ウサ耳フェイク
マスター名:梵八
シナリオ形態: ショート
EX
難易度: 普通
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2011/01/31 17:24



■オープニング本文

●泥人形
 似合う似合わないは別として人には着飾る自由がある。
 この服は若くないからと遠慮するのも自由だが、気合で乗り切るもの自由だ。
 さらに言えば性別だって気にしなくてもいい。もしそれを望むのであればの話だが。
 だがアヤカシ、てめーはダメだ。

「本当に困っているんです」
 若い女が開拓者ギルドを訪れている。
 小振りな体に長い黒髪。そして何より目立つのは、ぴょこんと飛び出すウサギの耳。
 そう、彼女は兎の神威人である。
「泥人形がねえ」
 正月ボケがまだ抜ききれないか、不月 彩(フヅキ アヤ)のやる気はない。まあ、平常運転か。
「そうです。その泥人形を退治して欲しいのです」

 泥人形。泥で体を構成された人型のアヤカシである。
 言葉こそ喋りはしないが、知能が低いわけではなく簡単な道具を手に取って使うくらいはできる。
 知能といってもその程度だと思っていた。せいぜい棍棒を振り回すくらいだと。使用用途の難しい物なんかは到底扱えるとは誰も思っていなかった。
「まさかあんな事をするなんて‥‥」
 だが、予想は覆される。泥人形の知性は意外と高いようなのだ。

●噂
 今年は兎年。自然と兎の神威人には注目が集まるもので、
「あの耳って可愛いよね」
 と年頃の娘達の間で話題になり、それを耳にした商人がこれは商機とウサギ耳を模した頭飾りを作成、したまでは良かったのだが、その輸送中に泥人形の襲撃を受けてしまった。
 輸送にあたっていた者は何とか逃げ切る事が出来たのだが、残念ながら輸送中の商品はその場に置いておかざるを得なかった。
 そしてどう閃いたのかこれはもう謎としかいうしかないのだが、泥人形達はこぞってその頭飾りをつけて襲撃する様になったという。
 それどころか、何やら誘惑するようなポーズで迫ってきたりする様になってきたというのだから謎は深い。
 ただ泥人形は足は遅いから下手に見とれていなければ逃げる事も難しくない。したがって被害者は多くないのだろうが、目撃者は割りと増えているようだ。
「それもまた困るんです‥‥」
 風評被害だ。
 せっかく商品を開発したのにも関わらず、その頭飾りは『アヤカシのつけていたアレ』とか呼ばれ出しているらしい。
 それどころか、『ウサギはお盛んだから、あんな事をするようになったんだ』とか兎の神威人にまで影響が及んでいる。
 つまり商人であり、兎の神威人である彼女にとっては本当に頭の痛い問題らしい。
 というわけで、早々にこいつらを片付けたいということである。
「んーまあ大変ですねえ」
 彩はそう言いながら、壁に掲示する依頼書を記しはじめた。
 求む泥人形を退治できる方。


■参加者一覧
志藤 久遠(ia0597
26歳・女・志
銀雨(ia2691
20歳・女・泰
綺咲・桜狐(ib3118
16歳・女・陰
プレシア・ベルティーニ(ib3541
18歳・女・陰
愛鈴(ib3564
17歳・女・泰
カメリア(ib5405
31歳・女・砲
郭 雪華(ib5506
20歳・女・砲
ジナイーダ・クルトィフ(ib5753
22歳・女・魔


