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■オープニング本文 二百人以上の兵が柵の奥に並び、一斉に矢を放つ。 攻め寄せるアヤカシ達を矢雨は迎え撃ち、次々屠っていく。 「うっひょー! 俺様絶好調! 来いや蚊トンボ! 数の暴力思い知れやぼけえええええええ!」 「やっべ、超気持ち良い! 一方的にボコるってな最高だなおい! エロ妄想の次ぐらいに楽しいぞこれ!」 兵達の中にあって、矢を放ちながら大笑いしているのは平蔵と平次である。 率いるは名の知れた優れた指揮官で、大抵の場合戦闘開始前にほぼ勝利が確定しているような、そんな戦闘を繰り返す。 高台に柵を設け、上から下へ矢を射掛ける形で次々クってくるアヤカシを倒していく。 偶に混ざっている強力なアヤカシも、志体を持つ者に集中的に攻撃させ、やはり柵に至る前に倒しきってしまう。 既に五度の攻撃をこの柵と布陣にて打ち破っている指揮官は、アヤカシ達の動きから、次辺りで一息に壊走にまで追い込んでやる腹積もりであった。 しかし、どうしても手が足りない。 敵アヤカシを壊走に追い込んだとしても、半数以上が残る読みだ。 それが全てアヤカシの森に逃げ込んだとしたら、中級アヤカシも恐らく残るであろうし、程なくして再侵攻を企てるだろう。それではマズイのだ。 アヤカシ達の逃亡ルートは予測出来ている。 ここに伏兵を潜ませたいのだが、下手に逃げ道を塞いでしまい、死に物狂いで暴れられてはこちらの被害も甚大となろう。 かといって、二体居る中級アヤカシは、何としてでもここで仕留めておかなければならない。 しばらく悩んだ後、指揮官は待ち伏せを二箇所に分ける事にする。 一箇所は森の一本道、この左右に弓兵を中心とした兵を置き、逃げるアヤカシの数を減らせるだけ減らす。 そして切り立った崖に囲まれた道に優れた兵を置き、下級アヤカシには目もくれず、中級アヤカシを仕留めさせる策だ。 現在残っているのが百程、半数を討ち減らしたとして五十、森での追撃で更に半数を討ち、二十五。 敗走であるので、ある程度バラけているとは思うが、この数の中に居る中級二体を仕留める役は、開拓者を雇う事で対応する事にした。 不確定要素が多いので、志体を持った歴戦の兵である開拓者に任せるのが最良であると指揮官は考えたのだ。 「そこの賑やかな二人。おいこら聞こえないフリをするな、平蔵と平次。お前達で待ち伏せ地点まで開拓者の案内をしてやれ」 「ちょ! 待ってそれ結構危険じゃないっすか! 俺も突撃参加した挙句勝ち鬨あげたいしっ!」 「何という理不尽。血も涙も無い指揮官の元で、俺の悲しみは炸裂するっ」 鉄拳制裁。 「総攻撃の時、敵がどれぐらいの数残ったかの連絡とかをするから、お前達は崖上にでも居て開拓者達に伝えてやれ。あそこなら危険も少ないだろうしな」 さーいえっさーと了承する二人。 「りょーかいひまひは、てっけん痛いれふ」 「へ、へへっ、指揮官殿、良い拳です。一緒に世界を獲りませんか。あ、いや冗談っす! 真面目にやるっす!」 |
■参加者一覧
志野宮 鳴瀬(ia0009)
20歳・女・巫
羅喉丸(ia0347)
22歳・男・泰
相川・勝一(ia0675)
12歳・男・サ
嵩山 薫(ia1747)
33歳・女・泰
真珠朗(ia3553)
27歳・男・泰
フェルル=グライフ(ia4572)
19歳・女・騎
風和 律(ib0749)
21歳・女・騎
将門(ib1770)
25歳・男・サ |
