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マスター名:姫野里美
シナリオ形態: ショート
危険
難易度: 普通
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2012/05/29 04:50



■オープニング本文

 宝珠。
 天儀において必要不可欠とされる存在だが、今現在その算出は主に遺跡からの出土に頼っている。
 その為、遺跡は天儀王朝によって管理されており、採掘は開拓者が中心となって行っている。

 その遺跡はいつぞやの港町にほど近い森の中にあった。歓楽街を擁するその町では、毎日一ヶ月単位の金が動く。多くは自身の小遣いの範疇内でやっているものだが、ときたま首の回らなくなった者達が遺跡の宝珠を目指し、不法侵入する事が絶えない。そんな遺跡だった。

 天儀王朝の記録にはこうある。
「小楼の町の北西部に遺跡有。加工に技術擁するなれど、良質なり。されど、遺跡内には他に類を見ぬアヤカシがおり、注意が必要」
 と。

 だから、普段は厳重に管理されていた。入り口は深く閉ざされ、許可を得た開拓者のみに通行が許される。人々の目に、出来るだけ触れられないように。

 いつしか町の人々はそこに遺跡があることすら忘れていた。悲劇は、だからこそ起きたのかもしれない。

 それは、街中に突如として現れた。
 四つんばいに鳴った人間に似た、のっぺりとした顔を持つ化け物と言って相応しいだろう。
 卵に手足の生えたようなそれは、町の外壁を越え、津波のように小楼の街中へとなだれ込んできた。
 それは、例えるなら蹂躙。目を攻撃色で赤く輝かせたそのバケモノは、驚き固まっている人々を見つけると、その刹那きしゃあと牙を剥き、見掛けからは想像も出来ない跳躍力でもって、襲い掛かってくる。
 運悪く、その日は城の外近くにあった店の催し物が行われていた。小楼の町は、小さな楼港と書く通り、歓楽街である。ありとあらゆるとは言わないが、ひと通りの欲望をかなえられるくらいのものはある。狙われたのは、数こそ少ないが陰間衆の在籍する店だった。小さな演舞場といった趣で、ひと時の夢を見せる場所。客は乙女心を満たしたい者達。もてなすは若いが気立てのいい者達ばかりだ。

 しかし、そんな幻の恋愛模様が繰り広げられるそこに現れる‥‥異形のバケモノ。
 悲鳴を上げて逃げ惑う人々。客を逃がそうとした責任者は背中から襲われ、後輩を庇った者は組み敷かれ、主にそいつらが狙うのはもっぱら従業員の方ばかり。
 しかも、牙を立てるのは決まって首から腹にかけての部分。奇妙な事に襲われるのは首から下ばかりで、顔にはいっさい傷がついていない。その為か、惨劇の後には首になった死体が残っていた。音を立てて血肉をすするその姿は、たとえそれが人や動物とかけ離れている姿でも、アヤカシだと認識できる。
 数は8匹。動きはそれほど早くはない。しかし、アヤカシは分裂するように幾つもの姿を見せていた。種類に富んだその姿は、ある意味笑える光景だった。

 ひと通り人々を食い荒らし、店の中とその周囲に血の香だけが漂う頃、そいつは手にあるものを奪って、町の外へと引き上げていく。それは、人々が忘れかけていた遺跡のある方向。手にしていたのは、店に残されていた絵草子と、店の客にサービス品として配られていた従業員の絵姿だ。
 一晩だけならば、ある意味災害ですんだだろう。だが、悲しみに打ちひしがれる店に、アヤカシ達は2度3度と訪れる。血肉と絵草子をむさぼる為に。

「このままでは被害が拡大するばかりだ。遺跡のアヤカシが暴走しているのかもしれない。行って討伐を頼む」

 遺跡のアヤカシは倒しても何れ復活するというのが、世の習いだ。しかし、今回のアヤカシはどうもそれとは違う。何らかの原因がある可能性が高いため、開拓者ギルドは討伐と調査を依頼するのだった。


