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■オープニング本文 ※このシナリオはパンプキンマジック・シナリオです。オープニングは架空のものであり、DTSの世界観に一切影響を与えません。 ●帝国 その情報にふれたとき、人口200億からなる恒星間国家が震撼した。 「母星系に通じる跳躍装置か。確証は‥‥いや、詮無きことを聞いた。下がって良い」 帝国の頂点に位置する老婆は、最も信頼する部下を表情だけで労い下がらせる。 「陛下、常設艦隊を差し向けましょう。母星系がどうなっているにせよ、少なくともこちら側の主導権を握っておかねば万一の際に対処が間に合いませぬ」 「何を言うか! 跳躍装置、いやさゲートは共和国とその属国の向こう側にある。戦争を避けるために大回りさせれば、補給物資だけで今期の予算が吹き飛ぶぞ」 それぞれ巨大国家の軍事と内政を司る男達がにらみ合う。 「軍としては共和国への侵攻が妥当と考える」 「正気かお前は! 勝てはするだろうが占領地の重みに耐えかね帝国が自壊するわ!」 「跳躍装置が作動すれば現行の超光速機関は使えなくなる。帝国は、いや、人類は光速機関抜きで今の文明を維持できんのだ」 どちらも巨大な派閥のトップであるが故に深刻な対立を徹底して避けてきた2人がぶつかり合うのには理由がある。 500年前までは跳躍装置を通じてオリオン腕にある母星系から超光速機関を法外な高値で購入していたのだが、跳躍装置が突然停止してしまい、その後超光速機関が壊れるごとに星系間の交流は廃れていった。 高度な文明を維持するために必要な人口は膨大であり、単一星系のみでは社会基盤の維持すら覚束ない。 200年前、現在の帝室の祖である科学者が超光速機関の再現に成功した頃には、この領域の人口は最盛期の10分の1近くまで減少してしまっていた。 そして、現行の超光速機関には致命的な欠点が存在する。 稼働中の跳躍装置の周辺数百光年では誤動作が多発して使い物にならないのだ。 「共和国がゲートを発見すれば即座に開こうとするだろう。ゲートの向こう側には楽園が存在し、自らがその一員として迎えられると確信してな」 吐き捨てるような口調とは逆に、軍の責任者は沈痛な表情を浮かべていた。 「母星系が文明を維持できているかどうか、維持できていてもこちらを人間として扱うかどうかも分からんとはいえ‥‥共和国ならそうなるな」 内政の責任者も同意する。 共和国には母星系を絶対視する宗教が存在し、国民の大多数がそれに帰依している。 その宗教そのものは比較的穏健だが、母星系に通じる転移装置に関しては妥協は望めない。 無論、共和国の中にも聖職者の中にも、転移装置を作動させる危険性に気づいている者は存在する。 だが彼等は少数派でしかなく、共和国の方針は変えられない。 「軍務卿の進言を容れ、全軍の指揮権を預けます。起動するより先に跳躍装置を確保し、それが叶わぬ場合は跳躍装置のある衛星ごと破壊しなさい。内務卿には、超光速機関が使えなくなった際の文明の退行を最低限に抑えられるよう処置を頼みます」 「は」 「ははっ」 半世紀近くの治世を平和の維持に捧げてきた女帝の命により、帝国はその総力をあげて侵略戦争を開始した。 ●共和国 その日、共和国の全市民の代表が集う国会は混乱の渦中にあった。 国会が開かれると同時に届いたのは建国以来最高の吉報だった。 数百年探し求めていた母星系へ通じる扉が発見されたというのだ。 扉を開けるための人材を、国内のどの勢力が出すか揉め始めはしたものの、国会には明るい雰囲気が溢れていた。 しかしそれから数分後、最悪の凶報が舞い込んできた。 半世紀にわたり対外進出を行わなかった隣国が、空前の規模で侵攻を開始したのだ。 超光速機関を除く全ての技術分野で隣国に対し優位に立つとはいえ、景気対策費と研究費捻出のため軽軍備路線でやってきた共和国にはその侵攻を食い止める術は無い。 数日間の混乱の末にようやく徹底抗戦の方針が決まったときには、帝国軍は戦力の損耗と引き替えに跳躍装置がある星系の間近まで迫っていた。 国会は正規軍全軍に加え、戦力になりそうなもの全てを侵略者との戦いに投入することを決定する。 徴収された戦力の中には、実戦証明どころか試運転さえされていな試作兵器が大量に含まれており、その中には人型巨大兵器やら生身で宇宙を走ることを可能とする装備まであった。 ●俺達海賊 「つまりだな、あの遺跡には500年前のお宝が眠っているのよ」 飾り立てられた船長室で、眼帯をつけた男は一瓶が共和国市民の平均年収もする酒を瓶ごとあおっていた。 「500年間稼働してきた遮蔽装置が壊れたことで、アミューズメントパークから超兵器が山と積まれた軍港まで丸裸になったって訳だ。昨日までは共和国の国境警備隊の小型船が1隻駐留していたが、帝国のおんぼろ艦隊と戦うために引き抜かれた。最高の好機って奴よ」 空になった瓶が投げ捨てられ、樹齢千年を超える巨木から削り出された調度品にぶつかり粉々になる。 煌めく硝子片は、人工重力に導かれ真紅の絨毯を美しく彩った。 「跳躍装置に鍵がかかっている他は警備も無し、生存者も無しって話だ。時間制限は帝国か共和国が遺跡のある衛星を占拠するか、衛星を包囲するするまで。早い者勝ちの宝探しの始まりだぜぇ!」 海賊だけでなく、共和国帝国を問わず目端の利く船長達は、一斉に遺跡のある無人星系を目指す。 共和国と帝国が転移装置のある星系の外縁部に到着した時点で、それ以外の勢力が転移装置のある衛星に到着するものと予測されていた。 ●全てが決まる戦い 帝国は戦場では優位であるものの、その本領には最低限の兵力しか残っておらず、占領地を維持し続けるための力がない。 共和国は帝国の倍近い国力を持つものの、現有戦力は帝国に劣り、建造されつつある大艦隊が宇宙に姿を現すには時間がかかる。 共和国周辺にある複数の小国は、戦力の空白地帯となりつつある共和国へ侵攻する機会をうかがっている。 縦横数キロメートル厚さ数センチの扉型跳躍装置を擁する、ちっぽけな小惑星。 それを巡る戦いの結末が、母星系から切り離された人類領域の未来を決める。 |
■参加者一覧
三笠 三四郎(ia0163)
20歳・男・サ
羅喉丸(ia0347)
22歳・男・泰
ヘラルディア(ia0397)
18歳・女・巫
天河 ふしぎ(ia1037)
17歳・男・シ
長渡 昴(ib0310)
18歳・女・砲
ルーディ・ガーランド(ib0966)
20歳・男・魔
蒼井 御子(ib4444)
11歳・女・吟
リンスガルト・ギーベリ(ib5184)
10歳・女・泰
罔象(ib5429)
15歳・女・砲
獅炎(ib7794)
25歳・男・シ |
■リプレイ本文 ●帝国艦隊 戦場に到着する直前の、緊張と焦燥が隠しきれない雰囲気の司令部で、その雰囲気に染まっていない場所が一個所だけあった。 提督の席より一段上にある、空間が限られる宇宙船としては非常識なほど場所をとった席だ。 席の上に飾られているのは、近年では成り上がりの代名詞とまで言われることもあるギーベリ大公家の旗。 成り上がりを一代で成し遂げたのは、この艦の艦長の3分の1も生きていない、幼さの残る外見を持つ少女だった。 「閣下。該当が1件ありました」 冷たい美貌を持つ青年士官が長官席に歩み寄る。 媚びの全く含まれていない視線の先にいるのは、豊かに流れ落ちる金の髪を除けば一切の装飾品を持たぬ小柄な軍人だった。 「星間犯罪者000003号。自称、夢の翼です」 それは、帝国だけでなくこの宙域全体に伝わる御伽話に登場するヒーローの名であった。 「そうか」 帝国軍遠征艦隊総司令官リンスガルト・ギーベリ(ib5184)は、膨大な量の情報を処理していた頭に新たな情報を加える。 気を利かせたつもりか、青年士官は宙空に戦力配置図を映し出す。 跳躍装置がある星系を中心に、帝国と共和国だけでなく、宙域の有力な勢力のほとんどが艦隊を繰り出している。 恐るべき手際の良さで高速の進軍を果たした帝国軍が有利な位置を占めつつあるものの、次々に現れる新勢力によってその優位は崩れつつあった。 「第1艦隊司令に伝達しましょうか」 「無用だ。帝国軍将官に敵を見誤る無能はいない」 実力で正当性を証明し続ける少女は、厳しく断言し進言を退けるのだった。 ●幸福な人々 「皆さん、幸福ですか?」 「幸福であります偉大なる宗教指導者様!」 共和国最新最強の巨大戦艦で、歓喜の声が響いていた。 「素晴らしい! 幸福な者のみが門の向こう側の幸いの地に赴けるのです。後もう一息です。共に障害を乗り越え光を掴みましょう」 蒼井御子(ib4444)は、常人では一生かけても至れぬ境地にいる者にしか浮かべられない笑みを浮かべていた。 御子から視線を向けられるだけで、言葉を聞くだけで、身振り手振りで指示されるだけで心が浮き立ち、他に替えられぬ満足感が心を満たす。 