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■オープニング本文 ※このシナリオはエイプリルフール・シナリオです。オープニングは架空のものであり、ゲームの世界観に一切影響を与えません。 ●屋外勤務 不月 彩(iz0157)は開拓者ギルドの受付として働いている。 受付であるから、開拓者ギルドの中で持ち込まれた依頼の対応をするのが基本的な仕事内容だ。とはいっても常に屋内にいるわけでないし、時として事前調査のため屋外へでる事もある。 「ここら辺かしら、ていうかこれでいいわよね」 彩はそう呟く。通報によるとこの辺りでアヤカシらしきものを見たのだと言う。 そしてこことは神楽の都近辺にある林の中にある湖で、水は清く澄んでいて冷たそうだ。夏には良いだろうが、さすがに春先に入ろうという気はしない。 とりあえずその真偽が分かれば良いのだし、深入りしてアヤカシに出会ったりすれば大変だ。それに、調査も開拓者の仕事と考えればそんなに自分がやる必要もない。というかやりたくない。早く帰りたい。 「木がなぎ倒されたとかそう言うのは無いみたいだけど‥」 街に近い林の中、魔の森とは遠く及ばないが何となく瘴気の感がある。ここでアヤカシを見たというのは多分嘘ではあるまい。多分。 「黒っぽい変なのがいた。だけじゃねえ‥」 情報は乏しいが、変なのがいるとしたらやはりそれはアヤカシであろうし、そんなのを見たらすぐ逃げるのは正しい。だから情報がこんな参考にもならないような程度になってしまうわけで、やはり探す方としては困る。そしてそれを補足するためにここに来ても『とりあえずそれ程大きくは無く、力任せに暴れ回るようなタイプではなさそう』というくらいしか想像ができない。 「うん、もう充分、充分」 一人で満足した彩は踵を返してもと来た道を戻ろうとした。だが、その時だった。 ●いつもの 『私を探している様だな!!』 「!?」 頭に響く、どこかで聞いた事がある様なあの声。 だいたい季節の変わり目にいつもやってくるあいつの声。 やって来た。 また闇目玉先生がやって来やがった。 それどころか、今回はこっちから訪ねてしまった。 「ああ、『黒』くて『変』なのね‥」 夜の闇の様に深き黒さを持ち、目玉だけの変なアヤカシ。情報は不足しているかと思われていたが、実は完全にその特徴を掴んでいた。世の中は不思議に満ちているものだ。 『ここに一人で来るとは‥』 「ストーンアタック!」 『ウボァー!!』 変態の話を長々と聞いてやる義理は無い。石の飛礫が闇目玉にべしべしと当たる。で、打ち所が悪かったのかバランスを崩した闇目玉先生は湖に落っこちる。 『ぐぼおぉぉ‥‥』 「やったの?」 泳げないのか何なのか、水の中へ沈んでいく闇目玉。依頼の調査どころか、任務達成だ。 「特別手当、でるわよね‥?」 出会って直ぐに倒してしまったし、被害どころかアヤカシが何かしていたという痕跡も無い。アヤカシは死ねば瘴気に戻るから遺体の一部を切り取って証とするわけにもいかない。加えて誰も見ていないのだから、認めてもらうのは難しいかもしれない。しかし、手柄をこのまま手放すというのも──などと考えていた時だった。 ●余計な事を 「──たが、─したのは‥」 あの変態アヤカシの声とは違う透明感のある女の声がする。しかし、何処から聞こえてくるか良く分からず、また何を言っているのか聞き取れない。 「誰!?」 新手のアヤカシか。しかもしゃべるとなると知性が高く、危険な存在である可能性が高まる。