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■オープニング本文 「おーい、バカ弟子の天城やーい。半人前のクセに、態度は一人前のバカ弟子はどこにおる?」 「何ですか、アホ師匠。朝ご飯なら食べたばかりでしょう? まだ食べていないとか、ボケたこと言わないでくださいよ」 (「口の悪い師弟だな‥‥」) 東房王国にある山寺に僧侶見習いとして働いている天城は、自分の師匠に遠慮が全く無い。そしてそれは師匠も同じで、二人の会話を聞いていた空理は軽く頭痛を感じる。 六十過ぎの高僧である天城の師匠はトボけた感じがするものの、腹黒い感じが隠せない恐ろしい男でもあった。 師匠は庭掃除をしている二人を見つけると、近付いて声をかける。 「お前さん、肝試しのお化け役、何にするか決めたかのぉ?」 「‥‥はい? 何のことですか?」 「ああ、まだ天城に説明していなかったな」 ふと空理は思い出し、肝試しの説明をする。 毎年この季節に、寺では肝試し大会をするのだ。僧侶達はお化け役をし、庭に肝試しコースを作って、仕掛けも作る。スタートは本堂で、ゴールは歩いて二十分ほど先にある別堂。参加者は一人一本のロウソクを持ち、二人組か三人組でコースを歩く。無事に別堂に到着したら、寺からお守りをプレゼントされるというものだった。 「――で、お前さんは今年からお世話になっとることだし、お化け役をすることになったのじゃ」 「‥‥それは師匠も当てはまる条件になると思うんですが、まあ良いでしょう。でも空理、どんなお化けになったらいいんだ?」 天城に問いかけられ、空理の表情が暗くなる。重いため息を吐きながら、住居の方に向かって歩き出す。 「言うよりも、見た方が分かりやすいと思うから、ちょっと来いよ」 師匠と天城は顔を見合わせて首を傾げた後、空理の後を追い始めた。 「‥‥なんっつーかコレは」 「ボロい、のぉ」 住居の物置部屋に、肝試しで使う衣装が置かれてある。しかしどれもボロボロの着物で、ある意味、暗闇で見ると確かに怖い。いつもはこのボロ着物を着て、ある程度顔に化粧をして、お化け役を演じるのだと言う。 「こういうの、頂いた古着とかを作り直したヤツだから、あんまりいいのなんてないんだよ」 「でもこれじゃあお化け役と言うより、幽霊役だな」 「ほうじゃのぉ。妖怪らしいものがないしのぉ。ちなみに仕掛けとやらは、どんなもんなんじゃい?」 「仕掛け‥‥と言いますか、木の枝を揺らしたり、恐ろしい声を出したり、物音をいきなり出すぐらいですね」 空理の答えに、二人は呆気に取られる。あまりにしょぼい。そして貧乏丸出しで、少し恥ずかしくなった。 「うぅ〜む。確かにそこそこ怖いかもしれんが、なぁんか物足りないのぉ」 「師匠の言う通りだと私も思います。‥‥他人の力を借りるのもなんですけど、開拓者を頼ってみるのはどうでしょう?」 天城の提案に、師匠の険しい表情が和らぐ。 「ふむ‥‥。まあ確かに彼等の持っているスキルは、人を驚かすのにピッタリなのもあるし、いいお化けを演じてくれそうじゃな。それに仕掛けも面白そうなのを思いついてくれそうじゃわい。どれ、一つ頼んでみるかの?」 「ええっ!? そんな勝手に‥‥」 「心配するな、空理。他の連中にはワシから話をつけよう。ワシも開拓者がどんなお化けや仕掛けをしてくれるか、楽しみだしのぉ」 ほっほっほっと笑いながら、師匠は部屋を出て行く。 その後ろ姿を見ながら空理は、師匠は化けタヌキではないかと本気で疑った。 |
■参加者一覧
