悪鬼降臨
マスター名:咬鳴
シナリオ形態: ショート
EX
難易度: やや難
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/08/14 03:07



■オープニング本文

 村の自警団と小鬼達が争う最中、「それ」は唐突に現れた。
 甲虫を思わせる外皮と脚のつくり。腰より上を直角に前に曲げた姿勢。両の腕は地面まで垂れ下がり、その手には鋭い鉤爪、掌には穴があいている。眼は外皮に隠れ見えづらいが、人の皮を剥いだような肉が剥き出しの顎には、長い歯がびっしりと並んでいる。全身は黒ずんだ灰色をしており、背丈は実質腰の高さにも関らず人の優に二倍はある。知識を持たぬ者でもその異形を見れば一目でアヤカシと気付くだろう。
 巨体に似合わぬ軽快な速度で踊りこんできたそれを見て、まず小鬼が逃げ出した。まるで巻き込まれては敵わないとでも言わんかのように。
 その後、甲虫は自警団員達へと矛先を向ける。それは戦闘というよりも一方的な虐殺だった。
 数分も経たぬうちに阿鼻叫喚が止む。村を度々脅かしていた小鬼の群れは消えた。しかし村人にとっては、より得体の知れぬ脅威に晒されるようになったに過ぎないのだが‥‥

 異形のアヤカシの報がギルドを始めとする方々に届くまでにはかなりの日がかかった。普通のアヤカシであれば村人を皆殺しにするのに十分な日数である。
「が、未だ村人の多くは生き残っている。家に監禁されたも同然の状況ではあるが」
 ギルドの受付も、いつに無く真剣な顔で説明する。
 アヤカシは村の中央で、微動だにせずじっとしている。そして数日に一度動き出すと、無作為に選んだ(アヤカシにすれば明確な基準があるのかもしれないが)村人の一人を惨殺し、その死体を村の入り口に転がす。
 明らかに、村の外の人間に村の中の状況を自ら知らせている。
「この行動の理由についてアヤカシの生態や兵法に詳しい学者達とも話し合ったが、結論としては『誘っている』という事に落ち着いた。『挑んで来い、早くしないと村人が一人ずつ死んでいくぞ』といったところだろう。罠を張るとかそういった行動は取っていないので、純粋に戦闘力にものを言わせて挑んでくるだろう」
 それを裏付けるかのように、アヤカシは村人が逃亡を試みれば迅速にそれを塞ぐ一方で伝書鳩や矢文による村の内外での情報交換には一切手を出そうとしない。
「全くの新手のアヤカシで、能力は未知数。村人とのやりとりでは鉤爪や噛付きの話は聞くが、他の攻撃手段も持ってると踏んだほうがいい。後は情報が錯綜しているのか、灰色の異形のほかに赤い人型のアヤカシが暴れるのを見たという話もあったが‥‥巫女による結界でも反応は一つだったし、アヤカシに襲われた小鬼を見間違えたというオチじゃないかと思う。一ついえるのは、こちらを迎撃できると踏んでいるからこそ留まっているということだ。十分に注意してくれ」


■参加者一覧
柊沢 霞澄(ia0067
17歳・女・巫
嵩山 薫(ia1747
33歳・女・泰
秋桜(ia2482
17歳・女・シ
斉藤晃(ia3071
40歳・男・サ
白蛇(ia5337
12歳・女・シ
趙 彩虹(ia8292
21歳・女・泰
茜ヶ原 ほとり(ia9204
19歳・女・弓
朱鳳院 龍影(ib3148
25歳・女・弓


