【勿恋】忘れえぬ想い
マスター名:藤城 とーま
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 普通
参加人数: 5人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2013/08/31 17:19



■オープニング本文

●ジルベリア某所

 ジルベリアに無事たどり着いたローラは、ミィナの体調が回復するまで側に付き添って面倒を見ていた。
 ミィナが自分で動けるようになった頃、ローラは単身天儀へと戻って行った。

 天儀で、咲崎というシノビを見つけた。
 囚われのミィナを逃がす協力をしてくれたのだ。
(どうして……あんなところに……?)
 そして、どうして再び出会ってしまったのだろう。
 今まで忘れていたわけではないが、自分や彼の境遇を思うと複雑な心境だった。

(私、どうしたら……)

 そもそも、勢いで天儀まできてしまったが、一体どうしようというのか?
 赤辰団へと向かったところで……素直に用心棒に合わせてくれるはずはない。

 ギルドで悶々と悩んでいるうちに、一人の男性開拓者から声を掛けられた。
「おや? 君は、ローラ……さんじゃないか?」
「えっ……」
 声を掛けられて顔を上げると、相手の顔を確認。以前依頼に同行してもらったことのある開拓者だった。
「あ! お久しぶりです」
 いつぞやはありがとうございました、と頭を下げるローラ。開拓者もつられて頭を下げた。
「あのさ。なんか悩んでました?」
「え……」
「表情が暗いから、また困ったことがあったのかなって」
 気のせいならいいんだと続けようとした開拓者だったが、ローラの表情が見る間に曇っていく。
 放っておけなくなった開拓者は、苦笑交じりに相談事があるのなら聞くよと答えた。
「はい……すみません……」
 お願いします、とローラは頷く。
 正直、堂々巡りの中だったし、様々な思いを整理したかったのかもしれない。

「話せば長くなりますが……」
 と、ローラはあの日――かつてグロスハイム家が存続していたころの事を、訥々と語り出した。


 ローラは、ジルベリア中流貴族のグロスハイムという一族であった。
 父親も絵に書いたような貴族としての価値観だったし、母もそうだった。
 何不自由もない家柄だったが、ローラが生まれたことで、家族中は一変してしまったという。

 ローラには兄弟が数人いたが、皆父や母と同じ銀か金の髪。
 末娘のローラだけが、水色の髪であったという。
 後で調べて分かったことだが、母方の血族には水色の髪の者もいたらしい。
 兄弟たちは普通に接してくれたが、父は母の不義を疑い、ローラは自身の髪色を厭う。
 そんなある日、屋敷に護衛としてやってきていた咲崎が言ったのだった。

『――んなに気にすることねんじゃね? 俺ぁ好きよ、その髪』

 単なる慰めだったのかもしれない。
 どういう意味でそう言ってくれたのかは分からなかったが……その言葉は、ローラの心を重責から解放してくれるに十分だったという。

「……それから、ジルベリアで貴族の内乱があって……その時、家は没落しました。
咲崎さんも急にいなくなってしまい、暮らしも苦労しましたけど」
「その咲崎さんって人は、ローラさんの恋人だったの?」
 開拓者がそう訊ねると、違いますと首を振った。
「とんでもない。とてもよくしてくださったけれど……」
 そこで、ローラは口ごもった。
「でも、あの時のことで、どうしても訊ねたいことがあったんです。
どうにかお会いしたいと思ったら、案もないまま来ちゃって」
 そこで、ローラは開拓者へ懇願の目を向ける。

「無理を承知でお願いがあります。
咲崎さんを、どうか屋敷の外へ連れて来ては下さいませんか?
私がいると知ったら、きっと来てくれません……」
「でも、この間の襲撃で俺らも顔が知られているかも」

 ミィナを救出する際、多少印象に残るような対応や人質交渉もした。
 そこから人質が消えたのだから、屋敷の者に見つかれば、当然自分たちも危ういだろう。
「……ちゃんとローラさんからの伝言だって伝えるしかないねぇ……」
 開拓者は腕を組んでローラを見つめる。
 正直、助けてやりたい気持ちもあるが、潜入と説得がいささか厳しいかもしれない。

