【PM】貧乳大魔王の夢
マスター名:梵八
シナリオ形態: ショート
危険
難易度: 普通
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2011/11/07 17:30



■オープニング本文

※このシナリオはパンプキンマジック・シナリオです。オープニングは架空のものであり、DTSの世界観に一切影響を与えません。

●夜
 その日は秋になったにもかかわらず、夏が少しだけ戻ってきた様な暑い夜だった。
 眠りに落ちるまで不快な時を過ごさないといけないわけだが、寝付けたとしても不快な思いが止むことはなかった。
 なぜならばその日、眠りに付いた者は耳元で虫の羽音がするよりも不愉快な夢を見る事になるのだから‥‥。

 男がいた。年の程は良く分からない。アル=カマル風の衣装に付け髭だろうか、彼本来の姿とは違うのだろう、どうにも胡散臭さだけが際立つ装いだ。
 そんな変な男がり石畳だろうか、だだっ広い場所に一人佇んでいる。大きなかぼちゃの上に体育座わりで佇んでいる。
 自分はそれを眺めている、変な夢。夢だという事はわかる。だって余りに変なのだから。

 暫し、無言。男は何をする風でもなかったが、何かを待っているようにも感じられた。不思議なもので、時間の感覚と言うものは無い様な、あったとしても物凄く緩やかに時が流れているのだろうという具合だ。
 果たしていつになったら動きがあるのだろうと、一体なんでこんな男をずっと見つめ続けなければならないのかとそんな理不尽さに怒りを覚えたりもするが、思う様に動けない。嫌な夢だ。

「この世界は‥‥腐っている‥‥」
 男が小さな声で発した言葉は嘆きであった。小さな声ではあったがその声を妨げるものもない。彼の言葉ははっきりと聞き取れた。
「‥揺れない位がちょうどいいのだ‥」
 そして男は立ち上がる。空を見つめる。その瞳からは強い意志が秘められているような強い視線。
「私は決意した」
 先程よりも確かな声量、張り。その決意が定まったが故か、声に力強さを感じさせる。
 男は両拳を握り、そのまま天に突き立てる。そして彼は決意を叫ぶ。
 力の限り精一杯叫ぶ。
 そんなに大声出さなくても聞こえるよと言いたくなる位大声で叫ぶ。
 つーかうるせえよお前今何時だと思ってんだよという位大声で叫ぶ。

「この世を貧乳で満たす!!」

 それがお前の決意で、大声で叫びたかった事なのかと、何と言う酷い夢だと思うのもつかの間。男からまばゆい光が放たれて、視界は真っ白に。
 そしてその後の記憶が無い。もともと夢だ、その時には鮮明であっても朝目覚めればそのほとんどは何だったかすらわからなくなってしまうもの。
 兎に角内容は良く分からないが変な夢を見たものだと、人々は朝からもやもやした気分で目を覚ますのだった。

●異変
 しかし、夢は夢で終わらなかった。
『何かいつもと違う?』
 不快な夢から目が覚めた不月 彩(iz0157)は、体が軽いというか何か足りないというか、すっきりしたというか平たいというかそんな違和感を感じた。
 そしてその違和感は先程のもやもやが吹き飛ぶ程大きな異変の現われでもあった。
「え?これってどういうことー!?」

 胸が、ない。
 いや、あるがとても謙虚な大きさになっている。

 その異変は彩にのみ生じたものではない。天儀の至る所で貧乳大発生であった。巨乳や豊乳という言葉が幻であったかの様に全ての女が貧乳であった。
 揺れる事もなく、谷間もない。今まであって当然だったものが一夜にして突如消えうせてしまった。
 人々に生きる希望と活力をもたらす存在が消えてしまったのだ。 
 ごく一部については『何も異変が無い』とか『逆に大きくなった』という事もあった様だが世の中を大混乱に陥れた事には違いが無かった。
「何なのよあの夢の男は!」
「絶対に許さない!」
「もうこんな世の中に生きる希望なんて有りはしねえ!」
「あいつは神だ。こんな素晴らしい世界を用意するなんて!」
 世間の話題はこの『貧乳大事件』一色だ。そして女達の怒りは収まる所を知らない。胸を奪われた怒りは当然、犯人と思われるあの夢の男に向けられた。

 中でも鬼のような執念を持った女達は各自の知識や記憶をかき集め、件の男の特定作業に入っていた。
「あの石畳はきっとあの場所だわ」
「あの風景はもしかしたら‥」
 一つ一つは小さく特定するには不可能と思われるわずかな情報であるにも関わらず、不思議と特定作業は順調に進み男の素性が明らかになってくる。
 そして数日後、遂に一つの依頼が張り出されるのだった。

 ──『魔王ラグカミ討伐』依頼──

 魔王ラグカミを退治して、お●ぱいを天儀に取り戻せ!

