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■オープニング本文 東房王国の開拓者ギルドで受付担当している美島と、北面国の開拓者ギルドで受付担当している芳野と鈴奈の三人は、調査団と共に海岸へ訪れていた。 「普通のタコは美味しいんですけどねぇ」 美島が困り顔で呟いた言葉に、二人も同意するように頷く。 「普通のタコは美味いよなぁ。酒にもよく合う」 「でも…こんなタコはイヤよね」 三人の視線の先は、海と浜辺に向いている。 曇天の空の下、海の中には一匹の大蛸入道がいた。十五メートルもある大蛸は漁に出て来た船と人を襲っているとの報告が入り、三人は視察も兼ねて見に来たのだ。何故この三人が一緒に来たのかというと、東房王国と北面国の境い目にある海にアヤカシが現れたからだった。 恐らく冥越国から流れてきただろうアヤカシは、しかし大蛸入道だけではない。よりにもよって普通のタコサイズのアヤカシまでもがうじゃうじゃとやって来て、浜辺まで上がって来ている。しかしやはり海洋生物のせいか、浜辺より上へは上がって来れないようだ。 「普通サイズのタコのアヤカシはまあ浜辺に行って、一気に倒すのが良いでしょう。問題は……」 「大蛸入道の方だな。ヤツは十分間ほどならば空中に浮くこともできる上に、海の中にいるから浜辺から攻撃をするのは難しい。だから」 「開拓者には空中戦をしてもらうことになりそうね。地上戦と空中戦かあ…。長引くと逃げてしまうアヤカシだし、一気に終わらせてはほしいけど……」 地上戦はともかく空中戦の場合、開拓者だけでは無理があるだろう。 「やはり空を飛べる相棒を呼んでもらうしかなさそうですね。海には大蛸入道一匹しかいませんけど戦うのは難しいでしょうし」 「地上戦は数の多さが問題だなぁ。チマチマやってたんじゃ体力が持たねぇ」 「タコのアヤカシはまず、拘束力が異常に強いって言うものね。逆にこちら側の拘束力は一切効かないと言うし」 三人はそれぞれ顔を見合わせ、深くため息を吐いた。 「…とにかく、グダグダ言ってても仕方ありません。対策を練りましょう」 「ああ。大蛸入道について、資料を集めんとな」 「ううっ…! しばらくタコが食べられないよぉ」 大蛸入道、別名クラーケンは生命力がアヤカシの中でも強く、しかし回避能力や防御能力は低い。しかし海の中にいる為、スキルを使わない物理的攻撃の近距離攻撃は届かず、中距離も遠距離もその大きさから与えられるダメージはほぼ無し。しかも拘束スキルは一切無効。 あちらからの攻撃はまず、墨を弾丸のように吐き出すこと。そして煙幕も吐き、視界を塞ぐ。十分間の飛行が可能で、低空を飛びながら足を伸ばして絡んできたり、ムチのように振るってきたり、または足で岩を掴んで投げてきたりする。 そして八本の足のうち、四本を撃破されると退却してしまう。深い海の中を潜られてしまえば、いくら相棒がいる開拓者でも追跡は不可能。攻撃された足も一日一本ずつ回復してしまう。 「ミニタコ…まあ普通のタコのサイズのアヤカシの方ですが、攻撃は絡みついてくることと銃弾のような黒い墨を吐いてきます。目くらましの墨も吐くことがあり、決して油断ならない相手です。ですが大蛸入道と違い、物理的攻撃が効くのが良いですね」 「浅瀬で水分を補給すれば、浜辺へと何時間も出ることが可能っつうのが面倒でもあり、一斉討伐では楽ではあるな。問題はミニタコを呼び寄せる手段だが……」 「人間の血を使うのっ!?」 