる人じゃないかと焔 龍牙(ia0904)は楽しげに笑う。
「色々な露店もある様だし、息抜きにはもってこいだろ? さっさと片付けて祭りに参加しようぜ!」
 そのまま早速弓を構えようとする龍牙に、待ったを掛ける玲。
「策無しに撃墜じゃ、祭りは中止しちまうって。ほら、雲母さんも」
 何かありそうと厩舎で話を聞いてからずっと機嫌が悪そうだった雲母(ia6295)は、実物を見て既にその身に殺気を纏っている。
(「よりによって空に湧くとは‥‥ 良い度胸だな、アヤカシ」)
「お、芝居小屋か。‥‥な、こんなのどうよ?」
 場の雰囲気を和ませよう、という気は無い玲だったが。それを聞いて気の抜けた笑みを浮かべて見せた雲母に、他の二人は思わず息を吐いて顔を見合わせていた。

●鳴射
 見物客が怪しみ始めるのも時間の問題だろうと、鈴は気が気でない思いで空を見渡しては合図を送る。その度に湧く歓声。焦った風にこちらを見る凧を操る人々には、何でも無い様に笑みを浮かべて頷いて見せながら。鈴は何とか自分の背筋を流れる冷や汗と焦燥を押し隠すのに必死だった。

 集った一堂に玲が提示した案は、神事に関わる者も含め賛成を得たものの、実行までに少々準備が必要だった。その時間を稼ぐために、飛空船乗りの腕っ節自慢達にはもうしばらく、喧嘩凧での牽制を続けてもらうことにする。そう示し合わせて早速散った一行だったが、思い通りに行かないのが世の常というもの。数を増やすことで何とか均衡を保っていた鬼凧と喧嘩凧だが、とうとう鬼凧は足を使って勝負に出る。‥‥文字通りと言って良いものか悩むところではあるのだが、空を舞う速さではなく、通常は安定を取るために垂らされる紙の帯を使い始めたのである。
「なんだなんだ?!」
 翻る足はそれ自体生き物であるかのように、交差する喧嘩凧の表面を撫でる。だがその鋭さは刃と変わらず、張られた糸どころか、竹で作られた枠組みまで切り裂いてみせる。そもそも動きが激しい喧嘩凧、その破損箇所は追い難いとはいえ、あまりに不自然に落ちかける様子に一部の見物客がどよめく。
 だがそこで不意に響く、力強い弦の鳴る音。その音の先には、弓だけ構えて弦を弾いて見せたイワンの姿。そうして注目を集めておいて、今度は素早く矢を番えては、落ち始めた喧嘩凧を見事に打ち抜いてみせる。そこまでしながらゆったりとした仕草で胸に手を当ててみせ。見物客に向って少々わざとらしいほどの礼をすれば、粋な演出と勘違いした見物客から拍手喝采が沸き起こる。
 その一連の流れに、お見事と息を吐いた鈴だったが、決して上空を見ずに観客に応えながら、こちらに合図するイワンの意図を素早く汲み取る。カンカン、トントンと二種類の音を確かめた後。喧嘩凧が一撃を喰らえば鈴が桴を叩く音にイワンは弦を鳴らし。喧嘩凧が落ちそうになれば、太鼓の音に合わせて矢を放って喧嘩凧を貫いてみせる。見物客が喜び囃し立てれば立てるほど、だがそれは喧嘩凧の数が減り、神事が中止に近づくということ。幸いアヤカシ側には、数が少なくなったからといって、喧嘩凧を見逃そうという素振りが見えないが、即興の芝居を打つ一行の胃に思いの他、負担を掛ける。
 それでもどうにか綱を渡りきることが出来たのか、高空を旋回する龍の影という待ちわびた合図を確認すると、イワンの注意を引いてから大きく息を吸い込む。そして鈴は太鼓を高らかに打ち鳴らして次の演目を皆に知らせるのだった。

