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■オープニング本文 柿の木に、まだひとつだけ柿がなっていた。 きし、と枝が鳴る。手をかけ、枝を踏んで上の枝へ。目的の枝に辿りつき、橙色をした柿の実に手を伸ばす。あと少し、もうちょっと……。 ひゅう、と風が吹いた。煽られてぐらりと体勢が崩れる。ぞっと血の気が引いて、上の枝を握る手がこわばった。 ――よく落っこちそうになった物語の登場人物に、なんでちゃんと掴まらなかったんだよ、と思っていたけど……。そうか、血の気が引いて動きがこわばって、動けって思っても動けなくて、それで掴まれないで落ちちゃうんだな―― そんな思考が脳裏をかすめる。だから、ほとんど無理矢理だった。動かない指に全神経を集中させて強引に動かす。間一髪、枝から手が離れきる前に握りなおした。 それでも崩れた体勢は簡単には元に戻らず、ぐらり、と身体が揺れる。ぞくぞくと突っ張った腕や足に寒気が走るが、根性で力を入れ続けた。 やがて揺れもおさまり、ゆっくり、慎重に指を一本ずつ離す。そろそろと身体の向きを変えて幹によりかかり、そのまま枝に座り込んだ。 「こ、こ、怖かった……」 手足の震えはまだおさまらなくて、しばらくは落ち着きそうにもない。冷たい風に身を縮めて、じっと待つ。そのときだった。 眼下に現れる灰色の影。ひゅ、と息を呑む。 ――狼だ。 そう思ったけれど、その群れの姿にすぐに思考を否定する。いや、違うのだ。あれは狼ではなく。 身体から突き出た剣、ぎらぎらした目。 ――アヤカシだ。 脳内にいちどに情報があふれる。ここしばらくはアヤカシが出ていなかったな、とか、村にいる志体の流和や、その師匠のこと。あの狼は木登りは上手くはないだろうということ。普通の狼であっても駆けっこをすれば負けるだろうということや、それから、まだ気づかれてはいない、という希望。 じっと息をひそめる。しばらく待つうちに、それらは林の奥へと駆けていった。 アヤカシが出た。その報せを持ってきたのは、村の子供だった。 「流和、村長殿が今ギルドへ連絡しておる。お前は村人の点呼をとって、そうじゃの、蔵かなにか、頑丈なところにでも隠れるよう指導しておくがよい」 師匠の言葉に、流和は眉を寄せた。 「点呼、って……。何人いると思ってるの? それに、一口に村っていったって……」 農村、というものは、自分の土地のあるところに家がある。田畑を耕し生きている以上、ひとつの家庭につき敷地は広大。近いところなら徒歩数分だが、逆に言えば普通、家と家とは何枚かの田畑を挟むため、徒歩数分の距離があるのだ。村ひとつ回るとなればどれだけかかることか。 「それでもじゃ。ワシより土地のことは詳しかろう、効率よく回れるよう考えて動け。 目撃情報からすると、おそらく剣狼じゃろう。発生場所は川端の林、付近の住人から優先することじゃ。基本的にワシは撃破ではなく村の防衛を考え動くこととするかの。被害が出そうであれば討伐を行うが、お前さんの修行相手としたい。開拓者が到着し次第、協力して討伐する心積もりでの」 |
■参加者一覧
三笠 三四郎(ia0163)
20歳・男・サ
秋霜夜(ia0979)
14歳・女・泰
礼野 真夢紀(ia1144)
10歳・女・巫
明王院 未楡(ib0349)
34歳・女・サ
針野(ib3728)
21歳・女・弓
マルカ・アルフォレスタ(ib4596)
15歳・女・騎
カチェ・ロール(ib6605)
11歳・女・砂
華角 牡丹(ib8144)
19歳・女・ジ |
■リプレイ本文 傾きかけた太陽はいかにも頼りなく、今にも沈んでしまうのではないかと思わずにはいられなかった。 村に入った開拓者のうち、もっとも早く目的の人物に出会えたのは礼野 真夢紀(ia1144)だった。流和か村長か。どちらでも構わなかったが、流和は現在地不明。だから、村長に会うのがもっとも簡単だったのだ。 「真夢紀殿」 「村の人達どの建物に避難しているかわかります?」 挨拶もそこそこに用件を切り出すと、村長は彼女に村の地図を見せる。 避難先が分散している可能性がある、とは思っていた。思っていたが――。 次々と村長の指先が叩く位置の多さに、我知らず表情がかたくなる。分散しすぎだ。 「最後に、ここだ」 守る側からしたら分散して欲しくはないが、逃げる側としたら、危険地帯を長々と散歩したくはないのだろう。もっとも手近な場所に避難する。いいとも、悪いとも言えない。