【水庭】ユートピア
マスター名:刃葉破
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 易しい
参加人数: 6人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2014/08/27 22:52



■オープニング本文

 嵐の壁が弱まったことで最近見つかった新たな儀。
 自然豊かな2つの島で構成された儀にはアヤカシの姿も確認されておらず、ある意味遊ぶにはうってつけの地ともいえる。
 ――が、
「……あづぅい」
 一三成はそんなリゾートを満喫するでもなく、砂浜で膝を抱えて三角座りをしていた。
 目の前には海が広がっているが、彼の格好は水着ではなく普段通りの和服だ。
 そんな格好をしているせいか、三成の顔からは凄まじい量の汗が滴り落ちている。
「三成様、やはり着替えては……?」
「うー……人前に肌を晒すのって、ちょっとまだ恥ずかしいし……」
 彼の傍らではからくりメイドの瑠璃が日傘を差して、主を容赦ない夏の日差しから守っていた。
 瑠璃の格好もいつも通りのメイド服だが、暑さを全く感じさせない涼しい顔をしている。からくりだから当然なのだが。
 その様子を見て、三成は羨ましそうに溜息を吐く。
「はぁ……私も瑠璃みたいに暑いのとか寒いのとか無視できたらいいのに」
「私は、四季を満喫できる人の体を羨ましく思いますよ?」
「そういうものかなぁ……」
 何はともあれ、
「……何、しよっか」
 遊びをあまり知らない三成は途方に暮れるのであった。

 話は少し遡る。
 三成が所用でギルドに訪れた時のことだ。ギルドには同じく何か用があったのか、豊臣雪家の姿があった。
 そこで三成は雪家に夏休みを取ってはどうかと勧められたのだ。
 せっかくだから休暇期間はこの儀で遊んできたらどうだ、とも。

 そして、上司の勧めを断ることもできず、現在に至るのだった。
「……夏休み。夏休み、ねぇ……」
 本当に休ませる目的で自分をこの儀に寄越したのか。三成はあまり素直に受けとっていないようだった。
 ……いかにもな土地に向かわされる時って、大抵何かあるし。
「やっぱり、何か調べてこいってことなのかな」
「本当にただの休暇の可能性もあるかと思われますが……」
「……それはそれであまり考えたくない」
 わざわざ休暇を取らせるだなんて、今後が地獄になると告知しているようなものだからだ。
「と、とりあえず。この島って何があるの?」
「少々お待ちください――」
 瑠璃が確認するは、先に島を訪れた開拓者達の調査報告書だ。
 他の儀では見かけない生物たち。区分けされた生息図。何かが住んでいたと思われる廃墟。
「……とはいえ、その廃墟はここからだと遠すぎますので、向かうことはできませんが」
 調査報告書と地図を見比べてから、瑠璃は言葉を続ける。
「ここから行ける範囲ですと……水中通路の入り口が近いですね」
「水中通路?」
「はい。どうやら海、川、湖といった水の中を歩く為の通路がそこかしこに敷設されているようです」
 しかもただの通路ではなく、大きな透明な筒で構成されているので、通路の中から水中の様子を観察できるとのことだ。
「移動の為の通路……というよりは、遊歩道……といった方が相応しいのかな」
「水中遊歩道。――成る程、確かにそう呼称した方が適切かもしれません」
 その水中遊歩道の入り口が現在地からそう遠くない位置にあるという。
「さすがに、そんなものが自然にできるわけはないし」
 廃墟があったということも鑑みれば、この儀に過去住んでいた何者かが作ったものだと考えるべきだ。
 だが、何の為に。
「楽園の、観察……?」

 そんなことを考えていると、砂浜の向こう側からおーいと三成達を呼ぶ声が聞こえた。
 声の主は開拓者だ。様々な理由でこの儀にやってきた彼らと行動を共にしているのだ。
「……ん、よし」
 三成は立ち上がって、尻についた砂をぱんぱんと払う。
 どうせ自分は外での遊び方も大して知らないのだ。なら彼らと一緒に過ごす方が休暇らしい休暇を過ごせそうだ。
 難しいことは片隅にでも置いといて、一先ずは楽しむことを優先することにしよう……そう考えた三成は瑠璃と共に声の方へ歩き始めるのだった。