■リプレイ本文 崖の上にて知らせを待つ開拓者達。 歴戦の者達が集っている中、明らかに浮いているへっぽこ二人組平蔵と平次は、念を押すように繰り返す。 「いいか、俺等は絶対ここから降りねえからな!」 「むしろアヤカシが崖昇って来たら後ろも見ずに逃げる方向でよろしくっ!」 真珠朗(ia3553)は、そうしてくれた方がこちらも面倒見なくていい分楽ですな、と特に異論は無い模様。 あまりにみっともない様に、風和 律(ib0749)は眉根を寄せるも、彼等にはそもそも無茶を言うつもりもない。 将門(ib1770)は、俺もそこまで戦に慣れているわけではないんだが、とも思ったが、口に出してもみっともないだけなので沈黙を守る。 ふう、と嘆息する志野宮 鳴瀬(ia0009)。 「平蔵殿と平次殿には、伝令待機ついでに下級アヤカシへの攻撃援護をお願いしても?」 少し呆れた顔で付け加える。 「‥‥ばーかばーか云うのがお好きなのでしたら、思う存分に射て野次って頂いて構いませんし。ええ」 任せろ、野次りの土俵においてはアヤカシごとき俺達の敵じゃねえぜ、と心強いんだか弱いんだからわからぬお返事。 ご随意に、とせめてもの援護を約束させるが、それで満足しないのが一人。 嵩山 薫(ia1747)は、不安げに目を伏せた後、腰をかがめ、上目遣いに平蔵と平次を覗き込む。 何事かと、思わず硬直する二人。 薫は何処で鍛えたものやら、ねだるような顔で中級アヤカシへの援護射撃を頼む。 「後衛に乏しい今、頼りになるのは貴方達だけなの‥‥お願い。ね?」 相川・勝一(ia0675)は幾らなんでもそれは難しいだろうと思い、これを止めに入る。 「二人は開拓者じゃないんだし、怖い目に遭わせるのも‥‥」 そこで、平蔵が勝一の方に振り返る。 「何を言ってるんだ君は! 愛の戦士平蔵様がこの程度で臆するとでも思ったか!? いいやありえん! 中級アヤカシ? そんな奴ぁもう指先一つでぷちーってな感じで‥‥」 熱弁を奮う平蔵の顎に、平次の飛び膝蹴りが炸裂する。 「笑わすな! 愛の戦士とはこの平次様の事よ! 晴れてアヤカシ共を駆逐した暁にはめくるめく夢の世界に誘われ‥‥」 とんっと飛び上がり、平次の後頭部に延髄蹴りをかます平蔵。 「いやじゃああああああ! 俺が愛の戦士なんじゃあああああ!」 「てめえの腐れた愛なんぞドブネズミにでもくれてやれやボケがあああああ!」 ここまで黙って事態を見ていた羅喉丸(ia0347)が、暴れる二人の襟首を引っつかみ、それぞれ片手のみで持ち上げる。 「中級アヤカシが現れたら、これへ弓にての足止め。危険そうだったら即座に脱出。頼めるかい?」 了解でさぁ大将、と二人は声を揃える。 フェルル=グライフ(ia4572)はこそこそっと薫に問う。 「あの‥‥随分と慣れてらっしゃるのですね」 くすっと笑う薫。 「亭主相手に鍛え上げたのよ。男ってみんな馬鹿よね」 二人が愛を示したい相手はとうの昔に旦那持ちとか、色んな意味で哀れを誘うお話であったとか。 崖上からの報せ。森での追撃が始まったらしく、合図が送られてくる。 第一波に中級アヤカシの姿はなし。 程なくして現れるアヤカシの群に、羅喉丸は皆を下がらせ一人、前に出る。 「無事逃げおおせる事ができたのなら、また誰かを襲うのだろう。ただでは通すわけには行かないな」 アヤカシ達は逃亡を選びたかったのだろうが、他に逃げ道も無い事と、数が少ない事から強行突破にかかる。 その鼻っ面に、痛烈な一打を。 ゆっくりと膝を上げ、ただ下ろすだけの所作。 同じ泰拳士である真珠朗は、ほうと僅かに目を見張る。 