一陣の風
マスター名：からた狐
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| ■オープニング本文 疾風と共にそいつらはやってくる。 アヤカシ・カマイタチ。 まだまだ暑い季節。絡みつく熱を切り裂き、纏いつく湿気を吹き飛ばす速さで迫ると、街道を行く人々に襲い掛かる。 その数、五体。 素早い身のこなしで、雑踏もするりとすり抜け。両手の鎌から放たれる真空の風が人々を襲う。 「キャー！」 「ウワアアア！」 たちまち上がる阿鼻叫喚。 ただ、絶命の声からは程遠い。 「ありまー。爺さま以外に玉の肌はみせらんねべよ」 「イヤー！！ 何見せてんのよ、助平！！」 「ンギャアアア！！」 「早く、こちらでおめしかえを！！」 老若男女問わず、衣服を――特に下半身を斬られ、露出した人々で街道は大騒ぎになる。 年頃の娘だとそのまま座り込んで動けなくなるし、男であっても周囲から責められ万事窮す。 逃げようとする人、助けようとする人でごった返す中、その頃には当のアヤカシはとっくに消え去っていた。 ● 「どうも、街道を行く人がいつ服を斬られて恥を晒すかという恐怖を楽しんでいるようで」 「‥‥嫌な恐怖だな」 街道近くに住む者を代表してやってきた男が事情を語ると、開拓者ギルドの受付は当然の感想を漏らす。 「そこは、私どもの辺りでは主要道路であり、多くの行商や旅人が利用しております。また、近くには私ども始めそういった方々相手に商売する店も軒を連ねております。もし寂れたり、封鎖されたりしてはあっという間に生活できなくなります」 アヤカシが出た時点で多くは道を避けるもの。 しかし、まだ死者どころか怪我人もほとんど無い。（服の無いままうろついた男性が捕まったり、肌を見られた女性が逆上して男性を殴ったりといった事件は起きている） 迂回路は非常に遠回りになるので、ほとんどの人間がそのままその街道を使っている。いつ斬られるかとびくびくしながら。 「何とかできないかと、こちらでも武装して対処を試みたのですが。困った事に、襲撃が成功しようが失敗しょうがそのまま去ってしまいます」 さすがに、鎧や盾といったモノまで一撃で裂くほど強く無いようだ。 かといって、通りにいる全員にそれを貸し出すわけにもいかないし、用意があるとも限らない。 だいたい、アヤカシが通るだけでも気味が悪いではないか。 「今のままでも十分害はありますが、さらに度を超し、本格的に人を襲うようになっては目も当てられません。どうか討伐をお願いします」 何の弾みで人の命を狙い出すか分からない。 受付は了承すると、ギルドへの告知作成にかかる。 「ふざけた事をするアヤカシではあるが、かまいたちは結構手強い。ゆめゆめ油断するなよ」 かけだしの開拓者なら返り討ちもありうる相手。 しかも、相手は素早さを生かしてすぐに去ってしまう。下手をすれば長期戦になるかもしれない。 |
■参加者一覧
風雅 哲心（ia0135）22歳・男・魔 
天河 ふしぎ（ia1037）17歳・男・シ 
アルティア・Ｌ・ナイン（ia1273）28歳・男・ジ 
斉藤晃（ia3071）40歳・男・サ 
荒屋敷（ia3801）17歳・男・サ 
風鬼（ia5399）23歳・女・シ 
和奏（ia8807）17歳・男・志 
鹿角 結（ib3119）24歳・女・弓 |