■参加者一覧
フィーナ・ウェンカー(ib0389
20歳・女・魔
春原・歩(ib0850
17歳・女・巫
真名(ib1222
17歳・女・陰
ケロリーナ(ib2037
15歳・女・巫
ミリート・ティナーファ(ib3308
15歳・女・砲
緋那岐(ib5664
17歳・男・陰


■リプレイ本文

●バカンス
 呼ばれた声に従って砂浜を歩く三成と瑠璃の視界に入ったのは、水着姿の可愛らしい少女達であった。
「あ、きたきた」
 手をぶんぶんと振って三成にアピールするは春原・歩(ib0850)だ。
 彼女はギルドで三成と偶然出会った時に誘われ、一も二もなく参加することにしたのだ。
 今着ている水着はその際に慌てて購入したものだ。割とある方だ、何がかは言わない。
 とはいえ、普段は巫女服の彼女にとってこの格好は気になるのか。不安そうな表情で三成に問う。
「肌を晒すのってあんまり慣れてないんだよ〜……へ、変じゃないかな?」
「え、あ、えぇと……その」
 ずいと目の前に迫る少女の柔肌を前にして、顔を赤くして言葉に詰まる三成。
 純情な少年の様子に、歩と一緒にいた真名(ib1222)が苦笑を浮かべて忠告をする。
「恥ずかしくても、こういう時はちゃんと褒めるものよ?」
「す、すみません。その……似合ってると、思います」
「わぁ、ほんと!?」
 何とか搾り出した三成の褒め言葉に、歩は喜びを見せる。
「そうそう。っと、名乗るのが遅れたわね。真名よ、よろしくね」
 真名ちゃんとはお友達なんだよー、とハイタッチすることで仲良しアピールをする歩と真名。その様子を見て、三成は歩がここに誘ったのかと聞く。
「ううん、真名ちゃんとは偶然会ったんだよ」
「私は……あの子と遊ぶ為に、ね?」
 真名が視線をキャンプの方へと向ける。釣られてそちらを見ると、白いセパレートタイプの水着を着た少女……ミリート・ティナーファ(ib3308)が駆け寄ってくるところであった。
「お姉ちゃん、待たせちゃった?」
「そんなことないわよ。ミリートらしい可憐な水着ね」
「えへへ。お姉ちゃんのもすっごい綺麗だよ♪ 紅のビキニかぁ……。私もそういう大人っぽいの似合うようになるかな?」
「あら、ミリートは今のままでも十分可愛らしいわよ?」
 自然に互いを褒めあう真名とミリートを見て、感心する三成。彼にはとても真似できそうにない。
「よし、じゃあ沖まで競争しましょ♪」
「うん!」
 仲睦まじく海へと駆けていく真名とミリートを見送る三成。汗をだらだら流しながらも海に入る様子の無い彼に歩が声をかける。
「せっかく来たんだし、泳がない? 海のが涼しいよ」
「う、ですが……その……」
 やはり肌を見せるのはまだ恥ずかしい、と三成は改めて説明する。
 そんな三成の背後から、にょきっと新たな人物が顔を見せる。
「ほほぅ、脱ぐのは恥ずかしいが女装は恥ずかしくない、と」
「いつの間に!?」
 先程までは姿を見せていなかった緋那岐(ib5664)の突然の登場に、三成は肩をビクリと震わせる。
 ちなみに彼も歩と同じく三成に誘われてのバカンス参加だ。
「女装はみっちゃんの趣味かと思ったんだけど……そっちは恥ずかしくないならやっぱり……」
「ちーがーいーまーすー! 幼少時からの掟――仕事のようなものですから!」
 任を終えた今となっては本来の性別の格好をしているが。緋那岐はそれを観察してただ一言、放つ。
「……で、男装?」
「男ですから!!」
「じゃあ、中性ってことにしとく」
「中性ってなに!?」
「いやぁ、脱げばはっきりするんだけどなぁ」
 ちらっちらっと意味ありげな視線を向けてくる緋那岐に、三成はその手には乗るものかと腕を組んでそっぽを向く。
 しかし、意地を張っても暑いものは暑い。相変わらず汗は止まらない彼を心配する少女がいた。
「三成おにいさま、あまり無理をすると倒れてしまいますの〜。せっかくのバカンスですのに……」
 三成とのおでかけを楽しみにしていたケロリーナ(ib2037)だ。確かに休暇で疲れを溜めてしまっては本末転倒である。
 体調を気遣われて、となったらさすがに三成も意地の張りどころが見つからず。
「それも……そう、ですね」
 観念して、着替えることを受け入れる。
「瑠璃、着替えはあるんだよね?」
「はい。水着を用意してあります」
 というわけで、一先ずキャンプにて浅葱色の水着に着替えた三成。
 やはりというか、体は細い。とはいえ骨格は男性のそれであり、水着1枚の今は男性というのがはっきりと見て分かる。
 準備が出来たのを見て、歩が海に誘う。
「それじゃ、泳ごっか?」
 だが、それに緋那岐が待ったをかけた。
「あー……場所変えた方がいいかも」
「?」
 首を傾げる歩によく分かるよう、緋那岐が親指で海の一点を指した。

