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■オープニング本文 腹に据えかねるという言葉がある。 大工の若衆頭を勤める喜八の心底から噴出した感情は、正にその一言に尽きた。 仕事の上でならば我慢もしよう。わがままな客も客の内だ。 だがその上で仲間をコケにされ、あまつさえ妹にまでちょっかいを出されたとあっては話は別である。 屋敷の新築を依頼してきた雇い主である人足頭小五郎は、仲間の技術をさんざ物笑いの種にした挙句、喜八に弁当を持ってきた、たった一人の肉親である妹を辱めたのだ。 小五郎は志体を持ち、特殊な訓練を受けた志士、剣の達人である。 その仲間であるサムライが、戯れよと喜八の妹の服帯を切り落し、妹は衆目の真ん中で肌を晒しかけてしまったのだ。 後で話を聞いた喜八が激怒し、小五郎を殴り飛ばしたとて何の不思議があろうか。 だが人足頭である小五郎は官の覚えもめでたく、以前にアヤカシ退治に功もある事から軍とも誼を通じている。 小五郎の振る舞いが横暴なのもこういった背景あっての事であり、そうそう文句も言えぬのが現実だ。 しかしそれらは全て、喜八にとって一切係わり合いの無い事。喜八はただひたすらに、小五郎の所業が許せなかっただけなのだ。 「煮るなり焼くなり好きにしやがれ!」 公衆の面前で小五郎を殴り飛ばした上、そう言い放って開き直る喜八に、小五郎はすぐに復讐をしなかった。 しかし面目を何より重んじる小五郎の事、決して喜八をそのままにはしておくまいと、街の皆がそう思っていた。 喜八の妹、九重は、兄の友人達にどうか小五郎と兄が和解出来ぬものかと相談を持ちかける。 このままでは遠からず兄は小五郎にヒドイ目に遭わされるだろうと。 友人達は九重以上に危機感を持っていた。 ヒドイ目どころではない、小五郎は必ずや喜八を殺すだろう。 小五郎はそういう人間だと心底知っているからこそ、誰もが恐れ、決して触れようとはしなかったのだ。 無論面と向かって小五郎に逆らっては彼等も同じ目に遭わされるだけだ。 そこで友人の一人は一計を案じ、妹である九重に、友人達皆でかき集めた金子を渡し、こう言い含めたのだ。 「隣街の開拓者ギルドを頼るんだ。依頼人の名は出さぬよう徹底してもらえば、彼等は信頼に足る仕事をしてくれるだろう」 小五郎は遊郭からの帰り道で、ぽんと手を叩き愉快そうに笑いながら三歩後ろを歩く男達に語る。 「よーすっげー面白えー事思いついたよ俺ちゃん。あの喜八ってクソガキさ、一週間後に殺すって宣言してやったらどうだ?」 頭髪が完全に失われたいわゆるハゲの大男は、剃り残した顎髭を撫でる。 「なるほど。逆にそれでビビらせようって腹っすね」 「そーいう事。あいつさー、根性あるぜーって顔してふんぞり返ってるのがすげームカツクんだわ。で、ついでに‥‥」 小声で腹案を明かすとハゲ大男は爆笑を始める。 「アンタどんだけ悪党なんだよ! 一週間って宣言しといて期限前に妹共々拉致っちまおうとかタチ悪すぎだろ!」 「最高だろ?」 「たまんねえ、流石俺達の大将だ。最後にさんざ痛ぶった死体を川にでも流しときゃ、しばらくは下手に逆らおうなんて事考える奴も出てこねえだろうしな。まったく、どうしようもねえぐらい腐った人だなアンタは!」 今度は小五郎が大笑いを始める。 「人の事言えるか! てめえも充分クソ悪党だよボケ!」 年来の親友同士は肩を組み合って帰路につく。 後に続く男達は、また今度はどんなおこぼれに預かれるのかと楽しみにしながら、にへらへらと笑っていた。 彼等に面と向かって意見を出来る者はこの街では数える程しかおらず、その者達もまた、彼等と事を構えるのならば相応の覚悟が居る事から、容易き理由ではそうそう動いてはくれぬのだった。 |
