しょくしゅ。
マスター名:一二三四五六
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: やや易
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2009/10/25 00:16



■オープニング本文

 小さな泉のほとりに、村があった。泉は水源として利用され、その泉から村人達が受ける恩恵は計り知れない。
 しかしある時、その泉にアヤカシらしき化け物が住み着いた。
 アヤカシの住む泉など恐ろしくて近づけないが、泉に近づかなければ村人達は生活出来ない。
 村の男達は、対策を練る為村長の家に集まって深刻な表情で会議をしていた。
「‥‥やはり開拓者様に頼むしかないか」
「村にある貯蓄を集めれば、なんとか足りるだろうしな」
「だが、依頼を出すにしても、アヤカシがどんな物が分からねば話を聞いて貰えないのではないか」
「それなら、今、与平達が泉の様子を見て来ている。もうすぐ帰ってくる所だと」
 丁度そう話していた所へ、ドタドタと足音が響き、男が転がり込むように家に入って来た。
「おお、与平、戻ったか!」
「どうしたんだ、そんなに慌てて!」
 全力で走ってきたのだろう。息を切らせている与平の周囲に、村人達が集まってくる。
「ほかの皆は? まさか‥‥」
「いや、みんな無事だ。一刻も早くこの事を知らせようと、足の速い俺が一足先に戻ってきたんだ」
 与平は、乱れる息を整えると、真剣な表情で集まった村人達を見回す。
 そして彼は、重々しく口を開いた。

「良いかみんな、良く聞け。アヤカシは長い触手をたくさん持っていた」

 一瞬の沈黙。そして次の瞬間。
「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」」」
 快哉が上がった。


 そして、開拓者ギルド。
「なるほど、そのアヤカシを退治して欲しいというご依頼ですね?」
 ギルドの女性職員は、与平へとにこやかな微笑みを投げかける。
「ご安心ください、腕利きの開拓者を派遣して‥‥」
「いや。その、腕とかは良いんだ。いやもちろん腕が立つに越した事が無いんだが‥‥」
 その言葉に何故か戸惑う与平。
「だから、その。‥‥相手は触手のアヤカシなんだ。分かるだろう?」
 要領を得ない言葉に、職員はしかし大きく頷いて。
「‥‥分かりました。綺麗どころの開拓者推奨と注釈をつけておきます」
「ありがとう! さすが開拓者ギルドだ、話が分かる!」
 ガシッと硬い握手をかわす職員と男。
「いえいえ、このくらい、ギルドとしては当然ですっ! やはり触手といえば一生に一度は巡り合いたい浪漫! そんなアヤカシをただ倒すだけなんてそんな勿体無い!」
「そうだろうそうだろう、分かってくれるか! いや、素晴らしい!」
 無駄に盛り上がる二人。そういう訳で、そういう依頼が貼り出された。

 そんな依頼書を張り出した職員が後で上司にコッテリ絞られたのは、また別の話。


■参加者一覧
神町・桜(ia0020
10歳・女・巫
柄土 仁一郎(ia0058
21歳・男・志
斎賀・東雲(ia0101
18歳・男・陰
雪ノ下 真沙羅(ia0224
18歳・女・志
葛切 カズラ(ia0725
26歳・女・陰
麗花(ia1222
10歳・女・陰
胡桃 楓(ia5770
15歳・男・シ
鶯実(ia6377
17歳・男・シ