「えへへ〜、お姉ちゃんつかまえた〜♪」
「やるじゃない。次は私の番よ♪」

 きゃっきゃといちゃつく少女2人。カップル特有の甘ったるい雰囲気を見事なまでに作り出していた。
 場所を変える提案を理解するには十分な光景だ。
「でもどこに……」
「けろりーなにお任せですの〜」
 言いながらケロリーナが取り出すはこの為に作った旅のしおりだ。彼女はあるページを三成らに見せる。
「この近くから入れる水中遊歩道を通れば湖まで行けるはずですの〜」
 水中遊歩道は北の湖にも伸びている。湖周辺にも出入り口があると考えていいはずだ。
 道中の景色も楽しめることを考えたらいい選択だろう。
「では、そちらに行きましょうか」
 こうして三成達は水中遊歩道へと向かうのであった。

●水中遊歩道
 さて、実は三成達より先に水中遊歩道を探索している人物がいた。
 その人物とはフィーナ・ウェンカー(ib0389)だ。
 引き篭もりの彼女が、こうして依頼以外で外出するのは非常に珍しい。
 原因は夏の暑さだ。
 ――ここ最近は引きこもっていても暑いですし、本当に気が滅入ります。
 フローズをぶっ放しても涼しくならないとなれば、避暑にでも出かけた方がマシだというのがここにいる理由だ。
 ……ついでに、新しい儀の調査も出来ますし。
 地図を作りながら水中遊歩道を歩く彼女の姿は、いつもの黒いドレスではなく艶やかな赤色をしたビキニ姿だ。
 炎天下ではドレスなんて着てられないという実利面からの選択だが、フィーナの色気を演出するには十分だ。もし人の多い砂浜であれば声をかけてくる男性もいるだろう。本性を知らないのが前提だが。

「……それにしても」
 暫く散策して、ふと思った言葉がついと出てしまう。
「ここはなんとも形容しがたい場所ですね。知的好奇心をくすぐられます」
 まるで海中を歩いているような錯覚を得られる水中遊歩道。
 だが海の生態よりも、彼女にとっては遊歩道そのものの方が気になっていた。
 入る前は硝子のようなものでできた鍾乳洞、ぐらいに考えていた。だが実際に入ってそれは違うと確信する。
「間違いなく人が作ったものですね」
 根拠は水中遊歩道の構造そのものだ。遊歩道は常に同じ広さであり歪みがない。
「……何より、人が歩くのに親切すぎる作りです」
 そう考えると気になることがまた出てくる。
 何故作ったのか。
 どうやって作ったのか。
 何でできているのか。
「ふむ」
 目の前にサンプルがあるのだから、採取すべきではとフィーナはアゾットの刃を壁に当てる。
 これで欠片でもこそぎ落とせば……と短剣を持つ手に力を込める、が。
「……おや」
 思った以上に硬い。せいぜい小さな傷が表面につく程度だ。
 仕方ないとフィーナは改めて壁に触れて調査を始める。
「硝子……よりも鉱物に近いですね」
 いや、確か似たようなものを知っている。
「……敢えて言うなら宝珠に似ています」
 宝珠と同質のものと想定するなら、これもまた再現不可能な遺物というわけだ。
 材質についてはこんなものだろう。この水中遊歩道自体に関しては、まだ探索を続けた方が良さそうだ。
「ふぅ……足で調べるのはあまり得意ではないんですけどね」