■リプレイ本文

●兎おいしいあの道
「兎さん、可愛い、ですよねぇ♪」
 カメリア(ib5405)が歌う様に呟いて、郭 雪華(ib5506)がクールに返す。
「合法的なウサギ狩りが出来るってことだね‥」
「えっ!?」
 確かにうさぎは可愛い。そしてまたその長い耳も可愛い。上にピンと伸びたのも、垂れ下がっているのもまた可愛い。
 さらにはその耳を模した頭飾りも可愛い。それを可愛い娘がつければさらにまた可愛い。
 可愛い可愛いとうるさいが可愛い。可愛いは正義である。異論は認める。
 でも、それをアヤカシが身に着けていたら‥‥?
 しかも形が人に似ているとはいえ、その素材は泥。それなのにウサ耳。
 ウサ耳と泥人形の不可解なるこのコラボレーション。
「体がでろでろなのは、うぅん‥‥」
 可愛いというよりは、怖い。キモ可愛いというかなんというか、あまり可愛くもない。
「あまりウサギっぽくもないかな‥‥」
 そしてやっぱりウサギらしさもない。せめて人型でなくうさぎ型ならまだ救いもあったろうが。
「着飾る趣味も、知恵も必要とは思いませんが‥‥」
 志藤 久遠(ia0597)はふと考える。
 そう、強奪したウサ耳を身につけるこのアヤカシ達の行いには意味も必要性も感じられないのだ。
「あるいはもっと大きな意図‥‥。裏で手を引く者が‥‥?」
 神威人達を苦しめるとか、経済活動への阻害とかを狙った大きな陰謀があるのではないかと。
 だがそんな陰謀はない。きっとないはずだ。
 アヤカシがおかしな行為をしたとしても、奴らの考える事は必ずしもわからなくても良いのだ。アヤカシはわけがわからないからアヤカシなのだ。
「ちょっとばかり、カチンと来るわね」
 ウサ耳着用のわけがわからないのもそうだが、ジナイーダ・クルトィフ(ib5753)は別の原因で苛立っていた。
 ウサ耳、つまるところの獣耳カチューシャは我が国発祥の物であるはず。それが元で悩み苦しむ人がいるというのは、自分が原因ではないとはいえいささか心が痛む。
 それにジナイーダと対峙している泥人形は泥の癖にむやみやたらと胸がでかい。
 まあ胸が大きいだけで目も口もない様な土くれの化け物ではあるのだが、向こうは多分『勝った』なんて思っているに違いない。まるで胸が重くて仕方ないとかそんなジェスチャーをしているような気が、する。
「どこまで意味わかってるんですかね〜?」
「‥‥わからない‥‥」
 二人の会話が耳に入る。──やっぱりあれは私の向けた挑発か。
「‥‥あいつは私が殺る」
 ジナイーダの相手は決まった。あの、ムカツク白いのだ。
「それじゃ‥‥ウサギ狩りを始めようか‥‥」
 雪華はそういって銃を手に取った。

●肉体競演
「わっ、本当にうさ耳付けてるよ〜。変なの〜」
 率直すぎる感想をプレシア・ベルティーニ(ib3541)が漏らす。
「はいはーい、キミの相手は私かな。ひとつよろしくー」
 一方そういって橙のウサ耳をつけた泥人形に律儀に挨拶をするのは愛鈴(ib3564)。そんな愛鈴に応じるかのようにその泥人形は、両腕を頭の後ろに組んで身をよじる。
「む〜っ、可愛いポーズまでするの〜!?」
 同じく黄色の耳をつけた泥人形までも両腕を胸に寄せて強調する。その泥人形の胸は程よく大きい。だが、プレシアの胸はもっと大きいのだ!!
「ボクの方が絶対に上手く出来るもんね〜!」
 と対抗心を燃やしたプレシアが自信満々に泥人形と同じポーズをとる。
 その結果、露出が少なくともその大きさがわかるくらいのそれが両腕で挟み込まれその圧力で、その‥‥。
 その上、前かがみになって強調することで、その‥‥。
 兎に角、大変見所のある状態なのだ。
「やるわねっ」
 その良くわからない勝負に愛鈴までも加わって泥人形二体と神威人のセクシー合戦の幕がきって落とされた。
「これでどうっ!?」
 愛鈴は服をちょっとずらした上、胸元に手を妖しく置いて、挑発的な視線を送る。
 残念なのはその相手が泥人形であって、どうっていわれてもどうしようもない所だ。
「「‥‥‥」」
 微妙な緊張感が入り混じった中、四者はただひたすらに各々のポーズを誇示し続ける。例え冷たい風が吹こうともその意思は揺らぐ事がない。
 それは女の意地、というものだろうか。迂闊には引き下がれない、そんな空気が広がっていた。
「「‥‥‥‥‥」」
 沈黙が続く。よく考えれば判断基準が不明だし、判断する立場の者もいない。
 そもそもアヤカシである泥人形に女の意地なんてあるだろうか。
「‥‥これでは勝負がつかないようだねっ!」
 そう、このまま続けていても勝負がつかない。愛鈴は気を取り直して身構える。