※このシナリオはパンプキンマジック・シナリオです。オープニングは架空のものであり、DTSの世界観に一切影響を与えません。

 大事な事なので二度言いました。


■参加者一覧
神町・桜(ia0020
10歳・女・巫
志藤 久遠(ia0597
26歳・女・志
アーシャ・エルダー(ib0054
20歳・女・騎
禾室(ib3232
13歳・女・シ
ウィリアム・ハルゼー(ib4087
14歳・男・陰
レティシア(ib4475
13歳・女・吟
龍水仙 凪沙(ib5119
19歳・女・陰
リリアーナ・ピサレット(ib5752
19歳・女・泰


■リプレイ本文

●その門前は
 硬く閉ざされた鉄の扉。自分と他の全ての拒絶を表している様な扉。天儀中の女という女を貧乳にするという大悪事を働きながら、城主はその成果を堪能するでもなくこの城に引きこもっている。
 もちろん『貧乳フェスティバル』を皆の意思に関わらず単独強行という斯様に卑劣で愚劣な犯行をしておいてはただで済むわけはない。
 城主魔王ラグカミは勝手に貧乳にされた女性達の怒りを一身に集めているのである。故にその怒りを避けるために閉じこもっているとすればわからないでもない。
 しかし城にいても彼は安寧が得られるわけではない。すでに今、このラグカミ城の前には怒りの尖兵たる開拓者達が立っているのだ。

「私は良いのですが、困っている方も多いでしょうし」
 何時になく胸元が謙虚な志藤 久遠(ia0597)が言う。本来の体であれば常日頃『さらし』が欠かせず、戦いにおいては邪魔と感じられる事も多々あった。しかし──
「えぇ、あくまでもきっと困っているだろう方々を‥‥」
 そう言いつつも、巻く必要があったかどうか疑問にすら思える平たすぎる胸元を見ると久遠は複雑な気分になる。
「鎧がすかすか!」
 アーシャ・エルダー(ib0054)が嘆く。古の言葉に『運は天にあり。鎧は胸にあり。手柄は足にあり。(後略)』というものがある。つまり胸は鎧なのだ。鎧のセクシーさは胸の部分が肝要だ。
 心の持ち様とかを言いたかった言葉の様な気もするが、今となっては『見栄を張って胸を大きめな鎧にすると怪我をしますよ』という意味に感じられるのは仕方がない事だろう。

 そして何も失っていないように見える者達もまた嘆いていた。
 彼女らはあの夜の前も今も変わらない様に見える。つまりデフォルト貧乳であり、生粋の貧乳であった。ラグカミが手を下さないまでも十分貧乳なのだ。だがしかし、彼女達は大事な物を奪われていた。
「将来ないすばでぃになる予定じゃったのに‥」
 神町・桜(ia0020)が呟く。
「このままではぺったん娘確定ではないか!」
 禾室(ib3232)が憤る。
「ここで貧乳固定されてたまるかー!」
 龍水仙 凪沙(ib5119)が叫ぶ。
 彼女らは未来を失った。いや、未来というよりも希望か。未来は誰にも分からないが故に希望足り得る。
 生物学的にほぼ貧乳というステータスが決定的である様に思えたとしても、『明日こそは』と信じればそれは即ち希望だろう。
「微妙に成長しましたが‥」
 レティシア(ib4475)が自分の胸を確認する。もしかしたら、もしかしたらこれより大きくなる事はないかもしれない。最悪、今が絶頂かもしれないのだ。
 しかし、これで満足するにはあまりに小さい。それにみなが貧乳ではつまらない。彼女達は様々な思惑を抱えつつも、『前向きな未来』に賭けて扉を開くのだった。