●湖にて
 同じ頃、湖を目指し水中遊歩道を歩いている三成たち。
 彼らにとっても水中遊歩道はとても興味深いものだが、フィーナと違うのはそのものよりも見える景色に心を惹かれる点か。
 湖を目指して歩いているため、彼らから見えるのは主に川や池の様子だ。
「わ、わ。あれなんだろ? 可愛いー」
 遊歩道から見える小魚の群れを指差してはしゃぐ歩。
「お、本当にミズチとかもいるんだな」
「えっ、どこどこー?」
 緋那岐の言葉を聞いて歩はすぐさま彼が指差す先が見えるよう移動する。
 何気に三成も興味津々のようで、歩ほどはしゃいでいないがミズチが見える場所を陣取っていたり。
「あー! かえるさんもいましたのー♪」
 ケロリーナも大好きなカエルが泳いでる姿を見れてご満悦の様子。

 そうこうしているうちに湖に到着した三成達。やはり湖近くに出入り口があった。
「よーし、それじゃ泳ぐよー!」
 ばしゃーんと元気よく湖に飛び込む歩。ぷはぁと顔を水面から出して、岸にいる三成へと声をかける。
「ほらっ、三成様も!」
「ちょっ、ちょっと待ってください。私は……その、あまり泳ぎは得意ではなく」
 やっぱり、というべきか。そもそも三成は水泳どころか運動全般が苦手なのだが。
「じゃあ、私が教えてあげるよ〜」
「お、お手柔らかに……」
 湖に入った三成の手を引いて泳ぎを教える歩。割とある方の水着少女が付きっ切りだからか、三成の顔がちょっと赤い。
「三成おにいさま、がんばるですの〜♪」
 水着を着ていないケロリーナは岸辺で足を水につけながら声援を飛ばす。
「青春だねぇ」
 そんな少年少女を微笑ましく見守りながら、緋那岐はある実験をしていた。
 まず砕魚符で先程見かけた魚を模倣して式を作り出す。尤もこの行為自体は意味は無い。
「問題は……練力を回復できるかってことだ」
 次に行うは瘴気回収。周囲の瘴気を回収して己の力を回復する術だ。
 結果としては、
「ありゃ。……本当に全然無いな」
 回復できず。アヤカシの出没しない地域だと聞いていぶかしんでいたが、事実のようだ。
 ならここでは本当に遊ぶだけで良さそうだ。そう考えながら、今にも沈みそうになっている三成を観察するのであった。
「わわわー、三成様ー!?」
「三成おにいさま、気をしっかりもつですのー!」

●いちゃいちゃ
 その頃、海でいちゃついてるカップルはというと。
「ほらほらほら、お魚いっぱい。見たことないのばかりで、新鮮に映るや」
「本当……どうなってるのかしら、この海」
 ミリートが撒いた餌に集まった魚を2人で並んで観察していた。
 この島の環境はどうなっているのか、真名は陰陽師としても魔術師としても気になりはする……のだが。
 ……ミリートと一緒なんだもの。今は難しい事は考えずに一緒にいる時間を大切にしたいわ。
 ということで、そこら辺は思考から追い出して、恋人との逢瀬に全力を注いでいた。
「あっ、あれってイルカじゃない?」
「本当だー! 触ってみたいなぁ」
「じゃあ、一緒に行きましょ♪」
「うん!」
 並んでイルカへと泳いでいく2人。イルカの方も人間に興味を持っているのか逃げるどころか近づいてきた。
「触っても……いい?」
 ぺたぺたとミリートがイルカの頭を撫でる。特に嫌がる様子は無い。
「これは貴重な経験ね」
「だねー。きゃー、くすぐったーい♪」
 イルカはじゃれ付くようにミリートの脇腹を鼻先でつっつく。
 暫く2人はイルカと遊ぶのだった。