| ■リプレイ本文 夜出歩く者は少ない。明かりがあっても物騒には変わらず、であるからこそ日の出と共に人々は動き出す。 静かだった街道も日が昇るに連れて賑わいを増していく。 ● 「どういう事だ！ 説明してもらおうか！！」 まだ朝の早い内だというのに、勢いのいい罵声が飛んで来る。 街道の途中で。行く手を塞ぐ拒馬が設けられており、利用者は困惑していた。 昨日までは確かに無かった。夜間の内にいきなりできた通行止め。 大きな注意書きが立て看板で立てられていたが、それだけでは納得いかない。 区切られた区間のすぐ傍では、事情を探ろうと詳しそうな相手を探し、人集りが出来ている。 「アヤカシ退治の為です。鎌鼬が悪さをしている以上、皆様に危害が及ばぬよう‥‥」 鹿角 結（ib3119）が街道を詰め掛ける人たちに、状況の説明を入れる。 「そんなもの、前から出ておる。何を今更！」 「困ったわ。ここが通れないと半日は大回りしなくちゃ」 「急ぐ荷物があるんだよ！ そんな暢気な事してられねぇ！！」 しかし、向こうも苛立っている。皆まで聞かず、口々に主張する。下手すれば、このまま柵を壊してでも通りぬけようとする勢いだ。 「急ぐ旅路も、命あっての物種でしょう」 アルティア・Ｌ・ナイン（ia1273）が騒ぐ人たちに告げる。 胸の辺りは大きく服が裂け、血が滲んでいるようにも見える。通行人たちもその姿に驚き、騒ぎが一時静まる。 「おう、兄ちゃん真昼間から大胆だね！ ちょうどあっちから麗しいレディがお見えだぜ！？」 荒屋敷（ia3801）が茶々を入れる。 目を向けられた女性に、釣られて衆目の目が動き、注目を浴びた相手は恥ずかしそうに目を伏せた。 騒動も楽しげに見遣る荒屋敷。それを不謹慎と怒るよりも、事情が分からず通行人たちはさらに混乱している。 荒屋敷を一瞥しただけで、アルティアは通行人と向き合う。 「実は、この街道にでるアヤカシが本格的に人を襲うようになりました」 何も言わずに、アルティアは胸の傷口を押さえる。 ‥‥実は自分でつけた傷だったりする。勘違いしてくれた方が説得しやすいのだ。 案の定、ぎょっとした表情で、人々は目線を交わしている。そこに結が咳払いをして進み出る。 「皆様の身の安全を考え、この区間の通行を規制させていただきます。封鎖ではありません。ただ、通行の私たちが護衛に付かせてもらいます」 街道にも壁が作られているが、片側通行できるようにはしてある。 「どうする？ 引き返すか？」 「勘弁してくれよぉ」 他の人の顔色を覗いながら。それでも、さしたる反発は無く渋々と通行人たちは従う。やはり、アヤカシが怖いのには変わりない。 「はいはい。では、通行したい人はこちらに並んで下さい。急いでるのは分かってるけど、少しだけ待って」 天河 ふしぎ（ia1037）が、所属小隊の旗を振り上げ、通行人を整理。 格好は警備中狙ってこないか囮の意味を込めて、通行人たちと似たような物を着ている。 護衛が付いても御免だという者は引き返し、多少余裕があるものはとりあえず様子見をしたりと、若干抜ける者はいたが。 順番待ちに並ぶ列はあっという間に長くなる。さらに後からやってきた者は事情を知らず、また一から説明し直し。割り込みしようとする者との悶着があったり、騒ぎに乗じてにわか商売を始めたりする者が出たりと、小さな騒動は途絶えない。 「これは早い所なんとかしないと。長くは続かないな」 通行整理を手伝いながら、風雅 哲心（ia0135）も困惑を隠せない。 しかし、鎌鼬はいつ出ることやら。 