●その城中は
「むしろ動きやすいですね」
 胸が小さくなったとはいえ、全ての女がそれに怒り狂っているわけではないらしい。胸元が大人しくなって執事服が似合うリリアーナ・ピサレット(ib5752)は然程体の変化を気にしてはいない。布胸当てが不要で楽なくらいと素肌にシャツを‥ってそれは大丈夫だろうか。
「ボクにも関係ないですしー」
 いかにメイド服を着ていてもウィリアム・ハルゼー(ib4087)のスカートの中には残念ながらアレがナニな感じで潜んでいるので、胸に変化はない。スカートの中のアレにも変化はもちろんない。あってたまるか。
 もっとも今日は擬装用の人工胸をつけていないのでいつもと体型は違うが。

 城の中は意外と普通だ。ただある一定の方向に統一された装飾品等が城主の意向をのぞかせる。
「徹底しとるのぅ‥」
 絵画も貧乳。
 彫像も貧乳。
 禾室が見ている壁に掛かっている格言らしきも『小さくってもいいじゃない、だって人間だもの』とか『私は君たちに、君たちの巨乳を殺せと勧めるのではない。私が勧めるのは貧乳の無邪気さだ』等全くぶれない。
 しかし、普通とはいえこの城に侵入者に対する何の備えがないわけでもない。
「あっ‥」
 久遠の胸元を何かが横切る。前だけではない。後ろからも同じような板が飛び出していた。久遠は板と板に挟まれている様な具合となる。だが挟みこむだけでそのまま何の動きもない。
「何なのでしょう?」
 急に飛び出た板に当たれば痛いだろうが、それだけで殺傷能力には乏しいだろうただの板だ。
 しゃがんでその挟まれた状態を脱した久遠は板に触れてみる。
 途端、その板は動き出す。
「何となくわかりましたー」
 板と板の間が狭まっていく様子を見て、ウィリアムはこの仕掛けがどういったものかを察する。彼ならず他もなーんとなくその罠の目的を察している。
「やはり、変態のようですね」
 冷たい視線をリリアーナが投げかける。触れた途端動き出した板、そしてその板は挟みこみ圧迫する様な動きをしている。
「どこまで胸にこだわりがあるのかわかりませんが」 
 恐らくある程度の胸の大きさがあれば反応し、その反応した胸を押し付けて平たくさせようとするこの罠はまさに変態仕様。くだらないとばかりにリリアーナは板を叩き割るのだった。

●その魔王は
 そして遂に開拓者達は魔王の間の前にたどり着く。
 今までとは違う扉の作り。大きさ、雰囲気、そして『魔王の間』と書かれた手作り感のあるルームプレートがここがラグカミの居場所であると無言で語っていた。
「貴様ぁっ!こんなところで何をしているかっ!」
 ウィリアムが扉を蹴破り中に侵入する。そしてそのままそこに居た男に飛び掛る。
「世界は貴様が望んだ通りの貧乳世界になったというのに引きこもっているとは何事だっ!」
 まくし立てるように喚き散らしながら、蹴りまくる。蹴りまくる。
「魔王許すまじじゃ!」
 桜も加わり殴打の連打。桜だけならある意味ほほえましい風景に見えなくも無い。だが電気あんまはだめだ。それは本当に駄目だ。
「何をするっ!」
「うあっ!」
 見えない力が体を押す。男の急な反撃を避けきれずウィリアムと桜は弾き飛ばされる。ごろごろと転がっていくウィリアムや吹っ飛んでいく桜を気にする事なく男は立ち上がる。
「良く来たな開拓者達よ」
「ラグカミか!どうしてこんな真似を!」
 凪沙が詰め寄る。
「決まっているだろう。貧乳こそ世の真理だからだ」
「話が通じる相手ではない!?」
 貧乳の素晴らしさを語りだしたらハリセンで突っ込んでやろうと思ったが、どうやらそういう次元ではない。ボケが高度すぎて突っ込めない。そもそもボケてるつもりもないかもしれない。相手は相当に手遅れかもしれない。
 しかしどちらにせよここで下手に突っ込めば滑ってしまう。凪沙の額に汗が一滴。
「では何故ここに?外へ出ればいっぱい貧乳が‥」
 真理とかいわれても良く分からないが、ここに居る理由は謎。レティシアはその理由を問いかける。せっかく貧乳だらけにしたのだから、こんな引きこもりみたいな事をする必要もない。
 その問いにラグカミは一瞬躊躇した素振りを見せる。だが、思い直したように彼は口を開く。