 イルカとひとしきり遊んだ後、2人は浜へと戻っていた。一旦休憩してご飯を食べるためだ。
 ミリートがござを敷き、その上に真名が用意した弁当を広げていく。
「えへへ、お姉ちゃんのお弁当、とっても楽しみだったんだ」
「その期待に応えられるだけの自信はあるわよ」
 いつもなら常人が引く程の辛さだったりするのだが、それも程ほどにしてある。
「はい、ミリート。アーン♪」
「あーん♪」
 真名が箸で摘んだ料理をミリートの口の前に持っていく、とミリートは躊躇も照れも一切見せず、それをぱくっと口にする。
「ピリッした辛さがちょうどよくて美味しい〜。お姉ちゃんも、あ〜ん♪」
「あーん♪」
 ミリートのお返しのあーんを、真名もごく自然に受け取る。
 幸せたっぷりのラブラブカップルにとってはこれぐらい日常茶飯事なのだ。
 こうして2人はお互いにあーんをして弁当を食べていく……と、ミリートが箸を止める。
「あ、お姉ちゃん。口にたれがついてるよ」
「え、どこ?」
「――ここ。ん……」
 ミリートが不意打ち気味に唇を重ねる。
 唇を離したミリートが、悪戯っぽく笑う。
「えへへ。私に付き合ってくれたお礼だよ。今の時期の思い出っていうことでね。ふふふ」
 真名が自分の唇を軽く指でなぞる。ミリートの柔らかい唇の感触がまだ残っている。
「……今度は、私に付き合ってくれたお礼をミリートにしなくちゃ、ね」
 感触は再び蘇る。

●痕跡
 再び、フィーナ。彼女はあるものを見つけていた。
 海底に、水中遊歩道から繋がる建築物があったのだ。
 金属製の扉をなんとか開けた彼女の目に入ったものは、
「あー……。駄目ですね、これは」
 何かの残骸らしきものだった。殆どが腐食しており、元を判別することが不可能なのは一目で理解できる。
 だが、それでも分かることはある。
「ここ……多分、内部から壊されてますね」
 水中遊歩道の状況から考えて、放置されただけでこうなるとは考えにくい。
「破壊された理由……。この施設の目的と関わりがあるんでしょうか」
 それを知る者は、この場には――いない。

●休暇の終わり
 湖に戻って。
「んん……?」
「あ、目を覚ましたよー!」
 いつの間にか意識を失っていた三成は、記憶を手繰りながらゆっくりと瞼を開ける。
 確か足を吊って、溺れそうになって……。そこまで思い出した彼の視界に入ったのは、心配そうにこちらを覗き込む歩の顔だった。
「わわっ!?」
 あまりに近くて、思わず起き上がり……気づく。さっきまで膝枕をしてもらっていたことを。
 だが歩は気にすることなく申し訳なさそうに謝罪する。
「ご、ごめんなさい……。私が引っ張りまわしたから……」
「……い、いえ。私の体力の無さが原因ですので」
 一息ついたのを確認して、ケロリーナが目覚めてよかったと三成に抱きつく。
「無事でよかったですの〜!」
「あ! いや、無事ですから、元気ですから! その抱きつくのは……!?」
 いつもの調子を取り戻した三成を見て、歩はほっと胸を撫で下ろす。そして、改めて笑みを浮かべる。
「でも、良かったよ。三成様、元気そうで」
 今の言葉は先の疲れ云々のことではないのは、三成にも分かる。
「皆さんに支えていただきましたから」
 三成は、歩を、ケロリーナを、緋那岐を見やる。
「ありがとうございます。今日についても」
「こちらこそ、なんだよ♪」
 歩は笑顔で返し、そして手を差し出す。
「順番がバラバラだけど……改めてお友達になってくれたら嬉しいな」
 その手を、三成は取った。
「えぇ、勿論」
「三成おにいさまー、けろりーなも握手するですのー♪」
「はい、喜んで」
「みっちゃん俺もー」
「えー……」
「酷くね!?」


 こうして、休暇を楽しむ開拓者達であった。