 さて、どうしたものか――


■参加者一覧
九竜・鋼介(ia2192
25歳・男・サ
海月弥生(ia5351
27歳・女・弓
レグ・フォルワード(ia9526
29歳・男・砲
ソウェル ノイラート(ib5397
24歳・女・砲
瀏 影蘭(ic0520
23歳・男・陰


■リプレイ本文



 ローラのしたためた手紙を携え、一行は神楽の赤辰団へと向かっていた。
「……うーん」
 放っておけなかったとはいえ、やや今回の任は厳しいかもしれないわね――と、ソウェル ノイラート(ib5397)は思う。
 場所は以前乗り込んでいった場所でもあり、あのゴロツキ共へ面が割れている事は、確かに懸念するところだ。
 手紙を渡す役に買って出てくれた九竜・鋼介(ia2192)や瀏 影蘭(ic0520)の二人に任せて動向を見守るのも、若干申し訳なく思うようだ。

 ただ……彼女の憂慮はそこだけではない。
(手紙を渡して、ほいさって来てくれるなら何もかも解決でいいんだけど)
 それが一番理想的……なのだが。
 心配性ではないのに、ソウェルはどうにも一筋縄ではいかないような気がしていた。
(……いい歳した男程、しょーもない拘りが有ったりするし……)

 と、思わず隣のレグ・フォルワード(ia9526)をチラチラ見てしまう。
「ん? どうかしたのか?」
 彼女の視線を感じ、レグは綺麗な白い歯列を見せて笑う。
 サングラスのせいで彼の瞳がどのような色を見せているのかまでは分からなかったが、きっと優しげなものだろう。
「なんでもないわ」
 ほんの僅かな懸念を払うようにかぶりを振ったソウェル。
「しかし、こちとら大っぴらに動けねえからな。顔は隠しとくか」
 道具袋をガサゴソと漁りながら、物色しているレグ。

「そろそろ屋敷よ。みんな気を付けてね」
 前を歩いていた海月弥生(ia5351)が、仲間へと一言告げて、物陰に身を隠す。
 バダドサイトで遠くを見る力を向上させると、周囲と屋敷、物陰までをくまなく見渡した。
「うん……特に問題ないみたいだわ。
門番が二人。中の様子は、ちょっと塀が高くて……このままじゃ見えないわね」
「裏口の様子はどうかな?」
 逃走するときや咲崎と話し合うのに使用する予定だ。ここも確認しなければならないだろう。
「そうね、ちゃんと見ておきましょうか。安心は多い方がいいわ」
 弥生は術で若干落ちた視力を疎ましく思いつつ、やや速足で裏口へと向かっていく。
「先に話したとおり、俺は正面から行こうと思う」
 まずは鋼介が出向いて取り合ってもらえるかやってみるという。
「あら、じゃあわたしも行くわ。芸者連れなら警戒も薄れるかもしれないでしょ?」
 人差し指で自身の唇に触れ『うふ』と妖艶に微笑む影蘭。
 それだけでも男を魅了できそうなものだが、影蘭の正体を知っている鋼介には効かないようだ。
 弥生が戻り、裏口は3人の赤帯男が屯していると告げる。
 彼らの顔つきは深刻なものではなく、朗らかに談話しているだけのようだ。
「裏口、人がいるの……? そっちで待機をと思ったのに」
「多少時間が経てば人が減るかもしれないわよ?
彼らだって暇してるとこ上に見られたらマズイだろうし?」
 当てが外れたという表情のソウェルに、心配ないと弥生が声をかけた。
「先に正面から行った方がいいかもしれねぇなぁ。
人目に触れたかないが、相手にする人数も少ないに越したことねぇし……九竜、頼むぜ」
 レグの言葉に頷いた鋼介は、正門へ向かって歩き始めた。