もとは比較的穏和だった巨大宗教を丸ごと狂信的なものに作り替えてしまった英傑は、その希代の扇動能力を最大限に活かしていた。 「猊下! 目的地の捕捉に成功しました」 正面上方に、肉眼で判別できないほど詳細な立体映像が映し出される。 御子がうなずき、艦隊の指揮官達がそれに応じて前進を命じようとする直前に、何もないはずの空間から高速の魚雷が飛来した。 「耐衝撃体勢!」 各艦の艦長は訓練時以上の素早さで艦を動かすが、軍事の常識を完全に無視した一撃を防ぐことはできなかった。 移動の際に亜空間を通ることで速度と破壊力を増した魚雷は、この宙域で最も優れた技術力を持つはずの共和国最新鋭艦を、嵐に巻き込まれた小舟のように吹き飛ばしていく。 御子が座乗する総旗艦にも被害が出ているが、御子から余裕が無くなることは無かった。 「みなさん」 御子の声は混乱に支配されつつあった共和国艦隊に響き、全ての将兵の意識を掴む。 「母星系にたどり着く事が出来れば、よりいっそうの幸福をあなた達は手に出来るでしょう。恐れる事はありません。あなた達ならば可能。教祖はそうおっしゃっています」 不安と恐怖を精神からぬぐい去り、安心と幸福を心の隙間に塗り込める。 共和国軍は落ち着きを取り戻し、速度を緩めないまま再編を完了させ、あらゆる勢力が待ち構える地獄へ突き進んでいった。 ●猛き王(三笠三四郎(ia0163)) 「馬鹿な。軍隊経験無しの宗教屋があれほどの統率を」 リーン王国軍部大臣メッセル・ブレモアは、目にだけ狼狽に近い気配を漂わせていた。 「艦隊の動きからして、まだ薬も督戦隊も使っていないようですな」 防諜と諜報を一手に握る壮年の男、デニル・ビショップが艦長席を振り仰ぐ。 そこには、遺失技術搭載艦エーラ・リーン船長にしてリーン王国国主、クラウディー3世の姿があった。 「衛星近傍宙域まで後退する」 国王の視線の先には、共和国仕様の最新鋭艦のみで構成された艦隊があった。 感知装置も相応のものを積んでいるらしく、距離をとった上で簡易隠蔽装置を起動しているエーラ・リーンを包囲する気配を見せつつある。 「はっ」 動揺から回復したメッセルが艦内の各部署に命令を下し、現行の戦艦ではあり得ない速度でワープの準備が完了する。 「危険性を承知で手を出す度し難い者どもめ。好きにはさせんぞ」 国王は、予想される被害を覚悟し次の戦場に向かうのだった。 ●共和国遊撃艦隊、または惑星間交易商会私設艦隊(海賊兼業) 「判断が早いな。予想以上にやるようだ」 長渡昴(ib0310)は提督席につくと、艦隊の各艦に元の配置に戻るよう命じる。 共和国軍から目付として派遣されてきた重装駆逐艦が文句を言ってくるが、昴の意を受けたオペレータが馬鹿丁寧な口調で相手をしていた。 「お宝の山に釣られて普段は表に出てこない連中まで出てくるんでしょうが、命がいくつあっても足りませんな」 剛胆で知られた副長が軽口を飛ばす。 昴や副長以外が口にすれば気弱と受け取られかねない言葉だが、彼女たちが言うと場を和ませる冗談にしか聞こえなくなる。 「500年もメンテナンスフリーで動く代物なんざ、却って信用ならないと思わないかい?」 「そんなもんですかね」 操舵手がぼさぼさの髪を掻きながら首をひねると、昴はくすりと笑った。 ●開戦 「追撃は行いません」 帝国軍遊撃艦隊司令罔象(ib5429)は、帝国軍に背を向け跳躍装置に向かう宇宙船を見逃した。 「提督っ?」 艦隊付き参謀の長が、堅実な実績と能力にふさわしくない声をあげる。 「同程度の戦力の相手にする贅沢はできません」 「それは」 敵の過大評価ではありませんか。 そう続けようとした参謀長の間の前で、先程の襲撃による被害が図で表示される。 超高速機関搭載艦の動力部を正確に狙い撃つ手際は、罔象の上司である金髪少女を上回るものだ。 これは兵器の性能のみで為し得る業ではない。 「通常機関で天頂方向へ移動します」 副司令が即座に復唱し、遊撃艦隊全体が一斉に移動を開始する。 その場に残されたのは遊撃艦隊がここまで運んできた衛星級無人要塞。中には無人兵器群が搭載さている。。 「これでは運送屋ですな」 旗艦の艦長が、好々爺然とした顔で口をはさんでくるが、語調は柔らかだった。 遊撃艦隊が超高速機関を駆使して輸送を担った結果、帝国軍全軍が共和国軍に先駆けて目的の星系にたどり着けたことを知っているからだ。 常識的に考えるなら、これで帝国軍の勝利が確定するはずだった。 ●目覚める武神 RAGOUMARU。 それは太古から宇宙時代まで伝わってきた、伝説の拳士の名である。 義と勇と力を兼ね備えた武人にあやかり、その名を子供につける親は今でも一定数の割合で存在する。 跳躍装置防衛システムを完成させた科学者もまた、その一人であった。 「ここは?」 目覚めたとき、彼の知覚範囲には膨大な数の宇宙船が展開していた。 音を伝えるものが何も無い地表で起き上がり、意思のない動きでこちらに向かってくる者共を見据える。 すると内蔵された補助脳が超高速で分析を行い、敵の正体をつきとめる。 彼を造りあげた技術と比べると極めて低レベルではあるが、一応は恒星間戦争に使用可能な無人兵器群だ。 「500年ぶりの来客が強盗とは」 人型をした彼は、沈痛な面持ちで落胆する。 希望が溢れていた時代に跳躍装置開発者の手により建造された彼は、この時代に生きる誰よりも人の善を信じ、人に幸いをもたらすはずの跳躍装置の守護に誇りをもってあたっていた。 しかしこの来客は、どうやら跳躍装置を本来の目的で使う気はないらしい。 「是非も無し」 コード泰練気法・壱。発動。 成人男性サイズの人型から膨大な光が溢れ出す。 しかしそれは残像に過ぎず、彼を見失った無人兵器群が再び彼を見つけたのは、母艦である衛星級要塞に巨大な穴を開けられてからのことだった。 「ここは通さない」 名の通り武術の達人へと成長した科学者の子は、跳躍装置の開発中の事故で亡くなった。 彼をモデルに設計建造され、その後長い年月をかけて自己進化を続けてきた新たな彼は、伝説へと至った拳士に匹敵する力を手に入れていた。 1対数万の戦いは、圧倒的多数の帝国軍が狩られる側の、一方的な虐殺になりつつあった。 ●求める者 「いいぞ。戦闘が大規模になればなるほど僕が動き易くなる」 照明どころか環境維持へのエネルギー供給を絶った船内で、ルーディ・ガーランド(ib0966)はぎらつく目をして微笑んでいた。 唯一の光源は、手元の携帯端末に表示される数列だ。 目まぐるしく変化する数列から意味を読み取ることは極めて困難なはずなのだが、四半世紀しか生きていないにも関わらず伝説級マッドサイエンティストとして知られた彼にとっては容易いことだった。 戦況は帝国軍が星系全体を掌握しかけたところで、謎の高性能艦に足止めされ、遅れてやって来た共和国軍もリーン国軍に邪魔され停滞。今では星系中で小競り合いが頻発していた。 「共和国と帝国の足は止まった。跳躍装置の近くにいるのは帝国の玩具と例の羅喉丸(ia0347)と‥‥母星系産の高速巡洋艦か? それにしても反応が良すぎるが」 数列のみで星系全体の状況を把握したルーディは、対光学、対レーダー迷彩を兼ねた、500年前の水準に近い隠蔽装置を調節する。 たった数キロメートル程度しか離れていないにも関わらず、帝国の無人兵器群は何の反応も見せない。 羅喉丸はルーディの艦に気付いているようだが、何故か阻止しようとしなかった。 「やはりな。君は人間以上に人間すぎる。戦力を用いずに知識を求める者を君は拒否できない。人間に希望を持ちすぎだ」 そう言うルーディ本人は、人間に対し希望も絶望も持っていない。 彼にあるのは知識欲のみ。 世界も人間も、知識欲を追求するための手段に過ぎないのだ。 ルーディの乗る小型船は、羅喉丸という巨大過ぎる戦力に遮られることなく人工衛星に着陸することに成功するのだった。 ●逆転する宇宙 「全艦ジャンプアウトを完了いたしました。続いて艦載機部隊の展開を開始します」 提督席で報告を聞く獅炎(ib7794)の顔色は優れない。 老朽艦から艤装途中の艦まで引きずり出し、なんとか戦闘に耐えうる状態まで仕上げた彼が疲労しているのは当然であり、この状態でも万全の指揮を執れることを評価する部下はいてもその逆はいない。 しかし彼の顔色が悪いのは疲労故ではなく、己が拠って立つものに対する深刻な懸念であった。 膨大な数の宇宙船がひしめく星系内では、それ以上に膨大な量の通信が飛び交っている。 その中で特に多いのが宗教色の強すぎる声だ。 「計画に変更はない。全軍微速前進。先遣艦隊の反対側から帝国軍に仕掛ける」 新たな戦力に登場により星系内の均衡は完全に崩れ、戦力で勝る共和国側に天秤が傾き始めた。 ●母星系の遺産 「君は?」 天河ふしぎ(ia1037)はマントをひるがえして振り返る。 衛星に着地した瞬間から相手の姿を捉えているのだが、対面時に目と目をあわさないのはふしぎの趣味ではない。 