「よっしゃ、あいつに決めたァッ!」
 銀雨(ia2691)は一番大きな固体に狙いをつける。桃色の耳をつけたそれはなんともふくよかな体つきで、そんなのがくねくねとポーズをとるのだから、『しょーじき、ピンとこねぇ』ということになる。
 ただでさえマニアックな嗜好の持ち主でなければ食指も動かぬ様な体型なのに、泥人形とあっては‥‥。
 今まででこいつらの痴態に悦びを感じた者などいたのだろうかと思わざるを得ない。
「スマートにしてやるよッ!」
 銀雨は泥人形に駆け寄って大きく腕を振るう。拳が触れた部分から、泥が弾けちって地面を汚す。
 飛び散る泥は銀雨をも泥まみれにしていくが、銀雨はそんな事には構わず激しく動き回る。
「こっちに泥飛ばさないでよー!」
「あぁ、悪ィ」
 抗議の声を背中に受けながら、引き続き銀雨は泥を撒き散らすのだった。

●ぬるぬるフェスティバル
「ウサギ狩りとは言ったけど‥‥ウサギにしては的が大きい‥‥」
「泥に銃ってどれくらい効くですかねぇ‥‥」
 雪華とカメリアの砲術士二人は久遠の後ろから銃を構えていた。だが、響く銃声は常に一つ。二つの銃声が重なり合うことはない。二人は交互に銃を撃つ。
 雪華が銃を撃つ時は、カメリアが装填作業を行っていて、カメリアが撃つ時には雪華が次の射撃に備えているのだ。
 さらにはジナイーダがホーリアローをアヤカシに放つ事で、壁役となっている久遠に攻撃が集中しないようにしているのだ。
「泥人形のクセに!」
 ジナイーダの怒りは未だ収まらない。聖なる矢は乙女の怒りを乗せて、泥人形の胸を穿つべし解き放たれる。ふくらみを削ってしまえと唸りを上げる。
「砲術士の力、見せていただくことにしましょうか」
 単調ともいえる泥人形の攻撃を久遠は簡単に捌いていく、多少数はいるものの防御に注力している状態ならば特に問題になるような事もない。
 ここで食い止めていさえすれば、後ろにいる仲間達の攻撃が止む事もない。そしてその質と量からいって持久戦となる事もあるまい。回復手こそいないが、攻撃力には十分な面々だ。
「どろどろですね〜」
「行かせはしない‥‥‥」
「こんな衣装にも興味あるかしら?」
「「え!?」」
 ジナイーダが掲げた紐ショーツ。妙齢の乙女が日中堂々と(今は他に人はいないが)往来で見せびらかすにはどうにも不釣合いな紐ショーツ。
 泥人形は興味があるのかないのかちょっと判断しかねるが、なんだか動揺している様にも見える。頭部以外に何も身につけていないという自分を恥じるなんて事はないはずだが。
 でも、もし、いろいろとせくしーな装いを泥人形がするとしたら‥‥。
「久遠!前!!」
 そんな馬鹿げた考えから意識を呼び戻すジナイーダの声がする。だが、時すでに遅し久遠の目の前には泥人形の腕が迫っているのだった。