■リプレイ本文

「見境無さとかから、噂に聞く魔戦獣かとも考えたんだけど‥‥実際見てみないと何とも言えないわね」
 嵩山 薫(ia1747)がそう勘繰るのは、アヤカシの行動ゆえ。
 幾ら粗暴なアヤカシでも、他のアヤカシの縄張りを積極的に荒らす事はそう頻繁に起きるものではない。
「私は、情報の端々にある不可思議な点が気になります‥‥」
 柊沢 霞澄(ia0067)が言うのは、正体のつかめない赤い人型アヤカシ。見間違えならよいが、そうでなければあらゆる可能性を考えねばならない。
 いずれにせよ瘴気に包まれたように重苦しい空気の先にある村の中で、答えは明らかになるだろう。
「僕達を誘うためだけに、村人達が苦しめられてる‥‥急がないと」
 白蛇(ia5337)の足が自然と速まる。どのような理由であれ、村人が理不尽な理由で苦しめられていると思うと許せない。
 遠目に村の存在が確認できるようになった頃、人のものではない金切り声のような咆哮が響く。アヤカシの姿はまだ目視できない。
「鼻や耳が利くか‥‥そうでなければ心眼のような知覚能力をもっているか。不意打ちをさせてはくれぬと教唆しておるようだな」
 その気は毛頭無い朱鳳院 龍影(ib3148)が大仰な身振りでかぶりを振ってみせる。
「真っ向勝負は望むところや。薫、アヤカシ倒した方がおごられるちゅうんで酒を賭けんか?」
「あなたが奢ってくれる約束をするとは珍しいですね」
 斉藤晃(ia3071)が軽口を言うほどの緩さが、まだこの時はあった。

 それは見せ付ける為にしつらえられたかのような光景だった。
 村の防御柵に、村人達の死体が吊るされている。入り口の両脇にはご丁寧にも開拓者の側を向いて、目をくりぬかれた死体がゆっくりと風に揺れている。
 まばらな民家の奥、周囲にものの無い中央広場にはアヤカシの巨体が開拓者を見据えるかのように微動だにせず居座っている。
 死後も辱めを受けている村人の無念を晴らすべく、誰もが迅速に戦闘準備に移行する。開拓者達が駆け込もうとする直前、アヤカシの口が開かれたことに真っ先に危険を感知したのは趙 彩虹(ia8292)だった。
「皆さん、避けてください!」
 それだけいうと、自分もすかさず伏せる。アヤカシの口から放たれた赤黒い血の色をした瘴気の塊が尾を曳いて延びる。巻き込まれた入り口の死体が黒塵となって消えていく。
「こちらは射程外」
 茜ヶ原 ほとり(ia9204)が軽く矢を番えた後簡潔に言う。
 瘴気の砲撃が通った後は地面も瘴気に侵されたように黒ずんでいる。
「必殺技の威力紹介までやってくれるたぁ親切じゃなあ、おい」
「斯様な悪行を防ぐ為、私の力はあります‥‥朱鳳院様、参りましょう」
「ふむ、ただ力を誇示しているのか、他の目的があるか‥‥打ち合ってみれば読めるかの」
「秋桜(ia2482)、先行し過ぎるなよ。霞澄、伏兵はおらんな?」
「はい、今のところは。皆様、十分にご用心を」
 アヤカシの口元から蒸気のような白い煙が昇り、口がゆっくりと閉じられていく。連射は無さそうだ。開拓者は二人一組ずつに分かれ、距離を詰める。

「一番槍、私が貰うぞよ」
 龍影の二刀流が掴みかかるように迫ってくるアヤカシの腕の中心、掌の穴を狙って切りかかる。外見通りその外皮は極めて頑丈だが、傷が残るということは何時かは切り裂けるという事を示唆している。
 それを確認して下がろうとする龍影を五本の鉤爪が襲ってくる。
「その程度で私を捉えられると思うでない」
 俊敏な機動で身を翻す。しかし、それぞれの爪が独立したかのように異なるタイミングでの攻撃を回避だけで凌ぎきるのは限界がある。一撃を刀で受けると、鉤爪はそのまま刀に絡まるようにして回避行動を妨害する。そして‥‥
「朱鳳院様、危ないっ!」
 秋桜が突き飛ばした直後、掌の穴から螺旋孔によって加速された瘴気弾が龍影のいた所目掛けて撃ち出される。
「助かったぞ、秋桜。鋭い鉤爪はあの一撃を確実に命中させる当て馬扱いか。全身攻撃手段となると贅沢な使い方をする」