ただやりにくいのは事実だった。 しばし脳裏で思考をまとめ、それから今回の作戦を大幅には変更しないという結論を出す。代案もないし、いまさら避難先を変えても混乱をきたすだけだ。 それから薪の使用許可を願う。使用できる量に制限はつけられたが、冬が続くことを考えれば不思議なことではない、と真夢紀は思った。篝火の構築に移るため、三笠 三四郎(ia0163)と合流する。村長から得た情報を伝えると、少しばかり難しい顔をしながら広い田畑の一角を指差す。 「あのあたりがいいのではないかと思っています。あまり大きな段差ではありませんが、我々が飛び掛られにくい上側に陣取れるでしょうし」 ただの田んぼの畦道だが、田んぼと畦との高低差が大人の男の身長と同じ程度ある。十分ではないが、有効だろう。それ以外だと斜面が緩やかだったり、切り立っていても木々が密生していたりで使えない。 「ですね。じゃあやりましょうか」 二人は篝火台を、それこそ避難先になっていた蔵から引っ張り出し、設置して薪を積んでいった。 次に目的の人物を探し当てたのは、明王院 未楡(ib0349)とカチェ・ロール(ib6605)の二人だ。途中剣狼と接触しなかったのは、幸運と言えよう。 「お前さんらか。あの薮の中に、それ、動いたろう。あそこじゃ。まだせいぜい兎だの、冬眠中の蛇を穿り返して食っとるくらいじゃの」 木の上から指差す師匠の見たものは、地上にいる二人にはほとんど見えなかった。ただその視線を読んでだいたいのあたりをつける。 「カチェは向こうの方を警戒します」 「うむ、風向きに注意するのじゃぞ」 「何かあれば、合図をくださいね」 こくりと頷き、カチェは暗さを増し始めた林の中へ駆けていった。 最後になったのは、やはりあちこち移動していた上、その移動範囲が広範囲にわたっていた流和との合流だった。田んぼの向こうを走っていく流和を見つけ、追いかける。避難勧告とともに、名簿にチェックをつけているところで追いついた。 「……点呼、確認しました。じゃああそこの蔵に非難してください。あ、大丈夫。アヤカシのほうは師匠が行っているから、逃げてる途中で襲われたりはしないよ。でもできるだけ大急ぎで、転んだりしないように避難してね」 落ち着いた様子で指示を出し、振り向くとそこに、開拓者らがいた。ほっと流和の肩から力が抜ける。 きゅっと唇を引き結んでいた秋霜夜(ia0979)は、流和に松明と狼煙銃を差し出した。 「これ、真夢紀さんから。呼子笛を持ち歩いてないかもって」 流和は一瞬考えて。 「呼子笛? ……あああっ! しまいっ放し! 二つあったのに!」 「……二つ?」 「使う機会なくて、もらってたの忘れてた。日ごろから持ち歩いたほうがよさそうだね」 やっちゃった、と頭を掻く流和。 「意外に余裕がおありですのね?」 「……緊張はしてるよ? ただほら、目の前にいないとさ、なんていうか」 マルカ・アルフォレスタ(ib4596)の言葉に、苦笑する流和。とりあえずそれは脇に置き、針野(ib3728)は点呼の進み具合と避難場所を確認した。がりがりと地面に地図を描きながら、軽く説明する流和。 「基本はうち、つまり村長の家ね。蔵もいくつかあるし。あとはここと、ここと……」 数箇所を指し示したのち、避難終了区域もがりがりと線を引いて区分けする。少しは考えたらしく、川端付近は優先的にやったらしい。 「ん。じゃあわしは村の外縁部から回るから、流和ちゃんは続きをしてほしいさー。 いきなり村のド真ん中に剣狼が出る可能性は低いだろうし、優先順位をつけて、落ち着いて順々に回っていくのが効果的だと思うんよ」 「わっちはどねえしんしたらいいでありんしょうか」 「え、ええとね……、じゃあ、こっちのあたり頼めますか? こうぐるっと回ってくれれば、終わるころにあたしとかち合うから無駄がないと思うし。あと、『家族は全員います』とかいう台詞は信用しないでください。大家族だと、一人や二人いなくても気づかないらしいんだよね」 華角 牡丹(ib8144)は、その回答に頷く。 「わかりやんした、任せておくんなし」 それから、布陣の確認に移る。 「まずわたくし含め四名が周辺警戒につきますわ。明王院様とロール様はお師匠様の所へ向かいます」 マルカの言葉に、ふむふむと頷く流和。 「警戒ポイントはどこでしょうか。それと、その警戒指示をお願いします」 流和は凍りついた。 「本物のアヤカシ相手だし、村の防衛も考えんとイカンし、大変かもしれんけど、最初から何でもかんでも完璧にできなくて当然なんよ。