■参加者一覧
風瀬 都騎(ia3068
16歳・男・志
央 由樹(ib2477
25歳・男・シ
高峰 玖郎(ib3173
19歳・男・弓
紅雅(ib4326
27歳・男・巫
巳(ib6432
18歳・男・シ
アムルタート(ib6632
16歳・女・ジ
一之瀬 戦(ib8291
27歳・男・サ
ラグナ・グラウシード(ib8459
19歳・男・騎


■リプレイ本文

 依頼を受けた開拓者達は、まず情報収集へと赴いていた。
「町の人は忘れてるみたいだが、ギルドには記録があった。入り口はあれのようだな」
 高峰 玖郎(ib3173)が示した先。ギルドの資料を元に、遺跡を確かめに来たのだが、やはり扉は硬く閉ざされている。昼なお暗いが、彼が見る限り、周囲はひっそりとしていた。
「目撃者によると、ここから入り込んだらしいな。柵が壊されている。これ、わざとだろうか」
 そう続ける彼。これまで、同様の事件はなかったようだ。目撃者の証言から、街への侵入経路を追う事が出来た為、ここまではたどり着けた。地面には所々に黒いシミが残っており、なにがしかの悲劇が起こっていたことが予想できる。その後をたどると、封印するように張り巡らせられていた結界呪符付きの策が、一部壊されていた。何者かが、故意に破壊したのだろう。
「町のほうはどうだった?」
「昼間でもアヤカシを刺激するかもしれませんので、近くの住人の方には極力建物から出ないようにお願いしておきました」
 高峰が問うと、紅雅(ib4326)がそう答えた。破壊した者が、町にいないかと調べて見たものの、町そのものの特性で、不審者は一山いくらでいるらしい。その中に、一人だけ遺跡のことを聞いた者がいたようだ。
「一体何者だ?」
「わかりません。それと、最近妙に絵草子の納入が増えたそうですが、これは4ヶ月とか半年とかに一度くらいの頻度で、起きる現象だそうです。都で人気の舞台とか上映された直後が多いみたいですね」
 その他、店では最近絵双紙の納入が増えていた。どうやら、客の求めに応じていたようだと言う。だが、一過性のもので、特に珍しいことではないようだ。
「こっちも記録を調べて見たが、以前にはなかったようだな…。遺跡そのものには、アヤカシがいたようだが」
 ラグナ・グラウシード(ib8459)がそう割り込んでくる。彼も、遺跡について書かれた記録を調べてみたが、遺跡から件のアヤカシが溢れたと言う表記はない。もっとも、誰かが引き金を引いた可能性はある。
「まだ開拓者がろくすっぽ来ないのに、勝手に入るから、犠牲者がって感じ。それを追いかけて出てくる事があって、封鎖になったみたい」
 アムルタート(ib6632)もそう言った。以前は、開拓者がギルドを作っていなかった頃の犠牲者ばかり。そりゃ、危険も増えようと言うものだ。
「だが、記録書ばかりではどうしようもないな…」
「今、巳が調べてくれてるはずです」
 もっとも、それは文面でしかない。もっと生の声…潜んだ陰の声を聞くのは、巳(ib6432)の役目らしい。
「陰間狙いでしたらちょうど良いでしょう? それにこちらは女性向けもある歓楽街ですし…。それとも他に何か?」
 口調も艶やかな女性のモノに変えた彼は、そう言い置くと微笑みながら、歓楽街へ向かったのだった。