ペケ(ia5365)
18歳・女・シ
リィムナ・ピサレット(ib5201)
10歳・女・魔
フルト・ブランド(ib6122)
29歳・男・砲
ラグナ・グラウシード(ib8459)
19歳・男・騎
伊佐波 薊(ib9702)
20歳・女・サ |
■リプレイ本文 <お化けな開拓者達> その夜は異常なほど、満月の光が眩しかった。空は闇色に染まっているというのに、月の明かりが強いせいで白い雲が浮かび上がるほど。風も生ぬるく、じっとりした湿気を帯びている。 そんな中、寺が行う肝試しに参加したのはまだ十四になったばかりの少女達、三人組だ。可愛らしい浴衣に身を包み、自分達が手に持つ火が付いたロウソクと月明かりが頼りの中、おびえた表情で森の中の土道を歩く。 「なっ何か出そうだね‥‥」 「そっそりゃあ肝試しなんだし、お化け役の人が出るでしょう!」 「ううっ‥‥! 怖いけど、ここのお守り良く効くんだよね。しかも今年のお守りは‥‥」 話している途中でビチャッ‥‥と重い水音がした。 「やっヤダ、雨なんて降ってきてないわよね?」 「空は晴れてるわよ!」 「いっ行こうよぉ」 三人が足早に歩き出すと、水音も足早に追いかけてくる。水音が自分達を目当てに追いかけて来ることに気付いた三人は涙目になった。 「ちょっ‥‥追いかけて来てない?」 「来てる来てるぅ〜!」 「ふっ振り返ってみない?」 三人は水音の正体を知りたいという好奇心から、一斉に振り返って見る。 そこには白くボロボロの着物を着て、白く長い髪がボサボサの女がいた。顔は長い髪に隠されており、全身がずぶ濡れで豊満な肉体にピッタリ張り付いている。裸足でフラフラとこちらに近付いて来た。 「う〜ら〜め〜し〜や〜‥‥」 「「「〜〜〜っ!」」」 低く恐ろしげな女性の声を聞いて三人はその場から飛び上がり、次に正面を向いて一斉に走って行った。 「‥‥ふぅ。こんなところですかね?」 顔にかかる髪をかき上げたのは、ペケ(ia5365)だ。白い髪はカツラで、水を吸って重くなったせいで痛む首と肩をゴキゴキと鳴らす。 「とりあえずおどかしましたし、コースもちゃんと外れないようにさせました。『ずぶ濡れの悪霊さん』は迫力があるみたいですよ」 上機嫌でくるっと回ってみたペケだったが、すぐに次の参加者が近付いて来る気配を察し、慌てて草むらに隠れるのであった。 一方その頃、フルト・ブランド(ib6122)は草をかぶった【埋伏り】を使い、参加者が来るのを待ち構えている。その手には釣竿があり、木の枝にかけた釣り糸の先には冷やしたコンニャクがあった。 そしてやって来たのは浴衣を着た二十代の若い青年二人組。ビクビクしながら歩いてくる男性の一人の首の後ろに、コンニャクをピトッと当てる。 「うぎゃっ!」 「なっ何だ!?」 驚いて立ち止まる二人を確認すると釣竿を置いて、今度は爆竹を二人に向かって投げる。パンッパパパンッ!と弾ける音がして、二人は慌てて前を向く。 その隙にフルトは二人の後ろに立つ。顔にはスカルフェイス、体には鎧のレザーアーマーのヘクトルの上にボロ布をまとった姿で。その布には赤い血が付着しており、生臭さが本物の血であることを証明している。 その姿だけでも充分に怖いのだがその上、両手にはマスケットのバイエンがあった。銃口を空に向けながら、【閃光練弾】を撃つ。 「んなっ!」 「うっうわああっ!」 錬力を込めた弾丸を炸裂させ、閃光を発する『亡霊戦士』を見て、二人は慌てて走って行った。 「少し過激過ぎましたかね?」 フルトはスカルフェイスを外し、頭を軽く振る。