【砂輝】腹ぺこすなむし
マスター名:梵八
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 普通
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2011/05/04 21:36



■オープニング本文

●おあしす!
「サンドワーム、ですか?」
 突然の来訪者が提示した名前に、一三成は首を傾げた。
「えぇ、馬鹿みたいに巨大な砂蟲でね。見たことあるかしら」
「僅かですが、報告には聞いています」
「あれがオアシスの周囲に縄張りを作っちゃってね。十匹、二十匹と退治したいのよ」
「‥‥」
 その女性の提案に、三成は、長くて薄いため息を付いた。
「ちょっと数が多くてね」
 女性は、口端を持ち上げて意地悪そうな笑みを浮かべている。黒い肌に白く長い服を纏い、スマートで、それでいて開けた胸元は強調され、何より特徴的であるのは、その細長く尖った耳。
 エルフ。
 アル=カマル人口のほぼ三割を占めるという人々だ。
「‥‥で、どうする? 報酬額は提示した通り支払われるわ」
 氏族からの書簡をトントンと叩く彼女を前に、小さく、解りましたと頷くや、三成の手がすっと取られる。エルフの彼女は、三成の細い掌をきゅっと握り締めた。
「なら契約は成立。私はメリト・ネイト。ご覧の通りベドウィンよ」

●すなむし!
 というわけでサンドワーム退治の依頼が遭都の開拓者ギルドにも張り出されることとなる。
 そもそもサンドワームとはアヤカシではない。砂漠を根城にする全長10〜30mにも達する巨大な蟲でケモノの一種だ。
 だがその巨大さからも想像できるように力は強いし、縄張りに侵入すれば砂ごと丸呑みに強いようとするくらい貪欲な存在だ。
 そして始末が悪いことに下手なアヤカシなんかでは到底相手にならないくらい、強い。下級アヤカシ程度では比較にならない程だ。ここ砂漠においてはアヤカシよりもこのサンドワームに遭う方がよっぽど怖いといっても過言ではない。当然、普通の人間では太刀打ちできないので討伐するのであれば、志体持ちが数人掛りで、ということになる。

 が、そういった情報はまだちゃんと伝わらないのが実情。
「ミミズの大きいのって聞いたけど‥‥」
「目がなくて音で判断するんだって?」
 こういった断片的な情報が集められてまあ、百尺というとんでもない長さの代物が土の中に潜んで襲い掛かるというのだからとにかく危険なケモノという事はわかる程度。
 しかもこのサンドワームの討伐依頼が何個も来ているという。現地の民は何と危険な場所に住んでいるのだろうかと他人事ながら思わずにはいられない。
 本来なら景気良くまとめて討伐して来いと言いたい所だが、さすがに危険というか無謀だろうと言う事もあって個別の討伐依頼に細分化されている。

 そしてこの依頼はごくごく一般的な大きさのサンドワーム一匹を討伐するというきわめてシンプルな依頼だ。サンドワームは縄張り意識が強い。無駄に大きく動き回ったりしなければ他のサンドワームを刺激することもないだろう。まあ縄張りを持たぬ種のサンドワームもいると言うが、それとかちあうのは相当運が悪くなければあり得ないはずだ。
 新世界『アル=カマル』への道は開かれた。いざ、サンドワーム退治へ。


■参加者一覧
鷲尾天斗(ia0371
25歳・男・砂
空(ia1704
33歳・男・砂
雲母(ia6295
20歳・女・陰
マーリカ・メリ(ib3099
23歳・女・魔
愛鈴(ib3564
17歳・女・泰
リィムナ・ピサレット(ib5201
10歳・女・魔
リーゼロッテ・ヴェルト(ib5386
14歳・女・陰
雪刃(ib5814
20歳・女・サ