「はっ、こっちは一本一本避けるのは面倒じゃ。纏めてかかって来いや!」
 咆哮を上げつつ、真正面から一撃を加える晃。アヤカシが回避運動する気を起こさないよう意図して装甲の厚いところを狙う。
 力技に長けた彼の戦い方に合わせるかのように、アヤカシは鉤爪を三本揃えて振り下ろす。晃がそれを槍で受け止めると同時に、掌の穴の奥に光が宿る。
「それは‥‥撃たせないよ‥‥」
 白蛇はその弾が出るより早く、影のように近付き刀を刺し込む。瘴気弾は小柄な白蛇の体を刀ごと弾き飛ばして無理矢理撃ち出されるが、螺旋孔が傷付けられた為か威力と速度は大きくそがれている。
 先に次の行動に移るのは行動後の反動の少ないアヤカシ側。既に半分晃の槍にかけていた鉤爪を引き抜くと、白蛇に目標を変えて掴みかかる。
「当たらない‥‥」
 先程とはうって変わって細かく突き出される爪を、それでも転がりながら避ける白蛇。
「わしを無視するたぁ、いい度胸や!」
(「咆哮が効いてないか?いや、寧ろ感情的なもんが欠落しとる感じか?」)
 考えを巡らせながらも、絶好の隙を突いての晃の槍先がアヤカシの顎を貫く。歯が数本抜け落ちたその間から、喉奥の大穴が見える。

「彩虹さん、仕掛けますよ」
「はい、嵩山様!」
 泰拳士の二人が息の合った連携攻撃を仕掛ける。龍影らに相対する腕の関節部などを中心に打ちかかる。
「腕がそっちに向くぞ、気をつけよ!」
 龍影の言葉を受けて二人が間合いを取ると、アヤカシは生物の構造をあざ笑うように腕の関節から下だけを百八十度回して叩き落とそうと振り回す。こちらは、初手から瘴気弾を撃って二人の距離を開けさせるとまずは薫に目標を定め、四方八方から爪先で切り裂くような連撃を繰り広げる。
 一撃一撃の威力を考えると、避けに専念せざるを得ない。薫は地を踏みしめ身構えると、斬撃が触れる一瞬前を見て紙一重の動きで避ける。時折軽く鉤爪に触れた箇所から鮮血が飛ぶが、致命的な一撃は確実に避けている。

 三組六人の開拓者の攻勢を受け続けるアヤカシが、突然両手を大振りさせると両手を打ち合わせる。
 業を煮やしての大振りと思い、何人かは打ちかかろうとする。
「それは、隙じゃないわ」
 ほとりの端的な言葉が仲間達の動きを止める。遠距離から観察しながら攻撃を仕掛けていたほとりは、アヤカシの攻撃方法に伴うある種の違和感の正体に気付いていた。
 アヤカシの合わせた手から瘴気‥‥時間をかけて蝕む普通の瘴気ではなく、口や掌から撃ち出すものと同じくあらゆるものを焼き尽す火焔の如き瘴気‥‥が噴き出し、アヤカシの全身を覆う。それと時を同じくして、アヤカシの体が地上から僅かに浮き上がる。
「こちらの戦い方を観る攻め口。そして、私と霞澄は‥‥」
 風に乗るような加速で前衛の開拓者を振り切ったアヤカシは、霞澄とほとりを目掛けて突進を始める。ほとりの片手は、既に霞澄の袖を掴んでいる。
「鉤爪への防御を見せていない」
 触れるだけで生き物の身を焦がす熱瘴気を纏ったアヤカシの突撃から霞澄を無理矢理引き倒すようにしてかばう。包帯で手に固定していなければ、弓を取り落としていたところだ。
 瘴気に焼かれ溶岩のように煮え立つ土の上で、瘴気の衣を解いたアヤカシが悠然と二人に迫る。五本の鉤爪で同時に掴みかかる。
「よく見て下さい。避けれなくはないから」
 攻撃機会を一度に絞った鉤爪攻撃は前衛への攻撃に比較して大雑把とも言える。霞澄は巨腕を押し返すようにして白霊弾をぶつけると、走って距離を取る。
「はぁ‥‥はぁ‥‥茜ヶ原さんは、大丈夫ですか‥‥」
 アヤカシは霞澄を追わず、ほとりに矛先を変える。それを予測していたほとりは、既に距離を取りつつ矢を番えている。
 鉤爪攻撃は無理と見たアヤカシも追うのを止め、瘴気弾による射撃戦に移る。その間に前衛の開拓者達は再びアヤカシを囲むように接近を完了していた。