さっき喋ろうとして湖の中へ消えていったあの馬鹿っぽいアヤカシは別として。 「あなたが落としたのは─」 「!」 女が立っていた。突然現れたのも驚いたが、現れた場所も湖面というのもまた驚いた。 湖の水を思わせる透明感のある肌に、流水の如く滑らかな長い髪。美人というよりも儚げで虚ろげな女。そんな女が湖面に波紋すら立てずに立っていた。 「誰?」 「 あなたが落としたのは、この『金の闇目玉』ですか?それとも『銀の闇目玉』ですか?」 彩の問いかけには全く答えず、女は逆に彩に問いかける。 「いや、落としてないし。っていうか金とか銀って何よ!」 気付けば女の両隣にはさっきまでは影形もなかった二つの球体が静かに浮かんでいる。右手には見るからにゴージャスな光を放つ黄金の闇目玉。左手にはシックな輝きを放つ銀の闇目玉。 「金とか銀とか言ってる時点で闇でもなんでもないし、そんな闇目玉なんて見た事ないわよ!」 「それではこれは両方ともあなたの物ではないのですね?」 「だから知らないって言ってるでしょ‥」 「あなたは正直者です。褒美にこの金と銀のや──」 「いらない」 「話を最後まで聞くのです。もちろん、あなたが落とした『普通の闇目玉』も─」 「いらない」 いつの間にかさっき湖に沈んだ奴(普通の)まで浮かんでいる。 「なんて欲の無い人間なのでしょう、それならば‥」 「本当にいらない」 彩がそう拒否っても、女は聞く耳を持たない。会話が成り立っていない。かなり一方通行だ。 「この『綺麗な闇目玉』もつけましょう!」 「だから全部いらないって!」 どや顔でさらなる闇目玉を浮かべる女。『綺麗な闇目玉』って何だよもう意味がわからねえ。って思った時には女の姿は無かった。登場も去り際も静かで唐突だ。 ●おもちかえり そして女が居なくなり、残されたのは彩と四種の闇目玉。 「本当にこいつら要らないんだけど‥」 『返品は不可』 金の闇目玉が喋った気がする。というのもこいつらに口はないし、同じ声だし口調でテレパシーなので発言者の特定が難しい。 「どうしろっていうのよ‥」 『連れて行け。連れて行かなくてもついて行く」 今度は多分銀色の。ついて行くというか憑いて逝くのか分からないが迷惑この上ない。 『パンツ見せろ』 普通のだ。もうどうでも良い。 そして最後に綺麗な闇目玉が動きを見せる。淀んだ闇目玉の目と違って確かにその目は美しい。金や銀よりも普通の闇目玉に色は近いが、どことなく金や銀よりも普通の闇目玉とは違う気がした。 もしかしたら、これは他と違うのかもしれない。真っ直ぐな視線を受けて彩はそう思った。 『──パンツ見せろ!!』 彩は走って逃げた。 そして開拓者ギルドに戻って依頼を殴り書きして張り付けた時、すでに奴らは開拓者ギルドの間近に迫っているのだった。 |
■参加者一覧
ペケ(ia5365)
18歳・女・シ
煌夜(ia9065)
24歳・女・志
アクエリア・ルティス(ib0331)
17歳・女・騎
浅葱 恋華(ib3116)
20歳・女・泰
綺咲・桜狐(ib3118)
16歳・女・陰
雪刃(ib5814)
20歳・女・サ
ファムニス・ピサレット(ib5896)
10歳・女・巫
八条 高菜(ib7059)
35歳・女・シ |