 さて、街中。
「さて、こっちはこっちで遺跡の情報収集を…って、そういや、被害にあってんのは、陰間衆だっけ。じゃ、ちょっとつまみぐいしてくるかぁ」
 一人、歓楽街を物色しているのは、一之瀬 戦(ib8291)だった。昔とった杵柄的に、異性も同性も同様に性的対象にできちゃう剣士は、聞き込みにかこつけてその辺の陰間衆でおめめの保養をしようかと、歓楽街を彷徨っていた。
 と、そこへ聞こえてきたのは。
「ちょっと。止めて下さいよ。わたくしはただ話を…」
 色の薄い着物を纏った巳だった。上に女物を羽織り、立ち振る舞いさえ女性に見える彼。鬼灯奴と名乗っていて、どこかの若旦那に目を付けられちゃったらしい。相手も遊びなれているのか、壁際に追いつめられて、行く先をふさがれる。ふいっと視線を逸らした先にいたのは。
「ちょっと一之瀬さん、何とかして下さいよ」
 歓楽街の店先に、知り合いという名の依頼仲間を見つけ、巳は不満げに口をとがらせる。
「ん? 俺はこっちのかわいこちゃんにお許しを頂くので忙しいんで、自分の身は自分で守れ」
 もっとも、一之瀬は店の稼ぎ頭だという銀髪の少年に聞き込みと言う名目で、落としに走っているので、まぁぁぁったくこちらを振り向いてはくれない。
「そ、そんなぁ!」
 にーっと意地悪く笑った若旦那は、ずっしり重いお財布をちらつかせ、デートに誘ってくる。
「あああ、あのわたくしはそのっ」
 逃げる事も出来ずに、後ずさりするだけの巳に、若旦那の腕が伸びてくる。お金はともかく、魅力的な外見の鬼灯奴さんを、どうしてもその手に抱き止めたいらしくて。
「ちょ…まって…」
 涙目の巳さんが、自分を恐れていると思ったのだろう。若旦那は真剣な顔で甘えてくる。巳のことを売れっ子の芸枯と勘違いしているのだ。致命的に断言されてしまい、若旦那の顔が巳に近づいた瞬間、後ろが盛大に吹いた。見れば、今までおにいちゃんを口説いていた一之瀬が、盛大に吹いている。雰囲気を壊され、唖然とする若旦那から、ここぞとばかりに逃げ出す巳。
「何とかしろよー。そこで指差して笑ってないでさ」
「まぁ仕方ないな。俺達は開拓者だ。この間の襲撃事件を調べてる。素直に教えてくれると助かるんだが」
 身分証書代わりの武器。二人を見比べた若旦那は、事情を理解したのか、がっくりと肩を落とし、見るからに落胆する彼。性癖は特殊でも、普通の人間ではあるようで。恐ろしいアヤカシを退治してくれる開拓者の問いに応じてくれる。
「ありがとう。助かった」
 事情を聞いて、にこっと笑顔で手を振る巳。その魅力的な笑顔に、若旦那の頬がぽーっと染まりあがった。芸姑・鬼灯奴は、職業を抜きにしても、虜にするものらしい。