■リプレイ本文

●さばくはひろい
「はーるばるーきたよーあるーかまるー」
 そう、ここはアル=カマル。愛鈴(ib3564)が歌うくらい遠い異国の地だ。
「何も無いねー!」
 リィムナ・ピサレット(ib5201)が額に手を当てて四方を確認するが、見渡す限り砂。右を見ても左を見ても砂。砂と馬鹿みたいに晴れた青空が、黄土色と青のコントラストだけが延々と広がっている。
「これで日射と砂避けはばっちりです」
 日中の砂漠の日差しは強い。例え天儀育ちであっても楽ではないが、ジルベリア育ちにはより辛い環境だろうか。マーリカ・メリ(ib3099)は眼鏡と重ね着に重ね着で肌を隠して身を守る。
 何にせよ苛酷な環境だ。暑さもさることながら食べれそうなものすら見当たらない。それなのに今回の相手、サンドワームはとんでもない巨体と言う。
「一体何を食べたらそんな大きくなるんだろーね、砂ミミズ」
 愛鈴にはわからない。私にもわからない。兎に角腹をすかせてるんだろうというのは想像に難くない。

●すなむしはおおきい
「いつ‥‥来るのかな‥‥」
 雪刃(ib5814)が見ても砂漠はやはり同じ景色だ。サンドワームが大きいとはいえ、普段は砂の中にいるためどこにいるかわからない。
 見えなければ耳で聞く。空(ia1704)は砂の上で耳を澄ます。見た事のない相手だが、砂の中を進んでやってくるという話は聞いている。なれば目で見るよりも耳で聞いた方が良いだろうと思ったのだが、
「聞き耳なんてたてるもんじゃねえなァ」
 空は頭を痛そうにして地面から耳を離す。そして一寸の間を挟んだ後、こんなに晴れているのにどこかで嵐でも近づいているのだろうか。雷鳴の様な音が聞こえて来る。
「‥‥雷?」
「来るぞ」
 素っ気無い一言を呟いた雲母(ia6295)のサンドワーム退治は今回が初めてではない。何度体験しても慣れぬ種のものかもしれないが、知らぬ相手ではない分余裕も持てる。
 そして大量の砂を巻き上げながら、蟲が顔を出す。巨大な柱が地中より伸びてきたかの様なそれは、砂漠に突如そそり立つオベリスク。

「うぉ!デケーなァ、オイ!?」
 サンドワームを見るのは初めてな鷲尾天斗(ia0371)はその大きさに自分の目を疑う。
 頭一つ大きい等と言うが、この場合頭を何個重ねればいいのだろう。まるで櫓だ。しかも太い。両腕で
抱きかかえたとして手に余るどころではない。まあ天斗の趣味ではないので抱きつく必要もないだろうが。
「大きすぎる敵ってそれだけで厄介よねぇ‥‥」
 リーゼロッテ・ヴェルト(ib5386)がその大きさに呆れたように呟く。
 それが全てでは勿論ないのだが、単純に質量が増加するという点で、大きいという事はそれだけで強いのだ。素手で殴り合いをするとして、技術的なものが同程度と仮定するならば体重が大きい方が有利だ。殴るにしても殴られるにしても体重が重い方に利点がある。
 だが、これは素手の殴り合いなどではない。武器や技術に知恵もあれば、こちらは八人と数も違う。いくら強敵と言えども勝利を得るのは不可能というわけではない。
「だからなんだって話だけど」
 相手が大きいのは確かだが、それを知った上で依頼を受けている。リーゼロッテにとってこんな蟲なんてただの討伐対象でしかない。興味もわかない。
「さて、私の討伐記録を伸ばすとするかねぇ」
 雲母は煙を噴かす。手には白銀のマスケット。砂漠の強い光を目いっぱいに反射してその輝きを誇示していた。