同時に動く両の腕、軸として大地についた足、それらを繋ぐ胴の捻り、全てが有機的に繋がっており、ただ一点、踏み下ろす足へと伝えられているのだ。 更に、破軍の術技により発勁を大幅に強化している。 そうとわかっていたから、真珠朗は自分一人だけは来るぞーっと身構える。 「奥義 崩震脚」 大地に亀裂が走る。 上げて下ろしただけの足が触れると、蜘蛛の巣状に地面はひび割れ、足元より放たれた衝撃が周囲へと放たれる。 間髪入れず二発目を打ち込み、再び衝撃波が巻き起こる。 一息に突破をと飛び込んできたアヤカシ達を文字通り吹き飛ばしたこの攻撃は、先制攻撃としては十二分であったろう。 フェルルがすぐに単身で前へ出ている羅喉丸の援護に入る。 「人々を苦しめたその業、この場にて討ち払います!」 逃走ではなく戦闘を選んだ下級アヤカシ達に、将門もまた刀を抜き払い攻撃を開始する。 いきなり急所ではなく崩してからの斬撃に、骸骨は腕の骨を砕かれる。 振るった刀を全速で戻し、受けに回す。 別の骸骨が将門を狙い斬りつけてきた剣撃は、ぎりぎりこれで受け止めきれた。 しかし先程片腕を砕いた骸骨の一撃。これは受けきれず避けようと身を捩るも、肩先を強く打たれる。 『思っていたより、俺は興奮してるらしいな』 予想を外された事に、一撃をもらってしまった事に、苦痛や悔恨以上に怒りを感じている。 努めて冷静であろうと気を引き締め、隘路の左側を塞ぎにかかる。 狭い隘路とはいえ、馬車が三台並んで通れるぐらいはある。 羅喉丸、フェルルが中央に陣取るだけでは抑え切れぬだろう。 下級は逃がしてしまっても構わないのだが、逃がす、残すの選択を開拓者側が出来る状況を立ち上げておかねば、いざ中級アヤカシが出て来た時対応が遅れてしまう。 それに彼等は、追撃隊でもあるのだから。 「少しでもアヤカシを減らしたいものだがな」 既にしてから数に勝るアヤカシ達を相手に、誰一人、怯むどころか縦横無尽に平然と動き回っている。 頼もしい限りだ、ともう一人抑えに動いてくれた仲間、律を見やる。 彼女もまた将門と同じように抜かれぬ事が肝要と考えてくれたようで、それが少し嬉しかった。 律は自らの修めている技術の特性を良く理解していた。 ならば騎士である自分が相手をすべきは、力自慢、堅さ自慢の鬼型であろう。 振り下ろされる鬼型の豪腕を、刀を叩きつけて弾く。 力対力、力自慢を相手に堂々と真っ向力勝負で迎え撃ち、強く受ける事で同時に敵を崩す。 すぐに片腕で持った刀を、全身を一杯に伸ばし相手の予想をすら超える伸びと共に急所へと放つ。 律は序盤戦より全力で挑んで戦闘をこちらのペースで維持し、急場、つまり中級アヤカシの登場に備えるつもりだった。 時間が経つにつれ、倒す数より増える数の方が勝るようになってくる。 鳴瀬は増え続ける下級アヤカシの標的にならぬよう、細心の注意を払いながら味方の回復に努める。 口で言う程簡単な行為ではない。 これを為すには敵味方合わせ二十人以上居る戦場にあって、その一人一人の動きをつぶさに観察せねばならぬのだから。 向かうべき相手がはっきりしてるアヤカシは、何も考えずその者につっかかっていく。 しかし、自分が向かうべき敵が側におらず、手の空いてしまう瞬間がある。 その時、手の空いた者の視界に自分の姿があっては拙いのだ。 『‥‥只でさえ数に劣る戦、即戦力にならぬ身の護衛などに誰の手も割かせる訳には参りません』 前衛への支援とは術によるもののみにあらず。そう彼女は正しく理解しているのだ。 そして注視すべきは無論敵のみではない。 