■リプレイ本文 ●毎度の事 「おー、本当に綺麗ですねー、見た目だけ」 八条 高菜(ib7059)の目の前にはいつものと綺麗なのと金と銀の闇目玉、あわせて四つ。そのどれもが高菜の体に熱い視線を容赦なく送っている。 「金とか銀とかどこに闇要素があるのかしら」 『細かい事は気にするな』 黒くなければそもそも闇でもないので金目玉(略してはいけない)とかになるので、煌夜(ia9065)の疑問は闇目玉のアイデンティテイー崩壊に繋がるのだがそれでも闇目玉にとっては細かい事らしい。それつけても煌夜のおっ●いは素晴らしい。 「また闇目玉‥‥?」 もう何度目だろう。闇目玉は何だか定期的に現れるし、そのたびに雪刃(ib5814)は巻き込まれている気がする。これはもはや魂に定められた運命か何かかもしれない。だとしたら何て嫌な運命だろう。そして闇目玉より丸くて柔らかそうな雪刃のおっ●いに視線が集中するのも運命である。 「えぇ〜? 闇目玉が増えたですってー?」 「どうしてこんな時に‥‥。しかも嬉しくない各種闇目玉です‥‥」 どうもこの呪われた運命を持つ者は少なくないらしい。浅葱 恋華(ib3116)も綺咲・桜狐(ib3118)も闇目玉との遭遇回数は偶然という言葉では到底済まされない回数となっている。 さらにどういうわけか、今日の衣装もまた不味い。二人揃って身に纏うのは踊り子の衣装と羽衣で薄布だけ。こんな程度の薄さでは、とてもじゃないが闇目玉の熱視線に耐え切れそうも無い。早々にして危険である。 そしてその悲しい運命に強い意志を持って抗おうという者が一人。 「この時を待ってたわ!」 通称アクアことアクエリア・ルティス(ib0331)だけはむしろ闇目玉との遭遇を待っていた。 「全女の敵、ドスケベドグサレヤミメダマを打倒する為に、私はとうとう必殺技を身に付けたのよ!」 宿敵闇目玉を倒すため身に着けた『オーラショット』。逆に言えば今まで闇目玉に有効な攻撃手段のなかったアクアであった。 ●闇目玉よりも淫獣 「種類は豊富ですが全部お帰り頂きたいところですねー」 建物の陰からペケ(ia5365)が顔を出す。サービス満点の肉体であるものの、サービスする気持ちは一切ないらしい。 ペケは衣服に緩みが無いか確認する。褌が落ちたりしたら大変なので勿論褌も締め直す。ちゃんと締め直せるかは別として。 「私、思うんです」 当然始まる幼女の独白。ファムニス・ピサレット(ib5896)が語りだす。 「闇目玉さんがいつもえろえろなのは『見る』事しか出来ずやりたい事が出来なくて悶々としてるからじゃないかと─」 『そんな事はな──』 『待て』 『この方が都合がいいかもしれん』 「聞こえてるんだけど」 煌夜が突っ込む。しかし聞こえていないのかファムニスの言葉は続く。 「だから闇目玉さん達の手足になって─」 「ねえ、違うって‥言ってたよ?」 雪刃の言葉も耳に届かないのか、ファムニスの話はまだ終わらない。 「闇目玉さん達!私と感覚の共有はできますか?」 『『『『無理』』』』 場の空気が固まる。何故闇目玉は空気を読まないのか。ここは『できる』だろう。 しかしファムニスは出来る子だ。その空気すら無視して続ける。 「‥‥‥貴方達の願望を叶えますので見てて下さい!」 「え、やるの!?」 流石にアクアは突っ込んだ。 「まずは高菜さんからです!」 「あらあら、いらっしゃーい」 高菜も高菜で突っ込むどころか胸の谷間にファムニスの頭部を迎え入れる始末。そしてファムニスが飛び込んだかと思えば早くも嬌声が聞こえてくる。 「ぁんっ♪だめですよ、皆見てるじゃないですか‥‥♪」 「ああっ‥‥お姉様ぁ‥♪」 音声だけでもここが白昼の人通りの多い開拓者ギルドの前であるという事はもはや誰も信じまい。 「さすがに今は出て行きずらいですね‥‥」 衣服の点検が終わったペケはタイミングを計っていた。