アヤカシが喰らうのは人間や、恐怖などの負の感情。あくまでも輸血用の血を浜辺にまいて、アヤカシが海から出て来るのを待つという作戦だ。 「そうしなければ一網打尽にできませんからね。できれば全滅が良いですけど今回はいろいろな状況を考え、とにかく一匹でも多く倒すことを目標とします。最低限、大蛸入道は倒してもらわなければ後で本当に困ります。下手すれば魚介類が食べられなくなりますからね」 「ミニタコの方はこの間の視察で数えたのが全てだとは限らんしな。海の中に、潜んでいる可能性もある。とにかくミニタコは浜辺へとおびき寄せ、海の中には大蛸入道一匹にした方が倒しやすいだろう」 「う〜…。もうタコ、食べれないかも」 それでもこれからも魚介類を食べたいので、開拓者達を募集することにした。 |
■参加者一覧
リィムナ・ピサレット(ib5201)
10歳・女・魔
罔象(ib5429)
15歳・女・砲
ルゥミ・ケイユカイネン(ib5905)
10歳・女・砲
ラグナ・グラウシード(ib8459)
19歳・男・騎 |
■リプレイ本文 ●大蛸入道討伐開始! ルゥミ・ケイユカイネン(ib5905)が大蛸入道を討伐する為にしている準備を見て、他の開拓者三人は非常に微妙な表情を浮かべている。 ルゥミは開拓者ギルドで用意してもらった軽いカカシに、これまた分けて貰った輸血用の血をかけていた。パートナーの滑空艇の白き死神に荒縄で血まみれカカシを結びつけ、満足げに微笑む。 「よしっ! 後はスキルをあたい自身にかけて出発だよ!」 白き死神に乗り込むと【カザークショット】で回避能力を上げ、鳥銃の狙い撃ちに【耐水防御】をかける。 「【カザークショット】は効果が一時間続くし、準備はこれで大丈夫! タコスケ軍団をぶっ倒して、海に平和を取り戻すよ! それじゃあ行ってくるね!」 ルゥミは晴れやかな笑顔で海に向かって飛んで行くが、白き死神には血まみれカカシがぶら下がっていた。 ルゥミからの申し出で、まずは彼女一人で大蛸入道の様子を探ってもらうことになっている。その途中で大蛸入道が姿を現せば、そのまま戦闘になる手はずになっていた。 ルゥミを見送った後、三人も海へ向かう準備を始める。 リィムナ・ピサレット(ib5201)は滑空艇のマッキSIの整備をしながら、先程飛んで行ったカカシのことを思い出す。 「でも血まみれのカカシって怖いね…。ああいうのが畑とか田んぼにあったら、鳥どころか人間も寄り付かない…と言うか、まず逃げるね」 「特にルゥミさんのような少女が制作する姿は、ちょっと怖かったです…」 駿龍の瓢の首を撫でながら、罔象(ib5429)は青い顔色になった。 「小さいながらもアヤカシを退治する為には努力を惜しまぬその姿……負けてはおれぬな! なあレギ!」 ラグナ・グラウシード(ib8459)は駿龍のレギに元気よく声をかけるも、その背中にはうさぎのぬいぐるみがあり、全てを台無しにしている。 なのでリィムナと罔象は見て見ぬ振りをすることにした。 一方、低空飛行をしていたルゥミは海の中に大蛸入道の姿を発見する。そして腰に下げている血が入ったひょうたんの栓を抜き、逆さまにして海に中身を注ぐ。すると大蛸入道が動き出し、足の一本がルゥミに向かって伸びてきた。 「ヤバっ!」 ルゥミは咄嗟に荒縄を解き、カカシを放す。すると大蛸入道の足はカカシを掴み、そのまま海の中に引き入れる。 ルゥミはその隙に白き死神に【急反転】をさせ、【加速】を使って大急ぎで大蛸入道から離れた。 