味方の損傷具合や、戦況の展開を読んで厳しくなりそうな箇所に予め加護結界を送るなど、皆の状況も逐一把握していなければならない。 体を動かす代わりに頭を働かせる。 後方支援とはかくやあらん、といった姿の鳴瀬であったが、残る二人の後方支援組。平蔵平次はといえば、絶好調に喚き散らしながら矢を射ている。 その罵り声はさておき、意外に的確な援護射撃であるので、発言に関しては聞こえない事にしてやる鳴瀬であった。 羅喉丸は、現状は時間さえかければ全滅させられる戦力比であると見ていた。 続々増えては居るが、この増加ペースならばまだ充分対応出来る。 だが、その先に二体の巨体を見つけた羅喉丸は、そんな楽観を即座に捨て去る。 既に自分の周りにも下級アヤカシが取り囲んでいる。 一瞬、ちらりと後ろを見た後、瞬脚にて包囲を突き抜けその位置、敵が密集している場所に飛び込む。 後方より真珠朗が駆けてくるのも知っている。 だが羅喉丸は委細構わず崩震脚を叩き込む。 走る真珠朗は、自らも泰拳士であり、崩震脚の間合いも熟知しているという利点を、最大限に活用するつもりであった。 羅喉丸が一度こちらを見たのは、その場で思いついた真珠朗への合図。 それと悟って即座に動く真珠朗もまた歴戦の兵である。 羅喉丸の崩震脚が巻き起こす衝撃が、真珠朗の顔を激しく叩く。 しかしそれも有効範囲を外れており怪我を負う程ではない。ちょっと痛くはあるが。 羅喉丸が吹き飛ばしてくれたおかげで、中央に突破すべき道が半ばまで開通してくれる。 「んー最近人様の援護に回ってばかりだったから槍の使い方、忘れてなきゃいいんですが」 軽口と共に大地を蹴る。 「肩、お借りしますよ」 宙を舞った真珠朗は、崩震脚を放った直後で低く重心を落としている羅喉丸の肩を蹴り、更に高く、中級アヤカシ達を守るように居る下級アヤカシ共の頭上を越え、空にて両足を折りたたみつつ槍を背の後ろに構える。 敵もそれに気付いたが、相手が空では如何ともしようがない。 真珠朗は並んで駆け抜けんとする二体の中級アヤカシに向け、背なより回した槍を横薙ぎに振るう。 駆ける中級アヤカシは、その威力侮り難しと足を止めこれをかわす。 それでいい。真珠朗の狙いは、中級アヤカシの足止めであるのだから。 それだけで済まさず、着地の衝撃を受け止めるため低い姿勢となった位置より、跳ね起きざま槍を突き出し硬い表皮の隙間を貫いてる辺り、動きに如才が無い。 飛び込みにしても、この槍撃にしても、中級アヤカシの想像を超えるものであろうと、真珠朗はそう動き続ける事を自らに課す。 しかし、当然周囲には下級アヤカシでいっぱいだ。無茶にも程がある動きだが、これもまた対応出来ぬものではない。 フェルルの咆哮が戦場に木霊する。この位置で放てば中級周辺に居る下級アヤカシは全てこちらに引っ張れる。 しかし、敵を引き付ける効果のある咆哮だ、それをフェルル程の力量の者がこんな狭い戦場で使うとどうなるか。 その力に逆らいきれぬ下級アヤカシ達は、皆がこぞってフェルルへと殺到してくる。 勿論この結果が見えていなかったフェルルではない。 隼の如き俊敏な体術により、包囲を回避せんと動き回る。 それでも、この数を制しきるには届かず。 不意に、包囲の一角が大きく崩れる。 後先を考えず、律がアヤカシ達に肩でぶつかっていったのだ。 体当たりで先頭の者の体勢を崩すと、その体を引っつかみ、盾のように構えながら後ろに居た四体をもまとめて、力任せに押し切りにかかる。 敵も当然逆らう。