高菜とファムニスが現在どうなっているかというと、かなりとんでもない事になっている。今下手に飛び出せば巻き込まれる可能性は非常に高い。 「しかしすごいですねー」 少し離れた所から見ているペケでもすごい状態と分かるという事は現場はよりひどい。 「うふふ、ちっちゃいのもいいなあ。可愛くて」 「あっ‥お姉様も、す、ごい‥‥」 すごい、ひどいと言うより具体的にどうなっているか書けない。そんな状態だから当然二人と闇目玉以外はこの絡みを楽しめるはずも無い。どうしたらいいかわからない。 「‥‥いつまでやるの‥‥?」 「飽きるまで?」 「ヤミメダマを喜ばせてるだけじゃ‥」 『よいぞよいぞ』 困惑した視線と熱視線が人妻と幼女の痴態を生暖かく包んでいたが、そんな視線に気付いた二人は目を合わせて小さく頷く。 「え、まさか‥‥」 アクアは背中に悪寒が走った。ファムニスがこっちを見てニヤニヤしている。この淫獣め! 「我慢して私に触られて下さい!」 「きゃ!ちょっ‥スカートめくらないでぇ!」 アクアのスカートは淫獣の前には余りに非力で、レモンの爽やかさを思わせる布が露になる。 『ほう。春らしい色合いだ。いいぞもっとやれ』 「馬鹿な真似は──あぁっ!」 恐るべきは幼き淫獣。 「や、やめっ!これ以上は!」 アクアの悲鳴が響く頃、もう片方の淫獣もまた獲物に喰らいついているのだった。 「う‥」 「ちょっと!」 「おおー‥。これまた揉みごたえのある♪」 早くも高菜の両手には雪刃と煌夜のおっ●いがそれぞれ収まっている。何という贅沢だろう。どこぞの貧乳崇拝者以外なら誰もが夢見る、死ぬ前にやりたい事にリストアップされそうな行為を平然とやってのける。 「闇目玉にサービスするつもりなんてないから!」 「こんな事しても意味無いよ、きっと」 「うん、わかってる♪」 「えーっ!」 「放して‥‥」 『もっと激しく!』 「待ってなさい今片付けてあげるから!」 「‥‥叩き斬ってあげる‥」 「やはりまだ出なくて正解でしたねー」 現場は大変混乱しており、もう正直何が何だか。ペケは登場を思いとどまった自分の判断が正しかったと再認識。 『いや、そろそろ行くべきだろう』 「そーですかねー?まだ収まらなそうですけど‥」 思わぬ返事に反論するペケであったが、何かおかしい。 「‥‥ってえ?」 ペケは闇目玉と目が合うのだった。 ●乱れた踊り子 「ほらほら、如何?こんな凄い事もしちゃうわよ〜♪」 「‥恋華、何やってるの‥‥?」 桜狐が思わず突っ込みを入れるほど、恋華の行動は唐突だった。いわゆるこれが噂のM字開脚。もっとも恋華としては桜狐の姿を闇目玉に見せるくらいなら自分がというつもりだったのだが幾らなんでもその開脚具合はやりすぎだったか。 薄い水色の布は微かな風でも揺らめき、恋華のボディラインはおろか肌の色すら見て取れる。もともと踊り子の服だから多分に扇情的であり、銀色に輝く闇目玉先生としても注目せざるを得ない。 『ほう、悪くない』 「‥‥ねえ、恋華‥?」 「これはどうかしら〜♪」 そこから、海老反り。普段の格好で同じ事をやれば滑稽にも見えるが、踊り子の衣装がそれを淫靡なイメージへと変貌させる。恋華の動き全てが怪しく美しく誘う。もちろん性的な意味で。 『成程‥‥』 性的にメタリックな光を放つ闇目玉はそれを食い入る様に見つめる。 「‥‥恋華‥‥」 正直桜狐が置いてきぼりな感がある。闇目玉は変態なので退治しなければならないのに恋華は何でこんな事をしてるんだろう。そのまま闇目玉を攻撃しても良いが、恋華は何だかノリノリみたいだし‥‥。 「ねえ‥恋華、聞こえていますか?」 