すると大蛸入道は、血に惹かれて海の中から姿を現す。 その様子を陸から見ていた三人は表情を引き締め、それぞれパートナーに乗るも、リィムナと罔象はラグナの背中を見てぎょっとした。 「ラグナっ! うさぎのぬいぐるみを背負ったまま戦うの?」 「たっ戦いにくくないですか?」 「大丈夫だ! うさみたんと私は一心同体なのだからな! さあ、レギ! 我々の力を見せてやろうではないか!」 レギは声高く鳴くと、大蛸入道に向かって飛び立つ。 「…微妙に戦意が削がれますので、彼の背中は見ないように戦いましょうか」 「そだね」 罔象とリィムナは同時にため息をついた後、空へ飛び立った。 「まずは私が逃げられないように、足止めを先にしてきます。みなさんはこちらを見ずに、離れていてください。危険ですからね!」 罔象は瓢に【ラッシュフライト】を発動させ、命中率と回避率を上昇させる。そして【高速飛行】で大蛸入道の眼に近付き、【閃光練弾】を放つ。錬力を込めた弾丸が炸裂して、強烈な閃光を放った。 間近で見た大蛸入道が眼を回した瞬間に、罔象は【魔砲「スパークボム」】を放つ。強烈な閃光と爆発が起こり、瓢は衝撃に耐え切れずに後ろに下がってしまう。 「くぅっ…! しかしダメージは与えられましたね」 大蛸入道の表面が軽く凹み、焦げ跡ができている。しかし眼付きが鋭くなり、突然その巨体を浮かび上がらせた。 「これはちょっと危険ですね…! 瓢、距離を取る為にちょっと我慢してくださいね」 【ファストリロード】で再装填し、罔象は再び【魔砲「スパークボム」】を放つ。襲ってきた一本の足に攻撃は当たり、その反動を利用して大蛸入道から離れた。 「罔象、ナイス! 後は任せておいて!」 リィムナは大蛸入道の後ろに回り、【アイシスケイラル】を放つ。槍や矢のような鋭い氷の刃が向かっていくも、気配を察した大蛸入道は防御するように二本の足を背後に回した。 「なっ!?」 驚くリィムナの目の前で攻撃は二本の足に刺さって炸裂し、激しい冷気が放たれる。だが足の先しか破壊できず、残った部分は氷漬けになっているものの、そのままリィムナに向かって来たので慌ててマッキSIに【急反転】させて離れた。 「あたし達が敵であること、分かっちゃったかなぁ」 苦笑しながらリィムナは襲いかかってくる足達を、【高機動】を使って回避していく。しかしタコ足による攻撃はリィムナだけではなく、他の三人にも向かっていた。 「わっ! タコ足のクセに何て動きだよ!」 ルゥミは白き死神に【急反転】と【加速】を使って、タコ足の攻撃を避ける。 大蛸入道は足をムチのように振るったり、足で岩を掴んで投げてきた。そのたびに海からは大きな飛沫が起こり、四人とパートナー達に容赦なく海水が振りかかってくる。その上、墨を弾丸のように何発も撃ってきた。 「レギっ、黒き弾丸には気をつけろ! あんな物にぶつかったら海へ真っ逆さまだ!」 レギは困ったように鳴き声を上げながらも、何とか攻撃から逃れる。 「瓢、海水を浴びるのは辛いでしょうが、今は我慢してください」 大蛸入道の周辺を飛んでいる罔象と瓢も、攻撃を避けるのに必死だ。 「チッ! このままじゃ埒があかないな。レギ、ヤツの胴体近くまで飛んでくれ! こんな攻撃、いつまでも避けきれまい!」 ラグナの言う通り、誰もがしっちゃかめっちゃかな攻撃から避けるのに苦労し、その顔には疲労の色も浮かびつつある。 大蛸入道は三本の足と顔を負傷しているせいで、凶暴性が増したようだ。 このままでは攻撃を避けるだけで体力が消耗していき、やがては集中力も切れて避けきれなくなってしまうだろう。 