志体持ちも超人じゃないさー」 「えええ、あたし!?」 「未楡はんから課題を預かっていんす」 どこで迎撃するのか。どういう布陣で対処するのか。また、そのタイミングについて。 三四郎と未楡は対応漏れへの予備戦力として、予め除外する。 「うえええ。ちょ、ちょっと待って」 がりがりと大急ぎで、流和は地面に大雑把な川端周辺の地図を描いた。 「既に明かりはここにしてありんす」 「ここちょっと足場悪いよ? こっちのほうがよくない?」 「高低差を利用しんす。そこだと平たすぎでありんしょ?」 「あと、家畜小屋視野に入れてます? 人間いなきゃそっちに行くかもしれません」 「その位置から気をつけるなら、こことここと、ここ。監視は少し林から距離とって、どこにでも駆けつけられるようにしとくと……いいの、かなぁ?」 「一度決断したら迷わない事!」 ぴしゃりとマルカに言われて首をすくめる。 「これから少しずつ、できることを増やしていけばいいと思うさね。 その第一歩になるよう、わしにできる範囲で退治のお手伝いをするんよ。頑張りましょ!」 針野の励ましに、いざとなったら自己判断でよろしく、という言葉は飲み込んだようだ。 「流羽はんが村の皆はんの助けになりんすように……」 ひっそりとこぼした牡丹の胸のうちに、かりこり、と流和は頭を掻き。 「……ま、やるだけやってみるよー」 心もとない決意を示した。 太陽は赤々と燃え盛り、いまにも熟れて落ちそうな果実にも見えたとき。 流和たちが点呼をもう少しで終えるとき。 闇が訪れつつある東の空に、激しく輝く光が放たれた。 迷いが走る。避難完了前に合図があった場合の対応は考えていない。針野はいくつかの案を秤にかけて、無難そうな選択肢をはじき出す。 「流和ちゃん! 近場の避難は終わってんよ、応戦に行ったほうが有利だと思う」 「う、うん!」 光――川端の方向に駆け出した。牡丹も懐に筆記具を突っ込み、かわりにふた振りの武器を取り出してあとを追う。 「篝火を作ったところではありんせんでした、川端だと思いんすが……」 「引っかかった!」 ぴんと張った弦を弾いて、針野が狼煙銃を打ち上げた。燃えるように赤く染まった森の中から、きらりと西日を照り返す剣が見える。その剣を生やした狼が飛び出してきた。 距離のあるうちに針野が矢を放つ。 「人間相手に戦う時、武器の攻撃は防ぐよね? その狼の武器はどこだと思う!?」 篝火設置場所に近づくように移動しながら、次の矢を番える針野。 「剣! あ、牙と爪!」 「いきなり急所を狙わんでいいんよ、狼は素早いから、まずそれを鈍らせてみよう。どこ狙えばよさそうっさー?」 「えと、足?」 「あたり」 矢が閃き、狼の足の付け根に突き刺さった。 林を出て行こうとする集団の前に、立ち塞がる。 薙刀の柄を握り、ぐるりと振り回す。それは飛び退ることのかなわなかった数体をまとめて屠った。しかし敵は退くということを知らないのか、四足が地面を蹴りつけて未楡へと飛び掛った。一匹の牙を薙刀で受け止め、一匹の爪を上体をずらしてかわす。一匹目をそのまま跳ね返し、三体目を石突で弾き飛ばした。 しかし、死角から飛び込んできた四匹目を捌き損ねてその剣が皮膚を裂く。わずかに朱が飛び散った。 五匹目と六匹目が、対角線上から未楡へと飛び掛る。どちらを捌いたほうがいいのか。 「左手のほうをお願いします。右はカチェが引き受けます」 木立の隙間から差し込む茜色の陽光を、湾曲した刀身が弾き返す。それは一刀の元に剣狼を切り伏せた。続けて地面に向けて振り下ろされた刃は小さな手の中で流れるように向きを変え、攻撃姿勢に入り損ねた七匹目を両断する。 ざっと青い瞳が敵数を確認し、判断を下す。 「目撃数に数が足りません。たぶん、リーダー格が居る本隊は別の場所かと」 空に放たれた狼煙銃が、明るく輝いている。 「ありがとうございますね、カチェちゃん。助かりました」 残った剣狼を手早く片付け、合流を急いだ。 篝火のある畦道の周辺では、乱戦になっていた。剣狼に追いつかれた流和たちにマルカと霜夜が加わり、その場で戦術も布陣もあったものではない戦いに突入する。 「村を守るのでしょう!? 足を前に出しなさい!」 怯みまくっていた流和をマルカが叱咤し、霜夜が流和の懐に飛び込んできた剣狼を排除することで流和もいくぶん落ち着きを取り戻した。それでも、乱戦というのは分が悪い。 それを破ったのは、三四郎だった。 