|
■オープニング本文 神楽の都には、開拓者ギルドの本拠地がある。 そこへある日、朝廷の貴族からの使者が訪れた。使者は初老の男性で、もうすぐ遭都で行われる節分の行事について、依頼があると言う。 しかし受付の若い女性職員は、意味が分からず首を傾げた。 「貴族の方々は確か、御所で陛下の御前で行われる節分行事に参加なされるのでしょう? 都市の遭都の方でもやるのですか?」 「仰る通り。しかし御所で行うのとは、また別なのです」 使者は一件の始まりを語り出す。 御所で貴族達は節分行事のことで盛り上がっていた。だがふと、庶民はどうしているのかという話になった。そこでお付きの者達が、家や学校などで個人的にしていることを説明した。すると‥‥ 「庶民の前でも、同じように大々的に行なったらどうだ?という話になりまして‥‥」 「つまり‥‥陛下の御前で行われるような豆まきを、庶民のみなさんにも見せようと?」 尋ねる職員の笑みが引きつる。そういう心遣いはありがたいものだが、豆まきは本来楽しくやるもの。かしこまった豆まきを見せられても、庶民は失笑するだけだろう。 職員の表情を見て、使者は分かっているというように頷いて見せる。 「流石に同じことをしても、庶民の反応が悪いことは分かっております。なので我々の方で、趣向をこらす為にこちらへと参ったのです」 「開拓者ギルドに何をお求めですか?」 「鬼役を集めてほしいのです」 遭都では都市の広場に、豆まき会場を特設した。そこで子供達に豆まきをさせるのだが、鬼役は開拓者が良いとの話だ。 「何故、ウチの開拓者が良いと思われたんですか?」 「こう言っては何ですが、ただ逃げ回るのを見るだけではつまらない。そこで開拓者ならば逃げ足もさることながら、逃げ技にも長けている者がいるでしょう。見世物として、活躍してほしいのです」 「つまり‥‥鬼でも豆をよけたり、逃げたりしても良いと?」 「ええ。その方が見物客達も喜ぶでしょう」 深く頷く使者を見て、ますます職員は首を傾げる。 「ですがそれほど盛り上げなくてはならないものですか? 普通に募集した人を鬼役にしても、結構盛り上がると思いますよ?」 逃げ回る鬼を、楽しそうに追い掛ける子供達。それを見ても、充分に楽しめるのではないか。 「‥‥実はちょっとした懸念なのですが」 そこで使者は声を潜め、表情を険しくする。 「我が主は自分で言い出した企画ですし、庶民の反応を知る為に偵察を送るそうなのです。しかも企画に参加している貴族は我が主の他にも複数います。その方々も、同じように偵察を向かわせるそうなのです」 「うっ‥‥! そっそれは大変ですね」 ならば豆まきはかなり盛り上がらなくては、貴族達は機嫌を損ねてしまうかもしれない。 「今回の企画では、貴族の方々から金銭的援助を受けておりますゆえ。絶対に盛り上がるようにせねばならないのです!」 「そっそれは分かります」 二人の間に、緊迫した空気が流れる。 「なので開拓者ギルドの本拠地まで、足を運んだのです。どうぞ逃げ足と逃げ技に自信がある開拓者を集めてくだされ!」 |
■参加者一覧
滝月 玲(ia1409)
19歳・男・シ
喪越(ia1670)
33歳・男・陰
サガラ・ディヤーナ(ib6644)
14歳・女・ジ
赤塚 豪(ib8050)
28歳・男・騎 |