だが、四体が五体であろうと崩れた体勢では、制圧戦闘こそ騎士のあり方と考え、そう戦い続けて来た律の力押しを防ぐ事能わず。 咆哮により期せずして成立したフェルルへの包囲の一角が崩れ落ちる。 最中、腰の入らぬ剣が律の鎧を何度も叩くが、堅固な装甲は微動だにせず。 こぼれた敵は、更に援護に入った将門が拾い斬る。 「無茶をする」 「アヤカシがフェルルを狙うからこその、無茶ではあるさ」 事ここに至っては、アヤカシを後ろに逃がさぬのが目的ではなく、下級アヤカシを中級アヤカシと戦う者達の所に向けぬのが彼等の役割となったのだ。 そして、開拓者達の切り札が戦場に姿を現す。 「来た! そろそろ‥‥」 勝一が虎の面を被る。 「俺達の出番かな!」 崖を一息に滑り下る、いや駆け下りていく。 「相川・勝一‥‥参る!」 赤鬼の背後に向け一直線。 途中二体程居た下級アヤカシを走る勢いだけで跳ね飛ばす荒々しさは、仮面をつけぬ時の愛らしさすら覚える顔立ちからは想像もつかないだろう。 「まずは先手必勝だ! 一撃入れさせてもらう!」 力任せの剛剣、と見せかけ極めて合理的に刀を振りぬく。 通り抜けざまの一撃は、中級アヤカシである赤鬼ですら回避も受けも出来ず、足を斬り裂かれる。 赤鬼は抜けるではなく蹴散らすに切り替えた模様。 後方の勝一に向け、拳槌を叩き落す。 これを盾を上げて真っ向から受け止める。 勝一の小柄、というより子供と変わらぬ程の身長と、赤鬼の巨体では比べるのも馬鹿らしくなる差があり、赤鬼は正に小動物を踏み潰す感覚であったろう。 だが、そんな愛くるしい小動物は、赤鬼全力の拳、体重を乗せた一撃を全身で堪えているではないか。 大地にめりこむ両の足が、その衝撃の大きさを物語っている。 ぎりぎりと力点を横にずらし、いけると踏んだ所で大きく弾き返す。 「流石にキツイが‥‥正面班が突破してくるまではこちらの相手をしてもらうぞ!」 薫は崖上から、青鬼を威嚇するように力強く構えを取る。 「嵩山流、妙技‥‥飛荒天鷹陣! しぇぁーっ!!」 崖下で真珠朗が、これ笑う所ですかね、とか言ってるのはさておき。 構えはそのままに崖を蹴って飛び上がる。その姿、正に荒ぶる鷹の如し。 瞬脚の技を空に応用し、荒鷹陣の威嚇を持って敵の反撃を弱め、回避の難しい空にあってより有利に、より激しき攻撃を可能とする。 これぞ嵩山流・飛荒天鷹陣、らしい。 真珠朗君はつっこみを放棄した。 何処まで本気か分からぬ攻撃であるが、飛び降りざまに手刀を打ち込むと、まるで羽のようにひらりと着地を決める。 「此処は人の通いし為の道。アヤカシは瘴気へと還る道を辿るといいわ」 言葉尻に合わせるように、手刀を打ち込んだ部位に込められた気が炸裂する。 それも二箇所同時に。 あの落下の際に二打を叩き込んでいたのだ。 と、上から矢の援護が降ってくる。 一度だけ天使のような笑みをそちらに向けて、そこからは真剣に青鬼と対する。 極神点穴を二度もその身に受けて尚、青鬼は戦意を失った様子は無かったのだから。 確かに中級アヤカシは恐るべき相手であったが、いずれも戦場にて戦い、更に追撃をも受けている身。 錬力を駆使した瞬間最大火力は開拓者が大きくこれに勝る。 なので、下級アヤカシ達が逃げを打ち出すと、適度にこれを減らしつつ、皆は中級アヤカシ退治に集中出来、遂に二体を倒す事に成功する。 戦は、中級アヤカシの足を完璧に止めて見せた所で、ほぼ開拓者達の勝利で確定していたのだった。 平蔵平次がその後どうしたかは、こんなアホ二人にも気を使ってくれる心優しい勝一君の慰めの言葉に涙したとかそうでないとか。 |