■参加者一覧
まひる(ia0282)
24歳・女・泰
朧楼月 天忌(ia0291)
23歳・男・サ
樹邑 鴻(ia0483)
21歳・男・泰
志藤 久遠(ia0597)
26歳・女・志
水津(ia2177)
17歳・女・ジ
神鷹 弦一郎(ia5349)
24歳・男・弓
忠義(ia5430)
29歳・男・サ
朱麓(ia8390)
23歳・女・泰 |
■リプレイ本文 神鷹弦一郎(ia5349)と忠義(ia5430)が兄妹の家を訪れたのは夕暮れ時の事である。 夕飯の準備を始めていた九重は、頼んでいた開拓者が訪れてくれた事に喜ぶ。 一方驚いたのは兄の喜八である。 開拓者を雇う金なぞ何処から引っ張り出したと驚き怒る。 九重はありのまま友人達が皆で出し合ってくれたと伝えると、余計な事を、仕方のねえ奴等だと文句を言いながらそっぽを向く。 九重は兄がご無礼をと弦一郎と忠義に頭を下げるが、二人から見ても、喜八のアレは単なる照れ隠しだったので苦笑で済ませてやる。 弦一郎が九重と話を詰めている間に、喜八は厠へ行くといって逃げるように部屋を出る。 単に居ずらかっただけであったのは、外に出た喜八が何処に行くでもなく外でぼへーっとしていた事からもわかる。 忠義はそんな喜八に声をかけた。 「いえね、事の顛末を当人から聞いておこうと思いやして」 少々不機嫌そうにしながらも、喜八は一通りを語って聞かせる。 賑やかなべらんめえ口調ではあるが、ギルドで聞いた話とほとんど変わらないというのは、この男が公正である証であろう。 ただ相手を悪いと貶すだけではなく、自分の悪かった所を見直せるだけの器量もあるように思えた。 ならば、と少し忠義も語気を強くする。 「成程、それで煮るだか焼くだかされそうになってんですね。良く分かります」 「あん?」 「ま、俺としちゃ行動は立派だと思いますぜや。共感は全くできませんがね。何がまずいかって喜八様の行動において自衛の策がなされていない」 「そりゃ、俺だって‥‥」 「恐らく感情だけで突っ走ったンでしょーが、煮るなり焼くなりすきにしろと啖呵をきって、本当に煮るなり焼くなりされたらどうします。現実、力を振りかざすものが居るということ、そして喧嘩を売ったなら自衛ぐらいの用意はして欲しいかと。貴方が誰かを大切に思う限りにおいて、貴方は貴方だけのものではない、ということですがや」 九重の事を出されては喜八も返す言葉が無い。 そもそも九重にされた無体が原因でキレたのであるし。忠義に言われた事を考えていたからこそ、それまでは我慢していたのだから。 「まあ、ということで一週間は大人しくしておいて欲しいのですがね、どちらにせよ俺が護衛に付かせて頂きます」 「それであいつらが大人しくなるってのか?」 「大人しくなるんじゃない、大人しくさせるんでやす。まあ見ていて下せえ」 ちょうどその頃、九重に弦一郎が作戦を伝えた所、九重は一番の不安を口にしていた。 「‥‥そのお話を聞いて、兄が大人しくしていてくれるでしょうか‥‥」 「はははっ、大丈夫ですよ。その時は俺達が責任をもって大人しくさせますから」 二人は、同時に人の悪そうな顔で笑うのだった。 まひる(ia0282)はそのわがままにすぎる体型をこれみよがしに誇示する。 