■リプレイ本文

●とうちゃく。
 村に着き、早速泉へと向かう開拓者達8人。
「アヤカシにも色々いるのは把握していたが‥‥また珍妙な奴が出てきたものだな」
 柄土 仁一郎(ia0058)は深いため息を漏らす。
「さて、植物の類か蛸・烏賊か、磯巾着かクラゲか‥‥」
「にょろりんちゃんじゃないにょろりんちゃんってどんなの〜ん♪」
 やや独特の口調で期待を露にする麗花(ia1222)。『にょろりんちゃん』と言うのは蛇の事らしい。
「池から引っ張り出して正体確かめるのんっ」
「しかし、何か嫌な予感がするじゃがのぉ」
 こめかみを掻きながら、神町・桜(ia0020)。ちらりと後ろに視線を向ける。
「‥‥何故か男共がついてきておるし」
「あ、あの‥‥つ、ついてくる、と、危ない、ですよ‥‥!?」
 何度も心配そうにその男達の様子を伺う雪ノ下 真沙羅(ia0224)。何故か視線を(主に胸に)集中して浴びている事もあり、少々緊張気味。
「でも、『綺麗どころ推奨』って‥‥どういう意味、なのでしょう‥‥?」
「どういう意味って、そりゃあ。触手にイヤンなことをされて悶えるなら可愛い方がええやろ!」
 目一杯楽しそうに疑問に応えるのは斎賀・東雲(ia0101)。好色ぶりを隠そうともせずとても潔い。
「イヤンな、事‥‥?」
「そうそう。なぁ、鶯実!」
 首を傾げる真沙羅に頷くと、煙管を吹かす鶯実(ia6377)へと話題を振り。
「まあ〜、そうですね」
「そうですねじゃないですよ!」
 左目を閉じ、考えながら口にする彼に、ぐっと詰め寄る胡桃 楓(ia5770)。
「女性にそんな狼藉をするアヤカシなどおと‥‥」
「「おと?」」
「‥‥いえ、女として許せる訳ないじゃないですか、常識的に考えて!」
 何か誤魔化した。
「ともあれ、じゃ‥‥見せてもらおうか! アヤカシの触手の性能とやらを!」
 泉を前にして、葛切 カズラ(ia0725)はグッと拳を握る。
「性的&趣味的な意味で!」
 この依頼、大丈夫なのだろうか。