レギは困惑しながらも腹を決め、力強く鳴くと大蛸入道に向かって飛び始めた。多少の攻撃は耐えながらも進み、何とか接近する。 ラグナは【オウガバトル】で攻撃、防御、抵抗を上昇させ、カーディナルソードを抜いた。そして襲いかかってきた足の一本を【オーラショット】で斬り落とし、胴体に向かって武器を構える。 「タコ足は斬られても再生するようだが、胴体を斬られたらどうなるのか試してやるっ!」 【グレイヴソード】で大蛸入道の腹を斬り裂くと、そこから大量の瘴気がふき出した。 「ぐっ…! 流石はアヤカシ、体内は瘴気に満ちていたか…」 顔をしかめながらレギとラグナは堪らず大蛸入道から離れる。 「よぉーしっ! 今なら倒せる!」 ルゥミは攻撃が弱くなったのを確認すると白き死神に【最適置】を使って大蛸入道の斬られた胴体に近付き、鳥銃の狙い撃ちを使って【参式強弾撃・又鬼】を撃った。撃った瞬間に銃口から発する衝撃波で後ろに下がるも攻撃は斬られた胴体に命中し、大蛸入道の体が二つに折れ曲がる。 「これで終わりにするよ!」 鈍くなった攻撃をマッキSIの【急反転】を使ってかわし、【弐式加速】で一気に大蛸入道に近付いたリィムナは再び、【アイシスケイラル】を斬られた胴体に向かって放った。胴体の中から冷気が爆発したかと思うと、大蛸入道自身が続いて大爆発する。出てくる瘴気と衝撃から逃れる為に、四人は慌てて退避した。 ●ミニタコ討伐開始! 陸に戻った四人とパートナー達は、海の中で大蛸入道が大量の瘴気を撒き散らしながら消滅していく姿を見つめ、深くため息を吐いた。 「結構疲れたね…。あの無茶苦茶な攻撃には正直ヒヤヒヤしたよ」 ルゥミがぐったりしながら呟く。 「でもまだコレで終わりじゃないからね」 リィムナが疲れた顔を向けた先には、砂浜に大量にいるミニタコの姿があった。 「どうやら海で戦っていたせいで、海の中にいたミニタコが浜辺へ上がってきたみたいです。それにギルドの方々がすでに輸血用の血液を撒いていたせいで、興奮状態になっているみたいですね」 罔象は浜辺を埋め尽くすように集まっているミニタコを見て、少しうんざりしながら説明する。 「後はこやつらを倒すのみっ! レギ、行くぞ!」 ラグナに指名されたレギは驚いた。まさか空中戦だけではなく、地上戦にまで付き合わされるとは思わなかったのだろう。 しかしラグナはとっととレギの背中から下りると、浜辺へ向かって駆け出した。 「私は先に行っているぞ!」 走って行ったラグナの後ろ姿を見て、レギは大きく息を吐くと渋々ついて行く。 「それじゃあ私達も行きましょうか。瓢、もう少し頑張ってくださいね」 罔象が苦笑しながら瓢の首を撫でると、了解したように短く鳴いた。 「じゃああたい達も行こうか」 「そうだね」 続いてルゥミとリィムナもパートナーに乗りながら、浜辺へ向かう。 「う〜ん…。キリがないなぁ」 ルゥミは白き死神に乗り、低空飛行をしながら鳥銃の狙い撃ちでミニタコを撃っていく。ミニタコは撃たれると弾けて、瘴気を出しながら消えていく。簡単に倒せるものの、その数は海から出て来たモノを合わせるととんでもない量になっていた。 「コレ、終わるのかな?」 見渡す限りいるミニタコを見て、ルゥミは途方にくれる。 三人から離れた場所で罔象は瓢に【ラッシュフライト】を発動させ、ミニタコの攻撃をかわしながら【魔砲「スパークボム」】でふき飛ばす。 「ふぅ…。…練力、持つでしょうか?」 