 結局、昼間の情報収集では、何者かの意図が働いていたようだ。わざと壊し、町中へなだれ込ませた。封印を説いたのが誰だか特定はできなかったが、それよりも目の前のアヤカシをどうにかする方が先決だ。
「ふむ。動かないな…」
 遺跡の前で、鏡弦を使っていた高峰がそう言った。確かに、アヤカシの気配はない。だが、いつ襲ってくるとも限らなかった。
「ちょっと確かめて見る」
 遺跡は、相変わらずひっそりしている。アムルタートが入り口に隠れている。紅雅もまた、警戒するようにその入り口へと張り付いていた。
「アヤカシの暴走には遺跡に関係が…?それとも、宝珠…?」
「絵草子の種類は統一感なかったなー。犠牲者はやはり綺麗な顔ばかりやし。確保されてしまっているみたいやで」
 央 由樹(ib2477)もまた、警戒している。出来うる限りかき集めた情報は、徐々に彼の元にも集まっていた。それによると、襲われたのは、どれもそれなりに贔屓筋のいる従業員ばかり。顔立ちや性格、背格好などはまちまちだが、誕生日会をやれば一定以上の人数は集まり、絵姿も何枚か売れている者達ばかりだ。売れっ子と言うわけではない者もいるが、レベルはある程度求められているらしい。
「結局、トラブルの原因は、お金がらみしかなかったか…。いつの世にも、宝探しを求める者と言うのは、多いものだな」
 そう言う風瀬 都騎(ia3068)。もしかすると、絵草子は習性のようなものなのかもしれない。彼もまた入り口をのぞくが、堅く閉ざされたままだ。周囲には宝珠が配置され、それらは冷たい輝きを放ったまま沈黙している。
「ふむ…昼間は開かないか…。夜しかあかないから、夜だけ現れる。当たり前の話だ」
 アムルタートがこんこんと扉を触る。警戒組が緊張を漂わせるものの、扉はぴくりとも動かない。
「どうする? これ以上踏み込みむか?」
「いや、待ち伏せよう。その方が、一網打尽に出来る」
 アムルタートにそう答える都騎。無理矢理踏み込んで、ひどい目にあるくらいなら、調査組をまって乗り込もうという話らしい。
「なるほど。確かにそろそろ日没だな」
 離しているうちに、日は陰り始めている。夕陽が遺跡を照らす中、宝珠がその輝きを失っていく。扉の内側から、かさこそと何かをひっかける音が聞こえてくる。潜む開拓者達。中を調べるには、確実に引き寄せ、撃破する必要があった。
「しかし、囮は良いがどうやって…」
「ちょうど良いのがいるだろう?」
 高峰が怪訝そうに言う中、女装を解き、合流してきた巳が指し示される。この中で、見目麗しい事をやらせられるのは、巳が最適と言うことだろう。その証拠に、街中では鬼灯奴と言う美貌の奴がいたらしいと話題になっている。
「へ? 何の話…」
「囮が必要なんやて。大丈夫。俺も脱ぐから」
「そう言う問題じゃねーー!」
 央がするっと上着を脱いだ。怪訝そうな顔をした巳、襟首をむんずと捕まれ、放り込まれる。
「これで少しは注意が引けるかもしれません」
「好みとか。大事だよね!」」
 紅雅に、アムルタートが力いっぱい答えている。指し示した足下には、数多くの絵双紙が転がっている。被害にあった店から借りてきたものだ。
「危なくなったらすぐ助ける、心配するな」
 武器に手をかけて、そう告げるラグナ。他の面々は警戒しつつ姿を潜ませていた。
「ほんまに注意してくれよ。いくで…」
「暗視は発動してある。罠を見つけたら知らせる」
 線が細くとも、女性と間違うような容姿をしていても、開拓者としての力量は充分にもっている。アヤカシに遅れを取る気はないようで、緊張の面持ちを浮かべながらも、アヤカシの登場を待った。

 不気味な白さを誇る四本足のバケモノは、元がなんだったのか想像さえつかない。いや、唯一わかるのは手足のそれが、かつては人だったとわかるくらいか。それが、かそこそと聞き覚えのある足音をたてて、歩いてきた。広げられた絵草子に向かって。
「ふむ、ちょっと気になってたんだが…」
 と、その様子を見守っていた都騎がしげしげと見つめる。よく見ると、さらには、胸のようなものが二つに、髪の毛らしきものと、リボンのようなものが引っかかっている。
「女か・・・。どこの犠牲者だったのだろうな」
 考える事を止めた刹那、ギロリと囮の方を向くアヤカシ達。その口から、悲鳴のような鳴き声がもれた。ただし、巳と央を見比べているだけで、まだ襲っては来ない。刹那、一之瀬がにやぁぁっとそのアヤカシ達の囲みをすり抜けて、囮の片方へと擦り寄ってくる。ここぞとばかりに、央の腰へと手を回した。先ほど、歓楽街の男の子達にそうしたように。
「お前ぇの役目は陰間好きの腐った奴等を引き付ける事だから、な?」
「おもろない冗談は嫌いや。真面目にせえ」
 その腰に回ったおててを、やんわりと外そうとする央。が、一之瀬はそれを許さない。素早さを信条とするシノビの央と、サムライの一之瀬では、そもそも振りほどけるはずもなくて。
「冗談じゃなかったら?」
 瞳を覗きこまれる。青い瞳の片方…右側には、数年前負った傷跡が酷く残っていて。今は開拓者として、アヤカシと5分以上に渡り合える身でも、やはり気になってしまって。
「俺は男だって女だっていけちゃう身分だぜ?」
 一之瀬は、耳元でそう囁くと、上着に手をかける。
「ちょ…ま…」
 慌てて抵抗しようとする央だったが、既に時間切れ。あっさり上着を脱がされ、その下にも手がかかり、ちらりとお肌が覗く。隠れていたアムルタートが「キャー♪ 一之瀬×由?」とケタケタ笑いながら、煽っていた。
「んなわけあるかいっ!」
「あ、もしかして逆?それもありだと思うよ!」
 顔を引きつらせた央が咎めるものの、彼女の妄想は止まらない。刹那、取り囲んでいたアヤカシ達が、悲鳴じみた鳴き声を上げて、一之瀬×央に距離を詰めてくる。完全に目標補足されちゃった2人。
「えぇい、こうなったら! 一之瀬、付き合え!」
「応えてくれるってのか。うれしいねぇ」
 一之瀬の戯言は無視して、早駆を使う央。今までは央の方が受っぽく見えたが、走る都合上一之瀬を抱える格好になってしまい、まさかの逆カプ状態。しかしそれでも彼は、そのまま、引っ張り出すように走り出す。

