双鬼神
マスター名:
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 普通
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/11/01 20:18



■オープニング本文

 その鬼の周囲には常に風が吹き荒れ、嵐がつき従う。
 人型をそのまま巨大にした体躯は、鍛え抜かれた戦士をして恥じ入ってしまう程の筋肉で漲っている。
 そうであればこそ、人の倍程ある巨大な体でも、人間、それも志体を持つ者と同等に渡り合う程の速度を持つ。
 動きの早さが一緒ならば、優れた体躯を持つ鬼の方がより有利に決まっている。
 また、鬼は風を自在に操る事が出来る。
 一声嘶けば竜巻が天を貫き、憤怒に吠えれば大地を抉る烈風を放つ。
 手にした金棒は決して折れぬアヤカシ特製。
 突き出される先を見切ってすら、まとった風に斬り裂かれよう。
 正に荒れ狂う暴風、その名を風神という。

 その鬼の周囲には常に雷が跳ね飛び、雷光が乱れる。
 風神と寸分たがわぬ大きな体躯は、ただそれだけで畏怖と恐怖の象徴として十分な程の説得力がある。
 そうであればこそ、多数に攻め入られようとも、その三分の一も蹴散らせば残りは逃げ去る程の脅威となろう。
 決して敵わぬ、届かぬとわかった敵を目にし戦い続けられるはずないのだから。
 また、鬼は雷を自在に操る事が出来る。
 腕の一振りで光が地を走り、激怒で叫べば天より遍く雷が降り注ぐ。
 手にした金棒は断じて砕けぬアヤカシ謹製。
 振り下ろす動きを見切ってすら、金棒を走る雷光に貫かれよう。
 これぞ天の怒りか、その名を雷神という。

 風神、雷神、二体のアヤカシに、瘴気の森攻略の糸口すら掴めぬ軍は、これ以上手持ちの志体持ちを消耗するのは拙いと、開拓者ギルドを頼る。
 雑兵では近寄る事すら出来ぬ相手には、全てが志体持ちであり、特に強力な敵と相対した経験を持つであろう開拓者をぶつけるのが最も有効であるのだ。
 指揮官はそんな判断から二体の鬼退治を開拓者に依頼するが、兵達にとってはそんな事はどうでもよい。
 どれだけ腕があろうとも、勇敢に先陣を切ったものが確実に死ぬような戦場へは、如何に彼等とて踏み込むに躊躇せずにはおれぬのだから。
 これこそ志体持ちの出番であるはずなのだが、何年も手塩にかけ育て上げた彼等を、指揮官は大事にしすぎるきらいがあった。
 その分兵達に負担がくるのであるし、戦力温存の為ばかすか死ねと言われては、持ちうる勇気を発揮しようという気にもなれぬのだ。


■参加者一覧
朝比奈 空(ia0086
21歳・女・魔
志藤 久遠(ia0597
26歳・女・志
有栖川 那由多(ia0923
23歳・男・陰
輝夜(ia1150
15歳・女・サ
錐丸(ia2150
21歳・男・志
御凪 祥(ia5285
23歳・男・志
朱麓(ia8390
23歳・女・泰
龍馬・ロスチャイルド(ib0039
28歳・男・騎