「心配せんでも、もうすぐ俺らが退治しちゃうから、まあ今ん内にはしゃいでくれや」 不満そうに愚痴を零している通行人たちを、荒屋敷はどこか楽しげに笑いたてる。 ● 鎌鼬が出るという区間。開拓者に守られながら、少人数の纏まりが素早く通り抜ける。 向こうにつけば、今度はそちら側で待っていた人を護衛して戻る。その繰り返し。 「コッチ見んな。工事中や」 街道沿いには罠を設置。ただ、通り過ぎる人々には何をしてるかは今一つ分からない。 不安そうに見つめてくる目を、鬱陶しげに斉藤晃（ia3071）は振り払い、夜間の内には手の回らなかった箇所を回る。 強力で筋力強化し、効率を上げての作業。だが、夜間の暗い中では取りこぼしも仕方が無い。 そうやって確認を進めながらも、通りを行く人を見守り、アヤカシの襲来に警戒。即時対応できるよう供える。 「撒菱は小動物には効きませんよ」 「む、そうか？」 とりもち、撒菱など。各人趣向を凝らした中、風鬼（ia5399）が撒菱を回収していく。うっかり人間が引っ掛かっては元も子もない。 「話の限り。愉快犯のように思えますが、襲う相手を選んでいるのでしょうか」 通りを行く人を確認しながら、和奏（ia8807）は設置した道の障害物を確認。 途中作られた小さな山のような階段は、何気に人の歩みを遅くする。流れが滞ればそれだけアヤカシも狙ってきやすいか。アヤカシの移動を制限できればさらに良しだが。 「土地の人間から話を聞く限り、そうは思えないです。いきなり現れ、斬りつけ、そして走り去るだけ」 鳥もちにかかっていた鳥を逃がすと、風鬼はざっと通りを見渡す。 街道は土手の上で川沿い側はそれなりの見通し。その反対側は山裾が続いて木が茂る。道の左右には、今なお青々とした樹が等間隔で植えられており、影を落としている。 普段歩くには悪くない場所だ。 その中を、アヤカシは山から出る事もあれば、川から来る事もあるという。今も一体どこにいるやら。 ● 往復幾度目か。 先を急ぐ人たちの苛々は、いい加減限界に来ており、道の端にて結が必死に宥めて説明するが、それも後どれぐらいもつのやら。 なので、街道に呼子笛が響いた時、不謹慎かもしれないがほっとしたのは事実。 「入らないで！ いいというまでは決して近寄らないで下さい！！」 緊迫した口調で弓「緋凰」は、アヤカシへと迫る。 設置した罠は踏み込んでも閉ざされる前に素早く逃げ、とりもちにひっかかった仲間には、罠を丸ごと切り刻む。 捕らえるまでには至らなかったが、足止めにはなった。 接近を悟り、存在を確認。哲心は笛を鳴らす。 出ると承知で歩いてきた通行人も、さすがに目の前にしては平静でいられない。 「離れて伏せていて下さい！ 大丈夫、すぐに終わらせます！」 ふしぎは言い置くと、後は鎌鼬に向かって走り出す。武器は持っているがまだ抜かない。 鎌鼬がその異形の腕を振るう。すれ違いざまに雪折にて、大剣「オーガスレイヤー」を抜き放つ。 ふしぎの足元にはらりと布地が垂れる。対して、鎌鼬は胴を裂かれて転倒する。 「下着じゃないから、恥ずかしくないんだからな」 反撃を受けたのは忌々しいが、中は念の為に腰から脚までをぴったりとした下着をつけている。 とりあえず大丈夫とふしぎは構えなおすが、 「大胆に脚がめくれとるで。これ以上は見せられないな」 「ええ！？」 晃に指摘され、慌てる。 見れば、足元から腰の辺りまでさっくり生地が裂け、太腿まで露わになっている。 肉を斬らせて服を裁つ。鎌鼬も侮れない。 晃はといえば、こんな事もあろうかと用意していた●付き棒で、ふしぎを隠している。 