隣に座っていた朱麓(ia8390)は、こちらも負けず劣らず豊満なスタイルを曝け出しながら、まひるの胸を指先でつつく。 「いっやー、今更だけどでっかいねぇまひるのは」 「ちょ、いきなり何すんのさ。朱麓だって相当なモノでしょうに」 「だって自分のおっきくたってつまんないし」 「いや意味わかんないから! あんまわけわかんないとおっぱいぶつけんぞ!」 「ご褒美でしょそれ常考」 女二人が姦しく、艶かしく酒場にて語らっているわけで。 ちなみにその頃、少し離れた席にて水津(ia2177)がドへこみしてたとかしてないとか。 志藤久遠(ia0597)が軽い食事を取りながら、慰めていたりする。 「え、えっと‥‥その、ほら、おそばおいしいですよ」 「うぅっ、この世に平等の二字は無いのです‥‥」 ずるずるとざるそばをかっこむ水津は、酒場に入ってきた人影を見て、口をつけたそばをちゅるっと飲み込む。 「来ました、か」 「さて、ここからは我慢の時間ですね」 今回の標的、小五郎一派が店に現れたのだ。 スタイルに自信ありすぎる二人組が艶に騒ぐ様は、小五郎の心をいたく刺激したらしく、店に来てまだ一本も空けていないというのに、もう動き始める。 この街で小五郎は随分と無理を通せる立場に居るのだろう、店の人間も彼等のやる事は見てみぬフリである。 「よう、見ない顔だけど何処から来たんだい?」 なんて事抜かしながらぞろぞろと野郎ばかりが六人近く席に寄ってきたら、大抵の女の子はビビる。 のだが、小五郎はそんな事にも気づかず、悪い事をしているとは気ほども思わぬまま社交的に会話をしているつもりなのだ。 幸いというか、今回に限ってはそんな程度ではびくともしないような二人が相手なので、両者に齟齬の無いまま話は続くのだが。 朱麓が上目遣いで小五郎を見上げる。 「んー、南から。旅の途中なんだけど、良い宿とか知ってる?」 煽り方も随分と心得ているようで。 小五郎は満面の笑みで、空いている席に腰を下ろす。 「任せとけ。だが寝るにゃまだ早ぇ、どうだい一緒に一杯」 朱麓はちらっとまひるに視線を送る。 まだ早い、そう目で語るまひるに、仕方ないかと朱麓はもうしばらく付き合う事にした。 朧楼月天忌(ia0291)が控えていたのは、店の外であった。 連中が店に入ったのを確認した後、さてどうするかと同じく待ち構えていた樹邑鴻(ia0483)に訊ねる。 鴻は調査結果を元に自分なりの結論を語る。 「あの店は連中ご用達らしくてな。随分と無法な真似も店主が見逃すって場所らしい」 「‥‥そうかい。それで連中一体どんな無法な真似を‥‥いや、いい、やっぱ言うな。胸糞悪くなるだけだろ」 「賢明だ。見ろよ、他の客がぞろぞろ店から出ていってやがる。まあ都合が良いっていえばいいのか」 「心得たもんだな、そんな店によくもまあ人が集まるもんだよ」 「この街じゃ一番デカイ店らしいぜ。ああ、くそっ、段々腹立ってきたな、そろそろ行くか」 おうよと肩を怒らせる天忌と並んで、二人は店の扉を開く。 露骨すぎる程に目立つ、耳障りな大声。 ケンカを売る気なのだし、ここで遠慮は無用だろうとせいぜい憎らしげに見えるように姿を現す鴻。 「やぁ、兄さん方。人のツレに何の用だ?」 気分良く口説いている最中に、いきなり男に声をかけられて上機嫌でいられる男はいない。 ましてや、口説いていた女二人が親しそうに男達に声をかけるとあっては、不機嫌さは更に加速する。 「何だ、男連れかよ」 天忌も野生的な外見そのままに乱暴な口調で答える。いや演技ではなくこれは地でもあるのだが。 