「ただの科学者ですよ」 対機動兵器用兵装どころか対人兵器すら持たないルーディが、伝説の海賊の前で堂々、というより飄々とした態度で立っている。 それに何を感じたのか、少年にしか見えない外見のふしぎが、半世紀程度では決して身につけることのできない重々しさを伴い問いかける。 「どれだけ時が流れても人同士は争いを止めない。知っているかい? 千数百年前、人が仲良く手を取り合う時を夢見てこの跳躍装置が作り出されたんだよ」 巨大な門にも見える跳躍装置の前で、ふしぎは遠い過去に思いを馳せていた。 「そういうこともあったらしいですね」 ルーディは興味なさげに応える。 興味がないのは知らないからではない。 跳躍装置を研究する過程で膨大な量の資料に触れたため、跳躍装置がいつどこで何のために作られたか、この宙域で産まれた者の中では最も詳しく知っている。 地獄の中で開発者の魂と引き替えに開発された超技術なのだが、自らの研究成果と同様に、ルーディにとってはただの通過点でしかない。 「生きることに疑問を持つ趣味はありませんよ」 彼の声には気負いも緊張も含まれていない。 知り、開発し、知り、開発し、ただひたすら高みを目指す。 それが彼の生なのだ。 「君を止めるべきなんだろうね」 巨大な力が秘められた指がルーディに突きつけられる。 けれどルーディの顔には恐怖はなく、千年単位で生きるエスパーという、垂涎ものの研究対象に対する興味と渇望だけがあった。 「僕が勝っても負けても、おそらくここは破壊される。研究を続けたいのなら早めに出た方が良い」 ふしぎは腕を降ろすと、小さく息を吐いてルーディに背を向ける。 かつて地面の上を這いずっていた人類を宇宙の支配者の1つにまで押し上げたのは、間違いなくルーディのような存在だ。 人類の守護者は、科学者をその場に残し戦場へ向かうのだった。 ●流血の宇宙 「羅喉丸さんも息切れしてきましたね」 帝国軍が偵察目的で放った無人艦隊は、既にただの残骸と化してしまっている。 今は御子が突入させた揚陸艦隊に襲いかかっているのだが、その動きから徐々に精彩が失われていっている。 体は無事でも、奪った命の重みに精神がきしんでいるのだ。 「指導者様! 獅炎提督から抗議文が届きました」 「ふむ」 御子は穏やかな笑みを浮かべたまま、内心死刑判決を下していた。 ●壊れる宇宙 艦橋に響いたのは、獅炎の奥歯がまとめて砕け散る音だった。 傍受した通信の大部分が自らが幸福であるという宣言。 ろくな援護も無しに衛星に突入させられている揚陸艦から届いた通信も同様だ。 「おのれ」 限界だった。 彼も同じ宗教の信徒だが、彼の忠誠は宗教でも宗教指導者でもなく共和国に対して向けられている。 有権者かつ国費を投じて養成された兵士達が使い棄てられる様は、見ているだけで正気が削られる地獄のような光景だった。 「幸福ですかー?」 一切の後悔が感じられないかけ声が響いた瞬間、長年にわたり耐えに耐えてきた獅炎の堪忍袋の緒がはじけ飛ぶ。 「3116号作戦を発動する」 獅炎が全軍から選び抜いた乗組員達が、緊張のあまり動きを止める。 しかしすぐに平常心を取り戻し、何事もなかったかのように新たな命令を艦隊の各所に伝えていく。 「獅炎さん、帝国軍に対して総攻撃を仕掛けてくださいな」 艦橋の上部に御子の立体映像が映し出される。 国家元首しか使えないはずの最上位命令権を使い、本来の提督や艦長を無視して強制的に通信を繋げたのだ。 「悪いがその前にすることがある」 激情を理性で制御し、超高速通信越しに純粋な殺意を叩き付ける。 「違法に統帥権を奪取した犯罪者の排除だ」 「まあっ。それは重大なことですね」 にこにこと、御子は愛しい幼子に向けるべき笑みを浮かべている。 「ああ」 共和国増援艦隊の旗艦を含む一部が突然加速を開始し、まるで長年訓練していたかのような見事な動きで単縦陣を組む。 残された艦隊は戸惑いつつも事前に下されていた命に従い、帝国軍に圧力を掛けつつ微速前進を継続する。 その中の一部は宗教組織にとっての仇敵となった獅炎を追おうとするが、数はかなり少ない。 獅炎が予め宗教に傾倒しすぎている者を隔離していたのだ。 「残念です」 御子が顔をうつむかせると、艦橋に乾いた銃声が響いた。 背後から内蔵を撃ち抜かれた獅炎が、急激に顔色を悪くしながらも踏ん張って転倒を避ける。 銃を撃った士官は艦橋要員に取り押さえられ、厳しく拘束された上で営巣に連れて行かれていった。 