●作戦開始

 影蘭は物陰からハムスター型にした人魂を掌上へ召還し、地に近づける。
「さ、お行き」
 小さな体躯を大きく動かし、ハムスター人魂……もといハム魂は鋼介の後を追いかけていく。

「すまん――こちらで、用心棒を請け負っている咲崎に取り次いで貰えないか?」
 ハム魂が自分の足下付近で立ち止まり、様子を伺っているのを感じながら、鋼介は門番の一人に声をかけた。
「あぁ? なんだテメェは! 咲崎なんか……、に何の用だ!」
 シラを切ろうとしたようだが、用心棒という職と名前がバレているのでは無理だと判断したようだ。
 鋼介の顔を凄みながら睨み付けた。
「おお、そんな怖い顔をしなくても……預かりものを渡したいだけだ」
「……おめぇは?」
「名なら……」
 言いかけてから、ふむ、と鋼介は口元を押さえた。確か名乗った覚えがない。何か相手が分かる特徴がなかっただろうかと考え、至ったのが――……

「多分『面倒はごめんどう』と言えば分かる……と思う」
 咲崎が覚えていた駄洒落を口にした。
「ご面倒だと!? フザけてんのか、てめえっ!」
 血管を浮き上がらせながら、男が鋼介に怒鳴りつける。
「あらあら、大きな声ねぇ」
 いきり立つ男へ声をかけたのは影蘭だった。
 しずしずと彼らの方へとやってくると『まぁ』と意外そうな声を出し、にこりと微笑む。
「赤辰のお兄さん。お久しぶりね。相変わらず羽振りと男っぷりが良さそうじゃないか」
「お、おう……あんた、この間の芸者の姉さんか。親分も褒めてたぜ」
「覚えていてくれて嬉しいわ……あら。親分さんが?
なら話が早い。是非、またどうかと思ってね」
 そう言いながら、ハム魂を操って屋敷内へと潜入させる影蘭。
 まだ正体がバレていないようだ。
 もう一人の門番が鋼介に帰れと手振りで追い、長居は不要と判断した鋼介は、影蘭とすれ違いざま見つからないようにローラの手紙を渡した。
 素早く袖の下に隠し入れ、影蘭は何事も無かったかのように二人の門番に囁くように告げる。
「どちらか、中へ案内してくれないかしら」

●物陰

「おいおいあいつら……簡単に引っかかってるぜ」
 こっそり覗いていたレグが呆れたような声を出し、屋敷内に消えていく影蘭と門番を見つめる。
「……まぁ、ゴタゴタしなくていいんじゃないの?」
「そうね……」
 ちょっと複雑なのはソウェルや弥生も同じようだ。
 弥生などは表情までハッキリ見えてしまっているので、男ってのは、と言いながら苦笑する。
 そこに戻ってきた鋼介を皆でご苦労様と肩を叩いた後、連れ立って裏口へと足早に向かっていく。

「じゃ……あたしが確認するわね」
 弥生がそっと身を乗り出し、曲がり角から裏口を確認。
 読み通り、裏口にあの男たちの姿はない。何処かへ行ってしまったようだ。
「影蘭がうまくやってくれるといいけど……」
「人魂か瀏本人が咲崎に見つかりゃ、不審がられてる可能性もある。
出てこなけりゃそれまでだ。
どっちにしろ、俺たちは何らかのアクションがあるまでは待機になるな」
 扉に手をかけ、鍵がかかっているのを確認したレグは、塀の上を仰ぎ見る。
 小さく肩をすくめて、ソウェルはふとローラのことを思った。
 ローラは待ち合わせの店で、自分たちが来るのを待っているのだろう。
 あの重いフードをかぶって、身を小さくしながら時計を何度も見ている頃か。
(連絡がないって、辛いものよね)
 話し合いがこじれた時の事も考えなくてはいけないが、ローラについていてあげた方がよかったかと思った時だった。
「……誰か来るわ……!」
 耳に手を当て、近づく足音を察知した弥生は瞳を塀へと移す。
 バダドサイトのせいで近くを見る視力低下の影響はあるが、弓を強く握る。
 彼らの間に緊張が走り、鋼介は剣の柄へ、レグも短筒に手をかけた。