ちなみに布に付いている血は魚や鳥の血だ。 「異国のオバケは珍しくて良いと思ったんですけど、予想以上の恐怖を与えてしまったみたいです」 言葉ではそう言いながらも、その顔には意地の悪い笑みが浮かんでいる。 やがて人の声が近付いてくるのを聞き、再びフルトは身を隠すのであった。 リィムナ・ピサレット(ib5201)は桶の中に水と【フローズ】で作った氷の中に、コンニャクを入れて冷やしている。そしてこちらへ来る参加者の気配を感じ取ると、コンニャクを釣り糸に取り付けた。 今来ているのは三十を過ぎた立派な体格の男性と、同じ歳ぐらいの色白の痩せている男性の二人組だ。 リィムナは痩せている男性に向かって、大きく釣竿を振る。 「てい!」 小さく口の中で叫び、コンニャクは男性の横顔に勢い良くビタンッと当たった。 「うわぁ! 何か冷たくて柔らかい物が僕の顔にっ!」 「えっ? 何か飛んで来たか?」 コンニャクはすぐに引き上げる。釣竿を地面に置いて、次にここから少し先にある道の幅が広がっている所に静かに移動した。そこでまず【アイヴィーバインド】を発動し、地面から魔法の蔦を出す。蔦に自分の身が絡んで見えるようにし、参加者がこちらに来るのを息を潜めて待つ。 やがてコンニャクの衝撃が抜けきれない例の二人がやって来た。リィムナは【マシャエライト】を発動させる。 「なっ何だ、アレは?」 「火の玉か?」 【マシャエライト】は熱を持たない火球で、リィムナの周囲をゆらゆらと浮かんで照らしていた。それが一般人には火の玉に見えるのだろう。 火球に照らされたリィムナのお化け姿は、まるごとこっこの体に血糊を付け、腹には赤い布で作った内蔵を、頭の部分には黄色がかかった白い布で作った脳を取り付けていた。そして昼間、フルトと共に市場で肝試しで使う道具を購入する時に見つけた目玉のおもちゃを顔に付けている。ちなみに片方の眼には布を縫い付け、そこから何本もの赤い糸で目玉のおもちゃをぶら下げていた。 リィムナの『まるごとゾンビ鶏』を見て、男性二人は白い顔色で「ぎゃっ!」と短い悲鳴を上げる。 するとリィムナは顔を上げ、甲高い声を上げた。 「コケっー! 食われた恨み、思い知れコケーっ!」 蔦に体を絡ませながらも、必死で羽をバサバサっと動かす。 「大自然の怒りを受けるコケーっ!」 そして蔦を二人に向かって伸ばすと、二人は大声で悲鳴を上げながらコースの先に向かって走って行った。 「やれやれ‥‥。夏にきぐるみはちょっと熱かったかな?」 頭の部分をスポッと抜くと、汗をかいて顔を赤く染めるリィムナの顔が現れる。手拭いで汗を拭きながらも、山の至る所から聞こえる悲鳴を聞いて、改めて気合を入れ直す。 「よーしっ! まだまだ肝試しを盛り上げよう!」 ラグナ・グラウシード(ib8459)のお化けの姿は、下着の上に寺から借りたボロボロの着物を着て、水に溶かした赤い顔料を頭や顔、体にかけた『幽霊』だ。 こちらに向かって来る十二・三歳ぐらいの三人組の男の子達を見ると【オーラ】を発動し、自分の体を光らせる。そして暗がりからゆっくりと少年達の前に姿を現した。 「その首‥‥置いていけぇ〜」 低く恐ろしげな声を出しながらニヤリと笑うと、三人は恐怖に顔を歪ませる。 「うっぎゃああっ!」 「出たあ〜!」 「だからイヤだったんだよぉ! お守りの為に肝試しに参加するのは!」 泣きながら走っていく少年達を見ながら、ラグナは軽く笑い飛ばす。 「ははっ、根性がない少年達だな。‥‥しかし『お守りの為に参加した』とはどういう意味だ?」 