獅炎は深刻な負傷を感じさせない動きで手を伸ばし、付き従う同志達に檄を飛ばす。 「聞け! 討つべきは蒼井御子! 奴は聖職者なんかじゃない! 国教の名を借りているだけの、ただのトチ狂った馬鹿野郎だ!」 「ふふっ」 急激に暗くなっていく獅炎の視界には、心底嬉しそうに微笑む御子の顔がくっきりと映っていた。 ●裏切り 「やれ」 惑星間交易商会の艦隊が、つい先程まで肩を並べて戦っていた共和国駆逐艦を光子魚雷で吹き飛ばす。 共和国軍が混乱しつつも反撃しようとするが、次々に入ってくる凶報に押し流され有効な行動をとれない。 獅炎の反乱、あるいはクーデターを皮切りに、独立色の強い小艦隊がサボタージュを始めている。 変化が起きたのは共和国軍だけではない。 その場に集った第三勢力の多くも、明らかに帝国軍へ利する行動を始めていた。 「爵位と利権で籠絡済みですか。軍人にならなければ手強い競争相手になっただろうに」 昴は彼なりの表現で帝国軍総司令を賞賛していた。 共和国と帝国の国力差は極めて大きい。 皇族や罔象を初めとする高級官僚達の手により国家全体が効率良く運営されているとはいえ、帝国は長期戦で共和国に勝てない。地力が違いすぎるのだ。 しかしギーベリ大公は宙域全体の意識が跳躍装置に向いている状況と短期間の軍事力の優越を活かし、共和国内の諸勢力と第三勢力を散々揺さぶった。 その上で共和国軍主力を窮地に追い込むことで、地力の状況そのものをひっくり返してしまったのだ。 「この展開を読み切っていたのならとんでもない天才ですな。白旗でもあげますか?」 「まさか。勝負勘の鋭さは評価するが運に頼り過ぎている。それに共和国軍は底をまだ見せていない」 昴の艦隊から分離した強襲揚陸型駆逐艦十数隻が、共和国軍の無防備な側面からと光子魚雷を叩き込む。 共和国軍主力は大きく陣形を乱し、総旗艦である巨大戦艦を守る鉄壁の守りがわずかに崩れる。 屈強の海賊達を乗せた強襲揚陸艦隊はその隙を見逃さず、即座に高加速を開始した。 目指すはこの宙域最大勢力の事実上トップである、蒼井御子の首ただ一つ。 「首一つに伯爵位と有人惑星か。史上最高値の首だな」 部下達の突入を援護しつつ、昴は愉快そうに笑う。 が、突然笑いが消え表情が厳しく引き締まる。 一切の光学迷彩を拒否した新緑と金の光が強襲揚陸艦隊を襲い、その大部分に致命的な打撃を与えてしまったのだ。 攻撃力だけでなく生残性にも十分配慮した設計が功を奏し、艦が爆散するまでに大部分の乗組員が逃げることには成功する。 しかし生き残りが救助にあたることになるため、昴の艦隊は一時的にではあるが戦闘能力を喪失してしまった。 「最後の奥の手を切らせたか。帝国への手土産としては十分だが」 中性的な美貌に獰猛な笑みが浮かぶ。 「もう少し売値をつり上げるとしようか」 昴は試作人型兵器で艦を離れ、戦いの中心へ向かうのだった。 ●王の最期 帝国軍は戦後処理を見据えた動きを始め、共和国軍は獅炎のクーデターと傭兵艦隊の寝返りで混乱状態、第三勢力も戦力の温存と政治交渉に力を注ぐ中、活発に動く者達がいた。 「連続ショートジャンプ解除まで4秒!」 「相転移砲充填完了しました」 「撃て!」 宇宙船エーラ・リーンは通常空間に復帰すると同時に最大最強の攻撃を放つ。 が、真正面からまともに貫かれたはずの帝国軍遊撃艦隊は、空間ごと砕かれる寸前に超高速機関を一瞬だけ起動させてぎりぎりで回避する。 攻撃がかすかに触れただけにも関わらず、障壁発生装置は過負荷で吹き飛び、装甲の大部分も砕かれる。 しかし攻撃力と機動力は健在で、反撃で放った光弾雨あられと降り注ぎ、エーラ・リーンの障壁発生装置に高い負荷をかけていく。 「何故邪魔をする! 貴様等も転移装置の危険性は承知しているだろう!」 共和国軍総旗艦へ向かうエーラ・リーンの邪魔をする艦隊に一方的に通信を叩き付ける。 跳躍装置の確保のために陸戦隊を大量に動員した共和国とは異なり、帝国軍は陸戦隊の代わりに巨大要塞を破壊可能な兵器を持ち込んでいる。 跳躍装置を己を含む誰の手にも渡さないために戦うクラウディー3世と帝国は利害が衝突しないはずなのだ。 「後始末の為ですよ、陛下」 これまで晴れ舞台である主戦場に近づかず、延々と共和国軍の兵站を叩いていた罔象が静かに言葉を返す。 「共和国が再起不能になれば統治のための費用が大きくなりすぎる、ですか」 クラウディー3世の隣に立つデニル・ビショップが、やれやれと肩をすくめる。 