■リプレイ本文 ●遭都の広場・豆まき特設会場 この依頼の担当者であるギルド女性職員は、集まった四人の開拓者達を前に説明をしていた。 「ではこの鬼の面をつけてくださいね」 そう言って手渡された顔を全て覆うぐらい大きな真っ赤な鬼の面を見て、赤塚豪(ib8050)は顔をしかめる。 「ワイは面が無くてもええんとちゃう?」 「確かに赤塚さんは強面のお顔立ちをしていますが、大豆が顔面に直撃したら痛いですよ、かなり。下手すると目潰しにもなりますし」 「もらっとくわ」 職員が真顔で言った言葉にはかなりの説得力があり、豪は大人しく面をつけることにした。 「でも偉い人達は、変わったことを考えるんですね〜」 サガラ・ディヤーナ(ib6644)は受け取った鬼の面を表にしたり裏にしたりしながら呟くも、ふと笑みを浮かべる。 「よく分かんないけど、ボクは子供達と一緒に楽しく遊べれば良いな〜」 「そうだな。俺達も楽しまないと、観客達に楽しさが伝わらないからね」 滝月玲(ia1409)はサガラに同意しながら、周囲を見回す。 会場の中には豆をまく子供達がすでにいて、会場を囲むように一メートル程の壁が作られている。これは会場の外にいる大勢の観客達に豆が当たらないようにする為だが、壁のすぐ近くまで観客は押し寄せていた。 使者の思惑通り、開拓者が鬼をやるということで、興味津々といった観客達が集まって来たのだ。この中のどこかに、貴族達の偵察の者達がいることだろう。 「観客がいる豆まきというのもちょっとおかしなものだが、最近物騒な事ばかりだったし、厄落としにはちょうど良いかもな」 玲が再び仲間達に視線を向けた時、ふと気付く。 「あれ? 一人足りなくないか?」 三人は玲の言葉で同じように気付き、辺りを見回してみる。 「あっ、あそこです!」 一早く見つけたサガラが会場の一点を見つめ、指さす。三人はその方向を見て、顔をしかめる。 そこには豆をまく子供達の前に、腰に手をあて、ふんぞりがえる喪越(ia1670)の姿があった。 「ほう‥‥。この『天儀豆まき杯 鬼は〜外〜、福は〜うっちゃり! 選手権』、801連覇中の俺様に挑戦する猛者達がとうとう現れたのか。よかろう! この俺様のすぺっしゃるな陰陽術の数々、骨の随まで味わうと良いわ! 大人の階段、登らせてやるぜ! ガンキンチョ共! フハハハハハ!」 そこへ豪と玲が猛ダッシュで駆けて来て、勢いそのままに豪は喪越の頭にゲンコツを落とし、玲は腰に蹴りを入れる。 「あうちっ!」 体勢を崩した喪越を二人は左右から抱え、子供達に作り笑いを浮かべて見せる。子供達はすっかり萎縮し、泣きそうになっていた。 「すまんかったな」 「ゴメンね。コレは責任をもって、回収するから」 二人は子供達に謝るとすぐに、喪越を抱えたままサガラ達の元へ来た時と同じ速さで戻って行った。 「ったく、何を考えとんのや」 「子供達を怖がらせて、どうするつもり?」 「何を言っているんだ、二人共。そこに負けられない戦いがある―だから戦うだけだ。雅な連中の思惑なんて、知ったこっちゃねぇな。まあでも報酬はしっかりと貰うがな」 真面目な顔で語る喪越を、四人は呆れた表情で見つめる。 「さっ最後のがなければ、かっこよかったんですけどね〜」 サガラが失笑しながら言い終えると同時に、甲高い笛の音が響いた。 それは開始が近い合図。四人の開拓者達は慌てて面をかぶる。 「みなさん、頑張ってくださいね!」 職員は会場の外へ出た。四人は頷いて見せ、子供達と向かい合う。 ●豆まき開始! 子供達は十数人ほど。みな、大豆を入れた四角い箱を手に持っているが、しかしその箱はかなり大きい。 箱を見て、豪は渋い表情を浮かべる。 「多分‥‥ワイには集中的に来るで」 そう言いながら三人から離れて距離を取る。 