「迂闊‥‥!」
 絡みつく泥人形の体。ぬるぬるが、ぬめぬめで、ぬちょぬちょである。
 柔軟な体つきを持った泥人形は人なら有り得ぬ方向に手も曲がるし、伸ばすことだって出来る。縦横無尽に伸びるその腕は久遠を縛り付けていた。
 幸いにもこの依頼は女性開拓者だけであるから、いかにぬるぬるフェスティバルになろうともその光景を閲覧するという幸せを享受できる男はいない。
 とはいえ男が見ていないだけで、泥人形に抱きつかれた久遠さんは実にぬるぬるである。
「は、破廉恥なっ‥‥!」
 無論、アヤカシにそういう意図があっての事ではない。
 そして、そのぬるぬるフェスティバルを延々と開催させるつもりは久遠にも仲間にもない。
「久遠さんに当たらないように、よく、狙わないと‥!」
「やらせはしない‥。今度は、僕が守る‥‥!」
 砲術士達は通常の装填行為と違う、緊急対応用の装填がある。そして今まさに緊急時の早業で装填が完了し、銃声が二つ重なった。
「いい加減に離れなさい!」
 助勢を得た久遠は一気に泥人形を振りほどく。泥人形の正体は瘴気と泥の混ぜ物なのか、引き剥がした後もまだ泥の感覚が残って気持ち悪い。
「体勢を整えましょう!」
 ジナイーダが叫びつつ、冷気の霧を展開する。いまや久遠に纏わりついていた以外の泥人形はこちらへかなり近づいてきていて、このままではぬるぬるフェスティバルが大盛況となってしまう。
 ここで無理をする必要はない。四人は一旦、後ろへ下がる事にした。

●ぬるぬるフェスティバル2
 そしてもう一方もまた、ぬるぬるであった。
「くそッ離せッ‥」
 銀雨の腕をしっかりと挟みこんだ泥人形。それもまた胸の谷間という微妙な場所に挟むのだから性質が悪い。
 もがけばもがくほど腕が中へ吸い込まれているようで、思うように抜け出せない。
「ふんふん‥タンタタンって感じかな。よっし、じゃあ行くよっ」
 と暫く泥人形の様子を見ていた愛鈴も飛び出した後、軽快に泥人形の攻撃をかわしつつカウンターを決めていた。
 だがそこまでは良かったものの、腹部へ強めの一撃を撃ち込んだ時、愛鈴に悲劇は起きる。
「‥‥げ。ちょ、無し!今の無しー!」
 腹にめり込んだ拳を泥人形が離さない。
 それはつまり、ぬるぬるフェスティバルの開催である。熱い抱擁とでも言うべきだろうか、しかし今までの人生でこれ程気持ちの悪い抱擁があっただろうか。
 ぬるぬるした腕は愛鈴の背中に回って強く強く抱きしめるように締め付け、同じぬるぬるした足は銀雨にぐるぐると蛇の様に絡みつく。
「うわ〜二人ともぬるぬるで楽しそうだね〜」
「「えっ!?」」
 その言葉はどこまで冗談かわからないが、プレシアもわわっと声を出しながら攻撃を避けている。
 だが、やっぱりそんなぬるぬるを楽しめる猛者はなかなかいないわけで、二人はそれぞれ脱出の方法を模索していた。
「離さねえならァ!こうだッ!!」
 しっかりとはさまれた腕。それは発想を変えれば安定した支点ともなりうる。銀雨の脚が大地を蹴り、もう片方の脚が遠心力を伴って泥人形の脇を襲う。そしてそんな攻撃には耐えられないと大きく欠ける泥人形の体。
「とっとと離しておけば、こんな事にはならなかったのになァ」
 と一息つけば、愛鈴はまだ泥人形と格闘中だ。
「よぉ、手伝うかァ?」
 あまり気持ちの感じられない応援に、愛鈴は持ってきていた水筒を取り出して中身を泥人形にぶちまける。
 そして気合を込めて飛び上がり、両足をあわせて泥人形に蹴りつける。
「いい加減に離せー!!」
 反動ですぽーんと腕が抜けた愛鈴は、くるっと回って着地する。
「おー」
 とそれを見ていたプレシアが拍手をしている。どうやら余裕があるようだ。今度はしゅばっと言いながら避けている。
 しかし綺麗に着地出来たにも関わらず、愛鈴の気は晴れない。
「うえー‥‥泥だらけ‥これじゃドブネズミ‥‥」