「貧乳にしたからって、私がもてるわけではなかった‥‥」

「‥‥」

「‥‥‥」

「‥‥‥‥」

 ‥‥気まずい沈黙が流れた。その間は永遠とも無限とも思えるような長さ。

 誰もが動けない、声を出せないこの緊張感。深い悲しみが猛烈な勢いで激しく、しかし静かに襲い掛かってきた。悲しみが、これ程深いものだとは──
 全員は何かに脅えるように震え、眼を閉じて涙を流し『もしも時が戻せるならば』と願うしかなかった。

●その性癖は
「‥‥それならば元に戻しても構うまい。さっさと元に戻すのじゃ!」
 静寂を禾室が破る。本人も得をしない状態ならわざわざ続ける必要もないだろう。
 だが、ラグカミは首を縦には振らなかった。
「断る。この世界を失うくらいなら私は死を選ぶ」
 貧乳こそが全て。折角為しえた夢を自らの手で捨て去るなど論外。ラグカミはどんな要求であれど貧乳の呪いを解くつもりはなかった。死を選ぶという言葉は冗談ではない。『本気』と書いて『マジ』と読むくらい真剣だ。
「この強情者め!」
「そこまで小さな胸がお好きという事は──」
 禾室の要求が通らなかったのを見て、リリアーナはさらに一つ問いかける。
「貴方は俗に言う『幼児性愛者』なのですか?」

「‥‥」

「‥‥‥」

「‥‥‥‥」

 ‥‥気まずい沈黙が流れた。あまりに直球すぎる質問だ。それにもし彼が仮にそうだとしたら、この場にはたくさんの幼女がいる。実に危険だ。

「貧乳は貧乳でも、ロリに興味はねえ!!」
 ラグカミは叫ぶ。良かった彼はそこまで道を踏み外していなかったらしい。怒気をはらんだその声はその言葉が嘘偽りでない事の証だろう。
 彼は人を強制的に貧乳にしてしまうどうしようもない変態ではあるが、変態にもいろいろとあるのだ。貧乳好きとロリコンをいっしょにされては彼の自尊心をいたく傷つける。
「貴様らの様な子供に用はない!」
「わしを子供じゃと!?許せん!」
 自分達に向かって投げられた『子供』という単語に桜が反応する。今度は桜の自尊心をいたく傷つけられたらしい。
「この小さくなった胸の恨みを受けるがいい!」
 そう言いながら千早を脱ぐ桜。え、脱ぐの?それは色々とまずくない?何はともあれこれをきっかけに本格的な戦いが始るのだった。

●その球は
「槍が通らない?」
「ぐ‥変態の癖に何故にこんなに強いのじゃ‥‥」
 ラグカミは思いのほか強かった。見た目以上の素早さと見た目通りの重厚さで開拓者達の攻撃がどれもこれも決定力に欠ける攻撃となってしまう。
 怪しい髭もあるが、問題はあの腹だ。魔力でも溜め込んでいるのではないかという不思議な腹。今も久遠の槍を跳ね返し、禾室の妙な手裏剣を弾き返す有様だ。
「なんじゃお主のその胸は!」」
「胸の脂肪を消せるくらいなら、ご自分の脂肪をなんとかすればいいじゃないですか〜!」
「‥‥」

「‥‥‥」

「‥‥‥‥」

 ‥‥気まずい沈黙が流れた。アーシャの言うとおり魔法の詳細はわからないにしろ幾人とも知れぬ女の体型を変化させるより、自分一人の体をどうにかする方が簡単であろう。言われた方も『ああそうか』みたいな表情をしている。駄目だこれは。

「ああああ!!!こうなればせめてお前達をぺろぺろして散ってやる!!」
 魔王らしい言葉を吐いたラグカミは四つん這いになり獣の様な姿勢をとる。どう見ても変態です。本当にありがとうございました。
「この豚めっ!」
「うごぉっ!」
 しかし魔王の変態攻撃より『仕置き』の方が早かった。尻に叩き込まれるリリアーナの蹴り。人によってはご褒美だが、ラグカミにはそうでないらしい。
「このヒールのコンセプトは『100人踏んでも大丈夫!』です」
 さらにやたらいい表情をしたレティシアが銀色のハイヒールを輝かせながら微笑んでいる。
「太りすぎて歩けなくなったかこの豚が!」
 その後も続いたウィリアムの言葉は誰よりも辛辣だった。蹴りにヒールに罵詈雑言。それでもラグカミの動きが止まった今が好機だ。