「えへへ〜。里ではよく鬼ごっこしてたんです! 負けませんよ〜!」 面をつけたサガラが闘志を燃やした。 玲は髪を振り乱し、赤鬼のように扮装する。 「子供達が笑顔になってくれるのなら、俺はやる気満々さ」 「まっ、盛り上がるにこしたことはないわな」 喪越はニヤっと笑い、着ている服を一気に脱いだ。脱いだ服の下から現れたのは、上半身は裸で、下半身は虎柄のぱんつを着けている姿だった。 会場から一気に悲鳴に似た絶叫が響き渡る。 「フッ。俺様の肉体美に、ガキンチョ共のママン達が狂喜乱舞か」 自己陶酔に浸る喪越を見て、近くにいた玲はボソッと呟く。 「‥‥どちらかと言えば、狂『気』乱舞と言った方が正しいと思うけど」 しかしその呟きは、豆まき開始の合図である二度目の笛の音が鳴り響いたことにより、かき消されてしまった。 まず豪と玲が子供達を襲う振りをしようとし、サガラは逃げる振りをしようとした。 ところが子供達は険しい顔つきで、一斉に全員が喪越の元へ駆けて行った。 「鬼はー外っ!」 「鬼は外に行っちゃえ!」 「鬼は出て行けっ!」 「イタタっ、何で俺ばっかり!?」 十数人の子供達から狙い打ちされ、喪越は逃げ出すも、しつこく子供達は豆をぶつけていく。 残された豪・サガラ・玲の三人は、集まってその光景を見つめる。 「喪越さんはすっかり子供達に嫌われたみたいやな」 「豆まき前に、あんなことを言うからです〜」 「それにあの格好‥‥。早めに始末したいと思う気持ちは分からないではないな。で、助けるかい?」 玲の問い掛けに、二人は首を横に振って答えを出した。 「巴、発動! ハーッ!」 喪越はスキルを使い、クネクネと体をくねらせながら豆をよけて行く。しかし子供達は負けじと投げ続ける。 「くっそぅ! それじゃあ今度は人魂を使うか」 喪越はぱんつの中から一枚の符を取り出し、一匹の猿を召喚した。 「よしっ。藤吉郎は俺とは別方向に走れ」 猿こと藤吉郎は頷き、喪越とは別方向に走り出す。 突然現れた猿に、子供達は心底驚いた。‥‥その顔が、喪越と同じくだらしなく緩んだ表情を浮かべていたからだ。子供達の闘争心に火が付き、半数ほどの子供達は藤吉郎に向かって行く。 上手く攻撃力を分散させることに成功した喪越は、真剣な表情で泣く振りをした。 「藤吉郎、お前の犠牲は無駄にしないぜっ‥‥!」 が、間も無く藤吉郎は豆をぶつけられ、すぐに消滅してしまう。 「あれぇ〜? 最近の大豆って攻撃力、高くない?」 引きつった笑みを浮かべる喪越だったが、豆をぶつけられ、慌てて我に返る。 「わっ〜! 巴、巴っ、巴ぇえ!」 そしてクネクネと動きながら、会場の中を走り回る喪越だった。 「会場は盛り上がっているが、流石に喪越さん一人では可哀想や」 会場は今や大爆笑の渦が巻き起こっていた。しかし渦中にいる喪越はスキルを連発している為、見た目にも疲れ始めていることが分かる。 「依頼料分は働かなくちゃあかんな」 ため息をついた豪は、猿を撃退して喜ぶ子供達に近付く。 「ほれほれ! 鬼はこっちにもおりまっせ!」 挑発を使用しながら、子供達に手招きしてみせる。すると挑発を受けた子供達は、豪に向かって走り出した。 できるだけ近付けさせておいて、身体能力を活かして体を大きく動かし、投げ付けられる豆を回避する。よけながら走り出し、喪越の逃げる姿を見ている玲を眼に映すと、ニヤッと意地の悪い笑みを面の下で浮かべる。 豪がスタッキングを使用し始めると、気配を察した玲がこちらを向く。 「ちょっ‥‥豪さん!?」 「ぼーっとしてんなや。