●しゅつげん。
 にょろにょろと、泉から現れる4組の触手。対して開拓者側も4組に分かれて戦闘を開始する。
「ミイラ取りがミイラになるのだけは、何としても避けたいところだが‥‥」
 慎重に間合いを計る仁一郎と組むのは麗花、なのだが。
「虎穴に入らずんば虎児を得ずー、にょろりんちゃんの池に入らずんばにょろりんちゃんを得ずなのん!」
 陰陽師として是非捕獲・観察しようと元気一杯に突っ込んで、そして逆に捕獲された。
「にょ、にょろりんちゃんじゃなくてにゅるりんちゃんなのん?! にゅるにゅるするのーん!」
「にゅるにゅるですって!?」
 ぴきーんと瞳を光らせるカズラ。彼女と組む楓は思わず顔を赤くし‥‥つつ、そちらに目を向ける。
(「合法的に女の子のそんな姿を見れるチャンス、見逃せる訳無いじゃないですか! 常識的に考えて!」)
 実は楓、女の子に見えて実は健全な男の子。
(「こうして囮になったのも、間近で見る為! 童顔巨乳の真沙羅さんには当然魅力を感じますが、どう見ても犯罪な麗花さんのあんな姿はすばらはぅっ!?」)
 邪な事を考えていたら、見事に触手に捕まりました。
「ううん、色、張り、艶、良いモノ持ってるわねぇ‥‥流石だわ」
「た、助けてくださいよ葛切さんっ‥‥!」
 絡み付く触手を観察、評論するカズラ。
「もちろんよ! 今助けにああ〜〜やられた〜〜」
 助けに行って即座に捕まった。
「わざとですよね!? それわざとで‥‥あひゃんっ!?」
 うん、まあ、ね。
「た、大変、です‥‥!」
 そんな仲間達の危機に焦る真沙羅、早く敵を倒そうと刀を構えて駆け寄るが。
「いかん、焦っては‥‥!」
「きゃっ!? や、そ、そんなぁ‥‥!?」
 焦りで視野が狭くなっていては、攻撃を避け切れない。桜が制止するものの遅く、真沙羅の身体へと触手が巻き付く。
「‥‥んぁ、んやぁ‥‥だめっ‥‥ふぁ‥‥!」
「「おおおおお‥‥」」
 身体を這い回り、無垢なる麗丘へと入り込まんとする触手に顔を紅潮させて身を捩る真沙羅。その姿をかぶりつきで見つめる村人達。
「止め‥‥て、見ないで、下さ‥‥あひぃんっ♪」
「真沙羅!? こやつ、真沙羅を離すのぬゃっ!?」
 一際甲高い嬌声を漏らし、その場に崩れ落ちる。彼女を救おうと駆け出した桜は、勢い良く躓いた。
 ばゆん。
「さ、桜様っ‥‥駄目です、桜様だけはっ‥‥はぁんっ‥‥♪」
「むー、こら! わしを離っ、ちょ、息がっ、むぐぅっ!?」
 一際豊かな胸にダイブして来たのを、ぎゅっと抱きしめる真沙羅。本人は触手から庇っているつもりだが、豊満な谷間に頭を挟まれた桜は堪ったものではない。
「こいつはやばいで‥‥村人達の鼻血がいくら有っても足りへん」
 見物している東雲も堪ったものではない。もとい、堪らない。
「‥‥と言うか、お前は何をしているんだ」
「いや、俺らの割り当て分はもう終わったし」
 柄一郎に突っ込まれ、平然と応える。
「野郎が触手に絡まれてるとこなんか、見てもオモロないやろ。せやからさっさと、な」
「‥‥まあ、苦労したのは主に俺ですが‥‥」
 ぼやく鶯実。前衛で彼が絡め取られている間に、東雲が30m離れた所から氷柱をがっつんがっつんとたたきつけて倒しました。最低だコノヒト。
「ま、信頼してたからこそ、って事で。ほら、それに鶯実も早くこの光景見たかったやろ?」
「‥‥まあ、否定はしませんがね〜」
 片目を閉じ、煙管を吹かせる。開いた方の視線は、女性達の胸元のあたりを彷徨っているような。
「のーん! 仁一郎ちゃん助けてなのーん!」
「‥‥今行く」
 言いたい事はあるが、ともかく麗花を助けにいく仁一郎。
「触手に絡まれたくはないし、落とさせて貰おう」
 炎を纏った長槍・羅漢が触手を落とす度にギャラリーから落胆の溜息が、ステップを踏んで触手をかわす度に安堵の溜息が漏れる。
 それを聞くたびに、仁一郎の口元から溜息も漏れる。
「助かったのん‥‥これだけ抵抗されると絶対正体暴きたくなるのん! 式ちゃん、頑張って捕まえててなのん!」
 ようやく解放された麗花。呪縛の式を生み出して触手の動きを止めると、掴んでグイと引っ張った。
「とったのーん!!」
 泉から浮かび上がる蛸の本体。それをがっしり掴み上げて勝利のポーズ。
「これでじっくり観察できるのん!」
「そうか、では他の助太刀に‥‥」
 敵は迅速に倒すのみと、それを見届け他のアヤカシへ向かおうとする仁一郎。
「うにゃあああ?! 動いちゃだめなのーん! 吸い付いてくるのーん!?」
「‥‥」
 助太刀に行くのはもうちょっと先になりそうである。