●結裂
 獣の咆哮が、広場に朗々と響いた。見上げる空には、三体の龍。各々が丈が長く幅の狭い布切れを棚引かせ、時に鋭く、時に軽やかに、鬼凧を中心に目まぐるしく飛び回り始める。最初は戸惑う見物客も、流れ旗にはどうやら最近流行の芝居演目が書かれていると知ると、空の演舞が始まったと安心して歓声を上げ始める。
「くっ、気楽に盛り上がってくれる!」
 蒼隼を危なげなく操りながらも、思わず舌を打ってしまう龍牙。まずは芝居であると思わせるというのが玲の提案だったが、それには鬼凧をある程度操って見せる必要がある。そしてこれまでの流れに不自然さを感じさせないためには、上空で操作していた風を装って観客の前に姿を現すというのが最善の手である。それは良く分かっているのだが。
「空中で鬼ごっこをする羽目になるとはね」
 富嶽を駆る悪食丸が苦笑を浮かべて軽口を叩くが、鬼凧の動きに内心舌を巻いていた。速さでは龍も決して劣っていないのだが、流石はアヤカシ。生物はもとより、風に舞う不安定な凧にもありえない制動を掛けては、微妙に間合いを外してみせる。こちらの狙いが鬼凧から垂れ下がる縄にあると気付いているのかいないのかは分からない。不意に方向転換をしては宙に撓ませ翻らせる様は、ただ無防備にぶら提げているようにしか見えないのだが。
 雲母にしても同じ分析だったが、鷲のような目でその動きのからくりを見極める。
「そっちじゃない、左に抜けてから回り込め!」
 微かに見せる足で空を叩く仕草を見切り、悪食丸に声を掛けながら自身はそれを迂回して更に次の予測地点に飛び込むように相棒の柘榴へ指示を出す。勿論、鉄爪で作った鉤爪を構える龍牙と、更に上空で待機する玲にも手で合図を送っておくことを忘れない。
「そぉら、見せ場だ! 気張れよ、瓏羽!」
 二度の方向転換を読み切られた鬼凧は、雲母の目の前で宙返りを打って一転、下方へと急降下を始める。その動きを追う、鬼凧から伸びる縄。玲は龍ごと飛び込んだ鼻先にその縄の中ほどを認めると、雲母に笑顔を向ける余裕すら見せて、素早く二度三度とその縄を手のひらに巻き取る。縄は直ぐにぴんと張り詰め、手に支えがたいほどの手応えが加わり始めるが、役者に泣き言は許されない。
「やぁやぁ、炎羅よ。さては我らが天神を喰らいに来たな? 我らが代わって退治してくれようぞ!」

 龍にぶつかって壊れたかのように墜落する鬼凧へ、一瞬見物客の悲鳴が重なる。だが玲の口上が大音声で繰り返されると、その意味を理解した見物客からは代わりに歓声が上がり始める。そしてすかさず龍牙が投げた鉤爪ががっちりと食い込み、強引に玲が始めた旋回が鬼凧を引き回し始めると、威勢の良い掛け声まで飛び出す。
「何とか、手筈通りに済みそうね」
 広場風下の空き地を確保していた綾羽が戻ってくると、鈴とイワンに目配せして次に備える。
「上は‥‥ なんか大変そうだよ、ご主人?」
 空を見上げていた絆丸は緊張感の無い声で綾羽に告げると、そのまま大きな欠伸を一つ。相変わらず見事な口上が聞こえてくる様子に安心していた綾羽であったが、場違いな口調と内容に慌てて空を見上げる。