「今こそ女の敵を討つ時です。私達にみんなの恨みを分けてください!」
 アーシャが叫び両手を高く掲げる。
 そして呼び声に次々呼応する女達の声。彼女らも同じ様に手を上げるとその中心に小さな光球が生まれた。
「将来に希望を託していた者達の分じゃ!」
「私の分っ!」
「‥豚め」
 この場にいる者達だけでなく、世界中から力が集まってくるのを感じる。皆がラグカミを恨んでいるのだ。その恨み、計り知れない。
「む〜ねを取り戻〜せ〜」
「大き目の胸当ての在庫を抱えた店主の分!」
 なんか色々混じっているが、球はどんどん大きくなる。
「ボクはそんなに恨みもないんですけどねー」
 ウィリアムも参加はするが、その効果はいまいち。それはまあ自分には関係のない事だし。倒したからといって誰かが巨乳になるわけでもないし。
「覚悟するのじゃ、このヒゲ野郎!」
 腹どころか全身をも優に超える巨大さとなった光球がラグカミを包む。
「貧乳、ばんざーい!!」
 魔王らしい断末魔の叫びとともにラグカミは砕け散る。
「哀れね。大人しくしていれば生き延びられたのに」
 凪沙はそっと呟いた。

●その後は
 魔王の死とともに魔法は解ける。
 それは女達が本来の体を取り戻すという事であり、人によってはあたかも春の訪れとともに凍てついた大地から芽吹くが如き力強い変化であった。
「っ‥!」
 きつく締め付けられた胸が悲鳴を上げている。久遠のお●ぱいの封印が解かれた今、胸躍る展開が待っているはずなんだろ?そうなんだろ?
 引きちぎれるさらし。そして何故か無駄にはだける上着に意味の無いエフェクト。そんな中物理法則を無視して勢い良く揺れるお●ぱい。その瞬間はアップで勿論スローモーションであろう。
「早く解かないと‥」
 と思ったら久遠は柱の影に隠れてしまった。
「鎧がぴったりです!」
 アーシャの鎧も着心地が元通り。しかし、鎧の上からではお●ぱいを確かめようがない。それでもやはり気になるから鎧を脱いで見る。
 むにゅ。ある。ぺたん。ではない。
 むにゅむにゅ。やはりある。
「戻らなかったらどうしようかと‥」
 アーシャは安堵のため息を一つ。

「元に戻ったようですね」
 リリアーナの執事服も胸元の形が大きく変化している。そして彼女は素肌にシャツを着ている。つまりそれはどういうことかというと、そういうことである。
 動けば、揺れる。固定していないのであるから当たり前であろう。
 見れば、透けている。シャツの布地が厚くなければ自然とそうなろう。
 ちなみに具体的に何が揺れて透けているかは想像にお任せするものである。大人の事情である。
「戻りましたねー」
 周りに合わせたのかいつの間にやら偽胸をつけたウィリアム。無駄に大きいその胸が存在感を主張している。
 大きければ良いという事もないが、その柔らかそうな球状のものに男達の目は何故か吸い寄せられてしまうものである。小さくても良いが、皆が貧乳である必要はない。
 それだけでもやはり自分達の行いは間違っていなかったと、ラグカミの行いや信念がいかに偏屈であったかが窺い知れるではないか。

「もう少しあった気がするんじゃが」
「やっぱりわしもそう思うのじゃ」
 大丈夫当社比100%だから。減っても増えてもいないから。
「私達はこれからなのですっ!」
「そうだ!まだ時間はある!」
 確かに君達に未来はあるし、未来を信じるのも自由だ。いつまでも成長期と言い張ったっていい。何となくあんまり成長しなそうな気もするが‥。
「成長したらどうなるか楽しみじゃ」
「十年後にはナイスバディ確定なのよ」
「もう間もなくひんぬー生活から脱却するのです」
「これでわしの将来も安泰じゃ!」
 ああ信じるのは希望だ。自由だ。
 兎に角、開拓者達の活躍により世界に胸と希望が取り戻されたのであった。