●ぼうそう。
「ああんっ‥‥流石は新ジャンル‥‥一度試してみたいと思ってたのよねぇ‥‥んんっ♪」
 他所でそんな事やっている間に、カズラは思う存分触手を堪能する。
「はぁ、んんっ、ほら、ここもよ‥‥んっ、そう、いい子ね‥‥ぁんっ♪」
 具体的に描写できないような危なくもサービス過剰な行為に、観衆もいろいろ限界だ。
「く、葛切さん‥‥っ!」
 でも一番限界なのは、そんな光景を間近で見せられつつ、自身も触手に絡まれている楓である。健全な男の子にはあらゆる意味で辛い。
「ダメ、離してっ‥‥こんなのボクっ‥‥ひゃぁっ!」
 ともかく触手から逃れようと身を捩っていた所へ、新しい触手が這い、身体を這い、ゾクリと体を震わせる。
「な、何を‥‥ひんっ‥‥だめぇっ‥‥!」
「ああ〜、ごめんなさい〜。で、だめって具体的には何が?」
 触手に操られ、陰陽術を楓に向けて発動してしまうカズラ。生み出されたアヤカシが楓の身体を呪縛し、人魂が身体の中に入り込む。
 いや、操る能力なんてこの蛸アヤカシにはないんだけど。
「や、やめ‥‥それは、まずいです、よぉ‥‥!?」
「大丈夫大丈夫。ほら、式はノーカンって言うでしょ」
 聞いた事もない。
「はぁ、ふぅっ‥‥桜様っ‥‥大丈夫、ですかっ‥‥んん〜っ‥‥」
「もごもご、もごっもご〜〜〜!(良いから、わしを離せ〜!)」
 その頃、真沙羅は未だに桜を捕まえていた。
「ふぁ、んっ‥‥きゃ、ふ‥‥んぁ、見ないで‥‥」
 無意識のうちに、桜の顔へと胸を擦り付ける。擦る感触に息を荒げ、頬を朱に染める桜。
 力が抜け、アヤカシに屈しそうになる彼女を支えるのは、腕の(むしろ胸の)中の桜を守ろうと言うその思いだけだ。
「むご〜〜! んっ、む〜〜〜!」
 その桜は、真沙羅のせいで触手に絡まれるわ息は出来ないわ散々なのだが。
 加えて、顔をすり潰して来る胸の膨らみと己の薄い胸を比べちゃったりなんかして、すごくヘコむ。
(「いや、わしは成長途中じゃから、いずれは真沙羅のように‥‥って何を考えておるんじゃ〜〜!」)
 酸欠で思考がおかしくなりつつあるような。
「や〜、流石にそろそろ助けたほうがええかな。‥‥いやまだ大丈夫やね」
 その光景を観察し、紙へ筆を走らせる東雲。
「おぅ、兄ちゃんはどの子が好みや?」
「やっぱりあの色っぽすぎるお姉ちゃんが‥‥」
「いやいや、銀髪のあの子の発展途上ぶりもなかなか」
「でっかい真沙羅と、ちっこい桜の絡みってのも、やっぱ王道やけどええわなぁ」
「「うんうん」」
 すっかり観衆の村人達と仲良くなっている。
「助太刀に行かなくていいんですかね‥‥」
「ええってええって。いざとなったら仁一郎が頑張るやろ」
 顎に手を当て首をかしげる鶯実に安請け合い。
「‥‥まあ、否定はしないが」
 仁一郎の槍が麗花の身体を器用に避けて、蛸の身体を貫き通す。ようやく開放された麗花は、大きく息を吐いた。
「はふぅ‥‥大変だったのん‥‥悪い子はめっ! なの!」
 槍の先端に刺さったまままだにょろにょろ蠢いていた蛸を、斬撃符で真っ二つに葬り去る。
「さあ、今度こそ次だな」
 仁一郎が視界を巡らせれば、触手に苦しめられる4人の仲間。
「はあっ‥‥もう、ボク‥‥っ!」
「ん? 何がもう、なのかな、お姉さんに言ってごらんなさい?」
 むしろ楓はカズラの式に苦しめられているような。まあそれも触手ではあるけど。
「‥‥すまん、もう少し待ってくれ」
「すぐに助けにくるのん!」
「あぁ〜、そんな〜!? んは、ぁぁぁっ!」
 それよりも、窒息寸前の桜の方が危険だと判断しそちらへ向かう仁一郎と麗花。
「はぁ、んっ、だ、だめ‥‥もう‥‥っ」
「むぐ〜! むぐっ!」
 アヤカシを倒し、いろんな意味で危険な状態にある真沙羅と桜を救出する二人。
「ぜぇっ‥‥ぜぇっ‥‥し、死ぬかと思うたぞ‥‥」
「はぁ、はぁ‥‥あ、ありがとう、ございます‥‥」
 赤と青の対照的な顔色で、荒い呼吸をつく。その吐息も対照的。
「大丈夫なのん?」
「え、ええ‥‥あ、危なかった、です‥‥」
 何が危なかったのかいまいち自分でも分かっていない様子で首を傾げ答える真沙羅。分かってたら別の意味でも危険だった。
「よし、では助けにいくぞ、楓、カズラ!」
「えー」
 気合を入れて駆け出す桜に、なぜか不満そうに応じるカズラ。必死に入れなおした気力が萎えかけて足元がふらつき。
「あ」
 そのまま触手にダイブ。
「あら、桜さんも混ざりたかったの?」
「な、何にじゃっ!? おま、やめっ!?」
 青から一転、さっきの真沙羅みたいな赤い顔でもがく桜。
「まあでも、そろそろ終わりみたいね‥‥楽しかったわ」
 名残惜しげに、符を構えるカズラ。楓を弄っていた触手が一纏まりに寄り合わされ、蠢く槍となって蛸アヤカシの魂を砕く。
 それを契機に、攻撃が蛸アヤカシへと集中し。
「こ、これで‥‥」
「トドメ、だな」
 最後は、真沙羅の刀と仁一郎の槍が同時に炎を纏ってアヤカシに突き立てられると、ビクリとひとつ痙攣した後動かなくなった。