「は、随分いい動きになったやないか。『そろそろ本気を出そう』てか?」
 両の爪、さらには噛付きも交えての流れるような連続攻撃を受け流しながら晃が悪態をつく。開拓者達の戦い方さながらに手数を一人、乃至二人に集中させて確実に当ててくる。そして、自在に回る関節を活かし側背に回り込もうとする開拓者には微細な針のような弾を数百数千、面を制圧するように撃ち出し、動きを掣肘する。
「随分と身軽だね‥‥なら、君だけ雨の泥濘に送ってあげる‥‥」
 白蛇の巻き起こした水遁による泥濘が、重量のあるアヤカシの脚を取る。
 千載一遇の機に、以心伝心の連携で薫と彩虹が動く。瘴気弾を彩虹が体を張って引き付けると、薫がアヤカシの懐まで潜り込む。それに対処しようと腕の向きが変わった所に、彩虹が虎の如く‥‥虎のきぐるみ姿なので概ね文字通りに‥‥雄叫びを上げて突進する。薫も、十分に気を練ってアヤカシの腕を迎撃する。
「極神点穴!」
「絶招槍技!疾風虎吼閃!」
 彩虹が低い姿勢から突き出した白い気を纏った槍がアヤカシの外皮に丸い穴を穿っていく。そして外皮の隙間、僅かに見えた点穴に薫の拳が触れる。アヤカシの体内で気が膨れ、強力な衝撃となって炸裂する。
 ずしり、と重たい音を立てアヤカシの腕が落ちる。
「やりましたよ、嵩山様!」
「まだまだ、畳み掛けていきましょう!」

「朱鳳院様、私が転反攻を使う瞬間にお願いします」
 本来は焦らして大振りを誘った上で放つ心積もりだったが、淡々と堅実な攻撃を続けるアヤカシの隙を待っていたのでは逆にジリ貧になってしまう。片腕をアヤカシが失った今が勝負時と秋桜は直感していた。
 ここまでと同じように、鉤爪を龍影が跳ね除けると、その影から秋桜が飛び出す。アヤカシの即応射撃に対し、回避するのではなくカウンターを叩き込む。当然のことながら、秋桜も無事では済まない。肉を切らせて骨を断つ反撃法である。
「その心意気、無駄にはせぬぞ。今こそ断ち切らん!」
 裂帛の気合を込めて、刃を振り下ろす。朱と銀、二つの太刀筋が交差するとその十字の軌跡にそってアヤカシの手に切れ目が入る。
「限界よりも‥‥さらに速く!」
 鉤爪が掌をかばうように閉じるよりも速く、秋桜が飛び込み怒涛の三連打を打つ。アヤカシの腕の傷が広がり、そのままばらばらになって砕け落ちる。

「両腕も落ちて勝負あったようやのう」
 晃は歯が折れぼろぼろになったアヤカシの顎に一度石突を振りおろすと、くるりと回した朱槍を喉奥まで貫くように突き入れる。
「鬼に会えば鬼を切り、アヤカシに会えばアヤカシを切る一撃じゃ、くたばれ!」
 アヤカシの背から槍の穂先が覗く。致命傷を負ったアヤカシの巨体がずしりと崩れる。