 釣られて、アヤカシも移動開始する。一人身の巳はガン無視されたらしく、思いっきり目の前を通過されてしまう。脱いだだけではあかんようで、ちらっとこちらは気にするものの、目の前の美味しい餌の方が優先してしまっているらしい。
「どけっ。もうこの辺でえーやろ!」
「えー。もう終わりかよ」
 喉を鳴らす一之瀬を押しのけ、遺跡から皆の所まで引き剥がした央が、足へと攻撃をはじめる。流石にシノビは、その辺の下手なアヤカシよりも素早い。あっさりと先手を取り、散打で痛烈な一撃を放つ。それは、アヤカシの足を砕き、その場へと釘付けにしていた。刹那、分身が増えるものの、それは本体のアヤカシより一回り小さい。
「自分以外すべて囮候補!闘り易いな〜♪」
 死角へ回りこんでいたアムルアートの鞭が飛ぶ。1匹がひっくり返った。既に分裂しているアヤカシのうち、分身体をナハトミラージュでスルーし、本体へと近付いていく。が、その前に目の前でセット販売されている仲間の横でぴたっと止まっていた。
「う〜わ〜バリエーション豊富! 色んな絡みがヒャッホーゥ! て感じなんだろうねアハハハ!」
 メインカップルっぽい央と一之瀬はともかく、高峰の横で巳が暴れている。六節を使って、手数で押す彼。既に、鏡弦でこれ以上増えない事は確認済みだ。その分裂したアヤカシに、巳が符を食らわせて火を向ける。ここは中心部から外れているので、引火の心配もなかった。その間に、高峰は本体へと駆け寄る。同じく本体へと仕掛ける都騎。ひきつけている間に行動へと映る。同じ様に、ラグナがオーラドライブを使い、ぷよぷよした身体へガードブレイクの技を使っていた。
「禍々しいアヤカシどもよ…消し飛べッ!」
 刹那、足を蹴るアヤカシ。その足を一本やられていたせいか、飛び上がる動きが遅い。高さも稼げぬそこに、ラグナは地面へと転がり、逆に下から斬りつけていた。見れば、分身には白霊弾の支援が飛んでいる。これで、分身は近づけない。
「キモイ形してんじゃねぇよ鬼風情が」
 そこへ、囮を口説いていた一之瀬の両断剣が炸裂していた。本当なら、隼人で分裂する前に叩きたかったが、その前に仲間が何とかしていたので、代わりにその口へと一撃を食らわせる。悲鳴を上げるアヤカシ。
「成敗!!」
 ざしゅうっと朱槍が血の雫を振り払った時、┌(┌ @д@)┐は見事討ち果たされるのだった。