「人の女にちょっかいかけてんじゃねえよ、今すぐ失せな。さもなきゃただでさえモテねえその面、二目と見れねえもんにしちまうぞ」 恥をかかされた挙句、こんな挑発文句を重ねられれば、そりゃ誰でも頭に来るであろう。 ましてや自分の城とでもいうべき店で、明らかに小五郎達の方が数に勝るとくれば尚更である。 小五郎はチンピラ達に向かって宣言する。 「あー、予定変更。野郎はぶち殺して女はさらっちまおうぜ」 店主がこそこそと動き出し、店の端でそばをずるずるやっていた水津と久遠の前に立つ。 「お客さん、お代は結構だから今日の所は‥‥」 久遠は怪訝そうな顔で問い返す。 「確かに、何やら狼藉の気配がありますね。もし良ければ私が街の衛士に声をかけてきますが」 「おいおい、他所者のアンタ等が心配するような事じゃねえよ。いいから何も見なかった事にしてさっさと行っちまいな。こいつは親切で言ってんだぜ」 確かに店主の言う通りなのであるが、久遠は心底、納得がいかなかった。 なので、彼女も席を立つ。 「店主殿、ではこちらからも忠告してあげましょう。これより先、少々店に被害が出るやもしれませんが、それらは全て自業自得と心得なさい」 そうしてさっそくおっぱじまっている、店内での大ケンカに参加する久遠。 「人々が疲れを癒し鋭気を養う場での狼藉、加えて多勢で囲むこのやり口‥‥捨て置けません」 戸惑う店主に、相変わらずそばをずるずるとやっている水津がぼそっと呟く。 「よりにもよって開拓者に喧嘩を売るなんて、運の悪い方々ですね」 「開拓者? って事は志体持ってるのか? いや、それだったら小五郎さんだって‥‥」 「見た所、そちらの志体持ちは一人だけみたいですし。幾らなんでも五人の志体持ち相手じゃお話にならないと思いますよ」 「何? 五人だって?」 ざるの底に残った最後の一本をめんつゆにつけ、ちゅるっと飲み込む。 「私も入れれば六人ですけどね。本当、運の悪い方々です」 ケンカであるから殴り合いが主だが、まるでお話にならない。 五人居たチンピラはあっという間にのされてしまい、残った小五郎も、完全に囲まれた状態では為す術もあろうはずがない。 抜刀した所で、あっという間に武器を取り上げられ、これ以上店に迷惑をかけられないと店の外に引きずり出されていく。 何発かは返した辺り、一応はアヤカシとも戦った事のある志体持ちらしくはあったが、与えた傷も水津がさくっと治してしまった。 店の外には人だかりが出来ている。 この辺りでは逆らう者すらいない小五郎が、取り巻き共々ぼっこぼこにやられているというのだから、皆一体何事かと気になるものであろう。 久遠は皆に確認するように問う。 「さて、どうしたものか」 水津はじーっと小五郎を見下ろしている。 囲まれた後もさんざ偉そうな事を抜かしていたので、ぼこぼこと都度どつかれた結果、今ではそれなりに大人しくしているが、拗ねたようにそっぽを向いている。 まるで図体の大きな駄々っ子である。彼にはもう少しキツイ仕置きが必要だと水津は考えた。 「浄炎、火種で実際の痛みと軽い火傷を交えた攻撃を行い徹底的になぶって治療‥‥を繰り返しますか‥‥」 慌ててまひるが止める。 「ちょ、ちょっと待って。役所にでも突き出しゃそれでいいじゃないかい」 久遠はうんうんと頷くが、天忌はそんなまひるを鼻で笑う。 「はっ、お役所ね。こんだけ騒ぎになっときながら、誰一人出て来ない役所に何を頼むんだっての」 「それはっ!」 「生憎とオレもチンピラ、手が汚れる心配なんざ不要でね」 ここで初めて刀を抜いた天忌の前に、鴻が割って入る。 