●しゅうりょう。
「はぁ、はぁ‥‥なんじゃったんじゃ、この依頼は!」
 力を失った触手から救出されて早々、開口一番に叫ぶ桜。その横では、楓が精も根も尽き果てたように燃え尽きている。
(「他の人の事なんか、見てる余裕が無かったです‥‥でも、悲しく無いような気がするのは、何故でしょう‥‥」)
 むしろ悲しくないのが悲しい。
「大丈夫ですか? 本当に、大変な依頼でした‥‥」
 真沙羅は、顔を真っ赤にして吐息を漏らす。
「思い出すだけで、なんだか変な気分に‥‥」
 その、戦いを思い出す彼女の顔を見るだけで、村人達は変な気分になれそうです。
「にゅるりんちゃんをじっくり観察出来て楽しかったのん!」
「ほんま、楽しかったなぁ」
 麗花の『観察』と東雲の『観察』は絶対違う意味。
 満足げに頷く東雲‥‥の首根っこが引っ掴まれた。
「東雲さん‥‥私たちが絡まれる所、絵に描いて売り捌いたでしょ」
「あ〜、気づいとった?」
 カズラに詰め寄られ、はっはっはと乾いた笑いを漏らす。
「まあ、モデルさんにもちゃんと肖像権てことで売り上げ還元するで」
「そんな事は良いのよ!」
 だが、グッと拳を握るカズラは首を振り。
「自分用にもキープしてるんでしょ、私にも分けなさい!」
「あ、ああ、そっちな。それならもちろんお安い御用やで!」
 そのまま、今回の感想でなにやら盛り上がる二人。
「何かあやつらを楽しませるだけの依頼だったような気がしてならぬ‥‥」
「‥‥一応危険なアヤカシなのだから、余り盛り上がってほしく無い物なのだが」
 桜がジト目でそれを見ると、仁一郎も何度目かわからないため息を漏らす。
「それを言うのも、酷というもの‥‥なんだろうかなあ」
「まあ、男ですからね〜」
 煙管を吹かせてのんびりと感想を漏らす鶯実。
「うにゅ〜。池で洗ったけどまだにゅるにゅるする気がするのん」
 気持ち悪そうに身を捩る麗花。
「お風呂入って着替えてさっぱりしたいのん!」
「お、お風呂‥‥えっと、いいです、ねぇ」
 同じくたっぷり触手に絡められた真沙羅も、控えめにうなずく。
「じゃ、みんなで入りましょうか。ねぇ?」
「え。え、え」
 カズラの言葉に、倒れていた楓が焦る。これは嬉しいのかそれともまずいのか。
「‥‥風呂くらいは静かに入りたいものだが」
「ま、無理やろなぁ」
 仁一郎の嘆きにけらけらと笑う東雲。
 依頼は終わったが、騒動はまだもう少し続く、かもしれない。