(「流石アヤカシ、出鱈目だ!」)
 口上を述べながらも、玲は冷や汗をかきつつ格闘戦を繰り広げていた。相手は手に絡みついた動く縄。手に巻き取った縄が食い込んだのは、鬼凧が引く以上に縄自身が絡みついた仕業であったらしい。巻き取られた勢いそのままに右腕に出鱈目に巻き付くと、今度は腕ごと胴体に巻き付こうと縄の先端が鎌首を持ち上げるように構えを取る。対する玲は腰に手をやるが、そこにあるのは芝居用の小道具である竹光のみ。しかも長巻とあっては片手では如何ともし難い。
「雪ノ下さん、雲母さん! 降ろすのは無理だ、何とかばらけ過ぎないように止めを刺してくれ!」
 鬼凧本体の押さえに回って手が放せない龍牙は、駆けつけたい気持ちを抑えて他の二人に託す。その言葉に躊躇せず反応したのは雲母。素早く弓を構えると、絵姿の鬼の急所目掛けて、躊躇無く矢を射る。
「ちっ、小癪な!」
 放たれた矢は、しかし鬼凧の足によって切り払われてしまう。だが鬼凧に浮かび上がったにやりという笑いは、次の瞬間、鬼凧の裏から珠刀に貫かれていた。
「油断大敵ってね。さて、そろそろ鬼には消えてもらおうか。お祭りが待っていることだし」
 悪食丸は、裏側を必死に覗こうとする鬼の絵ににこりと笑みを浮かべてそう告げる。そして珠刀に力を篭めて一度切り下げ、そのまま切り上げて振りぬく。見事に絵姿の急所、喉を貫き、頭を断ち割るその一撃は。そのまま見事に凧自体も真っ二つに裂いたのだった。

●散桜
 刀を収めた悪食丸が、落ちて行く鬼凧の残骸から視線を切った事は責められないだろう。こいつ噛みやがる、とやっと口上から開放されて縄を掻き毟る玲と、その無事を確かめに近寄った龍牙も同じだ。残骸はお互いが持つ縄や鉤爪にがっちり繋がっている事は確認しているのだから尚更である。
 突如、視界の下方で光と熱が発っせられた。慌てて見やったその先には、裂けた大凧から生える炎の腕。天を掴む様に突き出されたそれは、絵姿の炎鬼が凧から抜け出すかのように広がっていき、遂には肩口から首、そして口を開いた顔までもが現れる。
 だが、アヤカシに許された悪足掻きはそこまでだった。
 腕を振り下ろそうとする炎の鬼は、力場に弾かれる様に空中で跳ね上がると。地上から放たれた真空の刃に切り裂かれ、同時に上空から放たれた朔月の如き弓の一撃に、激しく四散する。まるで少し季節の早い桜のように、視界を埋め尽くさんばかりに飛び散った火の粉を残して。

 天上から炎の花びらが舞う中、見物客から万雷の拍手が惜しげもなく鳴り響く。綾羽はふと我に返ると、背中にぶら下がる絆丸が、たしたしと前足で軽く肩を叩いている。
「ほら、最後こそ締めなきゃ。巫女が鬼退治のお侍さんをお迎えして、初めてめでたしめでたしなんでしょ?」
 ボクは鈴君のとこで見てるから、と言いたい事を呟くと、勾玉と鈴をちりちりと鳴らしながらその場を駆けていく。
(「さっきの鎌鼬‥‥」)
 格好良かったって褒めてあげないとね、とくすりと笑うと、綾羽はそこで一旦表情を引き締める。扇子を引き抜き舞を一差し舞い始めれば、それに合わせて太鼓と弦の伴奏が響く。即興とは思えないほど雅な演奏に合わせて、下りてくる龍まで合わせて舞を舞うようであった。

●終幕
「あはは、やっと開放されたみたいね。奉納演舞の再演、どうするの?」
 上機嫌に尋ねる西渦に、一行は疲れた笑顔を見せるしかない。見物客からお捻りは飛んでくるわ、一目見ようと押し寄せる群集に揉みくちゃにされるわ、芝居小屋の団長からは熱烈な勧誘を受けるわ。祭りの無礼公な雰囲気もあり、とにかく大騒ぎである。
「まあ、とにかくお疲れ様! まずは一息入れるとしても、お祭り回るでしょ?」
 見合わせる面々の顔に困惑していても確かに笑みを見て取ると。
「よし。ならまずは行きつけの茶屋で一服ね。お菓子もお茶もお酒も、良いの揃ってるんだから」
 何か不思議な単語を聞いた気もするが、つまみは屋台で買っていくわよーと続く言葉には苦笑するしかない。
「良いのではないでしょうか、お祭りですし」
「だな?」
 そうと決まれば、と頷きあえば。祭りを存分に楽しむべく、皆で雑踏に踏み込んでいくのだった。