一方で、いきなり斬られた鎌鼬たちも困惑している。 今まで相手にしてきたのは一般人。こんな歓迎は初めてだろう。 だが、それも一瞬。斬られた鎌鼬が起き上がると、すぐに立ち直り、駆け出す。 何事も無かったように真っ直ぐ、狙い易そう一般人たちに向けて。 「行かせませんよ。勿論、逃がしません！」 「好きにはやらせん！」 その前方、人との間を阻むように結が矢を降らせる。晃も苦無「獄導」で動きを牽制。 そして、風鬼は鎌鼬の進行方向やや右方面を狙い、風魔手裏剣を放つ。 攻撃を避け、するりと鎌鼬は行く手の左側に抜ける。 それこそが狙い。思う位置に誘導し、風鬼が早駆で地を蹴る。 一瞬にして、離れた距離を零にして、走る鎌鼬の首根っこに手を伸ばす。 「シャ！！」 捕まった鎌鼬が鋭く威嚇するや、身体を捻らせた。右腕は篭手を填めていたが、暴れる鎌は真空の刃を放ち、それ以外の場所にも届く。 目を斬られそうになって、とっさに手放す。鎌鼬は地面に転び、残りが代わりに風鬼を斬ろうと鎌を上げる。 一旦風鬼が距離を置く。それをなお迫ろうとする鎌鼬が突然斬れた。 「カマイさんの真似っこ、でどうでしょう？」 和奏が抜き放った刀「河内善貞」。繰り出された桔梗が鎌鼬を捕らえていた。 「私の存在は？」 下手すりゃ、一緒に斬られていたか？ 間にいた風鬼が一応尋ねる。 「当てないように注意しましたよ」 茫洋と和奏が返す。 やり取りの間にも風鬼は動いている。死鼠の短刀を取り出し、装備すると再び鎌鼬一体に迫る。 飛び退きかけた鎌鼬。だが、動き出す前に、その足を短刀で地面に縫いとめる。 「キャアアー！」 けたたましい声で鎌鼬が鳴いた。 「やはりこちらの方が危険は少ないでさぁ」 「一本では全ては止まらないでしょうけど」 和奏は別の鎌鼬を雪折で斬る。 「一瞬の速さで、負ける気はしない。我が一撃は風よりも速い！」 アルティアもリベレイターソードを構えると、瞬脚で差を縮め、相手の防御が整う前にその刃を振るう。縫いとめられた一体に止めを刺し、さらに別の一体に斬りつける。 続けざまに仲間が散り、攻撃を受けながらも、なお鎌鼬の動きは止まらなかった。 ただ、決断の方も早かった。 構える開拓者たちには勿論、震える一般人にも目をくれず、いきなり道の脇に逸れる。 作られた障害物も身軽に飛び越える。 が、とりもちはさすがに厄介だったのだろう。そこで、ふと足が鈍った。 「ダメです！ そちらには行かせません」 鈍ったその隙を逃さず、結が矢を射掛ける。刺さる矢を恐れてさらに逃げ惑う鎌鼬。 「やっぱ、すばしっこいな。しゃぁねぇ」 荒屋敷が咆哮を上げる。 大地を響かせるような雄叫びが心を動かす。ぴくり、と震えると鎌鼬は荒屋敷へと向き直した。 「ぐああああ！ チクショウ！」 逃亡は阻止できたが、代わりに荒屋敷が標的になった。一斉に襲い掛かられては対処しきれず、服を裂かれる。いや、服だけではない。 はっきり敵対している彼らに、最早容赦なしとばかりに、その鋭い鎌が力を増す。 躱したものの、体のあちこちが裂かれ、服が襤褸になる。 「さすがに女性の目には毒やで。どないする！？」 何かと便利な●付き棒で隠しながら、晃が問う。 「予備の服ぐらい用意してるぜ。それに、褌が無事ならどうとでもならぁ！」 全く臆せず、褌だけはきっちり締めると、荒屋敷は再び叫ぶ。先と違い、相手を竦ませる力強い響き。 向けられた鎌鼬が震えた。怯み、動きを止めた間に、力を溜める。