可能な限り多くの剣狼を射程へ入れるべく畦を降り、それから咆哮で敵の注意を引く。引っかかった剣狼は目の前の開拓者を無視して三四郎へ向かった。 その隙に体勢を立て直し、咆哮にかからなかった剣狼を始末しながら畦道へのぼる。三叉戟で登る剣狼を叩き落す三四郎と、片手弓でそのフォローに入る真夢紀。その周囲に展開して敵を追い落としにかかる。 牡丹はくるりと手の中で短刀を逆手に握り変え、踊るような足捌きで滑らかに剣狼を斬りつけた。太刀筋は二本、左手の短剣も同時に閃く。 一匹、もう一匹――には、避けられた。逆に振りかざされた爪を、両手のそれで弾くようにして逃れる。 霜夜は気を集中させた。その集中を維持したまま、飛び込んできた剣狼を迎え撃つ。前足を自分の後方に弾くようにしてその懐に飛び込み、拳を腹へねじ込んだ。 グラーシーザを大きく振り回し、横一直線になぎ払うマルカ。まとめて数匹の剣狼が畦道を乗り越えられずに弾かれ、そして、持たずに消えた。 まるで花束のような精霊力を身に受けて、傷がふさがるのを感じた。すばしっこい敵にいらつくのも怯えるのもこらえ、足を切って機動力を奪い、攻撃を外しても焦らずに仕留めるまで手を緩めない。やっと一体を倒して、小さく息をついた。 剣狼が数を減じていくと、林から二つの影が駆けてくる。未楡とカチェだ。二人も加わり、さらに攻撃は苛烈さを増した。 その場に敵がいなくなったことで、各自はおのおのの武器を下ろした。 「怖かったですか?」 マルカはたずねる。流和は真面目な顔をして、こくりと頷いた。 「けっこう怖かった」 「それでいいのですわ。怖い、と思う気持ちを失ってはいけません。怖くても流和様は村を守る為後ではなく前に進んだではありませんか。それが真の勇気だとわたくしは思っております。恐怖を知らない者に真の勇気はありませんわ」 励ますように微笑む。霜夜も声をかけた。 「敵を撃破するのも初めてですよね?」 「うん、動物型は」 農民は鼠や蛇なら出会い頭にずばっとやるし、鶏のと殺や熊の解体だって必要だ。負担がないかと心配した霜夜だったが、動物型は許容範囲内らしい。ほっと息を吐き出した。 「志体持ちというのはそれだけ護れる力が大きいということ……。あんさんにも護りたいもの、ありんすでしょう?」 牡丹の問いかけに、へにょりと流和は眉尻を下げた。そうなんだよね、と。 「護りたいとは思うんだけどさ……意外に怖いもんだよね」 ぷらぷらと手の中で薙刀を弄び、ため息をひとつ。戦うのはあんまり好きになれそうもない、と。 「護りたいものに気付けば、覚悟も自然とつくものでありんすから」 「……だと、いいな。できるかな」 「大丈夫でありんしょう」 逃げ腰ではあったが、逃げたりはしなかった。 (慣れている訳ではありませんから、私からは覚悟とか大それた事は言えませんね) 三四郎は声をかけるのをやめておく。基本非殺、彼はそんな立ち位置を選んでいたからだ。 針野が両手でわしゃわしゃと流和の頭を撫でる。 「わわっ……。 ……へへ」 何を言うでもなく、流和は照れたように小さく笑った。 いくつかの提案が、村になされた。 緊急時の避難計画。警報となる半鐘の設置、運用。 「今回の経験で、流和ちゃんが如何に頑張ろうと全てを一人で全て行う事は無理があるのが分かったと思います」 「今回は事前に発見できましたけど、次もそうとは限りませんし」 未楡とカチェの言はもっともで、村長はその提案を快く受け入れた。どんな形になるかはわからないにせよ、今後に活かされることだろう。 同時に師匠が二つの点を、流和含め開拓者らに指摘した。自覚はあるじゃろうが、と前置きして。 「すこーし甘かったのぉ。迎撃ポイントを設置するなら、敵をそこに誘導する策がなければ上手くは動かん。また、せっかくワシのところまで来て敵情報を得たのじゃから、それを持ち帰って、敵の現在位置を元に迎撃ポイントを設置すれば成功率は上がったじゃろうなぁ。そして、討伐後は残党の有無の確認が必要じゃろ。一応ワシも見てきたが、修行だと思って全員で行ってくるとよい。最後まで気を抜くでないぞ」 びし、と言われる。それから。 「なにより、主ら忘れとらんか」 ――他になんかあっただろうか? 「ワシへの土産がないとは、なんということじゃ」 「師匠のバカーっ! 引き締まったそばから崩さないでよ!」 「大事じゃろ! お前さんが今日は作らなかったんじゃ! ワシはお菓子のない日を過ごしたのじゃぞ!?」 それが本気か冗談かは、幸か不幸かわからなかった。 |