「陛下にも見習っていただきたいですな」 愉快そうに笑う。 もっとも、仮にクラウディー3世が手段を選ばず結果を求める為政者なら、デニルはわざわざこんなところまで付き合わなかっただろう。 優れた為政者であると同時に美点を台無しにしかねないほどの理想家でもある国王だからこそ、成功率が極めて低いこの作戦に志願して参加したのだ。 「陛下、決断なされませ」 デニルは表情を改め、臣下として進言する。 このまま足止めされた場合、共和国か帝国のいずれかが跳躍装置を手に入れる可能性が出てくる。 可能性としては帝国が衛星ごと跳躍装置を吹き飛ばす可能性が最も高いだろうが、不明確な可能性に賭けて良しとするならばそもそもこの場にはいない。 「総員退艦準備。超高速機関の制御を私に回せ」 ワープドライブの暴走により星系全てを巻き込む大災害が発生するのは、それから数分後のことであった。 ●戦略級艦載機サイファー搭載AI(ヘラルディア(ia0397)) 「拒否はしませんね?」 御子の言葉に、遮光型のヘルメットを被ったパイロットは、一度だけ信号を送ることで肯定の返事をする。 巨大勢力の事実上の頂点対して恐ろしく失礼な対応だが、そういう対応をされた本人は気にした風もなくうなずいた。 通信が切断された後、宇宙戦闘機最新鋭サイファーの中に女性の柔らかな声が響く。 「よろしいのですか?」 機体に搭載された人工知性が尋ねる。 パイロットは膨大な量の情報を同時に処理しながら、通信機を一度だけ鳴らして肯定の返事とする。 「了解しました。星系内に存在する全戦力を表示します」 パイロットの視覚に直接情報が送り込まれる。 参謀数十人分に匹敵する能力を持つAIでも、この状況でどうすれば作戦を実行できるのか全く分からない。 共和国軍は足止めを数個艦隊残して撤退を開始し、帝国に与する陣営は増えることはあっても減ることはない。 しかしAIには確信があった。 パイロットの視線で一筋の道が示されると、1機建造するのに最新鋭戦艦数十隻分の予算が必要な戦闘機が加速を開始する。 進む先は、多数の護衛に守られた帝国軍重装戦艦群。 膨大な数の戦闘艦の間をすり抜けながら、2人はマルチロックミサイルに必要な情報を入力していっていた。 ●帝国を継ぐ者 帝国軍の優勢が確定的になってから次々に来訪してくる外交官達。 それらへの応対になんとか区切りをつけたギーベリ大公は、疲労による頭痛に耐えながら栄養ドリンクを流し込んでいた。 「後は跳躍装置を壊せば帝国の覇権はなるのじゃ。伝説の海賊もクラウディー殿も破壊の邪魔はせぬはず。星系近傍に新たな戦力は現れておらぬ。これでようやくおばあさまに勝利を捧げられるのじゃ」 大公が、決して人には見せぬ年相応の表情を浮かべた瞬間、最大級の警報が鳴り響く。 「報告を」 支配者としての顔に戻り命を下す。 「第11分艦隊が襲撃されてい、いえ、襲撃されました。全砲門が破壊され復旧の見通しが立てられません」 大公の表情がわずかに崩れる。 特大の威力を誇る対巨大要塞砲が使えなくなった。 エーラ・リーンのワープドライブが暴発するのにもあと数分かかる。 つまり今からしばらくの間、跳躍装置がろくな護衛もなく放り出されることになる。 「何者じゃ」 猛烈に嫌な予感に襲われながら、大公はエーラ・リーンが発生させるはずの大災害から逃れるため、全軍に撤退を命令するのであった。 ●守護者退場 居住性と引き替えに防御力を極限まで高められた艦が、隊伍を組んで衛星に向け突撃する。 命令を下した御子は単なる時間稼ぎしか期待していない。 しかし乗組員は理想に燃え、跳躍装置の奪取を目指し命を惜しまぬ戦いを繰り広げていた。 彼等の前に立ちふさがるのは羅喉丸。 気配を察知して発射される前から光学兵器を回避し、ミサイルの至近距離での爆発を巧妙に受け流して加速に利用し、その勢いのまま艦隊の中央に侵入する。 そこにいたのは、大量のミサイルと艦載機を抱える超大型装甲艦だ。 500年前の水準に迫る装甲と高出力バリアを何重にも装備しており、短時間であれば帝国軍全軍の攻撃さえ防ぎきる防御力を持つそれは、サイファーに並ぶ共和国の切り札だった。 羅喉丸は長時間の戦闘の結果、痛みとして認識されるようになった全身の損傷を無視し、遠隔操作で遺跡のエネルギー供給装置を自分自身に向ける。 外部から供給されるエネルギーをほぼ完全にコントロールしているのだが、ほんのわずか、1パーセントの数万分の1のコントロール仕切れぬエネルギーが、羅喉丸の体を内側から溶かしていく。 