少年の一人が残した言葉に疑問を感じて首を傾げるも、その背が寂しいことを思い出した。 「ああ‥‥いくらうさぎのぬいぐるみを背負った幽霊など様にならないからといって、寺に置いてきたのはちょっと寂しいな」 何故かうさぎのぬいぐるみを背負って来たラグナだったが、周囲の人々に冷たい眼で見られ、泣く泣く寺に置いてきたのだ。 「よぉし! うさみたん、もうしばし待っててくれ。立派にお化け役を果たした後、ちゃんと迎えに行くからな!」 決意も新たにしたラグナだったが、後から来る恋人達の声を聞いて、眼に怪しい光が宿る。そして歪んだ笑みを浮かべ、振り返った。 「くくくっ‥‥! ようやく獲物が来たか」 「‥‥そろそろ来るかな?」 伊佐波薊(ib9702)は、木や草むらの影に身を隠している。その姿は『鬼武者』。体には武者鎧、顔には鬼の面をつけており、鬼神の兜の間から緑色の長い地毛が出ていた。薊はゴール地点の別堂の近くを担当しており、驚かすのはもちろんだが、別堂へ誘導する役目もある。 やがて十五歳ぐらいの女の子と、十歳ぐらいの男の子が手をつないでやって来た。 「ううっ‥‥。おねーちゃん、怖いよぉ」 「我慢しなさい! 男の子でしょう? それにここのお守りは効くって評判なんだから!」 おびえる弟に、姉は青い顔色で叱りつける。 「‥‥うん、はじめようか」 そんな二人を見て、薊は動き始めた。まず気配を消して、二人の近くに行く。そしてその場で足踏みをして、鎧をガシャンガシャンっと音を鳴らした。 二人は短い悲鳴を上げ、こちらを見る。眼があった瞬間に、薊は素早く身を隠す。 「おっおねーちゃん‥‥」 「もっもうすぐ別堂に到着するから。そうしたらお守りが貰えるからっ‥‥」 姉は怖がる弟の手を引っ張って、先を急ごうとする。 薊は再び草むらの中を移動し、二人の斜め前から突如姿を現した。 「‥‥ばあ」 二人は突然現れた鬼武者に驚いたものの、おどかす声に迫力が無かった為にどっと脱力する。しかし今まで緊張していたせいか、気が抜けたのと同時に弟の腰まで抜けてしまった。 「大丈夫‥‥? ‥‥手、貸そうか?」 地面に尻餅をついた弟は恐る恐る薊の差し出した手を掴み、立ち上がろうとしたが、腰が抜けているので立ち上がれない。 「‥‥しょうがないか」 薊は片手で少年の体を抱え上げ、もう片方の手で姉の手を握り締めて別堂へ向かった。 別堂で待機していた僧侶達に姉弟を預け、薊は元いた場所に戻ろうとする。しかし一組の若い恋人達が泣きながら別堂に駆け込んで来たのを見て、その足を止めた。 「ゆっ幽霊がっ‥‥!」 「あの男の幽霊、本物じゃないのっ?」 恋人達は恐怖で顔を歪めるも、次に来た子供達や女の子達は怖がっているものの、恋人達ほど恐怖を感じていないように見える。 「‥‥まさか」 薊は嫌な予感がして、慌てて肝試しコースに向かう。目的の場所につくと、そこにはお化け姿のままのペケ、フルト、リィムナの三人も集まっていた。 「あっ、薊さんも来ましたか」 「こちらの方から時折、異常な程酷い悲鳴が上がるのを聞いて駆け付けたんですよ」 「もしかして‥‥と思ってね」 「‥‥やっぱりみんなも考えることは一緒‥‥」 そして若い男女の悲鳴が上がり、四人は一斉にその場に視線を向ける。 四人の眼に映ったのは、浴衣姿の男性の足にしがみつき、恐ろしい表情を浮かべるラグナだった。その眼は大きく見開かれ、心底楽しそうにイヤな笑みを浮かべている。 「ふははははっ! 逃がしはせぬ! 貴様の生命‥‥ここに置いていけえぇ!」 男性も女性も泣きながら叫んでいるものの、ラグナのしがみつく力はゆるまない。 