「まあそう言うなよ。それに少し聞きたい事もあるんだ」 地面に這い蹲っている小五郎に鴻が問う。 「なあ、アンタの仲間にもっと強い奴は居ないのか? 居るんなら呼んでみたらどうだ? もしかしたら俺達相手でも勝てるかもしれないぞ」 「いーや無理だね」 返事は小五郎ではない場所から聞こえてきた。 喜八の家に詰めていた弦一郎と忠義は、その気配に気付くなり武器を手に取り席を立つ。 不安気な九重と俺も行くぜな喜八をその場に留め、忠義は静かに家の外に出る。 ちょうど、入り口から男達が押し入ろうとした所であった。 見た事もない顔が居る事を不審に思った先頭のハゲ頭は、いかつい顔で忠義を睨みつける。 「何だてめぇ、この家に何の用だ?」 「こっちの台詞ですな。チンピラさん方よお、こっから先を通る奴ぁ命捨てないといけないんでさ」 ふざけんなとチンピラの一人が忠義を突き飛ばさんと前に出る。 「馬鹿よせ!」 ハゲ頭の制止も間に合わない。 忠義の後方より飛び来た矢が、チンピラの足を射抜いたのだ。 悲鳴を上げて転がりまわるチンピラを見下ろし、忠義はすらりとショートソードを抜き放つ。 「やるかどうか、今すぐ決めてくだせぇ。さもなきゃ俺が決めちまいますぜ」 小五郎はまるで天中殺にでも見舞われたかのような顔で見上げている。 そう、忠義と弦一郎にぼっこぼこにぶちのめされたハゲ頭達がぞろぞろ歩いてくる様をだ。 弦一郎はにやっと笑って片手を上げる。 「よう、ケンカかい?」 迎える朱麓がその手を叩く。 「もう済んだよ。そっちも随分と派手にやったみたいね」 全員が顔見知りらしいと察した小五郎は、絶望的なまでに青ざめた顔をしている。 「あ、アンタ等一体何者なんだよ‥‥」 何時まで経っても出てこない役人には見切りをつけ、鴻は皆に引き上げるよう促す。 朱麓は念を押すように小五郎に人差し指を突きつける。 「そんな大層なものじゃない、何処にでも居るただの開拓者よ。今度また同じような事をしたらただじゃおかないからね」 忠義と弦一郎以外は今回の依頼人である九重や喜八に会ってはいない。 皆それぞれあの兄妹に言いたい事があったので、では家に向かうかと歩いていたのだが、そんな開拓者達に声をかけてくる者達が居た。 街の住人達である。 驚いた、噂には聞いていたがここまで強いとは思わなかったと口々に開拓者達を誉めそやす。 これだけ強いんならまた何かあったら同じように開拓者を頼ろうと喜び騒ぐ。余程小五郎達に痛い目にあわされてきたのだろう。 おお、是非そうしてくれと返事をしつつ、兄妹とのつながりがバレぬよう注意しながら家へと出向く。 皆よってたかって兄に説教したり妹を励ましたりしているが、概ね皆が笑顔のままである。 どうやら見事に思い知らせてやれたし、開拓者が来たら小五郎達では敵わないと知れ渡ってしまった以上、連中も今までのような無茶は出来まい。 まひるは一人、小五郎達の元に戻る。 取り巻きも逃げ出して、小五郎とハゲ頭は二人のみで、呆然と地面に座り込んでいた。 「なあ、アンタ等さ。これも良い機会だし、一度街を出てまっとうな道で出直してみちゃどうだい? 井の中のかわずじゃもったいないよアンタ等の力は‥‥」 面倒見が良すぎるのか、もしくはありえた自身の姿を重ねているのか、まひるは彼等に一言かけずにはいられなかったのだ。 結果彼等は再び悪事に手を染めるかもしれないが、それ以外の道を選んでくれる切欠になるかもしれない。 そうであって欲しいと、祈るように語りかけ、その場を後にするのだった。 |