それでも羅喉丸は止まらない。 エネルギーの大部分を己の耐久力の強化に、残りを加速に注ぎ込み、一気に高速の数割にまで加速する。 これぞコード星砕き(スターバスター)。 実質的には星系砕きといえる一撃は、瞬時という表現すらなまぬるい短時間で共和国突入艦隊全てを吹き飛ばす。 「駄目だ。逃げるんだ羅喉丸!」 この宙域の軍事力とは次元の異なる水準の念動力と用い、星砕きの余波を抑えていたふしぎが叫ぶ。 だが、壮大すぎる技を使った羅喉丸の動きは鈍く、死角から襲いかかる新緑の人型兵器が実体剣を振り下ろすまで、その接近に気づけなかった。 それでも両腕を交差させて剣を受け止め、ぼろぼろの足で蹴りを繰り出そうとする。 が、それは人型兵器が左手に持つ杖状練力増幅器に防がれる。 女性的で艶やかな曲線を持つ人型兵器は、髪のようにも見える放熱索から膨大な熱量を発しながら、剣の軌道を強引に変えて羅喉丸の胸元へ突き込む。 羅喉丸はそれでもなお抗おうとするが、唐突に気づく。 星系内から人の命のきらめきが数個を残して消え去り、500年前の仕様の超高速機関が暴走を開始していることに。 これなら、誰も跳躍装置を持ち出せない。 羅喉丸の使命は果たされたのだ。 「博士、できれば私は」 辛うじてそこまで口にした時点で、羅喉丸はあらゆる面で限界を超え、全身を分子より小さな粒に変えながら宇宙に消えた。 「何故殺した!」 友の忘れ形見の死に、ふしぎは怒りではなく唯々深い悲しみを込めて叫ぶ。 「任務です」 極端に無口なエースパイロットの気持ちを代弁するAIの声は、その無造作な発言とは逆に神妙だった。 剣を掲げて羅喉丸に対し敬意を示すと、再度戦闘機形態に変形し跳躍装置に向かう。 跳躍装置の仕組みは分からなくても、跳躍装置とその周辺に配置されている、この宙域の技術水準をはるかに上回るものを回収することはできる。 回収したものからかつての高度技術を再現すれば、戦後の社会に巨大な影響を与えることは十分に可能なはずだ。 「君が誇りを知る武人であり、任務に忠実なのは分かる。だがこの力は今の人類には過ぎたものだ」 掲げたてのひらに、戦艦並みの大きさのサイコスピアが出現する。 解き放たれた伝説の力は、500年の間閉じられてきた扉を打ち砕くのだった。 ●その後 クラウディー・リーン 超高速機関の暴走の直前に、デニルに無理矢理脱出艇に詰め込まれ一命を取り留める。 共和国の勢力が後退したため頻発するようになった小競り合いを収拾するため、今日も星々の間を飛び回っている。 RAGOUMARU 墓所として扱われるようになった無人星系で、今も人類の行く末を見守っている。 Heralldia 1機で帝国全軍を翻弄し、遺跡の守護者を打ち破った彼女は伝説となった。 正式な名称であるサイファーより伝説のパイロットが駆る機体の名が有名になったため、共和国は国威高揚のためHeralldia(略称はヘラ)を共和国の新たな主力の名としてして採用した。 天河ふしぎ 伝説の宇宙海賊『夢の翼』の目撃情報はこの戦いを境に途絶える。 しかしこれより数百年後、帝国の支配にほころびが出始めた頃、かつてと変わらぬ姿で現れ苦しむ人々を救ったという。 長渡昴 単独行で高度技術の産物を大量に手に入れた彼女が、個人としては最大の勝利者かもしれない。 手に入れた高度技術と帝国からぶんどった巨大な報償をもとに彼女の商会は強大化し、帝国の頭を常に悩ませることになる。 ルーディ・ガーランド 獅炎提督の治療を代金に新共和国に潜り込む。 最終的に隣の島宇宙に到達する新型跳躍装置を完成させる彼は、新共和国においては救世主兼金食い虫として知られている。 蒼井御子 兵力の半数を失い、多発する独立運動によりその領域を半分近くまで減らした共和国ではあるが、残された領域で教団の支配が完成することになる。 ギーベリ大公 寝返った旧共和国領を含む新領を与えられ、副帝の地位につく。 軍事力の中心が巨大戦艦からHeralldia級戦略戦闘機に移り変わる中、乏しい財源に苦しみながら領地の統治と軍事力の整備を進めることになる。 罔象提督 今次大戦の帝国軍勲功第一位。 獅炎提督 御子の排除に失敗した彼は、責任をとるため支援者の身を守ることに身を捧げることになる。 戦いは終わり、宇宙はしばしの平和を謳歌する。 平和が終わるとき、再び彼等は現れるだろう。 |