●ぬるぬるフェスティバルの終焉
 普通に考えれば、問題になるような相手ではなかったのだ。
「うぉらぁッ!」
 威勢のいい掛け声とともに銀雨の踵が泥人形の頭部を叩き割る。それでもなお動きを見せる敵に対して銀雨は拳に気を集中させる。
 そして、赤く輝く拳で泥人形の体を貫いた時、遂に泥人形は人の形を保つことも出来ず崩れ去るのだった。
「さぁて、他の連中は、っと」
 と見れば他も苦戦をしているという感じではなさそうだ。
「いっっくよぉぉっ!プレシアぁた〜っく!」
 という大声とともに放たれるは霊魂砲。わざわざ射撃のポーズをする必要があるかどうかは不明だ。どうやら彼女的には大筒をイメージしているらしい。さしずめプレシア砲といったところか。

「‥‥あとは殲滅するだけ‥」
 数を減らしても雪華の行動は変わらない。ただひたすらにカメリアと交互に標的を撃ち続けるのだ。
「あと一息ですね〜」
 疲れも出てきたが、終わりは近い。この継続が勝利への近道と、カメリアは冷静に弾を込める。
 そして引き続き交互に鳴り響く銃声。それは今度こそ戦いが終わるまで途切れることはなかった。

「所詮は泥ね」
 ジナイーダは白いウサ耳をつけた泥人形に向かって言い放つ。それも思いっきり見下した風である。
 あわれ、その泥人形の胸はえぐりにえぐれ、バストサイズは計測不能という有様だ。いかに貧乳好きとてノーサンキューかもしれず、かつてジナイーダに見せ付けたその名残はもうどこにもありはしない。
「さようなら」
 閃光とともに雷鳴が轟く。こうして最後の一体も瘴気へと返っていくのだった。

●残った泥とウサ耳と
「‥‥今日は皆さんお洋服のお洗濯が大変そう、ですねぇ‥‥」
 後ろの方にいたカメリアでも泥汚れが免れたわけではない。戦いをすれば汚れたりするのは当たり前だが、今回ばかりはいつもよりも酷い。
 前で直接殴り合っていた銀雨や愛鈴などにいたっては泥まみれという言葉ですら生温い。
「かなり汚れちまったからなァ」
「あーあ‥‥帰ったら真っ先に洗濯と銭湯に行かないと」
 さてはとりあえずは洗濯と、風呂が必要だ。だが、お風呂は未だ遠い。実に残念な事にこの場にはないのだ。

 泥人形は姿を消して、地面に残るはウサ耳達。久遠はそっと青いウサ耳を手に取る。
「少しくらい、つけても‥‥」
 返す前に一回くらい、ちょっとだけならという思いがよぎる。
「ふふふ、うっさぎー」
 愛鈴も既にウサ耳をつけて楽しそうにはしゃいでいる。そうだ、自分ひとりがつけるということでもない。
 『ちょっとだけ、ちょっとだけ‥‥』と念じながら久遠は頭にそっと青い耳を載せる。
「ふふっ、やっぱり、うさみみは神威人さんか、人間が一番似合うのですよ♪」
 その様子を見ていたカメリアが声をかける。
「あっ、これ付けたら〜、アヤカシみたいにポーズ取らないとだめになっちゃったりしてね〜」
 そんな事を言いながら、プレシアが振り回していた耳をはめる。
「「えっ!?」」
「こんな感じで〜」
 プレシアは右手を後ろに回し、左手を腰にあて、胸を強調するようなポーズをとる。
 それを見た愛鈴も負けじと地面に手をついて、
「女豹のポーズ!なんちゃってー」
 となれば残された後一人はどうするか?視線は自然と久遠に集まっていく。
「わ、私にはそんな事できません!!」
 顔を赤くした久遠は慌ててウサ耳を頭から取り外すのだった。