 霞澄は仲間達の傷を癒すと共に、念を入れて瘴索結界をかける。未だ残骸の残るアヤカシは、瘴気として反応を残す。と、その瘴気が小さく凝縮を始める。
「気をつけてください‥‥!まだ、何か‥‥」
 霞澄が言葉を最後まで発するよりも速く、アヤカシの残骸が霧と化し、そして新たな姿を形作る。やはり、甲虫を思わせる外観ではあるが深紅の外皮で人間大、より人間に近い姿のそのアヤカシは実体化と共に手にしていた錆びた刀を正面にいる晃の腹部に突きたてようとする。
「させないよ‥‥」
 白蛇は自分以外の時が止まる3秒半の『夜』の時間で刀を叩き落す。更に返す一撃で小手を打とうとするが、寸前で動きの戻ったアヤカシは驚異的な速度で腕を引き、間合いを取る。
「これが、赤い人型‥‥」
 あまりに速過ぎるが為に、動き出す前の直立した姿が陽炎のように目に焼きついている。第一形態同様上半身を地に摺るように低く落とした姿だが、なまじ人型に近い為に異質さがより際立つ。
 風切音、次いで発生する爆音のような音とともに、薫が衝撃を受けて弾き飛ばされる。防御姿勢を予め取っていたため、ダメージはさほどではない。
「嵩山様!」
「大丈夫、急所は外してるわ。それよりも‥‥あのアヤカシ、拳法を使うわよ」
 無論、実際に何らかの流派に属する技を使うわけでもないし、泰拳士の技ほどに洗練されたものではないが、体格や腕力にものを言わせた殴打ではなく人体の急所を的確に狙う技巧を伴う打撃を仕掛けてくる。
「暫くは目を慣らしながら耐えてください‥‥柊沢さん、閃癒はまだ使えますか?」
「はい‥‥精霊さんと、私の力の続く限り‥‥」
 練力の最後のひと絞りまで出し切る気持ちで、祈るように手を合わせる。
「重い一撃を当てようとする時、相打ち覚悟で挑むのが確実な当て時です」

「そこおっ!」
 彩虹は目ではなく聴覚と風への触覚を頼りに、踏み込んで一撃を繰り出す。すんでのところで腕を引いたアヤカシは繰り出される槍先に合わせて後ろに跳ぶ。
「ほとりん!」
「んを抜いてください」
 その着地点を先読みしたほとりの矢が狙うと、足の爪を地面に引っ掛け無理矢理減速する。
「一度落ちた速度はそうそう戻りませんよ!」
 正面から薫、左から晃。さらには大きく背後に回りこむ秋桜が攻撃に入るとアヤカシは自然残る右側に跳ぶ。
 そこに、アヤカシの前方から龍影が駆け寄る。二刀の斬撃に備え、防御の為に交差したアヤカシの腕を太矢が縫い付ける。
「念の為と持ってきた甲斐があったのう」
 背に隠していたドラゴンファングを構えた龍影が不敵に笑む。
「苦しんだ村人達への償いを‥‥」
 着地点で待っていた白蛇の刃が、アヤカシの首を切り離した。

「大丈夫です‥‥今度は残っていません‥‥」
 傷を癒しながら瘴気を探った霞澄が安堵の顔で言う。黒雲の合間から一筋の光が差す。

「小鬼退治も、検討すべき事項ですね」
 村人の為の薬や食料などを運んできたギルドの職員と話をする彩虹の横では白蛇や霞澄、秋桜が村人の心身の手当てのために忙しく動いている。
「おごりとはいかんかったが、今日も酒がうまいの。薫も飲むか?」
「それより、あのアヤカシの目的が気になるわね」
 ただ戦うにしては不自然な動き‥‥その答えを得るには、いま少しの時間が必要になるだろう。