海老反りをしている恋華の顔を真上から見下ろす。 「ちょ、桜狐――あぁ!?」 「‥‥え、きゃ!?」 見詰め合う目と目(闇目玉的な意味ではなく)、崩れるバランス、重なり合う体と体、お互いの手は相手の服を掴んで姿勢を保とうとするが──やはり崩れたバランスを立て直すには至らない。結局、恋華と桜狐は絡み合うように転んでしまった。 「‥‥うう、お尻が痛いです‥‥」 『おお‥‥』 桜狐の前に回りこんだ銀の闇目玉が感嘆の声(テレパシー)をあげる。図らずも尻餅をついた桜狐もまたM字開脚の体を為していた。今日は闇目玉感謝デー。怒涛のM字開脚二連発。言葉がもの凄く下品な雰囲気がするが、それは闇目玉先生の力に因るものなのでどうしようもない事なのだ。流石はアヤカシだ。 「桜狐、大丈夫?」 自分の事よりも桜狐の事を心配する恋華。そして恋華の手には黒地の薄布。それは自分の服と色違いの様な、さっきまで誰かが着ていた様な‥‥?それに桜狐の手にも水色っぽい布が握られている様な‥? 「‥‥‥」 「‥‥‥」 『素晴らしい』 「「‥‥キャーー!!」」 ●お片づけ 「残念ながら私は見ても楽しくないですから」 ペケはそう言うが、ムチムチの極みのグラマラスボディは例え露出していなくとも楽しくないわけはない。 動くだけでも揺れるのだ。飛んで跳ねて揺れないわけがない。勢い余ったりしてしまったらはみ出たり、何かが脱げてしまう事だってあるかもしれない。というか脱げるんだろ?脱げない理由を探す方が難しいんだろ?つまりなんだっていうと楽しいに違いない。 『そんな事はない。良く見えて楽しい』 「ドライアイになるのです!」 『たとえドライアイになろうともおおお!』 しかし本人はそんな事を気にしてはいない。綺麗な闇目玉でも干からびてしまえと炎を燃やす。 「あー、『服だけ弾け飛ぶ光線』とか『当たってる間だけ服が透ける光線』とか出せないんですかね?」 『私は出せないが、探せば居る』 さすが闇目玉先生は何でもありだ。『当たると妙な気分になる光線』とか『脱ぎたくなる光線』とかだってもう思いのまま。アヤカシの本分から懸け離れた部分ばかりがすごいぞ闇目玉先生。それにまだペケの炎で燃えてるぞ。 「じゃ、火を足しておきますねー♪」 綺麗なだけで愉快な光線は出せない闇目玉はこうして更なる炎に包まれた。 「‥見ましたね‥‥?」 怒りと恥ずかしさで赤く変色した桜狐は銀の闇目玉を睨みつける。 そして怒りに震えるのは桜狐だけではない。 「私だってまだ良くは見てないのよぉーーっ!!」 『良くという事は、見た事があるのだな』 「う、うるさいわね!」 「‥‥許さない。絶対に許さない‥‥」 『大体あれは貴様らが勝手に──」 「問答無用よっ!」 これ以上言わせておくと色々まずい事も言いかねないので、恋華は掌にオーラを込めて銀の闇目玉を殴りつける。ぐらっと傾いた銀の闇目玉には桜狐の追撃が待っている。むしろこっちが大本命。 「わ・す・れ・て・く・だ・さ・い!!いいえ、滅・し・て・く・だ・さ・い!!」 符が飛ぶ、式が飛ぶ、闇目玉に飛んでいく。そして闇目玉は明後日の方へ飛んで逝く。 「‥見るのは得意だと思うけど、見られるのは、どうかな‥?」 見られるのは覚悟を決めて、雪刃は剣気を飛ばす。そしてその眼はしっかりと金の闇目玉からずらさない。 『‥‥‥』 「‥‥‥」 闇目玉は雪刃の胸の谷間を。雪刃は闇目玉の瞳をじっと見つめている。 溢れる剣気にたじろぐ事もない闇目玉。エロの力は死の恐怖を超える。金の闇目玉は命を賭して雪刃の胸元を凝視しているのだ。 