●すなむしはかたい
「ッたく、カテェなコイツはよォ!?」
 天斗が悪態をつくのも仕方ないくらいサンドワームは硬かった。槍で突いても片刃で払っても、『弾かれた』風の手ごたえが多い。中には有効と思えた一撃もあったが、その巨体さが故に貫いて致命傷となる事もない。
「チクチクやるしかねえってのかよ!」
 こっちは小さいダメージを積み重ねるしかできないと言うのに、あっちの一撃はまともに食らえばどうなるか。サンドワームの顎をかわして突いた槍は今回も乾いた感触を手に残す。
「案外何とかなる‥‥のか?」
 空の手裏剣はサンドワームに刺さる。が、全身に対してその傷は余りに小さすぎる。一体いくら手裏剣を放てば良いのかはわからない。それに、毎回上手く当たるとは限らないし、弾かれない保障もない。
「生きてる以上は殺せるんだろうが‥」
 このまま続けていればいつかは動きを止めるのだろうが、その前にこちらが下手を打てば動かなくなるのは逆になる。それにどちらかと言えば、それ程楽観視出来る様な状況とも思えない。

「‥‥押し切れな‥い?」
 雪刃の刀は長い。だが、それでもサンドワームにはまだ短いとさえ思えてしまう。それに力の差は歴然、力比べなど挑むべき存在ではない。
 いくら力で押し切るスタイルとはいえ限度はある。
「‥‥っ!!」
 もはや単なる移動ですら脅威。軽く接触しただけでも対応を誤れば大怪我に繋がりかねない。雪刃は跳ね飛ばされて、砂の中を転がるもまた刀を手に立ち上がる。
 サンドワームの外殻は硬い。それならば外殻の無い部分を狙おうというのは理解できる。柔らかい部分があるのなら、敢えて硬い部分に攻撃をする必要もない。
 外殻の無い所として考えれば、体の中か。体内ならば必要以上の強度である事もないだろう。少なくとも外の表皮よりは柔らかいはずだ。そしてサンドワームは自分達からすれば大きすぎるくらい口を開いている。
「蟲如きにやる命などないな」
 あの口に銃弾を叩き込めばあるいは致命傷というのもあるかもしれないが、銃弾を曲げれるのでなければ真正面から向き合って打ち込む覚悟がいる。勿論仕留め損ねればただでは済まない。
 そんな博打は馬鹿げたものと雲母はサンドワームの側面に回って銃を構える。
「貴様は的にしては大きすぎるな」
 砂漠の中、乾いた音が響いた。
 
●すなむしはすなをはく
 サンドワームが手強いと言うことはわかっていた。そうわかっていて無策で挑む程開拓者達は無謀ではなかった。今から少し前、二人の魔術師達はそそくさと動き回っていた。
「これでどうかしら?」
「こっちもできたよー!」
 リーゼロッテの鉄の壁とリィムナの石の壁。さながらモノリスの様に並ぶそれらはサンドワームの攻撃を防ぐため。さらに言うならば爆砂砲の直撃を避けるための防壁。
 遭遇する前に用意したとしても消えることの無いこの魔法の壁は今回の様な戦いにはうってつけだろう。
「それにしてもあっついわねーここ」
 戦うよりも前に暑さでまいりそうだとリーゼロッテは水を飲む。
「あとはアレ、かなー」
 リィムナはまだ何か他に準備があるらしく荷物をあさっていた。

 そして時間を元に戻す。そこにはゆだる様な暑さの中、砂漠を駆け回る愛鈴の姿があった。
「へいへい、そこの砂ミミズ。お前の‥‥キター!!」
 サンドワームの視力は弱いが、耳は良い。もちろん愛鈴が何を言っているのかは理解できないが、獲物がそこにいるという風には判断をする。
 なのでサンドワームの注意は愛鈴にいく事となる。わざわざ大きな音や声を出しているのは仲間の支援をするため。しかしその分危険は多い。
「そ、その変な唾液、私に向かって打たないでよ!絶対だよ!!」
 鎌首をもたげて爆砂砲の仕草をとるサンドワームにそんな言葉の意味は通じない。
 竜巻かの様な一撃をてんでの所でかわすのが精一杯だ。
「あああっ。尻尾にかかったー!」
「気をつけてくださいね!」
 マーリカも音を出して気を引き付けるようにしていたが、正面にだけは立たない様に立ち回っていた。また、爆砂砲の後に鍋のふたで足場を作る気配りも。
「足をとられるかもしれませんからね」
 砂漠を埋め尽くすほど、万商店は鍋のふたをくれないが(むしろいらない)、ピンポイントで足場にする程度なら何枚かあるだけでいい。
「穴があるってのも面倒臭ェ」
 うっかりサンドワームが掘り起こした穴に嵌れば何処まで落ちるか、あるいは埋もれてしまうか。細かく動く必要があるのに足場にも気をつければ大事となる。
「‥‥飲み込まれるわけにもいかない‥‥」
 もちろんサンドワームに丸呑みでもされようものなら命はあるまい。動き一つにも気を緩める事が出来ない厳しい戦いだ。
 