■リプレイ本文

 雷神、風神の二体が姿を現すと、誰よりも先んじて朝比奈 空(ia0086)が走る。
 見るからに恐ろしげな巨体、周囲一体の空気をすら歪ませる闘気、殺意に満ちた眼光。
 素人にすらわかる程明確な、強大なアヤカシである。
 まだ距離があるとて、これへと踏み込むには並々ならぬ勇気が要るだろう。
 風神が全身を震わせながら耳まで裂けた口を開く。
 咆哮は突風となり、渦巻く嵐と化し、大地を抉り取りながら空へと。
 また雷神もこれに倣い、片腕を前に突き出す。
 足元より波打つ雷が手の平へと集い、耳をつんざく轟音と共に放たれる。
 どちらも先頭を切る空に狙いを定めており、激突の瞬間は、漏れ溢れる電撃と吹き荒れる疾風に後続が足を止めずにはいられぬ爆発のようなありさまとなる。
 下生えは黒く焼け焦げ、衝撃に削れた大地は粉塵となって舞い上がる。
 煙もさめやらぬ中、残る雷を伴い、風を切って飛び出す空。
 精霊の輝きを伴う空は、これだけの攻撃にも涼しい顔のまま。
 真っ白な肌は決して触れえぬ神性を漂わせ、靡く髪は僅かに風の影響を受けるのみ。
 風も雷も、彼女のあまりの美しさに傷つけるのを躊躇したようではないか。
 激怒した二鬼は再び風と雷を撃ち放つ。
 しかし、後続の者達が目をむくような強烈な術にも、空にとっては春一番程にも抵抗を感じ得ず。
 真夏日にそよぐほのかな涼風を抜ける気安さで、二鬼へと確実に迫り寄る。
 距離が詰まると後続の皆は散開し、風神雷神をそれぞれ取り囲む位置へ。
 空は近接されぬ位置に移動しながら、急ぎ攻撃術の準備に取り掛かる。
「さて‥‥と、どの程度の物かお手並み拝見と行きましょう」
 あくまでこれは小手調べだと、空にもわかっているのだ。

 龍馬・ロスチャイルド(ib0039)の構えた盾に、風神の金棒がぶち当たる。
 支える後ろ足が大地にめり込むのがわかる。
 体重を乗せ体を硬化させ受け止めたのだが、あまりの衝撃に全身の振動が止められない。
 盾の脇より吹きすさぶ風は触れれば切れる鎌鼬となり、手足を覆う鎧が金切り音を上げる。
 このまま防戦に徹するべきか、あまりに強烈な一打に一瞬迷うも、長巻を抱え走る錐丸(ia2150)を、龍馬同様真っ向からやりあう気の輝夜(ia1150)を見て、腹をくくる。
 どの道、これほどの剛の者が攻撃を防ぐ労力を必要としなくなったら、その圧力は想像を絶するであろう。
 こちらも攻撃する事で、敵の圧力を減少させねばとても保ちそうにない。
 風神の二撃目が、真横より薙ぎ払われる。
 身長差から、風神は金棒の先端を大地にこするように振り払う。
 これを受けるには、ただ盾を差し出せばいいわけではない。
 後ろ足を引き、前足をかがめ、重心を低く、かつ衝突の瞬間大きく息を吐く。
 構える盾は受け流しに適した角度で、弾くように。
 そこまでしても、風神の戦闘技術には及ばず。
 金棒が盾にぶち当たる瞬間、風神は精妙な手首の動きにて龍馬が弾こうと動くのを押さえ込んでしまう。
 こうなると支えるのも厳しく、彼我の体重差そのままに大きく跳ね飛ばされる龍馬。
 舌打ちした輝夜の槍が風神の纏う風を貫く。
 我が目を疑う輝夜。
 風神は、体を全く動かさず、そのままの姿勢で真横にズレたのだ。
 その巨躯からは想像も出来ぬ反応速度。
 氷の上を滑るような移動は風の力か。
 この動きに反応して真横に飛ぶのは錐丸だ。
「俺ァ飢えてるンでね。此の鬼の一太刀、痛ェぞ?」
 横に移動した直後、横薙ぎの一撃ならば足が止まるまいと全力で振るった長巻は風神の急所へ吸い込まれる。
 巨躯が跳ねる。
 脛を捉える事には成功したが、この動きを読めというのは無理がある。
 真横に飛ぶのも異常であったが、今度は真上に飛び上がったのだから。
 この鬼の脚力はどれほどであるのか。
 しかも、狙うは追撃を試み前傾になった輝夜である。
 その戦闘勘は尋常のものではなかろう。
 中空より巨体を利して振り下ろす金棒。
 輝夜は無謀にも、頭上に槍を掲げこれを受け止めにかかる。
 跡形も残らず潰された。
 そんな未来しか見えぬはずの攻防は、輝夜を支える大地がすり鉢状にへこむ程の衝撃であったにも関わらず、鋳鉄の塊のように強固な構えで輝夜は完璧に受け止めきった。
「風を受け止めるのは山の如き壁じゃの」
 底冷えのする輝夜の瞳は、持ち堪える壁のものではなく、敵を攻め滅ぼさずにはいられぬサムライのそれであった。