雪刃と金の闇目玉は動かない。そこへ煌夜が一声。 「もっと、近くで見たくない?」 雪刃よりも大胆な提案で、胸元の開き方も煌夜の方が刺激的。 『悪くない、が‥‥』 わかってるんだ。近くに行ったらどうなるかなんて。その刀で串刺しにして団子みたいにするつもりなんだ。 しかも金色の闇目玉だから、串刺しになったらさぞかしみたらし団子の様に映えるだろう。 「どうするの?」 安っぽい挑発。露骨過ぎる罠。しかし、それが罠と分かっていても煌夜のおっ●いがそこにあるのなら。エロは死の恐怖すら乗り越えるんだ。 ぐさっ。 まだ、見れてな‥‥。 「‥‥目、逸らした‥‥」 結局穴の開いた金の闇目玉は雪刃の一撃でお星様に。 「さて、そろそろ終わりにさせてもらうわよ!」 今のアクアは闇目玉に見られるしかなかった以前のアクアとは違う。 『その前にもう一度パンツ見せろ』 「誰が見せるかバカァ!!」 「わかりました。闇目玉様がそう言うのなら‥」 「またぁ!ファムニス!いい加減にしなさい!」 「いいえ、やめません!もう少しで闇目玉様は賢者になれるんです!」 「だいたい何で賢者になるのよ!」 「だって満たされれば!」 「意味が分からないわよ!」 賢者。それは単純に知識の多さや小ざかしい知恵の有無ではなく、悟りを得た者の事を言う。従って煩悩、性欲の塊である闇目玉先生とは余りに縁遠い存在である。 もっとも男ならば一時的にではあるが賢者になる方法は往々にして存じているものである。男ではないアクアにそれを理解しろというのは難しいかもしれない。ファムニスは幼女だが、特別な訓練を積んだ幼女であって淫獣だから理解できているのは仕方が無い。 「どうしてもというなら私を倒してからです!」 「はい、邪魔になるから帰ろうねー」 「‥‥あとは、よろしく‥‥」 「あ、ちょっと待って‥‥」 煌夜と雪刃がずるずるとファムニスを引きずって行く。 「さて、邪魔者はいなくなったし‥‥覚悟ぉ!!」 ●事後 「いなくなったみたいね」 淫獣幼女がお姫様に正座で説教されているのを横目で見ながら煌夜が周囲を確認する。当然といえば当然だが討ち漏らしは無い様だ。 「‥‥また来るのかな‥」 仏の顔も三度までというが、二度あることは三度あるとも言うし、そもそも闇目玉が来るのは三回とかそんな頻度ではない気がするし、呼んでないのに来てしまうのだから止める手があるでもない。きっと雪刃の前にまた奴らは現れてしまうのだろう。 「あるんじゃないですかぁ。他にも居るって言ってたし」 妙な光線を出すのも何体で来るかも不明だが、高菜は次の襲来を確信していた。多分それは真夏の最中に‥、 「闇目玉と関わると酷い目にしか会わない気がします‥」 疲れ果てた表情の桜狐。酷い目に遭うのは確定事項である。 「そうね、でも‥‥」 酷い目には遭うものの恋華としては、桜狐の色々を見れるチャンスでもある。 「でも‥‥ってどういう‥?」 「えっ?あ、あはははっ♪な、何でもないわ!」 とまあこの辺もいつも通り確定事項。 「終わった事ですし、かえりますかねー」 うっとおしかった闇目玉達は綺麗さっぱり雲散霧消。思い返してもペケは特に闇目玉にサービスする事なく片付けれたはずだ。いつもならどこかで褌が何処かへ飛んでいってしまうが、今日はそんな事も── 「褌もちゃんとここに‥‥ない?」 そういえば闇目玉も『良く見える』とか言っていた様な‥?実は気付いていないだけで結構前から褌が行方不明? 「‥‥‥お、おもいっきり見せまくってしまいました‥‥」 ペケはがっくりと膝を落とすのだった。 |