長柄斧を振り下ろすと、大地を裂いて衝撃波が走り、鎌鼬を弾き飛ばす。 「はい、ではこれで」 飛んだ先で、素早く和奏が刃を滑らせる。素早く描かれる孤の形。体勢を整えようとした鎌鼬が月に食われる。 だが、捉えたのは一体のみ。他の鎌鼬があくまで荒屋敷を狙う。 「させませんよ！」 「近付かれる前に、仕留めるだけだ！」 その前に、アルティアが気功波を放ち、哲心が桔梗で阻む。 「鎌鼬もせこいアヤカシになってもうたな。性根、叩きなおしてやろうやないか！」 今度は晃が咆哮を上げる。 鎌鼬の目が晃に移る。矢で射抜かれ、刃に刺され、斬られ。ぼろぼろでありながらも、前以上に増して殺気を放つ。 「てめぇらが複数なら、こっちも複数！ 風雅、ふしぎ、いくで！」 「では、初撃から！ 俺たちの牙を喰らう以上は、ただで帰れると思うなよ！」 哲心の抜き放った珠刀「阿見」には雷電が帯びる。 晃目掛けて奇声を上げる鎌鼬を、その刃が捕らえていく。 「風雅が転ばし、わしが斬る！」 続けざまに、晃が大斧「塵風」を振り回す。重い遠心力と共に、その刃が鎌鼬を吹き飛ばす。 「これで止めだっ。‥‥桜姫招来、焔・桜・剣、乱れ桜！！」 ふしぎが集中すると、オーガスレイヤーに桜色の燐光が纏う。剣を振れば、燐光は季節外れの桜のように鮮やかに咲き零れ、鎌鼬を切り裂いた。 「そして、ふしぎがとどめを刺す。名付けて三位必殺！」 目線を合わせるふしぎと哲心に、晃が満足そうに頷いた。 ● 「でまぁ、最後の一体だな。すべてを穿つ天狼の牙、その身に刻め！」 かろうじて息のあった鎌鼬に向けて、容赦なく哲心は刃を走らせる。 何をしでかす暇も無く。鎌鼬は瘴気に還った。 「はぁ〜、やっと終わったぜ。あり？ ここに置いといた俺の服は？」 荒屋敷は軽く伸びをすると、着替えを探す。どうやら戦闘のどさくさでどこかに飛んでった模様。 その間にも、結は取り残しがいない事を確認。ほっとするのも束の間、急いで通行人を送り届ける。 「恐ろしい想いをされたと思います。でも、もう大丈夫です。不埒な所業にも怯える心配はありません」 通行を待っていた人々に向けて、討伐の成功と封鎖解除を通達する。 安全を伝えると、人々の顔が安堵する。と共に、足止めを食っていた時間を取り戻そうと忙しなく動き出す。 開拓者たちへの賞賛を讃えながら‥‥。 「しっかし、これら障害物とかどうしたものやら。‥‥面倒とは言え、放っておく訳にもいかないよなぁ、これ」 「それは勿論撤去だろ。事後処理までしっかりと、だ」 「ああ、やっぱり」 さっさと片付け始める哲心に、アルティアは軽く肩を竦ませる。 といっても、一度に片付けるには時間もかかるし、今は急ぐ通行人で街道が込み合っている。 なので、とりあえず邪魔にならぬ程度に脇へ寄せ、危険な罠だけ取り除き、もう少し人通りが減ってから完全に撤去作業に入る事にする。 討伐の話を聞き、依頼人も姿を現す。酒が呑める所が無いか晃が尋ねると、喜んで手配してくれた。 「仕事の後の酒はうまいなぁ。ところでふしぎの貞操は守られたんか？」 「そんなの別にどうでもいいじゃないか！」 からかう晃に、ふしぎがそっぽを向く。 「ま、しばらく稲荷寿司は見たくねぇやって事で」 「え！？ 見たの？ というか、見えてたの！？」 「この●付き棒で隠せるならまだまだ」 「何がーーっ！？」 楽しげに笑う荒屋敷に、晃も上機嫌に酒を煽る。ふしぎは今更ながら身支度を整える。 街道を行くはいつもの喧騒。そこに悲鳴が混じる事はもう無い。 |