 有栖川 那由多(ia0923)は、何かなんていうか、もう笑うしかないので笑う事にした。
「ありえん」
 接近は空壁が遠距離攻撃全てを弾く事で何とかこなす事が出来たが、思ったより風神と雷神の位置が近いので、これは良くないと両者を妨げるように結界呪符を張った所、金棒の一撃で木っ端微塵に吹っ飛ばされてしまった。
 二度と使うかこんな術と別の術使用を考えたのだが、朱麓(ia8390)は口の端を上げて雷神へと斬りかかる。
「よくやったよ!」
 雷神が一瞬結界に気を取られた隙に、蛇矛を薙ぐ。
 雷神の体に蛇矛が触れると、表皮を這う雷が朱麓にまで至るが、それを厭う様は見られない。
 むしろより雄々しく蛇矛を振り回す。
 前衛軍団は皆、こんなドデカイ化物相手に、臆する所なく踏み込み斬りかかり吹っ飛ばされたりもしている。
 那由多には、振るわれる敵味方の攻撃をただの一発だって耐える自信はない。
「ああぁぁ‥‥なんで俺みたいなモヤシがこんなのと戦う事に‥‥」
 と、天空の気配が変わり、あれと思う間もなく目の前が真っ白になる。
 何が起きたのか、混乱する思考を整え、視覚として捉えられる情報に意識を向ける。
 雷神を狙っていた皆が、いつのまにか火傷を負っている。雷撃を食らったのだ。
 自分も痛いし痺れる。
 口の中を切ったのか、金物をかじったような味がする。
 那由多は少し気持ち悪くなった口の中から、鬱陶しいものを吐き捨てる。
「でも、やるしかないよな」
 雷神、風神の順に呪縛符を放つ。
 雷は確かに痛いが、耐えられない程ではなかったのだ。