仕事しろ」 そうして至近距離まで接近された玲は身動きを封じられ、投げ付けられる豆をよけきれずに受けてしまった。 「うわっぷっ!」 しかし豪は素早くその場から離脱した為、無傷だった。 「あははっ。すまんな」 軽く笑いながら豪は走る速さを少しゆるめ、時には豆を背に受けたりする。そして突如立ち止まり、体ごと振り返る。そして飛んできた大豆に向かって角を突き出し、角の先に大豆を刺すという姿を見せた。 観客達は大いに沸き立ち、また子供達も驚きながら喜ぶ。 それを見て豪は笑いながら、よけたり、受けたり、時には豆を角に刺して見せた。 「巴、巴っ、巴え〜!」 スキルを連発しながら、喪越は玲の背後を駆け抜けていった。その後を子供達が執念深く、追い掛けて行く。 「ううっ‥‥。豪さん、ヒドイなぁ。別にサボっていたわけじゃないのに」 しかし今は目の前に数人の子供達がいる。子供達は玲がどんな反応をしてくるのか、興味深けに見ている。 玲は大きく手足を開き、子供達に近付いて行く。 「悪い子はいねぇか〜、食っちまうぞ〜」 わざと低めた声をで言うと、子供達は「きゃーっ!」と叫びながら豆を投げ付けてきた。 「いたたっ! こりゃ逃げるしかないな」 そうして玲は子供達に背を向け、瞬脚を使用して一気に距離を取った。これには驚いた子供達は、玲を追い掛け始める。 玲は走りつつも後ろを確認し、豆がぶつかりそうになると体を動かしてよけたり、または空中回転をしたりして逃げた。 豆がなかなか当たらず、しかも手が届かない距離に移動されると、次第に子供達の表情に諦めの色が浮かび始める。 その様子を見て玲は立ち止まり、その場で空中回転をして見せる。 「そんな豆なんかに‥‥あたっ!」 しかし着地しようとして足をすべらし、その場に倒れ込む。すると子供達はチャンスだとばかりに、玲の元へ駆け付け、豆をぶつけまくる。 「あたたっ。痛いなぁ」 地面に転げ回りながら、玲は強力を使用し始める。そしてゆっくりと立ち上がると、筋骨隆々になった姿で、子供達を見下ろした。 「こらぁ!」 怒鳴られて子供達が驚いている間に、玲は元の姿に戻り、再び逃げ出す。 我に返った子供達は、再び玲を追い掛ける。そして追いつかれた時、再び強力を使用して子供をビビらせ、また走り出す。面の下で、玲は満面の笑みを浮かべていた。 「巴、巴っ、巴え〜!」 十回目のスキルを使用した喪越は、ほのぼのとしたサガラの場所を通り過ぎて行く。 「あはは〜。こっち、こっち!」 サガラが相手をしているのはまだ幼い子供達だ。喪越を追いかけ回すのに飽きた子供達が、サガラに手招きされてやって来た。 サガラが鬼の面をつけても溢れ出すほのぼのしたオーラを受け、子供達もほのぼのした感じで豆まきを楽しんでいる。 しかしいよいよ豆がぶつかりそうになった時、サガラはシナグ・カルペーを使用し、子供達を惑わせて回避する。そして驚いている子供達の隙をついてビーマイシャを使用し、眼にもとまらぬ素早さで子供達に接近した。 「えへへ〜。良い子良い子〜♪」 自分より小さな子供の頭を、猫を撫でるようにして触れる。その行為を次々と子供達に繰り返した。 その間に玲がこっそり近付いて来る。そして懐から哀桜笛を取り出し、奏で始める。 美しい笛の音が響き渡る中、サガラは玲を追い掛けて来た子供達も撫でていく。その姿を見て、玲はうっとりした表情を浮かべ、思わず笛から口を離してしまう。 「サガラさん‥‥。まるで噂の羽妖精が舞って、子供達と戯れるような雰囲気が出ている。