「来るわよ!!」
 サンドワームは空気を吸い込み、爆砂砲の準備と思しき動きを取っている。リーゼロッテは皆に警戒を呼びかけるが、中には退避ではなく抵抗を試みる者達がいた。
「やってみっかァ?」
「逸らす位ならできるかも!」
 ただ逃げ回るだけではなく、爆砂砲をどうにかできないものか。空とマーリカは何か一矢報いようと、構えてその時を待つ。
「本気!?」
 真正面に立って待っているわけではないが、爆砂砲の範囲は狭くない。近くにいるだけでも危険だし、その勢いは既に数発見た感じではどうにかなるような代物ではない雰囲気であったが‥。
「ここですね!」
 吐き出された瞬間を狙ってマーリカがウインドカッターを放つ。風の刃は小さな竜巻に吸い込まれ、多少の減衰はあっても止まらない。
「焼け石に水かっ!」
 砂漠でも水の柱が出るのは不思議なものだが、やはりそれは有効な攻撃足りえない。せめて逸らしたり向きを変えさせたりする事が出来ればと思うが、サンドワームはあまりに頑強すぎるのだった。

●すなむしをほふる
 荒縄に括り付けられた鈴が鳴る。荒縄は鈴とは逆の端をリィムナが握っていて、他の者は息を殺してその様子を窺っている。そのため、砂漠の中で不自然に鈴の音だけが響いていた。
 しかしその不自然さをサンドワームは疑わない。サンドワームは鈴の鳴る方目掛けて迷わず進む。
「ゲット!!」
 リィムナの声とともに、砂漠に吹雪の柱が現れる。フロストマインだけでは直接的なダメージは然程無い。だが、それよりも動きを止めるという事の方が大きい。地中に潜らなくなるだけでも大きく違う。
「大人しくしてくださいね!」
 砂の中から無数の蔦が伸びてサンドワームを絡めとる。マーリカの魔法の蔦は長くは持たないし、完全に押さえ込んだわけではないが、動きを封じた今はまさに好機。この機会を逃す手はない。開拓者達は一気呵成に畳み込まんとサンドワームに向かって仕掛けて行く。
「もゥいい加減静かになれや、ゴラァ!!」
 雷の力を帯びた穂先を叩き込む。天斗の苛立ちを込めた一撃は、今までとは違った手ごたえを感じさせる。
並みのアヤカシ程度なら充分な一撃。流石に即死というわけにはいかないし、今までの攻撃の積み重ねもあるのだが、今日一番の有効打は大きかった。
「これで、どうよ!」
 愛鈴もこの好機に攻撃を叩き込む。『暗勁掌』、達人ともなれば人に西瓜を持たせて立たせ西瓜を殴り、人のみにダメージを与えることも出来る。当然、サンドワームの外殻を通して内側へ衝撃を通すというのは無理な話ではない。外殻に傷は無くとも一発、二発と打てばサンドワームの体内に衝撃は響く。