 天空より飛来する雷もこれで三発目。
 志藤 久遠(ia0597)は片腕を天へと突き上げる。
 手の平に直撃したはずの雷は久遠裂帛の気合に弾かれ、雲散霧消、微かな焦げ後のみを残し消え失せる。
 残る腕で薙刀を振り上げ、掲げた手を添える。
 ここまでの戦闘で雷神の動きが鈍った様子はないが、それでもこれまでアヤカシと対峙してきた経験が告げる。攻撃力の高さを誇る分、雷神は風神程倒し難い相手ではないと。
 敢えて動きを止め、掲げ振りかぶった薙刀に精霊力を。
 紅光が薙刀を少しづつ包み徐々により力ある刃へと。
 そして対する雷神である。
 棒立ちの久遠を見逃さず、煩わしげに那由多の呪縛符を引きずりながら踏み出し、金棒を振り下ろす。
 突如、爆発的に紅光が輝きを増す。
 雷神の打ち込みに合わせるように大上段より重々しく振り下ろす薙刀。
 両者の武器が激突する寸前、久遠の薙刀が再加速する。
 両手首を返し縦に半回転させつつ、左前方に踏み込み、金棒をぎりぎりでやり過ごす。
 かすめただけで肩が痺れ焼け焦げるも、薙刀を操る手元に不安は無い。
 重心を完全に前に乗せきる頃には、薙刀は半回転ではなく一回転しており、再び雷神に刃を向けうる位置にくる。
 その手練の妙、体裁きは、雷神程の武者をして金棒が薙刀をすりぬけたと錯覚してしまう程の神技である。
 右の腕を斬り落とす勢いで突き出した薙刀は、しかし頑強な表皮に阻まれ深い傷口を残すに留まる。
 刺し止まるのではなく、抉り抜く位置を攻撃したのはもちろん考えあっての事。
 雷神の背後に走りぬけ、一呼吸を長柄の薙刀を大きく引き寄せる事に費やし、金棒を振り下ろす事で前へと崩れていた雷神の重心が後ろに戻る瞬間、溜めた力を解き放つように薙刀を突き出す。
 赤光は抉った傷を正確に貫き、腕一本を斬り飛ばした。
 御凪 祥(ia5285)は、ちらと後ろを振り向く。
 那由多は雷神のみならず、風神の動きにも目をやり、必死な形相であちらこちらと術を飛ばしている。
 戦闘の最中ながら祥の瞳が優しげに緩むも、すぐに厳しい輝きを取り戻す。
 低い姿勢から地を嘗めるように伸びる十文字槍は、雷神の巨体と金棒より、長柄の分僅かに間合いがある。
 無論見誤れば不利な体勢でこれを受ける事になるのだが、ぎりぎりまで神経を張り詰める事で、爪先分の間合いすら見切り攻防を続ける。
 時折思い出したように降り注ぐ雷撃、これが一番キツイ。
 武器を用いた立ち回りの中にこれを混ぜ込まれると、どうしても拍が乱れてしまうのだ。
 それまで積み上げてきた優位な立ち回りを、一瞬でふいにされるのだからたまったものではない。
 だからこそ、集中は切れない。
 死の鉄槌が頭部をかすめると、髪先よりちりちりと嫌な臭いが漂う。
 横薙ぐ槍がもし外されれば体勢を崩してしまい、直後強烈な反撃を喰らうだろう、それがわかっていて踏み込み強打する。
 腕力のみならぬ強大なアヤカシを相手に、表には出さぬが、祥は血液が沸騰する感覚を覚える。
 背筋が凍りつくような打撃を受けても、全身が悲鳴を上げるような雷撃に晒されても、都度内面よりの声が吠え猛る。
 斬れ、それでも俺は奴より強い、それを奴にも自身にも思い知らせろと。
 我知らず口の端を上げながら、槍先で小さな弧を描く。
 これは狙い先を読ませぬ為のもの。
 と、雷神の真横より朱麓が突っ込むのが見えた。
 迎撃に振るったどちらを狙うともわからぬ雷神の横薙ぎの金棒を、槍を掲げ受け流しつつ下にくぐると、巨大な金棒故に一瞬だが雷神の視界より外れられる。
 ちょうど膝下の位置を狙って槍を突き入れる。
 これで、続く朱麓への援護をも狙ったのだが、流石に雷神、足に深手を負っていながら振るう金棒の威力はまるで変わらず。
 朱麓は踏み込んだ勢いを止め切れず、滑り込むように両膝を大地に突き、思いきりのけぞりかわす。
 鼻の先がぴりっと痺れた。
 洒落にならない姿勢で雷神の前に居るハメになった朱麓だが、ここで空からの援護砲撃が入る。
 大筒でも持って来たのかという勢いで精霊力が爆ぜる。
 頑強な雷神はそれで転倒する事は無かったが、その威力故か金棒を取り落としてしまう。
 朱麓にとっては千載一遇の好機であったが、先にかわす動きのせいで、片腕は蛇矛を離しており、右腕が一番持ちずらい石突を掴むのみ。
 にも関わらず、柄の端を逆手に握り、朱麓は跳ね起きながら蛇矛を投げるように突き出す。
 残った左腕でこれを防ぐ雷神。
 蛇矛はそこで一度動きを止めるも、朱麓は逆手に持った体勢のまま、渾身の力を込める。
 じわり、じわりと蛇矛が進む。
「図体がデカくて力があるだけの奴を『雷神』と呼ぶとは片腹痛い話だ。よりにもよってアヤカシを神だなんて馬鹿馬鹿しいったらありゃしない!」
 肌が紅潮し、頭頂から湯気を噴出さんばかりに熱を帯びた朱麓の体からは、大粒の汗が滴り落ちる。
 腕裏の皮膚、これを貫くとそこから先は早かった。
 瘴気を撒き散らし砕けた腕の先、雷神の喉に深々と蛇矛は突き刺さるのだった。
「例え自称じゃなくっても‥‥その呼び名、今日でお終いだね。後はこのあたしが『雷神』を引き継ぐわ」
 刺し貫いたままの蛇矛から、これは雷神のものではない雷撃が放たれると、首から上がぐらりと揺れ、千切れ地に落ちるのだった。