 すると、塀に着地したのは黒い影……いや、装束の男。
「……やっぱり、あんたらかい」
 覆面の下から発せられる声は穏やかなものだったが、鋭い視線は口調とは反対に……冷たい。
 それは、咲崎という忍びのものに相違なかった。
「変なブチネズミが目の前をチョロチョロするし、この間の芸者が俺に手紙まで押しつけてきたもんだしな……」
 ブチネズミは恐らくハム魂の事だろう。影蘭がうまく誘導してくれたようだ。

「読んだのか?」
「悪い予感がしたんでな……捨てた」
「そう思って、もう一通用意してある。ローラが心を込めて書いた手紙なんだ」
 と、鋼介が懐から予備のローラの手紙を差し出すと……咲崎はチッと舌打ちした。
「嫌ァ〜な予感してたんだよな。あんたらを見て確信したぜ。
この間の一件もあるし、もう面倒事を抱え込むの嫌いなのよ、俺ァ」
 確かに不審火かつ犯人を見つけられなかったのは、シノビとしては面目もないところだろう。
 それに手紙を受け取りたがらない。

「……俺がクナイを抜かないうちに早く帰んな。敵意も恨みも無くったって、仕事は別なんだ」
「そうは言ってもよ……俺たちもいわば、依頼を引き受けたんだ。
なぁ、向こうにしてみりゃ恋人だろうが恩人だろうが、
世話になった人間が突然姿を消したら……そりゃあいろいろ思うところもあるだろうぜ」
 やり取りを見つめていたソウェルは、レグの言葉に思うところがあったのか……一瞬辛そうな表情を浮かべ、すぐに消す。
 お節介かもしれないが、と鋼介が一歩前に進み出て咲崎へ話しかけた。
「あんたとローラの関係については一応聞いている……。
ローラはあんたに会って話しをしたい一心で、神楽へ戻ってきた。
詳しい理由までは知らんが、ローラにとっては余程の理由なんだろうよ」
 真剣な表情で諭す鋼介。ここでも真面目な性格が発揮されているようだ。
「……だから頼む。ローラに会ってやってくれ。
過去にあんたが彼女や彼女の家に何をしたかは、俺たちも知らし、こっちから聞くつもりはない。
だがあんたがいくら逃げ続けても、きっとローラはまた探すだろう。それこそ……もっと無茶をしてでも」
 咲崎は何も言わずに、鋼介と視線を交錯させている。
 鋼介も真っ直ぐ見つめ返していた。

「――ここで俺がどうあっても嫌だ、って言ったら、あんたらどうするワケさ?」
「ローラにそう報告するしかないわねぇ」
 目的は咲崎と接触し、会いたいという真意を伝えることだ。手紙はその課程でしかない。
 本人が会いたくないというのなら、依頼人に伝えるしかないだろうと弥生は答えた。
「ねえ、色々と事情はあると思うけど。
一度、ローラと会って話をしてあげて」
 いつの間にか戻ってきた影蘭。ぎょっとする弥生に、
「芸者道具忘れて来ちゃったから、叱られちゃってね。謝って帰ってきたわ」
 くすくすと笑う影蘭。道具が無くとも何とかなったが目的は達成したのだし、長居は不要と切り上げたのだ。
「それに、そろそろ用心棒の任が終わるらしいじゃない。
ちょうどお互いに良い頃じゃないかしら」
 揶揄されて、咲崎が塀の向こうを見つめて息を吐いた。
「だとしても、あんたらがお嬢ちゃんのために動くことでもないだろ。俺も正直迷惑だ」
 咲崎の疎むような声を受け止めつつ、影蘭はローラがギルドで訥々と語っていた事の一部を教える。
「彼女、どうしてこんな依頼をしたと思う?
……ずっと貴方の事を忘れずに想い続けていたのよ」
 その言葉に、咲崎の目が大きく見開かれた。
 彼にとって予想外のことだったのだろう。ソウェルは、その話をしていたローラの表情を思い浮かべた。
「……髪の毛の色を初めて褒めてくれた人が居たって、嬉しそうにしていたのよ。
恨みだけで探しているわけじゃないわ」
 恨んでいるなら、あんなに優しい顔はできるはずがないはずだ。