素敵だ」 その言葉に、子供達は豆を握り、玲に向かって投げ付けてきた! 「うわっ!? どっどうして急にっ?」 慌てて逃げ出す玲を、子供達は追い掛ける。 一人残されたサガラは、面の下で笑みを浮かべた。 「あはは‥‥。今の発言は危ないものを感じましたね〜」 そして近くに子供達がいないことを確認し、サガラはこっそり会場から出る。 「あれ? サガラさんは途中棄権ですか?」 職員が近くに来たサガラを見て、声をかける。 「うん、みんな強いしね。それにもうボクには豆を投げてくれる子がいないみたいだし。なので応援をしたいと思います! みんな、頑張ってください〜!」 「巴っ、巴え〜! くっ‥‥そろそろ巴でよけるのも体が辛くなってきたな。もう一度、人魂!」 ぱんつから再び一枚の符を取り出し、藤吉郎を召喚する。しかしまたすぐに銃弾のような豆に当たり、消滅してしまう。 「のおーんっ!」 大きく眼と口を開き驚く喪越だが、目の前に子供の姿を見かけて慌てて立ち止まる。周囲を良く見てみると、喪越は子供達によって囲まれてしまっていた。 「ちっ! こうなれば最後の手段! 結界呪符『黒』を使用!」 喪越は自分を囲むように四方に黒い壁を召喚した。壁にはいくら豆を投げつけても、意味がない。 「フハハっ! そのような攻撃などぬるいぬるい! 圧倒的ではないか、我が軍は!」 壁の中から、喪越は高らかに笑う。 その様子を見て、職員の眼がつり上がる。そして懐から紙と携帯用の筆を取り出し、何かを書いていく。そして隣にいるサガラに手渡す。内容を読んだサガラは苦笑しながらも、それをまた隣の女性に渡す。 やがて会場の中から、女性の声で喪越を呼ぶ言葉が出てくる。喪越に「そこから出て、姿を見せて欲しい!」との声はどんどん増え続け、気分を良くした喪越はとうとう壁を消してしまう。 ―が、それが運の尽き。360度の全ての角度から、喪越は豆を投げつけられたのであった。 ちなみに職員が書いて回した紙にはこう書かれてあった。 『喪越どのを壁から出す為に、呼びかけてください(女性限定)』 それを読んだ女性達が喪越に声をかけて、まんまと引きずり出したのであった。 一方その頃、玲は子供達に捕まり、もみくちゃにされていた。 「ごめんよ〜。もう悪いことしないから〜」 情けなくも弱い声で言われ、子供達は玲から離れる。 「では! その証拠に、これからみなさまの厄を炎で焼き落としまするぅ!」 突如起き上がった玲は、瞬脚を使用して高く飛び上がり、鉄扇と太刀を使った天呼鳳凰拳の炎舞を見せた。 観客達が驚きと喜びの声を上げる中、豆まき終了の笛の音が会場に鳴り響いた。 ●豆まき終了 「開拓者のみなさま、ありがとうございました。これだけ盛り上がれば、我が主達も大満足でしょう」 観客達が帰る中、使者は深々と頭を下げた。 「それとせっかくの節分ですので、こちらの方で恵方巻きをご用意しました。どうぞ召し上がってくだされ」 貴族の使者が用意した恵方巻きならば、さぞかし高級で美味だろう。職員と三人の開拓者達は喜んだ。‥‥が、使者は会場の一点を見つめ、複雑な表情を浮かべる。 「あの方はあのままでよろしいのですか?」 見つめる先には、ボロボロになって倒れている喪越の姿があった。 「ええんや。ほっとき」 「まあ喪越さんには良い薬ですね〜」 「身から出たサビと言うもの。陰陽師で開拓者なんだし、ほっといても大丈夫だよ」 豪・サガラ・玲の言葉を聞き、倒れている喪越は弱々しく呟いた。 「仲間が‥‥鬼‥‥」 その言葉を最後に、がっくりと再び倒れた。 <終わり> |