「そろそろ終わりだよっ!!」
 閃光が、雷撃がサンドワームの体を貫く。筋肉がびくんびくんと痙攣する様な動きを見せる。そしてまだ電撃は終わらない。リィムナに続いてリーゼロッテが放つアークブラストはサンドワームに休息を与えない。
「まだ足りないの?よく味わいなさい♪」
 肉を焦がした匂いが辺りに広がる。しかし、そんな状態であってもまだ動きを止めぬサンドワームの体力は底が知れない。
 体全体が同じような形状の上、その長さも長大そのもので尚且つ動き回るは地中に潜るわという難条件の中で一点を狙い続ける、しかも銃弾という小さなもので。というのはいくら腕が立とうが無理だ。
 だが、一箇所に留まってその動きも鈍くなったとすれば──無理ではない。
「これで三匹目か」
 撃つ。瞬時に装填する。撃つ。無駄を省いた動きは繰り返し同じ映像を見せられている様な錯覚を受ける。
 そして次に雲母が反動で大きく揺れ動くという今までと違う動きを見せた時、サンドワームの体が大きく爆ぜた。
「ッたく面倒臭ェな。蟲の分際でっ」
 倒れてきたサンドワームの頭部と思しき場所に短剣を突き刺す。有効な部位がどこかなんかわかりはしないし、狙っていたわけではないが、そこに頭部があればそこに攻撃を仕掛けるのは自然な流れだ。
 体の大きさから言えば短剣に刺されるなんて爪楊枝程度のものだろう。だが、その針は精霊力を帯びて見た目以上のダメージをサンドワームに与えていく。
「どれだけ巨大でも‥‥」
 やる事は唯一つ。剣を振るうだけ。力の続く限り全力で一太刀を入れる事だけ。
 いくら無謀や危険と言われても雪刃のやり方は変わらない。必要な回避はするが、基本的には攻めの一手、自分が倒れる前に相手を倒せばいい。示現流、二之太刀要らず『雲耀 』。それはまさに彼女の生き様そのものだ。
「‥‥ケモノなら、‥‥いつかは‥倒れる‥」
 雪刃は息を切らしながら、刀を鞘に戻す。

●すなむしはしんだ
 サンドワームは大きく横たわっている。動かずとも十分に存在感があるが、いずれは砂漠の砂となるのだろうか。
「なんとか倒せたけど‥コレ、食べられるのかなあ」
「食べれたり、何かに使えないんですかね?」
 大きいし硬いしアヤカシみたいに死んでも消えないし。気になるのは当たり前か。
 愛鈴は、こんがりと上手に焼けている箇所を見るが余り食欲はそそらない。本能的にそう感じるのならきっと食べない方がいいのだろう。実のところすごく不味いらしく、食べられなくはないがかなりキワモノの域との事。
 マーリカが言うように硬い外殻も何かに使えればいいのだが、どう使っているかは現地の者にでも尋ねなければわからない。ただ剥ぎ取って持ち帰れとは一言もいわれなかったから、さして貴重な物でもないのかもしれない。それにいちいち解体するのも手間がかかりそうだ。この暑さの中そんな苦労は気が引ける。

 一方過酷な砂漠に正直な感想を漏らす二名。
「アル=カマルって言う所は信じられネー所だなァ」
「暑いしあんなのは普通にいるし、私絶対こんなとこで暮らしたくないわ」
 この依頼で訪れたのはアル=カマルの極々一部でしかないわけだが、天儀の人間にもジルベリアの人間にもどうも不評だった様だ。天斗やリーゼロッテでなくても、ここに残りたいとか永住したいと口にする者はいない。
 だが、砂漠の民はどんな快適な場所に住もうが時折砂漠へ出たいという要求に駆られるものらしい。これはもう血の違いとしか言いようが無い。積み重ねてきた歴史の違いは人間性や思考の乖離をもたらした。
 今回の依頼一連にはそういった溝を少しずつでも埋めていくといった意味合いも強い。今はまだ互いに違和感を覚えることもあるかもしれないが、そんな違和感もいずれ薄れていくのだろう。風がまた砂漠の砂をどこかへ運んでいった。