 静かに話を聞いている咲崎に、レグは『俺が言うなって叱られそうだけどな』と口を開く。
「本人に、消えた理由を言えないことだってあると思うぜ。
そんな自分を恨んでくれりゃ、楽なこともある。
でもな、相手にはそんな真意が伝わらない。
連絡ほしさに、ずっと待っている場合だって……あるぜ。
その悲しみや辛さは、待たせた方にゃ察せない。そこんところも、きちんと汲んでやって欲しいモンだが」
 と言った。
 思わずレグを見つめるソウェル。
 ソウェルとレグの雰囲気を見て何かを感じ取ったのか、咲崎は目を閉じる。
 そんな咲崎の心へ後押しをするように、鋼介が最後に付け加えた。
「彼女に対して、多少は罪悪感を抱えているんだろう?
だからこそあの時逃がすのを手伝った……。
もう一度、彼女を助けると思って、会って話をしてほしい」

 長い沈黙が訪れた後、咲崎は観念したように大きな息を吐いた。

「……お嬢ちゃんに伝えといてくれ。
もう少しでここの任が終わるんだ。そうだな、5日後の午後なら……よっぽどの事がねぇ限り……行けるはずだ」
「え……じゃあ」
 弥生の期待した顔を睨んだ咲崎は面倒くさそうに『そういう事だ』と返した。
 思わず両手を組んで、安堵の表情を浮かべる弥生。
「ええ、わかった。しかと伝えておくわ」
 ソウェルが力強く頷くと、咲崎はじっと彼女を見据えている。
「人の事なのに……嬉しそうだな、あんた」
 咲崎にそう指摘され、ソウェルはあらと言いながら自分の頬に手を当てる。
 自分はそんなに嬉しそうな顔をしていたのだろうか。
「そうねぇ……なんとなく、放っておけないし」
「乗り掛かった舟だ……他人事とは思えねえ事情もあるしな」
 こうしてこの二人がローラに世話を焼くのも、境遇が似ていたから放っておけなかった、と咲崎は解釈したようだ。
「……そっちに赤辰の男が見回りに来る。早く行きな」
 フンと鼻を鳴らし、中へ消えるシノビ。
 仲間たちは、依頼者へと顛末を伝えるためローラの待つ店へと足を向けた。





 店に入ると、ソウェルの予想通りフードを深く被ったローラが手を振った。その姿は店の雰囲気と合っておらず、浮いていて……怪しい。
「みなさん、お怪我はありませんか……?」
 一礼して彼らを労ったローラは、心配そうに弥生の腕やソウェルの顔をじっと見つめる。
「大丈夫、何も怪我はないわ。それで、報告なんだけど……」
 ソウェルがローラを宥めてから、咲崎が条件に応じたことを伝えた。
 ローラも依頼したにしろ、うまくいくとは思っていなかったようだ。口に手を当て、信じられないと声を震わせた。
「私一人じゃ、きっと無理でした……ありがとう、ございます……!」
 うれし泣きまでし始めたローラの背中をぽんぽんと軽くたたいてやるソウェル。
「俺たちは手伝ったまで。あとは、ローラ次第さ」
 しっかりやんなよ、とレグがニカッと笑い、ソウェルと目があって頷き返した。

 話し合いは5日後の午後、この場所で。

 彼はきっと来てくれる。
 照れたようなローラの笑顔を見つめ、
 ここにいる仲間たちは願いに似た淡い期待を抱くのだった。