 風の力か、滑るように大地を動く風神を捉え続けるのは至難の技であった。
 錐丸は理詰めでの包囲をとうに諦めており、どちらに跳ぶかを勘で読み、読みえた時のみ仕掛ける事にしていた。
 共に戦う二人はどちらも防御の術に長けている。
 ならば自分は攻撃の基点にならんとしていたのだ。
 集団の中で、自分のあるべき姿、立ち居地を見定めるには経験と知識が必要である。
 しかしそれがこと戦闘に関する事ならば、技術に頼らず生きてきた錐丸の勘は歴戦の者達に並び得る。
 炎を吹き上げる長巻の刃。
 これを見せ技にしつつ、真の狙いは大地についた両の足。
 懐に入りすぎると長巻は効果的に用いる事が出来ない。それを逆手に取り錐丸は風神の足を踏みつける。
 動きの基点を抑えられればさしもの風神も回避が鈍る。
「アンタに此の炎を消せるか? 風も刹那、炎も刹那。狙うは一瞬。俺に其の隙を与えンなよ?」
 全身で伸び上がるように長巻が頭部を狙うと、風神はかわしそこねて頬をざっくり抉られる。
 これに、龍馬が構えた盾ごと風神に突進する。
 並のアヤカシであればこの一撃で転倒にまで持っていけそうなものだが、風神はその衝突をすら受けきってみせる。
 そこで、後ろ足を横に逸らしつつ一瞬だけ力を外す。
 先に風神に食らった一撃、受け流しを外された仕返しとばかりに、今度はこちらが風神の重心を外してやったのだ。
 もっともそんな真似が出来るのも、風神の膂力に押し負けぬ強い姿勢を維持出来たからであろうが。
 体躯、膂力に優れようと、騎士の技術は存分に発揮出来るのだ。
 小賢しき二人の人間に怒りを見せる風神の、背後より聳え立つ山脈のような殺気が放たれる。
 背後にて飛び上がり、首元へと槍を伸ばすは輝夜の一撃。
 集まった八人の中で最も小柄ながら、最も強力な膂力を持つ輝夜の突きは、堅い皮膚を文字通り爆ぜ飛ばす。
「汝の相手は我じゃ、余所見をしておると首が飛ぶぞ」
 それでも致命打を避けえたのは風神ならではの動きの良さであろう。
 風神の金棒が錐丸を狙い、これを防ぐべく龍馬が前に立ち真っ向より受け止め、錐丸は再び槍を突き出す。
 二人の連携に次なる仕掛けをせんとする風神を、輝夜の剛槍が遮る。
 こちらにも那由多の呪縛符が効いている事もあり、三人はこれを何とか抑えきった。
 と、三人の全身を精霊の治癒が覆う。
 それは雷神撃破と援軍到来の合図であった。

 全てが終わると、錐丸は瘴気の渦となって消えていく二神を見ながら呟いた。
「殺るか殺られるか。こっちは「殺る」しかねェ。やっぱこういった相手は面白ぇな」