「このりあじゅうカップルどもめ‥‥。阿鼻叫喚の地獄に引きずり込んでくれ‥‥ぶほわっ!」 ラグナの魂からの叫び声は残念ながら、精霊甲の煉をきぐるみの下に装着しているリィムナに頭を殴られたことにより、中断された。 「きっ金属板がある武器で頭を殴るとは‥‥」 「何言ってるんだよ! 参加者の人には触っちゃダメだって言われてたでしょ!」 突如現れた『まるごとゾンビ鶏』が『幽霊』を叱りつける光景を見て、恋人達は呆気に取られる。 「大丈夫ですか?」 「私達の仲間が失礼しました。別堂までご案内しますので、ご安心ください」 そこへお化け姿のペケとフルトに声をかけられて一瞬ビクッと震えたものの、彼女達の手を借りて立ち上がり、足早にその場から立ち去った。 「ああ、行ってしまった‥‥」 「何残念そうに言っているの‥‥? 参加者全員をゴールさせるのが‥‥目的だったでしょう?」 薊も腰に両手を当て、怒っている姿をラグナに見せる。 「何を言っている! 肝試しとは本来、度胸試しの意味があるんだぞ! それなのに情ぬ姿を見せる男の方が悪いのではないかっ! 私は度胸を試す為にお化けの姿になり、こんなことをしているのだぞ!」 力説したラグナは草むらに隠していた釣竿を構える。その先にはコンニャクがあった。ラグナが恋人連れの男性達を集中的に狙っている姿が、眼に浮かぶようだ。 そんなラグナを見るリィムナの眼は氷よりも冷たい。 「――で、本音は?」 「わざわざイチャイチャする為に参加したカップル達が恨めしい!」 「‥‥やっぱりそれが本音‥‥なんだね。そんな考えだから‥‥モテないんだよ」 薊は呆れたようにため息を吐いた。 「うるさいっ! 彼女いない歴が年齢と同じである私の気持ちなど分からないだろう!」 「何も血の涙を流さなくても‥‥。とりあえず参加者に手を出した罰は与えておかなきゃね」 「‥‥ああ、そうだな。危うく怪我させるところだったし、二度とこういうことをさせないようにせねば‥‥」 リィムナと薊の眼が危険な光を宿すのを見て、ラグナの顔が引きつる。 「くっ来るな‥‥うっうわあああああっ!」 <肝試し終了後> 「この治療室は参加者の方の為に作ったんですけどねえ‥‥。まさか仲間が使うとは思わなかったですよ、ラグナ」 二人にボコボコにされたラグナは、すでにその姿がお化けのようになっていた。僧侶達に微妙な顔をされながら治療されているラグナを見て、フルトは苦笑している。 本堂の一室にはフルトが肝試しを始める前に、怪我人が出た時の為に治療室を作っていた。しかし利用者はラグナのみで、後は着替え終えた開拓者達が集まっている。 「開拓者の皆様方、今回はご苦労じゃったのぉ。おかげで良い悲鳴を多く聞くことができたわい」 背後に天城と空理を従えながら、天城の師匠が開拓者達に声をかけた。 「コレは我が寺のお守り。今年の参加者達にはコレを渡しておったのじゃ。よろしければどうぞ」 天城と空理は開拓者達に『恋愛成就のお守り』を配る。お守りを見て、ペケ、フルト、リィムナ、ラグナ、薊は納得したように頷いた。 「ああ、女の子達が言ってたお守りってこのことだったんですね」 「独身男性も参加していましたしね」 「ここのお守りって良く効くって評判みたいだし」 「おおっ‥‥! コレさえあればっ‥‥」 「‥‥いや、まずあなたの場合は性格を治せば‥‥良いと思うよ?」 薊の言葉に、ラグナを抜かした全員が同意するように深く頷く。 「なっ何だとぉーーー!」 ラグナのむなしい叫び声が、夜の山に響き渡ったのであった。 【終わり】 |