ふき飛ばしても空いた部分を埋めるようにミニタコが集まってくるのを見て、罔象は練力の残りを心配しはじめた。 リィムナはマッキSIに乗りながら輸血用の血を浜辺に降り注ぎ、ミニタコを集める。その上で【メテオストライク】を放ち、大爆発を起こす。 「はあ…。ミニタコってどれぐらいいるんだろう?」 浜辺に密集している姿を見て、リィムナは深く大きく息を吐いた。 一方、ミニタコも何のそので浜辺に来たラグナは、カーディナルソードでミニタコを斬りまくっている。 遅れてやって来たレギに向かって、声高く命じた。 「さあレギ! このミニタコを踏み潰せ!」 ぎょっとするレギに構わず、どんどんミニタコを倒していく。その姿を見て、仕方なくレギは足の爪を使ってミニタコを切り裂いていった。 しかしミニタコの一匹が、ラグナの背負っているうさぎのぬいぐるみにちょっと触れたのを見た途端、ラグナの殺気が上がる。 「貴様っ…、その汚らわしい足で私のうさみたんに触ったなっ! 触手プレイとは何事…ぐはっ!?」 ラグナの言葉はしかし、眼をつり上げたレギに踏まれたことによって途切れた。背後から踏みつけられたラグナの体は砂浜にめり込み、息が出来なく苦しそうにバタバタと暴れている。 「レギ、避けてくださいね!」 罔象の言葉を聞いて、レギはすぐさまそこから飛び去った。すると罔象は【魔砲「スパークボム」】を放ち、ミニタコを一掃する。 「もうそろそろ練力が切れそうです…ってラグナさん!? 何でそんな所にいるんですか?」 レギに踏まれていたせいで、罔象の眼に映らなかったラグナは攻撃の衝撃をモロに受け、ふき飛んでいた。 ――その後、レギに回収されたラグナを、リィムナが【レ・リカル】で回復させた。 ●討伐終了! 静かになった浜辺と海を、四人は思い思いに見つめる。 「ようやく終わったよ…」 「終わって本当に良かった…」 ルゥミとリィムナは物凄く遠い眼をした。 「私、最後の方では魔槍砲の戦神の怒りの槍の部分で戦いましたよ…」 罔象も武器を手にしながら、ようやく終わった戦いに安堵のため息をつく。 終わりなき戦いかと思ったが、根気よく退治していったおかげで、何とか一匹残らず倒すことに成功したのだ。 浜辺ではボロボロになったラグナが、座り込んでいるレギに声をかけた。 「レギ、疲れたか?」 しかしレギはプイッと顔をそむける。自分にはミニタコを退治するように命じたが、うさぎのぬいぐるみにはミニタコが触れただけで激高したラグナに怒っているのだ。 だがそんなレギの気持ちに気付かず、ラグナは隣に腰を下ろす。 「もう夏も終わりだなぁ。この海では水着姿の女性達が楽しんだんだろうな」 水平線を見ながら、ラグナは切なそうに呟く。 その呟きを聞いた罔象は不思議そうに首を傾げ、ルゥミとリィムナを振り返って見る。 「ラグナさん、ここが漁業専用の浜辺であることを知らないんですか?」 罔象の問いかけに、二人は真顔で頷く。 普段、この小さくせまい浜辺には漁業をする為の船が数多く置かれていた。アヤカシの姿が発見されてから船は全部撤収されていたが、数日後にはまた船が置かれ、漁業が始まるだろう。遊泳用の浜辺は別にあり、ここでは誰も泳がないのだ。 「まっ、ほっとくと良いよ」 「本人は想像するだけでも楽しいんだろうし」 ルゥミとリィムナは冷静に言って、ラグナに背を向ける。続いて罔象もラグナを気にしながらも、二人の後を追う。 残されたラグナはうさぎのぬいぐるみを抱きしめながら、ありもしない想像をふくらませているのだった。 【終わり】 |